"... with Misato-san."


雨の日は、キライじゃない。

昔はそう思ってた。

こうやって、ジョーロで水をまいてると、

なぜかそんな事を思い出しちゃうわ・・・。

キライでもなければスキでもない。

つまりは、どっちでも良かったんだと思う。

あんまり雨の事なんて気にしていなかった・・・。

でも、

キライになった・・・。

思い出が多すぎるから・・・。

思えば・・・、

アンタと二人で遠出をする時は、決まって雨に降られてばかりだった・・・。

アンタは調子に乗って、

「神様が、俺達の仲を嫉妬しているのさ。」

なんて言ってたけど、ね。

あの頃は、

一つのカサで良く出歩いたわ・・・。

だけど、

信号待ちの時にキスして来るのはちょっと恥ずかしかったかな・・・。

唇にじゃなくて頬にだったけど、

十分恥ずかしかった・・・。

そして、

ワタシがウソをついた日・・・。

好きな人が出来たの。

そう言った日・・・。

あの日も、雨が降った・・・。

雨は、

地表を濡らし、

洗い流していく。

シャワーは、

ワタシの身体を濡らして、

洗い流していく。

でも・・・、

思い出は、

雨に濡らされても、

流れない・・・。

それがわかったから・・・。

ワタシは決めたの、

もう、ここには戻って来ないって・・・。

アンタの事を忘れようとか、

そんなんじゃないの・・・。

アンタの事を忘れられないってわかったから・・・。

アンタの事を忘れないって決めたから・・・。

だから・・・。

ワタシは決めたの、

もう、ここには戻って来ないって・・・。

ここには、

アンタの匂いが残ってるから・・・。

アンタの面影が残ってるから・・・。

アンタを、

頼ってしまいそうになるから・・・。

今のアンタは、

まるでにわか雨みたい・・・。

ワタシの心を、

少しだけ湿らせる・・・。

アンタを感じる事が出来る・・・。

そうね・・・。

やっぱり、

雨ってキライじゃないわ・・・。

おしまい


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