29.WW2、6年目のS耐岡山戦をサポート!(Part2) 





●9月2日(土)
    PM1:50〜2:30
 グリッド予選


 午前中のドライバー予選に続いて、午後には決勝のスターティンググリッドを決めるグリッド予選が行われます。ここも昨年同様、20分ごと3つのセッションに分かれており、私達の78号車が出走できるのは、
第2セッション(ST‐3およびST‐4のみ走行)の20分と、続く第3セッション(全クラス混走)の20分との計40分間となります。

 このグリッド予選でのチームの作戦は、基本的には第2セッション内でしっかり予選タイムを出すことで、多数のマシンが混走する第3セッションはできるだけ回避する方針です。これは他車との不要な接触リスクを避けるとともに、決勝レースに向けてタイヤを温存しておく狙いもあります。ここではまず伊藤選手がアタッカーとしてマシンに乗り込みスタンバイします。

 が、ST‐1&ST‐2クラスのみの第1セッションが終了し、ST‐3&ST‐4クラスが出走できる第2セッションに移っても各車の動き出しは鈍く、PITロードを進んでいくマシンの姿はありません。有力チームは、よりラバーグリップが向上する最後の第3セッションを待っている雰囲気です。78号車はシビレを切らしたように13時53分にコースイン。すぐ隣りの
#70・マジック kg/mm RX−7もこれに続くように同時にPITを離れ、今シーズン初参戦組の2台のRX−7が積極的に周回を重ねていくことになりました。



コースインの合図を待つ伊藤選手



 コントロールラインを先に通過した78号車のタイムがまず
総合8位(ST‐3クラス1位!)として上方に表示され、束の間の出来事とは知りながら、瞬間的に私達のPIT内は盛り上がります(笑)。
 その後、セッション中盤にはST-3クラスのレギュラー勢がコースインし、78号車の順位は次第にドロップしていきますが、伊藤選手は周回を重ねるごとに順調にベストタイムを更新していき、依然として#70のタイムを鼻差で上回っていたのです。

 その快進撃の一部始終はというと、まずは1周目のアタックで伊藤選手はいきなり
1分42秒559を記録。早くも午前中のドライバーズ予選でマークしたチーム新記録をあっさり塗り替えると、2周目(42秒521)、3周目(42秒124)と少しずつそのタイムを更新していきます。PITでモニターを見つめていた私達も、過去に目にしたことのない42秒台の数字に驚きと興奮を隠せません。しかも、4周目にはその勢いを維持したまま1分42秒019をマーク!!あわや41秒台に突入しようかという素晴らしいタイムでした。

 私の記憶が確かであれば、43秒台こそ過去のフリー走行で何回かマークしているはずですが、その先の42秒台となると、おそらくシーズンオフの冬のテストシーンまで遡る必要があると思われます・・・。私達を奮い立たせる素晴らしいタイムの連続に、チームテスタスポーツのPITの興奮は最高潮に達していました。伊藤選手は与えられた5周のアタックを完遂してPITへ帰還。全ての周で42秒台を並べるという見事なアタックでした。

 このグリッド予選では必ずしも両ドライバーの出走義務はありませんが、新しい足廻りの感触を掴むべく、78号車のコクピットには代わって新宅選手が乗り込み、14時05分にコースインしていきます。

 今年のマシンのグリップレベルの改善、そして足廻りのバランスの良さは新宅選手もしっかり認識するところで、まずは1周目に1分46秒160のタイムをマーク。まさにこれからというタイミングでしたが、予選が第3セッションに移ったところでチームは予定通り78号車をPITインさせることにし、今年のグリッド予選の走行を終えました。

予選を終えてPITに帰還する78号車


 結局、
#78・WW2 ダンロップ RX−7は昨年のタイムを2秒以上も上回る、過去最高の予選タイム1'42.019を記録することに成功、出走台数39台中で総合26番手のグリッドを獲得することになりました。ST-3クラス内では、僅差ながらも、常連マシンの#83・BP ADVAN NSXや、同じシーズン初参戦組の#70・マジック kg/mm RX−7を抑え、クラス13台中10位に喰い込みました。昨年までであれば、一発の速さを競うグリッド予選においては、同クラスのライバル勢に接近することすら許されなかった78号車ですが、今回はタイム上でもしっかりと絡んでおり、いつになく私達の存在をアピールすることができた予選だったといえるでしょう。

 ST‐3クラスのTOPは#15・岡部自動車アドバン洗剤革命RX−7で、第3セッションの最後の最後でついに驚愕の38秒台に突入。早々と走行を終えていた78号車とのGapは約3秒にまで拡大しました。しかし、決勝レースでの連続周回ペースを想定すると、TOPの岡部自動車勢は無理としても、少なくともST-3クラスの中位グループのマシン達とは、ほぼ同等のペースで走れる手応えを感じることができました。 今年はレース中2回以上のPITが義務化されているため、PITイン回数をイコール条件と考えれば、純粋にPIT作業時間と周回ペースの差が順位決定の要素になるわけで、この78号車の予選タイムの躍進は、明日の決勝レースに向けて、私達に明るい展望を描かせてくれるものでした。


スーパー耐久 グリッド予選 リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆9月2日(土) 天候:曇り◆
 9.#15 岡部自動車アドバン洗剤革命RX-7 R1'38.940 ― 
10.#14 岡部自動車ディクセル洗剤革命RX-7 R1'39.110 +0.170
11.# 7 MAKERS ISHIHARA MARINE RX-7 1'39.241 +0.301
19.#23 C-WEST ADVAN Z 1'40.473 +1.533
21.# 9 ハウスコンサルタント ADVAN Z 1'40.649 +1.709
22.#27 FINA SUNBEAM ADVAN M3 1'40.982 +2.042
23.#16 H!NT. 7 1'41.254 +2.314
24.#33 eeiA-ings Z 1'41.593 +2.653
25.#19 バーディクラブ TC神戸 Z33 1'41.712 +2.772
26.#78 WW2 ダンロップ RX-7 1'42.019 +3.079
28.#83 BP ADVAN NSX 1'42.220 +3.280
29.#70 マジック kg/mm RX-7 1'42.688 +3.748
36.#43 ゼナドリン ディクセル MJ M3 1'46.227 +7.287

 


 ◆再び穏やかな夕方◆

 予選タイムに確かな手応えを感じたチームは、明日の決勝日に備えて、消耗部品の交換を中心とした最後のマシンメンテナンスを行ないます。

 その作業途中、チームはPITレーン上に78号車を移動させ、決勝レース中のPIT作業の打ち合わせを行ないました。今回のレース戦略ではレース中のタイヤ交換が想定されており、PITの給油スタンドには、インパクトレンチ用のエアホースを這わせる長いタワーが今回から新設されています。聞けば、木曜にチームオーナーが近隣のホームセンターで部材を購入し、現物合わせで突貫工事を施したとのこと。そう言われてみれば、水曜夜の機材積込み時には見かけませんでしたし、装着されたアルミ部材には表面保護用の青テープが生々しく貼られたままです(笑)。しかし、機能的にはこれでも十分。マシンの停車位置に合わせて、フック位置の細かい調整が図られていきます。
 これで来年は、このタワーにぶら下げるチームボードが必要になりましたね(^ム^)。

なんとなく青いですなぁ〜 (注)ホイールは実際の仕様とは異なる場合があります(^^)
新設されたホース用のタワー 正規の停車位置で微調整中


 チームはこの機会を利用してタイヤ交換の練習を行いますが、ここであらためて大きな問題を認識します。当初から判っていたことではありますが、私達のPITには、交換用タイヤのナットホールにあらかじめナットを固定しておくためのスリーブがないのです。S耐ではもはや常識的なアイテムですが、これを持たない私達は、一旦外した5本のナットを1本ずつ新ホイールに装填していかなければなりません。これが実際にやってみると予想以上に時間を要し、タイヤ交換の所要時間は軽く1分30秒を超えてしまいました。仮に、新タイヤ装着が1周1秒のタイムアップ効果をもたらしたとしても、交換作業に90秒もかかってしまうようでは、メリットを享受するためには90周以上の周回が必要となり、おおよそ現実的ではありません。
 ほんの小さな部品ですがその効果は決して侮れず、決勝レースまでにいかにして調達するかが私達のタイヤ交換の成否のカギになりそうです(笑)。

 こうして緊急の克服課題は残りましたが、チームは19時前には予定していた準備作業を一通り完了。多くの居残りチームをよそに、暗闇迫るサーキットを後にしました。
 約20分ほどの移動時間を経て、宿泊先のロッジのレストランでゆっくり食事をとり、併設されている温泉で汗を流します。その後、就寝前に全員で集まって簡単なミーティングを実施しますが、22時前にはそれも解散。土曜から合流した私達4名は別棟に泊まりますが、ハードな決勝日に備えて、談笑もそこそこに切り上げて早めに床に入ります。

 予期せぬマシントラブルが発生してしまうと、こうはうまく事は運ばなくなりますが、今年のチームテスタスポーツは極めて順調にレースウィークを消化しており、全体としてとても良い流れの中にあるといえます。


本文と写真は一切関係ありません(笑)
 
ゼナドリンGALがドリンク持参でPITを表敬訪問(*^_^*)

 



●9月3日(日)
    AM8:00〜8:30
 フリー走行


 
初日の金曜朝は雨が少し残っていたものの、それ以降、当地岡山は好天が続いており、迎えた決勝日の朝も爽やかな快晴です。どうやら午後の決勝レースも雨の心配はしなくて済みそうです。
 チームは朝6時半にロッジを出発、7時前には決戦の地・岡山国際サーキットに入りました。8時から始まるフリー走行に備えて、ゆっくりと12‐Cピットは始動していきます。
 決勝レース前の最後の走行セッションとなる日曜朝のフリー走行ですが、78号車は土曜の予選終了後からマシンのセットアップは殆んど変えていないため、この30分間は主に決勝レースに向けたマシンチェックが主体となります。

 
練習用タイヤを装着した78号車にはまず新宅選手が乗り込み、開始直前からPITロードを埋め尽くすように待機していた大勢のS耐マシンに交じり、8時3分にPITアウトしていきました。新宅選手はマシンの感触を確かめながら、新品のパッドやローターのアタリ付けも行なっていきます。

手を伸ばして上方からのショット。
新宅選手が乗り込んでフリー走行がスタート


 新宅選手が約10分で走行を切り上げてPITインすると、今度は伊藤選手が乗り込みます。もちろん、このPITレーン上でのドライバー交代は、決勝レース中のドライバー交代時を意識したもので、本番さながらの真剣なものです。代わってステアリングを握った伊藤選手はその後6周ほど周回を重ね、8時23分にPITイン、チームテスタスポーツは最後の走行セッションを無事終了しました。

 ここでの78号車のベストタイムは、伊藤選手が5周目に記録した
1分43秒577。ST-3クラス勢では、#7・MAKERS ISHIHARA MARINE RX−7が唯一40秒台に入れたものの、他は概ね予選タイムの1.5秒〜2秒落ちの42秒〜43秒台といったところであり、結果的に78号車のクラス順位は、今週末で最高のクラス9位にまで上がりました。

 このフリー走行でのクラスTOPとのタイム差は、グリッド予選の時と同じく
約3秒。その相手が同じRX−7であるのはやや複雑な心境ですが、上位とのタイム差の絶対値といい、後方に従えたライバルの台数(4台)といい、今回の78号車は明らかに、クラス内でのポジションとしては例年にない好位置をキープしていると断言できます。実際、このセッションのRX−7勢でいえば、好調の岡部自動車の3台に続く4番手の座を私達のRX−7がGetしているわけですから、決して悪い気はしないどころか、ひそかに自分達の健闘を称えてやっても良いくらいです(笑)。
 決勝レースではRX−7勢6台の大暴れを期待しつつ、その中で私達はひとつでも上のポジションを狙っていきたいものです。


スーパー耐久 フリー走行 リザルト
【ST‐3クラスのみ抜粋;順位は総合順位】
◆9月3日(日) 天候:晴れ◆
11.# 7 MAKERS ISHIHARA MARINE RX-7 1'40.486 ― 
15.#23 C-WEST ADVAN Z 1'41.568 +1.082
16.#15 岡部自動車アドバン洗剤革命RX-7 1'41.571 +1.085
20.#33 eeiA-ings Z 1'42.486 +2.000
21.#14 岡部自動車ディクセル洗剤革命RX-7 1'42.605 +2.119
22.#27 FINA SUNBEAM ADVAN M3 1'42.732 +2.246
23.#83 BP ADVAN NSX 1'43.116 +2.630
24.#19 バーディクラブ TC神戸 Z33 1'43.156 +2.670
25.#78 WW2 ダンロップ RX-7 1'43.577 +3.091
26.# 9 ハウスコンサルタント ADVAN Z 1'43.634 +3.148
27.#16 H!NT. 7 1'43.731 +3.245
29.#70 マジック kg/mm RX-7 1'44.713 +4.227
36.#43 ゼナドリン ディクセル MJ M3 1'47.207 +6.721

 



●9月3日(日)
    AM11:50〜12:40
 ピットウォーク


 今回の私達のPIT位置は「12−C」で、岡山国際サーキットの長いPITレーンのほぼ中央。PITウォーク開始時間の遥か前から、パドック内の通路でその瞬間を待ち続けていた熱心なレースファン達が、我先にとPITレーンになだれ込んでいきます。私達のPIT前を左右に行き交う大勢の人の流れは、いつまでたっても途切れる気配をみせません。

 さて、以前のPITウォークタイムであれば、私は敵情視察とばかりに、同クラスのライバルマシンを撮影しようとカメラ片手に勇んで出撃していたのですが、ここ数年のPITウォークでは、マシンからドライバー&キャンギャルへ完全に主役が入れ替わってしまいました。マシンが後方に追いやられるばかりか、下手をするとガレージ内に頭から突っ込んでお尻を向けているシーンまで散見されるようになり、正直なところ撮影意欲を著しく殺がれていました。そのため、気が付けばいつしかダラダラとつなぎ姿のままでPITレーンを闊歩するようになってしまい、懸命に観客サービスに努めている他チームのスタッフから冷笑されることも・・・。そこで今年は心機一転、もう一度原点に立ち返り?、私服に着替えて撮影に繰り出すことにしたのでした。

 その活動結果は以下に掲載しますが、成否の判断は皆さんにお任せします(笑)。


◆ST‐3クラスのエントリーマシン◆

#7 MAKERS ISHIHARA MARINE RX-7

#9 ハウスコンサルタント ADVAN Z

#14 岡部自動車ディクセル洗剤革命RX-7

#15 岡部自動車アドバン洗剤革命RX-7

#16 H!NT. 7

#19 バーディクラブTC神戸Z33

#23 C-WEST ADVAN Z

#27 FINA SUNBEAM ADVAN M3

#33 eeiA-ings Z

#43 ゼナドリン ディクセル MJ M3

#70 マジック kg/mm RX-7

#83 BP ADVAN NSX


 このように、私の撮影活動には期待外れの面が多々ありましたが、それとは逆に、私達のPITでは期待通りの嬉しい出来事もありました。

 そう、毎年ここ岡山戦で再会を果たしているあの親子3人組の登場です。

 彼らが私達WW2のマシンを目当てにPITへ駆け付けてくれるようになったのは、2001年のWW2初参戦の時以来のことですから、今回でじつに6年連続の6度目となります。今回も克ちゃんと私がいつもながらの温かい激励のコトバを頂戴したわけですが、
「このマシンがいてくれないと、ダメなんっすから!」などと、ここ数年は親父さんよりも息子さんの方が積極的にアツいコトバをかけてくれるようになったのも、6年間の月日の偉大さを感じさせる出来事でした。

 私は
「今回のRX−7勢は絶対に強いですよ! 私達も負けないように頑張りますからねっ!」と力強く答え、がっちりと握手を交わして彼らと別れました。

今年も思い思いにパチリ・・・ そしてジックリとマシンを観察


 なお、前日の土曜のPITウォークタイムには、WW2メンバーの
しゅんさんが遥々鳥取から駆け付けてくれました。2001年のWW2初参戦時に連れて来られた1歳の息子さんもすでに6歳に。私達のマシンを間近でじっくり観察してくれた後、予選セッションでストレートを疾走する78号車の姿にずっと声援を送ってくれていたそうです。ここでも月日の偉大さを痛感しますね。

 

 今WW2がマツダへ声を大にして言いたいこと。

 それは、この息子さん達の例を挙げるまでもなく、コアなファンとは、リアルな活動に接する機会を通じて誕生し、その活動に肌で触れ、一喜一憂しながら育ってくれるということです。彼らは決して、過去の伝説を読み聞かされただけでは生まれないのです。
 1991年のル・マン優勝は確かに偉業かもしれませんが、歴史を遡れば、軽く十指に余るほどのルマン優勝メーカーがあるわけで、過去70台以上ものル・マン総合優勝マシンが存在し、あのマツダ787Bと同格で並んでいるのです。これでは1回の優勝だけで伝説と言い切ることは憚られるでしょう。もっといえば、その91年の優勝だって、過去十数年にもわたる尊い挑戦活動の末に成し得たものではありませんか。

 人々に感動を与える「Zoom Zoom」なクルマ作りを標榜しているマツダこそ、モータースポーツと縁遠くなった現状を一刻も早く改める必要がある、というのが私達の共通の思いです。マツダの至宝であるロータリーエンジンは、モータースポーツフィールドで一段とその輝きを増すエンジンといえます。できるならその魅力的なパワーユニットを携えていち早くワークス活動を再開し、全世界に生きた感動を発信し続けてもらいたいのです。
 そうすれば、マツダのブランドは感動を共にした人々の心の中にしっかりと根付き、彼らはきっと末永くマツダをサポートしてくれることでしょう。私達WW2のメンバーがそれを実証しているように。

 

今年はちょっと地味・・・
ピットウォーク中の78号車



 さて、長かったPITウォークの時間もあっという間に過ぎ、オフィシャルが吹く笛に促されて大勢の観客達が名残惜しそうにPITレーンから退去していきます。いよいよ、今回の岡山400kmレースも決勝スタートの瞬間を迎えます。

 果たして、サーキットに詰め掛けた大勢のレースファン、そして、サーキットから離れた場所で私達の活動を応援してくださる方々に、チームテスタスポーツと78号車が勝ち取った予選順位や決勝レースでの走りはどのように映っていったのでしょうか・・・。

 その辺りをぜひ、決勝のレースレポートで感じ取っていただければと思います。

 

 




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