スーパー耐久シリーズ2001 第6戦

TI 400km RACE


9月8日(土)〜9日(日) TIサーキット英田(岡山県)




 スーパー耐久2001年シリーズも、はや5戦を消化して終盤戦に突入。残すはTI(岡山県)、SUGO(宮城県)、富士(静岡県)の3戦のみとなりました。

 クラス区分の変更が実施された今シーズンですが、中でももっとも興味深い戦いを展開しているのが、我らがRX−7の属する
「クラス3」といえるでしょう。
 昨年からの予選の速さに一層磨きがかかり、しばしばクラス2のマシンを凌駕、時にはクラス1のGT−Rまでも脅かす「激速マシン」RX−7ですが、その速さとは裏腹に、航続距離の短さから、多くの場合、S耐のレース距離では給油PITイン回数がライバルより多くなるという大きなハンデを抱えています。

 
昨年までのプレリュードに代わり、今年からRX−7のライバルとなったのは、2クラスからクラス3へ編入してきたBMW M3とシルビア。この2台は、RX−7に対して燃費面でアドバンテージを持つだけでなく、一発の速さでも決して侮ることはできず、予想通りRX−7勢にとって大きな脅威となっているのです。

 シーズン序盤から上位入賞を並べ、シリーズポイントを積み上げてきたWAKO’S BMW M3を、十勝24時間レースの優勝でようやく一歩突き放した感のあるBPビスコガンマRX−7。昨年、まさかのエンジントラブルでノーポイントに沈んだこのTIラウンドでの雪辱を果たし、残り2戦を優位に進めるために、一気にポイント差を広げにかかりたいところです。

 今回のTI戦、クラス3のエントリー台数は今シーズン最多となる8台。WAKO’S BMW M3ジャラーナTGCシルビアが顔を揃え、迎え撃つRX−7勢は、今回が初参戦となるWW2 RX−7を加えて全6台という陣容です。



<フリー走行>


 
ドライで迎えた土曜日朝のフリー走行では、C−WEST アドバンRX−7が42秒台で堂々のTOPタイムをマーク。
 
シリーズチャンピオン争いを演じている注目の2台は、BPビスコガンマRX−7が2番手、対するWAKO’S BMW M3は僅差で3番手に続きました。ここではジャラーナTGCシルビアもBMWに匹敵するタイムを叩き出しており、決勝レースの展開次第では十分にクラス優勝を狙えるポテンシャルがあることを窺わせました。

 
今回初登場のWW2 RX−7は、Power MagiC RX−7に次ぐ7番手。鈴鹿以来の登場となるSS.ROYAL RX−7はセッション終了間際にやっとコースイン、本格的なアタックタイムを刻むことはできませんでした。
フリー走行<クラス3結果>
1.#15 C−WEST アドバンRX−7 1'42.296 ― 
2.#33 BPビスコガンマRX−7 1'43.683 +1.387
3.#27 WAKO’S BMW M3 1'44.047 +1.751
4.#31 ジャラーナTGCシルビア 1'44.212 +1.916
5.#14 KAGEISENエクシーザRX−7 1'45.014 +2.718
6.#71 Power MagiC RX−7 1'46.347 +4.051
7.#78 WW2 RX−7 1'47.144 +4.848
8.#18 SS.ROYAL RX−7 1'56.016 +13.720




<予選>

 
こと予選に限っていえば、今年のS耐・クラス3にRX−7の脅威となるマシンは存在しないと言ってもよいでしょう。

 ここTIでもその図式に変化は全く見られませんでしたが、やはり何といっても圧巻は、
#33のBPビスコガンマRX−7でした。
 14時30分に開始された公式予選、各クラスほとんど全てのクルマがコースインした後で#33は満を持して登場。一発のみのアタックを見事に決め、レコードタイムを一気に1秒も更新する
1分39秒876でクラス3のポールポジションを奪取。予選の周回数を必要最小限に留めるという余裕の展開で、クラス1の3台のGT−Rに次ぐ総合4番手をGetしました。

 
1秒7ほど遅れたクラス2番手には、好調のC−WESTアドバンRX−7。そして3番手には42秒台のPower MagiC RX−7。43秒台には3台のクルマがひしめく展開で、4番手のジャラーナTGCシルビア、5番手のKAGEISENエクシーザRX−7と続き、クラス6番手となったのがWAKO’S BMW M3。クラストップのBPビスコガンマRX−7とのタイム差は4秒弱ですが、総合24位グリッドからでは前方に19台ものクルマが挟まれているという状況で、1回と予想される給油PITインの前後の長い長い各スティントを、想定したペースでいかに安定して走り切れるかが焦点となりそうです。

 クラス7・8番手にはSS.ROYAL RX−7WW2 RX−7が45秒台で続いて、地元広島発の2チームが、総合28位・30位という前後グリッドで決勝に進むことになりました。
(註:その後WW2 RX−7はエンジンを換装したため、最後尾スタートが決定)



 

 

第6戦・TI 公式予選結果

1位(C1-1) #23 トトムFUJITSUBO・GTR  1'37.410 R

2位(C1-2) #1 FALKEN GT−R  1'38.781 R

3位(C1-3) #24 JASレインボーGTR ADVAN  1'38.920

4位(C3-1) #33 BPビスコガンマRX−7  1'39.876 R

位(C2-1) #11 三菱PUMAランサーEVOZ  1'40.355

6位(C2-2) #26 エンドレスアドバンGMSランサー  1'41.303

7位(C3-2) #15 C−WEST アドバンRX−7  1'41.546

8位(NP-1) #25 ADVAN ALTEZZA  1'41.762 R

9位(NP-2) #10 エンドレスアドバンアルテッツア  1'42.227 R

10位(C2-3) #12 VALDI・PUMA EVOZ  1'42.265

11位(C2-4) #30 RSオガワADVANランサー  1'42.304

12位(C2-5) #20 RSオガワADVANランサー  1'42.741

13位(NP-3) #37 ゼロフォーR ALTEZZA  1'42.765 R

14位(C1-4) #19 JMC・ADVAN・GT−R  1'42.882

15位(C3-3) #71 Power MagiC RX−7  1'42.970

16位(C4-1) #39 C−WEST S2000  1'43.014 R

 

17位(NP-4) #38 JICクリスタルアルテッツア  1'43.098

18位(C2-6) #21 KUMHO ECSTA ランサー  1'43.235

 

19位(C2-7) #2 アイフェルダンロップインプレッサ  1'43.273

20位(C3-4) #31 ジャラーナTGCシルビア  1'43.356

 

21位(NP-5) #4 REDLINE ALTEZZA  1'43.383

22位(NP-6) #36 MAZIORA ALTEZZA  1'43.391

 

23位(C3-5) #14 KAGEISENエクシーザRX−7  1'43.593

24位(C3-6) #27 WAKO’S BMW M3  1'43.786

 

25位(C4-2) #66 SPEED ED S2000  1'44.158 R

26位(C4-3) #95 SPOON S2000 ED  1'44.243 R

 

27位(NP-7) #96 グラッドネッツ大分アルテッツア  1'44.675

28位(C3-7) #18 SS.ROYAL RX−7  1'45.303

29位(C2-8) #6 セコハン市場・ファルケンEVO  1'45.480

30位(C3-8) #78 WW2 RX−7  1'45.876

31位(NP-8) #67 SB寿ADVANアルテッツア  1'46.121

32位(NP-9) #35 INGING CELICA  1'46.241

 

33位(C4-4) #54 ADVAN BPアンクルインテR  1'46.322

34位(NP-10) #56 ALFA 156ツインスパーク  1'46.347

 

35位(C4-5) #69 F−BEAT ED YH S2000  1'47.083

36位(C4-6) #9 JCSラムズMAX・CIVIC  1'47.275

 

37位(NP-11) #65 ALFA 156ツインスパーク  1'47.526

38位(C4-7) #28 WAKO’S ADVANブリック  1'47.809

 

39位(C4-8) #16京都デザインファルケンセリカ  1'54.554

 

 

 



<決勝>

 9月9日(日)の天候は快晴。真夏を思わせるような暑さとなり、2001年スーパー耐久第6戦のTIラウンドは、ドライ路面での激しい戦いが予想されました。
 13時00分、いよいよスタート進行が開始。出場マシンはPITを離れて各々のグリッドポジションに向けてコースイン。3時間を超す長丁場の戦いへと挑むローリングスタートの瞬間を待ち受けます。


 

 そして13時26分、周回すること109周、約400km先のゴールを目指して、39台のマシンにグリーンフラッグが振り下ろされました。クリーンなスタートで大きな混乱もなく、総合1位から3位までは3台のGT−Rが予選順位を保ったままで、各車は序盤の争いへと突入していきました。



<20LAP経過時点>13:56

 スタートから約30分、クラス3の順位は、#33・BPビスコガンマRX−7が、2クラスTOPの#11・三菱PUMAランサーを背後に従えての堂々たる走りで総合4位をキープ。その後ろには#26・エンドレスランサーをパスした#15・C−WEST アドバンRX−7が総合6位で追走。この2台のRX−7は1分43秒台というハイペースで周回しており、クラス3勢では一歩抜け出した存在です。
 間に数台のアルテッツア、ランサー勢を挟んでこの2台を追うのは、スタート直後に大きくポジションアップを果たした
#31・ジャラーナTGCシルビアで、総合12位を快走中。#71・Power MagiC RX−7もその直後の総合13位で追走し、ラップタイムは45〜46秒台といったところです。

 
注目の#27・WAKO’S BMW M3は総合24位をキープしているものの、コーナー出口でのマシンの挙動が見るからに不安定で、ラップタイムも精彩を欠く48秒台。燃料が軽くなるにつれ尻上がりにペースを上げる普段の展開に持ち込めるかは全く不明です。逆に総合27位の#18・SS.ROYAL RX−7は快調そのもので、コンスタントに47秒台をキープ。先行するマシンを毎周着実に追い詰めていく、果敢な走りを見せていました。

 一方、慣らしも不十分なスペアエンジンで臨むこととなった#78・WW2 RX−7は、49〜51秒台のペースで総合35位を走行。前方のクルマを追い詰めると水温が上がってしまうため、スタートドライバーの新宅選手も我慢の走りが続きます。序盤にはクラス4のCIVICに追いすがられる場面もありましたが、その後はなんとか引き離して単独走行の様相です。
 後方では、序盤のコースアウトで出遅れた#14・KAGEISENエクシーザRX−7が、総合37位からの追い上げを開始しています。



<65LAP経過時点>15:13

 スタートから2時間ほど経過した午後3時過ぎ、TIサーキットは時折日が陰るものの雨の気配はありません。109周のレースは折り返し地点を通過し、後半の戦いに突入していました。

 
健闘を見せていた#31・ジャラーナTGCシルビアが45周目で戦列を去り、クラス3は7台のマシンがコース上を周回中。RX−7勢は給油PITインで総合順位を少し下げたものの、#33・BPビスコガンマRX−7#15・C−WEST アドバンRX−7が同LAPで、依然総合7位・8位の好位置をキープ。
 途中、燃料漏れのマイナートラブルに見舞われ、PITで貴重な数周を失った
#71・Power MagiC RX−7に代わって、#18・SS.ROYAL RX−7が堅実なレース展開でクラス3位に浮上。梶岡選手から伊藤隆文選手に交代した後も、ポジションを守り抜く走りを続けています。
 これとは対象的に、依然ペースの上がらない
#27・WAKO’S BMW M3は、クラス5位ながら総合33位と低迷、クラスTOPのBPビスコガンマRX−7からは9LAP差を付けられるという苦しい展開に。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆

 序盤から水温上昇に悩まされ続ける#78・WW2 RX−7は、予定外のPITインもあって、#14・KAGEISENエクシーザRX−7についに先行を許し、総合36位前後を走行。50秒前後のLAPペースで労っているスペアエンジンは決して快調とは言い難く、次第にそのサウンドを曇らせていきました。
 14時35分、2度目のPITインで給油を行ない、ドライバーは新宅選手から伊藤弘史選手に交代。


 伊藤選手はコースインすると、78号車のレース中のベストLAPとなる1分48秒台の好タイムをマーク。果敢な走りに怒濤の追い上げも期待されましたが、異変が起きたのは48周目過ぎ。
 PITウォールのサインマンの「帰って来ない!」との大声に、慌ててテント内のモニターにかじり付くスタッフ。何回かの画面の切り替えを経て一瞬映し出されたものは、マイクナイトコーナーでコースアウトした78号車らしきクルマの影・・・。しかし、矢継ぎ早に切り替わる画面を暫し注視していると、マシンはどうやら動きを止めてはおらず、少しずつ移動しているように見えました。

 結局、マシンにダメージはなかったものの、サンドトラップ奥からのコース復帰に手間取ってしまい、その後の緊急PITインを経て再度コースインした時点で、クラス6位の#14に対して4LAP遅れという位置にまで後退してしまいました。

無事にコース復帰するもエンジンが次第に・・・
#78・伊藤選手の緊急PITイン(15:07)




<83LAP経過時点>15:55

 
70周過ぎ、クラスTOPの#33・BPビスコガンマRX−7が突如、エンジン不調に見舞われ48秒台にペースダウン。ついにクラス3のTOPには、45秒台で快走する#15・C−WEST アドバンRX−7が躍進。フリー走行での好調さそのままの素晴らしい走りを、決勝レースでも十分に披露し続けています。総合での順位も6位に。
 
クラス2位に転落したBPビスコガンマRX−7ですが、#27・WAKO’S BMW M3に対しては7LAPのリードを保っており、#15の背後でこのまま2位キープの走りに徹することも予想されました。

 熾烈だったのは、その2台から約4LAP遅れで展開されているクラス3位争い。スタートからノントラブルの快走で総合22位をひた走る#18・SS.ROYAL RX−7と、猛烈な追い上げを見せる#71・Power MagiC RX−7がついに同LAPに。地元レースでの表彰台獲得へ向けて必死に逃げる#18の新田選手に、トラブルを解消した一昨年のチャンピオンマシン・#71が、容赦なく襲い掛かっていきました。

 
47秒台のペースを取り戻した#27・WAKO’S BMW M3を挟んで、クラス6位には#14・KAGEISENエクシーザRX−7。しかし、ここへ来てトラブルを抱え込んでしまったのか、55秒台前後にペースダウンしての周回です。

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 #78・WW2 RX−7はついにエンジン不調を来たしてしまい、傍から見ても息も絶え絶えの状態に。再びステアリングを握った新宅選手は完走狙いの走りに切り換え、2分を超えるスローペースで、鈍いエキゾーズトノートを奏でながら我慢の周回を重ねるほかありませんでした。
 しかし、僅か一週間前に初走行したばかりのマシンでの「初出場・初完走」は、私達の最低の目標ラインではあるけれど、皆の力を結集して勝ち取った偉大な成果として残ってくれるはず・・・。PITスタッフは祈るような思いで残りの周回数をカウントしていきました。




<ゴール>16:35

 
109周・400kmの争いは#1・FALKEN GT−Rの見事な逆転優勝で幕が下ろされ、スタートした38台の車両のうちじつに35台までが、斜陽のメインストレートにて無事にチェッカーフラッグを受けました。

 クラス3の車両は、優勝した
#15・C−WEST アドバンRX−7以下7台が完走を果たし、ポイントリーダーの#33・BPビスコガンマRX−7は勝利こそ逃したものの、クラス5位に終わった#27・WAKO’S BMW M3に対して、リードを16ポイントまで広げることに成功しました。


★総合21位(101周)
#71・PowerMagiC RX−7

★総合6位(106周)
#15・C−WESTアドバンRX−7

★総合29位(97周)
#27・WAKO’S BMW M3

★総合9位(105周)
#15・BPビスコガンマRX−7

★総合30位(96周)
#14・KAGEISENエクシーザRX−7

★総合23位(100周)
#18・SS.ROYAL RX−7

★総合35位(85周)
#78・WW2 RX−7

 このポイント差「16」とは、次戦SUGOで#33・BPビスコガンマRX−7が優勝を飾れば、ライバル#27・WAKO’S BMW M3の動向にかかわらず、最終戦FUJIを待たずに自力で3年連続のチャンピオンを獲得できることを意味しています。
 こうして#33が圧倒的優勢に立てた背景には、トラブルに見舞われながら手堅く2位でまとめたチャンピオンチーム・Ideaプロジェクトの頑張りもさることながら、惜しくも表彰台は逃したものの、BMWを抑えてクラス4位に食い込んでみせた
#18・SS.ROYAL RX−7の健闘があり、結果的に貴重な援護射撃となったことは明らかです。
 
素晴らしいレース展開でベストの結果を叩き出したSS.ROYALチームにとって、今年のTI400kmは忘れられない会心のレースとなったに違いありません。スタンドの観客にとっても、18号車が見せた力強い走りはきっと印象に残ったことでしょう。
 今回はリア周りの化粧直しに伴い、2年越しのWW2ステッカーは18号車のボディから姿を消してしまいましたが、これからもSS.ロイヤルチームには声援を送っていきたいと思います。

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 WW2 RX−7のチェッカーシーンは16時36分。最後はヘッドライトの片方が半開きと、まさに満身創痍の状態でゴールラインを通過。右サイドには接触による凹みを受けながら、109周レースの70%、規定周回数の77周をかろうじてクリアする綱渡りのゴールでした。
 本調子とは程遠い状態のスペアエンジンを騙し騙し、時に1分48秒台という素晴らしいベストタイムを刻んでチームに希望を与えながら、何とか完走まで漕ぎ着けた両ドライバー、新宅選手と伊藤選手には、心から大きな拍手を贈りたいと思います。


ゴールした新宅選手を迎える伊藤選手&スタッフ


 
マシンバラエティの豊かなクラス3で、スポット参戦で結果が残せないチームもいる中、チームテスタスポーツが全くの初参戦ながら、トラブルを乗り越えてクラス7位のチェッカーを受け、着実に4ポイントを獲得したという事実は、チームやドライバー、そしてアツイ声援を送った関係者にとって、次なるレースや来シーズンに向けての大きな自信となったに違いありません。

 チームの次なる目標は、ライバルと競い合って上位入賞を勝ち取ること、そしてWW2の目標は、さらに多くの方々に私達の活動をアピールして同士の輪を広げることでしょう。

 「いつになっても、みんなでレースをエンジョイしていたいんだよね」という、新宅選手の言葉を胸に刻みながら、私達は次戦FUJIへの挑戦を誓ったのでした。