MAZDA 787B

ル・マンのユーノディエールが2つのシケインによって3分割され、ナロートレッドマシン・787は方向転換を強いられ、そのボディワーク形状は徹底的な風洞実験により、強力なダウンフォースを得られるタイプに変更される。また、解析によってシャシー剛性の向上対策を施す一方で、サスペンションジオメトリの見直しや、カーボン製ブレーキローターの初採用とそれに伴なうホイールの18インチ化とブレーキダクトの改良など、細部にわたるモディファイを受けた。こうして生まれた787Bは、恐るべきコーナリングマシンへと変貌を遂げた。
700馬力を発生する4ローター・R26Bは、エンジンマネージメントを煮詰め、信頼性と燃費を向上させている。2分割アペックスシールを採用。鋳造品のローターハウジングをX線撮影で検査するなど、構成パーツの品質管理も徹底した。
FIAによるSWCへの新レギュレーション導入によって、翌92年からロータリーエンジンの締出しが決定していたその最後の年に、過去13回にも及ぶル・マン挑戦の集大成となる総合優勝を勝ち取った。
これは、サルテ・サーキットを362周走り切り、2位のジャガーに2周の差を付ける堂々の勝利だった。レース終盤に万全を期してドライブシャフト交換を敢行した18号車も6位に入賞し華を添えている。
日本車史上初、そしてRE初のル・マン制覇という偉業は瞬く間に全世界を駆け巡り、大きな歓喜と祝福に包まれた。その後8年が経過した99年現在もこの勝利は依然として日本車唯一となっている。
<エンジン>
R26B 654cc×4ローター 700ps/9000rpm,
62kgm/6500rpm
<戦績>
1991 ル・マン24時間レース
No.18 - 予選23位/決勝6位
No.55 - 予選19位/決勝1位

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