<旧車シリーズ 815>


DAIHATSU SKD7型


 
戦前から業界のリーダー的存在であったダイハツは、1950年代中盤に入ると、積極的にオート3輪の高級化・高性能化を推し進めた。プレス鋼板を多用した新キャビンの採用、水冷式エンジンの搭載、積載量の増大などで4輪トラックとの格差は着実に縮められていった。
 軽量クラスの中心となる1トン積み車では、1955年発売の単気筒SCB型/2気筒SCE型から2灯式のヘッドライトを採用、方向指示器もウィンカー式となり、外観イメージが一新された。翌1956年には、SCE型のエンジンが空冷V型2気筒・1135ccから水冷V型2気筒・1005ccへ換装されてSDF型へ進化するが、一方で単気筒エンジンのSCB型は、空冷単気筒のまま排気量を794ccから854ccへ拡大したSKD型へと移行した。最高出力は22psから25psへアップした。ボディサイドに半ドアが装着されたのもちょうどこの頃である。
 その後もオート3輪の高性能化の波は止まることなく、1957年には格下の750kg積みも単気筒エンジンを捨てて2気筒化されるに至り、この1トン積みも同年、丸ハンドルを採用した新世代のRKF型へとバトンタッチするのである。


 
このSKD型は、四半世紀にわたり続いた単気筒ダイハツ号の最終版にあたるモデルです。全てが剥き出しだった初代HB型と比べれば、豪華なフロントカウルをまとってルックスこそかなりモダンになりましたが、完全独立キャビンへ移行する直前の過渡的モデルとあって、バーハンドル機構を含めてシャシーは基本的に旧型のままであり、正直なところ、驚くほどの進化の跡は感じられません。左のサイドドア横にちらっと見える補助席あたりが、そんな「懐かしさ」を静かに物語っている感じがします。

推定年式:1957
撮影時期:2000年10月
撮影場所:大分県湯布院町川上 九州自動車歴史館にて