<旧車シリーズ 806>


DAIHATSU SK型


 
発電機や船舶用ディーゼル発動機などの動力機関を開発していた大阪の発動機製造鰍ヘ、昭和に入りオート3輪用エンジンの製造に乗り出したが、エンジン単体供給のビジネスは成立せず、完成車の開発に着手することになった。1931年には初の市販モデルHB型を販売開始。その改良版のHD型ではシャフトドライブ+ディファレンシャルギアを用いた4輪車並みの駆動方式を採用、既存メーカーとの技術の違いを見せ付け、瞬く間にトップメーカーへのし上がった。
 終戦後は被災した大阪工場に代わり池田工場でオート3輪の製造を本格再開した。当時は単気筒675cc/750ccの500kg積みモデルが主力だったが、年々オート3輪の大型化が図られ、1950年にはついに4サイクルV型2気筒1005ccエンジンを搭載する750kg積みのSSH型が登場、以降も拡大路線を突き進むことになる。その中にあって、1951年に登場したSK型は、従来型の単気筒750ccエンジンを搭載する500kg積み標準車で、最高出力は15psほどであった。
 ダイハツ工業株式会社へ社名を変更したのもちょうどこの頃であった。


 
1950年代はオート3輪にもフロントカウルや幌屋根が付き始め、戦前型のイメージが一新されていく時代ですが、このSK型はまだその時代の波を被っておらず、極めてトラディショナルなスタイルをしています。このタイプのオート3輪は、こと開放感ではロードスターをも寄せ付けない「オープン2シーター」だと言えますが、やはり快適性には雲泥の差がありそうですね。いずれにせよ、街ゆく人の注目の的になることには変わりありませんが…。

推定年式:1952
撮影時期:1989年3月
撮影場所:大分県湯布院町 九州自動車歴史館にて