<旧車シリーズ 624>


TOYOPET TOYOACE (SKB)


 1954年、トヨタ自動車工業が「トラックの国民車」との謳い文句で送り出した小型トラックが、トヨペット・ライトトラック(SKB型)である。この1トン積みセミキャブオーバーには1956年、一般公募によって「トヨエース」という名称が与えられた。
 このライトトラックの成り立ちは、既存のSK型トラックのシャシーに、これまた既存のS型・水冷直列4気筒サイドバルブの995ccエンジンを搭載したもので、トヨタ車体が開発したキャビンを被せている。ライトトラックは1.5トン積のトヨペット・トラックの弟分にあたり、内装も大胆に簡素化するなど、実用本位の廉価仕様トラックという意味合いが強かった。標準車の他に、高床荷台、パネルバン、ライトバン、ダブルキャブ等のバリエーションを備えていた。
 オート3輪全盛の時代に登場してきたライトトラックは、その後毎年のように政策的な値下げを行なった結果、標準車の価格は発売当初の62.5万円から、なんと46.5万円まで引き下げられた。この廉価な4輪トラックの登場がきっかけとなり、オート3輪は急速に小型トラックの主役の座から引き摺り下ろされることになった。


 
この初代トヨエースのキャビンデザインを眺めていると、セミボンネット風の特徴的なシルエットが、その後何代にもわたって引き継がれていたことに気付きます。その起源が昭和29年のSKB型とくれば、歴代トヨエースのスタイルがどこかクラシカルな印象を持ち合わせていたことも十分頷けますね。
 現車には、ライトトラック特有の左右2分割式のフロントガラスや、アポロ式の方向指示器が見られないので、初代トヨエースの最終型に近いモデルと思われます。


推定年式:1958
撮影時期:1990年3月
撮影場所:山口県徳山市糀町 クラシックカーイベント会場にて