<旧車シリーズ 613>


SUZULIGHT CARRY (FB)


 
1955年にスズライトで軽自動車業界に進出した鈴木自動車工業鰍ェ、本格的な軽トラックとして1961年に登場させたのがスズライトキャリィ(FB型)である。
 エンジンは新開発の2サイクル空冷直列2気筒359ccのFB型で、スクエア(61×61.5mm)なストロークが特徴で、ツインキャブレターによって最高出力21ps/最大トルク3.2kgmの高性能を発揮した。キャリィはこのFB型エンジンをシート下に傾斜させて搭載し、かつスズライトと同様の前輪駆動方式を採用することで、乗員の足元および荷台に広々とした空間を作り上げることに成功している。シャシーは本格トラックらしくラダーフレームで、その上に載せるキャビンは荷台と一体化されていた。トランスミッションは前進4段で、最大積載時(350kg)の最高速度を76km/hとしている。
 1963年のマイナーチェンジではフロントグリルがスチール製となり、シンプルだったフロントマスクに豪華さを加えた。


 
キャブオーバー型トラックのイメージがすっかり定着しているキャリィですが、そのルーツを辿っていくと、このようなユニークなスタイルのトラックに行き着きます。当時、メーカーはエンジン搭載位置から「セミキャブオーバー」と表現していたようですが、ボンネットを突き出したスタイルと「CARRY」というネーミングの組み合わせは少々違和感を感じてしまいますね。
 フルキャブタイプのL30型が登場するのは、このFBがモデルチェンジを受けL20型となった翌年の1966年のことです。


推定年式:1964
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて