<旧車シリーズ 404>


PUBLICA  VAN 1000 Dx(KP36V−D)


 かつての国民車構想に沿って誕生した大衆車パブリカは、1969年にフルモデルチェンジを受け、「ハイウェイのカモシカ」のキャッチフレーズの二代目パブリカとなった。この二代目は1クラス上の大衆車・カローラのコンポーネンツを積極的に活用することで、初代のメカニズムを一新しながら355千円〜という低価格帯を維持し、トヨタの小型貨物車のボトムラインをしっかりと引き継いだ。
 最大積載量300kgのパブリカバンは、初代から引き継いだ空冷水平対向2気筒の790ccエンジン(2U-C型)に、カローラのエンジンをベースに新設計した水冷直列4気筒の993ccエンジン(2K型)を加えた2種類のパワーユニットを用意していた。新エンジンは排気量が200ccほど勝るが、最高出力は従来型の40psに対し58ps、最高速度は同115km/hに対して135km/hと、その性能差は歴然としていた。1970年秋にはマイナーチェンジを受け、凹型形状のラジエーターグリルを持つ新フェイスとなる。
 この二代目から、セダン系ではダイハツ(コンソルテ)との姉妹車関係が築かれたが、商用車系ではこの試みは実施されなかった。


 初代よりは随分地味な印象の二代目のパブリカバンですが、この前期型はとくに稀少な存在のようで、私は殆んど撮影の機会に恵まれず、この個体が唯一の撮影記録となっています。なにしろ、同じ二代目の後期型はもちろんのこと、まだ初代の後期型の方が遥かに見る機会が多かったほどですから・・・。そんな稀少な個体を、自宅から僅か数十メートルの有料駐車場で偶然発見するのだから不思議なものです。外出時にはいつもカメラを忘れなかった平生の心掛けも良かったですね。

推定年式:1969
撮影時期:1983年1月
撮影場所:山口県徳山市千代田町にて