<旧車シリーズ 108>


TOYOPET CROWN 1900Dx (RS31)


 1955年(昭和30年)は国産乗用車の幕開けの年となった。ダットサン110やトヨペットマスター、そしてクラウンといった本格的な乗用モデルが相次いで発売されたためである。なかでもクラウン(RS型)は、マスターがトラックとシャシーを共用したのに対し、専用の新開発シャシーを用意した本格的な乗用モデルだった。エンジンは水冷直列4気筒1488ccのR型を搭載した。12月に追加されたデラックスでは、二分割だったフロントウィンドウが一枚モノの曲面ガラスとなる。1958年にはリアウィンドウも一枚モノとし、フロントグリルやテールフィン形状を変更したRS20/21型が発売される。
 そして1960年、小型車枠の拡大とともに、それまで輸出専用だった1897ccの3R型エンジンを国内投入、1900デラックス(RS31型)を発売した。最高出力90psのパワフルなエンジンにより、最高速度は110km/hから140km/hへ大幅にアップした。1900デラックスは、継続販売された1500に対し、より豪華なメッシュタイプのフロントグリルを採用している。

 観音開きのドアが有名な初代クラウンですが、私にとっては今も昔も、自動車博物館や旧車イベントでしかお目にかかれない稀少な存在です。それもそのはず、RS型の誕生はじつに半世紀も前の古い出来事なのです。しかし、このクラウンは上記の積極的な商品改良はもちろん、ディーゼルエンジン車やAT車などのバリエーション拡大にも意欲的で、さらには当初から米国輸出を想定するなど、初の本格的乗用車にかけるトヨタの並々ならぬ意気込みがヒシヒシと伝わってきます。

推定年式:1961
撮影時期:1988年7月
撮影場所:福岡県福岡市 クラシックカーフェスティバル会場にて