文字の快楽



 秀隆は昼休みに会社を抜け出して本屋に出かけ、本を一冊買ってきた。
 それほど厚くはないがやたらに重い。知らない作家の知らない小説だった。タイ
トルは『文字の快楽』とある。何となく装丁が気に入って、中身を確かめもせずに
つい買ってしまったのだ。そういうことは年に何度かある。
 彼は仕事を終えて帰宅すると、さっそくビールを飲みながら読みはじめた。
 ところがほんの数ページ読んだだけで彼は早くも退屈しはじめてきた。ただ日常
的な事柄を第三者的な視点からえんえんと書き綴っているだけなのだ。つまり、現
実にそこらじゅうで起こっているような事物風景をそのままベタに書いているだけ
なのである。フラグメント化して再構成するという程度の加工すらなされていない。
ところどころで妙に勿体をつけた書き方をしているのだが、何が言いたくてわざわ
ざそんな気取った文章にしているのか意図がよくわからない。もっとはっきり言っ
てしまえば、まったくの無駄としか思えない。
もちろん、同じように日常の現実を書いた小説にも大傑作は存在する。しかしそ
れは、文章自体がこのうえもなく美しくてそれだけでも充分に堪能できる場合や、
もしくは普通の人が気づかないような意外な視点から現実を捉えなおしていわば再
構築をおこない、読者の眼から鱗をごろごろと落とすようなものである場合に限ら
れるのである。しかるにこの『文字の快楽』とかいう小説・・・小説としか言いよ
うがないのだろうなあ・・・には、明らかにそんな要素は皆無なのだ。
 「何だこれは」ついに彼は本を机の上に放り出し、ビールをがぶがぶ飲んでベッ
ドの上に引っくり返った。「くそ。無駄遣いしちまった」
 そのまま彼はすうっと浅い眠りの中に吸い込まれていった。
 しばらくして、彼は口の中が妙にざらついているのに気づいた。
 しまったまた口を開けたままで寝てしまったのか、ああでもまだ夢の中のような
気がするな早く起きて口を閉じないとなあなどとぼんやり考えていると、そのざら
つきが突然、口から食道の方へと移動をはじめた。
 彼は仰天して飛び起きようとしたが、恐怖のためか身体がまるでベッドに貼りつ
けられたかの如く硬直し、身じろぎひとつできなかった。口を閉じることも、瞼を
開けることもできないのだ。これがもしや金縛りというものなのか。彼は閉じた瞼
の内側で黒目を半分裏返しつつ呻き声をあげた。
 何かが彼の身体の中に入り込んできていた。無数の小さな粒のようなものがさら
さらと枕元に押し寄せている気配があり、それが彼の頬をのぼり口を通ってゆるや
かに体内へと流れ込んでいるのだ。彼の胃が侵入したものによって次第に満たされ
ていくのがわかる。痛みはまったくなかった。そのうちにそれは口だけでなく鼻や
耳からも侵入をはじめた。彼は必死に抵抗しようとしたが顔筋はまるで意のままに
ならず、それはやすやすと彼の中に入り込んだ。あいかわらず苦痛はなかった。い
や、逆にその流れが肉体の内部へとすべり込んでいくたびに、ぬらりとした快感が
走るようになってきた。次第に快感は大きくなり、身体の内側の感覚が急激に頭の
中を占領していった。それは粘膜による触覚のみで作られた世界だった。「ああ」
「ああ」ペニスが拡大する快楽に対して反応をはじめた。しかし同時に、真っ白に
なりかけた意識の表皮ではかすかに警報が鳴っていた。
「異物が入っているのだ」
「異物が入っているのだ」
「危険ではないのか」
「害悪を与えるものかも知れない」
「危険だ」
 その声に、ほとんど押し潰されていた理性がかろうじて反応した。一瞬、現実の
感覚がすうっと近くなり、その時に顎の周囲や首筋の筋肉が固くこわばって痛みを
持っていることに気づいた。痛みが意識の中に流れ込み、それが引き金となって、
固く握りしめた両手の痺れやこむら返り寸前のふくらはぎの痛みの感覚がだんだん
と蘇ってきた。体中にこもっていた力の大きさに彼は少し驚いた。そして板のよう
に張り詰めていた横隔膜から一気に力が抜け、大量の二酸化炭素が肺の血管の一本
一本の先から絞り出された。
 モノクロームの意識に色彩が戻ってきた。
「は」
 彼は目を覚まし、布団を蹴り飛ばして飛び起きた。ぐるりと首を回し手足を振っ
てから部屋の中を見まわしてみたが、彼はそこに何一つ変化を見出すことができな
かった。

 その日以来、秀隆はたびたび同じような夢を見た。いや、夢と呼んでしまうには
それはあまりにも生々しかった。起床後もその残留感覚が尾を引き、しばしば長時
間にわたって彼を悩ませた。
 さらに日が経つにつれて、残った感覚がいったん消えてから突如として再び襲っ
てきたりもするようになった。最初にその発作に襲われたのは、土曜日に神保町を
歩いている時だった。その瞬間、彼のペニスは素晴らしい立ち上がりを見せ、爆発
的な勃起力を示した。彼は咄嗟にズボンのポケットに両手を深く突っ込んで膨らま
せ、猫背気味になって擦り足で三省堂に飛び込んだ。彼のペニスは歩くことにより
下着にこすりつけられてますます猛りたち、男子トイレにたどりついた時にはもは
や爆発寸前、悩ましげな表情で身を捩りつつ個室が空くのを待つその姿は大いに他
の客たちの注目を浴びてしまった。誰も店員や警察に通報しなかったらしいこと、
また彼の知り合いがその場にひとりも居合わせなかったことは不幸中の幸いであっ
た。
 しかし、まもなくその発作は勤務中にも起きるようになり、そのたびに彼はトイ
レに駆け込んで適切な処置を施さねばならなくなった。
 彼は本気で悩みはじめた。

次の休みの日、彼は白っぽく粉の吹いた顔で、一週間分の洗濯物を片付けた。ご
うんごうんという単調なモーターの音と渦を巻く水面のために、ともすれば眠りの
闇へと引きずり込まれそうになりながら、彼は黙々と洗濯を続けた。
 何度目かに洗濯物を洗濯機に放り込もうとして、彼はふとブリーフの一枚に何か
がくっついているのに気がついた。
「おや」
 彼は手を止めてもう一度目を凝らしてみた。黒い、ごしゃごしゃした虫のような
ものがブリーフの内側にへばり付いている。しかしよくよく見るとそれは虫ではな
かった。
「糞」だった。
 糞ではない。「糞」という小さな小さな文字がついているのだ。しかもきちんと
した明朝体である。字画の間はきれいに隙間が切られており、輪郭もなめらかであ
る。何かに印刷したものを切り抜いたものではないように思える。もしやインスタ
ント・レタリングのシートから剥がれ落ちたのかとも思ったが、英数字やひらがな・
片仮名ならともかく、こんなややこしい漢字のためのインスタント・レタリングな
どあるとは思えなかったし、よしんば存在するとしても彼はそんなシートを一度も
使ったことはなく、会社や自宅など身のまわりでも使っている者は誰もいないはず
だった。
疑問符を頭の中に充満させながら、彼はそのブリーフを洗濯機に放り込んだ。

 月曜日になり、秀隆は会社に行くために家を出た。彼は鞄の中に、装丁に魅かれ
て買った日以来ずっと机の上に放り出したままになっていたあの『文字の快楽』を
入れておいた。いちおう最後までは読み通してみようと思いなおしたのだ。それで
最後までつまらなければ、さっさと古本屋に売ってしまえばよい。
 地下鉄に乗り込むと、いつも通りに車内はかなり混んでいた。たまたま運よく座
れた場合はともかく、ふつう朝の車内では本を取り出して読めるスペースなどまず
ない。したがって、本を読むのはいつも帰りの電車の中と決まっていた。
 しばらく手摺りにつかまって揺られているうちに、袖口から何かが入り込み、服
の内側を這いのぼってくるのを感じた。彼はびくんと体を痙攣させた。
「くそ。またか」
それはすぐに足元からも侵入を開始した。海綿体は次第に膨張をはじめ、彼はい
つもどおりに空いている手をズボンのポケットに突っ込んで膨らませ、ペニスの勃
起を周囲に悟られないようにした。
 そのまましっかりと目を閉じ、早く次の駅に着かないかと必死に耐えていると、
突然傍らでかすかに「ひ」とかすれた声がした。
 眉間に皺を寄せたまま両目を薄く開けて声のしたほうを窺うと、すぐ隣に立って
いる女の子が目を大きく見開いて彼の鞄を見つめていた。彼女の瞳ははっきりと恐
怖の光を湛えていた。
 彼は瞳だけを動かして視線を自分の鞄へと移した。
そして息を呑んだ。
 鞄の中から無数の黒い粒のようなものが這い出し、一つの流れは袖口から、もう
一つの流れはズボンを伝い降りてその裾から、ゆるりゆるりと服の内側へと入り込
んでいたのだ。
 両腕の皮膚が瞬時にざあっと粟立った。彼は喉元まで突き上げて来た悲鳴を辛う
じて押さえ込み、ちょうど電車が駅に到着したのでドアが開くや否や車内から飛び
出した。そこは神保町駅だった。彼はエスカレーターを駆け上がるとトイレの個室
に飛び込んで鍵を掛け、上着を脱いでばたんばたんと何度も振りおろした。音が響
くたびに黒いものがばらばらと落ち、それが床に堆積してざわざわと蠢いた。彼は
脂汗を流しながら懸命にその黒いものを足で便器の中へ掻き落とし、水で流した。
それから彼はズボンも脱ぎ、靴下も脱ぎ、ワイシャツも脱ぎ、とうとう下着まです
べて脱いでしまうと、渾身の力を込めて気が違ったようにそれらを振り回した。
 彼は荒い息をつきながら傍らの鞄に目をやった。黒いものの流出は止まっている。
彼は震える指先で鞄を開け、中に入っていた本を手に取り、そして思い切ってぱっ
とページを開いた。
「うう」彼は呻いた。
 整然と並んでいるはずの活字はぐちゃぐちゃと乱れ、しかもその量も明らかに減
少していた。彼は次々とページを繰った。すると他のページも同じような状態であ
ることがわかった。ほとんど活字が残っていないページさえあった。
 尾締骨の辺りがじいんと痺れ、冷たいものが脊髄を伝って彼の背中を駆け上がっ
てくるのがはっきりと感じられた。
「わああ」
彼はたまらず絶叫し、本を個室の床に力いっぱい叩きつけた。
 それは床で跳ね返り、個室の壁に激しく当たって大きな音を立てた。そしてぺら
りと大きく口を開けると、彼の眼を見てにや、と笑った。
「わっ」
 彼は裸のままトイレを飛び出した。出会い頭に茶髪の女子高生をひとり突き飛ば
し、葱臭いサラリーマンやポマード臭い老人や垢臭い学生たちを何人も蹴倒し踏み
越え薙ぎ倒して階段目指し泡を吹いて走った。
 気配を感じて後ろを振り返ると、黒い波が音もなく彼を追って来るのがはっきり
と見えた。倒れた女子高生やサラリーマンたちが次々と波に飲み込まれていく。彼
の目の前で突然ブランド・ショップの巨大な紙袋を提げた若い女性がべったりと座
り込んだ。
 彼は階段を駆け上がって地上に出た。「健康と幸せを」「手かざしを」「手相の
勉強を」などと猫撫で声で寄ってくる連中を片っ端から蹴散らし、とにかく駅から
離れるべくしゃにむに走りはじめた。
 その時、上から風を切るような音が聞こえてきた。そして一瞬足を止めた彼の視
界を遮り、巨大な何ものかがすぐ眼の前に轟音とともに落下した。
 それは『imidasV99』という文字だった。頭上を見ると、ビルの上の広
告の一部が剥げて欠落している。
彼の下半身はさらに冷えた。
「助けてくれ」
 再び走りだした彼を目がけていろいろなものが降り注ぎはじめた。第一勧業銀行
と東京相和銀行と富士銀行がどかどかどか、と束になって襲いかかってくるのを間
一髪でかわすと、集英社文庫と講談社文庫とカッパノベルスと新潮と諸君!と文藝
春秋が右前方四十五度の方向から飛んできた。阿波踊りとサンバとマイケル・ジョ
ーダンをごちゃ混ぜにしたようなやけくそな動きでそれらの攻撃を何とかすり抜け
ると、今度は真正面から東京堂とdiskunionとVictoriaが物凄い
スピードですっ飛んで来るのが見えた。彼は咄嗟にその場に伏せた。それらは彼の
上を通り越すと、ちょうど背後にいたチラシ配りの女の子の頭にまともに激突して
木っ端微塵となり、破片はスノーボードと中古LPとサイン本の山となってその女
の子を生き埋めにした。そこに一見ヒップな学生や汗臭いジャズマニアや黴臭い古
本鬼畜たちが群がって獲物の奪い合いをはじめ、彼らの手は中に埋もれ恍惚の表情
を浮かべて気絶している彼女の衣服までもびりびりに破き丸裸にしてしまった。そ
れから大量のエロ本マニアがやって来たが、彼らは元来臆病であり実際に彼女を犯
す度胸のある者は誰もおらず、結局は全員が輪になっていっせいにオナニーし彼女
にぶっかけるのみにとどまった。
 次いで四方からさまざまな電波が飛んできて人々の脳に飛び込んだ。それらは眼
に見える文字の連なりとして飛来してきた。VOAを受信した初老の男は即座に直
立不動となって声を張り上げ『星条旗よ永遠なれ』を歌い始めたが、すぐにロシア
からのジャミングが「ぐわおぐわお」と文字にならぬ喚き声をあげつつ追いかけて
きて彼の頭に突っ込んだためにその音程はたちまち無茶苦茶となり、しまいには単
なるけだものの咆哮へと変わって泡を吹き引っくり返った。また民放TVを数チャ
ンネル分まとめて受信した女子学生はマイクと台本を持って走り回りつつ「離婚」
「交際」「食べ放題の店」などと甲高い下品な声で絶叫し、そのまま側にある九階
建てのビルの屋上まで駆けのぼると「さあ実験してみましょう」とひと声叫んで腰
のロープとともに降下した結果、ロープが金具からはずれて路上に落ち腰の骨を折
る重傷を負った。さらに電波には本物の「電磁波」だけではなくいわゆる妄想のた
ぐいも混じっていた。「隣の奥さんが自分の悪口を言い触らしている」「あなたは
神の子です」「おまえはKGB旧幹部の命を受けて送り込まれたスパイだ」「あな
たは天皇の落とし胤だ」「広末涼子は君に恋している」「草薙君はあなたの婚約者
だ」「おまえは空を飛べる」電波はそれぞれ自分を受信してくれる人間を瞬時に見
つけだして彼らの脳に殺到し、受信した者はただちに電波の命令する行動を開始し
た。電波どうしの衝突も発生し、それによって文字の連なりに狂いが生じたり、複
数の文字列の混交が起こったり、真っ向から激突して爆発し大量の文字を周囲に撒
き散らしたりした。あたりに絶叫と喧嘩と演説と尾行と盗聴と射精と排便が溢れか
えり、それらの発する無数の音が反響し混じりあって脳髄の皺の奥を掻きむしるが
如き不快なノイズと化して、堪えがたい悪臭とともに周囲に充満した。
 彼は空を飛ぼうとしてばらばらと降って来る連中を避けつつジグザグに走り続け
ていたが、ある大きな建物の前を通過しようとした時にその建物がふっと揺れたよ
うに感じた。
 反射的に思わず足が止まった瞬間、ガラスの自動ドアをぶち破って膨大な量の文
字が轟音とともにに噴き出してきた。
「あ」
 逃げる余裕はなかった。
 黒い大波をまともに食らって地面に叩きつけられた彼の視界の隅を「三省堂書店」
という文字がかすめた。しかしすぐにそれはざわざわと蠢く黒いものに遮られて見
えなくなってしまった。
 黒い文字たちは彼の全身を覆い、撫でさすり、やわらかく愛撫した。そしていつ
の間にか彼の身体は地上から浮き上がり、文字の海の中に揺られ漂っていた。顔を
わずかに曲げて周囲を見まわすと、文字たちはすべて黒いわけではなく、ところど
ころに赤や青や金色のものも混じっているようだった。
そのうち、文字たちは鼻や口から僕の体内へと侵入しはじめた。波に抗おうとす
る意識が急激に遠ざかっていく。もはやそれは彼にとって「異物」ではなかった。
溺死する時もこういう感じなのだろうか、と彼は薄れはじめた意識の中でふと考え
る。                      
 侵入した文字は耳や鼻を通って喉の奥に落ち、口から入ったそれと合流して胃の
中に堆積していく。あるいは瞼の裏側を這いガラス体に沿って奥深く入り込み、視
神経を伝ってなおも奥へと向かってゆるゆると滑っていく。彼のペニスははっきり
と勃起を始めていた。そのペニスにも文字は這いのぼってきた。尿道口を難なく見
つけ出すとそれはすばやく侵入を開始した。さらにそれは肛門にも回ってきて、躊
躇することなくずるりずるりと中へ入り込みはじめた。今や身体じゅうのすべての
穴からそれは体内に流れ込み続け、ペニスはますます仰角を向いて怒張した。やが
て目から入った部隊が脳髄に達したのか、より直接的な刺激が走りはじめた。だし
ぬけに舌が飛び出し、凄まじい速さで視界が回り、腹の中で内臓が踊り顔じゅうの
筋肉が勝手に暴れ回り手足や首がぐるんぐるんと出鱈目に回転をはじめた。文字は
頭蓋骨の内側を着実に頭頂部に向けてよじ登っているのだ。快感が一気に腿を駆け
おり、そしてじわじわと膝、脛へと這い下りて行く。頭の中は無数の花火。陰嚢の
中で激しく上下する松果体。キナ臭いものが鼻の奥を突き抜けて行く。
 それからいったいどのくらいの時間が経ったのか。それは五時間であったかも知
れないし実はほんの五分に過ぎなかったのかも知れない。すでに彼の全身の筋肉は、
脳髄からの無秩序かつ強烈な信号の嵐による酷使のために肉離れを起こしずたずた
になってしまっていた。ペニスには大量の血液が充満し続け、局部的に血圧が異常
に上昇したせいであちこちで血管が破裂し、全体的に青黒く腫れあがっていた。
 そしてついに文字は頭頂部に達し、感覚野の最も奥の部分を襲った。その瞬間、
彼の意識は激しく破裂して万華鏡の如く飛び散り、大量の熱が下半身から一気に抜
けていった。
 眼筋がちぎれ焦点が出鱈目になってしまったままの彼の眼に、ペニスから噴き出
す真っ黒な精液がぼんやりと映った。そし
             て そ 
            の    光
                  景  も
                   間 も  な
                 く
                    闇  の 中  へ
                         
                      と
                   吸
                          い
         込 ま
                          れ
                      て
                            い  っ

                    た