トラブル・イズ・ビジネスの人々 まあ、なんだな、たいしたこともなく人生がどんどん行き過ぎると、こんなにうまくいっていいんだろうかてな心配が出てくるわけである。 ここが人間の脳の不思議である。 うまくいってるんだからそれでOKであるわけであるが、それではどうも満足しないのである。 何か波乱がないと、脳が満足しないのである。 まあ、それで、小説や映画なんてものが存在してるわけであるが、実際の人生ではその小説や映画のように、年がら年中あらん限りの波乱万丈なんてことはなくて、たいていの人は人生に何度か思わぬ災難や歓喜に遭遇するようにできているのである。 これが映画のように10分おきに波乱万丈天変地異に遭遇しては、メシ食ってるひまもなくなってしまうので、まあ、実際の人生では災難は忘れた頃にやってくるわけである。 ところがこの波乱揉め事を忘れるひまもなく毎日お仕事としているのがけーさつ官のみなさんであるのである。 もう、けーさつ官の皆さんにとっては、この世は波乱だらけであるのである。 朝から晩まで波乱が続くのであるが、まあ、それがお仕事であるので、本人にとっては、ラーメン屋さんがラーメン作ってるのと大差ないのかもしれないのである。 なにしろ、うちの近所の駐在さんでも、万引き、ひったくり、カツアゲ、強盗、空き巣、酔っぱらい、車が側溝にはまった、隣がうるさい、夫婦げんかで殴られた、かわいい犬のポンタちゃんがいなくなった、なんてことで何かあると駐在さんが呼ばれて揉め事を処理なされるわけである。 まあ、あたしも含めて、たいていの人はできるだけ揉め事がないように生活しているわけであるが、けーさつ官が行くところ揉め事ありであるのである。 まさにトラブル・イズ・ビジネスであるのである。 まあ、このけーさつ官と同様に、消防士、弁護士、うちのごく近所にお住まいの某大親分なんてのも、同様にトラブル・イズ・ビジネスで、まあ、つまり逆にいうと、災難、揉め事がないとお仕事にならないご商売でもあるわけである。 これ、あたしみたいに揉め事がめんどくさくて嫌いな人間にはどれも無理な職業であるわけであるが、まあ、それを苦にしないというのか、やっぱりその災難や揉め事の処理がお好きな性格であるわけである。 まあ、あたしの知人にも「揉め事が起きたら呼んでくれ」という、揉め事大好き人間がいるので、まあ、人間の趣味嗜好は実に多彩であるのである。 つまり、人間の見ている世界はそれぞれ違っていて、同じことが起きていても、それがある人にとっては大災難であり、ある人にとっては日常の普通の出来事あるいはわくわくする大好きな状況であるわけである。 だから、仕事を選ぶときには収入や見かけで選ばずに、自分が「好きなことは何か」ということをよーく考えて選ばないといけないわけであるが、これが、実際にはやってみないとわからないというところに問題があるのである。 それで、やってみたらばものすごく嫌いな仕事でも、それなりに熟練してこなすことができるようになると、今更、転職して最初からやり直すのも嫌であるので、結局どなたも一生、好きでもない職業について、その鬱憤(うっぷん)ばらしに夜は居酒屋で酒飲んでゴタクを並べてオダを上げる毎日になるわけである。 あたしの人生のモットーのひとつは、「仕事は1日2時間以上はノーグッド」であるのである。 もちろん、そうはいってもそうもいかないのが人生であるのである。 てなことでまとまったかね。 |