象気功
気功の穴
象気功

本日の御神託
歌手のK山さんの不思議な話



本日の予定としては 銀行に行って、うちのアパートの1階に入っているテナント いわゆる店子で 外車を主に扱う中古車ディーラーからふんだくった、いや もとい、 集金した賃貸料つまり家賃を税理士さんの言い付け通りに口座に入金するのである。

以降、この店子をK山さんと呼ぶ。

まあ 仮名の場合は とりあえず 頭文字に山をつけておけばいいんじゃなかろうかというあれこれである。

このくだりはいらんだろ。

かしこまりました。

K山さんは、当初は支払いが銀行振り込みであったのであるが、キャッシュカードが古くなって傷んで使えなくなったということで、最近は毎月「金を取りに来てくれ」と言うのである。

K山さんは 中古車ディーラーであるが、作詞・作曲・歌手もやっているという五十過ぎの不思議なおじさんである。

賃貸料として頂いたその金は、どうみても車はたいして動いてないので、本人曰く 横浜のライブハウスという名の飲み屋で演歌を歌ったりして、そのギャラがそれなりであるというあれこれである。

K山さんは どなたもご存じの某有名作曲家の甥と言い張っているが、どうも それは本当らしく、芸名はその作曲家の名字を使っているのである。

その某有名作曲家は あまりにも有名で 頭文字でも書くと全てがあれこれしてしまうのでとても言えたもんではないが、もちろんK山さんはYouTubeにもアカウントがあって 発売したCD等の歌や曲が 本人出演の動画入りであれこれ公開されているのである。

聴いてみると、まあ 場末の歌手とはいえ、いわゆるプロであるので声も歌もそれなりである。

ただ 曲があたしみたいな天才ジャズピアニストにしてみれば、非常につまらんとしか言いようもないあれこれである。

誰が天才ジャズピアニストだ。

いいじゃん、言わせてよ~、誰も言ってくれないんだから。

ううう、くだらな過ぎて泣きそうになってくる。

まあ、あたしはつまらんと言っても、人の好みは千差万別であるので、もしかしたら好きな人がいるかもしれないのは言うまでもないことであるが、いずれにしても まあ 絶対に 今後 この人の曲がミリオンセラーになるとはとても思えない あれこれである。


そんな人であるから、 あたし同様に自堕落で大抵のことは面倒くさがって、 新しいキャッシュカードを作りに行くのもめんどくさいという心情はよくわかるのである。

でも 家賃だけは遅れることもなくきちんと毎月支払うので、基本的には繊細でいい人間であると思うが、本人曰く 扱う客がヤバいので、どうしても口の利き方が乱暴になるということで、まあ、繊細さをカバーするために肩肘を張っているせいか、時々性格が豹変して、近所をうろうろしている酒乱の変なおじさんと大声で怒鳴りあったりしているのである。

まあ それでもきちんと家賃を払ってもらえば、どんな性格も家賃のうちであるので よろしいわけである。

K山さんの自宅は別にあるが、ほとんど店に寝泊まりしていて、 時間的な生活パターンがあたしとかぶっていて、朝の3時頃にあたしが象気功ご執筆のかたわら 集積所にリサイクルゴミを出したりしていると、 売り物の車のボンネットを開けて何やら 大活躍しているのである。

おそらく夜の酒場の歌手家業のまま朝まで起きていて、昼間寝るということなのか、大体 行動パターンは超朝方で、昼間はほとんど見かけたことはないのである。

それで本人の愛車は1970年代の黒と黄色の塗装のど派手なスポーツタイプのアメ車で、昨今のガソリン高を考えると、おそらくとんでもない不経済な燃費であると思うが、その車で買い物に行くのかなんなのか あちこちお出かけになるのである。

それならキャッシュカードを再発行しに銀行に行けばいいと思うが、それはしないのである。

稼ぐだけ稼いで全部使ってしまうという よくあるパターンのアーティストであると言えば聞こえはいいが、どうも 大体が 歌手をなりわいにしようなんていう人間は、あたし同様に脳が壊れているらしく、 奥さんと離婚したのか 逃げられたのかは定かでないが、奥さんも子供もいる様子がなくて、店には猫が1匹いるだけである。

深く入り込むとろくなことはないので 店子の皆さんについては、以前 ネタにした神主の娘の S山さんという不思議なおばちゃんの不動産屋さん任せで、あたしはできるだけ個人的な話はしないようにしているので 生活その他の詳細は不明である。

それであたしが集金に行くと、だいたいがギターを持って大声で真剣に歌の練習中である。

まあ おそらく ライブハウスという名の飲み屋で夜ごと行うコンサートのリハーサルみたいなもんであると思うが、完全に歌の世界に入っていて あたしが声をかけてもまったく気がつかないのである。

以前に、その歌の練習中に泥棒のお兄ちゃん2人が店の周囲をウロウロしていることに気がつかずに、真昼間に、数百万円という値段の高額なヴィンテージバイク2台をかっぱらわれてしまったのである。

その様子を これもうちの店子の近所の修理屋さんが見ていたのであるが、まさか真昼間に泥棒だとは思わなかったそうである。

あたしも若かりし頃はK山さんと同様のことをしていて、知人が経営している某戸塚のクラブで歌ったりして、本気で歌手になろうと思っていたのであるが、ある日突然「どんなに歌が上手くても 声が大したことがなければ歌手は無理」という 神のお告げがあって、「ううむ、神のお告げだけに実にごもっともなご意見である」ということで納得して 速やかに歌手は断念したのである。

K山さんは未だに諦めきれずに 頑張っているわけであるが、どう考えても このまま鳴かず飛ばずで終わるのは目に見えているのである。

傍目八目とはよく行ったもので、人間は自分のことになると全くわからないわけである。

だから早く目を覚まして 本業に勤しんでもらいたいと心から願うが、収入的にはどちらが本業かわからんし、もちろん大きなお世話である。

(2023・10・02)


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