象気功
気功の穴
象気功


本日の御神託
家庭菜園の思いもよらぬ話



あたしら 物書きは 古くは鉛筆あるいは万年筆で朝も昼もなく書くことによる書痙が問題であったわけである。

ところが これが時代が進んで キーボードの打ち過ぎによる腱鞘炎が あたしら物書きの大問題にとって代わったわけである。

ご存知の通り、昨今は何でもかんでも キーボードで打ち込むようになっているわけである。

あたしも十数年から実際に筆記具を持って文字を書くことが稀になって、仕事上のデータ処理や連絡や契約書や計算書等の書き込みやあて名書きも含めて、さらに象気功やどうでもいいブログのために キーボードを休みなく 日々打ち込んでいるわけである。

それも どんどん早打ちになって、 話すのと同じぐらいのスピードで打つようになり、 さらにそれが加速して、バグが出るようになって、「もっとゆっくり打ってください」というようなメッセージがPCから出るようになってるぐらいである。

そしたら、ある日 右手の薬指を曲げるとカックンというようになったのである。

いわゆる ばね指である。

さらに両手指全体が肘からしびれて痛いのである。

それで、ネットで医療機関のホームページに行って、症状をあれこれ詳細に検証してみると どうも関節リウマチに該当するのである。

「ありゃありゃ これは理由はわからんがリウマチになってしまった」

と速攻で合点して、つまり早合点して、

「ううむ、 氣道経絡のことを知り尽くした象師匠といえども、やはり 餅は餅屋で、ここはひとつ リウマチ専門医に診てもらわなければならんだろう」

ということで、 早速 これもネットで調べて自宅から車で1時間ほど離れた リウマチ専門医のクリニックに行ったのである。

とにかく 象気功は医者が 第一である。

当たり前である。

象気功は当たり前のことしか言わないし当たり前のことしかしないのである。

神も仏も奇跡もちゃんちゃらおかしくて笑ってしまうというのが象師匠である。

つまりこのように 神仏を冒涜する不心得ものだから ばね指になってしまったわけである。

信者の皆さん、くれぐれも 神仏を軽んじてはいけません。

ばね指になってしまいます。

おいおい、神罰仏罰がばね指かよ。

言ってることとやってることがでたらめ支離滅裂であるが、それで何かいいことがあるかと言うと、あたしの場合、書くネタができたのである。

よかったよかった。

よかねーだろ。

ということで、リウマチ専門クリニックの駐車場に車を停めて待合室に行ってみると、ババアばかりである。

ただいま文中に 大変失礼な表現があったことを 心より深くお詫びいたします。

もとい、高齢女性のお年寄りが多いのである。

高齢女性のお年寄りもおかしいだろ。

わかったから先に行って。

かしこまりました。

天才気功師象師匠としては実に恥ずべきことに、あたしゃ リウマチの詳細については一般的知識以外に全く不見識であったのである。


しかし、今回の緊急事態のあれこれで ネットである程度の知識を得ていたとはいえ、このクリニックの待合室の状況を見るに及んで、どうも リウマチは男性よりも女性の方が多く罹患するらしいということが納得できたわけである。

何しろ あたしは天下の象師匠であるので、ここのところ数十年にわたって健康診断も受けたことがなく、病院に行ったことがないので、国民健康保険その他の保険料をただ払いである。

唯一 行ったのが 最近のお笑いネタのコロナワクチンの接種であるぐらいで、ばね指が奔出して、ようやく ここで元を取れるかもしれない事態が訪れたわけである。

よかったよかった。

だから、よかねーだろ。

そんな訳で、問診票なんかを書いて待っていると 診察室に呼ばれたのである。

それで、あたしの書いた問診票を見ていた五十代らしき白髪混じりの男性医師が、私の手指をこちょこちょと触って、パコパコとキーボードを打ちながら一言おっしゃったのである。

「 あー、これ、 リュウマチではありません、 単なる 腱鞘炎です」

いやいや、 血液検査とかレントゲンとかCTとか、もうちょっと詳しく調べてもらえんもんかね と思ったが、どう見てもアホ医者ではないので、 おかしな ツッコミはやめて聞いたのである。

「 原因は何でしょうか?」

すると、くるりと椅子を回してこちらを向いて、

「 あなた 家庭菜園はやりますか?」

思いもよらない意表をついた問診であるが、ズバリである。

コロナのおかげで某公共施設で開講していた気功教室もダンス教室も休業という名の廃業の昨今、生業が不動産賃貸業で日がな一日することもないあたしの主だった仕事は 言ってみれば無農薬自然農園の耕作あれこれである。

「はい 少し広めの畑を持っております」

「 最近多いんですよ、 家庭菜園をやってる人が 腱鞘炎で治療に来られるんですよ」

あたしはキーボードの打ち過ぎかピアノの弾きすぎかと思っていたので、あーらびっくりねの思わぬ展開である。

そう言われてみれば、なるほど、何しろ わが無農薬自然農園は200坪近い広さのちょっとした農家のようである上に、 基本が気功法と筋トレを兼ねた いわば健康法の一環であるので、草刈り機以外は、耕運機等の機材もなく、全て人力で、 鍬やスコップや鎌や生け花ばさみを持って手作業で行うのである。

あれこれ持ったり握ったり掘り起こしたり、チョキチョキと手の指を結んで開いて、確かに 長時間にわたって手の指を酷使しているのである。

「これは治りますか?」

「指を動かさないようにして、ほっとけば治りますよ」

リウマチではないせいか医師は興味なさそうに こともなげに言って、さらに続けて、

「 まあ、腱鞘炎は特に治す薬もない上に、治っても同じことをすればすぐ症状がぶり返すので厄介ですが、ひどくなった場合は腱鞘にできたコブを取る手術もあります」

と言われて、 特段の治療もなく、薬ももらえず、つまり、相手にされずに追い返されたのである。

ということで、「指を動かさずに ほっとけば治る」という医師の指示であるので、 農園は機材の購入でしのぐことにしたが、問題は、あたしは当分の間、キーボードを打つことができなくなってしまったことである。

これは作家として致命傷である。

誰が作家だ。

いいから先に行って。

かしこまりました。

あんたの文章は無駄が多すぎるんだよ。

うるせえな、とにかく先に行け。

かしこまりました。

それで 昨今、AI 音声認識による文字変換の方向にチェンジしたわけである。

それで、当初は あれこれ不慣れで面倒くさかったのであるが、慣れると別に何の問題もないので、 逆にここからキーボードに戻るのは 無理かもしれないのである。

もちろんこれはAI音声認識で書いているわけであるが、一昔前であれば 作家生命を断たれていたわけであるから、いやはや 人生はなるようになるもんである。

誰が作家だ。

(2023・09・09)


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