2004年4月29日上程
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雑感

国民年金未納問題について思う

 国民年金の未納閣僚問題,4月28日には,「未納3兄弟」に続いて,4閣僚及び民主党の菅直人代表に未納・未加入の期間があったことが明らかとされた。

 福田官房長官,年金掛け金を納めているかどうかはプライバシーだと言っていたのは,やはり自分が払っていなかったからなのか。今回未納が発覚した議員の中で一番態度が悪いと思う。

 一方,菅代表はあれだけ他人のことを責め立てておいて,自分自身にも未納期間があるということをあらかじめ調べておかなかったのだろうか?非常に不思議である。この一件で民主党の信用は地に墜ちた。民主党の信頼回復のためには菅さんが代表を辞任するしかないのではなかろうか。

 発覚後の態度は別として,一番違法性の高いのは21年間未加入であった中川経済産業大臣である。

 それにしても,閣僚や政務官(政務次官)になったときに自動的に共済年金に切り替えになるという説明を受けた,勘違いした,という弁明が数人からなされているが,それでは彼らは共済の掛け金をその間支払っていたのであろうか。未納期間は1,2か月ではなく,1年近くにも及んでいるのである。その間に1度でも給与明細などを見れば,本当に共済に入っているのかどうか,掛け金が給与から控除されているかどうかは一目瞭然のはずである。国家公務員の給与明細の控除額欄には長期掛金,すなわち共済年金分と,短期掛金すなわち健康保険分は分けて記載されているのだから。控除の有無を閣僚,政務次官在任中ずっとチェックしなかったというのは,重大な過失があると言われてもしかたがないだろう。

 しかし,そのようなチェックを行っていなかったということは,裏を返せば,年金掛金の未納や年金への未加入が,政治家生命にとってリスクをもたらすものとは考えられていなかったということである。政治家の年金に対する認識も大したことはないということである。

 政治家に対して年金未納問題の重要性を認識してもらうには,未納期間分の保険料については,議員年金の保険料から充てることとし,その分減った議員年金の掛金の納付分に応じた議員年金しかもらえないようにすればよいのではないだろうか。例えば,60万円の国民年金掛金の未納があったとすると,60万円を議員年金掛金の積み立て分を減らして国民年金掛金に充てる。議員年金掛金積立金が60万円減少したことに伴い,それに応じた掛金国庫負担分(国庫負担分は7割だから,60万円÷3×7=140万円分),国庫からの掛金給付も減少させる。そうすると議員を辞めたときの年金受給額も大幅に減少することになるので,議員が受けるダメージも大きくなるというわけである。

 まあ,このような未納問題は現在の年金制度のわかりにくさを反映したものであるということは,未納閣僚の言うとおりなのだろう。そうであるならば,この問題点についての議論をさらにつめるべきであって,その議論を行わずに現在上程されている年金制度改革法案をそのまま通すという与党の態度には問題があることは明らかである。法案は委員会に差し戻して更なる審議を行うべきである。または,参議院での議論を十分に尽くして,修正を加えた上で衆議院で再審議するべきだろう。

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