●ヒロイン好感度アンケート集計
Total result of the good feeling degree questionnaire

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拙ホームページ上にて実施させていただいたヒロイン好感度アンケートには多数の回答をいただき、ありがとうございました。とりあえず現時点での集計状況をまとめました。
(1997年7月28日現在・8月2日改訂)


(1)サンプル数
このアンケートは、宮崎作品におけるヒロインがどのように好感を持たれているかの傾向をつかむことを目指しております。したがって、全員に5をつけたような差異の出ない回答につきましては、そのお気持ちは分かるのですが今回の集計からは外させていただきました。また、データは性別と年齢別に集計いたしますので、この記載のない回答も集計に加えませんでした。その他、明らかな誤送信や重複して送られたものも省かせていただきましたので、集計の対象となる有効回答数は、(図1)のようになりました。

(図1)




(2)性別・年齢別内訳
回答いただいた性別、年齢別の詳細な内訳は(図2)のようになりました。
このアンケートは、インターネットを通じて回答を募っておりますので、男女の比率は当然ながら男性が圧倒的に多く、年齢層も比較的高くなると予想していました。しかし、全体の約3割を女性からの投票で占め、世代別にも10代後半圧が倒的多数を占める結果となりました。 ジブリ関連のホームページへのアクセスは、インターネットユーザーの平均よりも女性が多く、世代も若いということになろうかと思います。(なお、 「耳をすませば」ホームページに寄せられるメールは女性の割合が一層高く、約半数に達しています。)

また、年齢が下がるほど女性の割合の増加する傾向が見られました。10代前半の回答は、家族が使っているアドレスの記載や、未だ自分専用のアドレスをもっていない旨の記載が多く見られました。モデルケースとして、父親か兄弟が使っているパソコンを使ってはじめてインターネットに接続してみた中学生が、まずジブリ関係のホームページにアクセスしている…という風景が想像されます。
サンプル数は多いとはいえませんが、統計的な傾向として充分に留意可能であると思われます。

(図2)




(3)作品別内訳
今回のアンケートでは、対象となるジブリ作品の中で、最も気に入っている作品を一つだけ選ぶ形式をとりました。そのために、たった一つだけなんて選べない、という声が多数寄せられてしまい、大変申し訳なかったのですが、その分、"最も気に入っている作品"の傾向がより顕著に出たかと思います。

「もののけ姫」が公開中ということで最も支持を集めたほか、「ナウシカ」「ラピュタ」に支持が集中する結果となりました。これは、多数を占める10代が、多く「ナウシカ」「ラピュタ」を支持していることの反映にほかなりません。「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「耳をすませば」はふるいませんでした。
「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」は、今回のような"小選挙区的選択"のもとではほとんど支持されませんでした。高畑勲監督の作品も大変素晴らしいものがあるはずなのですが、熱烈に惹きつける要素に欠けるという結果が浮き彫りになった形です。(図3)

(図3)




(4)キャラクターの得点と標準偏差について

 それぞれの作品のヒロインに対し、好感度を5点から1点の範囲でつけてもらいました。その結果を男女別に集計して平均点と標準偏差を求めると、(図4)のようになりました。

※標準偏差について
100人が投票した結果、キャラクターAとBの平均点は共に3点でした。同点ですから、AとBは同じくらいの人気を持っているキャラクターということになります。本当でしょうか?
得票の内訳を見ると、Aには100人全員が3点を投票したのに対し、Bには50人が1点、50人が5点を投票していたことがわかりました。つまり、平均点が同じ3点でも、支持傾向は全く異なっていました。
すなわち、Aは全員から同じように支持されるキャラクターであるのに対し、Bは好き嫌いがはっきりと分かれるキャラクターだったのです。
この違いを区別するために、標準偏差という尺度が登場します。
標準偏差が小さければA型、大きければB型のキャラクターです。(標準偏差の詳細は専門書等をご覧下さい。)

(図4)

 この図を概観してみると、大ざっぱにいって次のような類型に分けられます。

(A)男女から高く支持されている ナウシカ・サン型
(B)女性より男性の支持が多い フィオ・雫型
(C)男性より女性の支持が多い メイ・節子型
(D)男女からあまり支持されない タエ子・里伽子型



 でも、ここで私たちはせっかく標準偏差という武器を手に入れたのですから、別の角度でこのグラフを見てみましょう。

 まず、一目見て分かるのは「女性の好みは、はっきりしている」ということです。男性の標準偏差が比較的ちちこましくまとまっているのに対し、女性のそれはダイナミックで起伏に富んでいます。特に、メイ、フィオ、雫の3人の標準偏差が、あたかも山脈を形成せんがごとく高くそびえています。すなわち、この3人は女性の間では大きく好き嫌いの分かれるキャラクターだといえます。換言すれば、女性は各キャラクターの性格を良く見極めていて、自分に共感できるキャラクターにはより高く、共感できないキャラクターにはより低い点数をつけているのでしょう。

これに対して、「男性は、かわいい女の子なら誰でもいい」という感じで点を入れるから、女性ほど好き嫌いの差が出ないのではないかと考えられます。

次に目立つのは、「女性は里伽子が嫌い」ということです。ナウシカとサンは高得点に張り付いていますから標準偏差が小さくなるこは当然としても、里伽子はそれに続く低さです。平均点が低く、標準偏差が小さいということは、すなわち女性は、里伽子を一致して嫌っているということになります。次に標準偏差が小さいキキは比較的高い平均点で、いわば「一致して好かれている」のと比べると、その格差が際だちます。気が強くて同性にもきつくあたる里伽子の性格が災いしているのでしょうか。
男性の標準偏差に目をやると、月島汐が同じパターンです。つまり、「男性は汐が嫌い」という傾向が見いだせます。汐のように非の打ち所のないキャラクターは、他にもたくさんいるはずですが、なまじ汐が現実感あふれる設定なので、こんな女なんてガールフレンドに出来るか、といった意識が働いているのかもしれません。私は個人的には好きなんですけどネ(笑)。





(5)キャラクターの好感度に関する相関について
今回のアンケートにおける最大のねらいは、作品を横断したかたちでの好感度を相関係数の形で算出し、どのような因子によって好感を持たれているかを推測することにあります。具体的には、年齢・性別・一番好きな作品など、属性別に一覧表を求めて比較検討します。

※相関係数について
荒っぽく解説すると以下のようになります。
あるファンのグループがナウシカに5点を入れればサンにも必ず5点を入れるとき、両者の好感度は完全に一致します。これを正の相関が最大であるといいます。
また、ナウシカに5点を入れれば里伽子には必ず1点を入れるとき、両者の好感度は完全に相反します。これを負の相関が最大であるといいます。
相関係数の最大値は+1、最小値は-1であり、0のとき両者の間に相関関係はないといいます。
キャラクターAとBの相関係数が高ければ、対象となったファンのグループからある共通の因子を持って好感を持たれていると判断できます。(相関係数の詳細は専門書等をご覧下さい。)


ここで、相関係数表の一例を挙げます。
最も好きな作品に「ナウシカ」をあげた人について、男女別に集計したのが(図5)(図6)です。
現在公開中の「もののけ姫」のキャラクターとの相関を比較してみると、男性にはクシャナとエボシの間に0.70と高い正の相関が見られます。逆に、女性には、ナウシカとサンの間に0.42と比較的高い正の相関が見られます。つまり、男性はクシャナに高い点数を与えるとエボシにも同時に高い点数を与える傾向が強く、女性はナウシカに高い点数を与えるとサンにも同時に高い点数を与える傾向があるといえます。


(図5)



(図6)


すなわち、男性と女性では、ヒロインの見方について以下のような違いがあるものと推定されます。

○男性の一覧表では、クシャナとエボシの標準偏差が広くて相関係数が高い。つまり、クシャナに惹かれていた人はエボシにも惹かれ、クシャナに惹かれていなかった人は、やはりエボシにも惹かれないということを示している。
すなわち、男性がクシャナとエボシを見る時のキーワードは、共通するキャラクター性である指導力・行動力・あるいは大人の女性の魅力であると推測される。このキーワードの好き嫌いが、キャラクターの得点に密接に関係している。そして、共通しないキャラクター性(お姫さまと成り上がりの遊女)はほとんど問題にされていないこともわかる。
なお、ナウシカとサンについては特に相関がないので、好みが分かれている。

○女性の一覧表では、ナウシカの平均点が4.9点と高く標準偏差も0.186と非常に狭いのに対して、サンの平均点は4.6点であり標準偏差は0.728とやや広い。相関係数は0.42と比較的高いので、女性はナウシカとサンに共通するヒロイン性に惹かれていることが推測される。
しかし、両者に共通しないキャラクター性、すなわちナウシカのもつお姫様の要素と、山犬に育てられたサンの境遇という要素を比較したとき、ナウシカが好きな女性は明らかにお姫様という要素の方に惹かれているということがわかる。しかし、同じお姫様でもナウシカとクシャナとの相関は特に見られないので、共通しない要素、すなわち"善人"キャラと"悪人"キャラに対する評価が交錯しているものと思われる。
なお、クシャナとエボシについては弱い正の相関しかないので、特に共通する好感的要素は見られない。
このような要領で比較していくと、どのようなファンの間でどんなキャラクターがどのように好感度を持たれているかの傾向を掴むことができます。



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データの最終的な集計・分析は時間を要すしますので、予めご了承下さい。なお、私は統計的手法に関しましては全くの素人です。より適切なデータ処理について忌憚のない意見や、ご指導・ご鞭撻を下さいますよう、よろしくお願い申しあげます。 E-Mail

※相関係数の一覧表は、特に専用ソフトウエアを使わず、ロータス1−2−3R5J上で作成した計算式にて算出いたしました。グラフおよび集計表も1−2−3R5Jからクリップボード経由でPhotoshop LEに取り込み、画像ファイルを作成しました。約500件のサンプルを処理するためのファイル容量は、相関係数作成に2.7MB、グラフ作成に1.4MBほど必要としました。
(いただいたデータは、アンケート集計意外の目的には利用いたしません。)






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