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ハウル
強い力を持っている魔法使い。27歳くらいとされている。かつてサリマンのもとで修行をしていたが、現在はサリマンのもとを離れて自由に生きている。ペンドラゴン、ジェンキンスという別の名前も持っているが、名前を使い分けるのは自由に生きていくために必要だからだという。
かつて、好奇心から荒れ地の魔女に近づいたことがあるが、その恐ろしさに気付いて逃げ出し、それからずっと追われている。若い娘の心臓を狙うと噂され、市民から恐れられているが、見栄っ張りで弱虫な一面も持ち合わせている。
90歳の姿に変えられたソフィが掃除婦と称して転がり込んでくるが、特に詮索することもなく受け入れ、一緒に生活を始める。
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ソフィ
ハッター帽子店の長女。18歳ながら、死んだ父から受け継いだ帽子店を切り盛りしている。清楚・清潔で、でかなりの美貌の持ち主であるが、本人は自分が美人でないと思い込んでいる。
ある日、ナンパな軍人にからまれているところをハウルに助けられるが、そのために荒れ地の魔女に目をつけられてしまい、呪いをかけられて90歳の老婆の姿にさせられてしまう。帽子店に居られないと悟ったソフィは、店を出てハウルの動く城を目指し、そこに転がり込んで掃除婦として働き始める。
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荒地の魔女
荒れ地に棲むという魔女。使う魔法は古いタイプとされているが、強力な魔法使いである。自分自身にも魔法をかけ、実際の年齢よりも若く見せかけているらしい。以前にハウルと接点があり、それ以来ハウルの心臓を狙って追い続けている。
荒地の魔女も、かつては王室付きの魔法使いであった。しかし、50年前に荒れ地に追放されてしまい、王室に復帰することを願い続けている。同じ王室付きの魔法使いであるサリマンに相当の対抗意識を持っていると言われる。
50年後、再び王宮に行く機会が訪れた。荒れ地の魔女は復活を遂げるのか?
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マルクル
ハウルの弟子。身寄りがなく、ハウルの動く城に住み込みで魔法の修行をしている。
老人の姿に変身する魔法をマスターし、ハウルを訪ねてくる住民や役人の応対をこなすところは一人前だが、食べ物の好き嫌いが激しく、食事のマナーもなっていない。ただ、これはマルクルの年齢を考えると仕方のないところであり、健気に働く姿は見る人の心を打たずにはいられない。
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カルシファー
カルシファーは、まことに愛すべきキャラクターであった。彼は自らを火の悪魔と名乗ってはいたが、もともとは流れ星の子であったらしい。地上に落ちれば死んでしまう運命にあった彼が生き長らえたのは、幼き日のハウルと契約を結んだからである。しかし、その契約のゆえ、彼は暖炉の中に幽閉され、城を動かしたりお風呂に入れるためのお湯を沸かしたりなど、いいようにこき使われる日々が待っていることを、その当時の彼は知る由もなかったのであった。
彼の性格はとことんひねくれており、意地悪で自分勝手で反抗的で、全くもってどうしようもない。だが、命令された仕事はきちんとこなすし、おだてられると素直に喜んでしまう調子の良い一面も見せてくれ、我々の心を癒してくれた。
契約が解けた時、彼はどこへ行ってしまうのか?我々は、カルシファーのことを永遠に忘れないだろう。
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カカシのカブ
カブ頭をした正体不明のカカシ。その正体は、ややこしい魔法をかけられた人間らしい。荒れ地の草むらでひっくりかえっていたところをソフィに助けられる。恩返しにとソフィのための杖を用意し、宿としてハウルの動く城を案内する。
愛するべき人からキスをされると魔法が解けることになっているが、物語の終盤までその機会は訪れない。ようやく魔法が解けたときには既に物語の大勢が決してしまった後という、不憫な宿命が待ちかまえている。
潜在的には主役を張れるほどの実力を秘めていながら、現実は引き立て役以下の役どころに甘んじてしまう、そんな哀しい星の下に生まれついたカブ。だが、それゆえに違いの分かるファンにはこよなく愛されており、それが唯一の救いなのかもしれない。
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サリマン
王室付き魔法使い。強力な魔法の力を持っていると同時に、王の摂政として、政治的にも強大な実権を握っている。戦争を始めたり終わらせたりする権限さえ持っているらしく、キングズベリーの王国はサリマンが動かしていると言っても過言ではない。
かつて、ハウルを弟子として迎え入れていたことがあり、現在もハウルの行く末を心配している。ハウルがかかっているという悪縁を絶ち切り、再び自分の元へ戻そうと考えているとも言われるが、真偽のほどは定かではない。
また、小姓(こしょう)と呼ばれる少年を幾人も侍らせて秘書のように使っているが、これが少年時代のハウルとそっくりであり、それを知った人は皆、「おかっぱ少年はサリマン先生の趣味ではないか」と邪推せずにはいられないほどである。
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ヒン
ナゾの人面犬。一見トロそうに見えるが、肝心なところでは素早く動ける身軽さを持ち合わせている。
サリマンに仕えているようだが、詳しいところはよく分からない。本物の犬なのか、それとも呪いをかけられた人間なのか、全く不明である(原作では、魔法で犬の姿にさせられた人間らしい)。どちらにせよ、彼の目つきは、彼が相当にひねくれた性格の持ち主であろうことを雄弁に物語っている。
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おたま人
サリマンの下っ端の下っ端。一応人間らしいが、自分に魔法をかけすぎて人間に戻れなくなってしまったなれの果てという説が有力である。
いかにも下っ端という雰囲気がムンムンしており、観客に一目で「こいつらは下っ端キャラだ」と理解してもらえる分かりやすいキャラクターである。映像作家を志す人にとって「下っ端キャラとはこういう格好でなければならない」というデザインのお手本であり、演出家を志す人にとって「下っ端キャラとはこういう使われ方をされなければならない」というシチュエーションのお手本である。実際、これを下っ端キャラと言わずして誰を下っ端キャラと言うべきか困ってしまうほど典型的な下っ端キャラ的デザインが施されており、飛行戦艦のお尻からプリプリッと射出される登場シーンからして下っ端的であり、大勢で群れながら主人公を追いかける姿も下っ端的であり、それなりに働きはしたが全く成果を挙げられないままスクリーン上から忘れ去られるフェードアウトの仕方も下っ端的である。もちろん、おたま人という安易なネーミングも抜かりなく下っ端的であり、まさしくこれ以上考えられないくらいの完全無欠な下っ端ぶりを見せてくれる。てゆうか、これほど完璧なまでに何から何まで下っ端の要素を満たしきったキャラも珍しいほどで、その意味では下っ端キャラの王道を堂々と歩んで
いる。下っ端キャラの中の下っ端キャラ。下っ端キャラの希望の星。下っ端キャラの勝ち犬(勝ちオタマ)。ああ、我らが愛すべきおたま人に幸あれかし。
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ゴム人間
荒れ地の魔女が操っている人間。服を着ていないゴム人間と、服を着て正装したゴム人間がいて、このイラストは正装した方のゴム人間である。前者は群れて主人公を追いかけたりする典型的な下っ端キャラだが、後者は荒れ地の魔女の乗ったカゴを抱えて走ったりするので、一応上級の下っ端キャラに属するものと思われる。ゴム人間は、とりあえず「人間」という名前がつけられているが、実際には上級の正装ゴム人間でさえ全く人間扱いされていない。それは、王宮前でサリマンの魔法によって力を奪われた時、荒れ地の魔女に踏みつけにされてしまったところからも分かる。ゴム人間は、数あるジブリキャラクターの中でも最も悲惨な扱い方をされているキャラクターのひとつであると言えるだろう。荒れ地の魔女が魔力を失った時、彼らは一体どうなってしまうのか気掛かりではあるが、そのように気にかけてくれる人が一人でもいるならば幸せであると言えるだろう。
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レティー
ソフィの妹。カフェ・チェザーリという店のチョコレート売場の看板娘。その愛くるしい瞳に見つめられた男性客は、みなレティに恋してしまうと噂されるほどである。実際、男性の買い物客のほとんどはレティを目当てに来ているらしく、わずかな時間でもレティが売場を離れようものなら「早く戻ってきてね!」の大合唱となってしまう。看板娘は本人も天職だと思っているらしく、ただ何となく帽子屋に勤めるソフィに「自分のやりたいことは自分で決めなきゃ」とアドバイスする。(ただし、原作版ではソフィの仕事もレティの仕事も母親が決めたことになっている。)ともあれ、姉妹とはいえ、ほとんど全ての点においてソフィとレティは正反対である。
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ナンパ兵隊
ソフィをナンパした不良兵隊。表通りに出れば美しい女性は幾らでもいるだろうに、どうしてわざわざ裏通りで待ち伏せしていたかはナゾである。ヒゲを蓄えた同僚とともに嫌がるソフィにしつこくからんだものの、ハウルの魔法でいいように退散させられてしまった。
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ハウルの叔父(想像図)★
ナゾに包まれた魔法使い。とはいうものの、神秘のヴェールに包まれているからナゾなのではなく、単に詳しい設定がなされていないから詳細不明なだけに過ぎない。分かっていることといえば、この叔父の影響を受けてハウルが魔法使いを目指すようになったらしいこと、ハウルに秘密の庭と水車小屋を遺して他界してしまったらしいことくらいであり、ほとんどいてもいなくても同じような、下っ端キャラよりも存在感の薄いキャラクターである。
だが、それは「ハウルの叔父はおたま人よりも下っ端」という意味では決してない。設定が設定なら、一つの長編作品の主役を張れるくらいの実力は充分に持っている。なにしろ、あのハウルの叔父である。その魅惑的なキャラクターをもって、さぞかし多数の女性の心を虜にしたに違いない。サリマンだって、一時はハウルの叔父に恋したとしても不思議ではあるまい。
このように、何を書いたら良いのか途方に暮れてしまうほど資料が少ないにも関わらず、ここまで長文の解説を引っ張ることが出来たのも、ひとえに彼が「ハウルの叔父」という、いったん気にし出すと気になって仕方ない絶妙なポジションをしっかり確保しているからであろう。願わくば、是非ともハウルの叔父が大活躍する番外編を見てみたいものである。それが「サリマンの初恋─ハウル叔父との運命の出会い─」とか「サリマンの封印された過去─ハウル叔父との宿命の破局─」とかいったタイトルであった日には、一体どんなおどろおどろしいエピソードの数々が爆陳されるのか注目せずにはいられない。さらには、ハウルの叔父と国王とは遠い親戚の関係であった・・・だが当人達は知る由もなかった・・・なぜ知る由もなかったかは知る由もない・・・などといった意外な真実までもが明らかにされるかも知れぬ。
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