ゆきこさんの歩み

1999年 84歳

腸閉塞で入院。入院を理解できないユキコさんのた
めに子供たちが交代で病院に泊まり込み。

しかし、寝たきりにはならず、奇跡の復活をする。

2000年 85歳

日にちの感覚が失われ、約束をすることが出来なく
なった。メモをしても、メモの存在を覚えることが
出来ない。

外出先からの帰り道が分らなくなり、近所の人に連
れて帰ってもらうことがしばしば。

2001年 86歳

義父の突然の死。ユキコさんパニックに陥る。

本格的在宅介護が始まった。

2002年 87歳

要介護度3 

3月  
週2回のデイサービスを利用し始める

10月  
ヘルパーさんを頼むことにするが、ユキコさん、追
い返すことたびたび。

2003年 88歳 4月  
遅ればせながら、ユキコさん脳の検査をする。アル
ツハイマーであると診断される。

なまじ、家事をしなくてはならないという義務感が
残っているため、放っておくと危険がいっぱい。
家電製品や調理器具をユキコさんの目から隠す。

2004年 89歳

排尿のコントロールが難しくなり、リハビリパンツ
を使い始める。大きい方の失敗も時々。

言葉がほとんど出なくなり、徐々にコミュニケー
ションがとれなくなる。

2005年 90歳 要介護度5

2月  
微熱が続くので個人病院に入院。大学病院に 転院
し、嚥下の可能性を検査するが、難しいという診断。
ついにベッドから起きられなくなってしまった。

5月  
介護療養型の病院へ

8月  
県外の病院へ転院。ほんの少しのつもりの入院だっ
たのに、今年の2月から数えてとうとう半年を過ぎ
てしまった。

2006年 91歳

4月  
ユキコさん、91歳の誕生日を病院で迎える。すで
に1年2ヶ月の歳月を病院で送ってきたわけだが、
鼻の管から栄養を摂取し、丈夫な心臓のおかげで
それなりに元気を保っているユキコさんである。

2007年 92歳 4月
入院生活は2年を経過した。今いる介護療養病床は
行き届いた施設で、義弟も今のところ大きな不満は
なさそう。リハビリの効果か、外界の音や動きに対
する反射的な反応はなかなか良好。

とはいっても、家族のことも分からないし、意思の
やりとりができるわけでもない。でも、このまま体
力が続く限り生きていかなくてはならないユキコさ
んにとっては却ってそのことが幸せ。