幻の単行本企画


佐藤和美


 幻の単行本企画に関してはあまり知られていないだろう話があります。
 手元に水木しげるの本があります。『死神大戦記全2巻』(学研)、発行日は2版昭和50年3月15日。この本は「日本の妖異」シリーズの第11巻、12巻として発行されました。『死神大戦記』の巻末に「日本の妖異」シリーズの紹介が載ってます。「なぞの伝説・古典に劇画で挑戦! 日本の妖異、いまよみがえる。」という全12巻(予定)のシリーズ物です。

 発行の予定は以下のとおりです。

 第1巻 「ゆきをんな」 宮田雪 作/真崎・守 画
 第2巻 「変化羅生門」 松本零士
 第3巻 「かぐや姫伝奇」 宮田雪 作/真崎・守 画
 第4巻 「妖花曼荼羅」 水野英子
 第5巻 「安珍・清姫恋炎上」 宮田雪 作/宮脇心太郎 画
 第6巻 「猫」 手塚治虫
 第7巻 「耳なし芳一」 宮田雪 作/真崎・守 画
 第8巻 「秘炎牡丹燈籠」 牧美也子
 第9巻 「砂絵雨月物語」 松本零士
 第10巻 「東海道四谷怪談」 水木しげる
 第11巻 「死神大戦記(上)」 水木しげる
 第12巻 「死神大戦記(下)」 水木しげる

 第6巻『猫』の内容はどのようなものだったのでしょうか。「なぞの伝説・古典に劇画で挑戦!」という趣旨と他のラインナップから私が想像するには、鍋島騒動のようなものだったのではないでしょうか。また『バンパイヤ第二部』に挿入されている江戸時代の話も連想されます。
(全12巻の内、何巻が発行されたのか、私は把握していません。『耳なし芳一』は実際には水木しげるが描いています。)

「手塚ファンmagazine」vol.203(2007年9月30日発行) 掲載
(2007・8・17)




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