日本語の発音PART2




上代日本語の母音について

まつまつ (2000/08/29 13:18)

 2カ月ぶりくらいの投稿になってしまいました。前回の投稿の時には米国に
長期出張中でしたが、先月から日本に戻っております。帰国してから、大野晋
「日本語の成立」を購入しようとしましたが、書店に在庫がなく、出版社にも
在庫僅少とのことで、入手できませんでした。手近の図書館を当たってみようか
と考えていますが、なかなか実行できずにいます。月刊「言語」の記事「上代
特殊仮名遣いと後置定冠詞」(安本美典)は、友人にコピーして貰って読みました。
橋本進吉「古代国語の音韻に就いて」は、web の青空文庫で読みました。
 さて、この「古代国語の音韻に就いて」を読んで疑問に思ったこと、また
(いかにも「日本語の成立」あたりに書いてありそうなことですが) 一つ思い
ついたこと、そのことに関して更に疑問に思ったことがあります。

「古代国語の音韻に就いて」を読んでの疑問:
 イ・エ段に甲乙二類の対立が発見されたのは、カ・ガ・ハ・バ行だけとあるが、
それ以外の行ではその後も発見されていないのか。また、一部の行にだけ発見
されるということは、橋本説の通り発音上の差が存在し、次第にその差が失われて
きたことの証拠と考えられると思うが、発音上の区別はなかったという説では、
どう説明しているのか。

思い付き:
 使役の助動詞「す」は四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付くが二段動詞には
付かず、二段動詞の未然形に付くのは「さす」であるが、古くは「す」が二段
動詞の未然形にもついたのではないか。例えば、上二段動詞「起く」の未然形
「起き(乙)」=「起こ(乙)い(甲)」なので、これに「す」が付いて、途中の
「い(甲)」が略されると (或は、「い(甲)」がないものが古形だったのかも)
「起こ(乙)す」となり、「起こす」が得られる。同様に、下二段動詞「明く」の
未然形「明け(乙)」=「明かい(甲)」に「す」が付いたものから「明かす」が
得られる。同類の規則的派生と考えられるものに、「過ぐ」→「過ごす」、
「落つ」→「落とす」、「怖づ」→「おどす」、「干(未然連用形が乙類なので
古くは上一段動詞「ひる」でなく上二段動詞「ふ」だったと考えられるとのこと)」
→「干す」、「滅ぶ」→「滅ぼす」、「降(お)る」→「降ろす」、「焦ぐ」→
「焦がす」、「果つ」→「果たす」、「出(い)づ」→「出(い)だす」、「覚む」
→「覚ます」、「燃ゆ」→「燃やす」、「晴る」→「晴らす」などがある。
 受け身・自発の助動詞「る」についても同様で、「起く」→「起こる」、
「上ぐ」→「上がる」などの規則的派生が考えられる。

思い付きに関する疑問 1.
 この思いつきは見当外れなのか。以下、見当外れではないとして、

思い付きに関する疑問 2.
 「い(甲)」は略されたのか、古形では元々なかったのか。

思い付きに関する疑問 3.
 上二段の「伸ぶ」と「懲る」に「す」を付けたものから得られるのは、それぞれ
「伸ぼす」と「懲ろす」の筈であるが、実際に存在するのは「伸ばす」と「懲らす」
である。下二段の「伸ぶ」と「懲る」が存在したのか。或は、別の理由によるのか。
また、上二段の「懲る」と「殺す」の間に関係はあるのか。

思い付きに関する疑問 4.
 上二段の「借る」及び下二段の「現はる」と「隠る」に「す」を付けたものから
得られるのは、それぞれ「かろす」、「現はらす」、「隠らす」の筈であるが、
実際に存在するのはそれぞれ「貸す」、「現はす」、「隠す」で、「ろ」や「ら」が
抜けている。

思い付きに関する疑問 5.
 「得(う)」に「る」を付けたものから得られるのは「ある」の筈であるが、
「得」と「有る」の間に関係はあるのか。

思い付きに関する疑問 6.
 「落つ」に「る」を付けたものから得られるのは「おとる」の筈であるが、
「落つ」と「劣る」の間に関係はあるのか。

思い付きに関する疑問 7.
 「教ふ」に「る」を付けたものから得られるのは「教はる」の筈であるが、
「教」の部分の読みが変化している。それは何故か。



上代日本語の母音について

まつまつ (2000/08/29 20:15)

> 「古代国語の音韻に就いて」を読んでの疑問:
>  イ・エ段に甲乙二類の対立が発見されたのは、カ・ガ・ハ・バ行だけとあるが、

 マが抜けてました。



RE:上代日本語の母音について

佐藤和美 (2000/08/30 09:59)

まつまつさんwrote
>大野晋「日本語の成立」を購入しようとしましたが、
>書店に在庫がなく、出版社にも在庫僅少とのことで、入手できませんでした。
「日本語の世界」全16巻は去年あたりから中公文庫でではじめてますね。
そのうちの一冊である大野晋「日本語の成立」もそのうちでると思います。

>一部の行にだけ発見されるということは、橋本説の通り発音上の差が存在し、
>次第にその差が失われてきたことの証拠と考えられると思うが、
>発音上の区別はなかったという説では、どう説明しているのか。

このへんは小泉保「縄文語の発見」(青土社)にまとめてあったので引用します。
上代特殊仮名遣での漢字の使い分けについて四つの説が出てました。

1.音声の違いが意味の区別に関係していたという見方。
(a)イ段、エ段、オ段にそれぞれ類似した二種の母音があった。
(b)イ段乙は中舌のイ、エ段乙は狭いエ、オ段乙は狭いオであった。
(c)イ段とエ段は子音における直音と拗音の違いによる。
2.甲乙音声の相違は語の中で占める位置によるもので、意味の区別には関係ない異音的なものである。

最後の説の意味がどうもよくわかりません。



Re:上代日本語の母音について

まつまつ (2000/08/30 23:54)

> 思い付きに関する疑問 4.
>  上二段の「借る」及び下二段の「現はる」と「隠る」に「す」を付けたものから
?
> 得られるのは、それぞれ「かろす」、「現はらす」、「隠らす」の筈であるが、
> 実際に存在するのはそれぞれ「貸す」、「現はす」、「隠す」で、「ろ」や
> 「ら」が抜けている。

 「足る」-「足す」も「借る」-「貸す」と同類ですが、関西弁では「借る」も
「足る」も現存して五段動詞ですから、上二段より四段の方が本家でしょう。
とすると、脱落しているのは「ろ」ではなくて「ら」でした。そうすると、
「回る」-「回す」なども同類ですね。下二段の例では、「崩る」-「崩す」、
「汚る」-「汚す」、「零る」-「零す」、「倒る」-「倒す」、「潰る」-
「潰す」、「流る」-「流す」、「逃(のが)る」-「逃す」、「外る」-「外す」、
「離る」-「離す」、「解(ほぐ)る」-「解す」、「乱る」-「乱す」、「窶る」-
「窶す」など、結構いろいろありました。



Re:上代日本語の母音について

まつまつ (2000/08/31 07:39)

>  受け身・自発の助動詞「る」についても同様で、「起く」→「起こる」、
> 「上ぐ」→「上がる」などの規則的派生が考えられる。

 受け身・自発の助動詞「る」は下二段活用で、「上がる」は四段活用なので、
これは明らかに間違いでしたね。「す」に関する思い付きを書いている最中に
派生的に思い付いたことで、検討不足でした。でも、このパターンは結構多い
ので、何かありそうな気がします。



(無題)

まつまつ (2000/08/31 08:20)

>  受け身・自発の助動詞「る」は下二段活用で、「上がる」は四段活用なので、
> これは明らかに間違いでしたね。

 それを言うなら、使役の「す」も下二段だから、「す」の方も明らかに間違い
でしたね。

>「す」に関する思い付きを書いている最中に派生的に思い付いたことで、検討
> 不足でした。

 「す」の方も同様に検討不足でした。でも、やはり何かありそうな気がします。



「る・らる」ついでに「す」

面独斎 (2000/08/31 23:43)

助動詞「る・らる」の四つの意味 (自発・受身・可能・尊敬) の成立について、
大野晋『古典文法質問箱』(角川ソフィア文庫 241、1998年) にも記述が
ありました。こちらは 6 ページにわたって説明されています (pp. 144-149)。
説明がやや長いぶん、より理解しやすいのではないかと思います。

ついでながら、この本では、使役の助動詞「す」と他動詞形成語尾「す」の
関係を、「同じ語源の語であったろうと考えられ」るという表現を用いて
説明しています。同様に、受身の助動詞「る」と自動詞形成語尾「る」とは
「起源的に同じもの」という説明の仕方をしています。



濁音について

おしげ (2000/10/09 22:11)

はじめてお便りさせていただきます。
 先日濁音は、江戸時代以前には使われていなかった。と聞いたのですが
誰に聞いてもはっきりとは答えがでません。そんな馬鹿なと思うのですが・・・・
濁音は本当に江戸時代以前には、使われていなかったのでしょうか?



RE:濁音について

佐藤和美 (2000/10/10 12:08)

日本語の濁音は昔から存在します。
(語頭の濁音はヤマトコトバには存在しなかったけど)

「水」は「みづ」であって「みつ」だったことはありません。



ありがとうございました。

おしげ (2000/10/10 21:09)

早速のご返事有り難うございました。
私もそんな馬鹿なと思ったのですがあまりにも自信ありげに
言われたのでつい質問してしまいました。
よく考えればそんなことないですよね。(^^)



日本語小文典 

佐藤和美 (2000/11/10 16:14)

岩波文庫にロドリゲス「日本語小文典」(全2冊)というのがあります。
著者のロドリゲスはポルトガルの宣教師。1620年の刊行。

この本に五十音図が載ってるので紹介します。

ア行 A Y V Ye Vo
カ行 Ca Ki Cu Ke Co
サ行 Sa Xi Su Xe So
タ行 Ta Chi Tcu Te To
ナ行 Na Ni Nu Ne No
ハ行 Fa Fi Fu Fe Fo
マ行 Ma Mi Mu Me Mo
ヤ行 Ya Y Yu Ye Yo
ラ行 Ra Ri Ru Re Ro
ワ行 Va Y V Ye Vo

(「tcu」の「c」の下にはヒゲみたいなのがついてます)

ハ行音の子音には「F」が使われてます。
「セ」の「Xe」というのは「she」ですね。



ヘボン式ローマ字 

面独斎 (2000/11/11 14:59)

ヘボン式ローマ字綴りに対していくつか誤解があるようなので一言。

ヘボン式は「発音主義」に基づいたものでも「発音に忠実」たらんことを目指したものでもありません。日本語の音声をラテン文字によって書き表わすにあたって、子音の表記には英語式を、母音の表記には大陸式 (イタリア語) を採用したものであるに過ぎないのです。

子音の表記を英語式にしたとは言え、日本語の子音のすべてが英語に存在するわけではないので、当然そこには齟齬が生じます。たとえば、日本語の「フ」の子音である両唇摩擦音 [Φ] は英語にはありません。そこで、フの子音に対しては発音的に最も近い (とヘボンが考えた) 文字 f が当てられました。文字 f は英語では唇歯摩擦音 [f] を表わしますが、ヘボン式ローマ字では両唇摩擦音 [Φ] を表わす文字として採用されたわけです。

フの子音に文字 f を当てるという選択は、別の見方をすることによっても、それほど不当なものではないということが分かります。唇歯音 [f] を含む音節を日本人は「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」と聞き取るところから [f] はフの子音の異音の範囲内にあると考えれば、フの子音を表わすのにその異音うちのひとつを表わす文字で代表させたのだとの解釈も成り立ちます。もっとも、これには異論も多いでしょうが。いずれにしても、フの子音に f を当てるのはナンセンスという評言はヘボン式が発音主義であるという誤った前提に基づいているため、それ自体が無意味なものです。

「訓令式」という名称のもとになった昭和 12 年の内閣訓令「国語のローマ字綴方に関する件」はすでに廃止されています。というのも、それに代わる内閣告示「ローマ字のつづり方」が昭和 29 年に定められたからです。この内閣告示では、日本語をローマ字で書き表わす際の綴り方を 2 つの表 (第 1 表および第 2 表) に分けて示しています。現在、訓令式と呼ばれているのは、その第 1 表に示されている綴り方です。第 2 表では、ヘボン式および日本式による綴り方のうち第 1 表にないもののほとんどを示し、制限つきながらその使用を認めています。訓令式を内閣で定められた正式な書法というのであれば、ヘボン式や日本式もまた内閣で定められた正式な書法ということになります。

つい最近知ったのですが、「日本式」は「にっぽんしき」と読むんですね。ずーっと「にほんしき」と読んでました (^^;)。



re: ヘボン式ローマ字 

田邉露影 (2000/11/11 15:35)

>面独斎さん
お世話になります m(_ _)m。

> いずれにしても、フの子音に f を当てるのはナンセンスという評言は
> ヘボン式が発音主義であるという誤った前提に基づいているため、
> それ自体が無意味なものです。

なるほど〜。
ここら辺は不勉強でした。


> それに代わる内閣告示「ローマ字のつづり方」が
> 昭和 29 年に定められたからです。

あ、これ図書館で見たことがあります。


> この内閣告示では、
> 日本語をローマ字で書き表わす際の綴り方を
> 2 つの表 (第 1 表および第 2 表) に分けて示しています。
> 現在、訓令式と呼ばれているのは、その第 1 表に示されている綴り方です。
> 第 2 表では、ヘボン式および日本式による綴り方のうち
> 第 1 表にないもののほとんどを示し、
> 制限つきながらその使用を認めています。

う〜ん、この辺はまだ私には理解不足です。

つまり「第 2表」というのは
制限のかかった補足的なもの、と解釈できるわけですよね。
それは「ヘボン式・日本式」を正確な
ローマ字正書法として認めるということになるのでしょうか?



訂正 

田邉露影 (2000/11/11 18:41)

いくつか書き間違えたところがあるので訂正させて下さい。


> それは「ヘボン式・日本式」を正確な
> ローマ字正書法として認めるということになるのでしょうか?

「正確な」ではなくて「正式な」ですね。

また「正書法」とつい書いてしまいましたが
この場合は「正綴法」と書くべきでしょうか……??



ローマ字正書法 

面独斎 (2000/11/12 14:47)

田邉さん、こちらこそお世話になります。

正書法は「正書法」で十分だと思います。わざわざ「正綴法」とする必要もないと思いますが……。で、その「正書法」を単純に解釈すれば「正しい書法」あるいは「正式な書法」ということになりますが、問題は何をもって「正式」とするかということでしょう。田邉さんはただ「訓令式は内閣で定められた正式な書法」とのみお書きでしたので、「内閣で定められた」ことのみをもって正式とするならば、ヘボン式や日本式も同様であると考えたわけです (単なる揚げ足取りです ^^;)。

もちろん、内閣告示の「ローマ字のつづり方」に書かれている内容に従うならば、「正式」の条件はまた異なります。その「まえがき」には「一般に国語を書き表わす場合は、第 1 表に掲げたつづり方によるものとする」とあり、第 2 表のものは「国際関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限」って認めているので、常識的に解釈すれば第 1 表にある綴り方のみが正式なものであるということになろうかとは思います。実際のところ、第 2 表に従ってもヘボン式や日本式の綴り方を完全に復元することはできないんですけどね (^^;)。

大辞林では正書法を「社会的に規範として認められている、語の正しい書き表し方」と説明しています。この定義に従えば、社会的に規範として認められていることが「正式」と呼べる条件ということになります。いま社会におけるローマ字表記の状況を見てみると、鉄道の駅名表示、道路案内の地名表示、パスポートの名前表示、プロ野球選手の背番号の上の名前表示等々、いずれもヘボン式ないしその変種です。すなわち、社会的に規範として認められているのはヘボン式であって、訓令式ではないということになります。とすれば、当然、訓令式 (第 1 表による綴り方) は「正書法」とは呼べませんね。

内閣告示の「ローマ字のつづり方」は、大辞林や広辞苑の巻末にも掲載されていますのでご確認ください。ただし、広辞苑のものは語例や表が独自に追加されており、どこからどこまでが内閣告示にある記述なのか判然としません。



よくわかりません 

清野 良重 (2000/11/12 21:56)

訓令式って第1表と第2表をあわせていうんじゃないのぉ? 違ってたらゴメンネ!!



Re: よくわかりません 

面独斎 (2000/11/14 01:42)

清野さん、

> 訓令式って第1表と第2表をあわせていうんじゃないのぉ?

そうおっしゃる理由が、私にはどうも、それこそ、よく分かりません (^^;)。

内閣告示 (訓令ではないことにご注意) の「ローマ字のつづり方」第 2 表には、「shi」「chi」「tsu」「fu」といった綴り方が含まれています。これらの綴り方は訓令式や日本式のものではなく、ヘボン式特有のものであると考えられています。だからこそ、フを fu と綴るヘボン式はおかしいから訓令式を使うべきだという田邉さんの主張も成り立つわけで……。



ヘボン式と訓令式 

田邉露影 (2000/11/14 03:53)

>面独斎さん
> フを fu と綴るヘボン式はおかしいから
> 訓令式を使うべきだという田邉さんの主張も成り立つわけで……。

というか、あえてヘボン式で綴る必要性というと、
私の見た限り「これが広まっているから」という理由以外に、
見つけることができないわけですし、
「言語」を学習している私は
訓令式の方が「より妥当だ」と考えています。
(もちろん、訓令式にも問題点はいくつもあるでしょう。)

本来の発音を特に記しているわけではない、という
面独斎さんが教えて下さったことも関係していますが、
「文法がより理解しやすくなる」というのが、
一番重要だと思います。

e.g.
 訓令式 tat-a-nai, tat-i-masu, tat-u-φ, tat-e-ba, tat-o-o
 ヘボン式 tat-a-nai, tach-i-masu, tat-su-φ, tat-e-ba, tat-o-o


それに、「六条麦茶」のパッケージには
“Rokujyo”と間違えて書いてあることや、
コミック『究極超人あ〜る』のローマ字が cho ではなく cyo と
書いてある……などなど、
ヘボン式ローマ字は変則的なルールを、
人々が理解しがたいところも大きいのではないでしょうか。


……といっても、別にヘボン式ローマ字で書く人を
非難しようというつもりは毛頭ありません(笑)。
ただし、「ヘボン式ローマ字が優れている」というのは、
どうしても理解しがたいのです。



訂正 

田邉露影 (2000/11/14 03:57)

間違えました。
>  ヘボン式 tat-a-nai, tach-i-masu, tat-su-φ, tat-e-ba, tat-o-o

上の区切り方でいくと tats-u-φ ですね。

言いたかったことは
ヘボン式では tat-, tach-, tats- と 3種類の語根を用意せざるをえないが、
訓令式では tat- の 1種類だけで説明をつけることが出来る、ということです。



Re: ヘボン式と訓令式 

面独斎 (2000/11/15 07:22)

> というか、(中略) 訓令式の方が「より妥当だ」と考えています。

田邉さんのお考えは先日の「日本語文法が訓令式ローマ字の方がはるかに説明しやすい」とのご発言からよく理解したつもりだったのですが……。私はただ、第 2 表の綴り方が訓令式とは考えられていないことの根拠として「フを fu と綴るヘボン式はおかしいから訓令式を使うべきだ」という議論の存在を示そうとしたまでで、他意はなかったのですが、田邉さんのお名前を引き合いに出したのは不適切な仕儀でした。ごめんなさい。

念のため申し添えておきますが、私自身は、ヘボン式信奉者でもヘボン式推進論者でもありません。目的に応じて使い分ければよいという軟弱な考え方をしています。とは言え、私にとってはヘボン式のほうが読みやすいということはあります。次の引用は佐藤さんの書き込み (2000/06/08) からですが……

> 「新橋」の「Shimbashi」っていうのは、どうも違和感があって好きになれません。
> ヘボン式のp、b、mの前の「ン」は「m」にするっていうのは、
> ほとんどの日本人には抵抗感があるんじゃないでしょうか。

私の場合はまったく逆で、「Sinbasi」とあったりすると、si は「スィ」と読みたくなりますし、n もつい歯茎閉鎖音で読んでしまいます。結果、「スィヌバスィ」のようになってしまって、どうも面白くありません (^^;)。



Re: ヘボン式と訓令式 

佐藤和美 (2000/11/15 12:05)

面独斎さん
>私の場合はまったく逆で、「Sinbasi」とあったりすると、si は「スィ」と読みたくなりますし、n もつい歯茎閉鎖音で読んでしまいます。

まさに十人十色ですねぇ。

何年か前の職場でのことですが、「原簿」を「GEMBO」と書いた人がいて、別の人がそれを見て「これじゃゲムボじゃないか」って言ってたのが印象に残ってます。

地下鉄に乗ってたときに気がついたのですが、「小伝馬町」も「Kodemmacho」で「ン」が「m」になる仲間ですね。東京の交通網で「p」の例があったら、三つの例がそろうんで、なにかに使えるかもしれないな、とか考えてたんですが……。意識的には探してません。



ローマ字はだれのためのもの? 

yukiko (2000/11/15 12:06)

佐藤さんご無沙汰しております。ローマ字の話題が続いておりますので、欧米人に日本語を教えている立場から、皆さんのご意見を承りたいと存じます。従来、外国人向けのテキストのローマ字はほとんどヘボン式で綴られてきました。「富士山」も"Fuji-san"と綴り、発音は"hu"であることを指導しております。「東京」は"o"のうえに長音記号をつけて表します。ところがこの場合もそうですが、web上で長母音記号(符号)を表示することはできてもブラウザによっては文字化けが起こり、正しく表示されない可能性があるため、たとえば日本語表示ができないパソコンを使っている生徒達とEメールのやりとりをする場合は長音表記はすべて2重母音、つまり、"Tookyoo"、"Kinoo wa doomo arigatoo."などと綴るのが一般的です。さらにテキスト(印刷物)でも長音をこの方式、つまり母音を重ねて表す傾向が強まり、現在教育テレビで放送されている日本語講座のテキストなども2重母音を使っています。その中で私が納得しかねるのが、「経営」「時計」「姓名」など「e+い」音をkee-ee或いはkee'ee, tokee, seemeeと綴っていることです。これはローマ字を表音記号として捉えた考え方で、"keiei"と綴って「け・い・え・い」と外国人学習者が不自然な発音を身につけることを避けたいという考え方のようです。私の場合、きわめて短期滞在で必要最小限の日本語を習いたいという希望者でない限り、最初の段階ではローマ字を一時的な手段として使い、早期にひらがな・カタカナを導入するようにしておりますので、ローマ字の[i]は[い]として綴るということをしっかり認識してもらうほうを多少不自然な発音に陥る危険より優先しております。当然、e音のあとに「い」が来る場合の発音例を実際に示しながら指導することもできるわけですので。ただ、最近の新しいテキストや若い先生方にはこの"ee"表記がほとんど抵抗なく受け入れられているようです。おそらく、この掲示板をご覧の皆様にはとても奇異にうつるのではないでしょうか。
最近、国語審議会でもローマ字での姓名の表記を日本式に姓・名の順にすることに触れられておりますが、パスポートでは長音を区別できない問題、外国人の親を持つ日本国籍の子どもの名前はたとえば、DavidがDeibiddoと表示されるという問題、国内の地名・駅名のローマ字表記法も統一されておらず、特に長音は無視されていることなど、実に「ゆれ」の部分が大きいのです。話題がそれますが、氾濫する一方のカタカナ語も外国人学習者にとっては頭の痛いところなのですが、漸く国語審議会で少し歯止めをかけようという傾向が見られ、アカウンタビリティなどは「説明責任」と言い変えましょうと提唱してくれるようになりました。以上のような話題は日本語教師仲間の掲示板でもたびたび、議論してまいりました。
ローマ字は誰のためのものなのかという立場によって、意見が分かれるでしょう。動詞の活用など、文法説明は見たところ訓令式のほうが明解なように見えても、実際に現場ではヘボン式あるいはひらがなで教えても、音声的な変遷などの説明をしながら、こうなっていると教えれば別に問題はありません。現行の駅名表示は一般的に外国人向けの綴りを心がけているのだと思います。敢えて長音表記を区別していないのも、2重母音を使うと外国人が母国式の発音で口にして混乱を招くという危険を避ける苦肉の策なのでしょう。新橋=Shimbashiの例も外国人がよりそれらしく発音できるようにという配慮なのでしょう。ところが、前述の「時計=tokee」という考え方も、外国人のためを思っているように見えて、実はそうではありませんよね。ご存じのように英語圏の人にとっては"week"はウィークであり、逆に紛らわしいはずです。当然、英語以外の言語を母語にもつ学習者にとっては、また別の母語干渉の可能性もあり得るわけですので、どう綴れば一番いいかということになると、私は現行のヘボン式がすでに浸透していることもあり、外国人にも受け入れられやすいと思っています。ただ、Web上での長音表記の問題などは、これからどうなっていくのか、現在の傾向がこのまま当たり前のように受け入れられていくのか危惧しております。 一般の日本人のローマ字への関心度からすると、おそらくご自分の名前がパスポートに思いも寄らない綴りで書かれたのを見て愕然とされたご経験のある方を除くと、この掲示板のように話題になることは少ないと思いますので、日本語教育界の実状からちょっとご報告申し上げました。

http://www.neverland.to/kanji/



ローマ字 

のんきぃ (2000/11/15 13:32)

 日本語のローマ字表記についてですが、個人的には元の日本語がきちんと伝わりさえすれば、表記方法が統一化されていなくてもいいんじゃないかな、と思っております。少なくとも、不満足な部分がある方法を押しつけられる状況よりはましなんじゃないか、という程度のことではありますが。

 最近の、特に若い人たちのローマ字表記を見ていると「見た目や発音のカッコよさ」というのがかなり影響しているのじゃないかと思えてなりません。「下唇を軽く噛んで発音したほうがカッコいい」「母音1文字+子音 1文字よりも日本語らしくなくてカッコいい」から「hu」よりも「fu」、「ti」よりも「chi」、「tu」よりも「tsu」を選んでいる... 少なくとも私の周りの大多数が、そのような理由で自分の名前を表記しています。
 最近では、そこからさらに「何でも英語風に発音した方がカッコいい」という風潮も生まれてきているような気がします。例えば福山雅治はラジオで自分の名前を「ふっくやーま、まっさはーる」(すいません、正確な表記ではありません。あくまでもこんな感じってことでお見過ごし下さい)と、さも米国あたりのD.J.が喋ったようなイントネーションで読み上げています。ご無沙汰しているので現在どうなっているかは知りませんが、東北新幹線の車内英語アナウンスでは、当初は駅名をきちんと日本語通りの発音をしていたのに、いつのまにか英語読み(って言うんでしょうか)に変わってしまっていてびっくりしてしまったこともあります。
 もしかしたら、ローマ字表記の仕方によってオリジナルである日本語の発音が変わってしまうことだってあり得るかもしれないと思っているのですが、いかが思われますか?
 私自身は、最初に書いた通り、オリジナルである日本語がきちんと伝わりさえすれば表記方法には気にしないのですが、肝腎の日本語が、そんな理由で変わってしまうのは嫌なんですけど。

 ところで、元々ローマ字以外の表記方法を取り入れていない日本語以外の言語のローマ字表記ってどうなっているんでしょうか? そちらの方が興味を覚えます。あるいは、その結果を見て「日本語のローマ字表記」について方向性を決める上でのヒントみたいなものが手に入りそうな気もするんですが... いかがでしょうね?
 例えばロシア語はどうでしょうか? チャイコフスキーのCDを買うと、そのローマ字綴りにかなり幅があることに気が付きます。ロシアでは、そこのところをどう取り扱っているのか、興味が湧きませんか? 



Re:ローマ字 

のんきぃ (2000/11/15 19:34)

今、読み返したら辺ですね。

>ところで、元々ローマ字による表記方法を取り入れていない日本語以外の言語のローマ字表記ってどうなっているんでしょうか?

こう言いたかったのです。



ローマ字 

田邉露影 (2000/11/16 00:13)

>面独斎さん
> 他意はなかったのですが、
> 田邉さんのお名前を引き合いに出したのは
> 不適切な仕儀でした。
> ごめんなさい。

いえいえ、了解致しましたので、
どうかお気になさらず。

> 私にとってはヘボン式のほうが読みやすいということはあります。

「意味と記号は恣意的である」とは言いますが、
ひとたび、自分のルールと合わないものがあると、
人間はそれは非常に奇異なものに見えてくるのでしょうね。

まるで自分の部屋の本棚の位置が、
そっくり変わってしまった時に感じる、
違和感のような……。

訓令式にしてもヘボン式にしても、
違和感を感じるのは
結局、「慣れ」の問題だと思います。

>yukiko さん
実際に外国人学習者に教えておられるということで、
非常に参考になりました。

ただ、音声的に見れば、
yukiko さんが少々触れられていたような
「外国人に対する配慮」というのは
ローマ字を教えるうえでは、
それほど考慮する必要はないのではないでしょうか。

例えばドイツ語を母語としている話者にとっては
“Segawa Eiko”は「ゼガヴァ・アイコ」でしょうし、
“Matsudaira Chiaki”は「マツゥダイラ・ヒアキ」ですし、
訓令式で書いても
“Matudaira Tiaki”は「マツゥダイラ・ツィアキ」ですからね。

>のんきぃさん
> 最近の、特に若い人たちの
> ローマ字表記を見ていると
> 「見た目や発音のカッコよさ」というのが
> かなり影響しているのじゃないかと思えてなりません。

発音が英語風、というのも重要な要素だと思います。

最近、街のいたる所で英語、あるいはカタカナ語を
目にしているところからも、
それはうかがえます。

> 東北新幹線の車内英語アナウンスでは、
> 当初は駅名をきちんと日本語通りの発音をしていたのに、
> いつのまにか英語読み(って言うんでしょうか)に
> 変わってしまっていてびっくりしてしまったこともあります。

小田急線ロマンスカーの案内で、
「本厚木」を「フンアツゥ〜ギ〜」と発音していたのには、
最初、非常に驚いた記憶があります。

> ところで、元々ローマ字以外の表記方法を取り入れていない
> 日本語以外の言語のローマ字表記ってどうなっているんでしょうか?

ご質問の答えとは外れてしまうのですが、
古典ギリシア語のκに c を当てるか k を当てるか、
        χに ch を当てるか kh を当てるかは、
意見が多少ですが別れます。
(ラテン学者は c, ch を当てる人が多い……のかな??)



ローマ字 

佐藤和美 (2000/11/16 13:10)

私は田邉さんと同じで訓令式がいいと思ってます。
ただ長音の表記は別問題でしょうが。
母音の上に横棒を置く長音表記よりは母音を重ねるほうが使いやすいですね。
特殊な記号を使うとWEBなどで支障が出てきます。
沖縄方言のローマ字表記は何十年も前から母音を重ねる方式です。
中国でのやりかた(ピンイン)がなかなか気にいってます。
中国語を学習するとき、最初にローマ字ごとの発音・声調を学習しますよね。
日本語でも最初にこれをやっとかないと、どんな表記方法を使ってもだめなんじゃないでしょうか。
日本語の教科書にローマ字の発音の説明ってあるのかな?



コミュニケーションの手段としてのローマ字表記 

狐の悠 (2000/11/16 13:37)

毎度お世話様、狐の悠です。黎明期からパソコン通信に関わっているものとして一言。

掲示板、チャットなどにおいて当時も今も、ときにローマ字が使われています。
ローマ字表記に関して、私の見てきた範囲で以下の様な揺れが在ります。
#殊にチャットの場合、速度優先のために省略が多くなりますが。

長音の例(王):
Oh Oo O- O^ Ou
#これらは「疑似英語?」「"おお"由来」「"おー"由来」「長音記号由来」「"おう"由来」でしょうか。

「ん」の例(婚姻):
kon-in konninn koxnin konnin kon'in
#先頭の例を除いてローマ字入力に由来しますがそれぞれの入力方法の違いを反映してます。
#「内閣式」だと最後の例ですかね。

外来語の例(floppy diskを...):
floppy disk wo ... huroppi-dhisukuwo ... FLOPPY DISKwo ... FloppyDisk wo
#これは「英語そのまま」、「ローマ字入力由来」、「英語のみ大文字化」ですね。
#文頭を大文字にする人もいるし、空白の取り方もまちまちなので余計に混乱が...

極端な例を並べましたがどれも実際に使われている(いた)ものです。
この例を以って何かを言いたい訳ではありませんが、参考までに。
#(特に英語以外の)外来語の場合、しばしば奇天烈な書かれ方をするのですがちょっと思い出せません。

実際、どう書くべきって一概に言えませんよね。とは言えガイダンスが欲しいと思うことも。
私の名前も「英語名」と言う割り切りで「Yew」としていますが「You」さんも「Yuu」さんも「Yu-」さんも、
はたまた「Yoo」さんもいらっしゃることですし...

http://yokohama.cool.ne.jp/yew/



ローマ字 

yukiko (2000/11/16 14:40)

佐藤さん、外国人向けの初級日本語教科書ではだいたい、その本で使っている表記と発音について説明は初めの部分でしてあります。もちろんごく簡単なものもあれば、日本語特有の「ん」の発音についてまで丁寧に説明してあるものもあり程度の差はありますが、経験のある先生について習っている人であれば相手の言語によって日本語で特に気をつけなければならない点をきちんと押さえて指導されているはずです。前回の私の投稿で「母語干渉」という言葉を使ってしまいましたが、学習者がアルファベットの綴りを見た場合、その人の母語の習慣で発音する傾向が強くなるというのが一つの例です。田邊さんご指摘の"Segawa Eiko”は「ゼガヴァ・アイコ」などもそうですよね。そういう意味では「私は日本語をできるだけ正しい発音で身につけたいと思うなら、はやくひらがなを覚えて、アルファベットを頭から追い出したほうがいいですよ」と生徒たちに言っています。外国人にとっては何式であっても、教科書や先生が使用するローマ字の発音について最初にきちんと原則を学ぶことができるなら表音文字として事足りるわけですよね。
ちなみに私は英語の人名や地名、ロックバンド名などをEメール(ローマ字で)で綴るときは原語に準じることが多いのですが、テキストに使用する場合はNewYork(Nyuuyooku)などとカタカナ読みも併記したりしています。ただ、「ビートルズ」を教えることには意義を感じるのですが、"Biitoruzu"となると、どうも気持ちが悪いというのが正直なところです。他の外国語についてはいちいち調べるのもたいへんなので、結局ローマ字で"Chaikofusukii"とか綴って、英語圏の生徒達の想像力を試すひとときを楽しんでおります。
前回の投稿で一カ所訂正させていただきます。パスポートの氏名表記では"o"の長音を"oh"と綴ることは認められているようですね。

http://www.neverland.to/kanji/



ローマ字... 

田邉露影 (2000/11/18 08:23)

> 母音の上に横棒を置く長音表記よりは母音を重ねるほうが使いやすいですね。
> 特殊な記号を使うとWEBなどで支障が出てきます。

フィンランド語は母音を 2つ書くことによって、
長母音としているようです。

> 日本語の教科書にローマ字の発音の説明ってあるのかな?

今はどうか分かりませんが、
私が小学校の頃に訓令式ローマ字を勉強しました。

その後、中学に入り何の説明もなく、
ヘボン式ローマ字に切り替わったのですが、
一覧表を教わった覚えも、
配布された覚えもありませんでした……。



ローマ字 

佐藤和美 (2000/11/18 16:52)

中学1年のときの思い出です。
(今から30年以上昔。歳が知れる)
印象深かったのか、いまだに忘れません。

英語の時間に自分の名前の「英語表記」を教わりました。
私は「Satoh」だと教わりました。
(当時、「ヘボン式」という名称を聞いた覚えがありません。)
(教わらなかったのか、忘れたのか判断は難しいですけど)
その後、担任の先生(物理の先生)に「英語」で自分の名前を書けと言われて、
「Satoh」と書いたら、怒られてしまいました。
「h」が余計だというのです。
私は「英語」で書けと言ったでしょう、と抗議しても、
その先生は全然理解してくれませんでした。
その先生は「ヘボン式」と「訓令式」の違いなんて考えもしないようなタイプの先生だったんでしょうね。
私が先生でも間違えるのだということを知った出来事でした。
その先生を反面教師にしたいものです。





佐藤和美 (2001/01/08 16:21)

以前、「因り」、「因む」の訓読みを問題に出したことがありましたが、
「強」の訓読みもいろいろあるようですね。

強ち
強いる

読めますか?
私は読めませんでした。(^^);





佐藤和美 (2001/01/10 12:37)

強ち
あながち

強いる
しいる

でした。



濁音

佐藤和美 (2001/01/31 12:43)

「ブルドッグ」を「ブルドック」、「ベッド」を「ベット」、「キューピッド」を「キューピット」と言ったりします。日本語はこのあたりの濁音は嫌いなんでしょうか。

柴田武「日本語はおもしろい」岩波新書 P50 からです。
「古代語で濁音が一語中に二回以上出ることがない」

そういえば「ブルドッグ」も「ベッド」も「キューピッド」も濁音二つ(半濁音も濁音として)ですよね。
このあたりが関係してるのかな?

もとは濁音なのに、清音になってる他の例があるでしょうか。
ちょっと思いつかないので。
それが全部(ほとんど)もとは濁音二つ以上だったらおもしろいですね。



濁音→清音

UEJ (2001/02/01 08:35)

もうひとつ
 smooth(スムーズ)→スムース



re: 濁音

田邉露影 (2001/02/02 15:07)

「花キューピット」、「ビックカメラ」なんてのもありますね。
どちらも清音になるのが会社の正式名称なのだそうです。



濁音

佐藤和美 (2001/02/02 20:12)

ビーバさん、UEJさん、ありがとうござします。

ビーバさん
>たしかに濁音に続いています。促音「ッ」の後の濁音は発音しにくいので、
その影響もあるとは思いますが。

「古代語で濁音が一語中に二回以上出ることがない」の影響の可能性はけっこうありそうですね。
言われてみればみんな促音がらみですねぇ。
このあたりも考慮しないといけないですね。

UEJさん >news(ニューズ)→ニュース
>smooth(スムーズ)→スムース
こっちはアルファベット表記にひきずられたという気がするんですが。



Re:濁音

坂梨 (2001/02/05 09:09)

これは逆に日本語のほうで濁音になる例です。
映画『カサブランカ(Casablanca)』の主演男優Humphrey Bogart
は日本ではハンフリー・ボガー「ド」としばしば表記されているようです。
前の2音が濁音なのでそれに引っ張られるのでしょうか。

↓毎日新聞の記事です。
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/199906/16/0616e042-300.html



濁音、連濁

佐藤和美 (2001/02/05 14:26)

「古代語で濁音が一語中に二回以上出ることがない」と関係あるのかどうか。
訓読みの連濁の規則性の話ですが。

福岡大学理学部柴田研究室言問い亭
http://www1.sm.fukuoka-u.ac.jp/~kshibata/kototoi/1997_5js.html
からです。

法則的に連濁しない場合としては次の二つがある。
 1)複合語上項の末音節が濁音であるとき
   例「まがたま(勾玉)」「みずたま(水玉)」
 2)複合語下項が第2音節以下に濁音節を持つとき
   例「あきかぜ(秋風)」
ただし、法則1)については、「ずずだま(数々玉)」「みずご(水子)」のような例外 がある。(法則2)については、ほとんど例外がない。)

このあたりと「古代語で濁音が一語中に二回以上出ることがない」が関係あるのかなぁ、と思ってしまいます。



ボガート、ボガード

佐藤和美 (2001/02/06 12:44)

ハンフリー・ボガート
ハンフリー・ボガード

まちがって書いてる人はけっこう多そうですね。

「ボガード」っていう苗字もあるようだし。
話は簡単じゃなさそうですね。

http://www2.odn.ne.jp/cheeky/cinema/people/m-d.html#dirk_bogarde
から。

Dirk Bogarde(ダーク・ボガード)
1921年3月28日、ロンドンのハムステッド生まれ。父は芸術家で母は女優。
1970年代には南フランスに移住し著述業に打ち込むが、1990年に再びロンドンへ戻る。
1992年にはエリザベス女王よりSirの称号を賜る。
1999年5月8日心臓発作で死亡。

出演した映画は
『遠すぎた橋』
『愛の嵐』
『エスピオナージ』
『ベニスに死す』
『地獄に堕ちた勇者ども』
『唇からナイフ』
etc



Re:ボガート、ボガード

坂梨 (2001/02/07 10:45)

>佐藤さん
なるほど、ダーク・ボガードですか。確かに紛らわしいですね。これとの混同かもしれませんね。
ところで、今まで出てきた「日本語での清音化」の例では「ッド→ット」と「ッグ→ック」の
例が多いようなので、手持ちの国語辞典CD-ROM(小学館『国語大辞典(新装版)』1988)で
「〜ッド」と「〜ッグ」を検索したところ、日本語でそれぞれ「〜ット」「〜ック」と
表記されていそうな単語がいくつか見つかりました。それらをもとにgooで検索したところ、
下記のいずれについても清音で表記してあるページが見つかりました。参考になればと思います。

テトラポッド(tetrapod)→テトラポット
シンドバッド(Sindbad)→シンドバット
ロビン・フッド(Robin Hood)→ロビン・フット
『バガヴァッド・ギーター』(Bhagavad-Gita;インド叙事詩)→『バガヴァット・ギーター』
『デッド・オア・アライブ』(Dead or Alive;ゲームソフト)→『デット・オア・アライブ』
ルー・ゲーリッグ(Lou Gehrig;野球選手)→ルー・ゲーリック



Re:ボガート、ボガード

坂梨 (2001/02/07 11:00)

追加です。

ドッグレッグ(dogleg;ゴルフの「く」の字形コース)→ドックレック(!)



「発足」の読み方

GAUCHA (2001/08/30 12:30)

組織などが設立されて活動を始めるという意味の「発足」を、私は「ほっそく」と読んできましたが、辞書は「はっそく」も見出し語として載せています。三省堂の新明解国語辞典には「ほっそく」の新しい語形だと書いてあります。20年前は、「組織をはっそくさせる」なんて読んだら、「間違い」とされたと記憶していますが、今はどちらも正しいということなのでしょうね。
「早急」は、「さっきゅう」より「そうきゅう」と読む人の方が圧倒的に多いそうですが、「発足」はどちらの読み方をする人が多いですか。



RE:発足の読み方

未菜実 (2001/08/30 13:18)

読み方は時代によって変化していますね。
下に、私が気づいた例を挙げておきます。★誤用の方が定着したか優勢なもの。
・攪拌:"こうはん"→"かくはん"   ・堪能:"かんのう"→"たんのう"
・端緒:"たんしょ"→"たんちょ"   ・蛇足:"じゃそく"→"だそく"
・設立:"せつりゅう"→"せつりつ"  ・睡眠:"すいめん"→"すいみん"
・出納:"しゅつのう"→"すいとう"  ・情緒:"じょうしょ"→"じょうちょ"
・宿命:"しゅくみょう"→"しゅくめい"・消耗:"しょうこう"→"しょうもう"
・漏洩:"ろうせつ"→"ろうえい"   ・稟議:"ひんぎ"→"りんぎ"
・捏造:"でつぞう"→"ねつぞう"   ・捧腹絶倒→抱腹絶倒
・貪欲:"たんよく"→"どんよく"   ・呂律:"りょりつ"→"ろれつ"

★変化の途中にあるもの。
・御用達:"ごようたし"→"ごようたつ"・固執:"こしゅう"→"こしつ"
・早急:"さっきゅう"→"そうきゅう" ・重複:"ちょうふく"→"じゅうふく"
・荒らげる:"あららげる"→"あらげる"・相殺:"そうさい"→"そうさつ"
・追従:"ついしょう"→"ついじゅう" ・茶道:"ちゃどう"→"さどう"
・一所懸命→一生懸命         ・悪名:"あくみょう"→"あくめい"
・残滓:"ざんし"→"ざんさい"    ・貼付:"ちょうふ"→"てんぷ"
・口腔:"こうこう"→"こうくう"   ・直截:"ちょくさい"→"ちょくせつ"
・逐電:"ちくてん"→"ちくでん"   ・白夜:"はくや"→"びゃくや"
・世論:"よろん"→"せろん"
・出生率:"しゅっしょうりつ"→"しゅっせいりつ"
・女人禁制:"にょにんきんぜい"→"にょにんきんせい"
・手を拱く:"てをこまぬく"→"てをこまねく"
・丁字路(ていじろ)→T字路(てぃーじろ)
・味気ない:"あじきない"→"あじけない"
・難しい:"むつかしい"→"むずかしい"



昔の漢字の読み方

GAUCHA (2001/08/30 22:07)

私は、漠然と、音読みがより簡略された方向に向かっている、つまり音読みの中でもマイナーなものは淘汰され、メジャーなものに統合されつつあると思っていましたが、未菜実さんが挙げられた例を見るとそうでもないようですね。「出納」を「すいとう」、「蛇足」を「だそく」と読むのはその逆ですね。
ところで、今は名前や住所などにに読み仮名をつける習慣がありますが、昔はそんなことしていないですよね。だから特に人名などは、実際の読み方が正確にはわからないわけですよね。
読み方が変わった熟語、変わりつつある熟語のリストを見て、昔から振り仮名をつける習慣があったら、今こんなに混乱することもなかったろうに、と思った次第です。



慣用読み1

田邉露影 (2001/08/31 16:39)

この話題はかなり繰り返されているので、
「日本語とその周辺」に掲載されると良いかと>佐藤さん

以下は『新辞林』からの引用です。
> あくせく【齷齪・□促】(副)
>   〔「あくさく」の慣用読み〕
>   ゆとりがなく,気ぜわしく事をするさま。「―と働く」
>
> かくさ【較差】
>   〔「こうさ」の慣用読み〕
>   (1)最高と最低,または最大と最小との差。
>   (2)〔気〕定期間内における観測値の最高と最低との差。日較差・年較差など。
>
> かくはん【攪拌】
>   〔「こうはん」の慣用読み〕
>   かきまぜること。
>
> かんこう【箝口】
>   〔「けんこう」の慣用読み〕
>   口をつぐんでものを言わないこと。
>
> かんこつ【顴骨】
>   〔「けんこつ」の慣用読み〕
>   目の斜め下に左右 1 個ずつある骨。頬骨(きようこつ)。ほおぼね。
>
> かんしょ【甘蔗】
>   〔「かんしゃ」の慣用読み〕
>   サトウキビの別名。
>
> きい【忌諱】
>   〔「きき」の慣用読み〕
>   忌み嫌うこと。「―に触れる」
>
> げんもう【減耗】
>   「げんこう」の慣用読み。
>
> こうくう【口腔】
>   「こうこう(口腔)」の医学での慣用読み。
>
> こうさい【鉱滓】
>   〔「こうし」の慣用読み〕⇒スラグ
>
> こうしゅ【拱手】
>   「きょうしゅ(拱手)」の慣用読み。「―傍観」
>
> こしつ【固執】
>   〔「こしゅう」の慣用読み〕
>   (1)意見・態度を強固にして,簡単に変えないこと。固持。「自説に―する」
>   (2)〔心〕ある類似の行動に固着する心的傾向。
>
> さいだん【截断】
>   「せつだん(截断)」の慣用読み。
>
> さくげん【遡源・溯源】
>   〔「そげん」の慣用読み〕
>   源にさかのぼること。物事の根本をつきとめること。
>
> さくよう【□葉】
>   〔「せきよう」の慣用読み〕
>   押し葉。
>
> さっきゅう【遡及】
>   「そきゅう」の慣用読み。
>
> ざんさい【残滓】
>   「ざんし」の慣用読み。
>
> さんすい【散水・撒水】
>   〔「撒水(さつすい)」の慣用読みから〕
>   水をまくこと。



慣用読み2

田邉露影 (2001/08/31 16:38)

> さんぷ【散布・撒布】
>   〔「撒布(さつぷ)」の慣用読み〕
>   まきちらすこと。
>
> しいか【詩歌】
>   〔「しか(詩歌)」の慣用読み〕
>   (1)和歌・俳句・詩など韻文の総称。
>   (2)和歌と漢詩。「―管弦の遊び」
>
> しいぎゃく【弑逆】
>   「しぎゃく(弑逆)」の慣用読み。
>
> しい・する【弑する】(動サ変)
>   〔「しする(弑)」の慣用読み〕
>   目上の者を殺す。主君・父などを殺す。
>
> じょうちょ【情緒】
>   「じょうしょ(情緒)」の慣用読み。「異国―」
>
> しょうもう【消耗】
>   〔「しょうこう」の慣用読み〕
>   (1)使ってすりへること。「兵力の―を避ける」
>   (2)体力・気力などを使い果たすこと。「神経を―する仕事」
>
> すいとう【出納】
>   〔「とう」は慣用読み〕
>   金品を出し入れすること。
>
> ずさん【杜撰】
>   〔「ずざん」の慣用読み〕
>   (1)著作物で,典拠が正確でないこと。
>   (2)いいかげんなさま。「―な工事」
>
> たいしょ【対蹠】
>   〔「たいせき」の慣用読み〕
>   全く反対であること。正反対。「―的」
>
> ちょうふ【貼付】
>   はりつけること。〔「てんぷ」は慣用読み〕
>
> ちょくせつ【直截】
>   (1)まわりくどくないこと。ずばりということ。「―簡明」
>   (2)ためらわずただちに決裁すること。〔「ちょくさい」は慣用読み〕
>
> ちょげん【緒言】
>   「緒言(しよげん)」の慣用読み。
>
> ちょせん【緒戦】
>   「緒戦(しよせん)」の慣用読み。
>
> てんてつ【点綴】
>   「てんてい(点綴)」の慣用読み。
>
> どうけい【憧憬】
>   〔「しょうけい(憧憬)」 の慣用読み〕
>   あこがれること。
>
> とうび【掉尾】
>   〔「ちょうび」 の慣用読み〕
>   事の終わり。「―を飾る」
>
> ねつぞう【捏造】
>   〔「でつぞう」の慣用読み〕
>   作り事を事実のようにみせかけること。でっちあげ。
>
> びくう【鼻腔】
>   「びこう(鼻腔)」の医学での慣用読み。
>
> ひょうどう【秤動】
>   〔「しょうどう」の慣用読み〕
>   (1)天体がある平均的状態の前後に揺れ動くこと。
>   (2)月面が地上から見て上下左右に揺れて見えること。
>
> びんらん【紊乱】
>   〔「ぶんらん」の慣用読み〕
>   乱れること。乱すこと。「社会秩序を―する」
>
> りんぎ【稟議】
>   〔「ひんぎ」の慣用読み〕
>   官庁・会社などで,会議を開くほどに重要でない事項について,案を関係者に回してその承認を求めること。
>
> りんせい【稟請】
>   〔「ひんせい」の慣用読み〕
>   上役に申し出て要請すること。申請。



Re: 慣用読み

UEJ (2001/08/31 23:11)

CD-ROM版広辞苑を「慣用読み」で全文検索してみると114件見つかりました。
中には「A'」の項は「Aの慣用読み」、「A」の項は「A'は慣用読み」と
相互リンクになっているものも有りますので、実質100件弱ぐらいでしょうか。
田邉さんの『新辞林』からの引用と比較すると、
広辞苑にしか載っていないものもあるし、新辞林にしか載っていないものもあります。
もし「日本語とその周辺」に掲載されるのであれば情報提供しますのでお知らせください。
今ここに100件コピー&ペーストする気力は無かったので (^_^;)



「言葉の世界」伝言板8月分

佐藤和美 (2001/09/02 15:56)

田邉さん
>この話題はかなり繰り返されているので、
>「日本語とその周辺」に掲載されると良いかと>佐藤さん

ありがとうございます。
ただ現時点では少ない資料の内容の羅列になりそうなのでやめときます。 資料の羅列以外のまとめるアイディア、+αが浮かんだら、そのときにまとめたいと思います。

「凡例」は「ぼんれい」で、
「五十歩百歩」は「ごじゅっぽひゃっぽ」、
たんなる誤読か。



しつこいようですが・・慣用音

GAUCHA (2001/09/03 22:03)

佐藤様、慣用音の定義は分かりました。ありがとうございました。
ところで、田邉さんが挙げてくださった慣用読みの例を見ると、元来の読み方(つまり中国伝来の正当音)を知らないで誤読していると思われるものがほとんどという気がします。「消耗」の「耗」の字は、中国伝来の読み方は「コウ」だけど、旁が「毛」で、「モウ」と読むものだから、間違って「モウ」と読んだのが、定着してしまった、と考えていいのでしょうか。「詩歌」を「シイカ」と読むのは発音の便宜上かなと思いますが。

永瀬さん、まだ10代ということですから、是非お答えください。あなたは、組織や機関が「発足する」を、どのように読むと習いましたか。私が高校生の頃は「はっそく」は間違いだったと記憶しているのですが。「便覧」は2000年発行の新明解国語辞典には「びんらん」は「べんらん」を見よとなっています。これ、私には予想外でした。ちなみに私が高校生だったのはあなたが生まれる前のことです。



ほっそく?はっそく?

永瀬研二 (2001/09/03 22:27)

GAUCHA様
>「発足する」を、どのように読むと習いましたか
確か中学のときでしたが,私は「ほっそく」と習いました.「はっそく」では,明らかに間違いになったはずです(ていうか問題集のひっかけ問題に「はっそく」と言う読みが載っていたような記憶が・・・)・・・実は「発足」を「はっそく」と読んでも間違いにならない、と言うカキコを見てかなり驚きました.でもwin98でも「はっそく」でも「発足」と変換されるんですね・・・



「ぼんれい」は定着した?

GAUCHA (2001/09/04 21:45)

永瀬さん、どうもありがとう。やはり今でも世の趨勢は「ほっそく」なのですね。

ところで、私が愛用している、新明解国語辞典は、「凡例」の項で、わざわざ「ぼんれい」は誤りと掲載されています。でもウィンドウズ2000は「ぼんれい」と入力すると、ちゃんと「凡例」と変換します。10年以上前に作られたワープロでは「ぼんれい」と入れても「凡例」と変換されません。ということはこの数年で、「ぼんれい」という読み誤りがかなり定着してしまったということでしょうか。



「ぼんれい」は定着した?

松茸 (2001/09/05 03:54)

> ウィンドウズ2000は「ぼんれい」と入力すると、ちゃんと「凡例」と変換します。
……私の環境のMS-IME 2000では出ません。学習の結果ではないでしょうか?
# 「はっそく(発足)」は初期状態で出ました。

 日本語IMEはビジネス向けのOA商品ですから、《〈間違った読み〉にもある程度対応していないと、商品として売れない》わけで
# でも、OS本体は堂々と商品として売ってる……。(^^;
日常的な言語規範とは少しずれるところがあると思います。



ごじゅっぽひゃっぽ

佐藤和美 (2001/09/05 12:46)

「五十歩百歩」の読みを書いてください、
と言われればかなりの人が「ごじゅっぽひゃっぽ」と書くんじゃないでしょうか。
定着したといえそうですが、慣用読みと言えるのかどうかは疑問ですけど。

IMEでも「ごじゅっぽひゃっぽ」で、ちゃんと変換します。



Re: 便覧

massangeana (2001/09/07 12:18)

べつの事を調べていて, たまたまこのページを見たので, ご紹介。
http://www.nhk.or.jp/bunken/NL-file/n033-s.html



楽しく拝見させて頂いています。

のぐり (2001/09/05 00:13)

佐藤和美さん、他の皆様、こんばんは
このHPをたまたま見つけて、楽しく拝見させて頂いております。

さて、ご存知でしたら教えて(紹介して)いただきたいのですが、
「旧仮名づかい」を中心に書かれている書籍がありましたら教えて頂けないでしょうか?

実は、私は韓国語に興味があって趣味程度で勉強しているのですが、
ここのHP(漢字と日本語等など。。)を拝見させていただき、
旧仮名づかいを知ることで、韓国語での漢字読みが推測できると思ったからです。
# 日本語のか行の漢字読みが、韓国語のh音と対応する事が多い理由が分かりました。
# どうもありがとうございます。



朝鮮・韓国語の漢字音

佐藤和美 (2001/09/05 17:47)

のぐりさん、はじめまして。

>「旧仮名づかい」を中心に書かれている書籍がありましたら教えて頂けないでしょうか?
音読みの旧仮名を知ろうとしたら、漢和辞典が手っ取り早いでしょう。

>実は、私は韓国語に興味があって趣味程度で勉強しているのですが、
>ここのHP(漢字と日本語等など。。)を拝見させていただき、
>旧仮名づかいを知ることで、韓国語での漢字読みが推測できると思ったからです。

こんな本もあります。(専門書ではなく、一般書です。)
韓虎林『漢字でおぼえるしっぽをつかむ韓国語』(インターブックス)

大学書林からは朝鮮・韓国の漢字音の辞典が出てたはずです。
(3万円くらいしたと思いますが。)



ありがとうございます。

のぐり (2001/09/06 23:38)

佐藤さん、こんばんは
早速のお返事ありがとうございます。

漢和辞典とは気づかなかったです。
義務教育を受けていた頃に、強制的に購入させられた事はあったのですが、
ほとんど開かずにちり紙交換屋さんに出してました。
# 国語が大嫌いで、成績も最悪でした。。。

ではでは。。。



漢和辞典の載せる日本漢字音

massangeana (2001/09/07 16:55)

漢和辞典の漢字音は, ものによって結構バラバラなので注意が必要です。
たとえば「竜」は, 大漢和と新明解漢和辞典で「漢音リョウ, 呉音リュ, 慣用音リュウ」
となっています。新字源は「リュ」を載せていませんがあとは同じ。漢語林は「漢音
リョウ, 呉音リュウ」, 大漢語林と漢辞海は「漢音リョウ, 呉音リウ」と, てんでん
ばらばらです。
有名な例では「帽」があります。新明解と新字源は「漢音バウ呉音マウ」, 大漢和は
「漢音バウ呉音モウ」, 漢語林と大漢語林は「漢音ボウ呉音モウ」, 漢辞海は「漢音
ボウ(呉音なし)」でした。
漢辞海は漢音・呉音について鎌倉以前に用例があるものを載せる方針のようですが,
それ以外のほとんどの辞書では韻書から導き出した人工的な音を載せていることが多い
ので気をつけてください。



re:漢和辞典の載せる日本漢字音

のぐり (2001/09/10 14:04)

massangeanaさん、漢和辞典の情報ありがとうございます。

「漢和辞典の漢字音は, ものによって結構バラバラなので注意が必要です。」
との事で、実際の例を見てもバラバラのようですが、こうなると
どの辞典が正しくてどれが正しくないのでしょうか?
# 何を基準にするかの方針によって正しいかどうかは変わるとは思うのですが。

私が漢和辞典を購入したい理由は、お遊びで韓国語の漢字の読みと
日本の漢字読みを単に比較してみたいって程度の理由です。



漢和辞典

massangeana (2001/09/10 23:41)

のぐりさん, 驚かせてしまったようで申し訳ありません。要は辞書の音を 100%
信じない方がいい, ということで, 注意して使えばいいのだと思います。

漢字音の研究は江戸時代からあるのですが, 辞書が作られてからも新しい研究に
よってそれまでの音がまちがっていることが発見されることはよくあります。
しかし, 漢和辞典はある程度規範を示す必要があるためか, 最新の研究をつねに
反映しているわけではありません。

あきらかにあやしい音(明ベイ, 竜リュ, 低タイ, 後グ など) は学者が理論的に
作った実在しない音であることを疑ってかかった方がいいと思います。また「慣
用音」と書いてあるものにも実際は呉音や漢音であることがわかったものもけっ
こうあります。従来の旧かなづかいの範囲におさまらないもの (兄の漢音クヱイ,
三サムなど)は学研の漢和大字典や漢辞海には載っていますが, 採用していない
方が多いようです。




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