語源・思いつくままに(外国語編)




雨ですね

佐藤和美 (98/05/18 22:00)

今日は朝から雨でしたね。沖縄はもう梅雨に入ったそうだし。

ところで、天気予報で気圧の単位として、ヘクト・パスカル(hPa)というのがでてきますね。
このヘクトというのはなんなんでしょうか。
ということで、今日は単位の接頭語の話をしましょう。

気圧の単位といえば、ヘクト・パスカル(hPa)ですね。
キロ(k)は1000ということの接頭語ですが、ヘクト(h)は100という意味です。
ヘクトはキロほど見かけることは多くないのですが、面積の単位に顔をだします。
それはヘクタール(ヘクト・アールha)です。ヘクトが100なので、1ヘクタール(1ha)は100アール(100a)になります。



赤死病の仮面

佐藤和美 (98/05/25 22:00)

 エドガー・アラン・ポーの短編小説に「赤死病の仮面」というのがありますね。この小説の原題は「The masque of the red death」です。
 「mask」の意味は「仮面」ですが、「masque」だと「仮面劇」になります。(発音は同じで、区別がつきません) 「The masque of the red death」は正しくは「赤死病の仮面劇」だったんですね。内容からして、「赤死病の仮面劇」のほうが正しそうです。最初に訳した人が誤訳したか、「仮面劇」というのが日本語になじまないとでも思ったのでしょうか。



Thou art the man

佐藤和美 (98/05/29 22:00)

 きのう、ポーの話があったので、もう一つ、ポーの小説の題名の話をやります。

 原題は「Thou art the man」です。これをどう訳すかですが、「thou」は「you」の古語、「art」は「are」の古語です。つまり、「Thou art the man」は「You are the man」ということですね。これを「汝こそその人なり」と訳した人もいましたが、一般的には「お前が犯人だ」という題名でとおっているようです。「汝こそその人なり」は直訳的で、「お前が犯人だ」は意訳的ですね。

 江戸川乱歩の「何者」のラストで明智小五郎が犯人を指摘する章の題は「Thou art the man」となっています。クライマックスにふさわしい題ですが、どれだけの人がこの意味をわかっていることか。



メソポタミアとカバ

佐藤和美 (98/06/11 20:00)

 メソポタミアとカバになんの関係があると思います?

 カバは漢字で書くと「河馬」です。河馬を英語でヒポポタマスhippopotamusと言いますが、これはギリシア語「hippopotamos」に由来します。「hippopotamos」は「hippos」(馬)、「potamos」(河)と分解できます。「河馬」はこれを直訳したものだったんですね。

 次にメソポタミアです。メソポタミアMesopotamiaはチグリス川とユーフラテス川にはさまれた地域をさします。今のイラクあたりです。メソポタミアを分解すると、「meso」(中間)+「potam」(川)+「ia」(地名接尾辞)で、「川のあいだの地域」というような意味になります。ここに「川」(potamos)をキーワードにして、メソポタミアとカバが結びついたと言うわけです。



bicycle

佐藤和美 (98/06/14 14:00)

 「bicycle」は「自転車」という意味ですね。

 私は中学1年で「bicycle」が出てきたときに、スペルを覚えるのを苦労したんですが、意味のない7文字を覚えるのが大変だったわけです。後でわかったのですが、これは「bi」と「cycle」にわけて覚えればよかったんですね。「bi」(二つの)+「cycle」(車輪)で、「二輪車」という意味になるわけですね。

 これは他の単語を覚えるときにも役に立ちます。ちょっと長めの単語は、分割すると覚えやすくなります。長い単語は分割して覚えましょう。



euthanasia(安楽死)

佐藤和美 (98/06/16 20:00)

 メールで質問が来ていたので紹介します。英語の「euthanasia」(安楽死)の語源がギリシア語らしいのだが、わかるかどうかという質問です。

 「euthanasia」の中には、ギリシア語「thanatos」(タナトス)という言葉が含まれています。意味は「死」です。タナトスはギリシア神話にもでてきます。このタナトスのことを、呉茂一の「ギリシア神話」(新潮文庫にあります)では擬神化された「死」と表現しています。まるで死神のような存在です。

「euthanasia」の語源は次のような意味になります。
「eu」(良い)+「thanas」(タナトス=死)+「ia」(名詞化接尾辞)
「良い死」で、まさに「安楽死」ですね。



安楽死

かずぽん (2000/04/26 22:17)

はじめまして。
僕の妻が看護婦なのですが、安楽死をフランス語でなんというか知りたいらしくて、教えていただけませんか?僕はコックなので料理用語ならわかるんですが・・・。
よろしくおねがいします。



安楽死

ふる (2000/04/27 14:18)

クラウン仏和より。

安楽死は、euthanasie(ユータナジ)〈女〉安楽死; 安楽死賛成論.

とあります。



フェニキア

佐藤和美 (98/06/26 12/02)

 フェニキアPhoeniciaは今のレバノンあたりにあった古代国家です。フェニキアは商業民族で、地中海を商業で制覇しました。今のチュニジアにあったカルタゴはそんなフェニキアの植民都市の一つです。「カルタゴ」はフェニキア語で「新しい都市」という意味だそうです。

 やがて本国のフェニキアは滅んでしまうのですが、その後もカルタゴは生き残りました。しかしやがて地中海の覇権を賭けてローマとの戦いが始まるのです。ローマはカルタゴとの戦争をポエニ戦争と呼びました。ローマは知っていたのです。カルタゴがフェニキアの都市であることを。ポエニPhoeniとはフェニキアPhoeniciaのことなのでした。





佐藤和美 (98/07/15 12:02)

 フルーツポンチというのがあります。「ポンチ」は英語の「パンチ」punchがなまったものです。「パンチ」という雑誌名から「ポンチ絵」という言葉ができていますが、それと同じです。

 「パンチ」はサンスクリット語(インドの言葉)から英語に入った言葉です。意味は「五」で、フルーツポンチは5種類の果物が入っているということです。

 現在、インドとパキスタンはパンジャブ地方の領有をめぐって緊張した関係にあります。互いに核実験などをして、脅しをかけあっていますね。この「パンジャブ」も「五」の仲間です。「パンジャブ」は「panji」(五)+「ab」(川)で、「五つの川」という意味なのです。(サンスクリット語とは少しずれていますが、「panji」はパンジャブ地方の言葉です。)



分類

佐藤和美 (98/07/17 12:38)

 「種属科目綱門界」ってなんのことだと思いますか?

 これは生物の分類のしかたなんですね。

 「ホモ・サピエンス」(現世人類)ではこうなります。
動物界
脊椎動物門
哺乳綱
霊長目
ヒト科
ヒト属
ホモ・サピエンス
(亜科、等は除いてあります)

これを下からいうと「種属科目綱門界」となるわけです。下からの方が覚えやすいですね。

ヒト属では「ホモ・サピエンス」以外には「ホモ・エレクトゥス」(立つヒト)などがいます。「シナントロプス・ペキネンシス」(北京原人)や「ピテカントロプス・エレクトゥス」(直立猿人)は今では「ホモ・エレクトゥス」に分類されます。



海岸

佐藤和美 (98/08/11 07:37)

 地名で「コースト」(海岸)の仲間をひろってみました。

 「コートジボアール」は「象牙海岸」、「コート」はフランス語です。「コートダジュール」というのもありましたね。

 「コスタリカ」は「富める海岸」、「コスタ」はスペイン語です。



−ic

佐藤和美 (98/08/22 16:06)

 英語の単語の語尾につく「ic」は「…のような」、「…の性質の」、「…的」などの意味があります。語尾に「ic」のつく単語をいくつかひろってみました。

 Platonic love プラトン的恋愛
 プラトンの恋愛論は、プラトンの著作である「饗宴」で示されています。

 music ミューズの技
 ギリシア神話の学問・芸術の女神ミューズMuseにちなむ。なおミューズの建物がミュージアムmuseumです。

 panic パンの
 ギリシア神話のパンにちなむ。なおドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」の「牧神」とは「パン」のことです。

 magic マギの
 マギmagiとはゾロアスター教の司祭のことです。「magic」が「魔術」という意味を持つにいたったのは、ヨーロッパ人がゾロアスター教をどのように見ていたか反映しているのでしょう。なおイエス・キリストが生まれたときに訪れたという東方の三賢者もマギです。「ゾロアスター」をドイツ語では「ツァラトゥストラ」といいます。



volunteer

たなかまゆみ (98/08/25 08:54)

volunteerの語源が知りたいです。教えてください。



ボランティア

佐藤和美 (98/08/26 19:57)

 「ボランティア」volunteerの語源ですが、
ラテン語「voluntarius」が
フランス語「volontaire」経由で
英語に入ったものです。
(「英語語源辞典」研究社)

 ラテン語「voluntarius」の意味は
「任意な、自発的な。」です。
(「羅和辞典」研究社)



map、atlas

佐藤和美 (98/09/02 12:42)

 いまさら「map」の意味でもないですが、さてどういう意味でしょうか。
辞書で調べるまでもなく「地図」という意味が出てきます。
それでは実際に辞書で「map」を調べてみましょう。
意味は「一枚の地図」です。一枚になっている壁にはってあるような地図のことを言うんですね。
地図帳のように複数の地図からできているのは「map」ではないわけです。
地図帳は「atlas」といいます。
「map」でさえこうなのですから、油断大敵ですね。





佐藤和美 (98/09/18 12:02)

牛を英語でなんと言うかですが、
まず思いうかぶのは「cowboy」の「cow」あたりでしょうか。
他にも「ox」、「bull」、「calf」といろいろあります。

これらはそれぞれ違う牛をさします。

「cow」雌牛
「ox」雄牛(去勢している)
「bull」雄牛(去勢していない)
「calf」子牛

英語を話してる民族は牧畜をしていた民族だったんですね。



L’Arc〜en〜ciel

佐藤和美 (99/01/23 18:15)

 「L’Arc〜en〜ciel」といえば有名なグループですが、
意味はフランス語で、
「ciel」が「空」、
「arc」が「アーチ」で、
「空のアーチ」の意味になります。
ようするに「虹」ですね。



ソドム

佐藤和美 (99/02/07 15:41)

 きのうにつづき「ビッグコミックオリジナル」の話です。

「黄昏流星群」は「ソドムの星」という章になりました。

「旧約聖書」のソドムとゴモラといえば、悪徳・背徳のため神に滅ぼされた町です。ではどのようなことが行われていたのか。

英和辞典で「sodomy」をひくと、「男色」とでています。

「黄昏流星群」は今度は「sodomy」の話ですか。



語源は地名

佐藤和美 (99/02/12 12:41)

 調べたら語源は地名だったという話です。

「カボチャ」  「カンボジア」が語源。
「ジャガいも」 「ジャガタラいも」の省略形。「ジャガタラ」は「ジャカルタ」のこと。
「カステラ」  「カスティリア」(スペインの一地方)が語源。
「安山岩」   「アンデス山脈の岩」の意味。
「羅宇(らお)」(キセルの中間の竹の部分)「ラオス」が語源だそうです。



語源は人名

佐藤和美 (99/05/03 16:49)

 調べたら語源は人名だったという話です。

 「サンドイッチ」あたりは有名ですね。
他にも「ボイコット」、「カーディガン」、「リンチ」、
「ギロチン」、「シルエット」、「ブルマー」。
いろいろありますねえ。



ダッチワイフ

Kabu (99/02/17 17:55)

「ダッチワイフ」の語源・・・というか、何故このように呼ばれるようになったか教えて頂けないでしょうか?
英語で相当するのは love doll かと思います。
昔「トルコ風呂」という呼び名が問題になったことがありますよね?現在は殆ど使われてないように思います。「ダッチワイフ」も別の呼び名に変えないと、オランダ人は不愉快極まりないのではないでしょうか?



Dutch

佐藤和美 (99/02/18 08:42)

 「Dutch」(オランダの、オランダ人の)にはいい意味はないようですね。なんでも17世紀頃にイギリスとオランダが世界の覇権をあらそっていた頃にイギリスがオランダのことを悪く言ったのが始まりだそうです。

 「Dutch treat」は「オランダ人のもてなし」で「割り勘」の意味になるようですね。

 「Dutch wife」は「オランダ人の妻」ですか。
こんな悪口はないですね。(^^;

もっとも英語の「Dutch wife」と日本語の「ダッチワイフ」は意味にちょっと差があるようですが。



アラビア数字

佐藤和美 (99/02/24 08:51)

 アラビア数字ですが、
吉田洋一「零の発見」岩波新書・赤版
に、詳しい歴史が書かれています。

この本の11ページにインドに生まれたアラビア数字がどのように変化していったのか表になっています。
本屋で立ち読みしてみてください。

アラビア数字はインド生まれですが、アラビア経由でヨーロッパに入ったため、ヨーロッパではアラビア数字と呼びました。
「中東」とか「極東」という地域名もヨーロッパからみてですね。

私は「アラビア数字」から「薩摩芋」を連想してしまいます。
薩摩から全国に広がったのでこの名で呼ばれたそうです。
当の薩摩(九州)では「唐芋」だそうですね。
薩摩では唐(中国)から入ったのでしょうか?



ほんとに鶏は臆病者なの?

和代 (99/03/02 13:11)

英語でchicken(ニワトリ)は、臆病者って意味だけど、どうしてそう言われるようになったのですか?



chicken

佐藤和美 (99/03/03 08:34)

 「chichen」の「憶病者」という意味は1400年頃にはすでにあったようですね。

 それより古い古英語の時代には今でもある「ひよこ」という意味がすであったようです。

 「chichen hearted」という言葉があります。
「ひよこの心」じゃ、たしかに「臆病者」ですね。

ちなみに「chichen」には「ニワトリ」という意味はないようですね。
「chichen」の意味は「ひよこ、臆病者、鶏肉、子供」です。



chickenは鶏?ひよこ?

ビーバ (99/03/03 12:11)

 Chicken には、「ニワトリ」の意味もあるのでは?

 手元にある COLLINS COBUILD で調べてみると、
Chickens are birds which are kept on a farm for their eggs and
for their meat.
(Chickenは、その卵や肉を得るために(家禽)農場で飼育されている
鳥である。)
とあり、「ひよこ」だけに限らないように思います。でも、「臆病」という
意味で chicken を使う場合は、「ひよこ」というイメージで使っているの
でしょう(たぶん)。chicken を「にわとり」全般に使うのは新しい用法
なのでしょうか?
 佐藤和美さんは、歴史的なところまで書いていますが、何で調べています
か? OEDですか?

 ちなみに、アメリカ英語では、cock(おんどり)という単語は使いません。
rooster(おんどり)と言います。cockというと、(インフォーマルですが)
男性の一物を指すので、気をつけたほうがいいと思います。



chicken

佐藤和美 (99/03/04 08:30)

 指摘されるといろいろ勉強になりますねえ。

 で、いろいろな英和辞典を調べてきました。
それをまとめると……

「chicken」はもともと生後一年くらいまでをいった。
「ひよこ」はこの訳語だと思われます。
ただちょっと意味に差がありますね。誤訳っぽい?
語源は「小さいcock」だそうです。

ビーバさんの引用している文章も「生後一年くらいまで」なら意味はとおると思いますが。

1歳近い「chicken」はもう「ひよこ」ではありませんよね。
で、英和辞典で「chicken」の意味をどう書くかですが、
「1.ひよこ 2.ニワトリ 3.……」
というような書き方がでてきたのではないか、
という印象を受けました。
(生後1年以上をchickenと言わないとは断言できませんけど)

 ビーバさんも書いていますが、
アメリカ英語の「cock」には「penis」の意味があります。
(たぶん、水道の蛇口(コック、cock)からの連想だと思いますが)
日本人が「cook」(コック、料理する)を発音すると、
アメリカ人には「cock」と聞こえやすいそうです。
注意が必要ですね。

(前回の書き込みの歴史的なことは研究社「英語語源事典」を参考にしました)



chicken、生きてるときとその肉

佐藤和美 (99/03/06 17:55)

 「chicken」に関していろいろ辞典を調べてみたわけですが、
その中で一つ興味をひいた文章があります。
それは「chicken」が生きてるときもその肉も同じ呼び方をする珍しい例だというのです。

他の肉の例をあげてみましょう。
  動物   その肉
豚 pig   pork
羊 sheep  mutton
牛 ox(etc) beef

単語が動物とその肉で違います。
なんでこうなってしまったのでしょうか。

話は1066年に始まります。この年イギリスはフランスのノルマンディー(ノルマン人の村の意味だそうです)に住んでいたフランス語を話すノルマン人に制服されてしまいました。これをノルマン・コンクェストと呼びます。その後フランス語は続々とイギリスに流入しました。
ノルマン人は貴族階級を独占しました。家畜を飼うのはイギリス人です。それを食べるのはフランス語を話すノルマン人です。
このことが動物とその肉の二重の呼び名の起源になったわけです。つまりこの肉の呼び名はフランス語に由来するのです。

さて「chicken」です。この場合は動物と肉は同じ「chicken」です。
これはどういうことなのか、いろいろ空想を働かせてみるのも楽しいですね。



ヒゲ

佐藤和美 (99/03/17 08:29)

 以前、漢字ではヒゲを書き分けていると書きました。
鬚(あごひげ)
髭(くちひげ)
髯(ほおひげ)
ですね。

ところが、英語でもこれと同じように言い分けていたのでした。
「beard」(あごひげ)
「mustache/moustache」(くちひげ)
「whiskers」(ほおひげ)

全然違う中国語と英語でこのような共通点があるなんておもしろいですね。

ちなみに、「Blue beard」を漢字で書けば、「青鬚」になりますね。



動物のヒゲ

ビーバ (99/03/17 20:54)

 虎や猫、ネズミなど動物のヒゲは、英語では「whiskers(ほおひげ)」になる
みたいですね。一方、漢字では「鬚(あごひげ)」と「髯(ほおひげ)」の両方
を使うようです。虎のヒゲを指す言葉に「虎鬚(こしゅ)」「虎髯(こぜん)」
があります。虎のヒゲが「あごひげ」とは思えませんが。



日本語のひげ

ペルセ (99/03/22 01:09)

日本語では、中国語でいうところの鬚、髭、髯を区別するのに、「ひげ」の前に修飾語をつける。
すなわち、中国語や英語のように、専用の単語がない。これは日本ではひげの区別があまり重要でなかったから、そういう言葉が必要とされなかったと考えて良いのでしょうか?



ヒゲ、etc

佐藤和美 (99/03/23 08:57)

 世界にはいろいろな言葉があるわけですが、
それぞれの言葉で詳しくいうこと、おおざっぱにいうことがあります。
これはそれぞれの言葉が属する文化が影響しているのではないかと思います。

 日本語では「ヒゲ」を一つの単語で言いません。
これは日本語でその必要がなかったからでしょう。

日本語と英語で逆の例もあります。
中学に入ってすぐでてくる「brother」、「sister」です。

英語を話すのは牧畜の民族ですね。
以前(98/09/18)、「牛」について次のように書きました。
「cow」雌牛
「ox」雄牛(去勢している)
「bull」雄牛(去勢していない)
「calf」子牛

日本語を話すのは農耕の民族ですね。
「稲」、「米」、「飯」は
英語ではすべて「rice」というのは文化の違いを感じさせます。



水と湯

ペルセ (99/03/27 01:58)

>日本語を話すのは農耕の民族ですね。
>「稲」、「米」、「飯」は
>英語ではすべて「rice」というのは文化の違いを感じさせます。

英語を習い始めた時、不思議に思ったのが、日本語の「湯」に相当する単語がなかったことです。
これも文化の違いなんでしょうね。
日本語では「湯」といった場合、単なるhot waterの場合と、bathの意味もありますね。

漢詩にかぎらず、漢文を日本語として「読み下す」場合、中国語の発音や文法は全く(?)無視されてるわけですよね。中国語がわからなくても、中国語の文が読める!これも、不思議な仕組みだと思います。



ユーゴスラビア

佐藤和美 (99/03/30 08:23)

ユーゴスラビアでは血なまぐさいことになってるようです。

で、ユーゴスラビアの語源です。

ユーゴスラビア Yugoslavia 「南スラブ族の国」
 アドリア海に面する連邦共和国。六世紀よりバルカン半島に定住した南スラブ族は、小部族に分裂していたが、十九世紀に至り、団結の気運が生じ、一九一八年に国家として独立した。その国名中、ユーゴyugoはスラブ語で「南」を意味し、スラビアは、民族名スラブに地名接尾辞イア-iaを合成したもので、「スラブ族の国」を意味する。
(牧英夫編著「世界地名の語源」自由国民社)

ロシアもスラブ民族ですから、ロシアがユーゴスラビアに肩入れするのも、ユーゴスラビアの語源からいくらか見えてきますね。



「%」と「ポイント」

佐藤和美 (99/04/26 13:04)

 選挙などがあると投票率に関して、「%」と「ポイント」という言葉がでてきます。
投票率そのものは「%」であらわしますが、「%」と「%」を比較するときは「ポイント」を使います。
これは違う母集団を直接比較しても意味がないからです。
投票率が1%増えたとはいえないわけです。
それで「投票率が1ポイント増えた」というように使うわけです。

 母集団に関しておもしろい話を一つ。
Aさんのうちは男一人、女一人で、男の比率は1/2です。
Bさんのうちは男一人、女二人で、男の比率は1/3です。
Aさん、Bさんのうちの合計の男の比率は
1/2+1/3=2/5
です。
ん?



ゴジらとガメら

ペルセ (99/04/27 01:41)

ゴジラの英語表記は、GODZILLA。
ガメラの英語表記は、GAMERA。
LとRの違いは、意味があるのかないのか。
アメリカ製ゴジラは正しく発音してるんでしょうね。



ゴジラ

フミ (99/04/28 02:29)

アメリカ製ゴジラ見ました。
GODは神、ZILLAにも何らかの意味を持たせて
その意味を解説している場面があり、興味をひかれました。
ZILLAの意味は思い出せないのですが
その単語が表記の差を生んだのでは。
また、日本人の老人(役の上では)までGODZILLAの
L発音ができていたような気がしました。???
もう一つ気になったのは
日本の船のはずがハングル表示の缶詰を積んでいました。
アメリカ人にとってはひらがなとハングルは同じにみえるのでしょうか。
まさかね。でも「は」「な」「む」「こ」などは、
かなり無理もありますが似ているような気がします。



ハングルの起源は?

ペルセ (99/04/29 00:17)

>日本の船のはずがハングル表示の缶詰を積んでいました。
>アメリカ人にとってはひらがなとハングルは同じにみえるのでしょうか。

人間も、日本人と、韓国・朝鮮人と、中国人の区別がつかないのでしょうね。

似ている文字といえば、ギリシア文字とロシア文字。でも、これはたしかルーツが同じなんですよね。
ハングルはどうやって作られたのでしょうか。日本語のかなみたいに漢字が元になっているんでしょうか?



ハングル

UEJ (99/04/29 02:56)

ハングルは人工文字です。下記サイトをご参照ください。
最後の一行を引用すると
> 世宗王が文字を考えているときにふと目にとまった窓の枠をヒントに作ったと言われています。
なんだそうです。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~HIROE/Korean1.htm



ハングルと漢字

ビーバ (99/04/29 10:55)

 ハングルは、世界で一番合理的な文字といっても過言ではないかもしれません。
実用上でも音声学上でも、合理的なものです(もちろん、朝鮮語を記述するのに
合理的という意味です)。

 新しい文字ということもあり、ハングルを作ったときには、多くの文字が参考に
されたようです。特に文字の組み立て方には、漢字の影響が大きくみられます。



人工文字

ペルセ (99/05/03 14:25)

UEJさん、ビーバさん、ハングルのこと教えていただきありがとうございます。
韓国語も、日本語とおなじように「子音」+「母音」がセットになる言語なんですね。
こういう言葉は、西洋式アルファベットで表記するにはなじまないですね。
子音の部品と母音の部品を組み合わせて一つの文字にするという方法は、漢字の偏と旁を連想させますね。
人工文字といえば、すべての文字は人間が作ったにはちがいないですが、アルファベットとか漢字のように長い時間をかけて徐々にできあがった文字と、ハングルのように短期間に制定されたのとは違いますね。日本語のひらがな、カタカナは、両者の中間ぐらいの位置づけになるんでしょうか。





佐藤和美 (99/05/21 08:23)

「白」のつく地名です。

「カサブランカ」
スペイン語で
「カサ」casa 家
「ブランカ」blanca 白い
「白い家」

「モンブラン」
フランス語で
「モン」mont 山
「ブラン」blanc 白い
「白い山」

「ベラルーシ」
ベラルーシ語で
「ベラ」bela 白い
「ルーシ」rus ロシア
「白ロシア」もいつのまにか「ベラルーシ」になってしまいました。
「象牙海岸」がいつのまにか「コートジボアール」になったのに似ている?
独立すると翻訳地名は使わないようにするという不文律でもあるのでしょうか。

最後に英語の「ブランク」blankです。
これも「白」の仲間ですね。

みんなちょっとずつ似た「白」ですね。
これも言葉の近さのためでしょうか。
インド・ヨーロッパ語族祖語に由来する言葉のようですね。
(祖語の推定形は「bhleg」)
このあたりの話は、いずれまた。





フミ (99/05/27 22:33)

白にまつわる地名は興味深いですね。
さて日本の地名で色がつくもので、中でも赤がつくものは、
赤羽(東京都)、赤湯(山形県)などがありますが
赤羽は川の近く、そして赤湯は温泉地と
水とかかわりが深いですね。
この2地名の赤は色というより、aquaが古日本語に入ったものを
語源にしているのでは?





佐藤和美 (99/05/29 12:31)

日本の地名をヨーロッパ語で説明しようとするのは、「トンドモ本」の世界ですね。やめといたほうがいいです。

で、赤羽、赤湯の語源ですが、

赤羽
赤埴(あかはに)の転訛。赤埴は赤土のこと、この場合は関東ローム層の赤土のことだそうです。
(本間信治「消えてゆく東京の地名」月刊ペン社)

赤湯
吉田茂樹「日本地名語源辞典」には次の記述があります。
「「豊後風土記」に赤湯がみえ、別府温泉の血ノ池地獄をいう地名ではないかとみられる。鉄分の多きい湯の湧出地をいうのであろう。」
一般的に赤い色(赤茶色?)の湯を赤湯といったようです。山形の赤湯も同じだと思います。



おしえてください

すぎやん (99/05/25 16:01)

「グルメ」の語源は何ですか?
そしてグルメの定義とは?
何方か知っていたら教えて下さい。



グルメ

佐藤和美 (99/05/25 20:19)

「グルメ」はフランス語の「gourmet」です。
意味は「食通」ですね。



ボストーク、ウラジオストク

佐藤和美 (99/06/02 08:29)

 ボストークと言えば、旧ソ連の世界最初の有人人工衛星です。
ロシア語で「Vostok」、意味は「東」です。

 日本海をはさんで日本と向かいあっているウラジオストクですが、これは「ウラジオ・ストク」ではなく、「ウラジ・オストク」です。スペルは「Vladivostok」で、ここにも「ボストーク」が出てきます。意味は「東の領地」です。
「ウラジオストク」は「ウラジヲストク」(ウラジウォストク)のつもりだったようですね。
なお、広辞苑第五版には「ウラジヴォストーク」で出ています。

 ロシア語のカナ表記にはユレがあるようですね。
たとえば、「vodka」ですが、
「ウオッカ」
「ウォッカ」
「ヴォッカ」
「ウォトカ」
「ヴォトカ」
と、いろいろあります。
まさに「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」の状態ですね。



東の国

ペルセ (99/06/02 23:46)

オーストリアという国名は、「東の国」という意味だと聞いたことがあります。



オーストリア

佐藤和美 (99/06/04 08:24)

オーストリアの語源ですが、
牧英夫編「世界地名の語源」から引用します。

オーストリア Austria「東の国」
 中部ヨーロッパの共和国。この地は、紀元前より、ケルト人居住地であったが、前14年、ローマ領となった。しかしローマの勢力は長続きせず、諸族の侵入が続き、5世紀にはフン族、6世紀にはアバール人の支配下に入った。788年、ゲルマン人であるフランク王国のカール大帝は、この地を征服し、最初のオストマルクOstmark「東部辺境区」を設け、アバール人の侵食を防止しようとした。しかしその甲斐なく、東部辺境区は、モラビア人やマジャール人の蚕食を受け、崩壊する。955年、同じゲルマン人に属する神聖ローマ帝国のオットー一世は、この地方を再占領し、第二回目のオストマルク「東部辺境区」を設け、ババリヤの付属領として、東方諸族に備えた。976年オットー二世帝は、このオストマルクを独立させ、バーベンベルグ家の領土として与えた。これがオーストリアの生誕である。
 オーストリアの語源は、788年と955年のオストマルクである。これは、ドイツ語のオストOst「東」と、マルクMark「辺境区」を合成した地名である。そして、これをラテン語で表記するときは、マルキア・アウストリアカMarchia Austriacaと書いた。(マルキアはマルク、アウストリアカはオストのラテン語表記)。このラテン語地名アウストリアが、ヨーロッパ諸国で広く用いられ、英語に入って、現名オーストリアを生じた。「東の国」の意味である。
 一方、ドイツ語では、976年にこの地方が独立領になったため、オストマルクより、マルクが脱落し、オステルリヘOsterriche「東の国」の名を生じた。さらにこの地名は、ドイツ語の変化によって、現在の正式国名オステルライヒOsterreich「東の国」となった。



ost

ペルセ (99/06/05 01:08)

オーストラリアと、オーストリア、どうしてこんな紛らわしい国名があるのかと思っていましたが、オーストラリアはラテン語起源で、オーストリアはドイツ語のラテン語への「音写」ということですか?

>これをラテン語で表記するときは、マルキア・アウストリアカMarchia Austriacaと書いた。

Marchia Ostriaca にすれば良かったのに。

>現在の正式国名オステルライヒOsterreich「東の国」

な〜るほどね。ボストークの話と合わせると、
East(英)− Ost(独) − Vostok (露)という繋がりが見えてきました。





佐藤和美 (99/06/06 00:07)

ペルセさんwrote
>East(英)− Ost(独) − Vostok (露)という繋がりが見えてきました。

英語の語源の本では、
ゲルマン祖語の推定形 austa
インド・ヨーロッパ祖語の推定形 ausos
と、あります。
(英語とドイツ語がゲルマン語派、ロシア語がスラヴ語派ですね。)



やっぱりややこしい?

ペルセ (99/06/07 01:53)

>ゲルマン祖語の推定形 austa
>インド・ヨーロッパ祖語の推定形 ausos

ということは、やっぱり「南の」の ラテン語 australis
と似ていて、ややこしいですね。



はじめまして。

zhenja (2000/01/26 01:49)

偶然このページを見つけました。
大学で専攻していたロシア語はもとより、各国の言葉に興味を持っています。
今後も、立ち寄らせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

(これ以降について、解決済み、または不適切であれば削除願います。)
以前、ウラジオストックの語源について書かれていましたが、
「Vladi-」の部分は動詞の「vlad'et'」から派生していると授業で習いました。
意味は「所有(領有)する」ですが、その他、「支配(掌握)する」などの意味もあります。
帝政ロシア時代は商業的、軍事的な世界進出のために、港、特に不凍港の開発に熱心でした。
港が年中凍らなければ外国との船舶往来が活発になり、貿易振興、ロシアの近代化に
寄与することができます。
また、海軍を常駐させ、防衛・他国侵攻の拠点とすることもできます。
ロシアの南下政策には、単なる領地拡大ではなく、力をつけてきた東方諸国に対する
軍事拠点の開発のために不凍港を求めたという意図があったはずです。
私個人としては、歴史的背景から考えると、「東方の領地」というよりも
「東方を支配する」の方が、意味としては合っているような気がします。
この解釈、根本的に間違っていましたらご指摘下さい。
ちなみに、ロシア人の名前に「Vladimir(ヴラジーミル)」というのがありますが、
これは「Vladi+mir(世界)」ということで、「世界を制する」と
言う意味だそうです。
ただ、私は「平和を手に入れる」という方が好きですが。
(「mir」には「平和」という意味もあります。)



ウラジオストク

佐藤和美 (2000/01/31 09:23)

ウラジオストクの語源ですが、
牧英夫編著「世界地名ルーツ辞典」(創拓社)から引用します。

「ウラジボストクVladivostok
この都市は、1860年にロシアぼ軍事基地として建設され、コーカサス地方にあったウラジコーカサス市「コーカサスの領地」の地名を借用して、ウラジボストクと命名された。この地名は、ロシア語のウラジvlade(nie)「領地」とボストクvostok「東、東洋」を合成し、「東洋の領地」の意味を持つ。この地方は清国領であったが、1858年のアイグン条約によって、ロシアに割譲されたため、このような地名が与えられた。」



オスカル!?

TK (99/06/22 17:17)

「ベルサイユのばら」を読むと、「オスカルという名前はヘブライ語で
“神と剣”を意味する」というくだりがでてきます。
わたしとしては、“oscar”という単語はどうしてもひとつの言葉にしか
思えず、「○○ and ××」という言葉には思えないのですが…。

実際のところはどうなのか、よかったら教えて下さい。



オスカル

佐藤和美 (99/06/24 08:29)

ヨーロッパの人名の本は一冊しか持ってないのでそれで調べてみました、
梅田修「世界人名ものがたり」(講談社現代新書)という本です。
ざっと見たところ、「オスカル」は出てなさそうです。
この本は今年の1月に出たのですが、
後書きにまもなく大修館から「ヨーロッパ人名語源事典」が出るとあります。
これを見れば出てるかもしれませんね。

「イスラエル」Israelは当然ヘブライ語ですが、
「イスラエル」の意味は「神と闘う人」だそうです。
「エル」が「神」です。
「オスカル」には「エル」はないですね?

UEJさんのHP「コトバ雑記」
http://www.grad.math.uwaterloo.ca/~kueda/kotoba/
第7話「マイケルさん七変化」から
次のリンクが張ってあります。

「ヘブライ語が起源の名前一覧」
http://www.venus.dti.ne.jp/~entaro/ivrit/names.html

「オスカル」はここにもありませんでした。

ということで、結局、「オスカル」の語源はわかりませんでした。
そのうち、図書館ででも「ヨーロッパ人名語源事典」が見つかったら調べてみます。



(無題)

UEJ (99/06/24 08:45)

私はよくこのページを参照します。
「The Etymology of First Names」http://www.pacificcoast.net/~muck/etym.html
これによると os = god, gar = spear なんだそうです。
Oswald, Osbornなども神と関係あるそうです。



オスカル

佐藤和美 (99/06/24 11:26)

 UEJさん、ありがとうございます。さっそく見てきました。
古英語で、「神・やり」ですか。
これが正しければ、ヘブライ語というのはまちがいですね。



XXX

TK (99/06/24 13:10)

UEJさん、佐藤さん、どうもありがとうございます。紹介して下さったサイトは
後でじっくりと見させていただきます。



carn

佐藤和美 (99/06/30 18:23)

「カーニバル」carnivalといえば、訳語は「謝肉祭」(死語?)です。
「carn」はラテン語の「肉」です。
「carnival」にも「carn」が含まれてますよね。

「carnation」カーネーションにも「carn」があります。
「carn」(肉)色の花の意味だそうです。
どんな色だったんでしょう?

「リーインカーネーション」reincarnationというと、オカルトっぽくなります。
20何年か前に「リーインカーネーション」っていう題の映画もありました。
意味は「輪廻」です。
分解すると、
re(再び)+in(中に)+carnation(肉体)
って、かんじでしょうか。



カニバリズム

佐藤和美 (99/06/23 08:38)

 きのう、カニバリズムの意味を書き忘れたのでその補足です。

 カニバリズム(cannibalism)の意味ですが、
「人肉嗜食」のことです。

英和辞典に語源が書いてありました。
cannibal
スペイン語Canibalより。Canib-はカリブ族のことで、
この種族は西インド諸島に住み人肉を食べると信じられていた。

スペイン人は狂信的なところがありましたが、
カリブ族は人肉を食うと言いながら、カリブ族をホロコーストしたのでしょうか?
キリスト教の正義の名のもとに!



「眼からうろこ」の語源について

S.Ogura (99/07/16 12:37)

「眼からうろこ」の「うろこ」って何で「うろこ」なんでしょうか?



うろこ

UEJ (99/07/16 21:20)

お久しぶりです。日本に帰ってきたUEJです。
うろこについては拙ページ「コトバ雑記」(http://home.att.ne.jp/green/uej/kotoba/)の「聖書のみことば」(http://home.att.ne.jp/green/uej/kotoba/bible.html)をどうぞ。

↓引越しました
http://home.att.ne.jp/green/uej/kotoba/



A Midsummer Night's Dream

佐藤和美 (99/07/28 08:35)

 暑い日が続きますね。今が1年で一番暑い時期でしょうか。

 シェークスピアの作品に「A Midsummer Night's Dream」というのがあります。
「Midsummer Night」って、今頃の夜のことかな?
ところがこれが違うんですねぇ。「Midsummer」とは夏至のことなんです。

「A Midsummer Night's Dream」は
普通、「真夏の夜の夢」と訳されますが、
最近では「夏の夜の夢」という題も見かけます。
「真夏の夜の夢」は直訳、
「夏の夜の夢」は意訳といったところでしょうか。
「Midsummer」といえば、どうしても今頃の暑い盛りを連想してしまいますものね。



Re:A Midsummer Night's Dream

コールラビ (99/07/30 19:10)

辞書によると、the middle or height of the summerの語義も見えますね。
シェークスピアの時代以後に発生した語義なのでしょうか?
そもそもA Midsummer Night's Dreamは、夏至の日の物語でしたっけ?

あっ、遅れました。はじめまして、コールラビと申します。お仲間に入れて下さい。_(..)_



Re:A Midsummer Night's Dream

佐藤和美 (99/07/31 14:09)

 岩波少年文庫にチャールズ・ラムの「シェイクスピア物語」というのがあります。(訳者は野上弥生子)
これはシェイクスピアのダイジェスト集のような本です。
この本ではシェイクスピアの作品の題名が普通とちょっと違っているものがあります。
「お好きなように」
「がみがみ屋馴らし」
「十二日節の宵祭」
なんだかわかりますか?
で、「A Midsummer Night's Dream」です。
これは
「夏至祭の夜の夢」
という題名になっています。



(無題)

コールラビ (99/08/03 12:43)

「お好きなように」←「お気に召すまま」
「がみがみ屋馴らし」←「じゃじゃ馬ならし」
「十二日節の宵祭」←「十二夜」
ですか?

>で、「A Midsummer Night's Dream」です。
>これは
>「夏至祭の夜の夢」
>という題名になっています。

やっぱり『夏至祭』ありましたか。夏の盛りの頃、ではないわけですね。



じゃじゃ馬ならし

佐藤和美 (99/08/04 13:02)

コールラビさん、おおあたりです(^^)

二葉亭四迷(この字でよかったかな?)はシェイクスピアを訳した人でもあります。
うろ覚えですが、「じゃじゃ馬ならし」っていう題名の訳は二葉亭四迷だったと思います。
なかなかいい訳じゃないかと思います。
ただ、今となっては、少々女性差別っぽい感じがしますね?
「じゃじゃ馬」っていう言葉じたい女性差別語なのかもしれないですね。



heartの語源について

ペッタ (99/07/29 17:28)

全然話しに即していないかも知れませんが、heartの語源を調査中です。
ラテン語ではheorte、ドイツ語ではHerzなのは分かったのですが、artと関係が
あるかどうかを教えていただけないでしょうか。



art

佐藤和美 (99/07/31 14:08)

 英語の「art」はラテン語「artem」がフランス語「art」経由で英語に入ったものです。

 「art」と「heart」は無関係のようですね。



heartの語源

ビーバ (99/07/31 16:21)

 ペッタさんの「heartの語源について」に関して

 heorte は古英語です。ラテン語では cord-「心」です。

 ラテン語の cord- という語は、英語の cordial「心からの」などに含まれる語
ですが、英語の heart とラテン語の cord- は同じ語源を持つ単語です。英語と
ラテン語は印欧語族(インドヨーロッパ語族)という大きな言語ファミリーに属
しているからです。その印欧語族の源である印欧祖語のもともとの語形は
「*kerd-」と推定されています。「*kerd-」という語がラテン語の cord-、英語
の heart と移り変わってきたわけです。

 ギリシャ語も印欧語族の一つです。英語の heart に対応する古典ギリシャ語は
kardia「心」で、英語の cardiac「心臓(病)の」という単語に含まれています。

 この様に英語では、高級語はラテン語から、医学用語はギリシャ語から借用し
ていることが多いので、語源は同じなのに形が違う単語の組がいくつもあります。

 ドイツ語の herz「心」も、もちろん同語源です。ドイツ語は英語に近い言語
(両方ともゲルマン語派)なので、語頭が「h」になっています。印欧祖語の「k」
が「h」に変わっているのはゲルマン語の特徴です。次の例を参照してください。

印欧祖語 *kun-「犬」:
ギリシャ語 kuon (cf. cynic), ラテン語 cani- (cf. canine),
ドイツ語 hund, 英語 hound

※大修館書店『スタンダード英語語源辞典』を参考にしました。





Copyright(C) 1999,2000 Satou Kazumi

BACK