GMTとUTC



佐藤和美


 Windowsで「コントロールパネル」の「日付と時刻」を開き、「タイムゾーン」を選択すると、日本に設定してあるなら(GMT+09:00)という文字が目にとまるだろう。

 時差は360゚で24時間、15゚で1時間である。日本の時差を考えるとき、東経120゚では8時間、135゚では9時間、150゚では10時間だから、地図を見れば一目でわかるが、日本の時差は9時間とするのが妥当だろう。東経120゚は台湾のあたりだし、東経150゚は択捉島の東である。(明石とは全然関係ない)

 GMT(Greenwich Mean Time)とはグリニッジ標準時のことだが、実は私達の使っている時刻はグリニッジ標準時をもとにしてはいない。私達の使っている時刻はUTC(Coordinated Universal Time:協定世界時)をもとにしているのである。この表示は本来(UTC+09:00)とすべきなのである。マスコミでも、日本はグリニッジ標準時との時差は9時間です、というような言い方をすることがあるがまちがいである。グリニッジ標準時には一般に深い誤解があるだ。

 GMTは天体観測によって時刻をきめているが、UTCはSI(国際単位)で定義されている1秒を使っている。原子時計で時刻をきめているのである。GMTとUTCは似て非なるものなのであった。

 地球の自転速度は潮汐作用がブレーキになり、年々遅くなっている。時間にすると、100年で1日が0.001秒長くなっている。時刻にすると、100年で約18秒ずれる。言いかえるとGMTの1日、1秒は年々長くなっているのである。そのためそのままにしておくと、GMTとUTCにずれが生じてくる。そのため差が広がらないようにUTC側に余分な1秒を入れるのである。これが閏秒である。

 コンピュータで使っている時間は、GMTでもUTCでもない。コンピュータの時間(秒)が前の年より長くなったとか、閏秒が入ったとかいう話は聞いたことがない。ふしぎな状態なのである。

(1998・6・2)


Copyright(C) 1998 Satou Kazumi

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