言葉の世界・伝言板 2003年10月



zadeh について

にれのや (2003/10/31 22:47)

■ massangeana さん、バリショイ・ダンケです。
せっかく訊いていただいたのにケチをつけるようで申し訳ありません。
たぶん、トルキーの人も 「イラン人」 ですね?と訊かれれば、「イラン人」 です、と答えるように思うのですがどうでしょう。イランでは、民族は微妙な問題なようで、ペルシャ人以外は、二級市民というようなところがあって……
 たとえば、日本で 「崔本」 さんとか 「金本」 さんに、「あなたは何人ですか?」 と尋ねるような微妙さがあるように思うのです。
 そういう点で、"-zadeh" には、何かしらのコノテーションのようなものがないのかどうか、そのあたりのことは…… 訊きづらいですよねえ……



意味を教えて下さい。

チカ (2003/10/31 22:43)

「ウリヅラ」はアイヌ語なんですが、どういう意味でしょうか?
そして、瓜連町とアイヌ民族は関係があるのでしょうか?
(ウリヅラ=瓜連:茨城県にあるまちです。)
おしえて下さい!



アイヌ民族の文字について

チカ (2003/10/31 22:37)

アイヌ民族は、文字を持っていないんですか?持っているんですか?



re:へなちょこ 「十」

鴛鴦 (2003/10/31 21:00)

>せのおさん
始めまして。

僭越ながら、私が幾許か・・・
まず「へなちょこ」は「埴猪口」と書きます。早速ですが、せのおさんの質問から申しますと、「へな(埴)」は正確には「はに」といい、肌理の細かい、黄赤色の粘土です。昔から瓦・陶器などを作るのに用いられています。また、衣にすりつけて模様にしたこともあったそうです。ちなみに、「はに」などの粘土を多く含んだ土を「埴土(はにつち・しょくど)」といいます。「へな」は粗末な楽焼の杯の名前から来ています。「埴土」を使った人や馬などの形をした素焼きの焼き物が「埴輪(はにわ)」です。

以前この掲示板でも「十」の発音についての議論がありましたが、ある新聞のコラムでは、常用漢字表にある音訓は「ジュウ・ジッ・とお・と」で「ジュッ」は無いとのこと。 「十」はかつて「ジフ」と発音されていてカ行・サ行・タ行・パ行等の言葉が続くと、詰まった音に変わります。「十軒(ジッケン)」「十銭(ジッセン)」「十点(ジッテン)」「十敗(ジッパイ)」の様に。
「合」と「立」も「ガフ」「リフ」で、「合体(ガッタイ)」「合併(ガッペイ)」「立脚(リッキャク)」「立秋(リッシュウ)」と。
しかし、いつのまにか「ジュッ」「ゴウ」「リュウ」とも発音されるようになってきました。ただ、「合」「立」はそれぞれ「ゴッ」「リュッ」などの読みは無い(実際にもまず聞いたことがありません)ので、「十」に「ジュッ」が無い理由の一つとなっています。
1955年度の調べでは「十銭」は「ジッセン」と読む人が多かったのですが、その当時から「ジュッ」と発音する人が増えて来た所為かNHKでは1966年に「ジュッ」も認めたとのことです。ですから、今日「十匹」は「ジュッピキ」でもOKということです。
但し、学校の国語で「十手」「十戒」「五十歩百歩」は辞書でも「ジッ」でしか引けず、教科書でも「ジュッ」という読みは載せていないとのこと。
私も「十手」は「ジュッテ」と言ってしまいますね・・・(^^;)



へなちょこのへな

せのお (2003/10/31 18:40)

”へなちょこ”の語源はへなと言う粘土で作ったお猪口のことという事らしいのですが
その”へな”は辞書で引いてみると黒土の粘り気のある粘土だそうです
そのへなと言う粘土は現在どんなものに使われている粘土なんでしょうか?



Re: zadeh

massangeana (2003/10/31 14:29)

にれのやさん(7/20):
遅くなりましたが Ehteshamzadeh さんに今日あったのでたずねてみました。たしかにイラン人で
(イランのどこかはききそびれた), -zadeh は「息子」の意味だということです。ファジー論理の
Lotfi Zadeh についてもきいてみたのですが, たぶん本名はもっと長い「何々ザデ」という名前で,
まわりの人に覚えてもらえないので Zadeh だけにしてしまったのではなかろうか, という話でし
た。簡単ですが以上です。



未菜実様、ありがとうございます

JUN (2003/10/27 20:48)

doは長音にするのですね。
これ、実は私のHPのタイトルなんです。
読み方聞かれて答えられなかったんです(恥
それに発音を聴いたこともないんです。
なので、「ドータード」と答えることにします。
ありがとうございました。

よかったら、遊びに来てください。
歓迎いたします!!!

http://www5f.biglobe.ne.jp/~corvette/jun1/



Re:DORARD

未菜実 (2003/10/27 12:39)

どなたも、回答を書かないので、素人ですが・・・。

朝日新聞の用語の手引きによると (関係ありそうなもののみ抜粋)
・原則はできるだけ原音に近く、同時に読みやすい表記を用いるとあります。
・原語で二重母音の「エイ、オウ」は、原則として長音とみなす。

原音に近く書くと「ドゥタッド」や「ドゥタド」のような感じですが、
この場合「o」は二重母音「ou]ですから長音に、「ar」はsisterのerと同じですからこれも長音にするのが妥当ではないでしょうか?
結局、原音から離れてしまうような気もしますが「ドータード」かしら?

でも、用途にもよるのでしょうが、自分の聞こえるように書いてはどうですか?



DOTARDのカタカナ表記

JUN (2003/10/25 13:46)

お願いします。教えてください。
DOTARDのカタカナ表記がわかりません。
ドタードでいいのでしょうか?
よろしくお願いします。



検索の薦め

Shusan (2003/10/24 11:06)

マサヤさん、原康夫さん、ヒントだけですがお応えします。
50音はサンスクリットに由来するというのが有力です。どこかのサイトにその表の写真が有りました。平安のころ五つに分類することもあったと記憶しています。

馬入川は頼朝が馬ごと橋から落ち大怪我し、翌年亡くなったことに由来する説。その橋脚は国の史跡になっているそうです。マオリ語説もあるようです。アイヌ語かどうかはわかりません。

いいかげんで済みません。是非検索もしてみてください。
検索は世界が広がります。「伝言板は深く、検索は広い」ですかね。



ロシア文字とキリル文字 種

高勾驪人KΘMΛ (2003/10/23 03:08)

重chongとzhong、蒙古語の發音 投稿者:僞中國人さんへ
ご説明どうも。「豚の尻尾」はいい表現ですね。

http://popup7.tok2.com/home2/ancient/ma-st.clementhtm.htm
http://search.yahoo.co.jp/bin/query?p=%a5%ad%a5%ea%a5%eb++Cyril&hc=0&hs=0
「ロシアRussia文字」は使用國の内、ロシアRussiaが有名なのでそれを代表にしたもの。
「キリルCyrill文字」は發明者の名前を取った物です。
キルル文字はロシアだけでなく蒙古、ウクライナUkraina、ベラルーシBelorus'(Belarus')、セルビア(Serbia)等でも使われています。ロシアだけを代表にするのが差し支えるなら「キリル文字」が相應しいでしょう。
蒙古のキリル文字はロシアで使われている其れでは蒙古語の發音を現し切れないので、ギリシャ文字Θに似た文字[Oの中に〜]やラテン文字(ローマ字)Yを採用し、ブリヤートBuryatの蒙古語ではさらに X[x]と区別するh[h]もあります。
сар[sar](月)が hар[har]になるようです。これは хар[xar](藍)とは違います。

http://homepage1.nifty.com/wamoujisho/pdf/a.pdf

http://www.netlaputa.ne.jp/~SHAGAA/readers/log/log12.htm
↑これによると2年ほど前にモンゴルで、去年は日本でも上映された映畫があり、中國名「黒駿馬」、邦題(日本語題)「モンゴリアン・テール 草原の愛」、モンゴルでは「Ганган хар」だそうですが、調べると「愛する」は蒙古語で хайрлах[xairlax]のようです。
http://homepage1.nifty.com/wamoujisho/pdf/a.pdf

新華字典で調べるとこうなります。
[禾中]chong2 尸メ∠2 姓
[禾中](種)zhong3 Ψメ∠3@(−子、−兒)植物果實中能成長(zhang3)成新植物的部分。A指人種、黄〜、白〜。B量詞、表示種類。
(名詞で、「たね」「人種」の意味。種類を數える助數詞)
[禾中](種)zhong4 Ψメ∠4 種植、把種子或幼苗等埋在泥土裏使生長:〜庄稼、〜瓜得瓜、〜豆得豆。(動詞「種を植える」の意味)



50音順の由来

マサヤ (2003/10/22 21:42)

「いろはにほへと」の順番はいつ「50音順」に変わったのですか?それから、誰が考えたのですか?



馬入(バニュウ)の知名由来

原 康夫 (2003/10/21 11:22)

 神奈川県中央部を南北に貫流する川を相模川といいます。その下流部を馬入川と称し右岸には昔から馬入いう村がありました。地名の由来がもしかしたらアイヌ語から来ているかもと思いお教え願います。



重chongとzhong、蒙古語の発音

偽中国人 (2003/10/20 03:33)

■chongとzhong
>全訳漢辞海では
>チョウ 漢音、ジュウ 呉音
>去声宋韻の場合澄用切zhong4重い
>平声冬韻の場合澄用切chong2かさなる

王力の《漢語史稿》第二章第十八節の(三)によると中古漢語で全濁「澄」の声母は

  豚の尻尾付きd‘(U0180.pdfの0221の帯気音)
      ↓
  豚の尻尾付きd+豚の尻尾付きz‘ (U0180.pdfの0221+U0250.pdfの0291の帯気音)
      ↓
   「dろ‘」(U0250.pdfの02A4の帯気音)
      ↓
  平声はpinyinのchに、仄声はpinyinのzhに変化した。

という風に書いてあります。これは北方漢語独自の発展だそうです。

尚、全濁「澄d‘」はビン北/南方言で「t、t‘」に変化したが《廣韻》体系をバイパス(bypass)して《廣韻》体系より更に古い上古音を今に伝えている、と述べています。

IPAフォントは
http://www.unicode.org/charts/U0180.pdf
http://www.unicode.org/charts/U0250.pdf
参照。

■蒙古語の発音
U+3002さん
>問題の、?л?м/?l?m〈飢えた〉の発音をIPAで表すとどうなりますか?
私はロシア文字とキリル文字の区別も出来ない門外漢です。
況んや、蒙古語の発音を哉。蒙古文字はNHKの大河ドラマ「北条時宗」のタイトルで見たのが初めてです。
是以(ここをもって)日頃キリル文字、ロシア文字をあやつっている皆様にこの伝言板で借問しているわけです。



Cokny → Cockney 訂正

高勾驪人KOMA (2003/10/19 22:48)

綴りを間違えました。失禮。
ロシア語で西欧語の th[θ]がfになるというのは Cockneyと似ていますね。
TheodoreがFeodor(Феодор)やFyodor (Фёдор)になるのもわかります。

whiskyはwhiskeyでも良かったと思います。この邊が難しい所です。



天下為公 θ Θ

高勾驪人KOMA (2003/10/19 22:32)

僞中國人樣
>「柱」は直主切なので結局「重い」も「かさなる」も同じ声母で声調が異なるだけのようです。
>中古音では「重い」も「かさなる」も声母(頭子音)に違いはないようです。
>比較的古い形を保存しているといわれるビン南語も「重なる、改めて」の場合tiong陽平
「重い」の場合tiong陽去と有気、無気の区別はありません。北京語のchong2は反切の字が何かのきっかけで有気音に変わったか、別の方言の混入かも知れません。

以前、某專門學校の中文の先生が「重慶」の日本語讀みは「じゅうけい」でなく「ちょうけい」の方が正しい筈だと話していました。其の時は理由がわかりませんでしたが、「重量の重は『じゅう』で重複の重は『ちょう』」と言う認識だと分かりました。しかし「重複」chongfuは日本語で「ちょうふく」「じゅうふく」兩方在ります。chongとzhongは意味の區別ではなかったのですね。

英訳禮記 投稿日:10月19日(日)14時30分16秒
『大道之行也.天下爲公.』の英譯には色々あるわけですね。勉強になりました。

U+3002さん
>[禾中]です。訓は「おさない」。(種の簡体字でもありますが、その意味ではzhong3です)

中國大陸で繁體字「種」を簡體字[禾中]にしたのは借字でしたか。

>Ѳ/ѳ (fita)の詳しい字形は
http://www.unicode.org/charts/PDF/U0400.pdf
の0472/0473で見れます。

Θの O の中の横棒が 〜 になつていますね。わかりました。

ロシア語で西欧語のth[θ]がfになるというのは Cocknyと似ていますね。
TheodoreがFeodor(Феодор)やFyodor (Фёдор)になるのもわかります。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~ros/pan/p_sz/theodore.htm

孫文直筆(?)らしい「天下爲公」の文字が刻まれた石碑が、孫文の胸像と共に青島淺橋賓館(QINGDAO ZHANQIAO HOTEL)前にあるのを見た事が有るので興味を持ちました。

http://search.yahoo.co.jp/bin/query?p=%c2%b9%ca%b8++%bb%b7%b6%b6&hc=0&hs=0



Re: 文法的性(下)

Maniac C. (2003/10/19 17:09)

>「King of the Beasts」と言えども、lionをheで受ける傾向があるわけではなく、lionが男性名詞だとは主張できないでしょう。
→lion は、文学的文脈では he で受けます。lioness という特に雌を表す単語も存在
しますし、“to beard the lion in his den”という成句も在ります。ゲルマン諸語
でもロマンス諸語でも、「ライオン」は陽性名詞に分類されています。
 「the king of 〜」は恐らくラテン語由来の表現で、ロマンス諸語では全て陽性
名詞です。以下、例証として仏単語を、比較として独単語を挙げます。
the king of birds: aigle(m); Alder(m)
the king of metals: or(m); Gold(n)
the king of day: soleil(m); Sonne(f)
the king of the forest: che^ne(m); Eiche(f)
the king of the jungle: tigre(m); Tiger(m)
仏語では一貫して陽性名詞であるのに対して、独語では「文法的性」が不定であるの
がお解りいただけると思います。
 面白いことに、独語で“der Koenig des Waldes(森の王)”をネット検索すると、
陰性名詞である Eiche を指示するHPより、陽性名詞である Hirsch を指示するHPの
方が多く当たります。更に、独語では“die Koenigin des Waldes(森の女王)”という
成句も在り、これは Buche(f) を指すのですが、少なくともネットで検索した限りは、
仏語で he^tre(m) を“la reine du bois(森の女王)”と結び付けているHPは在りま
せんでした。(※ネット検索が皮相的である危険性を承知の上で述べています。)
 この事実は、「森の女王」という成句が「森の王」に擬えて独語で独自に作られた
ものであること、「王」「女王」という単語が指示する自然性と指示物の「文法的性」
とを一致させようとする傾向の有ることを示唆しています。

>ならば別の例として、日本語の名詞範疇の話になりますが、ウサギを羽と数えることはどうでしょう。
>これは、「ほんらい匹だったが、宗教上の理由でウサギを鳥とみなした」とされています。
→御免なさい。意図が解りませんでした。



Re: 文法的性(上)

Maniac C. (2003/10/19 17:08)

ご無沙汰しておりました。>U+3002さん(10/5)

>「不可能ではない」では不十分でしょう。
>女性的な船を女性扱いするのとおなじくらいの自然さで、男性的な船を男性扱いできないと、そこには「適格性」以外の何かが働いていると考えるべきでしょう。
→いいえ。飽くまで「適格性」の問題ですので、船を男性扱いする可能性は排除でき
ません。私の示した海の例はどうお考えになりますか? 男性扱いされるときは陽性
名詞で、女性扱いされるときは陰性名詞とお考えになるのでしょうか。それとも、海
は通性で、船だけが陰性名詞とお考えになるのでしょうか。それこそ「不合理」だと
思いますが。

>現在sheを主に使用するのは(少なくとも私が見るのは)、主に戦記文学ないし軍事記事です。
>「恐ろしく、いやな船」をheで受けうる場面はじゅうぶんにあるとおもいます。
→お手数ですが、そのような、船を出来れば避けたいものとして話者が扱っている
にも関わらず she で受けている場面を、具体的に探していただけませんか。私の予想
では無いような気がするのですが。

>鮎に対し、(sex不明のとき、あるいは、sexに反して)「彼」より「彼女」をよく使うということはありません。
→日本語では、当然です。現代日本語(特に口語)では、2・3人称は代名詞を使わ
ない方が自然ですから。「よく使う」という水準の話ではなく、「彼」という言葉
すら使われない、と言うべきでしょう。

>これは、shipをheで受けることにではなく、「King of the Beasts」などに相当する語法だと思います。
→「鮎」や「岩魚」は適切な例ではなかったとして一旦引っ込めましょう。
 では、「恐ろしくいやなもの」を男性に喩える日本語の例として、「雷」と「鬼」
を挙げましょう。(また松茸さんにご注意を受けるでしょうか)
 古来、「雷」は「恐ろしくいやなもの」、できれば避けたいモノでした。日本神話
での雷神・タケミカヅチは男神です。又、「いなづま」という言葉が在ります。漢字
で書くと誤解を招きますが、本来「つま」は「結婚相手」を意味し、自然性的には
通性でした。古代日本では雷電と稲が交接して穂を孕むという考えが在り、「穂を
孕む」稲は、当然「大事なもの・いとしいもの」として女性に喩えられ、その結婚
相手である雷電=「いなづま(稲の夫)」は「恐ろしくいやなもの」でもあり、男性に
喩えられるわけです。(日本神話ではトヨウケヒメ・オオゲツヒメなど、穀物に関係
するのは女性になっています。)
 それから「鬼」。鬼は、裸に虎皮の褌姿で描かれ、どう見ても男性です。女性の鬼
は所謂「般若」ですが、「般若」を女の鬼とするのは能面に由来します。オニという
言葉自体は平安時代から文献に現れるそうですが、女の鬼=般若となるのは、能が
生まれる中世以降とされています。大体、わざわざ「女の」という言葉を冠すること
自体、「鬼は男性である」ということを前提としています。「鬼女」という言葉は
有っても「鬼男」という言葉は有りませんし、「鬼婆」という言葉は有っても「鬼爺」
という言葉は無い、という事実も同様です。「鬼」は「恐ろしくいやなもの」であり、
出来れば避けたいモノですから、無意識的に男性に喩えられるのです。
 こちらの方が擬人化の度合いは魚より圧倒的に高いですから、場合によっては「彼」
と呼べなくはないでしょう。「鬼」や「雷」は陽性名詞、「稲」は陰性名詞ですか?



Re:重の読み

偽中国人 (2003/10/19 14:48)

廣韻では
複、畳の意味で平声鍾韻、直容切、又直勇直用二切。
多、厚、善、慎の意味で上声腫韻、直隴切、直龍直用二切。
更為の意味で去声用韻、柱用切、又直容切。
「柱」は直主切なので結局「重い」も「かさなる」も同じ声母で声調が異なるだけのようです。

中原音韻では
「蟲、祟」と同音で陽平有気。
「衆、仲」と同音で去声無気。
すでに声母が異なっています。

全訳漢辞海では
チョウ 漢音、ジュウ 呉音
去声宋韻の場合澄用切zhong4重い
平声冬韻の場合澄用切chong2かさなる

長澤規矩也編《新漢和中辞典》では
ジュウ 慣用音 上声腫韻、去声宋韻
チョウ 漢音、ジュ 呉音 平声冬韻

中古音では「重い」も「かさなる」も声母(頭子音)に違いはないようです。

比較的古い形を保存しているといわれるビン南語も
「重なる、改めて」の場合tiong陽平
「重い」の場合tiong陽去
と有気、無気の区別はありません。

北京語のchong2は反切の字が何かのきっかけで有気音に変わったか、別の方言の混入かも知れません。



英訳禮記

偽中国人 (2003/10/19 14:30)

>“All under heaven will be equal”は誤譯でしょうか?
一概に誤訳とは言えませんが、アメリカ合衆国に都合の良い解釈かもしれません。
アメリカ合衆国が他国の内政に口を挟む口実に人権というのがあります。
人がある行動をすることによって、他人に影響を与えようとする場合、その行動を「社会的行動」と呼び、政治的影響を目的とした行動を「政治(的)行動」と呼びます。
クリントンが“Book of Rights what you call Liji”から引用したのは、あなた方の古典に書いてあるじゃないかという「政治的行動」だと思います。

内戦、内紛している国の反体制的人物にノーベル平和賞を贈るのも「政治的行動」の一例です。

http://hk.geocities.com/viviansiu97/chin211.htm
「天下為公」是指天下公有,人們不分彼此,沒有私心,統治者把權位傳給賢能的人而不是傳給子孫。
大同世界中理想的倫理觀念:人們不但孝敬自己的雙親,不但愛護自己的子女,也愛護別人的雙親和子女。
次の『大道之行也.天下為公.』の部分の英訳、“common spirit”は一般大衆を指していると見ていいのでしょうか?
The LI KI (THE BOOK OF RITES)
“When the Grand course was pursued, a public and common spirit ruled all under the sky; ”
http://www.100jia.net/texte/liji/liki/liki07.htm
別訳
http://www.chinapage.org/confucius/utopia.html

次のHPの“Archive of Rituals”という訳は“Book Of Rights”より解り易いと思います。
http://www.comp.nus.edu.sg/~yuenck/c



Re: 重 じゅう ちょう

U+3002 (2003/10/19 13:02)

高駒麗人Komaさん
>崇:虫の下の三番目の漢字は何ですか?

[禾中]です。訓は「おさない」。
(種の簡体字でもありますが、その意味ではzhong3です)

>Ѳ/ѳは四角に見えます。

Θ/θ (theta), Ѳ/ѳ (fita), Ɵ/ɵ (Latin barred o), Ѳ/ѳ (Cyrillic barred o) すべてほぼ同じ字形です。
Ѳ/ѳ (fita)の詳しい字形は
http://www.unicode.org/charts/PDF/U0400.pdf
の0472/0473で見れます。



Ko>Ke コリア セコム

高駒麗人Koma (2003/10/18 23:14)

音のうつしかた Koma 高駒麗人 (2003/08/31 14:20)
>【ко に わざわざ ke を当てたりするのは?】
>コースター COASTER>柯斯達 Kesida
コートディヴォワール COTE D'IVOIRE>科特迪瓦 Ketediwa(象牙海岸XiangYa Hai'An)
コカコーラ COCA COLA>可口可楽 Kekou Kele
コニカ Konica > 柯尼[上の下にト] Kenika(康佳 KONKAはこれの真似か?)
コダック Kodak > 柯達 Keda
名探偵コナンCONAN >名偵探 柯南 Kenan
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E5%90%8D%E5%81%B5%E6%8E%A2+%E6%9F%AF%E5%8D%97&lr=
ジャスコJUSCO>佳世客Jiashike

8月に 「コ」ko類似音をシナ語でkeにする例を挙げました。
追加です。
Korea>呵利亞 Keliya
青島海天大酒店 Qingdao Haitian Hotelにある朝鮮料理店。
「呵利亞」という中国文字が書かれた看板には「코리아」という朝鮮文字もあります。
青島には「高麗亞」Gaoliyaというレストランもあり、これは英語名 Korea Town 코리아 타운(コリア・タウン)らしい。

セコムSECOM>西科姆 Xikemu
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/bbs/bbs0308.htm



天下為公 重 じゅう ちょう

高駒麗人Koma (2003/10/18 23:00)

U+3002 さんへ

>「呉音と漢音の違い」と聞いていましたが、違うんですかね。
なるほど。意味でなく時期の違いですか。
その可能性もありますね。

崇:虫の下の三番目の漢字は何ですか?

>Ѳ/ѳ (fita) キリール文字
Ѳ/ѳは四角に見えます。

偽中国人さんへ
ご説明どうも。するとクリントンが“Ancient Book Of Rights:Liji”《禮記》を引用した英文の“All under heaven will be equal”は誤譯でしょうか?

太極拳が英語でTaikik Boxingですか。英和辞典には Taichichuanで載っていましたが、
http://www.taijiquan.or.jp/gosoku/db-07_gosoku.htm
ご紹介下さったaddressにあるように taijiquanが一般化するでしょう。



Re:天下爲公

偽中国人 (2003/10/18 20:28)

次のHPによれば孫文の書いた『天下爲公』は正に《禮記》の章句であることが分かります。私は毎日この「六角堂」を車窓から眺めながら高校に通っていました。
http://homepage3.nifty.com/kij/jitikousi.htm

謂不以君位爲一家所私有也。
君位を以って一家の私有する所となさずと謂う。
孫希旦の集解に「天下爲公者、天子之位傳賢而不傳子也。」
「『天下爲公』というのは、天子の位は賢者に伝えるものであって、息子に伝えるのではない、ということだ。」
英語訳はThe World is for all.です。
http://www.ne.jp/asahi/moma/contemporary/exhi/T2/yao/yao.html

一般の中国人の受け取り方は例えば太極拳Taikik Boxingで有名な楊名時氏のHPの「博愛」の項をご覧ください。
http://www.taijiquan.or.jp/gosoku/db-07_gosoku.htm

ここで用いている「天下」は《萬葉集》で「御宇」を「天(あめ)の下しろしめしし...」と訓読されるのと同様の統治権であると解釈されています。「御宇多年求不得」
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/manyok/manyok01.html

本当に「萬世一系」かどうかは別にして明治憲法の「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇、之ヲ統治ス」とは対照的考え方です。

「君位=天子之位」ですから「君が代」の「君」の意味も明らかです。
「君が代」の中に出てくる「千代に、八千代に」を漢語で書き表せば「天長地久」で、昔は天皇誕生日を「天長節」、皇后誕生日を「地久節」といいました。

因みに私は小学校低学年の頃「千代、八千代」を人の名前「ちよちゃん、やちよちゃん」だと思ってました。

漢語の「為」が日本語に訳される場合は「なす、す(る)」と「ために」の外にマイナーではありますが「たり、である」(現代漢語の「是、係」)という認定を表わす繋詞的なものもあります。「なす」や「ために」ではしっくりしない場合、「たり」を試してみるのもいいと思います。

「公」とは「おおやけpublicみんな」なものですが、日本では「みんな」を「たばね」て集約する為政者を表わします。封建君主の名前の最後に付けたりします。

http://www5d.biglobe.ne.jp/~uedam/yukicihome.htm



重の読み

U+3002 (2003/10/18 14:11)

高駒麗人Komaさん
>「おもい」「重量」の意味は zhong4→日本語音「じゅう」、
>「かさなる」「重複」の意味はchong2→「ちょう」です。

「呉音と漢音の違い」と聞いていましたが、違うんですかね。

また、chong2のほとんどが日本語でウ段であることを考えると、「重: chong2 > ちょう」は例外的に思えます。

崇: chong2 > すう
虫: chong2 > ちゅう
种: chong2 > ちゅう

(chong2に限らず、そり舌音+ongはほとんどウ段のようです)



Θ/θに似た文字の一覧

U+3002 (2003/10/18 14:10)

高駒麗人Komaさん
>Θはthを現す文字だと思っていましたが。

高駒麗人Komaさんがどこまでご存知かよくわからないので、包括的に整理します。

thetaの系列
Θ/θ (theta) ギリシア文字 (小文字はIPAでもある)
Ѳ/ѳ (fita) キリール文字

barred oの系列
Ɵ/ɵ (Latin barred o) ラテン文字 (小文字はIPAでもある)
Ѳ/ѳ (Cyrillic barred o) キリール文字

Θ/θ (theta)の古典語ギリシア語での発音は[tʲ](有気閉鎖音)です。
現代ギリシア語では[θ]に変化しました。
キリール文字圏に伝わると、(スラブ語に[θ]はないので)[f]に変化しました。
([f]と[θ]には、歯間で摩擦が起こるという共通点があります)

Ɵ/ɵ (Latin barred o)とѲ/ѳ (Cyrillic barred o)は、その名のとおりoの変形で、近代の作字です。
共に、円唇中舌中母音(円唇シュワ)[ɵ]を表します。
Ɵ/ɵ (Latin barred o)はアフリカのいくつかの言語で、Ѳ/ѳ (Cyrillic barred o)はモンゴル語で使います。



語源 コンピューター関連

鴛鴦 (2003/10/18 10:55)

っとその前に、私も長い間読み間違いしていたものがあります。
『眠れる森の美女』を『眠れぬ森の美女』と(--;)
「眠れる」とは「眠る」の已然形に完了の助動詞「り」の連体形が接続したもので、「眠っている」という意味です。
「眠れぬ」とは大違い(^^;)

プロバイダなどで知られている「Nifty」は発足当時、「日商岩井」の「Ni」と「富士通」の「F」をとったものと言われていますが、これは単なる俗説で、「Network Infomation Forum」の頭文字をとったもので、この三文字を使った英語として「nifty」を採用したと「Nifty」自身はいっているそうです。
「nifty」には「しゃれた」「粋な」という意味があります。



re:読み

らにい (2003/10/18 09:45)

>U+3002さん
「入水」は「いりみず」もありますね。
よく聞くのは「じゅすい」です。よくない言葉ですが(^^;)



ガルベは、富山県黒部湖の遊覧船についている名前

地球人 (2003/10/18 06:46)

>ガルベは、富山県黒部湖の遊覧船についている名前・・・
だそうですが、佐藤さんも以前書いていたように
「バ行」・・・バビブベボ・・・を用いて・・・アイヌ語だと表記しているものは、
しっかりと「眉に唾をつけて」ひっかからないようにしたいものです。
また、加えて、「ガ行」・・・ガギグゲゴ・・・についても、
通常、アイヌ語では用いない音ですから、<「g」は用いない>
「ガルベ」も「ガルッベ」も当面、一般的なアイヌ語とは言えないものと考えられます。

そういう意味では、これも・・・「幽霊」
観光協会レヴェルではよくあることではないか・・・とも思われますが、
クレジットというか、その出典を記しておく必要のあるものですね。
でも、多くの観光パンフレットや案内板には、それさえも記されていないものが多く
知的所有権・・・なんちゅうものも・・・これじゃ全く知らないのと同じ、
・・・とどのツマリ・・・金になりさえすりゃ、何書いても、イイッテコトヨ。

残念ながら、これが、わがニホンの文化レヴェルということでしょう。



Re: 読み

U+3002 (2003/10/17 21:08)

らにいさん
>□入水・・・にゅうすい

正しくは「いりみず」ですね(笑)
http://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%84%E3%82%8A%E3%81%BF%E3%81%9A&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=ja&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=



re:読み

らにい (2003/10/17 20:49)

>きしろふさん
私も色々と基本的なものを読み間違えたものが多々あります(^^;)
 □遊説・・・ゆうぜつ
 □破綻・・・はじょう
 □相殺・・・そうさつ
 □礼賛・・・れいさん
 □凡例・・・ぼんれい
 □入水・・・にゅうすい
 □冶金・・・ちきん(「冶」を「治」と勘違い)
 □幕間・・・まくま
 □生一本・・・なまいっぽん
 □好事家・・・こうじか

本当に色々とやらかしていました(笑)



re公用語 訂正

鴛鴦 (2003/10/17 20:26)

文中で「そう」と言っているのは「フランス語やスペイン語など」のことです。



fitaとbarred о

U+3002 (2003/10/17 15:06)

にれのやさん
>モンゴル文字の θ についてです。
>この文字は、革命前のロシア文字の 「フィター」 фита と 「形の上では同じ文字」 です。

字形は酷似(同じと言ってもいい)ですが、ѳ(fita)とө(barred о)は無関係な別の文字です。
ѳ(fita)についてはおっしゃるとおりですが、ө(barred о)は、中舌中円唇母音のためにоから(おそらくはeやəにも絡めて)創作された文字です。

ѳ(fita)とө(barred о)は、コンピュータ上では、字形が異なることが多いようです。
Unicode Standardの例示字体では、ѳ(fita)はバーがZ字形に曲がっています。
(http://www.unicode.org/charts/PDF/U0400.pdfの0472)
Arial Unicode MS、Code 2000、Palatino Linotypeもこれに従っています。
Lucida Sans Unicode、MS (P) 明朝/ゴシックは、逆に、ө(barred о)のバーがZ字形になっています。
TITIUS Cyberbitは、ѳ(fita)のバーが左右についていません。(Θ形)
Tahomaは、ほぼ同じでした。(文字の大きさや太さが違うが、バグと思われる)


偽中国人さん
>モンゴル語のラテン化綴りを詮索するより、現地人の実際の発音をIPAで示すのが大事ではないかと思います。

問題の、өлөм/ӧlӧm〈飢えた〉の発音をIPAで表すとどうなりますか?



美人局

まめ (2003/10/17 06:48)

はじめまして。色々と調べたのですが、どうしても解りません。
「美人局」の語源をご存じでしたら、教えて下さいませ!



モンゴル文字のθ

にれのや (2003/10/17 01:47)

■モンゴル文字の θ についてです。
この文字は、革命前のロシア文字の 「フィター」 фита と 「形の上では同じ文字」 です。ギリシャ文字の Θ, θ に由来する文字で、[f] 音を表していました。ф と同じ音なので、革命後、廃止されました。



読み

きしろふ (2003/10/16 20:44)

>偽中国人さん
「白馬」は山だと「しろうま」で、村だと「はくば」ですからね。
ちなみに京都になると「白馬」と書いて「あおうま」と読むとか。

漢字の読み違い、他にも例があります。(漢字、間違った読みの順に。△は今は少なからず許容されている読み)
 ○大地震・・・だいじしん
 ○一段落・・・ひとだんらく
 ○意気地・・・△いきじ、いきち
 ○依怙地・・・えこじ
 ○言質・・・△げんしつ、げんしち
 ○思惑・・・しわく
 ○既存・・・きぞん
 ○固執・・・△こしつ
 ○代替・・・だいがえ
 ○独擅場・・・どくだんじょう
 ○重複・・・△じゅうふく
 ○続柄・・・ぞくがら
 ○農作物・・・のうさくもつ
 ○目途・・・めど
 ○他人事・・・たにんごと
 ○施行・・・△せこう、△せぎょう
 ○上戸・・・うえと、じょうと
 ○角力・・・△かくりょく、かくりき
 ○秋田犬・・・あきたけん
 ○許嫁・・・△きょか

「世論」と同じように「施行」も本来は「しこう」てすが、工事をする「施工」と混同とて「せこう」と読まれてしまいました。ただ、法律用語では「せこう」をつかうことがあるそうです。ちなみに「せぎょう」は、仏教用語で功徳のため、僧に物品を施す意味になります。

「既存」は「きぞん」を認めているものもありますが、多くの辞書が「きぞん」の読みを認めていないとのことです。

「大地震」は震度のほうで使う場合は「おおじしん」、マグニチュードの方で使う場合は「だいじしん」とすると書いてある辞書があるようです。

「許嫁」は他に「許婚」とも書きますが、これは「きょこん」ともいい、こちらのほうは普通に使えます。(辞書にもきちんと載っています)

「他人事」に関しては、「人事」と書くと「じんじ」と間違われてしまうかもしれないと、「他人事」と書くようになったのでしょう。

「めど」なら「目途」ではなく「目処」のほうになります。

「角力」は「角觝」とも書きます。昭和の始め頃まで使っていたとのこと。「相撲」はもともとは書いて字のごとく「殴り合い」を意味していました。
ですから、相撲の世界を「角界」、相撲好きな人を「好角家」と呼ぶのも「角力」からきています。

「犬」は原則として在来種は「いぬ」、外来種は「けん」と読むとのこと。秋田犬の協会は「あきたいぬ」を徹底してくれと報道機関に呼びかけているそうです。

相変わらずの長文でしたm(_ _)m



アイヌ語でガルッベの意味は?

気まぐれ (2003/10/16 15:26)

ガルベは、富山県黒部湖の遊覧船についている名前で、黒部の語源と言われるアイヌ語の「ガルッベ」から名づけられました。とありますが、アイヌ語でガルベまたはガルッベとは、他に何か意味があるのでしょうか?



NとLの混同

Shusan (2003/10/16 10:47)

偽中国人の方、NとLのことで「そのとおり」という体験をしました。先日マレーシアの DENAI という所へ行くときマレー人に「知らない」といわれ、道案内して連れてゆくと「OH、DENAI NE!YOU SAID ’DELLLAI’」としかられました。参考になりますか



モンゴル語

偽中国人 (2003/10/16 07:17)

モンゴル語のラテン化綴りを詮索するより、現地人の実際の発音をIPAで示すのが大事ではないかと思います。

英単語の綴りと実際の発音の乖離は甚だしいものです。
「さむらいsamurai」を「サミュライ」と発音した英国人を前に紹介しましたが、昔、ロッキード事件が話題になった当時のVoice Of Americaのアナウンサーは、関係者のひとり「児玉」を「Kodamaカダマ」と発音し、ゴルファーの「青木」を「Aokiエオキ」と発音していました。

シンガポールの華語話者は多分野球には関心がないと思いますが、「松井Matsui」なら「Mat-suiマッスイ」、「マツダMatsuda」なら「マッスダMat-suda万事達」と発音します。

日本語でも漢字の読み違いが定着した例があります。

「世論調査」の「世論」は「せろん」と発音する人が多いのですが、元は「輿論よろん」で、より簡単な漢字の「世論」に書き換えたけれど「世界」の「セ」を真っ先に聯想する人が多いので「せろん」になってしまった。

紀州の「三段壁さんだんぺき」はかつて「見壇」と呼ばれていたが「ミ段」を経て「三段さんだん」となりました。
http://www.nanki-shirahama.com/meisyou/sandan.htm

「白馬岳」は、元来苗代で馬を使役する季節に、代掻(しろかき)馬の形のような残雪が見えるところから「しろうま岳」と呼ばれ「白馬岳」と書いたが、今では「しろかき」など知らない都会人により「ハクバ岳」と呼ばれています。
http://members.at.infoseek.co.jp/kazukoinoue/2002-07-shiro/shiro/thumnail/shirouma.htm

兵庫県明石市にある地名は「和坂」と書いて「かにがさか」と読むのが本当ですが、地元以外の人には「わさか」としか読めないので、とうとう道路標識の「わさか」になってしまいました。逆に道路標識に「かにがさか」と仮名で書けば「かにがさか」という地名が普及するのにと思います。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/3111/F-tales/wasaka.html

シンガポールでは鍵のことを華語会話でsuo3shi1又はsuo3shi0と言います。当時日本から持って行った辞書には[金月]匙=鑰匙yao4shi2しか載っていなかったのでシンガポール訛りかと思ってましたが、福建話或いは広東話で「鎖匙」と書き、普通話式に発音したようです。

「早急」は私が学校で習った読み方は「さっきゅう」ですが今では「そうきゅう」と読む勢力も無視できません。漢文では「蚤」と書いて「早」と通用すると注釈に書いてあったりします。

日本を表わすジャパン、ジパン(グ)、ヤーパン、ヤップン、ハポン、イルボン、ジップンなどという言葉はすべて日本語の発音とは無関係に日本人不在の場面で発生し、使用されて今日に至っています。

韓国の金永三元大統領はインタビューの中で日本語で答えているとき「拉致」を「ナチ」と発音していましたが、NとLを混同するのはなにも韓国人だけではなく、シンガポールの(多分)福建人もよくNとLを混同します。
ソニーSONYがシンガポールでは「新力牌」、シュワルツェネッガーが「舒華辛力加」となります。
http://www.zaobao.com/cgi-bin/asianet/gb2big5/g2b.pl?/sp/sp022_141003.html



モンゴル語のbarred о

U+3002 (2003/10/15 13:10)

偽中国人さん
>θлθм <--1番目と3番目の文字はキリル文字ではなくギリシア文字のθのような文字です。

「θのような文字」ө(barred о)はキリール文字だと思います。
(ロシア文字ではないですが)

>oeluem  ただしoeはoウムラウト、ueはuウムラウト
>モンゴル語で内モンゴルはθвθр Монгол(oebuer MongGul)

高駒麗人Kömâさん
>Θは圓唇の曖昧母音だと思いますがローマ字では oe と ue の2種類になるのですか?

私も気になりました。
UNGEGN (国際連合地名専門家グループ; 暫訳) が使用しているBGN/PCGN 1964 Systemでは、

ө (barred о): ö (o umlaut)
ү (straight у): ü (u umlaut)

で、ö (o umlaut) とü (u umlaut) は、別々のキリール文字のローマナイゼーションになっています。
http://www.eki.ee/wgrs/rom2_mn.pdf



Re ニジンスキー

らにい (2003/10/15 12:36)

>にれのやさん
>「毎度、むずかしいところを……。ムソルグスキイも、きちんとまとめないでそのままですし……」
大変申し訳ありません・・・(--;)
私の力不足です・・・・・・

ニジンスキーは帝政ロシアで生まれたポーランド人ですか。これは新たな驚きです。
しかも、「ポーランド語の Tomasz をロシア語の Фома に『翻訳』したという」事実まで。 本当にありがとうございました。



ニジンスキイ/ニジンスキーという姓について…2

にれのや (2003/10/15 01:49)

■ここで、また、1つ問題が起こります。Фомич [ファ'ミーッち] という父称です。これは、すなわち、父親の名前が Фома [ファ'マー] であるということです。十二使徒のひとり、聖トマスのロシア語形です。毎度説明するように、中世ギリシャ語のθが [th] ではなく [θ] と発音されていたために、正教圏では、これに近い [f] 音で採り入れられました。いっぽう、カトリック圏では、ラテン語を介して [t] で移入されました。ポーランド語で、「トマス」 に当たる名前は Tomasz ['トマし] です。ならば、父親は、やはり、ロシア人だったのか?というと、そうではないのです。父親の本名は、ポーランド語で Tomasz でした。ポーランド語には父称という制度がありませんが、「ロシア臣民」 であれば、父称を記載する必要もあったのでしょう。その際に、ポーランド語の Tomasz をロシア語の Фома に 「翻訳」 したというわけです。ここで、ニジンスキイの名前のネジれが浮かび上がってきます。つまり、当人の名前 Вацлав ['ヴァーツらフ] は、ポーランド式の発音なのに、父称はポーランド語をロシア語に翻訳していることになります。もし、どちらも純ポーランド式に名乗るなら、
   Вацлав Томашевич Нижинский
   ['ヴァーツらフ 'トーマシェヴィち ニ'じンスキイ]
   ヴァーツラフ・トーマシェヴィチ・ニジンスキイ
となるべきところでした。帝政ロシアで、Томашевич という父称では 「肩身が狭い」 という感じがヒシヒシと伝わってきます。
■ここで、けりをつけるとしましょう。ニジンスキイは帝政ロシアで生まれ、バレエを勉強したが、民族的にはポーランド人であった、ということです。実際、ポーランドのエンジンで検索すると、
   Wacl{+/}aw Niz{+・}yn{+´}ski
   ['ヴァツワフ ニ'じイんスキ]
と表記されています。もちろん、父称などありません。ポーランドのエンジンで検索すると Niz{+・}yn{+´}ski という姓のポーランド人が、他にもいることがわかります。また、彼の父親の名前も、
   Tomasz Niz{+・}yn{+´}ski
   ['トマし ニ'じイんスキ]
で現れます。
■ここで肝心の語源ですが…… 申し訳ありません。ロシア語の姓の辞典・HPのたぐいでは、Нижинский について 「なぜか」 いっさい言及していません。ポーランドのサイトをいろいろ検索してみたのですが、「姓の由来」 のようなサイトが見つかりませんでした。
 とりあえず、「外堀は埋めました」 ということで。
■最後にオマケですが、ニジンスキイの父称 Фомич [ファ'ミーッち] は、斜格でアクセントが語末に移動します。どういうことかというと、生格以下で次のようになるのです。
   Вацлав Фомич Нижинский [主格]
    ['ヴァーツらフ ファ'ミーッち ニ'じンスキイ]
   Вацлава Фомича Нижинского [生格]
    ['ヴァーツらヴァ "ファミ'ちゃー" ニ'じンスカヴァ]
                ……
■ということでした。



ニジンスキイ/ニジンスキーという姓についてr

にれのや (2003/10/15 01:48)

【ニジンスキイ Nijinskyという姓の語源について】
■らにいさま。毎度、むずかしいところを……。ムソルグスキイも、きちんとまとめないでそのままですし……
ニジンスキイという姓の語源を調べる前に、
   【そもそも、ニジンスキイは 「何人(なにじん)」 なのか?】
が、問題です。通例、ニジンスキイはロシアのバレエダンサーということになっています。少し、詳しい人になると 「ロシア人じゃなくてウクライナ人なんだよ」 なんて、したり顔で言う人もいます。人名辞典を調べると 「ポーランド系ロシア人」 などという普通の人には混乱しかもたらさないような説明が載っています。では、何人なのか?
 ニジンスキイのフルネームは
   Вацлав Фомич Нижинский
   ['ヴァーツらフ ファ'ミーッち ニ'じンスキイ]
   「ヴァーツラフ・フォミーチ・ニジンスキイ」
   Vaslav (or Vaclav) Fomich Nijinsky
   【個人名=父称=姓】
ということになっています。ここに奇妙なことがあります。ニジンスキイは、1888年キエフに生まれていますが、当時のロシア正教の教会暦に Вацлав ヴァツラフという洗礼名はありません。すなわち、当時のロシア人の名前の選択肢に Вацлав という名前は存在しなかったのです。
 ロシア革命後、宗教は弾圧され、名前は両親が自由に選ぶことができるようになりました。同時に、それまで数百年にわたって名前の選択肢から外されていたスラヴ系の名前が復活したり、他のスラヴ系民族の名前が借用されるようになりました。その1つが、チェコ、ポーランド系の Вацлав でした。しかし、その場合、ロシア語のアクセントの習慣に合わせて、
   Вацлав [ヴァツ'らーフ]
となりました。そして、Вацлав ['ヴァーツラフ] とアクセントを置くのは、原則として、チェコ人、ポーランド人の名前を転写する場合に限られました。
   チェコ Va{+´}clav ['ヴァーツらフ]
   ポーランド Wacl{+/}aw ['ヴァツワフ]
ポーランド語の転写の際に、l{+/}=л, l=ль となりますので、「ヴァツワフ」 でも、ロシア語では 「ヴァーツラフ」 になります。
 ここで種明かしをしますと、
   【ニジンスキイはポーランド人】
なのです。ポーランドは、かつて、ベラルーシやウクライナを版図に収めていましたが、18世紀末に形勢は逆転し、「三国分割」 によって、ポーランドという国家は消滅し、ワルシャワはロシア領になってしまいました。当然、第一次世界大戦前までのロシア領には、多数のポーランド人がいたわけです。ニジンスキイがキエフで生まれたというのは、両親が公演旅行でキエフに滞在していたときに生まれたというだけのことで、1891年にワルシャワで洗礼を受けています。



是=底のトンデモ指数は

偽中国人 (2003/10/14 07:28)

藤堂明保《漢字語源辞典》学燈社によると
底の「まだれ」を除いた部分のテイは匙(=是)と同系。

藤堂明保等編の改訂新版《漢字源》によると
「氏」はもと先の鋭いさじをえがいたもので、匙と同系。
底の「まだれ」を除いた部分のテイの単語家族は
抵、底、柢などと同系。

これら二つの記述を合わせれば、「是」と「底」は同系の単語家族ということになります。藤堂説が『トンデモ指数ゼロ』であると仮定すればの話ですが。
>今、「是物」を研究する人で、「是」=「底」を採る人はいないと思います。
というのは、やはり「単語家族」のトンデモ指数がゼロではないということですか?

vic.Rさん >現代(ビン音)
これは入力ミスで、正しくは「ピンインpinyin」でしょうね。

ビン[門/虫]南音では「十什」は入声韻尾を残していますからね。

「十什」白話音 chap 教会ローマ字
        cap  教会ローマ字を改良したTLPA式綴り
    文語音 sip
声調は文白共に陽入声です。
什錦炒麺 五目焼ソバなどというのもあります。
ビン南語では什cap8は雑cap8と同じ発音で、通用するということです。

■戈壁ゴビ
高駒麗人さん
>戈壁(ゴビ?)は満州語ですか。蒙古語でговь(gov')は砂漠の事です。
昨日図書館でモンゴル語辞典を調べましたが、говьのラテン化表記はGobiでした。

長澤規矩也《明解漢和辞典》は満州語説です。
「高校生から中国研究者の専門的研究にいたるまで十分に耐えうることをめざした」という《全訳漢辞海》には戈壁の見出しはありません。

《地名の世界地図》は何と言ってるのでしょう。

もうひとつの「額倫elun」の元になったモンゴル語の候補で発音の近いのは
θлθм <--1番目と3番目の文字はキリル文字ではなくギリシア文字のθのような文字です。
意味は「飢えた」
ラテン化表記は
oeluem  ただしoeはoウムラウト、ueはuウムラウト
もうひとつ良く似た発音の言葉に
орон(orun)国、空間というのがあります。イマイチ確信が持てません。

モンゴル語で内モンゴルはθвθр Монгол(oebuer MongGul)=南モンゴル というそうです。



名前 その2

らにい (2003/10/13 15:12)

前に私がロシアの有名な名前(姓)について質問しましたが、もうひとつ気になった事がありました。
それは「ニジンスキー(Nijinsky)」の語源です。
検索してみても資料が当たらないので、この名前ももしよろしければご教授お願い致します。

私は「ニジンスキー」と聞くと、バレエダンサーというよりかは馬を思い出します(^^)



Re:つくば

きしろふ (2003/10/13 15:06)

>管理人様
>「一般的に、アイヌ語の仮名表記に『ツ』(閉音節の語尾以外)とか『バビブベボ』とか使ってる説は、要注意でしょうね。」
うーむ、この資料もあてになりませんか・・・



つくば

佐藤和美 (2003/10/13 12:19)

>以前、「つくば」の語源についての書き込みがありましたが、『日本百名山を登る 上巻』(昭文社)によると・・・
>○「聳え立つ」という意味のアイヌ語「ツクバ」から。
>○「月の神が鎮座する平野」という意味の(同じアイヌ語かは分かりませんが)「ツクハ」から。

マユツバものの説ですね。

一般的に、アイヌ語の仮名表記に「ツ」(閉音節の語尾以外)とか「バビブベボ」とか使ってる説は、要注意でしょうね。



re:「十」と「底」は同系?

vic.R (2003/10/12 14:24)

>dhi{e逆さ}p(「十」上古代音)は「底」と同系ですか
藤堂明保学研漢和辞典によると
  上古     中古       中世       現代(ビン音)
十 dhi{e逆さ}p {長いz}I{e逆さ}p {長いs}I{e逆さ}i {下点s}i(shi)
底 ter     tei       ti{e逆さ}i    ti(di)
これによる限りは同系とはいい難いでしょう



Re:季語?

らにい (2003/10/12 13:28)

>Maniac C.さん
資料ありがとうございます。
「オーデコロン」はホント単純ですね・・・(^^;)
「休暇明け」は要するに「夏休み明け」?
「甘酒」が夏なのにはこれで納得がいきました。
>(記載リンクの中から)「もともとは子孫繁栄と農作物の豊穣を祈る儀礼に使われた乗り物だったことで春との結びつきができたようだ。」
この説明でも納得がいきました。
女性という点については「デメテル」(ギリシャ)「ケレス」(ローマ)「フレイヤ」(北欧)を連想します。



Re:十と底、ゴビ砂漠

偽中国人 (2003/10/12 07:45)

■十と底
私は旧版の漢字源を持っていないので「底」の音の歴史的変遷は知りませんが、

拾(十)が古くは「dhi{e逆さ}p」という音を持っていたけれど、後に「dhi{e逆さ}p」という音を失い、代わりに近い音をもった「底」に『投胎=換骨脱胎=生まれ変わり』をしたのではないかと妄想しています。

「戈壁ゴビ」が満州語からの借用語かどうかは「蒙古語外来語辞典」(があればの話)でも調べないと分かりません。しかし「滅満興漢」を旗印とした辛亥革命までは満州族政権であったので、民国36年の序文のある辞海の編者の記憶も信憑性が高いのでは。

北京の俗語では満蒙人を「韃子、騒韃子」、蒙古兵を「勒得(蒙古語)兵=不好用の同義語」、日本人を「二本」と呼ぶそうです。90年ほど前の中国北方人は日常的に接していたので、満蒙語の知識も今の一般日本人の英語程度のものはあったのではと想像しています。

「十」との関連で杜牧の《江南の春》という詩の中に
南朝四百八『十』寺 なんちょう しひゃくはっ『しん』じ
http://www.tac-net.ne.jp/~kuroda/87kadowaki2.htm
と変な読み方をする句がありますね。
新版の漢字源の「十」の説明はあまりスッキリしませんが、長澤規矩也編《新漢和中辞典》三省堂の仮借文字、針の象形、その(針の)音を数字の十に借用したという説(漢語林も同じ説を採用)が非常に解り易いと思います。

ちなみに太公望呂尚がまっすぐな釣針で釣りをしながら、政界へのデビューを待ったという話が残っていますが、あれは餌が取られた結果、まっすぐになっている訳で、

直線の縫針状に削った竹を丸く環の様に曲げ、餌を接着剤代わりにして止め、魚がそれを飲み込んで、餌が魚の口の中で融けたり崩れたりすると、曲がっていた竹針がまっすぐに伸びて魚の開いた口が塞がらなくなり歯音、唇音、口蓋音が発音できなくなる仕組みです。



Re: Hajimemashite

Maniac C. (2003/10/12 05:28)

There seems to be two explanations.
One is : an abbreviatiaion of "Hajimete ome ni kakarimasu(I meet you at first)."
The other is : there used to be an old verb "hajimu" to mean "first to do something." If so, there used to be after that, i guess, "yoroshiku onegai moushimasu", which means: beginning at today i beg you to guide me well in everything.



Re: 季語?

Maniac C. (2003/10/12 04:50)

>らにいさん
なるほど、面白いですね。「蕎麦湯」以外を調べてみました。

■オーデコロン(香水)→夏は使用量が多いから。単純!
■休暇明け→夏休みが終わった。「二学期」と同義。
■甘酒→江戸時代は、夏が一番死亡率が一番高かったそうで。
甘酒は水分と栄養補給に適していたそうです。
■鞦韆(ふらここ)→農耕行事に由来すると(下記URL)。
http://www.nikkoku.net/ezine/kotoba/ktb043.html



Res: 性2(下)

Maniac C. (2003/10/12 04:37)

>tanabeさん
>>…形容詞の性分化について(省略)…
>参考文献は?
→参考文献は前回挙げた『印欧語』です。pp.134-5 を御覧ください。

>複数指標は英語にも man - *man-en 存在していました。
→「*man-en」という推定形は存じないのですが、参考文献は?
『英語学大系』にはGmcの推定形として複数主格 *manniz, 同対格 *mannunz, 同属格
*manno:n, 同与格 *mannumiz となっていますが。
 私が存じているのは、現代蘭語が man-mannen という対であること、中期英語及び
南部方言で複数語尾が –s 形にならず、 -en 形になるものが在ること、の2つですが、
これはどちらも、弱変化複数語尾を拡大適用したものです。

>ちなみに私の考えでは、
>文法性はアニミズムに
>源流があるんじゃないかと
>考えているですよね……。
→具象名詞の文法性の一部は、確かにアニミズムに基づいているでしょう。しかし、
アニミズムだけでは、抽象名詞までは説明できません。

>女性名詞でも -s を持つ名詞は存在する
→陽性名詞からの拡大です。

>それから第二に a 幹名詞の由来に関して本当にそれが
>後置定冠詞 *iH によるものなのかは極めて怪しいといわざるを得ません。
>(というか、参考文献は??)
→ -a:- 幹名詞の全てが後置定冠詞 *iH に由来するなぞとは申しておりません。
参考文献は『印欧語』pp.46, 70-3 を御覧ください。

>そもそも冠詞は PIE にはほぼ未発達だったわけで……。
→存じております。が、PPIEでは判りません。『印欧語』pp.71, 91 を御覧ください。

>……という通時的な見解と、
>論議の発端になった現代英語の性の有無という共時的な問題は、
>別個に考えたほうがいいのでは?
→表面上は別個の問題ですが、根底を流れる発想には共通のものが有ります。そこで
共時的な問題を述べるに当たって、その前提となる歴史的背景を明らかにしたのです。

(10/5分)
>ある言語に文法性がある、ということは、
>そこには文法性を基礎とした
>曲用なり活用のパラダイムが
>きちんと存在しているはずだと思うのですが……。
→私に対する論評なのか、U+3002さんへの論評なのか判りかねますが、私に対する
ものと解釈して回答します。
 アー・プリオーリーの存在としてはそのとおりです。しかし、拙論で述べたとおり、
印欧語における文法性はアー・ポステリオリーの存在なので、文法性の発達に合わせ
て形容詞の曲用も発達しました。が、セム系言語と違って、動詞の活用までには発達
しないうちに衰退してしまっています。

>なぜ -a語尾は中性複数と女性に用いられるのか(10/8にも同意の記述在り)
→『印欧語』pp.45, 51 を御覧ください。

>……実際、ラテン語 lex < *legs など子音幹名詞に多数、
>女性名詞にも -s がついている事例があるので、
>ぼくは中性名詞から女性名詞が現れたというのは、
>おかしいのではないかと思います。
→前稿で回答いたしました。10/8記事より、ご理解いただけたものと解釈しました。

>>印欧祖語〜古典語がどのようにして「文法的性」を
>>獲得するに至ったか、の過程を述べたものです。
>ここの部分、少しおかしいですよ。
>ヒッタイト語、ルウィ語、リディア語など古代語に
>性は存在するので。
→アナトリア諸語では「性」というよりは「生」の区別だと考えます。中性の中から
陰性が区別されて初めて「性」が獲得されたと考えます。



Res: 性2(上)

Maniac C. (2003/10/12 04:35)

>tanabeさん
>ヒッタイト語では主格が存在しない名詞もあるのをご存知ですか?
→いいえ、ヒッタイト語に関してはまだまだ勉強不足で。それはどのような種類の
名詞なのですか?

>>在るのは、主格と対格で語尾の異なる名詞群(一般に「通性」「汎性」などと呼ばれる)と、
>>語尾がゼロの名詞群(一般に「中性」と呼ばれる)だけです。
>中性は主格は語尾ゼロですが曲用はあります。
→済みません。これは私の書き方に非が在ります。「主格と対格の語尾がゼロの名詞
群」と書くべきでした。

>上記の現象(M.C.註: 英語の it や what が主格でも目的格でも同じ形であること)はゲルマン語にも及んでいます……が
>複数はこの限りではありません。
→具体的には、ゲルマン語派のどの言語でしょう? 参考文献は?
 英語自体がゲルマン語派なのですが。
 現代英語に関して言うならば、they の目的格 them が主格と同形でないのは、them
が中性対格ではなく、陽性与格に由来するからです。私はこれに関しては言及して
いません。又、what は単複同形ですから、やはり「この限り」で、誤りは有りません。
 古期英語では、3人称複数の人称代名詞も主格・対格共に hi:e です。指示代名詞
・定冠詞の3人称複数も、主格・対格共に tha: です(thorn/edh を th で代用)。
 現代独語では、3人称複数の人称代名詞は主格・対格共に sie ですし; 指示代名詞
diese, jene, solche; 関係代名詞 die; 疑問代名詞 was, welche も同形です。
 現代蘭語の3人称複数の人称代名詞は主格強形が zij 、対格強形が hen ですから、
これのことでしょうか。zij は本来、指示形容詞の陽性主格形ですが、hen は歴と
した人称代名詞の陽性対格形に由来します。根源的に異なる単語ですし、中性でも
ありませんので、語形が異なるのは当然です。弱形であれば、主格・対格共に ze で「この限り」です。さらに、疑問代名詞は、指示物が物の時の wat だけでなく、人の
ときの wie までも、性が中和され、単複同形で、主格にも対格にも使われます。
 所謂“西ゲルマン”はこの3言語で代表させます。
 所謂“東ゲルマン”は、当然、ゴート語になりますが、人称代名詞では、3人称
中性単数形は主格・対格共に ita で、複数形も主格・対格共に ija です。面白い
ことに陰性複数形も主格・対格共に ijos で同形になります。これは指示形容詞でも
同じで、中性単数形が thata, 同複数形が tho, 陰性複数形が thos と同形になり
ます。さらに疑問代名詞は、やはり単複同形で、中性形 hwa, 陰性形 hwo共に主格・
対格同形になります。つまり、主格・対格が別形になるのは、陽性と、陰性単数のみ
なのです。
 所謂“北ゲルマン”は、古期アイスランド語で代表させましょう。人称代名詞では、
陽性単数 hann, 中性単数 that (thorn をthで代用・以下同じ), 陰性複数 th{ae}ra,
中性複数 thau が、主格・対格同形です。主格・対格が別形になるのは、陰性単数と
陽性複数のみ。指示形容詞では、中性単数 that のみ主格・対格同形、複数は人称
代名詞と同じです。疑問代名詞は、中性単数 hvert, 同複数 hver, 陰性複数 hverjar
で主格・対格同形です。不定代名詞も同様に、中性単数 noekkut, 同複数 noekkur,
陰性複数 noekkurar で主格・対格同形です。
 というわけで、ゲルマン語派諸語を一覧すると、主格・対格同形になる代名詞の例
は、中性形のみならず、さらに増えます。



季語?

らにい (2003/10/11 20:55)

以前、国語の授業で俳句をやったとき、とても不思議に思うものがありました。
それは下記の季語とその季節です。何ゆえその言葉はその季節を指すのでしょうか?

 蕎麦湯・・・冬
 オーデコロン・・・夏
 休暇明け・・・秋
 甘酒・・・夏(最近では冬になっているようですが)
 鞦韆(ブランコ)・・・春

以上のこと宜しくお願い致します。
なぜ熱い甘酒を夏に飲む・・・?
他も季節に関係なく一年中あるものだし。(まあ、蕎麦湯は少し分かるような気が)



シュワルツェネッガーの語源

にれのや (2003/10/11 19:37)

【Schwarzenegger シュワルツェネッガー/シュヴァルツェネガー の語源】
■Duden の >>Familiennamen<< にて Schwarzenegger という姓の語源を調べてみました。
【Schwarzenegger】
   (1) バイエルンおよびオーストリアの姓。針葉樹 "schwarz-en 黒い" をからませた四つ目垣 (Gela¨nder, Spalier) の張り出し "Eck" のある家の住人の姓。
   (2) バイエルンの地名 Schwarzeneck シュヴァルツェネックに由来する出身地を表す姓。
(1)の 「四つ目垣の張り出し」 というのがイメージがわきませんが。垂直の 「四つ目垣 Spalier」 じたいは、Duden の >>Bildwo¨rterbuch<< に絵が載っています。
 -egger に終わるドイツ語系の姓には、ときどき出会います。本来は -ecker で、それが転訛したものが -egger ということのようです。以下に、-ecker, -egger に終わる姓を並べてみます。有名なところが入っていますね。
   Dannecker, Dannegger
   Honecker, Honegger
   Bernecker, Bernegger
   Heidecker, Heidegger
   Buchecker, Buchegger
   Defregger
   Schwarzenegger



地名

きしろふ (2003/10/11 18:42)

以前、「つくば」の語源についての書き込みがありましたが、『日本百名山を登る 上巻』(昭文社)によると・・・

 ○「聳え立つ」という意味のアイヌ語「ツクバ」から。
 ○「月の神が鎮座する平野」という意味の(同じアイヌ語かは分かりませんが)「ツクハ」から。

ちょいものでした(^^;)



是物

雲水 (2003/10/11 17:38)

文字の表記法と言葉の起源は、どうしてその表記が用いられるかという点では関係しますが、本来別々に考えるものでしょう。

「底」は、中国語文献全体のなかでは、そんなに多用されるものではありませんが、六朝の歌謡に集中してみられ、六朝に限っていえば、常用語彙なので、「そこらへんの辞書」にも見られると思いますよ。それから一般的にビン南語の本字研究でも「底」が本字であると言われているようです。今、「是物」を研究する人で、「是」=「底」を採る人はいないと思います。志村氏ですら、早くにこちらの説は、見直してしまいましたから。



ハンガリー(地名の世界地図)

佐藤和美 (2003/10/11 16:55)

『地名の世界地図』63ページ
1刷「しかし、そこに住むことになったマジャール人は、他からどうよばれようと、今日でも自称は「マジャール」であり、国名はマジャール・オルスザック Magyar-orszag(マジャール人)である。
 マジャールとは、ムガール(モンゴル人)が転訛したものと考えられ、ペルシア語で「強い人」を意味する。彼らがアジアからの移住者であることは、その名前の表記が私たちと同じように姓から書くことからもわかる。
 マジャール人は、騎馬民族としての攻撃力をいかしてドイツなどに勢力を拡大したが、やがてドイツでは中世騎士団が組織され、九五五年にはドイツがマジャール人に勝利した。しかし、彼らの別称ウイグールUigurs(おそらくウイグル地方からやってきたと思われていたので)が、やがてオグルOgre(人食い鬼)という怪物の語源になるほど、ヨーロッパ人に強い恐怖心を与え続けた。」

ここに一体いくつの間違いが含まれてるのか、自分の実力確認にチャレンジするのもいいかも。

14刷「しかし、そこに住むことになったマジャール人は、他からどうよばれようと、今日でも自称は「マジャール」であり、国名はマジャーロルサーグ Magyarország(マジャール人)である。
 マジャールとは、一説では、ムガール(モンゴル人)が転訛したものと考えられ、ペルシア語で「強い人」を意味する。彼らがアジアからの移住者であることは、その名前の表記が私たちと同じように姓から書くことからもわかる。
 マジャール人は、騎馬民族としての攻撃力をいかして東フランク王国などに勢力を拡大したが、やがてヨーロッパでは騎士団が組織され、九五五年にはマジャール人に勝利した。しかし、彼らは紀元前一〇〇〇年頃、ボルガ川流域にいた遊牧民オノグル族Onogurとかかわりのあったウゴル族Ugrianの一派であったことから、それがやがてオグルOgre(人食い鬼)という怪物の語源になるほど、ヨーロッパ人に強い恐怖心を与え続けた。」

大分変更されてるようですが、さてさて……。

1刷「マジャールとは、ムガール(モンゴル人)が転訛したものと考えられ、ペルシア語で「強い人」を意味する。」
14刷「マジャールとは、一説では、ムガール(モンゴル人)が転訛したものと考えられ、ペルシア語で「強い人」を意味する。」

「マジャール」ペルシア語由来説に関しては14刷では「一説では」が追加されてますが、『地名の世界地図』でさえ、「一説では」を追加せざるをえなかったということでしょうね。



是物、inner、ゴビ、反省話法

偽中国人 (2003/10/11 04:03)

■是物
高駒麗人さんご指摘の
>「什」は「十」と同音shi2で音韻の歴史は
dhi{e逆さ}p...
及び、雲水さんご指摘の
>六朝ころ歌謡に見られる疑問代詞の「底」と同源であり....
とは別の側面から同じことを言っているように見えます。

「底」が疑問を表わすことは「そこら辺り」の辞書で確認出来ます。
台湾ビン南語辞典でも
ti7 si5 底時=何時
ti7 tai7 底事=何事

kah4 li2 bo5 ti1 tai7
イ合 イ尓 無 底 事=It's none of your business.

■inner
地球を基準にして
inner planet内惑星=水星、金星。
outer planet外惑星=火星、木星、土星・・・。

内/外蒙古は中国を基準にして、領土内の蒙古、領土外の蒙古でしょう。

辞海によると
外蒙古Outer Mongoliaは蒙古之一部で、大漠の北に在り。
大漠即ち大沙漠、蒙古語で額倫と言い、満洲語で戈壁(ゴビ?)と言う。

日本の地図に載っている「ゴビ砂漠」って一体、
「サハラ砂漠」、「リビア砂漠」のように一応地区名としての「ゴビ」地区にある砂漠なのか、あるいは単に「砂漠」を意味する言葉の繰り返しなのでしょうか。

一見固有名詞のような「大島」という島や「大川」という川が日本中にあるように、「ゴビ砂漠」やGrand Canyon大峡谷が固有名詞であると錯覚しているだけなのでしょうか。

■反省話法
http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/~makoto/text/rondan/kakokei_index.html
先日某ラジオ局が「〜でよろしかったでしょうか」という表現について、北海道あたりでは「丁寧表現」として使っていると解説していましたが、実際にこの種の過去形を丁寧だと感じていらっしゃる方はいらっしゃいますか。英会話ではCan you〜やWill you〜の丁寧な言い方としてCoud you〜、Would you〜がありますが、英語の影響を受けた欧化話法なのでしょうか。

「ナポリタンでよろしかったでしょうか」などという表現は客の注文を聞いたウェイター/ウェイトレスが忘れてしまったり、注文を聞いたのとは別のウェイター/ウェイトレスが『反省をこめて』確認する時の言い回しだと思っていたのですが。



INNER 万人 木馬

Koma高駒麗人 (2003/10/10 04:41)

U+3002 さんへ
>Inner Mongrian Autonomous Regionでしたら「蒙古内自治区」のようにも思えます。
innerとinを混同してませんか?
なるほど。
しかし Inner とは何処にとって内側なのか。ブリヤートはロシア内蒙古でしょうか?

余談ですが「万人(ばんにん)」「木馬(もくば)」は呉音・漢音混成ですね。どうしてこういう読みになったのでしょうか?



re 言葉

鴛鴦 (2003/10/09 19:35)

>U+3002さん
なるほど、よく分かりました。
ありがとうございます。



Re: 蒙古内?

U+3002 (2003/10/09 15:59)

高駒麗人 さん
>Inner Mongrian Autonomous Regionでしたら「蒙古内自治区」のようにも思えます。

innerとinを混同してませんか?



Re: スイス

U+3002 (2003/10/09 15:18)

鴛鴦 さん
>>「書き言葉にラテン語を使うばあいと、母語をラテン文字で書くばあいと、2種類あった、ということではないですか?日本でも同じことがありました。」
>となると、具体的には日本ではどのようなことがありましたか?

書き言葉に漢文を使うばあいと、母語を漢字(万葉仮名)で書くばあいと、2種類ありました。



是物

雲水 (2003/10/09 11:20)

>まあ、手に取ることはないと思います。そこら辺の図書館にはまずありませんから。

前にも書いたんですが、中国語訳も出ていますから是非どうぞ。こういうことを論じるのに、そこらへんにある辞書だけでは、こと足りないでしょう。

>ビン南語で「甚麼」に相当するsi6mih8に「什物」と宛て字するようです。
>ai3ciah8sim2mih8愛吃什物 What do you want to eat?

si6mih8或いはsia6mih8ですね。やや古い世代ではmih8だけで疑問を表す用法もあるようです。当て字の書き方はいろいろありますが、本字研究では「是物」であるという説もあります。

>まさか「何物」を書き間違えて「什物」になることはないと思いますが。

「何物」から「物」が生まれた。じゃあ、「什」の方はなんだということになりますが、これについてもやや意見が分かれています。志村良治氏は最初、これは六朝ころ歌謡に見られる疑問代詞の「底」と同源であり、「底+物」で二つの疑問代詞の複合と考えていたようですが、後に、これは接頭辞の「是」ではないかという考えに修正されたようです。後者の説だと上のビン南語の「是物」というのが、ぴったりということになるようです。



什麼 中国内蒙古 蒙古内?

高駒麗人 (2003/10/09 05:25)

偽中国人さんへ

「学研大漢和辞典」では「什」は「十」と同音shi2で音韻の歴史は
dhi{e逆さ}p>{z口蓋化}iep>∫iei>{s巻舌}ï(shi2)
「shen2 は『什麼』の合音」だと書いてあります。

北も南も韓国:北韓&南韓
北も南も朝鮮:北朝鮮&南朝鮮
だから統一を望む事が出来るわけです。

Inner Mongrian Autonomous Regionでしたら「蒙古内自治区」のようにも思えます。
中国中心の考えによる名前でしょう。



ma物、合従連衡、モンゴル

偽中国人 (2003/10/09 04:35)

>志村良治氏の『中国中世語法史研究』
まあ、手に取ることはないと思います。そこら辺の図書館にはまずありませんから。

ビン南語で「甚麼」に相当するsi6mih8に「什物」と宛て字するようです。
ai3ciah8sim2mih8愛吃什物 What do you want to eat?

まさか「何物」を書き間違えて「什物」になることはないと思いますが。
「覚什」と「覚斤」
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1835013&tid=kfcmubd8a4k4xbf4a4na4a2a4kjfda4aaoca47a4dea4bba4sa4aba1a3&sid=1835013&mid=304

中国、台湾、朝鮮、韓国はまだ東西冷戦の中にあり、自分達の主張を国際的に認めさせれば、それが戦果になるわけです。
中国は中華民国という国名を世界地図から抹消し、台湾が中華人民共和国の一部であるということを国際的に認めさせるという戦果を挙げています。
韓国が北韓と呼び、北朝鮮が韓国を南朝鮮と呼ぶは、それぞれの政治的原則に基づいて一貫しているわけで、漢詩の用語でいえば一韻到底なのですが、
我が日本は全方位外交というのが国是であるので、双方に気を遣うことを原則としNHKなどは「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国」と言い直しして、相手により韻を換えています。

「韓国」という言葉には「国」という字が含まれていますから朝鮮民主主義人民共和国の公民を韓国人と呼ぶのは、朝鮮民主主義人民共和国が韓国の支配下にあると言っているようなものです。

盧武鉉大統領が英字新聞でRoh Moo Hyunと綴られるのは、多分本人が、伝統に基づいた「盧」の字音はRohであると認識しているからではないか。しかし日本のマスコミが「ノ・ムヒョン」と発音し、書くのは「ノ」という訛りがいかにも韓国的と考える在日韓国人の戦果ではないかと思う此の頃です。

英語で武士を「Samurai」と表現するのは「さむらい」が漢語からの借用語ではなく、いかにも日本的な響きがするからではないでしょうか。しかしシンガポールで出会った英国人は「サミュライ」と発音してました。

最近はどうか知りませんが日本の中学、高校では英国をEnglandと教えていました。しかし英国人は自分達の国をGreat Britain大不列顛と呼んでいました。確かサッカーの世界杯(ワールドカップ)にもイングランド・チームと英国チームとが出ていたような、日本側の呼称の矛盾を露呈する結果になりました。

サーズSarsが流行した時期、シンガポール駐在の我が日本国大使館はそのホームページ(主頁)で内蒙古自治区The Inner Mongrian Autonomous Regionのことをモンゴル内部と約して失笑を買いました。



印欧語の性

tanabe (2003/10/08 22:45)

>>Maniac C.さん
面白いお話をありがとうございます。

>  初めに、「参考文献」を提示しておきますが、印欧祖語の記述に関しては、ジャン・
> オードリー著、岩本忠訳『印欧語』(白水社)に基づいて記述しております。

この本は面白いですよね。
とってもいい本だと思っています。
著者も一流の比較言語学者ですし。
ただ、岩本さんの訳は
古英語以外の言語(ギリシア語など)は、
原著からの書き写し間違いが多く見られるのが、
気になるところです。
特にギリシア語の語尾とかマイナー言語の書き写し間違い、
参照ページの間違いなど非常に多いです。


> →pp.70-1 に有るとおり、「行為」や「行為者」を表す接尾辞 *-eH2- に遡り、本来
> は陰性名詞を作る辞素です。

即刻、女性名詞を作る接尾辞と判断するのは、
ちょっと早すぎる気がします。
中性複数は -a をとりますので。


>  第3変化名詞(i幹・子音幹)もかなり人工的に性が整理されています。

なんといいますか、こういった恣意的な整理などによって、
歴史的に男女の性が変化していて、
それゆえに共時的に様々な言語の性別を見る場合に、
通時的な検証はあまり役に立たないことが、
すでに了解していただけるのでしたら、
何も私から言うことはありません。

今回持ち上がった議題がなかったとしても、
この分野の問題を調べるのは本当に面白いですけどね。



Re^2: いろいろ(かなり辛口)

松茸 (2003/10/08 00:20)

 Maniac C.さまへ:

 当初の拙稿は2行あけで三つに分けてありますが、Maniac C.さま宛てのものは最初の一つだけです(二つ目はおもにU+3002さま宛て。三つ目はご想像にお任せします)。

 ここが「『言葉の世界』伝言板」である以上、〈言葉〉関連では発言の自由度が相当あるとは思いますが、それ以外の話題については(質問の類はともかく)《発言の前に調査・確認する》《最低限の学問的水準はクリアする》といった通常のマナーを要求してよいと考えます。

 太陽/月の神話の「先行研究」は膨大なものがあり、しかも現在の観点からは大部分がトンデモという状況(^^;ですので、とりあえず神話学(史)の概説書をお読みください(日本語のものとしては、最近では松村一男氏の諸著作が入手しやすいと思います)。



英語事情

鴛鴦 (2003/10/07 20:16)

下のレスの追加です。
載せたリンクで英語を公用語としている州を詳しくご覧になれます。

http://www.us-english.org/



re 「ハンガリー」

鴛鴦 (2003/10/07 20:03)

>高勾驪人KOMAさん
>「やっとわかりました。」
理解してもらえて光栄です。

最近知ったことですが(もしかして知らなかったのは自分だけ・・・? --;)、アメリカでは英語は法律で公用語としては認められていないということです。州によっては決まっているようですが。
ということは、アメリカでは公用語が無い?
逆に言うと、フランス語やドイツ語、スペイン語にイタリア語、ポルトガル語etcを使っても公用語になりうる?
でも、何ででしょう??う〜ん・・・(--;;)





雲水(通りすがり) (2003/10/07 10:48)

偽中国人さん

他の点はご理解いただけたということで、よろしいでしょうか。

>>>>>
「何物」が「疑問」を表わすのは誰でも納得すると思いますが、「何」を省略し、「物」だけで「疑問」を表わすというのは、そこら辺に転がっている辞書などをみても疑問臭を嗅ぎ出すことが出来ません。
>>>>

疑問の意味がma、meの方にあるということは、唐代の口語資料や現代の方言などで、ほぼ定説となっていると考えていいと思いますが、これが「物」から出たものであるという説は、まだ定説となっているとはいえないようです。これについては志村良治氏の『中国中世語法史研究』等を参考になさってください。数年前、中国語訳が出版され、手に入りやすくなりました。

私もこれについては、もともと「何」が疑問の意味を持っていたのに、複合したからといって、「物」に疑問の意味が生まれるのか疑問ですが(そういうことは全くないわけではないようですが)、これ以外に、説は出されていないようです。

しばらく前に、どなたか似たような問題でかかれていたような気がすます。

「説破」というわけにはいきませんが、如何でしょうか。



Res: 性1(下)

Maniac C. (2003/10/07 04:12)

>tanabe さん
>それから、もともと有生・無生の差が、
>語尾による規範的なものであるという考え方にも、
>私としては疑問を感じずにはいられません。
→pp.46, 129 を御覧ください。

>もし、無生から女性・中性になったのならば、
>女性名詞の多くは無語尾になっていなければおかしいわけですが、
>実際はラテン語などを参照するにそうはうまくいきません
→早期の羅語では中性以外の主格には全て規則的に -s が付けられたのでしょうが、
音声環境的に脱落したものが多く在ります。例えば、na:tio:<*na:tio:ns。逆に、
音声環境が許し、有生性を獲得できた単語は、-s がちゃんと残っているわけです。

>a幹名詞にしても、これは PIE から存在する伝統的なもの
→p.58に、喉音語幹は *-a:- 語幹と *-i:- 語幹に分類される、と有ります。釈迦に
説法かも知れませんが、一往説明しておきますと、*-eH2->*-a:-, *-iH2->*-i:- と
いう変化です。何の問題も感じません。

>中国式にする必然性がわかりません。
→「自然性(sex)と文法性(gender)の混同を避けるため」と直前に書いておきました
が?
 まあ、自然性の「男性」「女性」と文法性の「男性」「女性」が明確に区別できる
ような単語で、同じぐらいの短さでさえあれば、中国式でなくても良かったのですが、
代案が無かった、という事情も有ります。

>ヒッタイト語は確かに貴重な資料ですが、
>これがすべてを物語っているわけではありませんのでご注意を。
→ご注意、有り難う存じます。存じております。

>たとえば PIE にはあったと仮定される
>dual が存在しないのは有名な話です。
→「数」に関して述べた部分にも書きましたが、私は dual は印欧語族に本来的な
ものではない(恐らくセム系言語から輸入したもの)と考えています。一時期 PIE に
在ったのかも知れませんが、 PPIE に無かったのがヒッタイト語には継承されている、
と考えることも出来ます(この辺りは、格の数の仮定と同工の話です)。

>共通性・中性であったという考え方もある点が指摘されていません。
→common, animate は類義であまり差の無い術語と考え、前後の流れから後者を使用
しました。一往、「『通性』『汎性』などと呼ばれる」と「中」で触れています。

>この点の根拠が非常に薄いです。
>もし通時的観点から述べるのでしたら、
>引用・参考文献を提示していただけなければ
>信憑性にかけてしまいます。
→「能格的なものの発展をめぐって(10)」をもう一度お読みください。シールズ(1982)
です。

>確かに「かもしれない」とは言われています
→存じております。拙論はオードリーに則っています。

>PIE はアプラウトの非常に豊富な言語……
→アプラウトはアクセントによるものです。格語尾とは直接関係しません。

>無生>女性ならば、女性が -s 語尾を取らないはずですが、
>実際に IE の多くの言語では -s 語尾を取っていますよ。
→有生性を獲得できた単語の主格には全て規則的に -s が付けられるようになったの
だと考えます。最後まで抵抗したのが -a:- 幹名詞です。

>>名詞の分類基準は、名詞の意味(言語の外)に在ったわけです。
>??
→この場合の「名詞の意味」とは、その指示物が有生か無生か、ということです。



Res: 性1(上)

Maniac C. (2003/10/07 04:11)

>tanabe さん
>話をまとめると文法性が、
>実は語尾の膠着方法によって、
>分類されており、
>かつては有生物(animate)・無生物(inanimate)であり、
>それが能格言語であった痕跡ゆえに、
>目的語として取ることが出来たものが「有生(animate)」であり、
>取ることができなかった(難しかった)ものが「無生(inanimate)」の
>起源になったというご意見をおっしゃりたい、と
>いうところまではよろしいですね?
→部分的に異なる点が有りますが、大筋は宜しいです。
 初めに、「参考文献」を提示しておきますが、印欧祖語の記述に関しては、ジャン・
オードリー著、岩本忠訳『印欧語』(白水社)に基づいて記述しております。こちらは
tanabe さんの挙げておられる「古典」の著者の一人だと存じますので、当然、tanabe
さんも「掻い摘んで」で結構ですが、既にお読みであるものと、前提して以下の話を
進めて参ります。

>語尾の膠着
→p.32ff. に有りますように、名詞の場合、「語尾」は「格と数」を表す「辞素」の
ことですが、私は、それだけではなく「語幹」の中の行為や行為者を表す「接尾辞」
も、性の起源に関わったと考えています。そうでなければ、-a-幹名詞などの話ができ
ません。

>目的語として取ることが出来たものが「有生(animate)」
→能格で有標化されるのは目的語ではなく、(他動詞の)主語です。したがって、
主語として取ることが出来たものが「有生(animate)」です。

>nauta など例外
→pp.70-1 に有るとおり、「行為」や「行為者」を表す接尾辞 *-eH2- に遡り、本来
は陰性名詞を作る辞素です。羅語より希語の方が文法的性は未整理で、こちらでは
まだ ναυ´τηs は陰性名詞です。羅語では現実(自然的性)に合わせて陽性名詞に
変えられたのです。

>男性・女性の区別は語幹からは見て取ることが出来ません。
→それはそうでしょう。羅語では上述のように、かなり人工的に性が整理されており、
nauta や agricola のように、自然性の方を優先して原・陰性名詞が陽性名詞に変え
られたりしていますから。
 第3変化名詞(i幹・子音幹)もかなり人工的に性が整理されています。大抵、語幹
子音ごとに陰性か陽性か決まっていて、例外が有るな、と思うと、自然性が優先され
ています。例えば、pa:x, vo:x, lu:x, crux(, ついでに le:x も)は陰性ですが、dux
は自然性に合わせて陽性です。
 第4変化名詞(u幹)はほとんど陽性ですし、第5変化名詞(e幹)はほとんど陰性です。
 第4変化名詞は、主格形が –us なら第2変化名詞と同じですから、ほとんどが陽性
名詞になるのはご理解いただけますね? 例外的な陰性名詞がいくつかありますが、
anus, nurus, socrus は、やはり自然性を優先した結果です。colus も女性が持つ物
だからでしょう。manus も、比喩的に「生産的なもの」ととらえて擬人化された結果
です。porticus は語根 porta からの類推です。tribus は tri「3」+bu「在る者」
+s(主格語尾)という語構成であり、bu は bu<*bhu:-<*bheu- で、動詞語根のゼロ
階梯が行為者名詞となって、行為者=陰性という類推から陰性名詞になったものです。v  第5変化名詞の例外である die:s は、希語Ζευ´sに相当することを考えれば
陽性であるのが首肯できます。p.58 に有るように、die:s<*dye´w-s で、第2変化
名詞と同じく –us になるはずだったのが、*ew が融合して e: となったため、第5
変化名詞に分類されています。

>つまり、これは男性・女性・中性のうち、
>有生(animate)、無生物(inanimate)からの分化を考えた際に、
>有生から男性、無生から女性・中性になったとは考えにくいという、
>証明になりえるのではないでしょうか?
→上述のように、名詞の意味によっての再分類が行われ、純粋に文法的であった初期
状態から変化していますので、証明にはなり得ません。



ハンガリー

高勾驪人KOMA (2003/10/07 02:41)

>re ハンガリー 投稿者:鴛鴦  投稿日:10月 6日(月)19時54分01秒
これはもう文字を組み合わせるしかなさそうです・・・(--;;)
>高駒麗人Komaさん 「Hung[a+ ̄]ria」の前に「Hung[a+ ̄]rus」があるのを忘れていました。

やっとわかりました。
>ハンガリーの正式名称は「Republic of Hungary」ですが、ハンガリー語では「Magyar Népköztársaság」と表記するそうです。
「ハンガリー」は「オノグル(Onogur)人の国」という意味で、
「Onogur」→「Ungārus」(ラテン語)→「Hung[a+ ̄]rus」→「Hungāria」(西欧)→「Hungary」となったそうです。「フン(Hun)族の国」は俗説に過ぎないそうです。

こういうわけですね。



天橋児的把式

偽中国人 (2003/10/06 23:53)

雲水(通りすがり)殿
>maの語源については「何物」という疑問代詞から、「何」が省略されたものだと言われますが

「何物」が「疑問」を表わすのは誰でも納得すると思いますが、「何」を省略し、「物」だけで「疑問」を表わすというのは、そこら辺に転がっている辞書などをみても疑問臭を嗅ぎ出すことが出来ません。

「物」だけで「疑問」を表わすというLinguistic Factの証拠になるものを開示していただかないと、簡直是「天橋児的把式、竟説不練」−−まったく「風呂屋の釜」または「蕎麦屋の釜」でいう(湯、転じて言う)ばかり。

作麼生(そもさん)?



re スイス

鴛鴦 (2003/10/06 19:59)

スイスを忘れていました・・・(^^;)

>U+3002さん
>「書き言葉にラテン語を使うばあいと、母語をラテン文字で書くばあいと、2種類あった、ということではないですか?日本でも同じことがありました。」
となると、具体的には日本ではどのようなことがありましたか?
>「公用語のどれか1つに決めるとマズいからでは?」
確かに、例として英語を使ってしまうとドイツ語やフランス語やロマンス語も使えと言われるでしょうね。



re ハンガリー

鴛鴦 (2003/10/06 19:54)

これはもう文字を組み合わせるしかなさそうです・・・(--;;)

>高駒麗人Komaさん
「Hung[a+ ̄]ria」の前に「Hung[a+ ̄]rus」があるのを忘れていました。



Re:みそしる OR みそじる?

本読み (2003/10/06 18:13)

はじめまして、「逆引き広辞苑」を見ると、みそしるだけでなく幾つか「しる」と読むのもありますね。何となく語感からのような気がしますが。



みそしる OR みそじる?

のり (2003/10/06 15:35)

なめこ汁、青汁、豚汁。全部じると読むのに、みそしるだけは「しる」と発音するのはどうしてですか?連濁がおこらない理由はないように思えるのですが。



Re: スイス

U+3002 (2003/10/06 12:48)

鴛鴦さん
>歴史的に見ると、「スイス」と「ヘルヴェティア」とどちらが先になるのでしょうか?

歴史年表によれば、
1291 スイス誓約同盟(おそらく原語はドイツ語)
1789 ヘルヴェティア共和国
なので、国名としてはスイスのほうが先のようです。

>「文字を持たなかったケルト人、アレマン人が使用したのはラテン語です。彼等が自分たちの言葉を古いラテン語表記で発展させてきたのがドイツ語ですが」
>ドイツ語はゲルマン系で、ラテン語はロマンス系のはず。どちらも大本をたどるとおなじ言語にたどりつくのでしょうか?

書き言葉にラテン語を使うばあいと、母語をラテン文字で書くばあいと、2種類あった、ということではないですか?
日本でも同じことがありました。

>また、なぜ「Confederatio Helvetia」を使っているのでしょうか?

公用語のどれか1つに決めるとマズいからでは?



re:馬入(バニュウ)の知名の由来について

Maniac C. (2003/10/06 12:35)

「東海道五十三次/平塚宿 ◆歴史◆」
http://www.kitc.gr.jp/tokaido/hiratsuka/rekishi/hrekisi.html
「東海道五十三次−1」
http://m-yousan.hp.infoseek.co.jp/room2-8-1.html
「ご感想を送ってください」
http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei01.htm

須賀は須賀神社に由来し、祭神スサノオが出雲の須賀の地で宮を造った事に由来します。
「八雲立つ」
http://homepage3.nifty.com/nireyamajinja/sinwa/sinwas.htm
「一つの意見、お答えになっているかどうか」
www.kumanolife.com/guestbook/200308281825.htm

どちらもアイヌ語には無関係のようですね。



馬入(バニュウ)の知名の由来について

原 康夫 (2003/10/06 11:14)

 神奈川県平塚市に馬入(バニュウ)という地名があります、いつ頃からこの地名が称されたのか知りたいと思っています、南隣りに須賀(スカ)という地名がありますのでもしかしたらアイヌ語による由来があるかと思います、どうぞ語教示願います。



越南語

辻本裕幸 (2003/10/06 10:36)

越南語!最高ですね!こりゃ面白いや!小さな参考書借りて呼んでいますが、中国語学習者はこの言語をやるの有利だと思いますよ。(広東語もやってると尚良い。)
 語形変化が無いのが助かる。中国語のように音節ごとに言葉を切れる。そして面白いと思ったのは、動詞までも中国語起源ではないかと思える語があることです。べんきょうするhocは学じゃないか?よむdocは読じゃないか?とか。日本語や、朝鮮語だと「愛」するとか「健康」ハダとか、するやハダを足さないと動詞には成らないが、越南語では漢字一文字がそのまま、動詞にも成るのかもしれない。これにはおどろいた。しかし修飾語がみんな後ろに来るのも慣れたら楽しそうです。しかし反面この言語はストレスもたまる言葉です。生詞(セイシ)に出会うたび、「これは漢字で書けるんじゃないか?」とか疑いながら勉強しなくてはいけない。しかし良い辞書が三重のような田舎では売っていないんですよね。何万円もしてもいいので、なにか、スゴイ越南語の辞書ないですか?すべての単語が、漢字で書けるのか、書けないのかが分かる辞書。



maなど

雲水(通りすがり) (2003/10/06 04:40)

雲水、勝手にこの名前、いただいちゃいました。

「何物」という語は、六朝期に用いられ、既に唐代には通俗的な文章で「什麼」の別表記の文字が使われていたので、『中原音韻』で云々する必要はないでしょう。

それから『集韻』の例は有名ですが、これは「什麼」の用例としては早いものではなく、もともと起源的には「shX mX」というよりは、一つ目のXはm韻尾だったと言われています。

一般的に歴史的な変遷について言えば「shen−me」の「me」の方に疑問の意味があったとみなされており、「干麼」「干[0馬]」の方も、省略ではなく、「ma」自身に疑問代詞の意味があったと見なされていますが、恐らくこの説があまりにも一般的なために、省略(短縮された形式)ではありえないという説明をした論文なども、ないような気がします。どんなんでしょうね。

それから『辞海』の例は、一例目は、語気助詞の「口馬」の前身ですが、こちらは、六朝。唐代の文末の否定詞「不」「無」から出ているといわれるもので、上記のものとは関係ないようです。

二例目はくせもので、「麼哥」は文末だけではなく、文中にも突然現れ、当然必ずしも疑問を表しません。元曲には、この他「也那」など、意味不明の言葉が見られますが、現在のところではどの辞書も、語助などといわれるだけで、どのような役割であったかは、はっきりしていません。それから、「也麼哥」も元曲には非常によく見られる語で、《梧桐雨》『兀的不悩人也麼哥』の例は、「麼哥」ではなく、「也麼哥」の項目に収めるべき例でしょう。



高駒麗人殿<似て非なる広東語

偽中国人 (2003/10/06 02:07)

蒙御免、ここでは“c”をIPA Open Oの代わりに使わせていただきます。
広東話の語彙とそれに対応する普通話
声調番号の「1-」は陰平で高く平らな発音を表わします。「1」は高音から中音まで下降する声調です。
月光jyt6gwcng1-  月亮
買田mai5tin4    買地
地牢dei6lou4    地下室
死火sei2fc2     抛錨
一個字jat1-gc3dzi6 五分鐘
人工jan4gung1    工銭
衰人soey1jan4    壊家[イ火]
打令da1-ling4    愛人
八卦婆baat3gwa3pc4 長舌婦
花名fa1-mEng    外号
書友sy1jau2     同学
校友hau6jau2    工友
失礼晒sat1lai5saai3 太現世了
大耳窿dai6ji5lung1- 高利貸者
功夫gung1-fu1-    武術

最後の功夫gungfuクンフーは広東語を英語読みした間違いのため日本では「カンフー」として定着しています。
一個字などはシンガポールの福建人もマンダリン会話の中で使ったりします。
例:aiya、一点十一個字la。 快点睡覚ba。
「大耳窿」などはシンガポール、マレーシアの新聞記事にはほとんど毎日登場します。



幹麻、什麼

偽中国人 (2003/10/06 01:26)

通りすがりの雲水殿、忝い。
>maの語源については「何物」という疑問代詞から、「何」が省略されたものだと言われますが、この部分については、いまいち定説というには至っていないようです。

愛知大学編 中日大辞典では
干麼
を見出しとして掲げ、
干[0馬]
とも書く、とし、ピンインは
gan4ma2、
北京音として
ga4ma2
を挙げています。

辞海(中華書局版)によれば
幹麼/干[0馬]の見出し無し、然らば
【甚麼】 即什麼。詳什麼條。

高駒麗人殿
>「什麼」では *shiepma >shiemma >shemmeになり、ピンインでshenmeという表記になったようです。

【什麼】 不知其事物而用此為問也。按亦作拾没。《集韻》:『不知而問曰拾没;』《別雅》:『麼即没之平声、南北語音、有高下之不同、無定字也。』
という風に「shX mX」という白話を写したものということが判ります。(Xは任意の韻母)

通りすがりの雲水殿
>「何」が省略されたものだと言われますが...
《中原音韻》では
物 勿 u 入声入去声
没    mu入声入去声
麼    muo陰平
この時点では「物」はすでに声母(頭子音)『m』を失っていますので現代語と繋がりを説明するには説得力に欠けると思います。

辞海曰く
【麼】 疑問助詞。王建《宮詞》:『衆中遺却金釵子、拾得従他要贖麼?』
【麼哥】 或用助疑問語、例如元曲 《梧桐雨》『兀的不悩人也麼哥』。麼哥略如今語所用之麼。

趙元任Yuen Ren Chaoの《A GRAMMAR OF SPOKEN CHINESE》 University of California Reprinted in Taiwan Authorised Taiwan Editionの7.12によれば
疑問‘what'を表わす 麻ma は動賓構造「幹麻 gannma? ‘do what'」としてだけ現われる。
例えば [イ尓]幹麻吶 Nii gannma ne? ‘What are you doing?'

「何する‘do what'」から「何をするために」‘in order to do what'、何のために‘what for'、あるいは「何故」‘why'という風に意味を拡張して使う。
例えば
[イ尓]幹麻老哭? Nii gannma lao ku? ‘Why do you keep crying?'君は何故泣いてばかりいるの?
(中略)
いくつかの方言、たとえばTientsin(天津)では 麻maは単にa shorter form for sherme什麼の短縮形で什麼を使うことが出来るすべての場合に置き換え可能。
しかしPeiping(北平=北京)で麻maが使われるのは幹麻 gannma?だけである。
しかも幹麻は分離不可能である。(原文:is not even ionizable これは電解質が水に溶けたとき陽イオンと陰イオンとに電離することに例えたものであろう。呂叔湘の中文訳は“離子化”)
こういうわけで幹着麻? °gannj ma?や幹了麻  °gannle ma?という使い方は存在しない。
相(又は位相aspect)を表わす接尾辞を付けると麻maの代わりにfull formの什麼が使用される。
他幹過些什麼?Ta gann.guoh .shie sherme? What things has he done before?



スイスとハンガリー ハンガリー編

鴛鴦 (2003/10/05 22:22)

勝手ながら(笑)、つぎはハンガリーです。

ハンガリーの正式名称は「Republic of Hungary」ですが、ハンガリー語では「Magyar Népköztársaság」と表記するそうです。
「ハンガリー」は「オノグル(Onogur)人の国」という意味で、「Onogur」→「Ungārus」(ラテン語)→「Hungāria」(西欧)→「Hungary」となったそうです。「フン(Hun)族の国」は俗説に過ぎないそうです。
「マジャール(Magyar)」はモンゴル人を指すペルシア語のムガール「強い人」が転訛したものといわれているようです。

以上、国名で不思議に思ったスイスとハンガリーでした。m(_ _)m
http://bosei.cc.u-tokai.ac.jp/~hukaya_s/Pages/Japanese_Pages/TakatuSiminKan/%90%AC%90l-%93s%8Es%82%C6%95%B6%96%BE-2002-1.pdf



Szechuanなど

高駒麗人 (2003/10/05 21:42)

偽中国人さんへ
>北京話のNi shang nar quイ尓上那儿去と廣東話のNei hoey binduイ尓去邊度とはかなりちがっていると思います。
英語とドイツ語も語彙自体が違っている場合があります。中国の歌で北京語版と廣東語版で漢字も違うのは語彙が違うためでしょう。
例えばオランダ人が英語もドイツ語も話せるのは日本人にとって驚きですが、これは廣東人が台湾語や北京語を話すような物で不思議には当たりません。廣東人の官話はドイツ訛りの英語にあたりますね。昔はともかく今では香港人も普通話が上手になっているでしょう。それでも廣東語は中国北方でも有力で廣東語の歌がよく聞こえます。日本人が学ぶ必要性はあると思います。

>■Szechuan「四川」を日本風ではなく、中国風に発音すると、自然にzの音が発生します。
なるほど。よくわかりました。ピンインのzは実は tsz のようですし。
揚子江は Yangtze Kiangですがこれは山東發音 Yangze Giangでしょうか?「餃子」jiaoziも山東で giaozeですし。

>マンダリンのnとm普通話の「什麼」は辞書にはshen2me0と書いてあり、ゆっくりと発音すればその通りの発音ですが、普通の会話の速度ではshemmeとなります。
「什」は「十」と同音 *shiep>shiだったのですが「什麼」では *shiepma >shiemma >shemmeになり、ピンインでshenmeという表記になったようです。

中国で大都市の紹介文では、該当都市を[女也]ta(彼女)で現すことがあります。

映画『天地英雄』で中井貴一はちゃんと中国語を話していました。中井貴一自身の声のようでクチバクではなかったと思います。お見事。

「元」Yuanの音讀みも本来「グヱン」gwenでしょうが、漢和辞典では「ゲン」だけになっているものもあります。本居宣長が闇に葬ったとは初めて知りました。



スイスとハンガリー スイス編

鴛鴦 (2003/10/05 21:34)

最近の激論と比べるとかなり落ち着いていると思いますが・・・(^^;)

前から不思議に思っていた事がようやく分かりました。
スイスでのドメインが「ch」なのかということをです。「sw」とか「su」とかではないのかということもです。
スイスの本当の正式名称が「Confederatio Helvetia」とラテン語ということ。「ヘルヴェティア連邦」という意味になるそうです。
また、「スイス」の語源をしらべてみると、ドイツ語「Schweiz」→「Schwyz(シュヴィーツ)」から来ているとのこと。もっと突っ込むと、Middle High Germanの「Switz」、「Schwitzer 」もしくは「Schwytzer」と言えるとのこと。但し、「Switz」の語源は定かではないそうです。(下から2番目のリンク参照)
そして、「Helvetia(ヘルヴェティア)」はスイスの先住民族であるケルト人の「Helvetii(ヘルヴェティー)」に由来し、「Helvetia」は「Helvetii+ia」で「ヘルヴェティーの国」という意味ということのようです。
しかし、歴史的に見ると、「スイス」と「ヘルヴェティア」とどちらが先になるのでしょうか?
そしてこのリンクに「文字を持たなかったケルト人、アレマン人が使用したのはラテン語です。彼等が自分たちの言葉を古いラテン語表記で発展させてきたのがドイツ語ですが」とあるんですが、ドイツ語はゲルマン系で、ラテン語はロマンス系のはず。どちらも大本をたどるとおなじ言語にたどりつくのでしょうか?
また、なぜ「Confederatio Helvetia」を使っているのでしょうか?

http://uesawa.bei.t-online.de/rekisi/chimei/chimei-ch.htm
http://www.interq.or.jp/www1/infomat/info07090.htm


二重投稿

U+3002 (2003/10/05 19:06)

失礼しました。
ブラウザの挙動がおかしかったもので。

謝りついでに

>物理学の論議で、慣性の法側の文献を訊かれるようなものです。

ちょっとオーバーでした。多少は議論の余地があるので。
だとしても、「言語はデジタル」を追認するのに文献表示が必要になるほどではないとおもいます。



下の発言の訂正

tanabe (2003/10/05 18:50)

連続投稿すみません。

> ……実際、ラテン語 lex < *legs など子音幹名詞に多数、
> 女性名詞にも -s がついている事例があるので、

u語幹、e語幹に関しても同様です。
有田潤「インデックス ラテン文法」(白水社)などで、
簡単に見つけられます。



Re: 発音と文字の違い

U+3002 (2003/10/05 18:47)

>最近ずいぶんきついご発言が見られますが、
>ちょっと読んでいる側としてはビックリ……(^_^;

さいきん、論調のキツい方々にレスすることが多かったもので…
気をつけます。

>本当かどうかを知りたいときに、
>手がかりになるのは結局は文献なんですよ。

>完全に誤解されているようですね。
>知りたいのは U+3002さんの参照された文献ですよ。

どちらが主なのか不明瞭ですが…

「本当かどうか知りたい」なら、先に挙げた検索結果でも、生成文法のテキストでも、てきとうに選んでご覧ください。

「私が参照した文献」などはありません。
「参照」ではなく「勉強」のレベルです。
物理学の論議で、慣性の法側の文献を訊かれるようなものです。

尤も、そういうことを最初から説明しなかったのは私の落ち度かもしれません。

>何も言われずに「〜は〜です。」って
>言われてご覧なさいな。
>普通は「えっ? えっ?」となるのが当然ではないですか。

対面して問答しているわけではありません。
最低でも、まず検索してください。
質問・反論・罵倒はそれからです。

>まず、分からない人には
>その辺から説明してあげなきゃ。

関係ないことまで説明する必要はありません。
音声と音素の違いなどが、話題になっていたでしょうか。

>ポイントは「発音」。
>>文字と発音は一緒にはならない。

「文字」は文字言語、「発音」は音声言語の意味と解釈しました。
どこかおかしいですか?

ひょっとして「発音」=「音声」と思っています?

>パイクってチョムスキーより昔……??
>二人ともまだご存命のはずですが。

パイクとチョムスキーの没年に興味はありません。
tanabeさんが挙げたパイク『音声学』は1943で、チョムスキー『文法の構造』さえもまだ出ていません。
なんにせよ、私の言いたかったのは「古すぎる」ということです。

>古典や名著は読んでいて当然でしょう。

文芸や芸術をやってるわけじゃありません。
意義があるのは研究であって、研究者でも研究書でもありません。
『古典や名著』に価値はないんです。



性の起源。なるほど & いろいろ(かなり辛口)

tanabe (2003/10/05 18:32)

ある言語に文法性がある、ということは、
そこには文法性を基礎とした
曲用なり活用のパラダイムが
きちんと存在しているはずだと思うのですが……。

以下、少々気になった点を;
> 適当な「先行研究」をご紹介いただけないでしょうか。

時間がかかるかもしれませんが、
以前論議になった通時的な文法性に関しての
なぜ -a語尾は中性複数と女性に用いられるのか、
女性に -s がつかないのは本当か、などの問題は
様々な先行研究が存在しますので、
有名どころだけでも、
一通り目を通しておいたほうがいいですよ。

……実際、ラテン語 lex < *legs など子音幹名詞に多数、
女性名詞にも -s がついている事例があるので、
ぼくは中性名詞から女性名詞が現れたというのは、
おかしいのではないかと思います。

> 印欧祖語〜古典語がどのようにして「文法的性」を
> 獲得するに至ったか、の過程を述べたものです。

ここの部分、少しおかしいですよ。
ヒッタイト語、ルウィ語、リディア語など古代語に
性は存在するので。



発音と文字の違い

tanabe (2003/10/05 17:37)

「いまいち意味がわからない。」とか
最近ずいぶんきついご発言が見られますが、
ちょっと読んでいる側としてはビックリ……(^_^;
といっても、私の発言も少々冷たいところがあって、
反省する点はおおいにあり、ですが。

> こんなものに文献が必要ですか?

こんなもの……(^_^;;。
Maniac C.さんにも文献を気にしていると
言われてしまいましたが、
文献はいわば捜査の手がかりです。

本当かどうかを知りたいときに、
手がかりになるのは結局は文献なんですよ。

それにここは多くの方が見ている掲示板ですので、
その辺をご留意くださいね。

> 言語の離散性は、言語学の常識だと思っていましたが。
> どうしても文献が欲しければ:

完全に誤解されているようですね。
知りたいのは U+3002さんの参照された文献ですよ。
だって、何も言われずに「〜は〜です。」って
言われてご覧なさいな。
普通は「えっ? えっ?」となるのが当然ではないですか。

> あたりまえです。
> しかし、そんな話は誰もしていません。Shusanさんの書き込みは読みました?
> (Shusanさんが「そういう話をしていた」というなら、私の読解力不足です)

まず、分からない人には
その辺から説明してあげなきゃ。
自分が知っていることを
誰もが知っているとは限らないのですよ。

ポイントは「発音」。
参照

> 文字と発音は一緒にはならない。というのが小生の考えです
> (「素人の考えなど載せないで」とおっしゃる声も聞こえてきますが)

> 「連続性」? そんなことどこに書いてます?

すみません。誤読です。
この辺、承知したので無視してください。

> 言語のデジタル/アナログ論で、チョムスキー以前の文献を出されても、ハナシになりません。

パイクってチョムスキーより昔……??
二人ともまだご存命のはずですが。

……それにしても
チョムスキーにしても先行研究があったからこそ、
今の研究がまっとう出来ているわけです。

それとも最近ではそういった先行研究は無視するのが、
言語学のブームなのでしょうか?

> また、ネットで典拠を示すときは、オンライン化されたものを示すのが好ましいでしょう。
> 2世代も昔のカビの生えた本を、「読んでて当然だ」という態度で出されても困ります。

いや、古典や名著は読んでいて当然でしょう。
これはどの学問をやっているにしても、です。
仮に U+3002さんが専門で言語学をやってらっしゃるんでしたら、
最新のものだけ読んでいるのは良くないです。
でも余計なお世話ですね……。失礼しました。



Re: 文法的性

U+3002 (2003/10/05 15:44)

Maniac C.さん
>>恐ろしく、いやな船なら、男性扱いすることになりますが、そういう用例はあるでしょうか?
>→管見では、有りません。何せ、she の例すら、極わづかなのですから。
> コトバは社会的なものですから、一個人が恣意的に男性扱いしても、一般の人にも
>「恐ろしく、いやなモノ」として通じなければ、伝達の機能は果たせないでしょう。
> 小説など、読者と諒解が取れる特殊な状況下であれば、「恐ろしく、いやな船」を
>男性扱いすることも不可能ではないと考えます。

「不可能ではない」では不十分でしょう。
女性的な船を女性扱いするのとおなじくらいの自然さで、男性的な船を男性扱いできないと、そこには「適格性」以外の何かが働いていると考えるべきでしょう。

現在sheを主に使用するのは(少なくとも私が見るのは)、主に戦記文学ないし軍事記事です。
「恐ろしく、いやな船」をheで受けうる場面はじゅうぶんにあるとおもいます。

> もし、貴殿の論法を日本語にも敷衍しますと: 鮎は「清流の女王」、岩魚は「清流
>の王」と呼ばれ、この逆は在りませんので、「鮎」は陰性名詞で「岩魚」は陽性名詞
>である、と言うことになりますが、如何でしょう。

しかし、鮎に対し、(sex不明のとき、あるいは、sexに反して)「彼」より「彼女」をよく使うということはありません。

これは、shipをheで受けることにではなく、「King of the Beasts」などに相当する語法だと思います。
「King of the Beasts」と言えども、lionをheで受ける傾向があるわけではなく、lionが男性名詞だとは主張できないでしょう。

>>タミル語の文法的性は、……、「文法的性」と呼ばれます。
>→タミル語については残念ながら存じませんので、コメントできません。タミル語の
>「文法的性」とは、どんな性質を持ったものなのか、ご説明いただけないでしょうか。

私も多くは知りませんし、今回の議論とは関連が薄いでしょうから、割愛させていただきます。

> 想像するに、–schiff とか –boot と付くような中性の単語を使っていたのが、王令
>で -er 形の別単語を使うようになった、ということではないでしょうか。

そうかもしれません。

ならば別の例として、日本語の名詞範疇の話になりますが、ウサギを羽と数えることはどうでしょう。
これは、「ほんらい匹だったが、宗教上の理由でウサギを鳥とみなした」とされています。



Res: 性の起源。なるほど & いろいろ(かなり辛口)

Maniac C. (2003/10/05 15:21)

>にれのや師匠
>Maniac+Maniac C. どの
→ Maniac+Maniac=2Maniac で、Too Maniac という洒落ですね。
感嘆のお言葉を頂き、有難う存じました。もしご面倒でなければ、どの辺りの用語が
不明だったかお教え頂ければ、別な表現に書き改めるなり、詳説を加えるなりさせて
いただきます。

>松茸さま
>神話学・民族学関連で……不正確・非学問的なことを書き込むのは、ご遠慮いただけないでしょうか?
→学問的な内容の文章の一部として「不正確・非学問的なこと」を書き加えたのは、
そのような判別の知識を持ち合わせない読者に誤解を招く行為であったと、その点に
関しましてはお詫び申し上げます。
 しかし、この伝言板は、学問的な文章しか書いてはいけない、という規則は無い
と認識していますし、学術的な論文であれば、tanabe さんの仰るとおり、学術論文
たる体裁を整えて、学会誌に投稿します。きちんと判別できるように書かなかった
私に非が有るのですが、この伝言板では、「《英語と日本語は同祖》レヴェルの不
正確・非学問的なこと」と仰る多少のエンタテインメントは、狂信的に自分の意見が
正しいと主張して他人の意見を一切聞き入れない、というようなことが無い限り、
つまり、学問的な指摘をされたら己の無知を認めて引っ込めるぐらいの良識・潔さが
有れば、許されるのではないでしょうか。目くじらを立てて一切ご遠慮ください、と
仰るのはあんまりだと愚考します。

>せめて先行研究を参照した上で
→厚かましいお願いで恐縮ですが、松茸さまの批判を買わぬよう、これから勉強
いたしたく存じますので、適当な「先行研究」をご紹介いただけないでしょうか。

>《自然性をもたないものを擬人化する際の性別が(ほぼ)決まっている》というのは、あくまで語用論や意味論の問題
→「文法的性」を持たない言語では仰るとおりだと存じます。しかし、例えば、(tanabe
さんが参考文献を気になさるようですので示しますが)『初めてのロシア語』(中澤
英彦著、講談社刊、pp.85-6)に拠れば、ロシア語では、自然性をもたないものを擬人
化する際には「文法的性」に基づくそうです。同書にはカシ・カエデ・グミ・ヤナギ・
白樺・スプーン・ナイフの例が挙げられています。

>*文法的*性をそこまで拡張して考えるのは不当
→「文法的性」を「拡張して考え」ているのではなく、本来「文法的性」の無かった
印欧祖語〜古典語がどのようにして「文法的性」を獲得するに至ったか、の過程を
述べたものです。

>《自分の気に食わない言語的制度・慣習に関して、不平不満を垂れ流している》としか形容できない書き込みが散見されます。
→私の『性の起源』に関しては、特段「気に食わない」とか「不平不満」を言って
いるつもりは無いのですが、そう受け止められたとすれば、残念としか言えません。
もし、特にそのように感じられる記述が具体的におありでしたら、今後、そのような
表現は差し控えるよう留意いたしますので、ご教示ください。
 私の記事に関してでないのなら、一々の記事に関して、その旨を指摘していただか
ないと、それぞれの投稿者が気付くことも無く、松茸さまのご意向は反映されないか
と懸念いたします。



Re: 文法的性

U+3002 (2003/10/05 15:15)

Maniac C.さん
>>恐ろしく、いやな船なら、男性扱いすることになりますが、そういう用例はあるでしょうか?
>→管見では、有りません。何せ、she の例すら、極わづかなのですから。
> コトバは社会的なものですから、一個人が恣意的に男性扱いしても、一般の人にも
>「恐ろしく、いやなモノ」として通じなければ、伝達の機能は果たせないでしょう。
> 小説など、読者と諒解が取れる特殊な状況下であれば、「恐ろしく、いやな船」を
>男性扱いすることも不可能ではないと考えます。

「不可能ではない」では不十分でしょう。
女性的な船を女性扱いするのとおなじくらいの自然さで、男性的な船を男性扱いできないと、そこには「適格性」以外の何かが働いていると考えるべきでしょう。

現在sheを主に使用するのは(少なくとも私が見るのは)、主に戦記文学ないし軍事記事です。
「恐ろしく、いやな船」をheで受けうる場面はじゅうぶんにあるとおもいます。

> もし、貴殿の論法を日本語にも敷衍しますと: 鮎は「清流の女王」、岩魚は「清流
>の王」と呼ばれ、この逆は在りませんので、「鮎」は陰性名詞で「岩魚」は陽性名詞
>である、と言うことになりますが、如何でしょう。

しかし、鮎に対し、(sex不明のとき、あるいは、sexに反して)「彼」より「彼女」をよく使うということはありません。

これは、shipをheで受けることにではなく、「King of the Beasts」などに相当する語法だと思います。
「King of the Beasts」と言えども、lionをheで受ける傾向があるわけではなく、lionが男性名詞だとは主張できないでしょう。

>>タミル語の文法的性は、……、「文法的性」と呼ばれます。
>→タミル語については残念ながら存じませんので、コメントできません。タミル語の
>「文法的性」とは、どんな性質を持ったものなのか、ご説明いただけないでしょうか。

私も多くは知りませんし、今回の議論とは関連が薄いでしょうから、割愛させていただきます。

> 想像するに、–schiff とか –boot と付くような中性の単語を使っていたのが、王令
>で -er 形の別単語を使うようになった、ということではないでしょうか。

そうかもしれません。

ならば別の例として、日本語の名詞範疇の話になりますが、ウサギを羽と数えることはどうでしょう。
これは、「ほんらい匹だったが、宗教上の理由でウサギを鳥とみなした」とされています。



Re: 発音と文字の違い

U+3002 (2003/10/05 15:13)

tanabe さん
>> >「発音はアナログ、文字はデジタルで一緒にならない」
>> 言語は(少なくともヒトの言語は)、全てデジタルです。
>参考文献は? 言い切るからには証拠を示しましょう。

こんなものに文献が必要ですか?
言語の離散性は、言語学の常識だと思っていましたが。
どうしても文献が欲しければ:
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E8%A8%80%E8%AA%9E+%E9%9B%A2%E6%95%A3+%E7%94%9F%E6%88%90%E6%96%87%E6%B3%95&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=

>「発音される」音はアナログであり、
>「認識される」音はデジタルなのではないでしょうか?

あたりまえです。
しかし、そんな話は誰もしていません。Shusanさんの書き込みは読みました?
(Shusanさんが「そういう話をしていた」というなら、私の読解力不足です)

>> 音声もまた、有限種類の音素の離散的な連なりです。
>音声は被観察的な音であり、
>音素は一定集団からの約束的な音なので、
>そこには連続性は存在しないと思います。

「連続性」? そんなことどこに書いてます?
ひょっとして、「離散的な連なり」のことですか?
「離散」は「連続」の対義語です。「連なり」は「sequence」の訳語で、連続性とは無関係です。

>パイク「音声学」に詳しいです。
>悪いことは言いませんから読んでみましょう。

言語のデジタル/アナログ論で、チョムスキー以前の文献を出されても、ハナシになりません。

また、ネットで典拠を示すときは、オンライン化されたものを示すのが好ましいでしょう。
2世代も昔のカビの生えた本を、「読んでて当然だ」という態度で出されても困ります。



Res: 文法的性

Maniac C. (2003/10/05 14:03)

>U+3002さん
>恐ろしく、いやな船なら、男性扱いすることになりますが、そういう用例はあるでしょうか?
→管見では、有りません。何せ、she の例すら、極わづかなのですから。
 コトバは社会的なものですから、一個人が恣意的に男性扱いしても、一般の人にも
「恐ろしく、いやなモノ」として通じなければ、伝達の機能は果たせないでしょう。
 小説など、読者と諒解が取れる特殊な状況下であれば、「恐ろしく、いやな船」を
男性扱いすることも不可能ではないと考えます。
 或いは、船の所有者が女性で、愛着を感じて he と表す場合の方が、上の場合より
も有り得そうです。

>それがないことが、船をsheで受けるのがたんなる慣習ではなく文法だと私が主張する理由です。
→慣習か文法かという点で、私と認識を異にする、ということは解りました。
 しかし、「船」という特殊な語に反対の意味を内包するステロタイプが存在しない
からと言って、それを直ちに「文法」と認めるわけには参りません。広義に、語用論
まで「文法」に含める立場でなら、問題は無いと思いますが。私は、狭義に、言語
能力(competence)と言語運用(performance)とは分けて議論したいのです。申し添え
ますが、「船は無生物であるから、it で表す」と言うのは、英語の「文法」で言語
能力ですが; 「船は時として、大事なもの・いとしいものとして、she で表すことが
ある」と言うのは、「慣用」で、言語運用であり; 且つ「船を、恐ろしいもの・いや
なものとして、he で表すことは恐らく無い」とするのは、「文法性(grammaticality)」
の問題ではなく、「適格性(well-formedness)」の問題です。

私が擬人的性を「慣習」とする理由を、改めて挙げておきます。
1.科学的・客観的な記述では it で承ける。こちらが原則で、使用頻度も高い。
  扱いは常に it で一定である。
2.文学的・主観的記述では he/she で承けることがある。こちらは修辞的用法で、
  使用頻度は低い。
3.同一の名詞でも、擬人的性は、状況によって扱いが変わる。
  例えば、荒れた「海」は男性扱いだが、穏やかな「海」は女性扱いになる、など。
4.同じ脈絡の中でさえ、自然的性(it)と擬人的性(he/she)とが交代し得る。
 私の考える「文法的性」とは、常に単語(の意味)と1対1に対応するもので、文体
や状況によって左右されないものです。加えて、何らかの語形の差が(「文法的性」の
有る他の印欧諸語では)有るものですが、英語は極端に語形が摩滅していますので、
この性質を英語で問うのはやめておきましょう。

 もし、貴殿の論法を日本語にも敷衍しますと: 鮎は「清流の女王」、岩魚は「清流
の王」と呼ばれ、この逆は在りませんので、「鮎」は陰性名詞で「岩魚」は陽性名詞
である、と言うことになりますが、如何でしょう。私の見解は、日本語には「文法的
性」は無いのであるから、そんなことは言えない、です。

>もし、「shipを 、大事なもの・いとしいものとするのはいいが、恐ろしいもの・いやなものとしてはいけない」ということを言語が規則として要請しているとしたら、それは「文法的性」でしょう。
→いいえ。一般的に考えて、後者の状況が現実として極めて少ない・考えにくい(適格
性が低い)というだけで、別段、言語が文法規則(潜在的知識)として要請しているわけ
ではありません。

>shipは女性名詞になった。
→常に女性代名詞で承けるようになったのなら、首肯致します。が、現実は特殊な
場合だけですので、ship は、自然的性で分類するならば中性の(男性でも女性でも
ない)名詞です。この「中性」と言うのは、中性形の冠詞・形容詞と結びついていた、
古期英語時代の文法的性の「中性」とは別ものです。

>これが、「かつてshipは中性名詞だった」ことと断絶していることは問題ではありません。
→この点に関しては、認識は共通であると考えます。

>タミル語の文法的性は、……、「文法的性」と呼ばれます。
→タミル語については残念ながら存じませんので、コメントできません。タミル語の
「文法的性」とは、どんな性質を持ったものなのか、ご説明いただけないでしょうか。

>「軍艦」というのは、KreuzerとZerstörerだとおもいます。
>これらが、ほんらいはSchiffと同じ中性だった、ということのようです。
→なるほど、「巡洋艦」と「駆逐艦」だったのですね。辞書で見つからない理由が
解りました。
 -er は、元々陽性の接尾辞です。「空母」Flugszeugtraeger も「給油船」Tanker も
陽性です。ネットで検索してみましたが、仰るような記述は日本語で1件、掛かった
だけで、独語では掛かりませんでした。
 想像するに、–schiff とか –boot と付くような中性の単語を使っていたのが、王令
で -er 形の別単語を使うようになった、ということではないでしょうか。



RE:超難解

きしろふ (2003/10/05 13:15)

>「>『Maniac C.さん』を二度つけてしまいました。すみませんm(_ _)m
→いえ、何も。お気になさらず。」
そう仰って頂けると幸いです。
>「ナワトル語/ナワトル語群は、アステカ語を含む、メキシコ中部の言語群のことです。」
なるほど、「ナワトル語/ナワトル語群」の中に「アステカ語」があるということですね。



Res: 超難解

Maniac C. (2003/10/05 12:44)

>きしろふさん(9/27)
済みません、「文法的性」への返信と「性の起源」を優先してしまい、その後、
仕事が立て込んで、この伝言板に書き込む気力・体力が有りませんでした。

>アステカ語はナフワートル語と同じなのでしょうか?
→まづは訂正から: ×「ナフワートル」→◎「ナーワートル」でした。
ナワトル語/ナワトル語群は、アステカ語を含む、メキシコ中部の言語群のことです。

>「Maniac C.さん」を二度つけてしまいました。すみませんm(_ _)m
→いえ、何も。お気になさらず。



{口馬}

通りすがり (2003/10/04 17:46)

>>口語体の「干[0馬]ganma」も「干什麼」の「什」が早口の為に消失したものでしょう。

「干[0馬]ganma」は歴史的には「干什麼」の省略ではなく、「口馬ma」自身に疑問代詞の意味があると言われています。「什麼]の歴史的な変遷(簡単にいうと、疑問の意味は「什」か「麼]か、或いは両方かということ)を論じるのに時々言及されます。客家語、ビン南語などで、maのような音だけの疑問代詞も見られます(ビン南語では、殆ど廃れつつあります)。

maの語源については「何物」という疑問代詞から、「何」が省略されたものだと言われますが、この部分については、いまいち定説というには至っていないようです。



北京語と廣東語

偽中国人 (2003/10/04 06:34)

>北京語と廣東語は英語とドイツ語くらい違うという事はよく言われますが、英語とドイツ語の場合は「よく似ている」事が話題になります。では北京語と廣東語は英語とドイツ語くらい互いに似ているわけですが、北京語と廣東語について「似ている」という評価が出ることはまずありません。

中国語世界では次のようなことがよく言われています。
天不怕地不怕,最怕廣東人説官話
http://shuwu.com/ar/fanti/117105.shtml
「 天 不 怕 , 地 不 怕 , 只 怕 廣 東 人 講 官 話 」 。
http://www.truth-monthly.com/issue69/9906mi05.htm
世の中に恐いものはない。廣東人が官話(マンダリン)を話すことを除いては。
この外にも清朝の乾隆帝だったか康煕帝だったかが、何故廣東人の官話はこのように聞き取り難いのかと慨嘆したという話も伝わっています。

>ドイツ語のFreundと英語のfriend、Mutterとmotherはよく似ています。では廣東語のpangyau(朋友)と北京語のpengyou(朋友)もよく似ているわけです。

北京話のNi shang nar quイ尓上那儿去と
廣東話のNei hoey binduイ尓去辺度とは
かなりちがっていると思います。

■Szechuan
「四川」を日本風ではなく、中国風に発音すると、自然にzの音が発生します。
1.先ず東京方言の「ウ」を発音するように口を少し開け、唇を横に引きます。
2.更に思いきり唇を横に引いて「s」の子音を出します。
3.無声音の「s」を出しながら声帯を振るわせると「z」のような音に変わります。

これが正しい「si」の発音の仕方で、Szechuanという綴りはその様子を忠実に描写したものです。これをかなり大袈裟に誇張してカナで標記すれば「スズチョワン」となります。

■マンダリンのnとm
普通話の「什麼」は辞書にはshen2me0と書いてあり、ゆっくりと発音すればその通りの発音ですが、普通の会話の速度ではshemmeとなります。更に早口になるとshe'me、
もっと早くなると什麼時候she'm' sh hou、イ尓是什麼人Ni sh shem' ren、
イ尓叫什麼名字[0阿]Ni jiao she'mingzaなどとなります。

口語体の「干[0馬]ganma」も「干什麼」の「什」が早口の為に消失したものでしょう。

■「鉉」の日本語音讀は「ケン」「ゲン」ですね。
旧カナでは漢音クヱン、呉音グヱンです。
全訳漢辞海の1633頁「歴史的字音仮名遣い」によると
鎌倉室町以前には、「玄」「還」の字音表記にグヱンが見られるが、本居宣長によりクヮ型以外の合口音が闇に葬られた。
とあります。
今後グヱンという字音を復権させる漢和辞典が増えてくるでしょう。



ウォッチングや自分自身の意見について

tanabe (2003/10/04 00:15)

>>高駒麗人Komaさん
>>辻本裕幸さん

名指しは好きではないのですが……;
各種言語系HPのウォッチングや自分自身の意見は、
こちらの伝言板の主旨とは違うのではないでしょうか?
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/bbs/delay_bbs.htm
をご熟読の上、投稿ボタンを押されるように、
ご自制をお願いいたします。

自己表現としての言語行為なら、
言語系なら日本言語学会
民族に関してなら日本民族学会で
論文で提出する機会もありますし、
また自分の Webサイトで自己表現するという手段もあります。
2ちゃんねるの言語板も多少汚い言葉は使われていますが、
色々と的を射た意見が見られるので、
お薦めいたします。



発音と文字の違い

tanabe (2003/10/03 23:12)

> >「発音はアナログ、文字はデジタルで一緒にならない」
>
> 言語は(少なくともヒトの言語は)、全てデジタルです。

参考文献は? 言い切るからには証拠を示しましょう。

「発音される」音はアナログであり、
(cf. 服部四郎「音声学」(岩波全書)1p. 冒頭および 53p. §3.11)
「認識される」音はデジタルなのではないでしょうか?
(cf. 服部四郎「音声学」(岩波全書)147p. §7.1)


> 音声もまた、有限種類の音素の離散的な連なりです。

本当に? 絶対?
ぼくは違うと思いますよ。
音声は被観察的な音であり、
音素は一定集団からの約束的な音なので、
そこには連続性は存在しないと思います。

………… phonetic と phonemic の違いについては、
パイク「音声学」に詳しいです。
悪いことは言いませんから読んでみましょう。



Shinbashi Shimbashi

高駒麗人Koma (2003/10/03 23:00)

http://www.lizi.com/qingdao/etcf.html
青島Qingdaoの海天Haitian大酒店にある料理店「新橋」。写真で「新橋」の下にShimbashiとあります。しかしホテル内の倶楽部「New新橋」へ続く案内版ではShinbashiとあります。
音素表記 sinbasi
音声表記 ∫imba∫i

中国語では「新橋」は Xinqiao「シンチアオ」なので問題ありません。

アンパンマンは、
音素表記 Anpanman
音声表記 AmpammaN

日本人が普通に發音すると ampammaNになります。
『アムパーマン』ですと amupa:maNになります。

ambitiousはカタカナで「アンビシャス」になり「アムビシャス」とは書かれません。
computer>「コンピュータ」も同様です。「ン」がpbmの前でmになるということはpbmの前のmは「ム」でなく「ン」になるわけです。
impossible(不可能)のim(不)は本来 in-ですがpの前なのでimになるわけです。

Shinbashiという表記はShinjuku(新宿)との関連性からShinになるのでしょう。
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=new+shinbashi&hc=0&hs=0

綴りがShinbashiでも日本人が読むとShimbashiになります。
Shinbashiのnをbの前でもnのままで發音するのは難しいですから。
(舌を上歯茎につけてから唇を閉じる)

http://www.nissy.com/sinbasi/



「n」?「m」?

きしろふ (2003/10/03 21:29)

また余計ですが・・・

以前にもこの掲示板で「新橋」のローマ字つづりが「Shinbashi」でなく「Shimbashi」なのかという話題があがりましたが、『空想英語読本』の筆者(アメリカの方です)はこう語っています。(この本の中では「アンパンマン」を「Anpanman」ではなく「Ampanman」ではないかとの質問で語っていました)

「う〜ん、微妙です。日本語をローマ字で表記するとき、『p』や『b』や『m』の前に『n』があったら、それを『m』と書くことがあるようですね。次に『p』とか『b』を発音するために口を閉じるので、『n』と発音するはずの『ん』をどうしても『m』と発音してしまうからでしょう。確かに、一理あるような気もします。しかし、『m』の前の『n』も『m』と書かなければいけないわけですから、『アンパンマン』は『Ampamman』と綴ることになります。どう発音すればいいんでしょう。『アムパーマン』かな。誰ですか、それは!つまり、ローマ字に関する『n』→『m』というルールには、英文上では必ずしも従わなくてもよいのです。言葉としての『Anpanman』のかわいさは、『an』が3回も出ているところにあります。アン、アン、アンって、とてもかわいいじゃありませんか。(後略)」

ということは、「新橋」を「Shinbashi」と表記してもまず困らないということ?



クラーク&漢字

きしろふ (2003/10/03 20:54)

色々と激しい論戦を繰り広げているようですが・・・

以前、札幌農学校(現在の北海道大学)の開校と同時に教頭をしていたマサチューセッツ農科大学の学長クラーク博士がアメリカへ帰国の際、学生たちに「Boys,be ambitious!」と言ったようですが、実際言ったかは定かではないとテレビで聞いたことがあります。「少年(若者)よ、大志を抱け(持て)!」と訳されていますけどね。
でももし、「Ambitious boys!」と言ったらどういうニュアンスになるのでしょうか?(実はその辺の事は疎いもので・・・ --;)
ちなみに「ambitious」の語源は下のリンクを参照に・・・
(自分、文まとめるのはあまり上手くないので ^^;)

いきなり話題は変わりますが、韓国ではどのくらい漢字学習をしているのでしょうか?
色々なニュースなどをみていると、ほとんどの人が漢字が書けないという状況だそうです。
政界や財界etc御偉い方々は漢字はできるのか?ちょっと知りたいです。
日本では字幕スーパーでは漢字ですが。(だからといって、ハングルで書かれても分からないし・・・)

「断トツ」が「断然トップ」の略だったとは・・・
だから「トツ」は漢字に直せなかったのか・・・!

かなりの乱文・駄文、お許し下さいm(_ _)m

http://www.bh.wakwak.com/~howtoeigo/nvoc9.html
http://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/aboutus/essay/essay_22.htm
http://www.screenplay.co.jp/books/isbn4-89407-230-0.html



(無題)

高駒麗人Koma (2003/10/03 18:35)

Shusan様
>さっそくのご返事有り難うございました。
お礼には及びません。音素と音声については小生も勉強中です。



文字と発音

Shusan (2003/10/03 18:06)

高駒麗人様、U+3002様
さっそくのご返事有り難うございました。丁寧な対応で恐縮です。おかげさまでいろいろ分かってきました。小生、どうも音素なるものの勉強が不足しているようです。勉強してからまた参加させていただきます。その時はよろしくお願いします。



文字と發音 弐

高駒麗人 (2003/10/03 17:16)

10年程前NHKTVで見たのですが、「歴史的假名遣ひ」を愛用する某氏が「文字は音を現さず語の体系を現す」「『行く』は正しくは『ゆく』であり『いく』と發音するから『いく』と書くのは間違い」と言い、その理由として「『い』という發音と『う』という發音の間には無数の段階がある」としています。つまり、音は無限にあるからそれを有限の文字で現すのは不可能で、故に歴史的假名遣ひを使うべきだというわけです。しかしこれは音声と音素を間違えた人の意見です。東日本語ではイと平圓ウの間は無数どころか「イ」と「ウ」の2つの音素しかない。
一方、ある人は「表音文字と表意文字」に関して「音を表す文字については、各言語ごとに音素の数は有限なので音素記号を覚えれば書くことは簡単。」「一方、意味を現す文字があるが意味は数万(漢字は五万個程ある)どころか無限にあるから新しい意味が現れるとそれにあわせて文字を覚えないと行けない。」「世界の多くの国(朝鮮や越南も含めて)がこれに気づいて表音文字を採用したが未だに日本と中国だけが表意文字を採用している」と書いています。
「歴史的假名遣ひ」を愛用する某氏は、「思はず」「思ひたり」「思へ」「思ふ」という「思」+「はひふへほ」の体系が大事だといいますが、これは平安時代の音素に基づいた考えです。
omoΦazu、omoΦitari…の場合 omoΦは同じ音と言えるでしょう。
ハヒフヘホの今の發音は音素表記でha,,hi,hu,he,hoになり、音声表記では
ha、çi、Φu、he、hoが一般的ですが、実は、haのhとhe(ヘ)のhとhoのhも發音が(口形が)違います。
中国語教師が中国語には濁音はないと言うのはデジタルの音素としてbdgは清音だというだけの話で、アナログの音声としては「巴」baは[pa]とも[ba]とも發音されています。
また、ある中国語教師(吉祥寺に近い三鷹の專門学校)は「日本語のナ行は舌先が下を向いたままだが中国語のnが舌先が上向きになる」「中国語のmaは日本語のマみたいに軽くない、中国語のmは粘着力があるんだ、ンマmma、ンマmma」「(ある生徒が鈴木のシナ語音Lingmuをリンムーと發音した時、大袈裟に聞き取れない振りをして)、あんたの發音ではmuの唇がまるくないから聞き取れない、muがカタカナのムになっている」と言っていました。この教師も音素と音声をごっちゃにしています。別に中国語のnも日本語のnも舌先が上だったり下だったりします。語学教師で音声にうるさい人には音素と音声を区別できない未熟児みたいな人がよくいるようで、そういう人は他人の訛りを平気で罵倒するのです。



文字と發音

高駒麗人 (2003/10/03 16:52)

デジタルが「分離的」で、アナログが「連続的」だと勝手に解釋します。
物理的な音声は連続的ですが、言語の音素は分離的です。
標準日本語の母音はaiueoですが、例えばaとiの間には母音が無数に存在します。
a〜æ(ae合成文字)〜ε〜e〜{大文字Iのsmall capital:イとエの中間母音}〜iのように。日本語では所謂「母音の四辺形」を5分割しており、
1、音素aは音声aとæと曖昧母音、Λを含み、
2、音素eは音声eとε、
3、音素uは音声u(圓唇ウ)とЩ(m逆さ、平唇ウ)、
4、音素oは音声o(口の小さいオ)と{c逆さ}(口の大きいオ)を含みます。
5、音素iは音声iとその周辺(イとエの中間母音やロシア語Ы)

朝鮮語では、
1、아:a(ア) 、
2、애:ä、ae[æ〜ε](アとエの中間〜口の大きいエ)(漢語詞「愛」)
3、에:e[e](口の小さいエ)、
4、외:ö、oi[we〜œ](ウェ〜圓唇エ)(漢語詞「外」、ローマ字oi)
5、이:i[i](イ)、
6、위:ü[wi〜y](ウィ〜圓唇イ=umlaut-u)、
7、으:ï、eu[Щ(mの逆さ)](平唇ウ〜ロシア語Ыも含むと思う)、
8、우:u[u](圓唇ウ)、
9、오:o[o](口の小さいオ)、
10、어:ё、eo[{c逆さ}〜Λ〜{e逆さ}](口の大きいオ〜曖昧母音)(漢語詞「語」)

Thatcher[θæt∫{e逆さ}]は日本語でサッチャー[satt∫a:]になりますが、
朝鮮語では대처[tεt∫'{c逆さ}]テチョになります。
「日本」は日本語でNippon、Nihon、朝鮮語で일본[ilbon]です。一方、英語のJAPANは、日本人が發音するとジャパンですが朝鮮人が發音するとチョペンに聞こえます。
Japan[{dz口蓋化}{e逆さ}pæn]という詞は日本語に入ると
「ジャパン」[[{dz口蓋化}apaN]になりますが、朝鮮語の中で会社名等に使われるJapanがハングル表記される場合、
저팬[t∫{c逆さ}p'εn](Cheophaen)になります。
これは状況によって[{dz口蓋化}{e逆さ}pæn](Japanの英語音)になります。
ㅈ:jは[t∫(無気)〜ts(無気)〜{dz口蓋化}〜dz](無気音チ〜ツ〜ヂ〜ヅ)
ㅓ:eoは[{c逆さ}〜Λ〜{e逆さ}](口の大きいオ〜曖昧母音)
ㅐ:aeは[æ〜ε](アとエ中間〜口の大きいエ)を含むからです。



古い掲示板にコメント(つづき)

Shusan (2003/10/03 16:50)

佐藤様
(掲示板を全部読んだわけではないのでWかも知れませんが、忘れないうちに)

EUTHANASIA(安楽死)を父は英文科学生の頃、「おいたわしや」と覚えたそうです。

ガンをCancerという理由は出ていましたが、お医者さんから聞いた隠語(聞かれてもわからないよう)では、Cを英語で「シー」、またドイツ語で「ツェー」、終いにはドイツ語 KLEBSの「カー」、それを英語で「ケー」と言ったとか。ご苦労様です。今はどうなのでしょうか。
蛇足ですが母は結節症とかで「ガングリオン」と言われ卒倒しそうでした。「集まる」の意味のGANGに由来するのでしょうが人騒がせな名前です。母は「グリオン」と言っています。他人にも誤解されたくないのでしょうね。



お茶の水

Shusan (2003/10/03 15:50)

古い伝言からですが「お茶の水の名の由来」に下記の説があります。
三鷹市井の頭公園の水源に「お茶の水」の立て札が有り「2代将軍が御鷹狩に来てこの湧き水でお茶を飲んだ」とあります。都内お茶の水は3代将軍由来ですから、神田上水上流の井の頭公園の湧き水を指しているのではないでしょうか。少なくとも名前は井の頭のが先です。

井の頭公園は三鷹市にありますが多くの案内書は「吉祥寺の」と書いています。渋谷区の新宿高島屋みたいですね。



Re: 発音と文字の違い

U+3002 (2003/10/03 14:14)

Shusan さん
>「発音はアナログ、文字はデジタルで一緒にならない」

言語は(少なくともヒトの言語は)、全てデジタルです。
音声もまた、有限種類の音素の離散的な連なりです。
イントネーションなども、言語として意味を持つのは、「語尾を上げるか否か」などという、有限種類からの択一です。

>例えば「文字」を三角、四角、六角、八角、丸 のみと…

いまいち意味がわからない。



発音と文字の違い

Shusan (2003/10/03 09:58)

高尚な学術的討論の中で素人がおじゃまして申し訳有りませんが・・・
文字と発音は一緒にはならない。というのが小生の考えです(「素人の考えなど載せないで」とおっしゃる声も聞こえてきますが)
例えば「文字」を三角、四角、六角、八角、丸 のみとした時、五角のことばを表記するには、あるひとは四角と書き、あるひとは六角と書くでしょう。「五角は四角と書く」と決めても、5.5角は? 5.85は?ときりがないのです。それが楽しいことでもあるのですが。
「発音はアナログ、文字はデジタルで一緒にならない」という説明も聞いた覚えがあります。コミュニケーションは「声(アナログ)→耳」より 「文字(デジタル)→目 」の方が確実なので未来は文字優先になるのでしょうか。点字、モールス信号、翻訳、等の伝達手段をこうした側面で考えるのも楽しいことです。では



ロシア語の ц

にれのや (2003/10/03 00:32)

■ロシア語の ц の音について、ご説明します。
【ц】は、いかなる場合でも硬音です。本来の現代ロシア語に 「軟音の ц」 は存在しません。つまり、ци という綴りは、цы とまったく同じものです。再帰動詞の語尾 -ться が、「ツャ」 -ця ではなく、「ツァ」 -ца と読まれるのも、現代ロシア語では 「軟音の ц」 を許容しないからです。
■ただし、外来語は、この限りではありません。
     Цюрих ['ツューリふ] チューリッヒ



チェルノブイリの地図

にれのや (2003/10/03 00:24)

■チェルノブイリの周囲のようすを地図で見ることができます。以下のページを開いてください。ただし、詳細な地図ですので、かなり時間がかかります。ダウンロードしながら、別の用事でもしていてください。かなり、かかります。
http://mapm36.narod.ru/map1/im36025.html



チェルノブイリの語源…追加

にれのや (2003/10/03 00:18)

【チェルノブイリ (チェルノーブィリ) Чернобыль という町の名前の語源】
■みなさん、お騒がせしました。
     「チェルノブイリの語源=ニガヨモギ」
でよいようです。
 「チェルノブイリ」 Чернобыль [ちぇル'ノーブり] という町は、ウクライナとベラルーシの国境に沿って広がる広大な 「プリピャチ湿地/プリーピャチ湿地」 (болота Припяти [バ'ろータ プ'リーピャチィ]) の真ん中にあります。町の周囲は湿地に囲まれ、その湿地には 「ニガヨモギ=チェルノブイリ」 が一面に繁茂しているとのことです。ロシア、ウクライナで検索してみても、「チェルノブイリ」 という地名を具体的に誰がいかなる理由で名付けたのか、についてのデータはありませんでしたが、「状況証拠」 から見て、「ニガヨモギ」 に由来すると考えてよいように思います。「チェルノブイリ」 の名が初めて文書に現れるのは、1193年で、ルテニア公ロスチスラーヴィチの狩猟小屋が置かれた場所だったということです。
 ロシア、ウクライナのページを渉猟していてわかったことは、ロシア語の чернобыль [ちぇルナ'ブイり] は、ウクライナ語の чорнобиль [ちょル'ノーブり] を借用した語だということです。ロシア語では、чернобыль は 「俗称」 の扱いで、正称は (すでに massangeana さんご指摘の) полынь [パ'るぃ-ニ] です。ただし、полынь 「パルイニ」 だけでは 「ヨモギ属の植物」 しか意味しないので、「チェルノブイリ」 を厳密にロシア語で言う場合は полынь обыкновенная [パ'るぃ-ニ アブクナ'ヴィェンナヤ] 「パルイニ・オブィクノヴェンナヤ」 となります。意味は 「普通のヨモギ」。学名は Artemisia vulgaris L. です。以下にイラストがあります。↓
http://www.uroweb.ru/catalog/fito/polin_obiknovennaia.htm
 「ニガヨモギ」 は、古来より、薬草として使われてきたそうです。この薬草が、「チェルノブイリ」 すなわち 「黒い草」 と呼ばれるのは、色が黒いからでなく、葉を煮出した煎じ薬を飲むと 「舌が真っ黒になるから」 だそうです。
■АЭСという略語について。補遺。
АЭС [ア'エース] のように、略語を綴りとして読む場合、
     「男性変化をし、男性名詞として扱われる」
と先日、書きました。少し、説明が足りなかったので補足します。男性名詞として扱われるのは、男性変化をする場合のみでして、АЭСのように、慣習上、不変化の場合は、もちろん、省略される前の単語の性に準じます。АЭСの場合は、最後の -станция [ス'ターンツィヤ] (女性名詞) が性を決定しているので、АЭСも女性名詞として扱います。



Re: Hajimemashite

にれのや (2003/10/02 17:48)

■Welcome, Ikuko-san!
Indeed "Hajimemashite" is a quizzical phrase. I also think so. Sorry, as for me, 'the answer's blowin' in the wind.'
Is there anybody who knows the explanation?

  (Your name sounds like Japanese...  ?)



"Hajimemashite"

Ikuko (2003/10/02 11:52)

I have a simple question that has been bothering for a long time. What's the origine of "Hajimemashite"? I think know that "mashite" is a particle. Was it originally a whole sentence? What used to be there after that?
Thanks in advance.



性2

tanabe (2003/10/02 00:07)

> ■次の段階として、有生名詞に対格形が生まれます。主格形と明確に区別されて便利
> だからです。

ヒッタイト語では主格が存在しない名詞もあるのをご存知ですか?

> ■やっとヒッタイト語の時代まで戻って来ました。ヒッタイト語は“主格言語”で、
> 対格語尾が有ります。しかし、まだ陽性・陰性という名詞の性の区別は有りません。
> 在るのは、主格と対格で語尾の異なる名詞群(一般に「通性」「汎性」などと呼ばれる)と、
> 語尾がゼロの名詞群(一般に「中性」と呼ばれる)だけです。

中性は主格は語尾ゼロですが曲用はあります。
あえて言うと主格と対格が同系ということです。

> これが現代語にも及び、
> 英語の it や what(昔の中性代名詞)が主格でも目的格でも同じ形(語尾ゼロ)なのは、
> ここに淵源が在るのです。

上記の現象はゲルマン語にも及んでいます……が
複数はこの限りではありません。

> ■梵語や希語・羅語の時代になると、不完全ではありますが、既に3性に分かれて
> います。実は、この「不完全」という所が急所なのですが、即ち、移行期に在った、と
> いうことなのです。性による語形変化というのは、実は形容詞だけに見られる屈折
> です。過日、3性同形の形容詞が少数ながら在る、という話が在りましたよね。あれ
> が多分、印欧語本来の形なのです。最初期は、名詞・形容詞に性の区別は無かった。
> それがやがて、meridionalis/e のような、通性/中性の区別の有る、ヒッタイト語
> 時代の名詞区分と同様の形容詞が生まれ、そして最後にaurantius/a/um のような、
> 3性別形の形容詞が生まれたのでしょう。

参考文献は?

> ■これは「数」の概念と比較してみると、その中途半端さがより良く理解できます。「数」
> の概念は、名詞・代名詞・形容詞・動詞の全てに亘って適用されます。しかも、例え
> ば、英語の I - we や thou - ye を見比べても解るように、単数形と複数形は全く
> 別の不可分語で、単数形+複数標識=複数形という、日本語や中国語のような、2つ
> 以上の形態素に還元できるような構成にはなっていないのです。

人称代名詞は別として、
複数指標は英語にも man - *man-en 存在していました。
ゴート語、古ノルド語の例を見たとしても、
複数指標の痕跡はいたるところに垣間見れます。

> ということは、早期の印欧語族において、性の区別というのは、文法的な語形変化(=
> 言語内)の違いではなく、自然性に基づく、意味的・比喩的な(=言語外の)違いに依る
> ものであったと言えましょう。

話が飛躍しすぎています。

ちなみに私の考えでは、
文法性はアニミズムに
源流があるんじゃないかと
考えているですよね……。
しかしそれはどうでもいいことですし、諸説あります。

> ■実は、印欧祖語の段階で、語幹末に、所謂「喉音(laryngeals)」が有ったと仮定され
> ている名詞群が在り、これには主格語尾の –s が付きませんでした。これが後の-a-
> 語幹名詞で、羅語では「第一変化名詞(≒陰性名詞)」になるのです。
> ■先述の如く、ヒッタイト語時代に主格語尾 -s を獲得した有生名詞は「通性」「汎性」
> と呼ばれ、獲得しなかった無生名詞が「中性」と呼ばれたわけですが; その中性名詞の
> 中で、語幹に-a-を持った語群が後の「陰性名詞」として分類される語群になったのです。

まず第一に、繰り返しになりますが、
女性名詞でも -s を持つ名詞は存在すること、
それから第二に a 幹名詞の由来に関して本当にそれが
後置定冠詞 *iH によるものなのかは極めて怪しいといわざるを得ません。
(というか、参考文献は??)

そもそも冠詞は PIE にはほぼ未発達だったわけで……。

……という通時的な見解と、
論議の発端になった現代英語の性の有無という共時的な問題は、
別個に考えたほうがいいのでは?
ヤコブソン、マルティネ、オードリー、
サピア、ブルームフィールド
あたりを掻い摘んで読めば、
ラリンガルの問題に触れなくても十分分かりやすくのっています。
どうか古典をもっと読むように心がけましょう。



性1

tanabe (2003/10/02 00:05)

話をまとめると文法性が、
実は語尾の膠着方法によって、
分類されており、
かつては有生物(animate)・無生物(inanimate)であり、
それが能格言語であった痕跡ゆえに、
目的語として取ることが出来たものが「有生(animate)」であり、
取ることができなかった(難しかった)ものが「無生(inanimate)」の
起源になったというご意見をおっしゃりたい、と
いうところまではよろしいですね?

ところで、例えばラテン語では
・a幹名詞
・o幹名詞
はきわめて規範的に、
男性・女性・中性が別れますけれども、
(もちろん nauta など例外あり)
・子音幹名詞
・i幹名詞
・u幹名詞
・e幹名詞
では中性は -s が膠着しないということで、
規範的な様相を見せていますけれども、
男性・女性の区別は語幹からは見て取ることが出来ません。

つまり、これは男性・女性・中性のうち、
有生(animate)、無生物(inanimate)からの分化を考えた際に、
有生から男性、無生から女性・中性になったとは考えにくいという、
証明になりえるのではないでしょうか?

それから、もともと有生・無生の差が、
語尾による規範的なものであるという考え方にも、
私としては疑問を感じずにはいられません。

もし、無生から女性・中性になったのならば、
女性名詞の多くは無語尾になっていなければおかしいわけですが、
実際はラテン語などを参照するにそうはうまくいきませんし、
a幹名詞にしても、これは PIE から存在する伝統的なものです。
(ヒッタイト語、古アイルランド語などにもその例が多数見られる)

> 後者を中国式に「陽性(masculine)」・「陰性(feminine)」と表すことにします。

中国式にする必然性がわかりません。

> ■事はまさに「有史」以前、即ち、文字の発明前に遡るのですが、印欧語族中最古の
> 文字資料たるヒッタイト語には、

ヒッタイト語は確かに貴重な資料ですが、
これがすべてを物語っているわけではありませんのでご注意を。

たとえば PIE にはあったと仮定される
dual が存在しないのは有名な話です。

> 生物を表す「有生(活性)名詞」と、無生物や抽象物を表す「無生(不活性)名詞」の
> 区別しか無かったそうです。

共通性・中性であったという考え方もある点が指摘されていません。

> ■ただ、その後の対応関係は、青蛙さんの“学説”とは異なります。
> ヒッタイト語の有生名詞(=甲類)は、後の印欧諸語の陽性名詞に対応し、無生名詞
> (=乙類)は、陰性名詞と中性名詞に対応するらしいのです。

この点の根拠が非常に薄いです。
もし通時的観点から述べるのでしたら、
引用・参考文献を提示していただけなければ
信憑性にかけてしまいます。

> ■なぜそうなるのか、という淵源は、ヒッタイト語以前の印欧祖語が、実は「能格言語
> (an ergative language)」であった、と推定されている所まで遡ります。

確かに「かもしれない」とは言われていますが、
それ以前に PIE はアプラウトの非常に豊富な言語であり、
語尾をつけるということは、
比較的後の段階で行われたということをお忘れなく。
(逆に今日では否定されつつありますが、
 膠着語であったという説も存在するのは確かです)

> ■たいてい、何かに働きかける主体は有生物ですから、

羅vulgus, mare, animal などは中性ですが、
働きかけが可能な名詞ですね。

> 能格的なものの発展をめぐって(9)
> http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/ genbunronshu/22-1/kondo.pdf
> 能格的なものの発展をめぐって(10)
> http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/genbunronshu/23-2/kondo.pdf

この論文、発想はいいと思うのですが、
参考文献の考慮があまりなされていませんでした……。

> ■主語が一つの語形で表せるようになると、認識の転換が起こります。動作性の獲得
> しやすかった有生名詞が特定の主格語尾 -s(先史時代の能格形)を持ち、動作性の獲得
> しにくかった無生名詞が特定の主格語尾を持たない(先史時代の絶対格形)、というの
> が正しい歴史的経緯です。

無生>女性ならば、女性が -s 語尾を取らないはずですが、
実際に IE の多くの言語では -s 語尾を取っていますよ。
(身近な例で羅 turris)

ただし、確かに中性で -s 語尾を取らないというのは周知の事実ですが。

> 名詞の分類基準は、名詞の意味(言語の外)に在ったわけです。

??



いろいろ(かなり辛口)

松茸 (2003/10/01 22:41)

* Maniac C. さまへ:
> ■南欧では、夏の昼の熱の激しさから昼を支配する太陽を男性と見、その熱の和らぐ
> 夜の優しさから夜を支配する月を女性と見; 逆に北欧では、冬の夜の厳しさから夜を
> 支配する月を男性と見、その寒さの緩む昼の優しさから昼を支配する太陽を女性と
> 見立てたのでしょう。(比喩の一般的傾向)
……以前にもご注意申し上げましたが、神話学・民族学関連で《「富士山」や「四万十川」はアイヌ語地名》《英語と日本語は同祖》レヴェルの不正確・非学問的なことを書き込むのは、ご遠慮いただけないでしょうか?
 論じたいのであれば、せめて先行研究を参照した上でするよう、お願いします。


* 「文法的性」
 《自然性をもたないものを擬人化する際の性別が(ほぼ)決まっている》というのは、あくまで語用論や意味論の問題であって、*文法的*性をそこまで拡張して考えるのは不当だと考えます。


* はなはだ失礼ながら、《自分の気に食わない言語的制度・慣習に関して、不平不満を垂れ流している》としか形容できない書き込みが散見されます。みなさまのご自制を願います。



性の起源。なるほど

にれのや (2003/10/01 22:16)

■Maniac+Maniac C. どの。Хорошо!
みごとだが、実は、だいぶんに理解できましぇん。印欧語についての基礎知識がないから、だと思うんですけど。
……。すんまそん。



Re: 中e[e/□/□]/o[o]

U+3002 (2003/10/01 13:13)

偽中国人さん
>>中e[e/□/□]/o[o]

2つ目は シュワ または 回転e、
http://www.unicode.org/charts/PDF/U0250.pdfの0259です。
(erは音韻構造が特殊なので、同列に並べるべきではなかったかもしれません…)

3つ目は ラムズ・ホーン または ベイビーγ、
http://www.unicode.org/charts/PDF/U0250.pdfの0264です。

>>ei[ei]、ye[ye]、en[en]のように、前舌性のある介音や韻尾をつけて...
>もし[ye]がIPAで、その左の“ye”が漢語ピンイン綴りというのであれば、

ye[ie](または[je])の誤記でした。



性の起源(下)

Maniac C. (2003/10/01 12:04)

■前掲論文では3人称代名詞に性の起源を求めていますが、梵語・希臘・羅語の時代
には、まだ3人称代名詞は在りませんでした。希臘語では初め再帰代名詞が、やがて
羅語同様、指示形容詞が、3人称代名詞に転用されるようになるのです。自然界に
3つの性が在ったから3種の3人称代名詞が生まれたのではなく、形容詞の語尾に
3種の語尾の区別が生まれたから、それが3人称代名詞の区別に引き継がれたのです。
■梵語ではまだ語形変化に陽性と陰性の差異は殆んど有りません。中性との間ですら、
主呼格・対格にしか差異は無く、8格中5格は3性同形だったのです(下記URL参照)。
http://sino-sv3.sino.uni-heidelberg.de/SANSKRIT/noun-c0.htm
ということは、早期の印欧語族において、性の区別というのは、文法的な語形変化(=
言語内)の違いではなく、自然性に基づく、意味的・比喩的な(=言語外の)違いに依る
ものであったと言えましょう。
■それが希語・羅語になりますと、少し事情が違ってきます。主格/対格の語形に
よる区別は便利なので、梵語では有生名詞の単数形だけだった対格形が、羅語では
有生名詞の複数形・無生名詞の単数形にも敷衍されています(無生名詞の複数形は格
語尾ゼロのまま)。無生名詞は主語となる機会に乏しく、稀に主語として取り上げられ
るときも対格形のまま代用されたので、対格形=主格形です。3性を区別する「第一・
第二変化形容詞」の語形変化を考えてください。陽性と中性の変化は、主格・対格以外
は同形ですが、陰性の変化(特に単数形)だけは母音が違っています。この違いは希臘
語でも同様です。
■実は、印欧祖語の段階で、語幹末に、所謂「喉音(laryngeals)」が有ったと仮定され
ている名詞群が在り、これには主格語尾の –s が付きませんでした。これが後の-a-
語幹名詞で、羅語では「第一変化名詞(≒陰性名詞)」になるのです。
■先述の如く、ヒッタイト語時代に主格語尾 -s を獲得した有生名詞は「通性」「汎性」
と呼ばれ、獲得しなかった無生名詞が「中性」と呼ばれたわけですが; その中性名詞の
中で、語幹に-a-を持った語群が後の「陰性名詞」として分類される語群になったのです。
■何故、語幹に-a-を持った語群が後の「陰性名詞」となるか、は再び印欧祖語以前に
遡らねばならないのですが、上述の「喉音」(Hで表される)を持つ、「神」に対して「女神」、
「狼」に対して「雌狼」を表すような、女性を意味する後置定冠詞 *iH が在ったと考え
られています(「喉音」はH1,H2,H3の3種類在った、というのが一番広く認められて
いるので、その説に従えば、*iH2)。これとよく似た、行為名詞を作る接尾辞に *eH2 が
在り、これがさらに球撞きで、行為者を表す *-es/-os にまで影響を及ぼします(但し、
羅語では形の類似性から、陽性名詞と認識されます)。にれのや師匠の見つけたμου-
σουργο´sが語尾は -οs なのに、陰性名詞になるのも、同じ理由です。
■ここから、意味による名詞分類の再編成が行われます。たとい原・陽性名詞で
あっても女性を示唆する単語は陰性名詞へ、原・陰性名詞であっても男性を示唆する
単語は陽性名詞へ、自然性は無くても文法形式(語尾の活用形)がどちらかに似て
いれば似ている方へ、と分類されてゆき、分類のし残し(陽性にも陰性にも分類でき
ない名詞)が中性名詞として残るわけです。尤も、羅語では陽性/中性の差は主格と
対格の語尾の違いに在ったわけですから、格語尾が発音されなくなれば差も消滅し、
西ロマンス諸語では、到頭、中性も陽性に統合されてしまいましたが。
■意味と文法形式の二重基準ですから、語族による違いも出て来るわけです。希臘
神話では月はセレーネー(女性)、太陽はヘーリオス(男性)ですが; 北欧神話では月の
御者はマニ(男性)、太陽の御者はソール/スンナ(女性)というのは、有名な例です。
(この辺は青蛙さんの方がお詳しいですよね。)
■南欧では、夏の昼の熱の激しさから昼を支配する太陽を男性と見、その熱の和らぐ
夜の優しさから夜を支配する月を女性と見; 逆に北欧では、冬の夜の厳しさから夜を
支配する月を男性と見、その寒さの緩む昼の優しさから昼を支配する太陽を女性と
見立てたのでしょう。(比喩の一般的傾向)
■中国は「太陽」「太陰」で北欧型、日本は「天照」「月読」で南欧型ですね。中国の神話は
色々在るのですが、射日神話では、太陽は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
という名の、天帝の10人の「息子」となっています。御存じの通り、正体は3本脚の
烏(金烏・八咫の烏)なのですが、何故3本脚なのかと言うと陰陽五行説では陽=奇数
だからです。月も同じく、天帝の12人の「娘」となっています。
(射日神話をご存じではない方は、下記のHPを御覧ください。)
http://www.asahi-net.or.jp/~nr8c-ab/afchnnittsya.htm



性の起源(中)

Maniac C. (2003/10/01 12:03)

■さらに、状態動詞の主語も、主体が有生物であれば動作動詞の主語と同じ語形で
表される段階へ進みます。こうなると、それは今日我々が目にする印欧諸語と同じ
「主格言語(a nominative language)」に分類されます。主語であれば、動詞の文法特性
や意味特性に関係なく、一つの語形で表せるようになるわけです。本来は、語形が[他
動詞主語]=[自動詞主語]≠[目的語]となる言語を指す言葉ですが、この段階ではまだ、
語形が[有生名詞主語(格標識有り)]≠[無生名詞主語(格標識無し)]=[目的語(格標識
無し)]という形式です。
■主語が一つの語形で表せるようになると、認識の転換が起こります。動作性の獲得
しやすかった有生名詞が特定の主格語尾 -s(先史時代の能格形)を持ち、動作性の獲得
しにくかった無生名詞が特定の主格語尾を持たない(先史時代の絶対格形)、というの
が正しい歴史的経緯です。名詞の分類基準は、名詞の意味(言語の外)に在ったわけ
です。ところが、語形変化を活発にする語群(活性名詞)と、語形変化をあまり活発に
しない語群(不活性名詞)という、その単語に固有の文法事項(言語の内)に、分類基準
が移ってゆくのです。
■次の段階として、有生名詞に対格形が生まれます。主格形と明確に区別されて便利
だからです。
■やっとヒッタイト語の時代まで戻って来ました。ヒッタイト語は“主格言語”で、
対格語尾が有ります。しかし、まだ陽性・陰性という名詞の性の区別は有りません。
在るのは、主格と対格で語尾の異なる名詞群(一般に「通性」「汎性」などと呼ばれる)と、
語尾がゼロの名詞群(一般に「中性」と呼ばれる)だけです。これが現代語にも及び、
英語の it や what(昔の中性代名詞)が主格でも目的格でも同じ形(語尾ゼロ)なのは、
ここに淵源が在るのです。
■では、何故、3性の区別が生まれたのでしょうか。
■梵語や希語・羅語の時代になると、不完全ではありますが、既に3性に分かれて
います。実は、この「不完全」という所が急所なのですが、即ち、移行期に在った、と
いうことなのです。性による語形変化というのは、実は形容詞だけに見られる屈折
です。過日、3性同形の形容詞が少数ながら在る、という話が在りましたよね。あれ
が多分、印欧語本来の形なのです。最初期は、名詞・形容詞に性の区別は無かった。
それがやがて、meridionalis/e のような、通性/中性の区別の有る、ヒッタイト語
時代の名詞区分と同様の形容詞が生まれ、そして最後にaurantius/a/um のような、
3性別形の形容詞が生まれたのでしょう。
■少し考えれば、印欧諸語の性の区別は不完全であることに気付くでしょう。なぜ
なら、上述のように性を区別するのは形容詞だけなのですから。アラビア語やヘブ
ライ語のようなセム系言語の方が、単数・双数の一部・複数に亘って、2人称代名詞
や動詞の活用まで含めて陰陽両性を区別するので、余っ程、徹底しています。「中性」
なぞという中途半端なものは無く、男女両性が混在するときは陽性形が使われます。
■これは「数」の概念と比較してみると、その中途半端さがより良く理解できます。「数」
の概念は、名詞・代名詞・形容詞・動詞の全てに亘って適用されます。しかも、例え
ば、英語の I - we や thou - ye を見比べても解るように、単数形と複数形は全く
別の不可分語で、単数形+複数標識=複数形という、日本語や中国語のような、2つ
以上の形態素に還元できるような構成にはなっていないのです。(ただ、両数形は複数
形+「2」に還元でき、本質的なものではないため、古典語でも未発達で、殆どの近代
諸語では複数形に再吸収されてしまいました。)歴史的経緯で複数形が単数形と同一に
なってしまった場合でも、何とか区別しようとそれまでとは別の方法に変更する事例
も、頻繁に見受けられます(例えば woman – women の発音の違いがその一例)。印欧人
にとって、それほど「数」の概念は本質的で、無くては困るものなのですが、「性」は
却って無くなった方が楽なのではないでしょうか。その証拠に(乱暴な言い方ですが)、
近代諸語で性の数を減らした言語は在っても、増やした言語は無いはずです。



性の起源(上)

Maniac C. (2003/10/01 12:02)

■5月の話ですが、学名では性の混乱が有る、という話題が在りました。それ以来、
印欧語族の性の起源について追究していたのですが、漸く解明できましたので、
U+3002さん&松茸さん&青蛙さんを始めとした皆様にもお伝えします。専門用語が
沢山出て来るのでかなり難しいかも知れませんが、3話分お付き合いください。

>青蛙さん(5/16)
>●性別を問わない
> これは、gender の意味に囚われた部分があるかもです。Maniac C.さんも仰って
>いるとおり、自然性(sex)と文法性(gender)は別のものですから。ただ、sex と gender
>が照応している場合(例えばラテン語やアラビア語)もあって、必ずしも、一概に
>そうとは言い切れないわけなんですけど。
> “性”という表現に惑わされずに、gender にも
>・甲類(common)
>・乙類(neuter)
>があり、甲類が更に
>・甲類の一(mascline)
>・甲類の二(female)
>があると置き換えて考えてみてもいいかも知しません。

■印欧語族の歴史的には、上の認識は、半分正しいと言えるでしょう(他の語族に関し
ては判りませんが)。以下、自然性(sex)と文法性(gender)の混同を避けるために、
後者を中国式に「陽性(masculine)」・「陰性(feminine)」と表すことにします。
■事はまさに「有史」以前、即ち、文字の発明前に遡るのですが、印欧語族中最古の
文字資料たるヒッタイト語には、ちょうど青蛙さんの仰る“甲類”と“乙類”のよう
に、生物を表す「有生(活性)名詞」と、無生物や抽象物を表す「無生(不活性)名詞」の
区別しか無かったそうです。
■ただ、その後の対応関係は、青蛙さんの“学説”とは異なります。
ヒッタイト語の有生名詞(=甲類)は、後の印欧諸語の陽性名詞に対応し、無生名詞
(=乙類)は、陰性名詞と中性名詞に対応するらしいのです。
■なぜそうなるのか、という淵源は、ヒッタイト語以前の印欧祖語が、実は「能格言語
(an ergative language)」であった、と推定されている所まで遡ります。以下、下記HP
記載論文の要点(何故「能格言語」から「主格言語」に変わったか)に、私の考え(何故、
無生名詞から陰性名詞が生まれたか)を加えて、述べて行きます。
■「能格言語」というのは、他動詞の主語と自動詞の主語とで異なる語形を示す言語の
ことです。普通、他動詞の主語は格語尾が付き、目的語と自動詞の主語には格語尾が
付きません。有標である他動詞主語の語形を「能格(the ergative)」、無標である目的
語と自動詞主語の語形を「絶対格(the absolutive)」と言います。語形が[他動詞主語]
≠[自動詞主語]=[目的語]となる言語です。
■たいてい、何かに働きかける主体は有生物ですから、次第に、有生物であれば、
自動詞の主語にも能格形が侵出するようになります。初めは、主に主体の随意的動作
を表す自動詞の主語に限られて、不随意的動作を表す動詞や状態動詞の主語は絶対格
のまま残されますが、やがて、動作動詞全般の主語にこの能格形が使われるように
なってゆき、状態動詞の主語だけが絶対格、という使い分けになります。
■このような、動作動詞の主語と状態動詞の主語とで異なる語形を示す言語のことを
「活格言語(an active language)」と言います。語形が[動作動詞主語]≠[状態動詞主語]
=[目的語]となる言語です。
能格的なものの発展をめぐって(9)
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/ genbunronshu/22-1/kondo.pdf
能格的なものの発展をめぐって(10)
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/genbunronshu/23-2/kondo.pdf



中e[e/□/□]/o[o]、チョップ

偽中国人 (2003/10/01 01:29)

せっかくですが、私のブラウザはIQが低いので、IPAのフォントが表示できません。

>中e[e/□/□]/o[o]
最初の「/」の右と、次の「/」の右は白抜きの正方形に文字化けしています。

>ei[ei]、ye[ye]、en[en]のように、前舌性のある介音や韻尾をつけて...

もし[ye]がIPAで、その左の“ye”が漢語ピンイン綴りというのであれば、恐れ乍、「uウムラウト」と対応関係を勘違いしていらっしゃるのでは...

どこかの無料Webサイトにグラフィック表示(.gif、.jpg)をアップ・ロードしていただくか、

下に示すIPAのページのどれに相当するのか教えて頂けますか。

母音チャートをクリック。

<a href="http://hctv.humnet.ucla.edu/departments/linguistics/VowelsandConsonants/course/chapter1/consonants1.html>子音チャート(1)をクリック。

<a href="http://hctv.humnet.ucla.edu/departments/linguistics/VowelsandConsonants/course/chapter1/consonants2.html>子音チャート(2)をクリック。

■チョップの余談

  プロレスの力道山の得意ワザ。

  シンガポールに
  Chop Soon Ann
  順  安  號
 という店がありました。

 この場合「Chop」が「號」に対応しているようです。



АЭС の読み方の訂正/ロシア語の略語について

にれのや (2003/10/01 00:21)

【АЭС 原子力発電所の略称の読み方の訂正】
■先日、チェルノブイリについての書き込みにて、ロシア語の 「原子力発電所」 атомная электростанция ['アータムナヤ エりぇクトラス'ターンツィヤ] の略称 АЭС の読み方を間違って記してしまいました。
     誤 АЭС [アエ'エス] ([aε'εs])
     正 АЭС [ア'エ-ス] [a'ε・s]
■この2つ何が違うのか説明するついでです。ロシア語の略語について説明してしまいましょう。日本語で書かれたロシア語の文法書には、おそらく、これほどきちんと書かれていないと思います。

【ロシア語の略語の作り方には、以下のような方法があります】
   (1)【頭文字を並べる方法】
     (a) 文字の名前で読むもの。
       КГБ [カゲ 'ベー] KGB
       СССР [エセセ 'セル] ソ連邦
 並んだ文字を単語として読むことができない場合、この型になります。アクセントは、必ず、最後の音節にあります。不変化で、文法上の性はもとの語に従います。格は 「語の位置と文脈」 によってのみ判断します。ソ連邦の切手には
       ПОЧТА СССР ['ポーちタ エセセ'エル]
と記されていましたが、これは 「СССРの郵便」 という意味です。つまり、この場合、СССРは生格(所有格)です。

     (b) 文字を綴りどおりに読むもの。
       МИГ ['ミク] ミグ戦闘機
       БАМ ['バム] バム鉄道 (バイカル=アムール幹線)
 並んだ文字を単語として読むことができる場合、この型になります。アクセントは、必ず、最後の音節にあり、普通の単語のように無声化・有声化が起こります。最後が母音で終わる場合は不変化で、文法上の性はもとの語に従います。
 子音に終わる場合は、男性変化をし、文法上の性も男性になります。つまり、本来は女性・中性名詞なのに略語では男性名詞となることもあります。変化語尾は小文字にします。つまり、
       в ГУМе [ヴ・'グーミェ] (グム=国営デパート=にて)
       строительство БАМа [ストラ'イーチェりストヴァ 'バーマ]
             (バム鉄道の建設) [本来は女性名詞]
のようになります。しかし、АЭС 「原子力発電所」 は、一貫して不変化名詞として扱われています。この型では、人によって、同じ略語を変化させたり、させなかったりというユレが見られます。日常よく使われる語ほど変化するようです。
 МГ-やКМ- などで始まる略語は、「文字の名前で読んだり」、「文字を綴りとして読んだり」 します。(a), (b) のどちらに属するか不明の場合は、斜格で変化するかどうかで判断できます。-а, -е などの変化語尾がついていれば、「綴りどおりに読んでいる」 ことになります。

     (c) 略記に過ぎないので、もとの単語で読むもの。
       СПб [サンクトピェチェル 'ブルク] サンクトペテルブルク

   (2)【語の一部を取り出すもの】
     (a) 取り出した要素で合成語をつくるもの。
       Коминтерн [カミン 'テルヌ] コミンテルン (第3インター)
 この型では、頭の1文字のみを大文字にします。通常は子音に終わるので、男性名詞の変化をします。また、文法上の性は 「もとの語に関係なく」 男性名詞として扱います。アクセントは、最後の構成要素に置き、アクセントの位置は、もとの語の位置を保持しますが、もとのアクセントが省略された部分にあった場合は、いちばん最後の音節にアクセントを置きます。つまり、
       Коммунистический интернационал
        [カムゥニス'チーちぇスキイ インテルナツィア'ナ-る]
         →Ком- + интерн (←アクセント部分がなくなっている)
         →Комин'терн (←最後の音節にアクセントを置く)

     (b) 取り出した部分を単語にするもの。
       Транссиб [トラン 'シ-プ] シベリア鉄道 (シベリア横断幹線)
 この型でも、頭の1文字のみを大文字にし、男性名詞変化をし、性も男性とします。「シベリア鉄道」 は、本来、Транссибирская магистраль [トランシ 'ビールスカヤ マギスト'ラーり] で女性名詞です。

■以上、ロシア語の略語についてでした。



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