2001年前半伝言板アイヌ語関係集
アイヌ語地名のおすすめ本は?
jets (2001/01/03 16:05)
はじめまして。よろしくお願いします。スノーボードが好きで北海道へ行くようになってから北海道の地名に魅せられました。意味がわかって現地を訪れると、昔の人がその場所をどう見ていたかを知り、感慨もひとしおといったところです。しかし、初めて北海道へ行ったとき、バスガイドさんが「(スキー場の)キロロはアイヌ語で心という意味です。」と説明を受け勝手に感動していたのですが、このサイトを見ると違うようですね。幽霊アイヌ語の存在も知り、なかなかむずかしそうです。図書館や現在手に入るアイヌ語地名を調べる本で皆さんがおすすめなのは何でしょうか。ちなみにヌプリはわかりましたがニセコエリアの「アンヌプリ」や「チセヌプリ」はどういった意味になるのでしょうか。
ニセコアンヌプリは和製アイヌ語
resaknay (2001/01/03 22:14)
全国規模の知名度となった「ニセコ町」は、
昭和39年に改称によって出来た町名で
それまでは、「狩太(かりぶと)町」といっていました。
この「かりぶと」は
マクカリペップトウmak-kari-pet-putu
(真狩川・の口<合流点>)
の後半部を地名化したものでした。
また、「ニセコ」は、蘭越町との境界
となっている「ニセコアンベツ川」が
その起源となっており、「ニセコアンヌプリ」も
この川がその名前の起源となっていますが、
ニセイコアンペッnisey-ko-an-pet
(渓谷・そこに・ある・川)
の前半部を用いて地名化したものです。
「ニセコアンヌプリ」については、
これを採録している歴史的資料はなく、また、
それを解釈しても妥当な解釈は得られません。
松浦武四郎はこれを「チセネシリ」と記録し、
これは、チセネシリcise-ne-sir
(家・のようである・山)
と解釈できますが、この山を南側から見ると
「等脚台形:家の屋根の形」に見え、
まさにこの解釈が妥当であると言えます。
ということは、「ニセコアンヌプリ」は明治以降
になって誰か<北大のスキー部あたりであろうか??>が
つけた・・・つまり、和製アイヌ語であると思われます。
この山の近くには、
「シャクナゲヌプリ」や、「ワイスホルン」
それに『そこに兎が2羽いたので名付けられた』
「ニト<二兎>ヌプリ」などの名峰が存在します。
Re:ニセコアンヌプリは和製アイヌ語
jets (2001/01/04 14:49)
resaknayさん、早速のレスありがとうございました。
>和製アイヌ語であると思われます。
アイヌ語は本当にむずかしいですね。素人が少々勉強したところで解読できそうにありません・・・
RE:アイヌ語地名のおすすめ本は?
佐藤和美 (2001/01/04 17:09)
私が以前書き込んだものです。
「これであなたもアイヌ語地名研究家」佐藤和美(1998/09/24)
>最短でアイヌ語地名研究家になる(なったふりをする?)には次の3冊を手に入れましょう。
>知里真志保「アイヌ語入門」北海道出版企画センター
>知里真志保「地名アイヌ語小辞典」北海道出版企画センター
>山田秀三「北海道の地名」北海道新聞社
>まず知里真志保「アイヌ語入門」を読んで、後の2冊は手元においておく。
>「地名アイヌ語小辞典」は地名に出てくる単語が、「北海道の地名」は北海道内の地名が解説されています。必要のつど辞典のように引きましょう。
>これであなたも一週間でアイヌ語地名研究家です。(笑)
山田秀三「北海道の地名」は現在では草風館から出てます。
これを書き込んでから2年ちょっとたちましたが、あいかわらず一週間でできることをやってない「アイヌ語地名研究家」が多いですね。(^^);
「本当のことが知りたい」が原点
resaknay (2001/01/04 21:26)
難しいからやめちゃう
・・・というのは、すんごく残念!
JETSさん、そう言わずにチャレンジ
して下さい。
すべからく、「本当は何?」ということから
文化は発展するものです。
方法論さえ間違えなければ、ある程度の所までは
行けますって・・・!
良く言うじゃありませんか、
「習うより慣れろっ」・・・て!
「私のアイヌ語地名調査」という入門書を
昨年の4月に自費出版しました。ある程度
方法論的には網羅しているものと自負しています
もし、ご入用なら、連絡下さい
resaknay@syd.odn.ne.jp
一人でも多くのアイヌ語地名研究者が増えてくれる
のを心待ちにしています。
Re:「本当のことが知りたい」が原点
jets (2001/01/05 01:00)
佐藤さん、resaknayさん、レスありがとうございます。
resaknayさん、本の件でメールをお送りしましたので、よろしくお願いします。
まず、知里真志保さんの2冊の本はネット書店で注文しました。
せっかく縁があって興味をもったので、自分でもいろいろ調べてみようと思います。
質問です。
サチ (2001/01/17 16:28)
初カキコさせていただきます。アイヌ語の「horka-nay」という地名の意味がわからないんですけど、教えていただきたいです。最近アイヌ語に興味をもったばかりなもので、まだまだ未熟者ですがよろしくお願いします。
horka-nayについて
resaknay (2001/01/18 06:49)
サチさん
“ホロカナイhorka-nay(後戻りする・川)”
<但し、ロはポイントを2段位下げて表記する>
となります。
「後戻り」というのは、人が河口から川を遡って
いくと、水源部は大きく曲がっていて、あたかも
また、河口のある方向へ進んでしまう、というような
そんな流れ方をしている川(沢)に対して
用いられる表現です。
本流筋が「?」の形のようになっているもの、
と考えてください。
<なお、この場合は、点を河口部と見立てます>
河川は、アイヌの人々にとって交通路と
なっていましたから、川の形態・・・というより
その川を通っていくとどうなるか
という内容を含んだ地名も多く見られます。
ありがとうございます。
サチ (2001/01/18 09:24)
resaknayさん、ありがとうございます。
河川関係の地名はよく聞きますよね。まだ、あまり分からないのですが
O-sat-nayとか・・・。
もっと勉強して皆様とアイヌについて談話できるようになりたいと思います。
また書きたくなりました。
resaknay (2001/01/18 17:23)
サチさん
オサッナイは、苦慮するアイヌ語地名です。
・・・というのは
o-sat-nay(尻・乾いた・川)か
o-sak-nay(尻・無い・川)か
o-sar-nay(尻に・湿原(ある)・川)か
転訛している場合があるので、即断することが
出来ないからです。
その上、植物生態学を少しかじると
湿原は遷移して乾地化していく傾向をもって
いますから、排水路などが造られるなど開発が
進むと、潜在自然植生も分からなくなって・・
・・・ということで、難しい!!!
でも、そうだから、なおさらファイトが
わくのかも知れません。勉強ガンバッテね!
面白かったです
いまぴー (2001/02/08 00:30)
アイヌ語のことを調べていてここに来ました。
「円山」と「藻岩山」のエピソードは知らなかったので、新鮮で面白かったです。
http://www.interq.or.jp/blue/imapy/
「四万十」の語源はアイヌ語?
佐藤和美 (2001/02/11 17:32)
メールで質問がありました。
質問内容は以下のようなものです。
四国に四万十川があり、九州の霧島山系台地も昔は四万十台地といわれた。
四万十とは『しまぬた』が語源であって、それはアイヌ語である。
『しまぬた』の意味は、うるわしき台地・パラダイスというようなことである。
図書館等で書籍等を探したが、確証が見つからない。
このことについてなにか知っていればお教えてほしい。
というような内容です。
霧島山系台地を昔は四万十台地と言ったどうか知りませんし、
確認する気もおこりません。
「四万十」の語源がアイヌ語の「シマムタ」、「シマヌタ」だとかいう説があるようですが、
これはマユツバものですね。つまり、いつもの幽霊アイヌ語ですね。
以下の書き込みを参考にしてください。
「教えて下さい。」(1999/09/11)
「西日本のアイヌ語地名」(99/09/12)
メールの返事をだしたら、「User unknown」で戻ってきました。
質問の返事をもらいたいなら、自分のメールアドレスくらいしっかり設定しておきましょうね。
この人、今までメールで「RE」をもらったことないのを気がついてないんでしょうか。
アイヌ語の地名
らら (2001/02/18 03:29)
私は宮城県の北部に住んでいます。
アイヌ語の使われていた地域の地図を見ると、最南端に近いかも知れません。
ここにはいくつかのアイヌ語を語源とした(多分)地名が残っています。
ホロワ、ホロケ、ソウナイ、etc・・・
それと、今日ちょっと見て驚いたのですが、
マタギ言葉の心臓が、この辺りの方言で男性自身を意味している。
これって、無理やりかしら・・?
でも、近くの町には狼の付く地名や、猟狩なんて言う地名もあるから、
マタギは存在していたかも知れないし。
少なくとも、どこかのあてにならない本よりは信憑性があったりして。
そして、幼児語で水のことを「あっこ」「あっか」とも言いますよ。
これも無理やり・・?
誰か教えてください。
全国にアイヌ語地名はあるか?
resaknay (2001/02/18 06:28)
アイヌ語地名の権威、故山田秀三さんは
少なくとも福島県以北、あるいは、関東地方以北に
アイヌ語由来の地名が残存している・・・としています。
私は、全国にその可能性があると考えながら
アイヌ語を学んでいますが、以前にも書きました
ように、現在のところ、広島・島根あたりまで
もしかすると、沖縄県にも
アイヌ語起源の地名があるのではないかと
考えています。
軽々には言えないかも知れませんが、
ホロ地名とソウナイは、アイヌ語地名である
可能性があると思います。
また、「無理やり」こじつけなければならない
理由が判然としませんから、もとから、「大切なもの」を
そう言い慣わしてきたと考えた方が良いと思います。
つまり、宮城県にアイヌ語起源の地名があっても
何ら不思議はないと考えられますが、その際
その地名とその景観が照応しているかどうかが
次の問題になると思います。・・・しかし、これが
なかなかうまくいかないものでして・・・
現在、東北地方のロードマップで、アイヌ語地名
の可能性のある地名をピックアップしています。
秋田県はもとより、ざっと200以上はあると
見ています。方法論さえきっちりしていれば、
あなたも明日から「アイヌ語地名研究者」!
一緒に、日本人のルーツを辿ってみませんか?
蝦夷はカイ?
田島照生 (2001/02/18 18:48)
はじめまして。田島と申します。早速質問です。
日本語力の掲示板で話題になっていることなんですが、
日本で「えみし」「えぞ」などと訓む「蝦夷」がありますね。
これは漢字音では「カイ」ですが、アイヌの自称「カイ」と
関係があるのでしょうか。ご教示願います。
アイヌの自称「カイ」?
佐藤和美 (2001/02/19 09:01)
アイヌの自称に「カイ」という単語があるというのなら証拠をみせてください。
私は聞いたことないです。
1999年伝言板アイヌ語関係集の以下の書き込みを読んでみてください。
「北海道」(1999/12/24 12:32)
「ノストラダムスとアイヌ語」(19899/12/25 09:44)
「カイナー」(1999/12/27 15:49)
「カイナー」(1999/12/31 11:48)
(無題)
らら (2001/02/19 10:19)
resaknayさん、さっそくのお返事、ありがとうございます。前回私が言ったソウナイというのは、山の名で「双苗」と記述します。ソウナイという音が、滝、川を意味するとのことを知人に聞きましたが、その山は確かに川の源流がある所です。ですからもしかしたら・・と言う事で。
日本人のルーツを辿る、良いですね!是非ひっそりと「自称お仲間の一人」になりたいです。でも、皆さんとっても一生懸命研究されていらっしゃるので、私は覗き見させていただく程度ですが。
カイ
田島照生 (2001/02/19 10:28)
>佐藤和美さん
私は直接には存じませんが、平山裕人著『アイヌ史を見つめて』
に「カイ」があるそうです。
RE:カイ
佐藤和美 (2001/02/20 12:04)
田島さん
>私は直接には存じませんが、平山裕人著『アイヌ史を見つめて』
>に「カイ」があるそうです。
その人のアイヌ語力がどうなのかですね。
そしてなんの資料を基に自称「カイ」があるといっているのか。
アイヌ語の世界では実際には存在しない単語が山ほど流通してます。
(幽霊アイヌ語といいます)
あるといわれても、そう簡単には信じない習慣ができてますので。
RE:RE:カイ
nupkes (2001/02/20 17:24)
>そしてなんの資料を基に自称「カイ」があるといっているのか。
『アイヌ史を見つめて』p.458のことだと思います。松浦武四郎の北海道と名付けるときのものです。これは、すでに、佐藤和美さんが検討したものとほぼ同様の内容かとおもいます。
>その人のアイヌ語力がどうなのかですね
同書p.33に「日本列島のアイヌ語地名」の項目がありますが、読んでみると、あまり、アイヌ語の知識はなさそうです。
著者の平山裕人さんとは、一度、ある会でお会いしたことがありますが、歴史畑の方で、まじめな方です。歴史関連は、すばらしいのだと思いますが、アイヌ語と、アイヌ語地名は、支持できません。
RE:RE:REカイについて
resaknay (2001/02/20 17:42)
『アイヌ史を見つめて』p105以降に
カイについての記述があります。
北海道の命名者として有名な、松浦武四郎の
エピソードとして、このことは心有るアイヌ語地名研究者
には周知のこととなっています。
もし、武四郎が、聞き書きとして
「ペッは川のことだという」と書いていたとして、
今、この内容を疑う人はいないでしょう。
しかし、「カイはアイヌの人達の自称である」と
書いていたとすると、それは、なかなか認められないかも
知れません。・・・それは、その語が、現行の辞書には掲載されて
いないからです。つまり、現在の私達にはその適否が
判断できないからです。
私は、平山さんの記述は何も誤っていないと考えます。
では、「カイ」というアイヌ語はあるのでしょうか?
・・・これについては、やはり、現時点では判断できない
こととして、残しておく他はないように思います。
RE:^4 カイについて
nupkes (2001/02/20 21:13)
『アイヌ史を見つめて』p.105「アイヌ民族自称の変遷』を読みました。
平山氏のアイヌ語能力を見くびっていたため、この項を読んでいませんでした。確かに、この論証からは、「カイ」の可能性は、否定できないかと思います。
不明を恥じます。
「蝦」の発音
佐藤和美 (2001/02/21 12:04)
田島さん
>日本語力の掲示板で話題になっていることなんですが、
>日本で「えみし」「えぞ」などと訓む「蝦夷」がありますね。
>これは漢字音では「カイ」ですが、アイヌの自称「カイ」と
>関係があるのでしょうか。
>私は直接には存じませんが、平山裕人著『アイヌ史を見つめて』
>に「カイ」があるそうです。
「日本語力の掲示板」を見てきましたけど、『アイヌ史を見つめて』の主張は『新唐書』で「蝦夷」という字が使われていて、これはアイヌの自称「カイ」に中国語の発音で「蝦夷」の字を宛てたんじゃないかということのようですね。
このHP・伝言板では日本語のハ行音の歴史について何回かふれてきました。
最近では富士山の語源がアイヌ語ではないという金田一京助の記述を引用しました。
もう一回引用します。
「若し語原が、説者のいう如くアイヌ語のhuchiであったならば、国語にクヂ(またはクジ)となっていた筈で、国語にハ行音でフジとなる為には、その語頭音は必ずやpかfでなけれだならない。それは上代の国語の音には[h]音がなく、外国の[h]音はこれが為にみな[k]音に取り込まれる例であったからである。現今のフジであるからとて、huchiをその語原に見立てたのは、国語の音韻史を無視した失考だった。」
日本語に入った後で「k」だったからといって、もとの言葉が「k」だとはかぎりません。「k」かもしれないし、「h」(に近い音)かもしれない。
それでは「蝦」の中国語発音はどうだったのか。
中国語辞典でピンインを調べてみましょう。
「ha」ですね。
もうこれ以上いうことはないでしょう。
『アイヌ史を見つめて』の主張は成立しません。
(中国語の発音も変化しています。藤堂明保編「学研漢和大字典」には発音の変遷が書かれています。)
(無題)
田島照生 (2001/02/21 12:04)
>佐藤和美さん
有り難うございました。たいへん参考になりました。
藤堂明保の「学研漢和大字典」も友人に借りて読みました。
今後は鵜呑みにすることはせず、懐疑派(?)に転じます(笑)
地元の方言について。
静狩 (2001/02/26 11:37)
はじめまして、私は静狩と申します。私の実家は北海道の長万部という町なのですが、そこでは
その長万部の人間しか知らない奇妙な語彙が存在しています。それは「ゴダラッペ」又は「ゴダッペ」という単語です。意味は「川ハゼ」、または「雑魚」なのですが、私の札幌出身の友人と、旭川出身の友人は、同じ北海道に住んでいるにも関わらず、この言葉を知りません。この言葉が通用するのは、長万部から半径数十キロメートル以内にある隣町ぐらいの人間だけです。
私は「ゴダラッペ」と言うよりは「ゴダッペ」とよく使います。しかしこの言葉の語源が全く分かりません。音的にアイヌ語のような印象を受けたので、アイヌ語の辞書などを調べても全く手がかりがありませんでした。もしこの掲示板を見てる方で、何か知っていることがあれば、大変お手数ですが、掲示板か、私のメールアドレスにメールを頂けると幸いです。
RE:地元の方言について。
佐藤和美 (2001/02/26 12:03)
北海道弁講座
http://home2.highway.ne.jp/ynarumi/dir1/kouza.html
の中の
早見北海道方言集
http://home2.highway.ne.jp/ynarumi/dir1/dir13/kagyo.html
に以下のように書いてあります。
「ごたっぺ ハゼ科の淡水魚でウキゴリの異名。「ごたらっぺ」ともいう。」
このHPによれば「ごたっぺ」、「ごたらっぺ」は、日本語北海道方言のようですね。
「大辞林」から。
うきごり 【浮鮴・浮吾里】
スズキ目の淡水魚。全長約12センチメートル。ハゼの一種で、頭は扁平、腹びれは吸盤状。口が大きく、下あごは上あごより長い。体色は淡緑茶色で、褐色の斑紋が背や体側にある。斑紋や生態により、汽水・淡水・中流の各型に分ける。食用。沖縄県をのぞく各地の湖沼や河川の中流から汽水域に分布。
RE:RE:地元の方言について。
nupkes (2001/02/26 20:47)
「ごたっぺ」のアイヌ語は、pisuy-sokと思うのですが。
ゴダッペ異聞:RE^2:地元の方言について。
松茸 (2001/02/26 23:11)
電網検索したところ、「ゴダッペ(ゴタッペ etc.)」に「ウキゴリ」以外の解釈をしているページを見つけました(みな北海道方言)。
※「コマイの幼魚」とするもの:
http://www.geocities.co.jp/SweetHome/2917/zatugaku.html
http://www.elfish.com/~fish/fish/komai.html
http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/exp/wakkanai/tararui/tara.htm
※「(潮溜りにいる)ハゼ科の小魚」とするもの:
http://www1.ocn.ne.jp/~godappe/html/aisatu.htm
http://www6.vis.ne.jp/~aichan/pet/diary.html
なお、『魚の博物事典』(末広恭雄著。講談社学術文庫883。1989年)の「ハゼ」の項に:
「地方名●……カマゴツ(鳥取)、……ゴズ・ゴツ(米子)、……」(p.390)
とありました。偶合でしょうか?
本「アイヌ語地名リスト」
nupkes (2001/04/07 20:24)
北海道庁から「アイヌ語地名リスト」が発刊されました。内容には、非常に問題があります。
(私の名がこの書籍に記載されているのに、批判するのは道義的に問題かもしれません。)
私たち仲間は、少しでも改善したく努力したのですが(そのために発刊が遅れましたが)、努力が報われませんでした。
これは、財団法人アイヌ文化推進・研究機構
http://www.frpac.or.jp/index.html
に申し込むと手に入ります。
ぜひ、みなさんからも、誤りを指摘し、改訂版の発刊に協力してください。
アイヌ語地名について。
奥山一絵 (2001/04/09 18:27)
はじめてお邪魔します。秋田で縄文遺跡の発掘調査を担当している者です。
現在調査を行っている遺跡は、標高45mくらいの台地の上にあって、ここから
「尾太山」(オップだけ)という山が見えます。多分アイヌ語だと思うのですが、
どんな意味なのか、どなたか教えてください。よろしくお願いします。
ついでに宣伝〜☆
ポロヌップ (2001/04/11 18:33)
新聞・テレビの報道でご存知の方もいらっしゃると思いますが、平取町二風谷でミニFMが開局しました。その音声が、以下のサイトで聞くことができます。
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html
また、このニュースについては、道新のサイト(http://search.hokkaido-np.co.jp/)で見れます。
「アイヌ語」などで検索すれば引っかかるはずです。
アイヌ語FM誕生。
oripakEsaman (2001/04/12 11:16)
え、いわんけ、やぁぁぁ。
チョー おひさしぶりです、アイヌの生活と現在を考えるHP、
Ainu puyarA の Esamanです。
4/8に、日本初のアイヌ語を交えた放送を行うミニFM局
「FMピパウシ」 が開局しました。
萱野さんの家の隣だそうです。
出力は76.1Mhzで、二風谷周辺だけしか受信できないようですが、
HP上で放送内容が聞けるので、それを補って有り余るものがありますね。
ネットを利用した、マイノリティの情報発信の好例だと思います。
その音声データは、ホームページ「国際先住民族ネットワーク」内にあります。
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html
http://www.alles.or.jp/~tariq/
「オップ」の語呂合わせ
佐藤和美 (2001/04/12 22:56)
「オップ」ですか。
日本語でも、アイヌ語でも意味がよくわかりませんが、
以下、アイヌ語による語呂合わせです。
まず私が連想するのは北海道の「オプタテシケ」山ですね。
意味は「オプop」(槍)+「タta」(そこで)+「テシケteske」(はねかえった)
ということになるようです。
「オップ」が「槍」と関係あるのかどうか、わかりませんけど。
もう一つ。
「オo」(川尻)「プpu」(倉庫)
「川尻に倉庫のある川」の「オプ」の部分が残った?
以上、語呂合わせでした。
RE;「オップ」の語呂合わせ
nupkes (2001/04/13 00:05)
アイヌ語地名で、最もやってはいけないのが語呂合わせです。でも、つい、やってしまうのが語呂合わせです。
私も、やってみます。
オップですから、そのまま書くとotpuまたは、oppuとなります。
otpuなら、まず、よくある単語otとするとot-puとなります。otの後に来る単語と言えばpeです。子音は変化しづらいが母音は記録されるときによく変化します。
以上から、ot-peと推定します。
これは、num-ot-pe、pe-ot-peなどの脱落形です。これは、当然川の名です。
川の名がその上流の山の名として呼ばれることはよくあることです。
以上からオップはオッ・ペ ot-pe(〜ある・もの[川])となります。
当然、上記のことは、お遊びです。
こんなことをかくと、resaknayさんに怒られそうですね。
手塚作品のアイヌ語・番外編
佐藤和美 (2001/05/27 17:55)
「手塚作品のアイヌ語」では「シュマリ」と「勇者ダン」にでてくるアイヌ語について書きました。
もう一つ、アイヌ語の出てくる作品があります。
「ブラック・ジャック」の「一ぴきだけの丘」に「ペカンベの丘」という地名がでてきます。それは「冬季オリンピック」の跡地にあります。札幌と考えていいでしょう。北海道らしさをだすためにアイヌ語を使ったのでしょう。
「一ぴきだけの丘」は「シュマリ」が完結した翌年に描かれています。「シュマリ」を描くためにアイヌ語は調べたはずですから、まだその記憶が鮮明に残っていた時期ではないでしょうか。
アイヌ語で「ペカンペpekanpe」は「菱の実」という意味です。
(アイヌ語では「p」と「b」の区別をしない。)
北海道には「別寒辺牛(べかんべうし)」という地名も実在します。
(意味はpekanpe-us-i「菱の実の群生している所」)
『地名の世界地図』の元ネタについて
松茸 (2001/05/28 04:01)
お久しぶりです。
例の『地名の世界地図』の〈アイヌ語〉の珍解説(の一部)とまったく同じ誤りを冒している本を発見しました。
『地名の由来を知る事典』 武光誠著 東京堂出版 1997年
いくつか例を挙げます[原文のルビは{ }で囲って示しました]:
* 稚内
稚内(ヤム・ワッカ・ナイ「冷たい飲み水の川」のヤムの省略されたもの)
(『地図』第一刷 p.108)
稚内{わつかない}市の地名は「冷たい飲み水の川」をあらわす「ヤム・ワツカ[原文のまま]・ナイ」にもとづく。
(『事典』p.235)
* 古平
古平(フルー・ピラ「赤い崖」、積丹半島を取り巻く断崖が赤く見えたため)
(『地図』第一刷 )
古平{ふるびら}町の地名は、赤い崖をあらわすアイヌ語「フルー・ピラ」をもとにつくられた。そこは積丹{しやこたん}半島北東部沿岸の漁業の町である。海からみた積丹半島をとりまく断崖が赤く見えたために、その地名がおこった。
(『事典』p.237)
* 斑鳩
しかしハトは日本中にいるが、「いかるが」という地名は聖徳太子ゆかりの地の他にはみられない。そこで、アイヌ語の「イカルカ」(山の頂、物見をするところ)がその語源だとする研究者がいるのだ。
(『地図』第一刷 p.109)
ハトはどこにでもいるが、古代の文献に太子ゆかりの地のほかの「いかるが」の地名は出てこない。そこで「いかるが」はハトにちなむものではなく、アイヌ語にもとづくものだとする説も出されている。それによれば「イカルカ」という「物見をするところ」をあらわすアイヌ語が斑鳩の語源であることになる。
(『事典』p.177)
……直接参考にしたのか、たまたま同じ幽霊アイヌ語本を引いたのかは不明ですが、同系統のものであることは間違いないようですね。
武光誠
佐藤和美 (2001/05/28 12:27)
武光誠って、4月に文春新書から「県民性の日本地図」っていう本だした人ですね。
「県民性の日本地図」ってどんな本かな?
なんかいやな予感が…… (^^);
文春は今度は「XXの日本地図」をシリーズで出すつもりなのかな?
RE:『地名の世界地図』の元ネタについて
佐藤和美 (2001/06/02 09:31)
松茸さん
>直接参考にしたのか、たまたま同じ幽霊アイヌ語本を引いたのかは不明ですが、
>同系統のものであることは間違いないようですね。
『地名の世界地図』P108
「『飢餓海峡』の舞台となった岩内」
『地名の由来を知る事典』P235
「水上勉の小説『飢餓海峡』は、岩内を舞台にしている。」
私にはこれ↑はたんなる偶然には思えません。
(それとも50歳台くらいの人はだれでも「岩内」で『飢餓海峡』を連想する?)
『地名の由来を知る事典』P259
「幸福とよばれたあたりは、もとは幸震(さちない)とよばれていた。それは、地震をあらわすアイヌ語にもとづく地名だ。アイヌの人びとは、地震で荒らされた土地をそうよんだ。
明治二九年(1896)の文献に、はじめて幸震の地名が出てくる。それは、サチの音に「幸」をあて、「ナイ」を意訳して地震の「震」にする形でつくられた。」
武光誠という人はアイヌ語も知らないけど、日本語の古語の「なゐ」(地震)も知らなかったようですね。「なゐ」が地震だと知っていれば、アイヌ語「ナイ」(川)に「震」の字をあてたのも納得できるというものです。
司馬遼太郎と「ウラル・アルタイ語族」etc
佐藤和美 (2001/06/03 10:12)
私は司馬遼太郎のファンなんですが、司馬遼太郎の本を読んでると、ときどき「ウラル・アルタイ語族」っていう言葉が出てきます。司馬遼太郎は学徒出陣した人ですが、その頃の大阪外国語大学では「ウラル・アルタイ語族」で教えてたんでしょうね。その後、死ぬまで「ウラル・アルタイ語族」を使ってたようです。多くの人に読まれてた人だから、司馬遼太郎の本で「ウラル・アルタイ語族」っていう言葉を覚えた人も多いかもしれません。(私もその一人でした。(^^);)
司馬遼太郎は大野晋の説(日本語とドラビダ語が同系だという説)も信じてたみたいですね。
『菜の花の沖』のあとがきだったかに、「ニシン」の語源はアイヌ語だって書いてあったけど、アイヌ語に「ニシン」なんて単語はないのでありました。(^^);
今でも司馬遼太郎ファンの佐藤でした。
「富士山」の語源
松茸 (2001/06/03 19:00)
『大英百科事典』
http://www.britannica.com/eb/article?eu=36245&tocid=0
によると:
| The mountain's name[ie. "Fuji"], of Ainu origin, means “everlasting life.”
だそうです。
# こういうのも「幽霊アイヌ語」になるんでしょうか?
なお、"Ainu"の項目:
http://www.britannica.com/eb/article?eu=5244&tocid=0
にも、鳥肌の立つようなことが書いてあります。度胸のある方はどうぞ。
RE: 「富士山」の語源
朝倉勇一 (2001/06/04 05:07)
私はアイヌ語にはまったく通じない者ですが、平凡社の『世界大百科事典』の「富士山」の項を見ると「・・・富士という山名はアイヌ語で火を意味する〈フチ〉に由来するといわれる。」とあります。この部分の執筆者は小泉武栄という方で、略歴などは明示されておりません。
#門外漢ですが、ご参考までにと思い報告します。
RE:「富士山」の語源
佐藤和美 (2001/06/04 12:49)
「everlasting life」って「不死」っていう意味なんでしょうけど、
たしか『竹取物語』の最後のところで、「富士」の語源が「不死」だというエピソードがあったような。(うろ覚え)
どう考えても「不死」はアイヌ語じゃないですね。
日本人でこの説を信じる人は一人もいないと思いますが。
文章書いた本人がアイヌ語だと思ってるんだから、「幽霊アイヌ語」になる?
RE: 「富士山」の語源
佐藤和美 (2001/06/04 22:20)
富士山が「アイヌ語で火を意味する〈フチ〉に由来する」というのは以下の書き込みを読んでください。
「富士山の語源はアイヌ語の「火」?」(1999/09/07 08:26)
RE:『地名の世界地図』の元ネタについて
佐藤和美 (2001/06/04 22:21)
谷川健一「日本の地名」(岩波新書)P213-218
ここにアイヌ語地名のことがちょっとでてます。
「地名の世界地図」P108あたりの柳田国男のことはこの本をネタにしたのかな。
RE^2:『地名の世界地図』の元ネタについて
松茸 (2001/06/05 23:07)
->佐藤さま:
ご教示ありがとうございます。
『日本の地名』を確認しましたが、間違いなく元ネタですね。
それにしても:
| ともかくも、柳田はアイヌ語地名を白河以北にとどめて考えては
| ない。[中略]そこで私どもは、アイヌ語地名が白河以南にも残存す
| る可能性を原則的に認める必要がある。[後略]
(『日本の地名』p.216)
という慎重な表現が;
| [前略]彼[=柳田]のこの説によって、アイヌ語の地名が白河以南に
| も残っている可能性が認められるようになってきた。[後略]
(『地名の世界地図』第九刷 pp.109-110)
に化ける、恐るべき曲解力。(--;
PS. 谷川先生で思い出しましたが、武光誠(敬称略)って、かの『東日流外三郡誌』を一時支持していた人物ですね。
似非アイヌ語(富士山)
朝倉勇一 (2001/06/06 05:32)
佐藤さんどうもありがとうございます。
平凡社の世界大百科事典がトンデモネタの卸元であったとは呆れた話ですね。私は以前このCD-ROM版を数万円で購入したのですが、最近パソコンを買い換える機会にメーカーに問い合わせたところ「Windows98SEまでしか動作保証はしていません」という回答がありました。それでME全盛の時代にわざわざ98SE搭載の機種を買ったという馬鹿な話、紙媒体なら数十年は楽にもつのに・・・と複雑な気持ちです。
そういえば司馬遼太郎もこの事典をよく引用していました。実は佐藤さんと同様私も司馬ファンで、かの博識にはいつも感心させられっぱなしですが、時に「弘法も筆の誤り」に出会うとなんだかホッとするような。(笑)
「愛蘭土(アイルランド)紀行」の中に"dead pan joke"という話が出てきます。真面目な顔をしてカマすジョークのことで、これを「死んだ鍋ジョーク」と表現したのには笑いました。「死んだ鍋」などという無意味な言葉を詮索もしないで使うのは凡そ司馬さんらしくない。この場合の"pan"は演劇界で使われる用語で「顔」という意味です。プログレッシブ英和辞書にも最後のほうに小さく「(米俗語)顔」とありますが、しかしこれは一般的な用法とはとてもいえない。が、敢えてこれを使い"dead pan"と成語したのは「英雄伝」で有名なプルタルコス(英語でプルターク)の著作「イシスとオシリス」にある有名な文章「パン(牧羊神)は死んだ!"The great god Pan is dead"(英訳)」に掛けたためだそうです。
#ま、ご愛嬌ですが(^^)
函転(はこてん)涙岬について
スポーツスター (2001/06/15 08:19)
はじめまして、スポーツスターと申します。
8月初旬に道東の霧多布周辺にツーリングに行く予定です。
霧多布岬の西に、涙岬という所があるんですが、
昔は(1985年頃?)、函転(はこてん)涙岬と言っていたと先輩から聞きました。
その先輩も詳しくは知らなくて、はたして函転とは何なんだろう、
と疑問に思いあちこち検索していたら、このサイトにたどり着きました。
アイヌの言葉に函転なんてあるんでしょうか??
それとも昔の旅人がただそう呼んでいただけなんでしょうか?
教えて下さい。
RE:函転(はこてん)涙岬について
佐藤和美 (2001/06/16 09:06)
道東ならアイヌ語地名の可能性が高いですね。
ただ「はこてん」のようなアイヌ語はみつかりませんでした。
もとのアイヌ語がかなり変形している可能性もあります。
茅部
佐藤和美 (2001/06/16 15:52)
きょうの毎日新聞・余禄から
「北海道函館市の北東に接する南茅部町。茅部はアイヌ語で帆の崖(がけ)という意味だそうだ。」
調べてみると「カヤkaya」は「帆」という意味ですね。
「茅部」の語源説には
kaya-un-pe 「カヤkaya」(帆)+「ウンun」(ある)+「ペpe」者(所)
kaya-un-pes 「カヤkaya」(帆)+「ウンun」(ある)+「ペシpes」崖
などがあります。
函転(はこてん)について
スポーツスター (2001/06/18 07:48)
佐藤和美様
さっそくのレスありがとうございます。
アイヌの言葉にはない・・・
ということは、旅人の間だけの通称だった可能性もありますね。
もう少し自分なりに調べてみます。
昔の(1985年頃)北海道のユースホステルでひろまっていたらしいんです。
もし解ったら、また知らせます。
RE:函転(はこてん)涙岬について
佐藤和美 (2001/06/18 11:51)
船橋競馬場から駅へ行く道をオケラ街道とか言うそうですが、
ハコテンというとマージャンを連想しますね。
「函転(はこてん)涙岬」って、ハコテンで涙?
『地名の世界地図』のアイヌ語
佐藤和美 (2001/06/20 12:42)
『地名の世界地図』1刷のアイヌ語地名のことは以前書きましたけど、その後のことを書いてなかったですね。
P108
「岩内(イワウ・ナイ「硫黄の多い川」)」
「イワウ(硫黄)」+「ナイ(川)」であり、「多い」という言葉は出てこない。
P109
「古代、アイヌは北日本にも広く分布していたので、アイヌ語の地名は本州にも多くみられる。やはり東北に多いが、関東、関西にもあるとする研究者も多い。」
1刷にあった「斑鳩」、「富士」を削除したのだから、あきらめて「関東、関西にもあるとする研究者も多い。」も削除すればいいのに。それがやだったら、「斑鳩」、「富士」のかわりを出さないとね。
P109
「柳田国男によれば、東日本に分布する堂満や当間(当麻)という地名もアイヌ語起源(トマム、トマン「沼、沼地」)であるという。」
アイヌ語に「トマムtomam」(湿地、泥炭地、沼地)という単語はありますが、当然のことながら「東日本に分布する堂満や当間(当麻)という地名」が全てアイヌ語「tomam」に由来するとはかぎりません。それぞれの堂満や当間(当麻)は沼地だったのかくらいは調べてもらわないとね。
なお「トマン」というアイヌ語はありません。
P109
「彼のこの説によって、アイヌ語の地名が白川以南にも残っている可能性が認められるようになってきた。」
日本全国にアイヌ語地名があるとしたのはバチェラーのほうが古いですね。(幽霊アイヌ語での語呂合わせですけど。)1刷での「富士」のことはバチェラーの説でした。バチェラーを信じてる人はいまだにいます。
P110
「千島列島のクリル島は、千島アイヌ語のクル「人」がロシア語化したものだ。」
なにを根拠にこう言いきるんでしょうか。根拠があるなら見てみたいものです。
「千島アイヌ語のクル「人」」って、北海道アイヌ語でもクル「人」なんだから、「千島」は不要。
「Kuril」の「kur」がアイヌ語なら「il」はなんだっていうのかな?
千島列島にクリル島ってあった? クリル列島の間違い?
(P109の地図は「千島(クリル)列島」ってなってるけど)
P110
「色丹(シコタン)はシ・コタン「大いなる村」(シ「大きな」コタン「村」)」
「大きな村」と「大いなる村」では意味が違いますね。
P110
「国後(クナシリ)はクンネ・(アン・)シリ「黒い島」(クンネ「黒いところ」アン「ある」シリ「島」)である。」
「クンネ」は「黒い」で、「黒いところ」じゃない。
「アン」(ある)は(文法上)不要。
P110
「択捉(エトロフ)はエト・オロ・プ「盛り上がる先のある場所=岬の(多く)あるところ」、つまりエト「鼻、先端」オロ「その所」プ「盛り上がる」が有力のようである。
「エト」は「エトゥ」の間違い。
「プ」に「盛り上がる」の意味はない。
「盛り上がる先のある場所」でなんで「岬の(多く)あるところ」になるのか。
こんな説が「有力」なのか。
P110
「歯舞(ハボマイ)はアプ・オマ・イ「氷のあるところ」(アプ「流氷」オマ「ある」イ「所」)」
「氷」と「流氷」で矛盾している。
P110
「ハポ・マ・イ「母の泳ぐところ(=母なるところ)」(ハポ「母」マ「泳ぐ」イ「ところ」)」
「母の泳ぐところ」がなんで「母なるところ」になるのか?
「母の泳ぐところ」で地名になるのか。ま、たんなる語呂合わせですね。
P110
「ポロナイスク(敷香)は、ポロ「大きい」、ナイ「川」、ロシア語のスク「渡場集落」の合成語で、「大きな渡し場のある村」」
ロシア語「スク」にそんな意味があるのか。
「大きい川の渡場集落」がなんで「大きな渡し場のある村」になるのか。
(無題)
アッキ (2001/06/28 15:59)
どうしてアイヌ語は日常話さなくなったのですか?
(無題)
佐藤和美 (2001/06/30 07:56)
アッキさん
>どうしてアイヌ語は日常話さなくなったのですか?
大きな要素は同化政策と差別だと思うます。
銀のしずく降る降る
砂 (2001/06/30 11:47)
突然の質問なのですが、
私は「銀のしずく降る降る」を小学校の時に習い、
最初の「Shirokanipe ranran pishkan konkanipe ranran pishkan」
って言葉と日本語訳の「銀のしずく降る降る 金のしずく降る降る」
を聞いて「sirokanipe」=「しろがね(=白金、銀)」
「konkanipe」=「こがね(=黄金、金)」
と関係があるのではないかと思いつづけていました。
今、高校の総合学習というのでアイヌ語を調べているのですが、
今まで集めた資料には「アイヌ語と日本語にはつながりが見られない」
「アイヌ語は縄文語と関係があるのではないか」
といった見解が多いのです。
やはり「shirokanipe=白金、銀」「konkanipe=黄金、金」
というのは関係ないのでしょうか?
嬉しく、読ませてもらいました。
コーコーの社会科のセンセ (2001/06/30 22:40)
砂さん
「関係がない・・・」
などと言う方のほうが、誤っていると思います。
「借用語」と考えるべきと思います。
「温泉」を表すアイヌ語として、sesekという語彙がありますが、
「yu←湯」とか、「kusuri←薬:薬用になることから・・・」などの語彙も
あります。
「kusari」は、「鎖(帷子<かたびら>)」から転用されて
岩石などの「節理」が発達した状態を表しているようです。
つまり、アイヌ語には、日本語からの「借用語」が多いということが
知られています。
また、東北地方や、本州の山岳部には、アイヌ語と同じと思われるような
地名も残っているようです。
言葉から、日本人やアイヌ民族のルーツに近づくことが出来るなら、
それもずいぶんロマンがあることかも知れませんね。
なお、「総合学習」の時間で、そのような研究が出来るなら、
「総合学習」の時間も、まんざら捨てたものじゃないと、
コーコーのセンセでありながら、チョット・・・期待してしまいますね。
当面・・・あなたの高校の先生は、ナカナカ『デキル』と
自慢に思っても良いように思います・・・・。
RE:銀のしずく降る降る
佐藤和美 (2001/07/01 08:42)
中川裕『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)からです。
コンカネ konkane
金。金色をした金属;沙流・千歳方言ではこの形。他の多くの方言ではコンカニkonkaniという形をとる。<日本語。
シロカネ sirokane
銀;沙流・千歳方言ではこの形。他の多くの方言ではシロカニsirokaniという形が用いられる。<日本語。
「<日本語」というのは、日本語から外来語としてアイヌ語に入ったという意味です。
「shirokanipe」は「shirokani」(銀)+「pe」(しずく)
「konkanipe」は「konkani」(金)+「pe」(しずく)
です。
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』(草風館)から。
pe ペ
水、固体の中に含まれていてどうかすると出て来る水気(ぬれたタオルの水、果物の汁など、何かについている水やしずく、露)
物質としての「水」はwakkaワッカ。おつゆの汁はrurルル、煮物の汁はuweheウウェヘ。
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