キャプテンKenの正体

佐藤和美

 「キャプテンKen」は単行本になったときに、キャプテンケンの正体をなるべく伏せておこうということだろうが、カットされて未収録になってしまった部分がある。

 講談社版全集1巻P200あたりでケンはデブンに捕まってしまうが、ここでケンは「人間の心をよみとって、白状させる装置」にかけられ、デブンに正体を知られてしまうのである。

「日本の少年で十二歳
二二五二年うまれ
本名ケンジ」

デブンは言う。
「二二五二年?
まちがいじゃないか?
いまは二二二七年だぞ」

さらに
「タイム・マシンでやってきた」
「二二二七年にとんできてからは、
水上ケンをまもっている」
「水上ケンは、
キャプテンケンにとって、
おかあさんである」
と正体を、デブンに知られてしまう。

 その後、ケンは収容所に送られてしまうのであるが、収容所へ行くヘリコプターからケンは水上ケンを見つけて「おかあさん」と叫ぶ。この時点で読者にはケンの正体はわかっていたのである。

 講談社版全集2巻で水上ケンが誘拐されて人質にされるが、これはデブンがキャプテンケンと水上ケンの関係を知っていたから人質にしたのであって、現在の全集では水上ケンを人質にする理由があいまいである。(実際は水上ケンではなかったのだが)

 「キャプテンKen」の少年サンデー連載時、キャプテンケンの正体あてクイズが出された。その正解者だが、講談社版全集のあとがきでは正解者は2人とあるが、サンデーでは正解者は最初は3人、その次の週で4人と変更された。その4人の氏名・住所も書かれている。全集のあとがきは手塚治虫が記憶で書いたと思われるので、サンデーの4人という数のほうが正しいのだろう。

(1999・08・18)


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