世界史のための世界国名漢字表記

佐藤和美

 世界史を学習する上で、世界の国名を漢字でどう書くか知っていたほうがよい場合がある。例えば「露土戦争(ろとせんそう)」とはどことどこの戦争だろうか。この戦争は1877〜78年に行われた「露西亜(ロシア)」と「土耳古(トルコ)」(オスマン帝国)の戦争である。「露西亜」と「土耳古」の一字づつを取って、「露土戦争」としているわけである。

 (以下、漢字表記が複数ある場合は、適宜そのうちの一つを選択した。)

 もう一つ「土耳古」関連の戦争。「伊土戦争(いとせんそう)」は「伊太利(イタリア)」と「土耳古(トルコ)」の戦争(1911年)。イタリアはリビアを手に入れた。この後、バルカン戦争、第一次世界大戦を経て、オスマン帝国の領土は縮小して行き、トルコ共和国が成立する。

 「英蘭戦争(えいらんせんそう)」は一七世紀後半に数度行われた「英吉利(イギリス)」と「和蘭陀(オランダ)」の戦争である。この戦争の敗北によって、オランダは世界を舞台にした覇権抗争から脱落した。

 「米英戦争(べいえいせんそう)」は「亜米利加(アメリカ)」と「英吉利(イギリス)」の戦争である(1812〜14年)。
「米墨戦争(べいぼくせんそう)」は「亜米利加(アメリカ)」と「墨西哥(メキシコ)」の戦争である(1846〜48年)。アメリカは現在の西部の広大な地域を手に入れ、太平洋岸までを領有するに到った。
「米西戦争(べいせいせんそう)」は「亜米利加(アメリカ)」と「西班牙(スペイン)」の戦争である(1898年)。アメリカはプエルトリコ・フィリピン・グアムを手に入れた。

 「普墺戦争(ふおうせんそう)」は「普魯西(プロイセン)」と「墺太利(オーストリア)」の戦争である(1866年)。ドイツ統一の主導権を争って行われた戦争である。
 「普仏戦争(ふふつせんそう)」は「普魯西(プロイセン)」と「仏蘭西(フランス)」の戦争である(1870〜71年)。この戦争の途中でドイツ帝国が成立したため、この戦争の終了時点では「独仏戦争(どくふつせんそう)」、「独逸(ドイツ)」と「仏蘭西(フランス)」の戦争になっていたのであった。

(2001・5・19)

(追記 2007・7・13)
「泰緬鉄道(たいめんてつどう)」は「泰(タイ)」と「緬甸(ビルマ)」を結ぶ鉄道である。第二次大戦中、日本軍により建設された。映画「戦場にかける橋」は泰緬鉄道建設が背景になっている。


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