言葉の世界・伝言板 1998年6月
[yi]と[ye]
佐藤義昭 (98/06/30 13/00)
がめらさん、ありがとうございました。疑問がとけました。
ところで、現在の50音表には[yi]と[ye]は乗っていません。
ならば、前はどうだったのか?
[yi]と[ye]に該当する、ひらがな・カタカナは、どのような文字なのかわかりません。
又、お願いになってしまいました。誰か教えて下さい。
ちなみに、昭和44年頃から昭和46年頃に発行されていた週間アルファ大世界百科という雑誌で、項目は忘れましたが明治時代の学校の授業風景の挿し絵が載っていてその中に50音表がありました。
[yi]は、カタカナの「ィ」をさかさまにしたのが、[ye]は、漢字の「壬」の真ん中の横棒がないのが、それぞれ載っていました。
記憶に間違いなければカタカナはこうです。残念ながらひらがなはわかりません。
ye
佐藤和美 (98/06/30 12/10)
「e」よりも[ye」のほうが、欧米人には発音しやすいんでしょうか。
そういえば、「江戸」は「Yedo」だったと思うのですが、「蝦夷」(北海道)も「Yezo」だったはずです。(ブラキストン線で有名なブラキストンの本の題名に、「Yezo」が使われていたと思います。)ほかにも「え」を「ye」としているのがいろいろあるかもしれませんね。
円
がめら (98/06/30 00/09)
日本で「円」が、用いられたのは、明治5年からで、
当時、造幣の技術指導に来ていた外人技師が、
発音しやすい「YEN」をを使ったことから紙幣にも
「YEN」と書かれるようになりました。
中国の通貨の単位は「ユアン」韓国では「ウォン」ですが、
どちらも紙幣の漢字表記は「圓」です。
日本の通貨−円
佐藤義昭 (98/06/29 12/44)
日本の通貨の単位は円です。ところで紙幣を眺めるとローマ字で「YEN」とかかれています。
通貨の単位が円になったのは明治時代からで、江戸時代は両、文だったと思います。
何故、円は「EN」でなく「YEN」なのですか?誰か教えて下さい。
連濁
佐藤和美 (98/06/29 12/04)
「日本語とその周辺」に「連濁」を追加しました。
これは「日本語における語と語の接続について」の「その二」にあたります。(その一は「連声」です。)連濁は語が接続した時に本来は清音なのが、濁音になることをいいます。そもそも「連声」を「れんじょう」と読むのも連濁ですね。音読の連濁のパターンについて説明していますので、読んでみてください。
「日本語における語と語の接続について・その三」は「上」(うえ)が「上役」、「上手」では「うわ」に変化します。というような、ことをやるつもりです。時期は未定です。気長に待っててください。
ここでちょっと問題を。「上」(うえ)は「うわ」と変化しますが、「声」(こえ)はどう変化するでしょうか。その使用例もあげてください。答えはそのうち発表します。
「e」と「ye」
佐藤和美 (98/06/28 13/11)
きのうの追加を少しだけやります。
「e」と「ye」の区別ですが、「いろは歌」では区別されていませんが、万葉時代に使用されていた万葉仮名(漢字を仮名的に使う。「漢字と日本語」を参考にしてください。)では区別されていたようです。そのころは「e」と「ye」を区別していたんですね。この区別はやがてなくなり、「いろは歌」の頃にはもう忘れられていたということでしょう。
いろは歌
佐藤和美 (98/06/27 09/59)
新しくなった伝言板への初めての書き込みありがとうございます。
私の「本棚の本」にある本の中でただ一冊小説があります。それが井沢元彦「猿丸幻視行」(講談社文庫)です。私はいろは歌というとこの本を思い出すのです。ポーの「黄金虫」といえば暗号解読をテーマにした推理小説です。「猿丸幻視行」も暗号解読がテーマなのですが、ただしそれはいろは歌の暗号解読なのです。いろは歌とか、日本語に興味のある人にはおすすめの一冊です。
で、私のいろは歌の知識はこの本で読んだことしかないので、この本をもとに質問に答えたいと思います。
まずいろは歌です。
いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうゐのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす
これでいうと「い」(i)と「ゐ」(wi)、「え」(e)と「ゑ」(we)は区別されています。「ye」にあたる字は出てこないので区別されてないですね。
「いろは歌」は空海がつくったという伝説があるくらいで、平安時代の作品です。「とりなくこえす」は明治36年に万朝報という新聞で募集したものです。(坂本百次郎という人の作品)
とりなくこゑす
ゆめさませ
みよあけわたる
ひんがしを
そらいろはえて
おきつべに
ほふねむれゐぬ
もやのうち
ところで「仮名手本忠臣蔵」というのがあります。なんで仮名手本なんでしょうか。仮名手本とは「いろは歌」のことなんです。で、「いろは歌」の一番右側の字をひろいだすと、「とかなくてしす」になります。つまり「咎(罪)なくて死す」で、「仮名手本忠臣蔵」という題名は幕府批判になってるんですね。
いろは歌
佐藤義昭 (98/06/26 12/46)
いろはにほへと・・・で始まる歌があります。この歌にはちゃんとした意味があるそうですが、このなかで、[i]と[wi]、[e]と[ye]と[we]の区別はどうしているのかがわからないのです。わかる人がいたらお願いします。
また、別のいろは歌に、とりなくこえす・・・で始まるのもあるらしいのですがこちらも誰かしらないでしょうか。
フェニキア
佐藤和美 (98/06/26 12/02)
フェニキアPhoeniciaは今のレバノンあたりにあった古代国家です。フェニキアは商業民族で、地中海を商業で制覇しました。今のチュニジアにあったカルタゴはそんなフェニキアの植民都市の一つです。「カルタゴ」はフェニキア語で「新しい都市」という意味だそうです。
やがて本国のフェニキアは滅んでしまうのですが、その後もカルタゴは生き残りました。しかしやがて地中海の覇権を賭けてローマとの戦いが始まるのです。ローマはカルタゴとの戦争をポエニ戦争と呼びました。ローマは知っていたのです。カルタゴがフェニキアの都市であることを。ポエニPhoeniとはフェニキアPhoeniciaのことなのでした。
「午前」、「午後」、「正午」
佐藤和美 (98/06/25 12/48)
十二支を午前0時から2時間おきにわりふっていくと昼の12時が午になります。「午前」、「午後」はこれの前後ということでいいのですが、「正しい午」とはどういうことなんでしょうか。実は「正」には「ちょうど」の意味もあるのです。「正午」は「ちょうど午」で、12時ちょうどですよ、ということなんですね。
「あ、か、さ、た、な」の順番
佐藤和美 (98/06/24 12/58)
最初の書き込みは50音図で驚いたというのを書きましょう。
50音図の「あ、か、さ、た、な」の順番ですが、実はあれには規則性があるのです。
「あ、か、さ、た、な」と発音してみてください。調音点(発音のために舌、上あごなどが接触する点)が口の奥から前のほうに移動してくるのがわかると思います。50音図を考えた人はえらかったですね。
こういうことや、「漢字と日本語」で書いた漢字の音読のルーツのこととか、日本人の常識になればいい、と思ってるんですけど、皆さんはどう思われますか?
伝言板ができました
佐藤和美 (98/06/24 00/25)
今までは「一日遅れの伝言板」だったんですが、今度はちゃんとした伝言板になりました。どんどん書き込みしてくださいね。
枕詞
佐藤和美 (98/06/23 22:00)
「飛鳥」は「あすか」と読みます。なんで「飛鳥」が「あすか」なんでしょうか。実は「飛鳥」は「明日香」の枕詞なんです。「母」だったら「垂乳根の」が枕詞ですが、「明日香」は「飛鳥の明日香」なんですね。それでいつのまにか「飛鳥」で「あすか」と読むようになったわけです。
「長谷」も枕詞です。この場合は「長谷の初瀬」でした。それで「長谷」で「はせ」と読むようになったのでした。
x[ks]
佐藤和美 (98/06/22 21:00)
英語での「x」の発音記号は[ks]です。「next」は「ネクスト」ですが、「text」はなんで「テキスト」なんでしょうか。やっぱり「テクスト」ですよね。この「キス」となまるのは、日本語特有のようです。
インターネットをやってる人なら一度くらいは聞いたことがあると思いますが、「proxy」というのがあります。これはなんと読むでしょうか。「プロクシー」or「プロキシー」? インターネットエクスプローラも、ネットスケープナビゲータもVer.4.0では両方とも「プロキシー」になってるのはどういうことなんでしょうね。
夏至
佐藤和美 (98/06/21 13:40)
カウンタが5000を突破しました。うれしいなぁ。引き続きこのHPをよろしくお願いしますね。
今日は夏至です。夏至については「暦と星」の二十四節気のところの表にあります。夏至とは太陽が春分点から90度動いた点、およびその点のある日のことです。1年で一番昼が長い、というのは正確な定義ではありません。
シェイクスピアの作品に「真夏の夜の夢」というのがありますが、この「真夏」(midsummer)とは夏至のことです。
誤読
佐藤和美 (98/06/20 11:00)
「凡例」をなんと読むでしょうか。これはわりと有名なまちがえやすい字です。答えは「はんれい」です。
私は高校時代に「五十歩百歩」を「ごじゅっぽひゃっぽ」で辞書をひいて、出てこなかった経験があります。出てくるわけないですね。正しくは「ごじっぽひゃっぽ」ですから。
「早急」はなんと読むでしょうか。答えは「さっきゅう」です。「そうきゅう」という読み方は本来はまちがいですが、「そうきゅう」と読む人がだんだん増えて、それでとおるようになってしまいました。こういうのを慣用読みといいます。
本棚にある本
佐藤和美 (98/06/19 20:00)
本棚にある本(言葉関係)の一覧表を作ってみました。参考資料一覧のかわりと思ってください。「本棚にある本」でアップしてあります。
いつのまにかだいぶたまりました。100冊以上はあるようです。文庫、新書が多いですね。まだ読んでない本、読んだけど忘れた本、いろいろあります。似たような内容の本もありますね。どうも本屋に行くと衝動買いをしてしまうようです。
今現在の気分で印象深かった本を3冊あげてみましょう。(明日が同じとは限りません)
知里真志保「アイヌ語入門」(知里真志保著作集第4巻所載)
渡辺昇一「英語の語源」
小松秀雄「日本語の音韻」
というところでしょうか。
知里真志保「アイヌ語入門」は、私のアイヌ語地名の勉強はこの本から始まったという記念すべき一冊です。
渡辺昇一「英語の語源」は、英語の語源をシステム的に追及していくというのが、興味深かったですね。「モンスター」と「モニター」は同じ語源だとかいう話もあります。
小松秀雄「日本語の音韻」は、日本語の発音の歴史をたどるというもので、おもしろかったです。日本語の「ウ」が英語の[u」と発音が違うなんていう話もあります。
「ア」+「イ」=「エ」
佐藤和美 (98/06/18 20:00)
まずはきのうの答えから。鉄道車輌の略号「ネ」はなにか、というのが問題でした。答えは「寝台車」です。簡単だったかな?
それでは今日のテーマです。「入る」(はいる)を「へーる」と発音することがあります。これはなぜなんでしょうか。
「ア」、「エ」、「イ」と発音してみてください。口がだんだん閉じてきますね。ところで「ア」、「イ」という時、口を移動させるのがめんどうですね。そういうときはどうしたらいいでしょうか。そういうときは「ア」と「イ」の中間の音「エ」で間に合わせればいいのです。「ア」+「イ」=「エ」というわけです。これで「はいる」が「へーる」になりますね。
鉄道車輌の略号
佐藤和美 (98/06/17 20:00)
今日はちょっとかわったところで、鉄道車輌の略号というのをやります。
駅で電車の車輌を見ると、カタカナと数字の略号が書いてあるのがわかるかと思います。このカタカナには意味があります。それをいくつかひろってみましょう。
ク:駆動車(制御車)
モ:モーター車
ロ:グリーン車
ハ:普通車
実際はこれらを組合わせて使います。「モハ」、「クモハ」のようにです。
車輌の等級はかつては、一等車、二等車、三等車があって、それぞれの略号が「イ」、「ロ」、「ハ」でした。この内、一等車がなくなり、二等車がグリーン車に、三等車が普通車になり、略号の「ロ」と「ハ」が残ったというわけです。
ところで、略号「ネ」はなんの略号だと思いますか? 答えはあしたにします。一日考えてみてください。
euthanasia(安楽死)
佐藤和美 (98/06/16 20:00)
メールで質問が来ていたので紹介します。英語の「euthanasia」(安楽死)の語源がギリシア語らしいのだが、わかるかどうかという質問です。
「euthanasia」の中には、ギリシア語「thanatos」(タナトス)という言葉が含まれています。意味は「死」です。タナトスはギリシア神話にもでてきます。このタナトスのことを、呉茂一の「ギリシア神話」(新潮文庫にあります)では擬神化された「死」と表現しています。まるで死神のような存在です。
「euthanasia」の語源は次のような意味になります。
「eu」(良い)+「thanas」(タナトス=死)+「ia」(名詞化接尾辞)
「良い死」で、まさに「安楽死」ですね。
「ら」抜きの法則
佐藤和美 (98/06/15 20:00)
「ら」抜き言葉というのがあります。例えば「食べれる」はまちがいで、正しいのは「食べられる」ですね。
これくらいだったらいいのですが、では「見る」は「見れる」、「見られる」どちらが正しいのでしょうか。判断に迷います。
実は簡単に判断する方法があるのです。(仮に「ら」抜きの法則とでも呼びましょうか。)「見る」の活用を考えます。「見る」は上一段活用です。よって、「ら」は必要で、「見られる」が正しいのです。実は、五段活用以外は「ら」が必要なんですね。これで簡単に「ら」がいるのか、いらないのか判断がつきます。
bicycle
佐藤和美 (98/06/14 14:00)
「bicycle」は「自転車」という意味ですね。
私は中学1年で「bicycle」が出てきたときに、スペルを覚えるのを苦労したんですが、意味のない7文字を覚えるのが大変だったわけです。後でわかったのですが、これは「bi」と「cycle」にわけて覚えればよかったんですね。「bi」(二つの)+「cycle」(車輪)で、「二輪車」という意味になるわけですね。
これは他の単語を覚えるときにも役に立ちます。ちょっと長めの単語は、分割すると覚えやすくなります。長い単語は分割して覚えましょう。
暦と星
佐藤和美 (98/06/13 02:00)
「ヨーロッパの言葉」に「暦と星」をアップしました。
これは暦に関連したいろいろなことをもりこんだものです。ヨーロッパ・中国にまたがった広い話題を取り上げています。月(つき)・曜日の語源から干支まで、楽しんでください。「青春」の語源って知ってます? 私のおすすめ作です。
クリントン・ヒラリー
佐藤和美 (98/06/12 23:00)
日本ではローマ字で書くとき、よく「サトウ・カズミ」を「Kazumi Satou」などと書いたりしますね。考えてみると、これはふしぎな習慣ですね。いつから始まったのかよく知りませんが、「ヒラリー・クリントン」を日本で「クリントン・ヒラリー」というでしょうか。こんな習慣はやめにしてもらいたいものです。私は中学校で、英語では姓名をひっくりかえすんだと教わったような気がします。今の学校ではどうなってるんでしょうかね。
もっとも日本は名前を大事にしない伝統があるのかも知れません。昔、藤原のなんとかいう人が中国へ行くとき(遣唐使かなんかで)、中国は一字姓だから、姓は「藤」ということにしたとかいう話を読んだことがあります。最近では韓国・朝鮮の姓名の読み方の問題がありましたね。抗議がきて現地読みにしたわけですが。自分の姓名を大事にしないのだから、他人の姓名を大事にするわけがないですね。
そういえばこんなことをするのは世界で日本人だけかと思っていたら、最近講談社文庫から出た「ワイルド・スワン」の作者は「ユン・チアン」ですが、漢字は「張戎」です。これも姓名が逆になってますね。
メソポタミアとカバ
佐藤和美 (98/06/11 20:00)
メソポタミアとカバになんの関係があると思います?
カバは漢字で書くと「河馬」です。河馬を英語でヒポポタマスhippopotamusと言いますが、これはギリシア語「hippopotamos」に由来します。「hippopotamos」は「hippos」(馬)、「potamos」(河)と分解できます。「河馬」はこれを直訳したものだったんですね。
次にメソポタミアです。メソポタミアMesopotamiaはチグリス川とユーフラテス川にはさまれた地域をさします。今のイラクあたりです。メソポタミアを分解すると、「meso」(中間)+「potam」(川)+「ia」(地名接尾辞)で、「川のあいだの地域」というような意味になります。ここに「川」(potamos)をキーワードにして、メソポタミアとカバが結びついたと言うわけです。
蜃気楼、麒麟、虹
佐藤和美 (98/06/10 21:00)
今日は漢字で書かれた伝説の動物をやります。
蜃気楼は「蜃」(大はまぐり)が「気」を吐いて出現させた「楼」閣をいいます。古代の人には蜃気楼はふしぎな現象だったでしょうね。(現在でもふしぎですが。)
次は麒麟です。オスは「麒」で、メスが「麟」です。両方あわせて「麒麟」です。
「虹」は「虫」(へび)+「工」(つらぬく)です。虹は「虫」が空を「つらぬ」いている姿です。「虫」(へび)といっても竜のような動物を考えていたようです。「にじ」にもオス・メスがあって、「虹」はオスです。メスは「霓」の字を使います。(「霓」以外にも、「睨む」(にらむ)の目へんを虫へんにかえた字も使います。これはJISコードにはないようですね。)
西表島
佐藤和美 (98/06/09 20:20)
「西表島」は「いりおもてじま」と読みます。沖縄県の最も西のほうにあり、有名な山猫のいる島です。「西」を「いり」と読んでいるわけですが、なぜなんでしょう。
これは琉球方言になるわけですが、答えは簡単です。それは「東」をなんと言っているかです。「東」は「あがり」なんですね。「東」が「あがり」で、「西」が「いり」。そう、太陽が基準だったんですね。
コロポックル
佐藤和美 (98/06/08 20:00)
「日本語の中のアイヌ語」に「コロポックル」を入れるのを忘れてました。「コロポックル」だったら知ってる人も多いのではないかと思います。
「コロポックル」korpokkurの意味は「コロ」kor(フキの葉)+「ポク」pok(下)+「クル」kur(人)です。「フキの葉の下の人」ですね。アイヌの伝説に出てくる小人で、コロポックルを題材に童話を書いた人もいましたね。(佐藤さとるでしたっけ?)
アイヌ語では「r」の後に母音がないと、「r」の前の母音に影響されます。ただし1音節で発音されることにかわりありません。korを片仮名表記するときは、最近は「コロ」の「ロ」を小さく表記するのが一般的になってきていて、「コロ」のように表記します。私の場合は小さくしないで「コロ」と表記しています。ローマ字も併記してますので、正確な発音はそちらをどうぞ。本来だったらこういうことは凡例で書いとかなきゃいけないですね。
日本語では「l」と「r」の発音を区別しません。「kulage」でも「kurage」でも「クラゲ」です。アイヌ語でも「l」と「r」を区別しないのですが、それ以外にも区別しないものがあります。「k」と「g」、「t」と「d」、「s」と「sh」そして「p」と「b」です。「p」と「b」は区別しないのですから、「コロポックル」でも「コロボックル」でもどちらでもいいのですが、一般には無声音のほうで表記します。
ダンテ神曲
佐藤和美 (98/06/07 12:00)
永井豪の「ダンテ神曲」(講談社漫画文庫)という本を買ってきて読んだんですが、その天国編の目次を見てニヤッとしてしまいました。
原作はダンテの「神曲」で古典中の古典といった作品ですが、地上からどんどん天に昇っていくのですが、第一天・月星天、第二天・水星天、第三天・金星天、第四天・太陽天、第五天・火星天、第六天・木星天、第七天・土星天と続くわけです。この順番をどこかで見たことないですか?見たことない人は「雑学・コンピュータ関連用語集」の「calであそぶ」を読んでください。そうこの順番は天動説での地球からの近い順だったんですね。
星の語源・番外編
佐藤和美 (98/06/06 12:00)
「星の語源」の番外編ということで、星に関した話をいくつかしたいと思います。
星座でヘルクレス座ってありますね。なぜヘラクレス座でなくて、ヘルクレス座なんでしょうか。それは星座の名は原則ラテン語だからです。ヘラクレスはギリシア語ですが、ラテン語ではヘルクレスになるんですね。ギリシア語「ペガソス」は、ラテン語で「ペガスス」、英語では「ペガサス」ですね。星座名は「ペガスス」座です。
アルファ・ケンタウリという星があります。これはケンタウルス座アルファ星のことです。「ケンタウリ」というのは「ケンタウルス」の所有格のようなものです。ラテン語では正式には属格と言います。属格は単語ごとに決まっていて、例えば「アンドロメダ」は「アンドロメダエ」、「ペガスス」は「ペガシ」です。星座の中で明るい順番に、アルファ、ベータ、ガンマとつけていきますので、「アルファ・ケンタウリ」とはケンタウルス座で一番明るい星のことです。
グリンゴ
佐藤和美 (98/06/05 20:00)
トップ・ページを見ていただければわかるとおり、私は手塚治虫のファンなわけです。
手塚治虫の絶筆となった作品は三つあって、そのうちの一つが「グリンゴ」です。作中でグリンゴの意味については「よそ者」というように説明されていますが、今日はその「グリンゴ」の語源について紹介します。
以下、チャールズ・ベルリッツ『ベルリッツの世界言葉百科』新潮選書に載っていた内容です。
gringoは北アメリカ人に対するラテン・アメリカ人の侮辱言葉だが、その元を辿ると、1848年のアメリカ=メキシコ戦争でメキシコに侵入したアメリカ軍部隊がよく唄っていた『リラは青く育つ』(Green Grow the Lilacs)に由来している。メキシコの民間人や軍人は、アメリカ兵が行軍したり露営のテントを張ったりする時にこの歌を唄っているのを聞き、greenとgrowの二語をひとまとめにしてgringoと表現した。やがてこの言葉は、たえず進撃を続けるアメリカ軍のイメージと結びつき、結局は侮辱の言葉となり、メキシコ国境を南へ越えてラテン世界全土にひろまり、アメリカ人ばかりか他の外国人を指す時にも使われるようになった。
オセアニア
佐藤和美 (98/06/04 20:20)
オセアニアは太平洋地域を指す言葉ですが、この言葉にはどう言う意味があるのでしょうか。
「オセアニア」の日本語訳は「大洋州」です。スペルを見るとなぜそうなのかよくわかります。スペルは「Oceania」です。地名接尾辞の「ia」を除くと後に残るのは「ocean」です。どこかで見たことのあるスペルですね。そう、「オーシャン」(大洋)です。これで「大洋州」と訳されている理由がわかりますね。
GMTとUTC
佐藤和美 (98/06/03 20:00)
「雑学・コンピュータ関連用語集」に「GMTとUTC」をアップしました。
GMTとはグリニッジ標準時なのですが、私達の使っている時刻はグリニッジ標準時をもとにしていません。この辺は一般にかなり誤解があります。ここではグリニッジ標準時と私達の時刻との関係、そして閏秒について解説しています。是非、ごらんください。
合成地名
佐藤和美 (98/06/02 20:00)
今日は合成地名の話です。
東京の大田区は大森区と蒲田区が合併する時に、両方の一字をとってつけられました。「大」森+蒲「田」=「大田」というわけです。
東京の国立市(くにたち)も両隣の一字ずつをとってつけられました。「国」分寺+「立」川=「国立」です。
東京足立区の梅島もそうです。(ローカルな話題ですいません。私が前に勤めてた所なもんで。)隣の「梅」田+「島」根=「梅島」です。
千葉県習志野市の津田沼は三つの地名の合成地名です。
谷「津」+久久「田」+鷺「沼」=「津田沼」です。
これは大田区と同じように、町村合併でできたものです。
今日は合成地名の話でした。
縁起が悪いのはやだ!
佐藤和美 (98/06/01 22:00)
縁起が悪いとかわっていくという話です。
植物の葦(あし)ですが、これは「悪し」(あし)と発音が同じですね。ということでこの植物は「良し」と同じ発音の「葭」(よし)にかえられてしまいました。葦と葭は同じ植物なんですね。
梨も「ありの実」と言いますよね。
スルメも「スル」と言うのが良くない、たちまち貧乏になりそうな名前だというので、なんと「アタリ」メという言葉がでてきました。飲み屋に行くとアタリメっていいますよね。
コチカメ(こちら葛飾区亀有公園前派出所)で有名になった「亀有」ですが、これはなんと「亀梨」(かめなし)という地名だったんですね。
縁起が悪いとかえられていくという話でした。
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