言葉の世界・伝言板 2004年4月



モンゴル人の名前とチベット語

massangeana (2004/04/30 23:14)

あとひとつだけわかりました。有名な名前ですが, 音のちがいが大きいのでいままで
気づきませんでした。
ендон ユンデン(yon tan) 功徳・学問
意味からいってこれだろうとおもいます。なぜ母音がちがうのかわかりませんが。



訂正、пиложки>пирожки[piro∫ki]

高駒麗人KOMA (2004/04/30 22:27)

しかし、пиложки>пирожки[piro∫ki]については、“pirojki”と“piroshki”の兩方が載っていました。
失禮しました。



Beefstroganov

高駒麗人KOMA (2004/04/30 22:12)

こちらからアクセスどうぞ。

http://www.mizuchika.com/Home%20page/cooking/beefstroganov.htm



Beefstroganov

高駒麗人KOMA (2004/04/30 22:11)

Beefstroganovも發見。
http://www.mizuchika.com/Home%20page/cooking/beefstroganov.htm
Beefstroganov
“Ingredients”(材料)の中にちゃんと“50g Butter”と書いてありました。



Stroganoff、Rachmaninoff

高駒麗人KOMA (2004/04/30 21:47)

にれのやさんへ
2003/09/19 12:19の投稿で「19世紀のロシアの外交官 ストローガノフ伯爵が、かかえのフランス人コックに『サワークリーム』を使った牛肉料理 "ビーフ・ストロガノフ" を創らせたのは有名な話ですね。」と書いていらっしゃいましたね。

中國人が編輯した英中料理用語辭典に以下の記述がありました。

Stroganoff(R.) 施特羅加諾夫牛肉餅
將牛肉切成薄片,并用肉湯、酸[女乃]酪、芥末、洋葱和其他調味料制成。以19世紀俄国外交家、貴族Bavil Stroganoff的名字命名。
『新英漢餐飲詞典(Xin1 Ying1-Han4 Can1-Yin3 Ci2-dian3)/A New English-Chinese Dictionary of Food And Drink』(陳丕jChen2Pi1Cong2編、上海譯文出版社1999年)より

(R.)は「ロシア語から」の意味です。
どうも、牛肉を薄く切って、肉のスープと「酸[女乃]酪」、カラシ(辛子)、タマネギ(玉葱)と其の他の調味料で作るとの事です。
「酸[女乃]」suan-naiは「ヨーグルト」yogurt、「サワーミルク」sour milk(酸っぱい牛乳)、
「[女乃]酪」nai-laoは「チーズ」cheeseです。
「酸[女乃]酪」suan-nai-lao、なんじゃいこりゃ?(松田優作ではありません)
酸っぱいチーズ?

この辭書は中國人が「英語の料理用語」を學習する爲の辭書です。
“tofu”は(C.)(中國語起源)としてあり、「豆腐 参見bean curd」という説明です。
一方、 “sushi”、“yakitori”、“miso”、“udon”は(J.)(日本語起源)としてあります。

“Stroganoff”も項目として載っていますが、“Stroganov”は載っていませんでした。
しかし、пиложки[piro∫ki]については、“pirojki”と“piroshki”の兩方が載っていました。

Stroganoffの語末がffであるのはフランスの習慣でしょうか?
RachmaninoffやTchaikovskyという綴りは何處の發音を基準にしているのでしょうか?其處がよくわかりません。
RakhmaninovやChaikovskyという表記は使われないのかと想って檢索したら、ありました。
http://english.pravda.ru/culture/2002/06/10/30027.html
>Second youth of Chaikovsky musical contest
>A musical contest named after Russian composer Chaikovsky is being held at the Great Hall of Moscow Conservatory,
モスクワの大ホールでロシアの作曲家チャイコフスキーの名にちなんだ音樂コンテストが開かれているという内容です。(もう過去の事でしょうが)
……(中略)……
>12:25Jazz at Moscow conservatory
>A jazz concert is due in the Rakhmaninov Hall of the Moscow Conservatory on June 5th. ……
ある年の6月5日、モスクワ藝術學校(?)のホールでラフマニノフ(ラハマニノフ)のジャズコンサートの予定だったそうです。
いつの年の予定で、實際に行われたか否かは、私は知りません。



遅くなりましたが・・・

ろんろん (2004/04/30 17:32)

Maniac C.さん、遅くなりましたが、どうもありがとうございました。つくずく自分はなにもしらないんだなぁと思ってしまいました。また何か聞きたいことがあったらこちらにきますんで、そのときはどうぞよろしくお願いします。



母音

辻本裕幸 (2004/04/30 12:07)

ある言語の母音数というのは、その言語の母音のBOX数だというのは前から僕も感じていたことです。中国語普通話には短母音でエーと発音する音はないはずですが、(普通話のeはオとアの中間のような音)中国人としゃべっているとしょっちゅう、日本語のエ段に似た音が出てきます。つまり、お決まりとしてエーと発音する音はないが、実質的にはあるということですね。
 朝鮮語の珈琲と鼻血のように、純粋に母音だけで区別している語もありますが、実際には母音が間違っていても子音かあるいはアクセントや声調、その場の雰囲気(鼻血を飲みたいという人はいませんから)で案外通じるものですしね。
 ただ広東語のウムラウトの音は千島式ローマ字を使っていたときは、常にオーとしか発音できませんでしたが、イエール式のeuを使うようになったら、割と正しく発音できるようになりました。スペルに触発されるというのはあるでしょう。



Re:ビー玉の由来

佐藤和美 (2004/04/30 11:46)

>前にビー玉の由来はビードロからきているということがかかれていましたが
>以前ラジオで、ラムネに使う玉でA玉が検定合格品、B玉が検定不合格品で玩具になったと聞いたことがありますが??

都市伝説ってやつだと思いますが。



ビー玉の由来

あぽろ (2004/04/29 23:23)

前にビー玉の由来はビードロからきているということがかかれていましたが
以前ラジオで、ラムネに使う玉でA玉が検定合格品、B玉が検定不合格品で玩具になったと聞いたことがありますが??



баатар&батор

高駒麗人KOMA (2004/04/29 14:11)

Re:モンゴル力士の本名の意味 (ラスト) (4月29日(木)02時39分36秒)
にれのやさんへ
>【光龍】 МΘнх-Оргил [ムンフオルギル] 「永遠の+頂上」
Edelweiss(エーデルワイス)は蒙古語ではどうでしょう。
Эделвайс/Edelvajs/でしょうか。←これはロシア語かも知れません。
МΘнх-Цэцэг/Mönkh Tsetseg/(永遠の花)という名稱があったという事を本で讀んだ記憶があります。
「花」Цэцэгは、Buryat-Mongol語ではСэсэг/seseg/でしょうか。

>同じ例に、батор バートル があります。……
  (1) баатар baatar ハルハ・モンゴル語
  (2) баатар baatar ブリャート・モンゴル語
  (3) батор  bator ブリャート、ハルハ・モンゴル語の露転写形
>ロシア語転写で о が現れるのは、以前からずっと不思議だったんですが、この語のモンゴル文語形(つまり、古代モンゴル語形)は、baGatur (baγatur とも転写する) [バガトゥル]なんだそうです。現代ハルハ・モンゴル語で現れる長母音は、すべて、もとは、間に г音があったんだそうです。

ウランバートル(Ulan Bator)はロシア語でУлан Батор、
しかし、蒙古語ではУлаан Баатарです。
何故蒙古語でтарであるのがロシア語でторなのか疑問でしたが、これでわかりました。ありがとうございます。
http://gov.buryatia.ru:8082/(Улаан Баатар)
http://gate1.pmis.gov.mn/sukhbaatar/sumd.htm(Сvхбаатар←СYхбаатар)
ロシア語では、Батор/Bator/の第1音節Баにакцент(accent)があれば、
第2音節торは弱い [tər]になり、тарの弱形と同じになるでしょう。
しかし、モンゴル語の正書法にそれを當てはめて良い物かと考えていました。

baGatur (baγatur)のG(γ)は舌が奥まったgでしょうか、それとも摩擦音のγでしょうか。
摩擦音γであればbaγaturのγが母音間で消滅するのも納得できます。
蒙古語のローマ字轉寫でgの他に語中でもGがありますが、これは別音素でしょうか。
別だとするとキリル文字轉寫でgとGを區別できずに兩方Гで表すのは不便ですね。

γの摩擦が弱まってVelar Approximant(軟口蓋舌根接近音)になり、母音と同化したと考えられます。



コーヒーは智慧の木の實

高駒麗人KOMA (2004/04/29 12:49)

「コーヒーは知恵の木の実」

http://platz.jp/~chatnoir/viveres/coffee/wisdom.html

珈琲の語源が書かれてあります。



arabia語の母音

高駒麗人KOMA (2004/04/29 12:33)

にれのやさんへ。

檢索してみました。
この「言葉の世界」傳言板では2003年3月に既に「アラビア語の母音」に言及しています。
アラビア語から英語等歐洲語に入った單語の内、

makhazin(蓄える所、倉庫)→ロシア語магазин(商店)、英語magazine(雜誌など)

↑これは母音がaとiだからいいとして、

qur'an→Koran
al-kuhl→alcohol、alcool
qahwa(h)→cafe、caffe、coffee

この場合はoが入っています。

母音が3つというのは音韻的にはaiu3つですが音聲學的にはe,oも含めて無數に存在するという事です。
「音韻的に母音が3つ」というのは、所謂「母音の四邊形」を3つに分割しているわけです。
その中にはa、i、uだけでなく、α、æ({ae}aとeの中間)、ε(aに近い「え」)、ə(e逆さ、曖昧母音)、{cの逆さま}、そしてo(普通の「お」)なども含まれているでしょう。
その點では琉球語も同樣だと想います。

日本語の母音が5つというのも別にa、i、u、e、oの5つだけでなく、parole(各個人の各時點での言葉)ではæ({ae}aとeの中間)、ε(aに近い「え」)、ə(e逆さ、曖昧母音)、{cの逆さま}も發音されている筈です。

また名古屋方言では二重母音の變形として
ai,ae→æ:({ae}長音)、例;「大根」[dæ:koN]
oi→œ:({oe}長音)、例;「白い」[∫irœ:]
ui→y:、例;「古い」[Φury:]
等が發生します。
琉球語やアラビア語では、二重母音[ai]や[au]の變形で、物理的に(音韻的でなく音聲學的に)[e]や[o]が出現している場合も有り得ます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB
http://www.aii-t.org/j/maqha/thaqafa/fromarabic.htm

>'alla:h [?αl~l~α:(h)/アッラー(フ)]

'Allah['αllα:(h)]は英語では[ælə]ですが、このLが2つあってhで終わる綴りはアラビア語の發音を表しているわけですね。



Re:Altan-gadas

松茸 (2004/04/29 11:39)

> これは、わたしの想像ですが、天の中心でドッシリと動かない金色の星を、ゲルの柱に見立てたのではないでしょうか?

……〈世界の中心〉あるいは〈世界樹/世界軸〉のシンボリズムについては膨大な研究がされており、もはや、素人(^^;が「想像」で話せる範囲を越えていると思います。
# 世界軸と「ゲルの柱」とを相応させる「見立て」自体はあるようです。



アラビア語

辻本裕幸 (2004/04/29 09:16)

にれのやさん、感恩chi!
 アラビア語まだまだ謎がいっぱいそうですね。しかしアラビア語フスハーがもっと、イスラム圏の共通語として機能しているのなら、私もアラビア語会話を学びたいと思うのですが、現状はイスラム圏は識字率自体が低いようで。旧英国植民地内での英語。漢字文化圏の漢字など、程には普及していません。よって現時点では古蘭経を勉強するのでせいいっぱいです。



アラビア語の母音

にれのや (2004/04/29 03:32)

【アラビア語の母音】
〓辻本さんに。アラビア語の文法書には、必ず書いてある、アラビア語には母音は3つしかない、という例の言説、あれはある意味、有害だと思うんです。アラビア語では、母音が
   /a/  /i/  /u/
の3つの範疇の区別しかしない、ということなんです。しかし、アラビア語の専門家には、音声学の心得がある人がいないのか、母音についてはまったく説明がない。アラビア語には、どうやら、2つのレベルの母音の発音があるようです。
   (1) 口語の正則アラビア語
   (2) 口語の各地の方言 (アーンミーヤ)
(2) については、わかりません。(1) は、たとえば、/a/ が /e/ に近くならないように発音する、というような、アーンミーヤ臭い発音を避ける傾向があるのだろうと思います。わたしが観察した発音は、NHKラジオ・テレビのアラビア語講座に出演した学歴のある複数のエジプト人の発音ですが、個人差もかなりあるようです。学歴のある人物が、アーンミーヤ臭くないように発音した母音でも、次のような広がりがあります。
   /a/=[α]〜[a]〜[ae] アーンミーヤではさらに 〜[e]
   /i/=[i+-](ыの音)〜[I]〜[i]
   /u/=[U]〜[u]
母音にこのような開きがあるのは、前後の子音の影響です。アラビア語は、ことに子音が多く、また、子音の質にも開きがある。母音に影響を与える最大の要因は、
   軟口蓋化子音 と そうでない子音
の違いです。軟口蓋化子音というのは、舌の奥の部分が喉にむかって持ち上がる子音で、われわれがよく知るものでは、いわゆる dark l、つまり、英語の feel などの 「ウ」 に聞こえる l がそれです。アラビア語には、この軟口蓋化子音がたくさんありますね。ラテン文字転写するとき、文字の下に "." のつく子音です。d.a:d とか s.a:d とか、あの手の子音です。たとえば、「学生」 は、
   t.a:lib [t~α:lib/トーりッブ]
    (以下、"~" で軟口蓋化を表します。IPAでは?の鏡像をスーパースクリプトする)
〓ところが、実際に発音されているアラビア語では、文法書に書いてある以上に軟口蓋化子音がある。たとえば、l でも、'alla:h [?αl~l~α:(h)/アッラー(フ)] の l は軟口蓋化しているのに、al-h.amdu li-lla:h (おかげさまで) の l は clear l、つまり、軟口蓋化していない。[〜 lillae:/リッレー]。この理由は、どうもわからないのです。ただ、アラブ人の真似をすると、こういう発音になる。
〓また、ra: ラーや qa:f カーフという子音は、軟口蓋化子音に入れられていないのに、明らかに軟口蓋化している場合があります。ラーという文字名じたいが
   [r~α:/ロー]
と発音されています。また、ka:f と qa:f の違いも、アラブ人にとっては、むしろ、軟口蓋化しているか、していないか、の違いと認識されているようにも思えます。
   ki [ki/キ]
   qi [q{i+-}/クィ]
〓/u/ は、比較的、子音の影響を受けないようです。
〓おそらく、アーンミーヤでは、[e] になった /a/ と、[e] になった /i/ などという母音の混同などもあるのではないかと思うのですが、このあたりは、「?」 です。



Res: いやらしいって…??

Maniac C. (2004/04/29 02:47)

>ろんろんさん
■初めまして。今後も宜しくごひいきの程を。

■現代語の「らしい」には、「男らしい」「春らしい」などのような、形容詞の一部
となる「らしい」と、「春が来たらしい」などのような、助動詞の「らしい」と、
2種類が有ります。簡単な見分け方としては: 前者(形容詞の一部である場合)には
「とても」が付けられ、「らしい」の前に「である」を入れられません; が、後者(助
動詞である場合)には「どうも」が付けられ、「らしい」の前に「である」を入れられ
ます。
■“ハレンチ”と言う意味の「いやらしい」の「らしい」は、「とてもいやらしい」
と言うことが出来、「いやであるらしい」とは言えませんので、前者の、形容詞の
一部となる「らしい」です。「いかにも嫌と感じられるだけの諸条件を備えている
様子だ」→「いとわしい」→「いとわしいまでに色めかしい」という意味変化です。
■「〜のことがいやらしい」の方は、「どうも〜のことがいやらしい」と言うことが
出来、「〜のことがいやであるらしい」とも言えますので、後者の助動詞の「らしい」
です。こちらは、「嫌だと判断できるだけの根拠が有る」という意味です。
■前者の「らしい」は、奈良時代に使われていた「らし」が化石的に残っているもの
で、後者の「らしい」は、江戸時代になってから書き言葉として発達したものです。

■更なる御質問をお待ちしております。



訂正: Altan-gadas 北極星

にれのや (2004/04/29 02:45)

〓訂正です。「エベレーター/エレベスト」 並みの言い間違いをしていました。次の一節を訂正。

〓「時天空」 の父親の名前について調べていて、面白いことに気づきました。
   Алтангадас [アルタンガダス]
という名前ですが、これは、
   алтан 「黄金の、金色の」
   гадас 「柱、棒、釘」
の意味です。「なんのこっちゃ」 ですよね。「黄金の柱」。
   Алтан Гадас 「北極星」
のことだそうです。これは、わたしの想像ですが、天の中心でドッシリと動かない金色の星を、ゲルの柱に見立てたのではないでしょうか? 残念ながら、辞書類には名付けの理由が書かれていない。「時天空」 の家はロマンチストの家系なんでしょうか。
   オヤジ=北極星
   息子=力持ちの勇者



Res: モンゴルの旧暦

Maniac C. (2004/04/29 02:44)

> U+3002さん(お久しぶりです。)
>「旧暦」というのは、モンゴル暦でしょうか。
>もし日本の旧暦(天保暦)を使ったのだとしたら、正確ではありません。
>新月は世界同時ですが、…(中略)…
>時差が1時間あれば、2年に1ヶ月は、日付が1日遅れることになります。

→あら、そうだったんですか。存じませんでした。だから去年なんぞは国によって
断食月が1日早かったの、曇ってて月が観測できなかったから1日延びたの、と
いう話が出て来るのですね。確かに、そんな事情が有れば宗教指導者のような権威が
cala:re(宣言する、calendar の語源と言われる羅語)する必要が有るわけですね。
…夏時間のときはどうするんでしょうか? 本来の時刻で考えるのか知らん?
■私が使ったのは下記URLの計算結果で、モンゴル暦とも天保暦とも違うようです。
一往、日本の標準時刻で計算してあるとのことですが。
http://koyomi.vis.ne.jp/mainindex.htm



モンゴル力士の本名の意味 (ラスト)

にれのや (2004/04/29 02:39)

【残り3名のモンゴル力士の本名の意味】
〓massangeana さん、ありがとう。そうです、例のチベット語辞典です。値段も手頃な割には、見出しも結構多いし、発音が載っているのが助かります。こちとら、発音の表記を見ながら、単語を探している、という具合で。それと、印刷がしっかりしている。インド系の文字は、印刷や紙が悪いととても困りますね。
〓ご説明いただいた、チベット語の 「綴りと発音が一致しない理由」 は、正直言って、今のところ
   理解できません
が、「理由がある」 ということはわかりました。おいおい、意味がわかる……といいのですが。
〓では、残り3人のモンゴル力士です。語彙はいずれもモンゴル語です。
【光龍】 МΘнх-Оргил [ムンフオルギル] 「永遠の+頂上」
【大勇地】 Ундрах [オンドラフ] 「勢いよく湧き出す」
  ※「動詞の不定形」 です。モンゴル語では、動詞を名前に使うのは、よくあることだそうです。なんとなく、日本の 「のぼる」、「すすむ」 を思い起こさせます。
【星風】 Амармэнд [アマルメンド] 「平安な+健康(な)」
〓「時天空」 の父親の名前について調べていて、面白いことに気づきました。
   Анталгадас [アンタルガダス]
という名前ですが、これは、
   антал 「黄金の、金色の」
   гадас 「柱、棒、釘」
の意味です。「なんのこっちゃ」 ですよね。「黄金の柱」。
   Антал Гадас 「北極星」
のことだそうです。これは、わたしの想像ですが、天の中心でドッシリと動かない金色の星を、ゲルの柱に見立てたのではないでしょうか? 残念ながら、辞書類には名付けの理由が書かれていない。「時天空」 の家はロマンチストの家系なんでしょうか。
   オヤジ=北極星
   息子=力持ちの勇者
〓モンゴル語のチベット語彙 даш は、massangeana さんのご指摘では、bkra shis 「タシー」 とのことですが、それで気づいたことが。この語は、
  (1) даш dash   ハルハ・モンゴル語
  (2) даша dasha  ブリャート・モンゴル語
  (3) даши dashi  ブリャート・モンゴル語をロシア語転写するときの定形
とそれぞれ表記されています。つまり、発音の古い順に並べると、(3)→(2)→(1) となるわけです。ブリャート人の名前の転写形というのは、おそらく、ソ連邦の行政上必要なので定められたのでしょうが、通常は、ブリャート語の綴りを機械的に翻字(ほとんど同じキリール綴りなのだが)して、アクセントをすべて最後の音節に置く、という方法が取られます。しかし、一覧表を見ていくと、ときどき、Даша−Даши のような奇妙な例にぶつかります。ロシア人とモンゴル人とは古い時代から関わりがあるので、よく聞く名前には、古い語形が残ったと考えられます。
〓同じ例に、батор バートル があります。(これはチベット語彙ではありませんが)。これも、
  (1) баатар baatar ハルハ・モンゴル語
  (2) баатар baatar ブリャート・モンゴル語
  (3) батор  bator ブリャート、ハルハ・モンゴル語の露転写形
ロシア語転写で о が現れるのは、以前からずっと不思議だったんですが、この語のモンゴル文語形(つまり、古代モンゴル語形)は、
   baGatur (baγatur とも転写する) [バガトゥル]
なんだそうです。現代ハルハ・モンゴル語で現れる長母音は、すべて、もとは、間に г音があったんだそうです。つまり、ロシア語転写形が伝えているのは、「母音間の G が脱落したが、第3音節の u は、まだ、a に同化されていない時期の発音」 ということになりそうです。
〓実は、さらに気がついたことがありまして、ロシア民話に登場する 「英雄」 のことを、ロシア語で
   богатырь bogatyr' [バガ'ティーリ]
と言います。これは、古チュルク語 bagatur から入ったものとされていますが、明らかに、古代モンゴル語の baGatur と関係があります。(どういう移入関係か残念ながらわかりませんが)。ロシア語の第1音節が о になっているのは、「アーカニエ」 のために、もとの綴りが а か о かわからなくなったのと、ロシア語の 「神」 бог [ボふ] が連想に加わったのが理由と思われます。



いやらしいって…??

ろんろん (2004/04/29 00:29)

こんばんわ。また来ました。今日は聞きたいことがあってきました。「いやらしい」という言葉があるじゃないですか。その、「らしい」というのは、「〜らしい」という意味らしいんですよ。で、そう考えると、「いや」がつくと「〜のことがいやらしい」みたいに、今現在使われている、“ハレンチ”と言う意味と変わってくるじゃないですか。そのこととは関係ないのでしょうか?なんかあんまうまく伝わらなかったかもしれないんですけど、なにか知っている方は是非教えて下さい。



お経

辻本裕幸 (2004/04/28 13:08)

外国語の発音はできる限り、ネイチブに近づけたほうが理想ですが、経文などは母国語発音でもいいかと思います。大乗仏教のお経は(漢語で発音しなくても)日本語漢字音の呉音で結構ですし、コーラン経もカタカナ発音で十分だと思います。というのは、お経の発音があまりにうますぎるとそれはもう外国語であり、外国の宗教ということになってしまう。中国の回族のコーラン経の発音はほとんど中国語発音だそうですが、それだけ、イスラムが中国人に根付いている証拠ですね。だから私も自信を持って、アラビア語のt、th、t−、および、s、s−。d、dー、dh、dhー。l、r、h、h−、khの区別はいたしません。日本人に、んな発音はできませんから。
 私はムスリムなので残念ながら仏教のお経を読む資格はない。しかし私の妻(漢族)は敬虔な仏教徒ですので、一度、ばあ様の仏壇の前で北京語でお経を読んでもらうよう頼むしだいであります。それが彼女の母語ですから。



中国人人名>訓読み

辻本裕幸 (2004/04/28 12:59)

孫中山の中山は、彼の日本語名から取られた名前らしいので。孫中山そんちゅうざんより、そん なかやまと発音するほうがいいでしょう。金 城武が金城武 かねしろ たけしになるのなら、毛沢東もけざわ ひがしでもいいでしょう。鄭秀文をしゅうぶんと入れても一発では変換出来ないですが、ひでふみと入れれば一発で出る。日本語にとっては秀文と書いてひでふみと読むほうが自然ということか。
 日本人名訓読み>音読みになるのだから(鈴木すずき>lingmu)中国人名が音読みから>訓読み(中山zhongshan>なかやま)になっても文句は言えないでしょう。
 そういう文句を言う人がいるのなら、すずきも斯子其siziqiと呼ぶべきだと抗議すべきです。
 ただし朝鮮人は日本人の名前を訓読みで呼んで下さっているので、張成沢ちょう なりさわとか呼ぶ必要はなさそうです。



コーラン

辻本裕幸 (2004/04/28 12:47)

北京にてコーラン全巻VCDを買う。同じく、経文漢語、アラビア語対応コーラン経も買う。私だいたいアラビア文字は読めますが、このVCDの発音、書いてあることと大分発音に開きがあるように感じられる。ことに母音。なぜなのでしょうか?どなたかアラビア語に詳しい方はいらっしゃいませんか?



Re: チベット語の発音など

massangeana (2004/04/28 07:57)

追加です。
дамба  タンバ(dam pa) 貴い
пунцаг プンツォー(phun tshogs) 充足した
нацаг  ナツォー(sna tshogs) 多様な

>蔵日/日蔵辞典
去年出たやつでしょうか。評判はよさそうですが。

>正書法と発音がまるで一致しない
基本原理はそんなに変ではないとおもいます。要するに子音過剰の言語だっ
たのが, ごっそり子音が抜けて, その代償として声調や母音の数などが増え
た, ということで, 東アジア・東南アジアには語族にかかわらずよく見られ
る現象なのだろうとおもいます。ラサ方言だと
1. 語頭が有声音ではじまると低い声調, それ以外では高い声調に。クラスタ
  ーの場合は最後の子音が有声阻害音の時のみ低い声調。
2. クラスターでない有声阻害音が語頭で無声帯気音化。それ以外では無声無
  気音化。ただし前に鼻音(クラスターの m,' を含む)がある場合には有声。
3. 鼻音以外のクラスターが最後の一子音のみ残して消滅し, CVC に。ただし
  二音節語で一音節目が母音で終わる場合は二音節目のクラスターが消えな
  い(一音節目の音節末子音として発音される)場合がある。
4. 介音(子音のあとの y/r/l/v)による子音の同化。すなわち y は口蓋化・r
  はそり舌化。介音がl の場合は本来の子音がなくなって l (高声調)に。
  v は子音に影響を残さずに消滅。
5. 語末が阻害音 (b,d,g,s) の場合は降調になる。
6. 音節末子音が歯音(d,s,l)の場合に母音が前舌化。
7. 音節末子音の消滅(b,m ではまれ。r は半分くらい, g,ng は過半数, d,s,n,
  l はほぼ全部。モンゴル人の名前では d,s 以外残ってるようですが)と,
  それにともなう長母音化。音節末子音が鼻音の場合は鼻母音化。
8. 語尾の pa/ba/po などは前の音節の音節末音に強く同化される。
9. 二音節語では同化によって母音が変化(この点はよく理解してません)。
10. 例外: dba[wa], zla[da(低声調)], sra[sa または Ta] など。
くらいでしょうか。しかし, 「なんでこんな音に……」てのもときどきありま
すね。しかも標準が確立していないので本ごとに発音がちがうという。



ビーフストロガノフ

にれのや (2004/04/28 03:12)

〓беф(-)стρоганов [,ビェフスト'ローガナフ] は、正確に言いますと、
   露製仏語 (ろせい・ふつご)
なのです。b{o+e}uf Stroganoff (stroganoff) が本来です。以前にも、ここに書きましたが、革命前のロシアの貴族階級の言葉はフランス語でした。ロシア語は、使用人に命令する場合に使う言葉でした。この料理を考案したのも、ストローガノフ家のおかかえフランス人シェフであり、その名前がフランス語なのも不思議ではありません。
〓なぜ、1語に綴るかというと、ロシア語では、1つの概念を表す語群は、1語にまとめてしまわないと、1つ1つを変化させなければならなくなるからです。(外国人の名前は、すべての要素を変化させます)。ですから、Saint 〜 という地名なら Сен- とハイフンでつなげてしまうし、New York でも Нью-Йорк とつなげてしまうのです。ビーフストロガノフも、正式な綴りは、ハイフンで前後をつなぎます。そうすることで、беф を変化させないで済むわけです。
〓大きな書店のフランス料理本のコーナーで、片っ端から調べてください。まず、ビーフストロガノフは見つかりません。フランスのレストランでもビーフストロガノフを出すようになったのは、最近のことらしいです。
〓ちなみに、Google のフランス語限定で 「ビーフストロガノフ」 を検索すると、以下の件数になります。
   (1) Boeuf Stroganoff (s-) 567件
   (2) B{oe}uf Stroganoff (s-) 85件
   (3) Boeuf a{+`} la Stroganoff (s-) 29件
   (4) B{oe}uf a{+`} la Stroganoff (s-) 4件
〓ちなみに、日本語のサイトでは、ビーフ・ストロガノフを考案させたストロガノフ伯爵が、どの代なのか、きちんと記しているものは1件もありませんでした。



モンゴルィーン・ナル

にれのや (2004/04/28 02:43)

〓「ろんろん」 さん、いらっしゃ〜い。込み入った疑問があったら、また、おこしくらさい。
〓ええ、大家、情報ありがとうございます。
〓Maniac C. も計算ありがとう。U+3002さん、内蒙古と外蒙古では、旧暦の正月が1日違うこともあるらしいですねえ。ただ、「モンゴルでは正月を旧暦で祝う」 という記述はたくさんあるようですが、1980年代で、旧暦がモンゴル人にとって重要なものなのかどうか。
〓massangeana さん、一覧表およびチベット語サイトご紹介ありがとうございます。実を言いますと、蔵英、蔵日/日蔵辞典を先だって購入したのですが、
   まったく役に立っていない
のです。チベット語も少し入れておきたいんですが、まず、不満なのが、文法書に
   正書法と発音がまるで一致しない理由
が全然説明されていないことなのです。チベット語というのは、ある意味、暗号に近いような気がするんです。フランス語は、俗ラテン語とかロマンス語とかの勉強をすると、
   けったいな綴りも少しは納得できる
ようになりますけど、チベット語にも、そういうツボのようなものはあるんでしょうか?
〓「吉祥」 とか 「菩提」 とか、そうか、そういうことだったのか、と……。なんせ、こちらは、ロシア語経由で調べているので、
   Даши=счастье
というぐあいです。それでも、дорж, очир="ваджира" という説明がときどきはあるんですけど……
〓KOMA さん、そうです。始まりはそこです。
〓意味のわからなかった残り3人の関取の名前も判明しそうです。



拝見してます

ろんろん (2004/04/27 23:41)

はじめまして。中学3年生のろんろんといいます。このホームページは授業の調べ物でよく利用させていただいてます。よく見ていると、皆さん結構いろんなことを知っていて勉強になります。これからもちょくちょく見にこようと思います。



蒙古人名&ロシア語会話

高駒麗人KOMA (2004/04/27 21:20)

蒙古人の名前で盛り上がっていますね。
ひょっとして私がйとь(軟音мягкий、投稿日: 4月21日(水)23時43分18秒)で
>「朝青龍はДагвадордж (борцовское имя Асасёрю)だそうですが…」
と書いたせいでしょうか?
非常に勉強になりました。
Асашорюもあるんですか。納得。

ロシア語で
пиццаは[pittsa](ピッツァ)で、pizzaだそうです。
питца[pittsa]([pit:sa]ピッツァ、tsのtの閉鎖が長い)や
пицса[pitssa]( [pits:a]、tsのsの摩擦が長い)だったらわかりますが、
пиццаでは破裂と摩擦が2回生じて、
[pits-tsa](ピツ・ツァ)になるのでは?
しかしそれを言うとイタリア語のpizzaというスペルも變ですね。

今、NHKの語學講座はタレントを總動員して、片假名ルビを使って「易しく、親しみ易く」(惡く言うと大衆に迎合)しています。
NHKのTV「ロシア語会話」で、さとう珠緒とダニエルカールがロシア文字の讀み方の「イロハ」ならぬ「А(アー)Б(べー)В(ヴェー)」から勉強しています。
さとう珠緒さんは
бефстрогановを一字づつ讀んで、「ビーフストロガノフ」だとわかって喜んでいました。應援しましょう。

http://www.nhk.or.jp/gogaku/russian/performer/index.html(ロシア語会話)
http://www.nhk.or.jp/nhk-text/02_eigoigai/09295042004.html(ロシア語会話)



モンゴルの旧暦

U+3002 (2004/04/27 17:41)

Maniac C. さん
>>名前と曜日が一致しない力士
>→3人のうち、2人までが旧暦と考えると説明が着きます。
> 龍皇 Санчир(болд) 「土星+鋼鉄」 旧1983. 3.11=新4.23(土)
> 旭天鵬 (Цэвэг)ням 「永遠の太陽」 旧1974. 9.13=新10.27(日)
>■でも、残りの1人は旧暦でも説明が付きません。
> 朝赤龍 (Даш)ням 「幸福+太陽」 旧1981. 8. 7=新9.4(金)

「旧暦」というのは、モンゴル暦でしょうか。
もし日本の旧暦(天保暦)を使ったのだとしたら、正確ではありません。

旧暦では、新月の日が1日になります。
新月は世界同時ですが、それがグレゴリウス暦の何月何日かは、タイム・ゾーンに依存します。
時差が1時間あれば、2年に1ヶ月は、日付が1日遅れることになります。
モンゴル暦がウランバートルの地方時に基づいていると仮定すると(違うかもしれません)、京都との時差は2時間です。

現に:
http://www.google.co.jp/search?q=cache:dScs1WhtUyAJ:www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/4665/rosediary.htm&hl=ja&start=3 によると、2002‐02‐13はモンゴル暦の元日だそうですが、天保暦ではこの年の元日は2002‐02‐12です。



Re: モンゴル人の名前

massangeana (2004/04/27 16:17)

まずサンスクリットですが, 曜日は日曜からアーディティヤ(Aditya), ソーマ(soma),
マンガラ(maGgala), ブダ(budha), ブリハスパティ(bRhaspati), シュクラ(Sukra), シャニ(Sani)
のうしろにヴァーラ(vAra) をつけるようです。あってるようなあってないような。マンガラには
べつにアンガーラ(aGgAra)という名前もあるのでこっちかも。
カルマ(karma), パドマ(padma) はチベットでもそのままつかいます。эрдэнэって最初何
だかわからなかったんですが, ラトナ(ratna)のことですね。r ではじまるのをさけるために頭に
эをつけたんでしょう。ヴァジュラ(vajra)がочирになるのはわかりません。

チベット語の方は, 前に書いたもののほかは次のようになります。あと 5つくらい
わからないのがありますが...
гомбо ... ゴンボ(mgon po) 守護者
дамдин ... タムディン(rta mgrin) 馬頭観音
жанчив ... チャンジュー (byang chub) 菩提
иши ... イシェ(ye shes) 知恵
лодой ... ロトゥー (blo gros) 知恵
лувсан ... ロサンまたはロプサン(blo bzang) 善知
самдан ... サムデン(bsam gtan) 禅定
сан ... サン(bzang) 善
самбуу ... サンポ(bzang po) 善い
сэнгэ ... センゲ(seng ge) 獅子
содном ... ソナム(bsod nams) 福徳
цэдэн ... ツェテン(tshe brtan) 長寿
цэрэн ... ツェリン(tshe ring) 長寿
цултэм ... ツルティム(tshul khrims) 戒



チベット人の名前

massangeana (2004/04/27 07:11)

「チベット語辞典編纂室フレームワーク」
http://www.aa.tufs.ac.jp/~hoshi/tibetjiten/jitenframe.html

の「地名・人名データベース」から「データベース検索」をえらび, 「カナで検索」
モードにして「センゲ・ツルティム・ロプサン・タシ・ドルジェ」などと入力すると結果がでま
す。チベット語は発音からつづりを知るのがかなりむずかしいので, これはたすかります。

チベット人の名前のつけかたに関する説明もあります。



台東一神犬自己買狗食

偽中国人 (2004/04/27 06:35)

中国語では他の言語と異なり、単語を分かち書きすることがないし、古書では標点符号(句読点)も無いので何処に単語の切れ目があるか見極めることが解釈上重要です。

ネット・ニュースで「台東一神犬自己買狗食」の見出しを見たとき、一瞬「犬(文語的“いぬ”)が狗(口語体の“いぬ”)を買って食べた」のかと思いました。

記事本文を読むと「不僅會接飛盤,還會銜著提籃到住家附近的便利店買狗罐頭フリスビーをを受けられるだけでなく、かごをくわえて近所のコンビニへ行って犬の缶詰を買うこともできる」とあり、香港人なら犬の肉の缶詰を食べるかもしれないけれど、話の舞台は台湾。
どうやら「狗食」がドッグ・フードらしいということが判ります。

ちなみに「犬を飼う」は「飼養狗」。廣東系、福建系シンガポール人は簡潔な表現を好むので新聞に「養狗」とよく書いてあります。「父母を養う」も「養父母」なので、シンガポールでは「犬」も「父母」も「一視同仁」かと尋ねたら、父母の場合は「奉養父母」というのが宜しい、とのこと。



生まれ曜日

Maniac C. (2004/04/27 04:49)

>にれのや師匠
>仏教では、自分の生まれた曜日に何か重要な意味を見出すものなのでしょうか? どなたか、ご存じで?
→古代ビルマで生まれた曜日占いだそうですが、各曜日に生まれた人には曜日によって
方角と守護動物と星が決まっているのだそうです。タイへ行くと曜日により、ラッキー
カラーや守護仏のポーズ、賽銭の値段まで決まっています。

>名前と曜日が一致しない力士
→3人のうち、2人までが旧暦と考えると説明が着きます。
 龍皇 Санчир(болд) 「土星+鋼鉄」 旧1983. 3.11=新4.23(土)
 旭天鵬 (Цэвэг)ням 「永遠の太陽」 旧1974. 9.13=新10.27(日)
■でも、残りの1人は旧暦でも説明が付きません。
 朝赤龍 (Даш)ням 「幸福+太陽」 旧1981. 8. 7=新9.4(金)
考えられる説明としては、彼に誕生日を聞いたその年の誕生日がたまたま8月7日に
当たっていたのではないか、ということ。本当は違うのではないでしょうか。
例えば、旧1998.8.7(日)=新9.27で、新1981.9.27=旧8.30(日)です。彼は1997
年9月にスカウトされて高知明徳義塾に入学していますから、有り得る話です。



Re: даш など

massangeana (2004/04/27 04:04)

>даш は 「幸福」
ということは, チベット語のタシー(bkra shis, 吉祥)でしょうか。

チベット語の曜日の名前は, 天体の名前の前にサ(gza', 曜)をつけます。
たとえば太陽は nyi ma なので日曜日はサ・ニマ(gza' nyi ma)となります。
以下, 月曜サ・ダワ(gza' zla ba), 火曜サ・ミンマー(gza' mig dmar), 水曜サ・ラ゜クパ(gza' lhag pa), 木曜サ・プープ(gza' phur bu), 金曜サ・パサン(gza' pa sangs), 土曜サ・ペンパ(gza' spen pa) です。

ツルティムとかロプサンとかツェデンといった名前はチベットでもかなりポピュラーだとおもいます。



モンゴル人の名前と生まれ曜日の関係

にれのや (2004/04/27 01:50)

【モンゴル人は、名前に生まれた曜日を?】
〓まいど、モンゴル人力士のお噂で恐れ入ります。ええ、チベット語と梵語の一覧表をまとめている間に、それぞれの天体の名称が、「曜日の名称」 でもあることに気づきました。梵語やチベット語でも同様なのかは知りませんが、モンゴル語では、それぞれの天体名が、そのまま、曜日の名称でもあります。
〓そこで、結びついたのが、「タイ人は、誰もが自分の生まれた曜日を知っている」 という話でした。仏教では、自分の生まれた曜日に何か重要な意味を見出すものなのでしょうか? どなたか、ご存じで?
〓名前に天体(曜日)名が入っている力士の誕生日の曜日を調べたら、どうも、関係なくはないようなのです。下の結果を見てください。

【名前と曜日が一致する力士】
大翔地 Бямба(жав) 「土星の庇護」 1984.11.24 (土)
武蔵龍 Ням(сv рэн) 「太陽の守護」 1982. 1.31 (日)
安馬 Бямба(дорж) 「土星+金剛」 1984. 4.14 (土)
白鵬 Даваа(жаргал) 「月+幸福」 1985. 3.11 (月)
【名前と曜日が一致しない力士】
龍皇 Санчир(болд) 「土星+鋼鉄」 1983. 3.11 (金) この例のみ梵語
朝赤龍 (Даш)ням 「幸福+太陽」 1981. 8. 7 (金)
旭天鵬 (Цэвэг)ням 「永遠の太陽」 1974. 9.13 (金)

〓一致しない例のうち、最後の2つは、いずれも ням が名前の後半に来ているのが気になります。また、龍皇の場合、誕生日が金曜で、名前が土曜というのも、金曜の深夜に生まれた、というようなことはないでしょうかねえ。



モンゴル人の名前のチベット語・梵語要素

にれのや (2004/04/26 14:51)

【語源のわかった力士の本名の追加】
〓massangeana さん、楽しんでいただいてありがとうございます。
いかにも、おおせのとおり、"iの折れ" というものらしいです。モンゴル語は、「強さアクセント」 を有します。アクセントの位置は、短母音のみの語では第1音節。長母音・二重母音の現れる語では、いちばん最初のそれに落ちます。そして、強さアクセントを有する言語の宿命として、アクセントのない音節の母音は弱化し、脱落する傾向があります。
〓モンゴル文語の nima が、現代ハルハ・モンゴル語の ням (nyam) になる経過は次のようなものです。
  (1) nima → nyama [ニマ→ニャマ]
   ※ i の折れ。第1音節の i (и) 音が、後続の音節の母音に同化される現象。
  (2) nyama → nyam [ニャマ→ニャム]
   ※アクセントのない語末の a が弱化し、脱落。
内蒙古のモンゴル語についてはわかりませんが、ハルハでは nyam になり、ブリャートでは nima を保っているわけです。ブリャートの даша とハルハの даш が対応するというのも、ハルハで語末の а が落ちたからです。
〓Дашням (dashnyam) のブリャート語本来の綴りを確認したら (ロシア語転写でなく)、Даша-Нима (Dasha-Nima) でした。ロシア語転写では Дашинима もしくは Дашанима です。実を言いますと、ロシア語転写のほうが、古い語形を保っている場合があります。スフバートルの例でも、いちばん古い語形を保っているのは、露転写 Сухэ-Батор でした。(長母音は無視していますが)。Дашинима のほうが古いのかもしれません。

【追加の本名の意味です】
〓まず、訂正です。даш の語義が間違っていました。даш は 「幸福」 です。ですから、
【朝赤龍】 Даш+ням 「幸福+太陽」。
〓次に、龍皇の父親の名前がわかりました。まず、これでまちがいないと思います。
   Эрхэм-Очир [エルヘムオチル]
Erhe-mochir と分解できるとばかり思っていたのでわかりませんでした。эрхэм はモンゴル語で 「尊敬すべき」、очир は梵語由来で 「金剛」 です。つまり、チベット語由来の дорж と同義です。massangeana さん、面白いですよ。очир は、vad(j)ra の転訛だそうです。これはチベット語を経由して変化したんでしょうか? それともモンゴル語で? わかりますか?

【白馬】 ΘнΘр+жаргал 「家族の、子だくさんの+幸福」。これは、モンゴル語です。
【時天空】 Хvчит+баатар 「力持ちの+勇者」。これもモンゴル語。おもしろいですねえ。「力持ちの勇者」。日本語に訳すと 「力士」 ですよ。

〓チベット語・サンスクリット由来の名前の構成要素を一覧してみます。他の資料からも語彙を集めてみました。
【チベット語】
баасан baasan 金星 (梵 сугар)
бямба byamba 土星 (梵 санчир)
гомбо gombo 庇護者
даваа dabaa 月 (梵 сумьяа)
дагва dagba 清い (蒙 ариун)
дамба damba 聖なる
дамдин damdin 馬頭観音
даш dash 幸福 (蒙 жаргал)
дорж dorj 金剛 (梵 очир)
ендон yendon 知識
жав jab 庇護
жанчив janchib 神聖
иши ishi 賢明な
лодой lodoi 知性
лувсан lobsan よい気持ち
лхагва lhagba 水星 (梵 буд)
мягмар myagmar 火星 (梵 ангарак)
нацаг natsag すべての
ням nyam 太陽 (梵 адьяа,  蒙 наран)
пунцаг pontsag 完璧
пvрэв pureb 木星 (梵 бархасбадь)
самбуу samboo 良い
самдан samdan 瞑想
сан san 善良な
содном sodnom 幸福な
сvрэн suren 守護
сэнгэ senge 獅子 (蒙 арслан)
цултэм tsoltem 道徳
цэвэг tsebeg 永遠の (蒙 мΘнх)
цэдэн tseden 長寿
цэрэн tseren 長寿の
【サンスクリット】
адьяа adiyaa 太陽 (蔵 ням, 蒙 наран)
ангарак angarak 火星 (蔵 мягмар)
бадма badma 蓮
бархасбадь barhasbadi 木星 (蔵 пvрэв)
буд bud 水星 (蔵 Лхагва)
гарма garma カルマ
очир ochir 金剛 (蔵 дорж)
санчир sanchir 土星 (蔵 бямба)
сугар sogar 金星 (蔵 баасан)
сумьяа somiyaa 月 (蔵 даваа)
эрдэнэ erdene 宝物



Re: モンゴル人の姓

massangeana (2004/04/26 11:43)

モンゴル語はわかりませんが, チベット語はちょっとかじったので, 見ててたのしいです。
дагваはタクパ(dag pa), доржはドルジェ(rdo rje),
даваа はダワ(zla ba), Бямба はペンパ(spen pa) ですね。
нямがニマ(nyi ma)なのはブリヤートの形をみないとわかりませんでした。
これが「i の折れ」というやつでしょうか。



ブリャート人の名前のページ

にれのや (2004/04/26 03:15)

〓もうしわけありません。URLを記載するのを忘れました。↓です。
http://www.eastsib.ru/~fun/names.html
〓もうひとつ、説明をしておかねば。↑は、あくまで、「ロシア語環境でのブリャート人の名前の表記」 です。ブリャート語本来の表記は、ハルハ・モンゴル語と同様に、ロシア文字にない文字を追加して使用します。それを、ロシア語で表記したものが、↑のページのものです。
〓実際、ブリャート人にかぎらず、ロシアの少数民族の母語は、ほとんど、ロシア語になっている状態です。ただ、名前はブリャート人本来のものをつけよう、というブリャート人もいるのだろうと思います。そういう人々のためのサイトでしょう。ブリャート人でも、ウラジーミルとかアレクサンドルという名前の人も大勢いますし、故郷に帰ったときに家族だけで呼び合うブリャート名がある場合もあります。
〓↑のページでスフバートルを調べたら、
   「斧」+「勇者」
でした。
 ロシア語表記は Сухэ-Батор (文語表記からきている。露転写は長母音を無視します)
 現代モンゴル語 Сvхбаатар (表音表記)
 ブリャート表記 Сухэбаатар
〓↑のサイトの管理者は、Виктор Дашанимаев (Viktor Dashanimaev) 「ヴィークトル・ダシャニマーエフ」 という人物ですが、明らかにブリャート人です。もちろん、ヴィークトルはロシア人の名前です。しかし、姓に注目してください。
   Даша-нима-ев
   [ダシャ=ニマ=イェフ]
ロシアの非スラヴ民族は、たいていの場合、「男子名+-ов, -ев」 で姓ができています。子音に終わる場合に -ов をつけ、母音に終わる場合に -ев をつけます。チュルク系、モンゴル系の民族の場合、-ов, -ев の直前の音節に必ずアクセントがあります。チュルク系の場合は、語末にアクセントがあるからですが、モンゴル系の場合は、ロシア人が勝手にそう決めたからです。それで、この人の先祖に
   Даша-нима [ダシャニマ]
という人がいたわけです。これをハルハ・モンゴル語に置き換えてみますと、
   Даш-ням [ダシュニャム]
おもしろいですねえ。これ、「朝赤龍」 の本名と同じです。おもしろいですねえ。



ブリャート人の仏教由来の名前のページ

にれのや (2004/04/26 01:51)

【蒙古族の名前の由来を調べよう!】
〓クランケさん、凝った質問があったら、また、おいでください。
〓ええ、みなさん、おもしろいページを見つけました。ロシアのサイトですが、ブリャート人のページです。
   『ブリャート人の仏教由来の名前の辞書』
です。これがモンゴル人の名前の解釈に使えそうなんです。ブリャート語とモンゴル語は、本来は、方言の関係です。しかし、たとえば、
  ハルハ・モンゴル語−ブリャート語
      ц   −   с
のように子音が違っていたり、モンゴル語では、語中で в を使うのに対して、ブリャート語では、すべて б を使う、など、苦労はしそうですけれど。でも、語源など詳しく出ています。語義はロシア語ですが、露和があれば解釈は容易です。
〓この辞書を使って、次の2つの名前の意味がわかりました。
【朝青龍】 Дагва+дорж 清い+金剛。ちなみに、ブリャート語では Дагбадоржо になるようです。チベット語由来。
【旭天鵬】 Цэвэг+ням 永遠の+太陽。ブリャート語では Сэбэгнима。これもチベット語由来。

〓ふと、気がついたのですが、Maniac C. の探してくれたハンガリーのサイトでは、武蔵龍の名前を Nyam-a-suren としていますね。これは、誤入力ではない可能性があります。キリール文字表記の現代ハルハ・モンゴル語では、Nyam-suren ですが、文語表記、つまり、内蒙古の表記では、Nyamasuren かもしれません。ブリャート語では、nima と語末に a が残っています。例のハンガリーのサイトの管理人は、この表記をどこから見つけてきたんでしょうか……。不思議です。



RE: SOHO

クランケ (2004/04/25 21:42)

にれのやさん ありがとうございました。

Googleの使い方が勉強になりました



武蔵龍と龍皇

にれのや (2004/04/25 15:46)

〓ばりばりばりしょい、すぱしーば、Maniac C.
これは、ハンガリーのサイトですね。おそろしいほどデータがしっかりしている。いったい、どんな人物が管理しているのか? はたまた、「スモウ」 の世界的人気は、どの程度まで行っているのか? 考えさせられますぅ。
〓ご指摘のデータにしたがって、本名を再構築してみました。正しいかどうかはわかりません。というのは、両者の父親の名前が、検索に引っかからないからです。モンゴル人の名前は、「創作自由」 らしいのですが、ある程度のパターンはあって、同名の人物が検索に引っかかるものだからです。一応、以下のように。

【武蔵龍】の本名
  Дагдандоржийн Нямсvрэн
  [ダグダンドルジーン・ニャムスレン]
【龍皇】の本名
  ЭрхэмΘчирын Санчирболд
  [エルヘムチルィーン・サンチルボルト]

〓でした。



武蔵龍 龍皇

Maniac C. (2004/04/25 10:19)

>にれのや師匠
下記URLによると、以下のように記されています。
 武蔵龍:Dagdandorj Nyamasuren
 龍皇:Erhemochir Sanchirbold
以上、ご参考まで。
http://www.szumo.hu/Sumotori/index-shikona.html



モンゴル出身の大相撲力士の本名 その2

にれのや (2004/04/25 05:28)

【モンゴル出身の大相撲力士の本名−その2】
〓昨日の続きで、「幕下」 まで行っちゃいましょう。それ以下は、おそらく、調査不可能です。
〓その前に、「旭鷲山(きょくしゅうざん)」 のモンゴル語表記の訂正です。以下に、綴りと、モンゴルのサイトでのヒット件数を記します。
  (1) Кёкvшюзан 119件 [キョクシュザン]
  (2) Кёкvшюvзан 7件 [キョクシューザン]
  (3) Кёкушузан 5件 [キョコショザン]
  (4) Кёкушюзан 2件 [キョコシュザン] (+ロシアで1件)
〓「露鵬(ろほう)」 のせいか、ロシアでも相撲について書かれたページが多く見られます。これが、モンゴル語の綴りを調べる際に、かなりの障碍になるんです。Google では、モンゴル限定の検索ができないので。ところで、「露鵬」 はロシア出身でも、民族的にはロシア人ではないんですよ。
〓それでは、昨日の続きを。

【こうりゅう】
(1)光龍。(2)Коорю [コーリュ]。なぜ Коорюv ではない?
(3) Эрдэнэсvхийн МΘнх-Оргил
  [エルデネスヒーン・ムンフオルギル]
※モンゴル人の個人名は、たいていの場合、2つの単語から成る合成語である。その際、第2要素が母音で始まる場合、ハイフンを入れる。

【しろにしき】
(1)城錦。(2)Широнишики [シロニシキ]。
(3) Эрдэнэцогтын Одгэрэл
  [エルデネツォクティーン・オドゲレル]
※オドゲレルは、「星+光」 の意。

【だいしょうち】
(1)大翔地。(2)Дайшоучи [ダイショオチィ]。なぜか、Дайшоочи ではない。なぜ?
(3) Уламбаярын Бямбажав
  [オランバヤルィーン・ビャンバヂャプ]
※ビャンバジャプは、「土星+庇護」 の意。

【だいゆうち】
(1)大勇地。(2)Дайючи [ダイユチィ]。
(3) Даваадоржийн Ундрах
  [ダバードルヂーン・オンドラフ]

【はくば】
(1)白馬。(2)Хакvба [ハクバ]。白鵬は Хакухо なのに、白馬には Хакуба という表記がない。なぜ?
(3) Ариунбаярын ΘнΘржаргал
  [アリオンバヤルィーン・ウヌルヂャルガル]

【ほしかぜ】
(1)星風。(2)Хошиказе [ホシカズェ]。Хошиказэ と綴ればよさそうなものだが……
(3) Болдын Амармэнд
  [ボルディーン・アマルメント]

【むさしりゅう】
(1)武蔵龍。(2)Мусаширю [モサシリュ]。う〜む?
(3) Д. Нямсvрэн
  [ニャムスレン]
※武蔵龍の父称は、どうしてもわからなかった。ニャムスレンは 「太陽+守護」 の意。

【りゅうおう】
(1)龍皇。(2)Рюv-оv [リューオウ] (2件)/Рюо [リュオ] (1件)。
(3) Э. Санчирболд
  [サンチルボルト]
※龍皇の父称もわからなかった。サンチルボルドは 「土星+鋼鉄」 の意。

〓ついでに、昨日分で、意味のわかる名前を挙げておきます。
【朝赤龍】 Даш+ням 「月+太陽」。う〜ん、前田日明みたいだ。
【安馬】 Бямба+дорж 「土星+金剛」
【旭鷲山】 Бат+баяр 「確かな+喜び」
【旭天山】 Энх+бат 「平和+確かな」
【白鵬】 Даваа+жаргал 「月+幸福」
〓西洋人の名前と違って、モンゴル人の名前の意味は、辞書があれば、多くの場合わかります。ただ、チベットから仏教を取り入れたために、名前の要素に、梵語、また、かなりの数のチベット語が使われていて、これらは、辞書を引いても出ていない場合があります。
〓モンゴル人の名前は、1つの単語からなる場合もありますが、たいていは、2つの単語の合成語です。さすがに膠着語だけあって、品詞にかかわらず、2つの単語をくっつけちゃえばよろしい。テーマ音が現れるとか、ウムラウトするとか、そんなことは一切ありません。
〓以上、モンゴル出身力士の本名−2でした。



SOHO について

にれのや (2004/04/25 00:56)

〓次の 「クランケ」 さん、どうぞ。というわけで。
Google で、「英語限定」 で、
   SOHO small home office
を検索しますと、270,000件ヒットします。立派な英語ですね。フルスペルは、
   Small Office/Home Office
   Small Office, Home Office
   Small Office Home Office
など、一定していないようです。代表的な使用例は↓をどうぞ。
http://www.sohojobs.org/
〓また、SOHOで仕事をする人のことを
   SOHOer
と言うようです。これも、検索すると、とてつもない数がヒットします。



SOHOは英語?

クランケ (2004/04/24 15:49)

教えて下さいm(_ _)m

最近日本でSOHO(Small-Office Home Office) という言葉を耳にしますが、これは英語としては適切な表現でしょうか?
自分で調べたところでは、(1)「郵政省の通信白書の定義にある」だったり、また(2)「そういう英語の使い方はおかしい」という人もいますが?

(1)http://www.soratoumi.com/soho/hajime.htm
(2)http://soho.ssz.or.jp/soho/coramu/ara/a010920.html



モンゴル出身の大相撲力士の本名

にれのや (2004/04/24 04:10)

【モンゴル出身の大相撲力士の本名と 「混乱」 について】
〓モンゴル出身の力士の本名を調べるのは、意外に困難でした。というのは、モンゴルのサイトでも、父称(ふしょう)は頭文字で済ませてしまうのが一般的だからです。
〓モンゴル人のフルネームは、現在でも、
   父称+個人名
のようです。モンゴル人の名前の場合、
   「父称」=「父親の名前」 の属格 (所有格) です。日本人にたとえるなら、「小泉孝太郎」 の場合、
   「純一郎の・孝太郎」
というのがフルネームになります。
〓モンゴルのサイトを調べていて気がついたことは、モンゴル人は、ラテン文字で名前を表記する場合、「父称の属格語尾を付さない」 ということです。
   「純一郎・孝太郎」
のように書きます。しかし、キリール文字で表記する場合は、必ず、父称を属格にします。
〓興味深い点は、モンゴル人力士の日本での四股名(しこな)の 「モンゴル語表記」 が、少々、混乱していることです。つまり、日本語をモンゴル語に転写する際にユレが見られるということです。
〓後述しますが、「旭鷲山(きょくしゅうざん)」 の場合のように、モンゴル語の本名を、日本での表記から逆輸入し、奇妙奇天烈なことになっている例もあります。
〓では、モンゴル人力士の本名を見ていただきましょう。ただし、全員ではありません。とりあえず、8人。構成は、(1)四股名、(2)四股名のモンゴル語表記、(3)モンゴル語の本名(フルネーム)、です。

【あさしょうりゅう】
(1)朝青龍。(2)Асашёорюv [アサショーリュー]。(292件)。他の表記は、Асашёрюv (58件)、Асашорю (36件)。
(3) Долгорсvрэнгийн Дагвадорж
  [ドルゴルスレンギーン・ダグバドルヂ]
※父親の名前は、Долгорсvрэн。г は、属格で現れる隠れた г。

【あさせきりゅう】
(1)朝赤龍。(2)Асасэкирюv [アサセキリュー]。なぜか、長音を表記。Асасэкирю という vなし表記も少々見かける。Асасекирю(v) は各1件。
(3) Бадарчийн Дашням
  [バダルチーン・ダシュニャム]

【あま】
(1)安馬。(2)Ама [アマ]。
(3) Даваанямын Бямбадорж
  [ダバーニャムィーン・ビャンバドルヂ]

【きょくしゅうざん】
(1)旭鷲山。(2)Кёкvшvзан [キョクシュザン]。まれに Кёкушузан。
(3) Даваагийн Батбаяр
  [ダバーギーン・バトバヤル]
※父親の名前は、Даваа [ダバー] です。属格では、隠れた г が現れます。
※傑作なのは、彼が、本名を Daver Batbayar と名乗っているらしいことです。つまり、「ダバー」 は、「日本」 という言語環境では、洒落てDaver と綴ることもできるわけです。驚いたのが、この Daver がモンゴルのサイトでも採用されていることです。モンゴル人にとっても Daver のモンゴル語表記は 「?」 なので、Daver のまま! さらにオマケがあって、ロシア語のサイトでは、彼の本名を Давер Батбаяр としているものもありました。(モンゴル語には [v] 音はありません。б [b], в [β] です)

【きょくてんざん】
(1)旭天山。(2)Кёкvтэнзан [キョクテンザン]。
(3) БатмΘнхийн Энхбат
  [バトムンヒーン・エンフバト]

【きょくてんほう】
(1)旭天鵬。(2)Кёкvтэнхо [キョクテンホ]
(3) Нямжавын Цэвэгням
  [ニャムヂャブィーン・ツェベックニャム]

【ときてんくう】
(1)時天空。(2)Токитэнкv [トキテンクゥ]。
(3) Алтангадасын Хvчитбаатар
  [アルタンガダスィーン・フチットバータル]

【はくほう】
(1)白鵬。(2)Хакухо [ハコホ]。まれに、Хакvхо。
(3) МΘнхбатын Даваажаргал
  [ムンフバティーン・ダバーヂャルガル]

〓【モンゴル語の母音の転写】 о, у→オ/Θ, Y (v)→ウ、としました。
〓【属格に現れるы】 父称(属格)の語尾に現れる ы は1文字でも長母音です。
〓【モンゴル語のインターネット表記】 モンゴル語には、ロシア文字にない2つの母音字があります。ΘとYですが、これはネット上では、どうも表示できないらしい。それで、Y は 「ラテン文字の V, v」 で代用しているようです。検索時も、キーボードから V, v を入力すればよい。Θについては、ウクライナ語に用いられる Э, э を反転させた文字 (∈のごとき字形) を使用しています。これはキーボードから入力できないので、画面上のどこかにある ∈ をコピーしなければなりません。

〓以上、モンゴル出身力士の本名でした。



ブイヨンと朝青龍

にれのや (2004/04/22 01:20)

〓KOMAさま。
ロシア語の外来語表記における
   ь+母音
について、説明します。
〓まず、ロシア人は、外来語を、漠然と
   (1) ラテン文字で書く言語 (≒西欧語)
   (2) ラテン文字で書かない言語
に分けています。そして、(1)には、極力 ё の使用を避けようとします。ё が当てられるのは、独・仏語(etc.)の [φ/oe] という母音の場合、英語の -er-, -ur- の表記にかぎられます。す。英・仏・西・伊語などに現れる、「子音+ь+ё」 という音の連続の場合、「子音+ь+о」 で表記します。
〓ロシア語で、「ь+母音」 の表記の場合、「母音」 には、я, е, и, о, ю を使います。а, э, у は使うことができません。ロシア語は、渡り音 [j] を必ず表記するからです。
〓また、сьо (発音は сьё) と сё、рью と рю は、発音が違います。以前にも書いたと思いますが、理論的な長さは次のようになります。(例として л−я を使います)
   【短】
    ля [l^ja]
    лья [l^jja]
    лия [l^jija]
   【長】
もちろん、これは、絶対的な長さではなく、相対的なものですので、ぞんざいな発話などでは、必ずしも正確に発音し分けられるわけではありません。



йとь(軟音мяхкий→мягкий)

高駒麗人KOMA (2004/04/21 23:46)

mjaxkijはмягкий/mjagkij/という綴りでした。



йとь(軟音мяхкий)

高駒麗人KOMA (2004/04/21 23:43)

にれのやさんへ
セルビア語は凝った文字を使いますね。

ブイヨンbouillonはロシア語でбульон[bul'on]だそうです。
булёнと書かないのが不思議です。

朝青龍は
Дагвадордж (борцовское имя Асасёрю)
だそうですが、
Асасёрюは
Асасьорьуと書いて、ьを前の子音と繋げて書いたら發音は違ってしまうのでしょうか?

http://www.japan-sumo.ru/home4.asashoryu.html
http://www.japantoday.ru/arch/jurnal/0303/00.shtml



セルビア文字の軟子音

にれのや (2004/04/21 02:06)

〓KOMAさま。
そうだそうだ。セルビア語では、
   лj
という書き方はしないんです。j は、語頭か音節末に限られます。子音の軟化(硬口蓋化)を表す場合は、セルビア独特の文字が使われます。
   л+ь
の合字。つまり、лの右の縦棒と、ьの縦棒を合体させた文字です。Unicode の 0400 のあたりを見てください。
〓ほかにも、н+ь (同じ要領で合字をつくります) で н の軟音を表します。そのほかに、т の軟音を表す文字に、Т+h (大文字)、h+- (小文字)、д の軟音を表す文字に、Т+つ (大文字)、h+-+り (小文字) があります。字形は説明のしようがないですねぇぇぇ。



漢字・ひらがな・カタカナについて

陸前高田市民 (2004/04/20 21:30)

日本語には、漢字・ひらがな・カタカナとありますが、それぞれの
使い分けはどうなっているんでしょうか。教えていただけませんか。



ロシア語とウクライナ語

にれのや (2004/04/20 01:42)

〓KOMAさま。
ロシア語とウクライナ語は、どちらが本家というようなことは、ありません。スラヴ語の中の東スラヴ語として、現在のベラルーシ、ウクライナ、ロシアの領域で話されていた言語が、徐々に各地の方言を生じ始めていたところで、ウクライナ・ベラルーシが、ポーランドの300年の支配下に入り、その間に、ロシア語←→ウクライナ語・ベラルーシ語の方言差が大きく開いたわけです。
〓スラヴ語の発祥地は、現在のポーランド=ベラルーシ=ガリツィア(ウクライナ西部)のあたりと言われています。
〓ロシア語では、音素 ш−сь−с が、混同されることはありません。ただ、前後の音のつながりの影響で、сь→с, с→сь のように、実際に発音される音が、綴りと異なる場合があります。しかし、これは сь と с を区別しないということではありません。



訂正 BRAZA→BRZA

高駒麗人KOMA (2004/04/19 16:28)

訂正
Jadrankaなど 追加 投稿者:高駒麗人KOMA  投稿日: 4月19日(月)15時59分9秒

http://www.jadranka.info/
↑Jadranka
ヤドランカの『サラエボのバラードSARAJEVO BALADA』収録の歌で「愛は光よりも速くLJUBAV BRZA OD SVIJETLA」があります。
このLJUBAVは、ユーゴではЛJУБАВなんでしょうね。
意味は「愛」でしょう。
http://www2.tokai.or.jp/yuyu/pixy/pixy-profile.htm

ロシア語で言いますとлюбoвьでしょうね。

BRZAの上は字上符Vがあります。BRZHA、БРЖАと書いて良いでしょうか。
http://www.interq.or.jp/rock/gothic/world/jadranka.htm(CDジャケット寫眞)
http://ww3.tiki.ne.jp/~yokoyoko/jadranka/jad.list.htm(日本語の「CDリスト」)



Baghdad Islam Russia

高駒麗人KOMA (2004/04/19 16:16)

例えば酒井啓子著「イラク 戰爭と占領」(岩波新書)では「バグダード」「イスラーム」です。
日本語でも「おろしや」では最後は「や」ですね。



硬音と軟音

高駒麗人KOMA (2004/04/19 16:13)

Kwasniewskiのskがшки、ськи、скиのいずれかかという問題は、当のロシア人でもsh(口蓋化音)とs'(軟音)とs(硬音)を區別しない場合があるという事でしょうか。

近代の滿洲國は北京語でMan zhou guoで、ロシアではこれを
МАНЬЧЖОУ ГО
つまり
MAN'CHZHOU GO
にしています。

ところが軟音を省いた
МАНЧЖОУ ГО
つまり
MANCHZHOU GO
もあります。
http://www.japantoday.ru/encyclopaedia/m9.shtml
http://www.coins.keepbank.ru/Lands/Manchu.html

ロシア語ではManchuriaを現す滿洲語からの借用語としての名前があるでしょう。
Манжурияでしょうか?

蒙古語では「滿洲(の)」はМАНЖです。



Jadrankaなど 追加

高駒麗人KOMA (2004/04/19 15:59)

http://www.jadranka.info/
↑Jadranka
ヤドランカの『サラエボのバラードSARAJEVO BALADA』収録の歌で「愛は光よりも速くLJUBAV BRAZA OD SVIJETLA」があります。
このLJUBAVは、ユーゴではЛJУБАВなんでしょうね。
意味は「愛」でしょう。
↓檢索したらユーゴのDragan Stojkovic選手のプロフィールがありました。
「(好きな?)言葉」が「ljubav(愛)」だそうです。
http://www2.tokai.or.jp/yuyu/pixy/pixy-profile.htm

ロシア語で言いますとлюбoвьでしょうね。

BRAZAの上は字上符Vがあります。BRAZHA、БРАЖАと書いて良いでしょうか。
http://www.interq.or.jp/rock/gothic/world/jadranka.htm
http://ww3.tiki.ne.jp/~yokoyoko/jadranka/jad.list.htm(日本語の「CDリスト」)


>(1) ウクライナ人の訛ったセリフを 「揶揄や驚き」 を交えて、ロシア語で表音的に表記したもの。
  (2) ウクライナ語での 「キエフ」 の発音を説明したもの。

歴史的にはウクライナが本家でロシアが分家なのでしょうが、ロシア人はもうウクライナ語の方を「ロシア語の訛り」と見ているのでしょうか。
『廣辭苑』で「ろしあ」を引くと「ノヴゴロド公國」が書いてあります。
日本國内の奈良縣に「大和」があるような物でしょうか?

呉智英(くれともふさ)氏が『ロゴスの名はロゴス』(Media Factory)で、「白ロシア」の名前が日本で2回變った事を取り上げ、「ベラルーシ」が現地音尊重なら、ロシヤは原語で「ロシヤ」なのに、何故「ロシア」が強要されているのかという事を書いています。
Россия、Russiaについては朝鮮でも로씨야や러시아かという問題があります。

前にも話題になりましたが、キルギスはKirgiz、Kyrgyzなど綴りが一定していません。
ロシア語ではКの次にЫは来ないのでКИРГИЗ.
でもキルギス語ではКЫРЫЗという事でした。

بغداد Baghdādにしてもバグダッド、バグダード兩方あります。



クイイウ

にれのや (2004/04/18 03:19)

〓KOMAさま。
確かに Google で Кыив を検索すると100件以上ヒットしますね。でも、これらの使用例を見てみると、みな、似たような用途の表記であることが、わかります。つまり、
  (1) ウクライナ人の訛ったセリフを 「揶揄や驚き」 を交えて、ロシア語で表音的に表記したもの。
  (2) ウクライナ語での 「キエフ」 の発音を説明したもの。
などです。



JYOSI女子十二樂坊

高駒麗人KOMA (2004/04/17 23:31)

女子十二樂坊の頁。
↓このアドレスにある“jyosi”は訓令式かHepburn式か?
http://www.platia-ent.co.jp/artist/jyosi.html



Kwasniewskiについて

高駒麗人KOMA (2004/04/17 11:43)

にれのやさんへ
Polandではш[∫]はszですか。
ワルシャワはWarszawaですから、キリル文字轉冩するとВаршаваですね。
http://www.gismeteo.ru/weather/towns/12375.htm

確かにКвасневскиと書いても、ロシア人が讀むとkvasjnjefskji(sj,nj,kjは口蓋化)という發音になるので、сの次にьはいらないわけですね。
よくわかりました。

するとKwaSniewskiは、KwaSZniewskiではないので、
н[n]の前はш[∫]ではないわけですね。

Киев(Kiev)について。
ウクライナ語では、キエフはКиïв [кыjiв] 「'クイイウ」ですか。
KyivやКыивという綴りは發音に忠實な書き方という事でしょうか。

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%D0%9A%D1%8B%D0%B8%D0%B2&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=



アレクサンデル・クファシニェフスキの名前について、さらに

にれのや (2004/04/17 02:46)

【クファシニェフスキについて、さらに調べる】
〓KOMAさんが挙げている、奇妙な転写形について、さらに調べてみました。ロシアの検索サイト Яndex で調べると、次のような誤転写形があがってきました。
  (1) Квашневский 130件。сьとшの取り違え。
  (2) Квашневски  77件。     〃
  (3) Квашниевский 0件。
  (4) Квашниевски  2件。
(1), (2) は、ロシアのみならず、ウクライナ、ブルガリアなど、他のスラヴ諸国のサイトでも見つかりました。要は、「複雑なポーランド語の書記体系」 と、それに対する知識不足から来るものだと思います。
  s{+´}=сь / sz=ш
をはじめとして、ポーランド語の書記法は複雑怪奇な面があるのは否めません。それと、ロシア姓には、Квашнин のような姓がいくつかあるので、それも影響しているかも。
〓ポーランド姓 Kwas{+´}niewski には、対応するロシア姓があります。
   Квасневский [クヴァス'ニェーフスキイ]
です。実は、クファシニェフスキを、このロシア姓の綴りで表記しているページも非常に多かった。実に面白い結果がでました。
  (1) Квасневский  6832件
    →ロシア姓に翻訳したもの。сь→с、-ски→-ский が違う。
  (2) Квасьневский 6829件
    →ポーランド姓を転写したのち、-й を付加して、ロシア化したもの。
  (3) Квасневски    297件
    →ポーランド姓の転写しそこない。сь→с が間違い。
  (4) Квасьневски   383件
    →転写という点では、もっとも正確な綴り。
(1)がいちばん多かったというのは愉快です。実は、(1)の姓も、実際には (2)と同じように発音されることが多いはずなのです。(1)は-сне-, (2)は-сьне-という綴りを持っていますが、(1)の с も、実は後続の -не- [ニェー] という軟音につられて、軟化する傾向があるのです。つまり、-сне- が [シニェー] と発音されるわけで、これは、(2)の-сьне-と同じです。
 ロシア語では、このように、後続の軟子音の影響を受けて軟音になる子音を綴りに反映させません。「まあ、そのへんは、いいようにやってくれよ」 という感じです。ポーランド語は、そこを神経質に綴り分けているだけなのです。ロシア人にしてみれば、(1)の綴りだって同じようなもんじゃないか、という気分なのでしょう。



キエフとクファシニェフスキについて

にれのや (2004/04/16 03:30)

〓【キエフについて】
キエフという地名は、この町を建設した3兄弟の長兄の名前 Кий ['kij] 「'キイ」 「キイ」 の
   物主形容詞形
です。つまり、「キイの〜」 という意味です。その物主形容詞の男性形ですので、後に省略されているのは、当然、город ['ゴーラット] 「町」 です。-й に終わる名詞から物主形容詞をつくる場合、-ев をつけますが、
   Кий [kij] + -ев [jef]
と [j] 音が二重になるので -й を落とします。よって、
   Киев ['ki:jIf] 「'キーイェフ」 「キーエフ」
となります。
〓スラヴ語では、もともと、к, г, х には、硬音(こうおん)しかありませんでした。つまり、
   ки [кы] 「クイ」、ке [кэ] 「ケ」
のごとく発音していたのです。それが、и, е の前でのみ、к, г, х が口蓋化して、現在の音韻体系になりました。ロシア語で、к, г, х に 「硬軟の対立がない」 と見なす理由はここにあります。
〓ウクライナ語では、キエフは
   Киi{+¨}в [кыjiв] 「'クイイウ」
ですが、こちらは、К の硬音を保っているわけです。ウクライナ語の i{+¨} は、「分離符」 がついているわけではなく、[j]+[i] を表す文字です。すなわち、й+i です。
〓【Kwas{+´}niewski】の発音は、[kfas^j'n^jefsci] 「クファシ'ニェフスち」 だろうと思います。(^ でスーパースクリプトを表します。つまり、^j は硬口蓋化を表します)。ポーランド語には不思議な特徴があって、
   「無声子音+w [v]」 → 「無声子音+f」
というように、先行する無声子音が、後続する w [v] を無声化するのです。アウシュヴィッツの名で知られるオシフィエンチムも、この例に当たります。
   Os{+´}wie{+し}cim
〓Aleksander Kwas{+´}niewski は、ロシア語に転写されると次の2通りになります。
   (1) Александр Квасьневский
   (2) Александр Квасьневски
Aleksander [アれク'サンデル] は、もとより、ロシア語に翻訳してしまいます。クファシニェフスキのほうは、ロシア式に -ский とする方法と、-ски とポーランド語に則して転写する方法と2つがあります。(2)の方が正しいように思えますが、検索してみると、(1)の方が、(2)のほぼ10倍の使用例があります。何だか、強引なように思えますが、(2)の語形にしてしまうと、ロシア語としては 「不変化詞」 として扱わざるをえない。-и で終わる名詞は、ロシア語には無いからです。そこで、ロシア式に-ский として、ロシア姓式に変化させる。
〓ちなみに、Квасьниевски(й) という転写例は皆無です。



キリール文字

にれのや (2004/04/16 01:32)

〓KOMAさまへ。
キリール文字は、セルビア式・ブルガリア式・ロシア式のどれかが元の形というのではなく、元の表記は 「古代教会スラヴ語」 の文字体系であり、現代のいずれのキリール文字の体系でも使われていない文字が、ようけ、使われております。(ギリシャ語の気息記号・アクセント記号・チートロ<ビザンチン期のギリシャ語に使われた省略記号>なども使われておりました)。
 セルビア、マケドニア、ブルガリア、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ、それぞれに、自分の言語を表記するのに必要な文字を残し、不必要な文字は廃し、不足の文字は新たに文字を作った、と、こういうしだいです。



朝鮮語で「ロシア」は何と言うか

高駒麗人KOMA (2004/04/15 14:22)

朝鮮語で「ロシア」は何と言うか、googleで検索したら以下の名前が有りました。

1、러시아 reosia ← 英語名 Russia からでしょう。 2、로시아 rosia ← 日本語の「ロシア」をハングル(한글)で書くとこうなります。
3、로시야 rosiya ← これは日本語の「ロシヤ」をハングル(한글)で書いた物か?
4、로씨야 reossiya ← ロシア語の自稱Россия(Rossija)からでしょう。
5、러시야 reosiya ← これもありました。
6、러씨야 reossiya ← googleでは1つだけでした。



やどらんか りんどばーぐ

高駒麗人KOMA (2004/04/15 14:07)

http://www.mladenovac.com/kolonija2002.htm
КУРТУРА ЛИКОВНA КОЛОНИJA …Зоран ФИЛA и Jадранка КОВAЧ.

http://www.novibeograd.org.yu/default.asp?jez=c&str=3&ops=22
НОВИ БЕОГРАД … Jадранка Петровић

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%D0%A1%D0%B0%D1%80%D0%B0j%D0%B5%D0%B2%D0%BE&lr=

http://www.jadranka.info/
↑檢索して見ました。

確かにキリル文字は歐洲起源ですからセルビア式の方が元の形なのでしょう。
Ukraina語ではеは[je]でなくて[e]ですか。
「エカテリーナ」、「エリツィン」はウクライナ發音に近いのでしょうか。

Киев(Kiev)はロシア語で[kijef]ですが、Ukraina風に讀むとКиэв[kief]と同じになるのでしょうか。
Киев(Kiev)はUkraina語ではКыив(Kyiv)のようですが、この辺は研究課題です。

英語の中のロシア系の單語は
Совет/sovjet/→Soviet
ДнепР/dnjepr/→Dnieper
のように單音節е[je]をieにした物がありますが、
Киев/kijev/→Kievは、2音節ие[ije]が英語のieになっています。
この當たり不徹底で、例えばPolandのクワシニエフスキー(又はクワスニエフスキー)さんがKwasniewskiであるとして、これが
Квашневскиなのか
Квашниевскиなのかふと考えました。
↓検索したら兩方ありました。

http://www.google.co.jp/search?q=%D0%9A%D0%B2%D0%B0%D1%88%D0%BD%D0%B5%D0%B2%D1%81%D0%BA%D0%B8&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=ja&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%D0%9A%D0%B2%D0%B0%D1%88%D0%BD%D0%B8%D0%B5%D0%B2%D1%81%D0%BA%D0%B8&lr=
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E1799024097/
http://www.spartacus.schoolnet.co.uk/POLkwasniewski.htm

↑Александър Квашниевскиという名前を見かけました。


ところでKioskはトルコ語で「東屋(あずまや)」の事で、日本では「キヨスク」とも言いますね。トルコ語では母音が連続するとyを挟んで、pianoをpiyanoにするようです。
するとkiyoskが正しいのかとふと考えました。
ところが↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A8%E3%82%B9%E3%82%AF
KIOSKはトルコ語のköşk(キョシュク。「東屋(あずまや)」の意味)に由来するとありました。
少少殘念です。

ところで、渡瀬マキさんのバンドで「リンドバーグ」というのがありました。
http://park1.wakwak.com/~record/newpage304.htm
綴りはLINDBERGでしたが、某歌番組ではLINDBARGと綴られていました。

(http://dokuzen.txt-nifty.com/blog/2004/03/kiosk_.html)



キリール文字について

にれのや (2004/04/15 03:44)

キリール文字について、若干】 〓KOMAさまに。 〓【キリール文字の発祥地】まず、一般的な人が、ブルガリア語やセルビア語の字面をみたら、「そうか、ロシア文字を真似たんだ」 と思うことでしょう。が、ちょっとこれは違う。キリール文字は、そもそも、「オフリッド湖付近の修道院」 で、ギリシャ正教に改宗したスラヴ人の修道士が、ギリシャ語の聖典をスラヴ語に翻訳するために、「ギリシャ文字を改良した」 文字です。この当時のスラヴ語が、いわゆる、後世に 「(古代)教会スラヴ語」 と呼ばれるものです。オフリッド湖というのは、現在では、マケドニア領内になるようですが、だからと言って、キリール文字を考案したのがマケドニア人というわけではない。バルカン半島の民族の移動、国境の変動は、とても激しいうえに、当時の南スラヴ語が、今のような方言に区分できたかどうかもわからない。ただ、キリール文字の使用は、南スラヴ地域(ブルガリア、セルビア)のほうが先であることは確実です。 〓【セルビア語のJ】古いキリール文字には、I-A, I-∈, Ю といった [j] 音+母音を表す文字がありました。これは、東スラヴ(ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語)とブルガリアでは残ったが、なぜか、セルビアでは残らなかった。ラテン文字圏と隣接していたためか、J という文字が採用された。 〓【э, й という文字】これは、東スラヴで生まれた文字です。だから、セルビア語で使われないのは当然です。キリール文字 е (イェー) は、もともと、∈ のごとき字形であり、これは中世のギリシャ文字の ε (エプシロン) そのものでした。(この文字はウクライナ語にはあります)。ロシア語で、    [e] → [je]    [je] → [je] というように、「エ」、「イェ」 が、すべて 「イェ」 に合流してしまったため、I-∈ という文字は不要になり、どちらも ∈ で表記されるようになりましたが、間投詞などで、まれに必要な [e] 音を表す文字として、∈ を反転させた э が作られました。  また、東スラヴ語では、語尾に [j] 音が現れる場合に、それを書き表す й 「短いи」 が考案されました。どういう経緯かわかりませんが、ブルガリア語でもこれを使っています。 〓【現代のキリール文字の字体】かように、キリール文字じたいは、南スラヴの生まれなのですが、そのキリール文字というのは、現在のキリール文字とは少々文字の形が違います。見た目は、中世のギリシャ文字そっくりなのです。実は、θ, ξ, υ, ψ, ω といった文字も、キリール文字には存在しました。では、現在のキリール文字の字体を作ったのは誰かというと、実は、ロシアのピョートル大帝なのです。ピョートルは、オランダの印刷技術を導入するとともに、キリール文字の 「字形と書体」 を 「西洋のラテン文字」 に近づけるという作業をみずから行いました。α→А, а, ∈→Е, е というような字体の変更、ω のごときスラヴ語に不必要な文字の廃止は、このときに行われたのです。現代のブルガリア語、セルビア語などの書体は、この 「ロシアで改良されたキリール文字」 を取り入れたものです。 〓【セルビア語の表記】ユーゴスラヴィアで内戦が起こる前は、セルビア語の表記は、キリール文字・ラテン文字のどちらも使っていたようです。どれくらいのパーセンテージかはわかりませんが、ベオグラードなどでもラテン文字はかなり使われていたようです。セルビア語が厳格にキリール文字で書かれるようになったのは、内戦が始まってのちのことです。 〓ヤドランカは、【Jадранка Стоjаковиh{+-}】、サラエヴォは、【Сараjево】 ですね。е は [e] です。ロシア語の е [je] のほうが特殊なんです。(ウクライナ語でも е [e] です)。

セルビア語

高駒麗人KOMA (2004/04/14 18:24)

すみません、セルビア語は良く知らない物で
Yugoslaviaはロシア語ではЮгославияでしょう。
セルビア語(セルボ・クロアティア語のキリル文字表記)でもそうかと思っていましたが、セルビア語ではJугославиjаですか。
するとセルビア語ではЯЮЕЁは使わず、JА、JУ、JЭ、JОなのでしょうか?
ЙА、ЙУ、ЙЭ、ЙОにしないのは不思議です。

十年位前、ユーゴの女性歌手ヤドランカJadrankaさんをテレビで見ました。
この人のアルバムのタイトルと歌詞は、羅馬字でした。
セルボ・クロアティア語の羅馬字表記ですから、クロアティア語でしょう。

Jadrankaさんは、Jадранкаで、Sarajevoは、Сараjэвоでしょうか。



Banat

にれのや (2004/04/13 22:52)

〓たびたび、おそれいります、Maniac C.
そうです。Banat です。どうも、ブルガリア語とかセルビア語とか、ロシア語とビミョーに斜格の形が違っていて、混乱してくるんです。間違い探しみたいで。Баната は生格でした。
   jужни Банат 「南バナタ」
が正当です。「北関東」 みたいなもんでしょうか。
〓ふと気がついたんですけど、「ユゴスロヴェンスキ」 と 「ユジノスロヴェンスキ」 という2つの形容詞は、確実に、違う内容を表すんです。下の2例を比べてください。
   (1) jугословенска литература
     ユゴスロヴェンスカ・リテラトゥラ (発音はだいたい)
     「ユーゴスラヴィア文学」
   (2) jужнословенска литература
     ユジノスロヴェンスカ・リテラトゥラ
     「南スラヴ文学」
地域的・時代的に、(2) のほうが、広い範囲を表すことがわかります。(1) のほうは、言うてみれば、советская литература [サ'ヴィェーツカヤ・りチェラ'トゥーラ] 「ソヴィエト文学」 みたいな、政治的に限定された地域・時代の文学をあらわす表現になります。



バナタ

Maniac C. (2004/04/13 05:22)

>にれのや師匠
>バナタは地名か?
→『新英和大辞典』に拠りますと、セルボ-クロアチア語で、バーナトは、「(昔の)
都督管轄区」の意味で、バーン「(昔のハンガリーの南境地方の)太守; (後に, Croatia
および Slavonia の)都督」に由来する、と有ります。banat(e)['bæn@t]
■大文字になると、「ハンガリー・ルーマニア・ユーゴスラヴィアに広がる肥沃な平原」
(リーダーズ英和辞典)の意味で、強勢位置も違うようですが。Banat[b@'nα:t,'bα:nα:t]
■この場合は、下の方ですかね? 地図を御覧ください。

http://www.yuinternet.com/bkarlovac/Large_banat_map.gif



セルビア語における、jуго- jужно- の使用例

にれのや (2004/04/13 02:37)

【セルビア語における、合成語の jуго-, jужно- の用例】
〓すみませ〜ん。Maniac C. 先ほどの Jugoslawien, Jugoslawe の件は、あたくしの勘違いです。
〓すみませ〜ん(その2)。↓の書き込みにて挙げたのは、ブルガリア語でした。スラヴ語を交錯して検索していると、文字の使い方がドンガラガッチャになってくるのです。
   セルビア語には ю はない。jу と綴る。
のでした。さらに、セルビアの検索エンジンは、ブルガリア・ウクライナなど、近隣の南スラヴのページもあがってくるのでした。
〓【セルビア語における、jуго-, jужно- の用例】を実際に拾ってみます。
◆jуго- の例。名詞としての 「南」。
Jугославиjа (もちろん)ユーゴスラヴィア
Jугословенска Кинотека ユーゴスラヴィア・シネマテーク
Jугопетрол ユーゴペトロール。おそらく、ユーゴスラヴィアの石油会社。
※ユーゴスラヴィアという国名と、国名を冠した機関などに限られる。
◆jужно- の例。形容詞としての 「南の」。
jужнословенска литература 南スラヴの文学
на jужнословенским jезицима 南スラヴ語で。(前置格)。
jужнобанатски 南バナタの。(<jужна Баната)。バナタは地名か?
※やはり、こちらのほうが、普通である。



南スラヴのというセルビア語

にれのや (2004/04/13 01:10)

〓セルビアの検索エンジンで、意外な単語を見つけました。
   южнославянския
   южнославянските
   южнославянското
   южнославянската
おそらく、「南スラヴ族の」 というような形容詞の 「いずれかの性の、いずれかの格」 だと思うのですが、セルビア語の辞書も知識もないので、よくわかりません。しかし、このような語があるということは、逆に言えば、
   Югославия
という造語法には、やはり、何らかのコノテーションがあるように思います。



Jugoslawien

にれのや (2004/04/13 00:51)

〓ありがとう、Maniac C.
Jugoslawien は、国家名 Jugoslawie からの逆成の 「ユーゴスラヴィア人」 ではないですか?
〓現代のスラヴ語で、jуг, jug, юг [ユーク] 「南 <名詞>」 を合成語に使うのは、「南西」 というような 「方角」 の場合に限られる。19世紀にはそうでもなかった、ということも、あるだろうか? 合成語の作り方も 「未熟だった」 というようなことが。
〓ああ、そう、訂正。イオーアンネースのギリシャ語綴りで、アクセントをパックリ間違えてました。
   ’Ιωα{+´}ννηs
ですね。だいたい、ロシア語で Иоанн [イオ'アヌ] なんだから気が付け、ちゅうの。



Yugoslavia

Maniac C. (2004/04/12 06:03)

>にれのや師匠
■ご参考までに、英語語源辞典の記述を。
オーストラリア・ドイツ語 Yugoslav (原義) the southern Slavs
←セルボ・クロアチア語 jug south (<古期スラブ語 jug{u の上に v})+Slav
■現代標準独語の綴りでは Jugoslawien なので、信頼度がちょっと低いような気がします。
■また、独語には、英語の southern に当たる Sueden という単語も在りますが、普通は、
south に当たる Sued が直接名詞の前に冠せられますし、Slavs に当たる独語は Slawen
(単数は Slawe)ですので、Suedslawen となるはずなのですが…。



複数&分数

Maniac C. (2004/04/12 05:43)

>高駒麗人KOMAjさん
>複數のs等も省いてしまえばその區別も不要です。
→西洋では、常に可算か不可算かを考えていますので、それは無理でしょう。
■歴史の過程で、数を表示する手段が失われてしまったときに、前とは別の方法で、
何とか数の違いを表示しようとしてきた事実は、枚挙に暇が有りません。
■例えば、仏語で、複数形を表す語末の -s が発音されなくなったとき、彼らは
代わりに、冠詞で数の区別が判るようにしました。
■同様に、スイスのベルン方言でも、標準独語に対して語末音消失を被っているため、
「犬」Hund-Hünd, 「朝」Morge-Mörge と、ウムラウトで数の区別が出来るように発音
を変えているそうです。(月刊『言語』2001年12月号)
■英語でも、一時期、「女」wimman[wim@n]-wimmen[wim@n] と、綴りでしか区別でき
なかった数の区別を、foot-feet に倣って、[wum@n]-[wim@n] と発音を変えることに
よって、耳でも区別できるようにしました。(後に複数形はさらに [wimin] となって、
単数形との発音の開きを大きくしました。)
■3人称の代名詞が、古期英語では he:, he:o, hit/hi:e だったのに、中期英語で
he:, he:@, (h)it/hi:〜he: となって、数の区別がつけにくくしまったときには、
外国語の thei に置き換える、ということまでしています。

>私にとってはthirdを3分の1にするのはわかり難いです。
→こう考えてみたら如何でしょう?
■分数の英語での標準的な言い方は、a third, two thirds ですが、実はこの言い方、
a third part, two-third parts の part(s) を省略した言い方なのです。
■何故、分数の分母を序数で表すか、について説明します。1つの物を3つに分ける
としましょう。当然、3つの部分(three parts)に分けられますから、仮に左から、
第1の部分(the first part)、第2の部分(the second part)、第3の部分(the third
part)、と順に名前を付けるとしましょう。この3つの部分が、等しい大きさに分けて
あれば、第1の部分を取っても、第2の部分を取っても、第3の部分と同じ大きさの
はずですから、量に関して言えば、第3の部分と他の部分とを特に区別する理由は
在りません。ですから、特定の(= the) 部分(= part) ではなく、3つの部分のうち、
どれを選んでも良い(= a) 最後の部分と同じ大きさの(= third) 部分(= part) と
言うのです。
■ two thirds に関しても、同様に考えられます。即ち、どれを選んでも良い(=無
冠詞) 最後の部分を2倍したものと同じ大きさの(=two-third) 部分(=parts) です。
■多分、分母を表示する third を単なる「序数詞」と同一視してしまうので(そう
考える方が普通ではありますが)、混乱するのだと思います。half, quarter, per cent
と分数特有の単語が在るのですから、ポウツマのように「部分数詞(partitive
numerals)」という分類を立て、序数詞の third と部分数詞の third とは、同一形態
だが別物である、と分けて考えれば混乱しないのではないでしょうか。



Йовович というブルガリア姓

にれのや (2004/04/12 04:21)

〓セルビア姓については資料がないんですが、ブルガリア姓については資料があったので調べたら、
   Йовович ['ヨーヴォヴィち]
という姓がありました。おそらく、セルビア語でも、アクセントは第1音節だと思います。しかし、セルビア語の場合、母音の長短を含めてアクセントが4種あり、位置がわかっただけでは、どんな発音か、想像もできません。また、アクセントのない音節にも母音の長短があります。まったく不思議です。なんで、セルビア=クロアチア語には、母音の長短があるのか。
〓Йовович に相当する、あるいは類似する姓は、東スラヴ圏(ロシア・ウクライナ・ベラルーシ)にはないようです。この姓のもとになる Иов [イ'ヨーフ] (聖書のヨブから) という名前じたいが東スラヴでは人気がない。教会暦には掲載されていても、名付けには使われなかったようで。イヨーフという名前の男性がいなければ、Иовов とか Иовович とかいう姓も生まれないわけです。
〓もとのギリシャ語表記は ’Ιω{+´}β ですが、セルビアでは Jов、ブルガリアでは Йов、ロシアでは Иов。[j] の表記の三者三様。まったく不思議です。なぜこうなのか、説明した文章に出会ったことがない。
〓ロシアでは、正教を受け入れた時点で Й という文字がなかった。(それはブルガリアも同じはずだが?)。しかし、ロシア人は、ё でも й でも、符号のつく文字が嫌いなようで、ボリシェヴィキの権勢をもってしても、ё を浸透させることはできなかったし、й は語末以外で使うものではない、とロシア人は思っているようで。だから、Иов。
〓聖書由来の名前では、Ио-, Иа-, Иу- で始まる名前が多い。スラヴ人は、これには参ったらしく、セルビア・ブルガリア組のように [j] 化したり、ロシア人のように、「いろいろ変化させた」 りしました。
   ’Iωαννη{+´}s → Iωаннъ → Иван
「イオーアンネース」 が 「イヴァン」! Иов には、この手の民衆形がありません。そのことからも、Иов に人気がなかったことがわかります。でも、不人気の理由はわかりません。



Sudslaven → Yugoslav

にれのや (2004/04/12 03:58)

〓うんにゃあ、松茸さん、すごいの見つけましたね。
〓スロヴェニア出身のイェルネイ=バルトル・コピタルという、オーストリア=ハンガリー帝国のスラヴ語・ギリシャ語出版物の検閲官が、ドイツ語 Sudslaven の訳語として Yugoslav という語を造った、と、こういうことですね。
〓そして、1845年に、Mama Ban という作家が、来るべき国家の名としての 「ユーゴスラヴィア」 を宣言したと。(Mama Ban というのは、何人なのでしょうか? 筆名でないとしたら、スラヴ人の名前ではないですね)。
〓それでも、謎ですね。スロヴェニア出身で、スラヴ語の検閲までする学者が、なぜ、スラヴ語の造語法を守らなかったのか? また、あとに続くスラヴ人たちが、何も疑問を呈さなかったのか?
〓不思議です。



re:ユーゴスラヴィアについて

松茸 (2004/04/12 02:27)

 下のページによると、ドイツ語からのカルクのようです:

http://www.rastko.org.yu/istorija/srbi-balkan/vrudic-yugoslavia.html

| The term Yugoslav was coined by Jernej-Bartol Kopitar (1780-1844), ...
| when he translated the German compound word Sudslaven (South Slav) in 1816...



ヨシプ・ユライ・シュトロスマイエル

にれのや (2004/04/11 15:40)

〓Maniac C.、バリショイ・ダンケ。
ユーゴスラヴィアという語が、そんなに古いとは。
ヨシプもユライも、確かに南スラヴ系の名前ですね。そして、シュトロスマイエルはドイツ語系。シュトロスマイエルの母語は何語で、成人後に主として使用していた言語は何なんでしょう? クロアチア語から長い間はなれていて、「造語法」 のような微妙な点になると、たとえば、ドイツ語のクセが出てしまう、というようなことは、考えられるでしょうか?
〓そもそも、歴史家は、「ユーゴスラヴィア」 という語の造語法の不思議、には引っかからないようですねえ。視点が違うからしかたがないか。



Югославия и Южно-Сахалинск

高駒麗人KOMA (2004/04/11 09:24)

にれのやさん&松茸さんへ

>ユーゴスラヴとはThe Yugoslav People。
>南スラヴとはThe South Slav Peoples。

Bulgariaが入るかどうかがポイントですか。

しかし、югоとюжоは名詞югと形容詞южныйの關係ですから英語に例えると名詞Southと形容詞Southernの關係に似ています。

「ユーゴスラヴ」Югослав(ия)とはThe Yugoslav People。一方、「南スラヴ」とはThe Southern Slav Peoplesでしょう。

また、Peoplesがついていますが、嚴密にはНарод narodでもつけるとより正確でしょうか。

少し古い話ですが、太田裕美の「南風」はsub titleが“SOUTH WIND”で、一方、中森明菜の歌では「Southern Wind」がありました。
(「北ウィング」の直後だったので“Southern WING”かと想いましたが違いました。空港の来たウィングと南ウィングはNorth wingとSouth wingでしたか。)

シナ語では「南」nan(2)(←nam)は名詞でも形容詞でもあります。

シナ語で
Югославия(Yugoslavia、Jugoslavija)を「南斯拉夫」Nan(2)si(1)la(1)fu(1)、
Южно-Сахалинск(Yuzhno-Sakhalinsk)を「南薩哈林斯克」Nan(2)sa(4)ha(1)lin(2)si(1)ke(4)と呼び、
юго-(yugo-)もюжно-(yuzhno-)も「南」nan(2)に統一しています。これは意味を取るというところではいいのですが、
Южно-Сахалинскの場合、Южно-が形容詞起源ですから
「南」nan(2)をより形容詞的な「南方的」Nan(2)fang(1)de(0)にして、
「南方的薩哈林斯克」とでもすれば原語に近かったと想います。



數字と單位の言い方

高駒麗人KOMAj (2004/04/11 08:59)

Maniac C.さんへ

10リットルは1deca-litreでしょうが、これは、deca-litreを單位として單數扱いした事になり、10 litres(10 litres)では「1リットル×10」「10個の複數のリットル」で、ten-litreを1つの單位とすると1ten-litreですね。
10,100,100を現す單位接頭語がten,hundrend,thousandでなくてdeca,hecto-,kiloなのは「1リットル×10(單位は複數)」と「1リットルの10杯の單位1つ(單位は單數形)」を區別する為でしょう。ですが複數のs等も省いてしまえばその區別も不要です。
シナ語でkilogrammeが「公斤」gong(1)jin(1)または「千克」qian(1)ke(4)(=1000grammes)、kilowattが「千瓦」qian(1)wa(3)(=1000watts)である事を見てそう想いました。

>シナ語の“三分之一”san-fen-zhi-yiや朝鮮語の「삼분의일」sam-bun-eui-ilの方が「3つに分けた内の1つ」として、わかり易い表現です。
→それは身贔屓と言うものではないでしょうか。私にとっては、洋の東西それぞれ、
わかり易い表現です。
私にとってはthirdを3分の1にするのはわかり難いです。



ジョヴォヴィチ&ユーゴ

Maniac C. (2004/04/11 06:07)

>にれのや師匠
>IPA だと ['dろouv@,vIt∫] かな。→Oui, c ça.
>Йовович は Йов+ович
→なるほど。Йовов + ич ではなかったのですね。
サタンに試される人、ヨブに由来するのですか。Merci bcp.

■お礼に。下記PDFに拠りますと、「ユーゴスラヴィア」という名を冠した最初の組織
である「ユーゴスラヴィア科学芸術アカデミー」を創設(1860年)したのは、ドイツ系
オーストアリア人を曾祖父にもつクロアチア人・ヨシプ=ユーライ=シュトロスマイエル
(1815-1905年)だそうです。
http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/JNL/25/zaiki.pdf



ユーゴスラヴィアについて

にれのや (2004/04/11 04:47)

〓松茸さん、ありがとう。とても、面白いですね。
南スラヴ人が Peoples で、ユーゴスラヴ人が a People というのは、参考になる指摘です。
〓でも、やはり、Yugoslav が単一民族の概念であるとしても、だからといって、yug + slav と名詞を並べて合成語を作るのは、文法的におかしい。つまり、「南」 と 「スラヴ」 が並列関係の合成語になってしまう。ここの種明かしをしてくれる、つまり、Yuzhnoslav でなく、わざわざ Yugoslav と決めたのは、
   誰で、なぜなのか、
を解明してくれると、ありがたいなと……
〓このページを読んでいると、ユーゴスラヴィアの歴史を、いちど、きちんと勉強したくなりましたね。どうも、このあたりの言語について知るには、先に歴史を知る必要があるらしいですね。



re:ユーゴスラヴィアという国名の謎について

松茸 (2004/04/11 03:58)

 こういうページがありましたので、ご参考までに:
http://www.h3.dion.ne.jp/~jtpage/cy/yugo-art/illyria.htm



ユーゴスラヴィアという国名の謎について

にれのや (2004/04/11 02:44)

【ユーゴスラヴィアという名前の成り立ち】
〓今、「南スラヴ人」 という文字をさんざん書いたあとで、ふと、気がついたのです。以前、KOMAさんが、【ユジノ=サハリンスク (南のサハリンの町) は、Южно-Сахалинск [ユじナサは'リンスク] と、形容詞の южный ['ユーじヌイ] を使っているのに、ユーゴスラヴィア (南のスラヴ人の国) は、Югославия [ユガス'らーヴィヤ] と、名詞の юг ['ユーク] を使うのか?】という疑問を呈していたと記憶しております。実は、わたしにも、これはずっと疑問でした。で、今、さんざん、「南スラヴ人」 と書いていて気がついたのです。
〓「ユーゴスラヴィア」 というのは、スロヴェニア人、セルビア=クロアチア人(モンテネグロ人も含む)、マケドニア人、アルバニア人(非スラヴ人) の居住地域を統一したツギハギ国家だったわけですが、アルバニア人を除いて、「南方のスラヴ人」 という枠組みは持っていたわけです。言語もそれほど差があるわけではない。1929年に、この国は、「ユーゴスラヴィア」 (セルビア Jугославиjа/クロアチア jugoslavija) という名前を名乗るわけです。
〓ところが、この名前は文法的におかしい。破格なんです。「南の+スラヴ人の国」 であれば、第1成分は、形容詞の語幹から作られた Jужно- (露 Южно-) でなければならない。つまり、Jужнославиjа (露 Южнославия) でなければならない。それを、わざわざ、文法的に誤りである、名詞 jуг (露 юг) の語幹 jуго- を使って、Jугославиjа としたのは、なぜなのか、というのが、疑問の趣旨でありました。
〓そこで、答えです。わたしが、古代・中世の歴史的視点で、「南スラヴ人」 と書く場合、それは、バルカン半島に南下して勢力を広げていたスラヴ人を総称しています。しかし、「ユーゴスラヴィア」 という近世に成立した国家は、「南スラヴ人」 のれっきとした一員であるブルガリア人を含んでいなかった。つまり、ユーゴスラヴィアが、「南スラヴ人の国」 と名乗るのは詐称になるわけです。それで、文法的に意味の通らない、また 「南の国でスラヴ人の国」 と曲解できないこともない妙な国名を創作したのではないか、と、そのように推測したのですけど。ユーゴスラヴィアの歴史の本などを参照しても、その国名の妙については、触れていないですねえ。どこかで、それについての記述をみたことがありますか?



ミラ・ジョヴォヴィッチの発音

にれのや (2004/04/11 00:16)

〓オーチン・シエシエ。Maniac C.!
IPA だと ['dろouv@,vIt∫] かな。ヨゥヴォゥヴィチと読むのは、日本で言えば、ソクラテスをソークラテースと言うような人々ではないでしょうか。(わあしは、書くときは、ソークラテースですけど)。
〓Йовович は Йов+ович です。Йов は 「ヨブ」 です。-v というのは、例によって、ビザンツ時代のギリシャ語内部での、βの音の変化 [b]→[v] の結果です。-ович を使い始めたのは、南スラヴの方が先です。ものの本によると、「ブルガール人から取り入れた」 とされています。しかし、この一文の意味するところが、「父称の習慣を取り入れた」 のか 「-ович という接尾辞を取り入れた」 のか、不明瞭なのでありまして……
〓もともと、南スラヴのスラヴ人、つまり、今のブルガリア人、セルビア人、マケドニア人などが使っていた父称が、北のスラヴ人にも使われるようになり、
   ポーランド、ウクライナ、ベラルーシ=姓
   ロシア=父称
と地域により、用途が分かれました。南スラヴでは、「姓」 に用いられるようです。
〓ブルガリアでは、-ович、セルビアでは、-овиh{+-} (h の縦棒の上部にチェックを入れたような文字)、クロアチアでは、-ovic{+´} となります。



ヂョウヴァヴィチ

Maniac C. (2004/04/10 22:40)

>にれのや師匠
音声付のインタヴューをDLできるサイト(下記URL)を見つけました。
Quick Time はお有りですか? ここではインタヴュアは首記のように発音していました。
やっぱり普通には J=Дж なのでしょうね。J=Й と読めるのは教養層になるのでしょう。

ところで、ヤヴォーフと言うのは、他の国の言葉で言うと、何と言う名前に当たるのですか?
http://filmforce.ign.com/residentevil/articles/355/355331p1.html



ヨウヴォウヴィチ?

にれのや (2004/04/10 03:37)

〓Xiexie, Maniac C. ふうん、Jovovich を 「ヨウヴォウヴィチ」と読むとは、少々むちゃなような気もしますね。芸能ニュースのようなものでも、そのように発音しているんでしょうか?
〓ロシアでは、Мила Йовович という「本名」の他に、英語式の表記があって、それが、
   Милла Джовович
になっているんですが……



言海

佐藤和美 (2004/04/09 20:42)

大槻文彦の『言海』がちくま学芸文庫から発行されました。
このさいだから、本棚に一冊置いときましょう。



ミラ・ジョヴォヴィッチという名前の英語での発音について

Maniac C. (2004/04/09 07:20)

>にれのや師匠
>Milla Natasha Jovovich [英語の発音は?]
>英語での発音を確認した方は教えてください。
→英語のHPを検索したところ、
“mee-luh (like Sheila) yo-vo-vitch”
“MEE-la YO-vo-vitch”
と有りましたので、「ミーら ヨウヴォウヴィチ」と読むのが正しいようです。
ただ、“Joe-vov-vich [correcting the pronunciation]”とするHPも有り、
ヂョウヴォヴィチ」と誤読する人もいることが判ります。
Natasha は、標準的には [n@tα:∫@] と発音されます。



ミラ・ジョヴォヴィッチという名前について 1

にれのや (2004/04/09 01:26)

【ミラ・ジョヴォヴィッチもウクライナ人】
〓ちょいと思い出した。ミラ・ジョヴォヴィッチもウクライナ出身だった。出自関係をロシアのエンジンの他、Google などでも調べたが、そのデタラメぶりに驚いた。何がデタラメって、ロシア語・ウクライナ語ほか、スラヴ語の特徴がわかっていれば、ヘソの茶が沸騰しそうな間違いが多いのである。たとえば、父親の名前を
   Bogdanovich Jovovich ボグダノヴィチ・ジョヴォヴィチ
としているページが10件あった。これは、何を間違えたかというと、ミラ・ジョヴォヴィッチの 「父称」 を、そのまま、「父親の名前」 と勘違いしたのである。正しくは、-ovich を取り去って、Bogdan 「ボグダン」 が 「父親の名前」 である。彼は、英語圏では、Bogie ['ボギ-] 「ボギー」 と名乗っているらしい。そこから来たスゴイ間違いもある。
   Bogic{+´} Jovovic{+´} ボギッチ・ジョヴォヴィチ
が父親の名前なのだという。なまじっか、語尾にセルビア・クロアチア式の綴りを持ってきているだけに、迫真のウソである。
〓ミラ・ジョヴォヴィッチの父親は、ユーゴスラヴィア出身のモンテネグロ人小児科医で、ロンドンにクリニックを開いていた 「ボグダン・ヨヴォヴィチ」 である。セルビア語の綴りは、おそらく、
   Богдан Jововиh{+-} ボグダン・ヨヴォヴィチ
であろう。アクセント等はよくわからない。彼の名前は、ロシア語・ウクライナ語では、
   Богдан Йовович
   [ボフ'ダヌ・ヨ'ヴォーヴィち] 「ボフダン・ヨヴォーヴィチ」 ウクライナ音
   [バグ'ダヌ・ヤ'ヴォーヴィち] 「ボグダン・ヨヴォーヴィチ」 ロシア音
となる。



ミラ・ジョヴォヴィッチという名前について 2

にれのや (2004/04/09 01:25)

〓母親は、ウクライナ人(あるいはロシア人)女優 ガリーナ・ローギノヴァである。写真は↓をどうぞ。
http://actors.khv.ru/l/loginovag.htm
1950年、ウクライナ、ドニエプロペトロフスク生まれ。(ソ連時代の人物について、生まれた場所で、ロシア人かウクライナ人かを論じるのは、あまり、意味がない。ロシア語とウクライナ語は、日本語の東京弁と関西弁のような関係であり、ウクライナに生まれてもロシア語しか話さない人々もいたし、ウクライナ語で育っても、中央に行ってしまえば、ロシア語しか話さなくなる、ということも当然あった。俳優・女優という職業ならば、なおさら、仕事はロシア語が主流になる。もちろん、ウクライナ映画というものもあったが……)。彼女の名前は、
   【ロシア語では】
   Галина Логинова
   [ガ'りーナ・'ろーギナヴァ] 「ガリーナ・ローギノヴァ」
   【ウクライナ語では】
   Галiна Логiнова
   [ハ'りーナ・'ろーヒノヴァ] 「ハリーナ・ローヒノヴァ」
〓ところで、ミラ・ジョヴォヴィッチですが、1975年12月19日、キエフ生まれ。生まれて5年間をソ連邦で暮らす。のちに父親がクリニックを開いていたロンドンに渡り、その後、1980年、家族そろって、米国サクラメントに移住。英語での、彼女のフルネームは、
   Milla Natasha Jovovich [英語の発音は?]
英語での発音を確認した方は教えてください。彼女の生まれたときの名前は、
   【ロシア語では】
   Мила Богдановна Йовович
   ['ミーら・バグ'ダーナヴナ・ヤ'ヴォーヴィち]
   「ミーラ・ボグダーノヴナ・ヨヴォーヴィチ」
   【ウクライナ語では】
   Мiла Богданiвна Йовович
   ['ミーら・ボフ'ダーニウナ・ヨ'ヴォーヴィち]
   「ミーラ・ボフダーニウナ・ヨヴォーヴィチ」
です。父称は除いて、これを英綴にすると、
   Mila Jovovich
となるはずですが、Mila には l が1つ多く綴られて、Milla になっています。これは、おそらく、Mila を ['マイら] と読まれることをおそれて、Milla にしたものではないかと思います。
 また、ミドル・ネームの Natasha ナターシャは、渡米してから加えたものだと思います。というのは、ロシア人で、名前を2つ持っている人は、まず、いないからです。わたし自身、個人的にも、著名人でも、名前を2つ持っている人の例を知りません。名付けのガイドブックのようなものに、二重名の例があったので、皆無ではないと思いますが、そのガイドブックでも二重名は薦めていませんでした。
 英語圏においては、実質的に、ミドル・ネームの頭文字が、同姓同名を区別する働きをしていますが、ロシア語圏においては、「父称」 がその機能を持っているので、ミドル・ネームの必要性がないのだと思います。
 Natasha ナターシャは、露綴 Наташа で、Наталья, Наталия [ナ'ターりヤ] 「ナターリヤ」 の愛称です。Sasha サーシャもそうですが、「ロシア人は、アメリカ人のように、本名に愛称形を使うこと」 はしません。本名用の正式形と、普段用の愛称形を、はっきりと使い分けます。
〓以上、ミラ・ジョヴォヴィッチについて、いろいろ、でした。



白文2

ななし (2004/04/08 11:10)

宇都宮 啓吾 「咲」字と「サク」訓との対応関係の定着について
   ―『万葉集』訓読との関わり―
     単著 平成10.3   大谷女子大国文第27号    大谷女子大学

こちらは、個別の文字(語彙)に対してのものですので、万葉集研究でも、こういう使い方をする人はいます。



白文

ななし (2004/04/08 11:08)

>佐々木信綱氏と岩波文庫が≪萬葉集≫の原文を“白文”とすることの“当否”について“逃避”せずにお答え下さい。

白文と訓読とどう関係があるのか分かりません。漢文に限らず万葉でも解釈が加えられていない原文という意味で白文という言葉はよく使われます。

>大阪大学(osaka-u.ac.jp)の『西本願寺本『万葉集』を底本にして校訂を加えた原文と、独自の訓読を施した訓読文、訓読文をもとにした・・・』という表現の当否について御意見を御聞かせください。

一般的ではないと思います。

>ななしさんは「訓読文」の三文字を「くんよみぶん」と言うのでしょうか。

言いません。



ななしさん

偽中国人 (2004/04/08 04:10)

“ななし”さん
佐々木信綱氏と岩波文庫が≪萬葉集≫の原文を“白文”とすることの“当否”について“逃避”せずにお答え下さい。

577-581 白文 萬葉集 上巻 佐々木信綱編 昭和5.3.10

宇都宮 啓吾 ―『万葉集』訓読との関わり―

大阪大学(osaka-u.ac.jp)の『西本願寺本『万葉集』を底本にして校訂を加えた原文と、独自の訓読を施した訓読文、訓読文をもとにした・・・』という表現の当否について御意見を御聞かせください。

ななしさんは「訓読文」の三文字を「くんよみぶん」と言うのでしょうか。



訂正: サーシャ・コーエンという名前から

にれのや (2004/04/07 13:52)

【訂正:サーシャ・コーエンの母親の名前】
〓サーシャ・コーエンの母親、ガリーナ・コーエンのロシア語名の父称を 「男性形」 にしていました。お恥ずかしい。下が正しい。
   Галина Львовна Коган
   Galina L'vovna Kogan
   [ガ'りーナ・り'ヴォーヴナ・'コーガヌ]
   ガリーナ・リヴォーヴナ・コーガン
ことのついでに、ウクライナ語のフルネームを
   Галiна Львiвна Коган
   Halina L'vivna Kohan
   [ハ'りーナ・り'ヴィーウナ・'コーハヌ]
   ハリーナ・リヴィーウナ・コーハン
さらにことのついでですが、サーシャ・コーエンの本名は、そのまま、ロシア語に置き換えられる名前を選んでいる、というところをお見せします。
   Alexandra Pauline Cohen
   Александра Павлина Коган
   [アりぇク'サンドラ・パヴ'りーナ・'コーガヌ]
   アレクサンドラ・パヴリーナ・コーガン
サーシャ・コーエンは、ロシア語を理解することができるそうです。



ハブ

はちこう (2004/04/07 12:59)

はちこうです。話題提供します。

イーサネットやUSBの「ハブ」って、どういうアクセントで読みますか?
私の周辺では(私も含めて)、「ハ↓ブ↑」と、「ブ」にアクセントをおいて読んでいます。
ただし「イーサネットハブ」とつながった時には、「ハ↑ブ↓」と、「ハ」にアクセントがあります。
原語の"hub"を考えると「ブ」にアクセントをおくのは変だよな、と思いつつも、単独の時には「ハ↓ブ↑」と読んでしまいます。
なんとなく、ヘビの「はぶ」と区別したくて「ハ↓ブ↑」と読んでいるような気がします。

最近のニュースではトラックのタイヤを止める「ハブ」がよく話題になっていますが、これも私は「ハ↓ブ↑」と読みます。
でも、NHKのニュースアナウンサーは「ハ↑ブ↓」と読んでいました。

どちらが正しいとか正しくないとかいうことはないだろうと思いますが、みなさんはどのように読みますか?



訓2

ななし (2004/04/07 12:16)

偽中国人さんご紹介のHPの中で、今の話題と関係あるのは山口大学のもの、京都大学電子図書館のもの、角川書店のものの3つだと思います。角川のものは出版社の方が勘違いされたとしても、山口大学の方の者はどうしてこんな使い方をされているのか不思議です。勘違いではないのでしょうか。

これだけでは、用例が少ないので、興味があれば、更に用例を探されてみてはどうですか。





ななし (2004/04/07 12:10)

万葉集の場合でも、個別の漢字(或いは漢語語彙)にどのような日本語が当てられているか、というレベルではもちろん訓読という言葉は使う人もいます(この場合もクンヨミではなく、クンドクと読む人もいます)。しかし話題になっていたのは歌一首の解釈という意味です。そういう場合にはやはり殆んど使いません。



catty,catties

偽中国人 (2004/04/07 03:48)

重量単位“catty”の語源について教えてください。

For 100 duck eggs, take 21/2 catties [one catty equals about 600 g] of lime, ・・・・
http://www.unu.edu/unupress/food/8F032e/8F032E03.htm



「咲」字の「サク」訓

偽中国人 (2004/04/07 03:26)

以前に“笑”の古字“咲”が話題に上りましたが、

次の論文の概要を誰殿(どなた)かご紹介下されば幸甚に存知ます。

宇都宮 啓吾 「咲」字と「サク」訓との対応関係の定着について
   ―『万葉集』訓読との関わり―
     単著 平成10.3   大谷女子大国文第27号    大谷女子大学
http://www.ohtani-w.ac.jp/daigaku/kyouin_list/BUNKAZAI/UTUNOMK/utunomk.html



>ななしさん

偽中国人 (2004/04/07 03:12)

“ななし”さんが何故次のHPを見つけることができなかったのか不思議です。
「白文」という言葉は御存知でしょうか?
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%C7%F2%CA%B8&kind=jn&mode=0&base=1&row=1
岩波文庫
577-581 白文 萬葉集 上巻 佐々木信綱編 昭和5.3.10
582-585 白文 萬葉集 下巻 佐々木信綱編 昭和5.4.15
http://www.ne.jp/asahi/gc/f-13th/menu/10/

『万葉集の伝本は訓読の歴史の順、つまり加点の順に古点本、次点本、新点本と分類される。』
http://ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/tenjikai/doc/tjtx060.htm

「加点」という言葉の意味は御存知ですか。
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%B2%C3%C5%C0&kind=&mode=0&jn.x=35&jn.y=11

「訓点」というのも御存知でしょうね。
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%B7%B1%C5%C0&kind=jn&mode=0&jn.x=34&jn.y=7

従七位文学士 渡辺又次郎、歌学所主幹 渡辺光風 共著≪小倉百人一首通解≫(明治38年、井上一書堂発行)
『清原元輔は、・・・天暦年中和歌所の寄人となり、万葉集に訓点を施し、世の耳目を驚かせり・・・』
http://www.konan-wu.ac.jp/~kikuchi/waka/1001.html

『万葉集の「物念」の訓読については、従来「モノオモフ」と訓む場合と「モノモフ」と訓む場合とが・・・』
http://www.manyou.gr.jp/SMAN_2/show_record.cgi?record=735

『1878(明治 11)  福音書「新約聖書四福音書(◎)」、使徒言行録、ブリッジマン、カルバートソンが、中国語聖書に訓点を付け発刊』
http://members.aol.com/kuni2sato/matuwaru/24.html

訓読は、現在の諸注釈書で行われている訓読を基礎として、・・・・
http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/AnoMany.editorial.html

■ 西本願寺本『万葉集』を底本にして校訂を加えた原文と、独自の訓読を施した訓読文、訓読文をもとにした仮名書き文。
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/jal_ftp2.htm

【出版社コメント】
西本願寺本を底本に、従来の研究成果をふまえつつ、最新の学説を盛り込んだ訓読と詳註を施す。
http://product.esbooks.co.jp/product/u/01/01?accd=03159996&introd_id=Xmo46Wk2oo6i949Wi819i5XA62G53k68&pg_from=u



サーシャ・コーエンという名前から 1

にれのや (2004/04/07 02:46)

【サーシャ・コーエンの母親はウクライナ人という言説について】
〓先立っての 「フィギュアスケート世界選手権」 は、フジTVが地上波でも放送するという腰の入れようで、日本女子フィギュアスケートの盛り上がりを感じましたぁ。1位=荒川静香。2位=サーシャ・コーエン。3位=ミッシェル・クワン。安藤美姫(みき)ちゃんはチョイ惜しい4位。
〓女子フィギュアスケートの中継を見てますとね、NHKでもそうなんですが、サーシャ・コーエン (Sasha Cohen) のときに、必ず、アナウンサーが言うんです。
   サーシャ・コーエンのお母さんはウクライナから移住してきて……云々
というやつです。あんまり、言うんでちょっと調べてみました。
〓【サーシャ・コーエン】Sasha Cohen。本名は、Alexandra Pauline Cohen アレグザンドラ・ポーリーヌ・コーエン。サーシャ (Sasha) は、言わずと知れた、Alexandra (Александра [アりぇク'サンドラ]) のロシア語・ウクライナ語での愛称です。ロシア語では、Саша Коэн ['サーしゃ 'コーエヌ] と書かれています。
〓父親は Roger Cohen ロジャー・コーエン。ユダヤ系のアメリカ人。母親は Galina Cohen ガリーナ・コーエン。ユダヤ系ウクライナ人。16歳のときに家族揃ってアメリカに移住したそうです。そうなんです。サーシャの両親は、どちらもコーエン姓なのでした。
〓ロシアの検索エンジンで調べると、母親のガリーナ・コーエンのロシア語名がわかります。フルネームで
   Галина Львович Коган
   Galina L'vovich Kogan
   [ガ'りーナ・り'ヴォーヴィち・'コーガヌ]
   ガリーナ・リヴォーヴィチ・コーガン
です。父親の名前は Лев [りぇフ] 「レフ」 で、スターリン時代の体操選手だそうです。
〓ここで、ふと気になるのが、ロシア語で 「コーガン」 となっているものが、英語圏で Cohen 「コーエン」 になるということです。しかし、彼女は、オデッサ生まれのウクライナ人なので、このデータを修正しなければなりません。これは、しばしばあることですが、ウクライナ、ベラルーシなどの情報は、ロシア語経由で外国に伝えられるのですね。ウクライナ語にすると、
   Галiна Коган
   Halina Kohan
   [ハ'りーナ・'コーハヌ]
   ハリーナ・コーハン
となります。ウクライナ語では、г の発音が [γ]、つまり、х [x] の有声音になります。
〓ここで、ユダヤ人の 「コーエン」 姓の由来の話になります。この姓は、ヘブライ語の k-h-n にさかのぼります。古典ヘブライ語音は [ko:he:n コーヘーヌ]、現代ヘブライ語音は [kohen コヘヌ]、現在の標準イディッシュ音は [koien コイエヌ] です。コヘンは、本来、姓ではなく、「祭司」 という階級名でした。ユダヤ人の間では、コヘンは、モーゼの兄アロンから代々引き継がれた、世襲的な階級と考えられていました。
〓かつて、世界でいちばんユダヤ人口の多かったポーランド・ウクライナ地域のユダヤ人、アシュケナージの母語はイディッシュでした。19世紀末のロシアの国勢調査では、ユダヤ人の97%の母語はイディッシュでした。コヘンのイディッシュ音は 「コイエン」 ですが、これは、「正しい」 ドイツ語に 「直す」 と [ko:en コーエヌ] です。ドイツ語の [o:] がイディッシュでは [oi] になって現れるからです。つまり、イディッシュの 「コイエン」 というのは、kohen という綴りをドイツ語読みしたものであることがわかります。英語圏で Cohen が ['kou@n] (@=シュワ) と発音されるのも、イディッシュ音に起因すると考えられます。
〓話は Коган コーハンに戻りますが、では、なぜ、綴りに г [γ] が入っているのかという点が問題になります。これは、アシュケナージの言語環境とイディッシュの綴りが関係すると考えられます。アシュケナージの女性と子供はイディッシュしか話せませんが、成人男性は、イディッシュを母語とし、書き言葉としての聖典の言葉ヘブライ語を学ばされ、かつ、商売のために周囲の民族の言語 (ポーランド語、ウクライナ語、ロシア語) などを学びます。つまり、ヘブライ語の知識はあるわけです。また、イディッシュは、ヘブライ文字を使って表音的に(母音も表記する)書かれますが、ヘブライ語・アラム語に由来する語彙だけは、原綴そのままで表記します(母音も表記しません)。つまり、「コイエン」 は、k-h-n と書かれるわけで、発音されない h の存在が常に意識されます。



サーシャ・コーエンという名前から 2

にれのや (2004/04/07 02:45)

〓このようなわけで、Koien姓のユダヤ人は、自分の姓をウクライナ語あるいはポーランド語で表記する必要に迫られたときに、h に対して г を復活させたのだと考えられます。なぜ、h に х を使わなかったか、というと、イディッシュには h の他に kh 音 [x] があるからです。kh―х、h―г という転写体系が成立していたわけです。では、なぜ、Коген ではなく、Коган なのか? これは、第2音節の -e- の発音が曖昧であったうえに、先に述べたように、綴りに母音が書かれないせいであろうと思われます。実は、ユダヤ系の姓には Коген ['コーヘヌ] もあるのです。
〓ここで、ロシア・ウクライナの kohen に由来するユダヤ系の姓をさらってみました。発音はロシア語。ウクライナ語でのアクセントの位置は保証できないので。
【カガン系】
この系統の第1音節が、なぜ -а- なのかは判然としません。Коган ['コーハヌ/'コーガヌ] のアクセントが後ろに移って、「アーカニエ」 を起こしたとも考えられます。
◆Каган [カ'ガヌ] 「カガン」
◆Каганер [カ'ガーニェル‖カガ'ニェール] 「カガーネル、カガネール」 -er は、ドイツ語の接尾辞 -er だろうか。アクセント2通り。
◆Каганов [カ'ガーナフ] 「カガーノフ」 -ов を付けてロシア化。
◆Каганович [カガ'ノーヴィち] 「カガノーヴィチ」 -ович を付けてポーランド化、ウクライナ化。
◆Каганский [カ'ガンスキイ] 「カガンスキイ」 -ский を付けてポーランド化、ウクライナ化。
◆Кагановский [カガ'ノーフスキイ] 「カガノーフスキイ」 -овский を付けてポーランド化、ウクライナ化。
【コガン系】
◆Коган ['コーガヌ] 「コーガン」。
◆Коганов ['コーガナフ] 「コーガノフ」 -ов を付けてロシア化。
◆Коганович [カガ'ノーヴィち] 「コガノーヴィチ」 -ович を付けてポーランド化、ウクライナ化。ロシア語では、上記の Каганович と発音がまったく同じ。
◆Коганский [カ'ガンスキイ] 「カガンスキイ」 -ский をつけてポーランド化、ウクライナ化。上記、Каганский と同音。
◆Когановский [カガ'ノーフスキイ] 「コガノーフスキイ」 -овский を付けてポーランド化、ウクライナ化。上記、Кагановский と同音。
◆Коганзон [アクセント位置不明] 「コガンゾン」 -зон は、ドイツ語の -sohn であろう。(Cf. Mendelssohn)
【コゲン系】意外と少ない。
◆Коген ['コーギェヌ] 「コーゲン」。
【カプラン系】kohen をドイツ語の Kaplan に訳した姓。
◆Каплан [カプ'らヌ] 「カプラン」。
◆Капланов [カプ'らーナフ] 「カプラーノフ」 -ов でロシア化。
◆Капланский [カプ'らンスキイ] 「カプランスキイ」 -ский でポーランド化、ウクライナ化。
◆Каплановский [カプら'ノーフスキイ] 「カプラノーフスキイ」 -овский でポーランド化、ウクライナ化。
〓以上、コーエンについて、調べたこと、いろいろでした。



re:瓦斯のシナ語譯

きしろふ (2004/04/06 23:39)

>高駒麗人KOMAさん
色々と表現があるんですね。勉強になりました。


関係ないですが、今日は「召使が作ったイタリア料理のスープ」を食べ(飲み?)ました。(えっ、みなさん知っているあれですよ)



RE: 平均律

クランケ (2004/04/06 03:35)

やっと気がつきました(遅い!)

>■Wohltemperiert は、「12の鍵盤が等しく良く演奏できるように調律された」
>の意味らしいです。バッハは「うまく調律された鍵盤楽器の為に」と題して、
>それぞれの調の音律の違いがもたらす曲調の違いを際立たせるために作曲した、
>とも言われているようです。

私はこの「うまく」のニュアンスがよくわからなくて誤解していたのですが、「巧みに(考案された)」と考えれば良いわけですね。



Res: родно とは (еще раз!)

Maniac C. (2004/04/06 02:22)

>にれのや師匠
何度も済みませんでした。もうこれ以上の質問はござんせん。
有り難う存じました。



Res: 數の數え方

Maniac C. (2004/04/06 02:19)

>高駒麗人KOMAさん
>>ten litreでは10リットル(10litres,1 deca litre)になります。
>→ 1 decalitre = 1 ten-litre なのでは?
>それとも、“KOMA単位系”では、10 litres = ten litre??
→ハイフネイションや単複表示についての質問だったのですが、ご理解いただけ
なかったようで……。

>thirtyは3×10=30で、thirteenは3+10=13だそうですが、three tenを30と決めれば覺えるのは難しくありません。
→決めれば、ですか。理論と現実は別物ですよ。世の中の人が全て高駒麗人KOMAさん
のように優秀な人ばかりであれば良いのですがね。*タメイキ*
確かに、ゴート語や古期ノルド語の時代には、three tens に当たる言い方(-ty は、
ten の複数形が変化した形です)をしていました。しかし、それは5-6世紀の頃の話、
日本で言えば、聖徳太子の時代のお話です。日本語で、「覚えるのは難しくないから、
これから33はミソマリミツと言うことに決める」と小泉さんが言ったとして、世間の
人たちが従うと、本気で思われますか?

>thirtyとthirteenは發音が似ていて區別しにくいです。
→強勢を抜きにすれば、両者の違いは語末にnが有るか無いかのように思われるで
しょうが、nは聞こえにくいので、あまり辨別の役には立っていません。両者の違い
は、thirty と前に強勢を置いて発音されるか、thirteen と後ろに強勢を置いて発音
されるか、に在ります。(被修飾語の強勢位置によって変化することも有りますが。)

>あと、1/3(3分の1)をone thirdと言うのは「三番目」と間違えます。
→「三番目」は the third ですから、1/3 とは間違えません。

>此處は英語の缺點と考えて、それを補う為に、“one per three”のように言い換えるとわかりやすいでしょう。
→欠点でも何でもありません。高駒麗人KOMAさんが誤解なさっているだけではないか
と思われます。
■per は、本来語の by に当たる外来表現で、「〜に就き」「〜を単位として」の
意味ですから、“one per three”は、「3つに就き1つ」「3つごとに1つずつ」の
意味となってしまい、1/3の意味は表せないと思います。
■どうしてもそのような言い方をなさりたいのならば、大きな数のときに使う、非常
に形式ばった表現ですが、one over[upon] three と言うことは出来ます。a third の
方が、遥かに簡単な言い方だと思いますが。

>シナ語の“三分之一”san-fen-zhi-yiや朝鮮語の「삼분의일」sam-bun-eui-ilの方が「3つに分けた内の1つ」として、わかり易い表現です。
→それは身贔屓と言うものではないでしょうか。私にとっては、洋の東西それぞれ、
わかり易い表現です。



родно とは (еще раз!)

にれのや (2004/04/05 22:51)

〓Maniac C.さま。またも説明が不足で申し訳ありゃんせん。
同文法書では、「格」 を паденiе [パデーニエ、か] 「落ちること」 と呼んでいます。ギリシャ語の文法用語 πτω{+〜}σιs の直訳だそうです。この 「パデーニエ」 が中性名詞であることから、格の呼称はすべて中性形を取っています。現代ロシア語の родной [ラド'ノーイ] 「血縁の」 に対応するスラヴ語の中性形だと思います。(教会スラヴ語の辞書がないので)。形容詞の名詞的用法ですね。現代ロシア語の родительный [ラ'ヂーチェりヌイ] 「親の、先祖の」 は、同義ではありませんが、類似の形容詞をひねり出したものでしょうね。



數の數え方

高駒麗人KOMA (2004/04/05 16:06)

Maniac C.さんへ

>ten litreでは10リットル(10litres,1 deca litre)になります。
→ 1 decalitre = 1 ten-litre なのでは?

そうです。

>それとも、“KOMA単位系”では、10 litres = ten litre??

そうです。

> 多分、2 ten-litres, 3 ten-litres, …という言い方は外国人(特に、純粋な10進法の体系を持つ外国人)のウケは良くても、英語圏の人には受け入れられないでしょうね。何故なら、one ten, two ten, three ten, …とすると強勢が2箇所になってしまいますが、ten, twenty, thirty, …なら強勢が1箇所で言いやすいからです。

thirtyは3×10=30で、thirteenは3+10=13だそうですが、three tenを30と決めれば覺えるのは難しくありません。
thirtyとthirteenは發音が似ていて區別しにくいです。
あと、1/3(3分の1)をone thirdと言うのは「三番目」と間違えます。
此處は英語の缺點と考えて、それを補う為に、“one per three”のように言い換えるとわかりやすいでしょう。
シナ語の“三分之一”san-fen-zhi-yiや朝鮮語の「삼분의일」sam-bun-eui-ilの方が「3つに分けた内の1つ」として、わかり易い表現です。


はちこうさんへ

>、「ら抜き言葉」は、多義な言葉を避けて意味が伝わりやすくするための「進化」のような気がします。
同感です。



Re: kilo & 1000

はちこう (2004/04/05 15:48)

>■1875年3月に開催された「メートル法制定のための外交官会議」に参加した国は、
> アメリカ、アルゼンチン、イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、
> スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、トルコ、ノルウェー、ハン
> ガリー、ブラジル、フランス、ベネズエラ、ペルー、ベルギー、ポルトガル、ロシア
> の22ヶ国です。

そうすると、その会議では、3桁以外の位取りを使っている言葉があるとは誰も思わなかったかもしれませんね。

それにしても、中国で位取りの言葉が混乱しまくったのは、不幸な歴史ですね。
数学的な論理的思考に長けた人も古い昔から数多くいるのに、なんでそうなっちゃったんでしょうね。
(私にとって「中国人剰余定理」の印象が強烈なだけか? ^o^;; )

>言語 はただ伝統を大切にすれば良いものではない。

という言葉にいたく共感しました。
話題は位取りから変わってしまいますが、「ら抜き言葉」は、多義な言葉を避けて意味が伝わりやすくするための「進化」のような気がします。
このような進化は積極的に許容すべきではないかと、先の投稿の文章を読んで思いました。



RE: 平均律

クランケ (2004/04/05 05:18)

「平均律」という邦訳語に関してのわたしの愚問に答えてくださった皆さまへ。
どうも有難うございました。

大変参考になりましたが、訳語としてはいまいち引っかかる部分があります。
「よく調律された」とは調律技術の「巧拙」を表しているように感じます。、
それともこの場合の「良い」は、バッハの時代に存在した複数の調律法の中から
「或る一つ」が「良いのだ」というバッハの主張?があるのでしょうか。

すみません、ドイツ語がよくわからないので見当違いの発言だったらご容赦!



Res: родно とは

Maniac C. (2004/04/05 04:11)

>にれのや師匠
なるほど。教会スラヴ語でしたか。道理で、検索に引っ掛からないわけですね。
родно というのは、主格名詞のように見えますが、形容詞なのでしょうか。
それと、現代露語ではそのまゝ родительный に対応するのでしょうか。
お手数ですが、またまたお願い致します。



decilitre

Maniac C. (2004/04/05 04:09)

>高駒麗人KOMAさん
>deci-litreも…zero point one-litreとすれば…
→英語的には zero-point-one litres と小数を使うよりは、one-tenth litre と
(one tenth-litre か?)分数を使う方がウケが良いでしょうね。音節数も短くなり
ますし。でも、centilitre 以下になると、断然、メートル法の方が有利です。point-
nought-one litres, one-hundredth litre(one hudredth-litre?) と、音節・綴りを
極力減らす言い方をしても、one centilitre の方が音節・綴りとも経済的で、英語圏
以外でも通用します。そもそも小数にするのでは、接頭語の存在意義がなくなって
しまいます。まだ1*10^(-2) litres とした方が簡便です。

>ten litreでは10リットル(10litres,1 deca litre)になります。
→ 1 decalitre = 1 ten-litre なのでは? それとも、“KOMA単位系”では、
10 litres = ten litre?? 多分、2 ten-litres, 3 ten-litres, …という言い方は
外国人(特に、純粋な10進法の体系を持つ外国人)のウケは良くても、英語圏の人には
受け入れられないでしょうね。何故なら、one ten, two ten, three ten, …とすると
強勢が2箇所になってしまいますが、ten, twenty, thirty, …なら強勢が1箇所で
言いやすいからです。



родно とは

にれのや (2004/04/05 01:40)

〓Maniac C.さま。
ええ、前後を略してしまったのです。エクスキュゼニーチェ。
 あの文章は、15世紀の写本にさかのぼる教会スラヴ語の文法書についての解説の一部なのです。よって、родно というのは、現在の 「生格」 にあたる格の、当時の教会スラヴ語における用語です。
 ちなみに、当時のスラヴ語文法には 「造格」 がありません。聖なるギリシャ語の文法に、スラヴ語を無理やり当てはめたため、ギリシャ語になかった 「造格」 は無視されました。その一方では、スラヴ語に存在しない 「冠詞」 には言及しているそうです。(笑い)?



瓦斯のシナ語譯

高駒麗人KOMA (2004/04/05 01:13)

きしろふさん&ManiacCさんへ

>deci-litre(デシ・リットル)もdeciが0.1の意味ですから ten-litreとすれば2デシリットルは、2 deci-litres=2×0.1 litres=0.2 litres(0.2リットル)です。

→deci-litre(デシ・リットル)もdeciが0.1の意味ですから zero point one-litreとすれば2デシリットルは、2 deci-litres=2×0.1 litres=0.2 litres(0.2リットル)です。

ten litreでは10リットル(10litres,1 deca litre)になります。失礼しました。

gas→「瓦斯」は、シナ語で「瓦斯」wa(3)si(1)もありますが、普通は「气(氣)」qi(4)、「气体(氣體)」qi(4)ti(3)、「煤气」mei(2)qi(4)、「毒气」du(2)qi(4)、「气油」qi(4)you(2)です。暖房や料理用のガスは「煤气(煤氣)」です。



Re: kilo & 1000

Maniac C. (2004/04/04 18:44)

>高駒麗人KOMAさん
>ならば逆に3 kilo-metresを 3 thousand-metres と言うように kilo の代わりに thousandを使う方が簡單でしたね。…
>deci-litre(デシ・リットル)もdeciが0.1の意味ですから ten-litreとすれば…。
→「シナ語」的発想による御発言でしょうか??(笑)
■メートル法は仏国主導で推進されましたが、メートル法をつくるとき、どの民族や
国家も気持ち良く使えるものにしようと、単位や接頭語に仏語も英語も用いず、古典
語である希語や羅語から選んだのです。10倍・100倍・1000倍は希語由来、1/10倍・
1/100倍・1/1000倍は羅語由来、ときれいに揃っていますよね(それ以外は後の事情で
揃ってはいませんが)。
■1875年3月に開催された「メートル法制定のための外交官会議」に参加した国は、
アメリカ、アルゼンチン、イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、
スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、トルコ、ノルウェー、ハン
ガリー、ブラジル、フランス、ベネズエラ、ペルー、ベルギー、ポルトガル、ロシア
の22ヶ国です。それぞれの国での10や100を表す言葉がどれだけ違っているかは
ご存じだと思いますので具体例は控えますが、ここでギリシャを除く各国が「接頭語
にはオラが国の言葉を使った方が簡単で良い」なぞと主張したら、そもそも、国ごと
にバラバラな度量衡の単位を世界的に統一しよう、という趣旨の会議なのですから、
即座に「逝ってよし!」と言われてしまいますよ。(lol)
■ついでながら、揚げ足取りで、deci を ten で表すとしたら、deca は何で表すので
しょうか? deca を ten で表して deci を tenth で表すのなら解るのですが…。

>“兆” zhao(4)は数字としては億の1万倍ですが、メートル法の單位につけると100万倍の意味だそうで、面倒です。
→HP『無量大数の彼方へ』(下記URL)に、その辺りの事情が書いてありました。(以下引用)
http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/largenumber.html
■後漢の徐岳による『数術記遺』では、単位の関係は「下数」「中数」「上数」という
三方式があり、統一されていなかった。「下数」では、単位を10倍すると次の単位に
なる。「中数」では、単位を10の8乗倍すると次の単位になる。「上数」では、単位を
自乗すると次の単位になる。
■一方、前漢代に完成した『礼記』には「兆」を「億」の10の4乗倍として使う記述
が有る。これは『数術記遺』の「中数」とは異なる。『礼記』のように、10の4乗倍
すると次の単位になる「中数」を「万進」、『数術記遺』のように 10の8乗倍すると
次の単位になる「中数」を「万万進」と呼ぶ。
■中国では「万進」と「万万進」が統一されることなく近代化が始まったため、混乱
が生じた。さらに悪いことに、メートル法の mega (10の6乗) を訳すとき、適切な
語がなかったので、廃れていた下数(単位を10倍すると次の単位になる)を使って「兆」
を当ててしまった。混乱に輪をかけたのが giga, tera, peta, exa の訳で、mega
を「兆」としたのに応じて順番に「京」、「垓」、「し」、「穣」を当ててしまった。下数、
万進の中数、万万進の中数の他にメートル法が加わったわけだ。今日では、意訳では
なく音訳(吉{口加}・太拉・拍它・艾可薩)が用いられているが、mega の意味の「兆」
は定着していたので変えられなかった。
■最終的に、「億」は中数の10の8乗の意味で定着し、「兆」は下数の10の6乗の
意味で定着した。「億」より「兆」の方が小さくなってしまったわけだ。中国語では
もはや「京」以上が何を意味するか確定しなくなってしまったため、10の12乗,
10の16乗を「万億」、「億億」と呼ぶようになった。退化したという他はない。言語
はただ伝統を大切にすれば良いものではない。数の位のように多義語だと混乱する
ものは、絶対に統一するべきなのだ。中国語で下数、万進の中数、万万進の中数の
どれかを選べなかったのは失敗だった。台湾や韓国では日本式の万進が導入されて
いたので「兆」は10の12乗のままだが、それを超える単位はあまり知られていない。



Re:平均律

ひでほ (2004/04/04 14:43)

既にお二人の発言があり、蛇足になりますが、参考までに、角倉一朗の<The Glenn Gould Edition -- Bach "The Well-tempered Clavier">(Sony)の説明をここに載せます。その説明の一部は、省略しますが。

以下引用:
<平均律第1巻>は24の前奏曲とフーガから成る巨大な曲集である。この24という数は、12平均律によって使用可能となった12の長調と12の短調に由来するもので、この曲集でそれらを、ハ長調、ハ短調、嬰ハ長調、嬰ハ長調、ニ長調、ニ短調というように、ハ長調から出発して半音づつ高まる順序で配列した。
:引用終わり。

ここでの<平均律>はこの角倉一朗の説明で概略、理解できると思います。私は音楽は詳しくないので、この程度で失礼します。バッハ自身の<平均律>というのは上の12平均律と関係があるという程度の、共通認識で良いとおもうのですが。これについてはこの程度だけしか分かりません。



Res: 「生格」 というロシア文法用語について

Maniac C. (2004/04/04 13:44)

>にれのや師匠
>特に、Maniac C.氏にご報告。
わざわざどうも有り難う存じます。2003/08/07付けの私の投稿記事に対する御返事、
と考えて宜しいのでしょうか。大分以前のことなのに覚えていて下さり、感激です。
■相変わらず露語には疎いまゝなのですが、родно とродительный
とは、意味的にどのような違いが有るのでしょうか。特に前者は、オンライン辞書で
検索できませんでしたので、その理由も知りたく存じます。宜しくお願い致します。



re: 平均律

Maniac C. (2004/04/04 13:42)

■ひでほさん・massangeanaさんの投稿記事を追補します。
■英語では「平均律」は、an equal[even] temperament, または単に an temperament
と言います。これは正確には「12等分平均律」(the twelve-tone equal temperament,
1オクターヴを12個の鍵盤に当分に配した調律方式)を指す言葉で、現在のピアノは
基本的に、全てこの方式で調律されているそうです。ちゃんと調律されていれば、
一往、「どんな調でもきれいに響く」(massangeanaさん)わけですね。
■ところが、バッハ以降19世紀まで基本的に使われてきた調律方式は、「不等分平均
律」のうち、「ヴェルクマイスター第3法」と言われるもので、「どんな調でもきれい
に響く」わけではなく、その調ごとの調律が必要でした。
■Wohltemperiert は、「12の鍵盤が等しく良く演奏できるように調律された」の意味
らしいです。バッハは「うまく調律された鍵盤楽器の為に」と題して、それぞれの
調の音律の違いがもたらす曲調の違いを際立たせるために作曲した、とも言われて
いるようです。
■独語で「平均律」は、die gleichstufige[gleichschwebende] Stimmung[Tempe-
rierung/Temperatur] と言います。
■音楽理論に関しては素人なので、「平均律」の詳細は下記HPに譲ります。

http://www5.famille.ne.jp/~dr-m/TALKING/temper/temperam.htm



Re: 平均律

massangeana (2004/04/04 12:41)

ひでほさんと同時書き込みだったようですが, 内容はあまり重複していないようでよかった。

>そういう主張をしている本をよんだ
平島達司『ゼロ・ビートの再発見』 東京音楽社 のことでした。

ここにくわしい説明があります。
古典調律のすすめ
http://forum.nifty.com/fmidicla/htmls/kotenj.html#kirn

古典調律に批判的なページも紹介しておきます。
チェンバロは平均律で調律してはいけない? (チェンバロQ&A)
http://www.bekkoame.ne.jp/~sakazaki/eki/ekiinfo/FAQ.html#temp



Re: 平均律

massangeana (2004/04/04 11:56)

Wohltemperiertes は文字通り「よく調律された」という意味です。バッハのこの曲は
24の調すべてを使っており, この「よく」というのは「どんな調でもきれいに響く」という
ことを意味しています。
現在の鍵盤楽器ではこの「どんな調でもきれいに響く」を実現するために等分平均律をつかうの
がふつうです。たとえばオクターブでちょうど周波数が 2倍になり, かつとなりあう半音どうし
の音程がひとしくなるようにするには, 2 の 12乗根ずつ音があがるようにすればいいわけです。

しかし, バッハのつかっていた調律はこの方法とはことなっていたといわれており, したがって
「平均律クラヴィーア曲集」という日本の題は誤訳であるという人もいます。(むかしそういう
主張をしている本をよんだことがあります)ただし「平均律」ということばの意味をひろくとっ
て, 等分平均律だけが平均律ではない, とかんがえればこれでもいいことになります。



Re:平均律とは

ひでほ (2004/04/04 11:52)

通りすがりの者です。以下、参考程度の内容ですが、書きます。

<平均律>とは、やはり、英語でwell-tempered、仏語でbien tempere(アクセント<アクサン>記号省略)と訳されます。独語の辞書には、お示しの語は<正しく調律された、平均率の>(小学館)とでています。

また、独語の名詞のTemperaturの意味に、<音律、鍵盤楽器の整律、平均律>(小学館)とあります。

更に、英語のtemperamentの意味に<音律、楽音の音高の相互関係を数学的に決定したもの>(研究社大英和)とあります。同じく英語のequal temperamentの意味に<等分平均率、1オクターブを12の相等しい半音に区分した音律>(研究社大英和>とあります。仏語でもtemperament(アクサン省略)に<平均率>とあり、すぐ上で触れた英語に対応するegal(=equal)(アクサン省略)を使う表現があります(白水社の辞書など参照)。

ここで興味深いのは、英語を例にすると動詞temper派生の2種の名詞temperament,
temperatureがある場合、<平均律>を表す名詞が独語(Temperatur)と、英語ー仏語(temperament)で違うということです。これはこの程度で、止めます。

以上、参考程度ですが。



Re:シナ語の単位

きしろふ (2004/04/04 09:05)

>高駒麗人KOMAさん
なるほど、「アメリカの『元』」「ヨーロッパ(というかEU?)の『元』」ということですか。ふむふむ。

追加の質問で申し訳ありませんが、よろしいでしょうか?
日本では「ガス」は「瓦斯」と書くこともありますがシナ語ではどうなのでしょうか?



平均律とは

クランケ (2004/04/04 04:51)

よく知られているバッハの「平均律クラヴィア曲集」の原題は
"Das Wohltemperiertes Klavier "
であることまでは調べてわかりました。
しかし英語でいえば"Well-tempered ?"に相当するこの用語が、日本語に訳されると
何故「平均律」になるのでしょうか。

どなたか教えて下さいませ



「生格」 というロシア文法用語について

にれのや (2004/04/04 01:53)

【「生格」 というロシア文法用語について】
〓『ロシア中世文法史』(山口巖 <いわお> 著/名古屋大学出版会) に、「生格」 という、ロシア語文法で使われる独特の用語について考察した一文がありました。特に、Maniac C.氏にご報告。以下、引用です。
……
 生格 родно は η{+‘} γενικη{+´} の訳であると考えられる。γενικο{+´}s は本来 γε{+´}νοs <種類> から発生したものであって、「種類の」 即ち 「帰属を示す」 の意味であった。スラヴ語の род-но という用語もこれに正しく対応している。ラテン語ではギリシア語の γε{+´}νοs に当たるのが genus であるから、その形容詞は generalis <種類の、種類に共通の、一般的な> であるべきであった。これを誤って genetivus <geno, gigno <生む> としたところから、現代の genetive や родительный падеж という用語が生じたのである。日本語の 「生格」 というのもこの現代ロシア語の直訳であろう。
 ……
とのことです。



シナ語の単位

高駒麗人KOMA (2004/04/03 17:33)

日本ではgrammeは瓦蘭姆で、metreは米突で、kilometreが粁、milimetreは糎ですか。
日本では今は片假名か羅馬字が普通なので却って知りませんでした。

インチ(inch)は、昔はシナでは「吋」と書いてying(1)cun(4)と2音節で發音しましたが、今は「英寸」です。
単位を現す単語では1漢字で2音節を表すものがありましたが、今では1漢字1音節、2漢字2音節に改められたようです。(“花儿”huar1などの“儿”は例外)

フィート(feet)を現す「呎」ying(1)chi(3)は今では「英尺」。
マイル(mile)を現す「哩」ying(1)li(4)は今では「英里」。
エーカー(acre)を現す[口畝]ying(1)mu(3)は、今では「英畝」。
オンス(ounce)を現す[口兩]ying(1)liang(3)は、今では「英兩」または「盎斯」ang(4)si(1)です。

http://www.usen440.com/text/I-13/a/I-13a-19.pdf
イギリスポンド£は「英[金旁]」ying(1)bang(4)
アメリカドルUS$は「美元」Mei(3)yuan(2)
ホンコンドルHK$は「港幣」Gang(3)bi(4)
オーストラリアドルは「澳元」Ao(4)yuan(2)
日本圓は「日元」Ri(4)yuan(2)
中國では中國元を¥で現すので日本圓はJP\のようにJPをつける必要があります。

韓國のウォン(圓、원、won)は「韓元」Han(2)yuan(2)
ヨーロッパのユーロ(Euro)は「欧元(歐元)」Ou(1)yuan(2)になります。

litreは普通“升”sheng(1)ですが、中國傳統の容積單位“升”と紛らわしいので、リットルの方は“公升”gong(1)sheng(1)として區別することもあるようです。

megahertz→「兆赫」zhao-heや、megacycle→「兆周」zhao-zhou、megaton→「百万吨」bai-wan-dun、kiloton→「千吨」qian-dun等のようにmegaを「兆」や「百万」、kiloを「千」で現すのは合理的です。
percentは「百分之」(20%は“百分之二十”baifenzhi ershi)ですが、centiは「百分之」にはならないようでその邊が限界のようです。



RE:kilo & 1000

きしろふ (2004/04/03 16:25)

>高駒麗人KOMAさん
ほほう、シナ語では「グラム」は「克」ですか。
日本語では「瓦」です。「瓦蘭姆」の頭文字です。
「メートル」が「米」なのはどちらも同じですね。(日本語だけか?)「米」は「米突」の頭文字で、ちなみに日本で「リットル」の「立」は「立脱耳」の頭文字です。
日本独特の漢字(国字)では「センチメートル」は「糎」、「キロメートル」は「粁」です。(「米」を「瓦(グラム)」や「立(リットル)」に変えても同じ)
「デシメートル」を「粉」と書くのはややこしいです(^^;)これだけ「分米」と書いた方がよさそうかも・・・

さて、シナ語でも「ドル」は「弗」なのでしょうか?また、「ユーロ」はどう表しているのでしょうか?
よろしければご教示下さい。



Re: K・M

はちこう (2004/04/03 13:07)

>むしろ、アマチュア無線や短波受信の人ではないでしょうか。
なるほど。確かにそんな気がします。

> 余談ですが、メートル法を定めたメートル法委員会は、kilo‐、mega‐という接頭語を、単位系にとどま
>らず、各国で異なる数詞に取って代わるもの(たとえば、two thousands → two kilos !?)として構想して
>いたという話を聞いたことがあります

うひゃあ。それはなんとも壮大な企みで。。。
日本語のようにそもそも位取りの仕方が違うのも変えようと考えていたんでしょうかね。

余談の余談ですが、昨年あたりのニュースで見た記憶があるのですが、SIだかUIだかの単位を規格化している団体が、位取りにつかう記号を','(カンマ)に統一しようと言い出したが、スペイン語圏などの反対にあったそうです。
スペイン語圏の人は、小数点に','(カンマ)を使い、位取りに'.'(ピリオド)を使うことが多いようです。
百万は"1.000.000"、πは"3,141592‥‥"なのです。
もっとも、最近は英語圏の影響で"1,000,000"、"3.141592"と書く人も多くなってきているようですが。



kilo & 1000

高駒麗人KOMA (2004/04/03 12:00)

はちこうさん&U+3002さんへ

>"K","M"をそれぞれ"1000","1000000"の意味に使うのもおそらくコンピュータ分野の人たちが始めたことでしょうね。>余談ですが、メートル法を定めたメートル法委員会は、kilo‐、mega‐という接頭語を、単位系にとどまらず、各国で異なる数詞に取って代わるもの(たとえば、two thousands → two kilos !?)として構想していたという話を聞いたことがあります。

ならば逆に3 kilo-metresを 3 thousand-metres と言うように kilo の代わりに thousandを使う方が簡單でしたね。hecto-はhundredと同じく100ですから hect-are(ヘクト・アール=ヘクタール)は hundred-are(s) と言い換えて覺えるといいでしょう。2 hestares=2 hundret aresという事です。
deci-litre(デシ・リットル)もdeciが0.1の意味ですから ten-litreとすれば2デシリットルは、2 deci-litres=2×0.1 litres=0.2 litres(0.2リットル)です。

シナ語でどう表現するか調べてみました。キロメートルを「千米」(チエンミー)で現すようにkiloを「千」(チエン)に譯す方法があります。

gramme 克ke(4)
kilogramme 公斤gong(1)jin(1),千克qian(1)ke(4)(“一千克”は「1000グラム」)
hectogramme 百克 bai(3)ke(4)

metre 米mi(3)
decimetre 分米 fen(1)mi(3)
kilometre 公里gong(1)li(3),千米qian(1)mi(3)
hectometre (長度単位)百米 bai(3)mui(3)
millimeter 毫米 hao(2)mi(3)
centimeter 厘米 li(2)mi(3)

decilitre 分升fen(1)sheng(1)(体積単位=10^-4米^3)10^3は「10の3乘」の意味。
litre 公升gong(1)sheng(1),升sheng(1),(容積単位=10^-3米~3)10^-3は「10の−3乘=0.001」。

kilocycle 千周(週)qian(1)zhou(1),千赫qian(1)he(4)
megahertz 兆赫 zhao(4)he(4)
megacycle 兆周(週) zhao(4)zhou(1)

“周”zhou(1)はcycle、“赫”he(4)はHertzの音譯“赫茲he(4)zi(1)”の略。
kilocycle=1000Hertz、嚴密にはHertz=cycle/second

kiloton 千吨qian(1) dun(1)
megaton 百万吨(百萬噸) bai(3)wan(4)dun(1)

megacurie 百万居里 bai(3)wan(4)ju(1)li(3),兆居里zhao(4)ju(1)li(3)
“兆” zhao(4)は数字としては億の1万倍ですが、メートル法の單位につけると100万倍の意味だそうで、面倒です。

kilowatt 千瓦qian(1)wa(3) (ここでは“瓦”はカワラでなく單位のワット)

hectare 公頃gong(1)qing(3)(面積単位,符号為ha,=10000米^2)
are 公畝gong(1)mu(3)(=100平方米)
centiare 百分之一公畝bai(3)fen(1)zhi(1)mu(3)(=1平方米)



「PPPoE」、「VoIP」の「o」

佐藤和美 (2004/04/03 08:18)

「PPPoE」、「VoIP」の「o」って、なぜか小文字になってますよね。

e-Words
http://e-words.jp/
PPPoE
読み方 : ピピピーオーイー
フルスペル : PPP over Ethernet
 PPPの機能をEthernetを通して利用するためのプロトコル。インターネット関連の技術標準を策定するIETFにより、RFC 2516として標準化されている。
 PPPはもともと、電話回線やISDN回線など、発呼を要する通信回線を介してネットワークに接続するために開発されたが、これをLANなどの「つなぎっぱなし」の環境でも利用できるようにしたものがPPPoEである。通常のPPPと異なり、ネットワークカードの持つ固有の「MACアドレス」によって双方のコンピュータを識別し、その間に仮想回線を展開している。
 PPPoEを利用すると、LAN上からもユーザ認証やIPアドレスの割り当てなどが可能になる。これを利用すれば、ADSLやCATV、光ファイバーなどによる常時接続サービスにおいて、接続するプロバイダを簡単に切り替えられるようになる。日本国内でも多くのADSL接続サービスがPPPoEを採用している。


「PPPoE」の「o」は「over」ですが、「VoIP」の「o」も「over」なんですね。


e-Words
http://e-words.jp/
VoIP
読み方 : ブイオーアイピー
フルスペル : Voice over Internet Protocol
 インターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークを使って音声データを送受信する技術。社内LANを使った内線電話や、インターネット電話などに応用されている。



Re:省略語

佐藤和美 (2004/04/03 08:01)

はちこうさん
>"ASAP"のような手紙やチャットでよく使われる略語で、私が「面白いな」と思ったのは、"ru?"と"cu"です。
>それぞれ、"are you?"と"see you"です。

そういえば、「CU See Me」なんていうソフトがあったような。

http://yougo.ascii24.com/gh/25/002535.html
CU-SeeMe
しーゆー・しーみー
See You - See Me
 米コーネル大学で開発された電子会議用ソフトウェア。Internet環境で利用することが可能で、InternetのCU-SeeMeに参加すれば、世界のCU-SeeMeユーザーとビデオ会議を行なうことができる。



Re: K・M

U+3002 (2004/04/02 20:34)

>"K","M"をそれぞれ"1000","1000000"の意味に使うのもおそらくコンピュータ分野の人たちが始めたことでしょうね。

むしろ、アマチュア無線や短波受信の人ではないでしょうか。

余談ですが、メートル法を定めたメートル法委員会は、kilo‐、mega‐という接頭語を、単位系にとどまらず、各国で異なる数詞に取って代わるもの(たとえば、two thousands → two kilos !?)として構想していたという話を聞いたことがあります。



アイヌ語の方言辞典

はちこう (2004/04/02 17:20)

こんなニュースが載っていました。
アイヌ語の釧路方言辞典 地域的空白埋める労作(http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20040402&j=0031&k=200404024200)
北海道釧路市でアイヌ語学習に取り組む「釧路アイヌ語の会」(松本成美会長)が、アイヌ語の釧路地方方言を収めた初めての辞典「アイヌ語釧路方言語彙(ごい)」を刊行した。

 言語学者の故服部四郎氏が、北海道の日高や旭川など8地方の方言をまとめて1964年に編集した代表的文献「アイヌ語方言辞典」には、釧路地方の方言は収められてなく、地域的な空白を埋める辞典となった。

 辞典は見出し語が約2200語で、430ページ。釧路アイヌの故山本多助氏が全編カタカナで著した「アイヌ・モシリ」などの諸資料を基に単語を収集、5人のアイヌ語話者や研究者の協力を得て編集した。

 アイヌ語は、単語の約8割は地域間の差がない共通語だが、2割は地域独特の方言とされる。辞典には、山本氏が残した日本の昔話「かぐや姫」のアイヌ語訳など例文も豊富に盛り込んだ。



省略語の話題

はちこう (2004/04/02 12:26)

"124C41"ですか。面白いですね。(日本語の"4649"を思い出してしまいました。)
"i18n"の由来を研究(?)したページも面白く拝見しました。ご紹介ありがとうございます。

省略語で私が提供できるもうひとつのお話は、スペイン語の「合州国」です。
「ヨーロッパ連合」は、英語では"EU"と略されますが、スペイン語では"UE"になります。("Union Europeo")
かわりに、"EU"は合州国の略語になります。「合州国」は"Estados(=States) Unidos(=United)"ですので、略すと"EU"になるのです。
しかし、これではややこしいせいなのか、「合州国」は"EEUU"とか"EE.UU"と表記されることが多いです。
これは、スペイン語の"dos"が「2つ」を意味する単語であることより、"EEUU"を"E dos, U dos"(Eが2つ、Uが2つ)と読むと、"Estados Unidos"の発音に似た感じになるだめだろうと思います。
この省略のやりかたも、ちょっとシャレっ気があって面白いと思いませんか?



Re: i18n

massangeana (2004/04/02 08:39)

DEC に勤務していた Scherpenhuizen という人が自分のユーザー名を s12n としていたことに
由来する, という話がここにでています(ユーザー名は小文字で 8文字まで, というような制約
がよくあります)。清兼義弘・末廣陽一編著『国際化プログラミング』(共立出版 1998)にもおな
じ話がでていました。
もともと internationalization ということば自体コンピュータの用語なのだとおもいます。
一般的に international は高駒麗人さんのおっしゃるように intl と略します。近所の中華料理屋
の看板にも「int'l cuisine」と書いてありました。

Origin of the abbreviation i18n
http://www.i18nguy.com/origini18n.html



英語の洒落書き

Maniac C. (2004/04/02 03:52)

>はちこうさん
>綴りではなく音で略語を作っているのが面白い
→英語では割と昔からそのような「しゃれ」がよく在ります。
■CQ(=I seek you)なんてのはよく知られている例ですし、高駒麗人KOMAさんが仰る
ようにIOU(借用書)もわかりやすい例でしょう。
■SFの古典では、ヒューゴー=ガーンズバックの書いた『ラルフ124C41+』という
作品が在ります。one to foresee for one(人のために予見する人)という「しゃれ」
です。

>文字数的には省略の意味があまりない
→チャットやe-メールでは、少しでも手間を省くためにこういう略記がよく使われ
ます。何しろ、I(私は)を大文字にするためにシフトキーを押すのさえ億劫がって
小文字のままで打つぐらいですから。



万葉集の訓読

ななし (2004/04/02 00:06)

万葉集を読み解く作業を訓読とは、ほとんどいいません。検索システムで万葉集と訓読と入れても、偽中国人さん紹介のHPとそのリンク先がほとんどで、そのほかは極一部しかありません。今論文の題名や研究者始め、いろいろなかたのHPを検索できることを考えても、これだけ数しか出てこないというのは、一般的ではないということだと思います。



略語 訓讀み 訂正

高駒麗人KOMA (2004/04/01 15:00)

B2BはB to Bとも書かれ、Buisiness to Buisinessのようです。
IOUがI owe youの略というのは英和辭典にも載ってます。
訓讀みはシナ語方言でよくありました。
台灣の歌で「真美」をjinsuiと發音するのもあります。
「姉妹」を「姐妹」jiemeiと読むとか。(張惠妹の歌です)
姉妹の姉を中国の字體で入力したら漢字が全て化けました。

飯票に「二元」と書いてあるのを中国人が指差して、“liang3kuai4”(兩塊)と言った場合、これは、文語“二元”er4yuan2を口語“兩塊”liang3kuai4に言い換えただけでしょうが、訓讀みとは「二元」をliang3kuai4と読むようなものです。

Noをnumberと読むのはnumeroをnumberに言い換えた訓讀みで、£をpoundと読むのは、libra(天秤)をpoundに言い換えた訓讀みで、「すなわち」とか「たとえば」とか、こういうのはたくさんあるでしょう。
「天秤」を「てんびん(天平)」と読むのも訓に近いと想います。
「秤」cheng4は「称」cheng1と同音の4聲で、日本語音では「天秤」は「てんしょう」の筈です。



略語 訓讀み

高駒麗人KOMA (2004/04/01 14:52)

B2BはB to Bとも書かれ、Buisiness to Buisinessのようです。
IOUがI owe youの略というのは英和辭典にも載ってます。
訓讀みはシナ語方言でよくありました。
台灣の歌で「真美」をjinsuiと發音するのもあります。
「姉妹」を「姐妹」jiemeiと読むとか。
姉妹の姉を中国の字體で入力したら感じが全て化けました。



省略語の話題

はちこう (2004/04/01 09:22)

はちこうです。
やはり、"i18n"や"l10n"などと省略するのはコンピュータ分野特有の現象のようですね。
"K","M"をそれぞれ"1000","1000000"の意味に使うのもおそらくコンピュータ分野の人たちが始めたことでしょうね。

"ASAP"のような手紙やチャットでよく使われる略語で、私が「面白いな」と思ったのは、"ru?"と"cu"です。
それぞれ、"are you?"と"see you"です。
いずれも綴りではなく音で略語を作っているのが面白いと思いました。

音で略語を作るといえば、"2"を"to"や"too"の意味で使うことがしばしばありますね。
"up2date"は、"up to date"です。(一部のLinuxディストリビューションで、ソフトを最新のバージョンに入れ直す時に使うコマンドの名前に使われています。)
"u2d"は、"UNIX to DOS"で、UNIX用のファイルをDOS用に変換するコマンドの名前に使われていたりします。
チャットでは、"me2"というのを見かけたことがあります。"me too"の意味だと思います。
文字数的には省略の意味があまりないので、「しゃれ」で使ってるんでしょうね。



Re:KはY2Kの〜

偽中国人 (2004/04/01 07:12)

以前に紹介した雑誌「トランジスタ技術」の読者の「売ります、買います」コーナーでは30年以上前から金額表示に3万5千円を表わす「¥35K」が使われていました。
電気抵抗器の30kΩの応用でしょう。
このコーナー、今はありません。「トランジスタ技術」自体が地方都市の書店の店頭で見かけなくなりました。

姉妹紙の「CQ Ham Radio」ではまだ「売ります、買います」コーナーがあるかも知れません。



中国における“訓読”

偽中国人 (2004/04/01 06:54)

中国語学新辞典、光生館1970に王育徳氏の定義する「訓読」が載っています。
『土地の人が“あて字”を使いながら、発音をその字の“語音”と信じこんでいる場合があることである。これを中国における“訓読”という。たとえば、厦門では〈ひと〉はlangであるが、伝統的に‘人’(日真開三)linの字があてられいて、linは“読音”で、langは“語音”と信じこまれている。
 langの正しい語源は「儂」(泥冬合一)のはずで...』

次のHPには王育徳氏が定義した「訓読」が2回でてきます。
http://www.sal.tohoku.ac.jp/zhongwen/journal/03/03noma.html

massangeanaさん
>この吏文は朝鮮と中国の間の外交文書のことで・・・
中国語学新辞典、光生館1970で田中謙二氏は
「朝鮮国ないし朝鮮人に関する明朝の“法制文書”を集めたもの」と説明しています。

「吏讀」の別表記には「吏道」、「吏牘」、「吏吐」などがあります。
http://porocise.hp.infoseek.co.jp/korean/idu_intro_v02.html

万葉集に関して「訓読」という言葉は極く普通に、何の違和感もなく使われています。
万葉集検索HP(文字コード:EUC)でも「訓読」がいきなり表ます。
http://yoshi01.kokugo.edu.yamaguchi-u.ac.jp/manyou/man_ser_db.html
「訓読万葉集」
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/manyok/manyo_k.html
>たんに「読み」といえばいいでしょう。
「歩く万葉学者」の犬養孝氏は「読む」のではなく「歌う」ことを主張して「犬養節」が生まれました。万葉歌の「訓読」は未だ確定したとは言えず、犬養氏揮毫の万葉歌碑には万葉仮名が用いられています。

プロ野球の始球式の前に行なわれる「君が代“合唱”」のSOLO(独唱)も、「他力本願」も今更誰も正しい使い方をしないでしょう。
長嶋の「メークドラマ」にも付ける薬が無いようですから。



re: 省略語の話題

Maniac C. (2004/04/01 01:06)

>はちこうさん
■初めまして。面白い話題を有り難う存じます。
■「I18N」ですか。何か、正規表現で検索するときの略し方みたいですね。どうも
出所はUNIXのプログラム名のようですが。英語では、独語と違って、10文字以上の
単語は「長い!」と感じられるので、このような省略語が生まれるのだと思います。
それにしても、このような省略の仕方は初めて見ました。
■同じコンピュータ分野で、似たような略し方をする言葉に、「L10N」と「M17N」が
在るようで。それぞれ「地域化(LocalizatioN)」「多言語化(MultilingualizatioN)」
の略だということを知りました。
■「C10K」というのも見つけたのですが、同様の略語かと思ったら、こちらは「10,000
のクライアントが同時に1つのサーバに接続してきたとき、すなわち極度の
アクセス集中に対して処理をどうするかという問題」を意味する言葉らしい
です。Kは「Y2K(2000年問題)」のK(=1,000)だったのですね。

>コンピュータ分野ではなく、一般の英文表記の時に、このような省略表記ってよく使われるものなんでしょうか?
→下記のURLを御覧ください。チャットやメールで使われる略記表現ですが、参考に
なるでしょうか。

■「一般の英文表記」で使われるものとしては、以下のようなものが思い浮かびます。
ASAP: as soon as possible(至急)
R.S.V.P.: Repondez s'il vous plait.(ご返事願います)
PTO: Please turn over.(裏面を御覧ください)
BYOB: Bring your own booze[bottle].(酒類持込可、酒類持参のこと)
などが手紙でよく使われるものですかね。
AWOL: absent without leave(無断欠席)
POW: prisoner of war(戦争捕虜)
WAVES: Women Appointed for Voluntary Emergency Service(海軍婦人予備部隊)
などは1単語のように発音されます。

http://csx.jp/~miccii/english/english_abb.html



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