言葉の世界・伝言板 2003年5月



可能動詞のテ形+いる

zo- (2003/05/31 03:32)

>この論考では、津・淀江・名古屋は、標準語のテイルとは次の
4点で異なっているけれど、ヨルが無く、トルに一本化されている、と書かれています。
@「お母さんがケーキ作っトル」「お母さんが窓開けトル」で進行も結果も表せる。
A(子供が来つつあるのを見て)「今こっちに来トル」と進行を表すことがある。
B(本に赤い線が在るのを見て)「太郎が本読んドル」と結果を表す。
C(今まで泳げなかったのに)「太郎ちゃん、泳げトル」と可能動詞にも言える。

年代にもよると思いますが、私もあおさんとほぼ近い感覚です。一応、上述の名古屋の周辺地区の出身としては、@Bは私の語感でも同じ、Aは使う人もいると思いますが、私の周囲では小学生の甥姪でも使わないと思います。それからCは使います。が、Maniac C.さんの仰る「規範」では「泳げている」は認められないそうですが、私は日常的に極普通に東京でもテレビドラマでも聞きますよ(もしかして方言の影響かもしれませんが)。ちなみに「泳げている」、Maniac C.さんならどう朱を入れますか?

状態動詞でも、もちろん「あっとる(ある)」、「いとる(いる)」、「いっとる(要る)」、「おおすぎとる(多すぎる)」などはいいません。可能動詞は状態動詞の一つですが、可能動詞の場合は、やや特殊なのではないでしょうか。

臨時的に使うことはあるかもしれないということですが、名古屋周辺でも、「泳げたね」というような場合に、「泳げている」というわけではなく、泳いでいる人を目の前にして言うときにのみ使う表現です。Maniac C.さんが臨時的にと感じられたのもこのような場合ではないですか?例えば、殆ど同じ設定ですが、ピアノの発表会を目の前に、何度も練習している、今まで出来ていなかったが、今度は何とか上手く引き続けることが出来ている、そこで台所で夕飯を作っていたお母さんが、「○○ちゃん、弾けてるじゃない!」、どうですか?もしかしたら「弾けてる」は使っても、「弾けている」は使わないと感じられるかもしれませんが、この「弾けてる」という表現は、進行を表わす場面と密接に結びついているために、口語的な表現にしか現れにくく(文章的な叙述の文脈には現れにくい)、そのため、「弾けている」はややなじまないと感じる人もいるかもしれません。方言はそれに対して、最初から口頭語しか念頭においていないため、そのような区別は生じないのではないでしょうか。この形式は進行だけではなく、日常の動作を表わす場合にも使われますが、「うちの子は、ちゃんと勉強も出来ていますから、心配なさらないでください」などやや硬い表現なら「出来ている」という形も現れ、「ている」と「てる」には本質的な違いはないと思います。「可能動詞のテ形+ている(てる)」は共通語でも使うのではないでしょうか。「とる」使用地域のものが共通語のことを言っても説得力に欠けますが。

でも、「泳げる」をもし状態動詞の代表として用いているとすれば、ちょっと問題があるのではないかと思います。

その年の月刊言語は私も持っているので、工藤先生の論文読みなおして見ます。



Re: ばったに売る

にれのや (2003/05/30 23:13)

■おひさでございます。
落語では、「ばったに売る」を頻用します。別に古道具屋でなくても、たとえば『品川心中』では、女郎(じょうろ)と心中する本屋(貸し本屋)の金蔵が、家財を(といってもたいしたものはないんですが)古道具屋に「ばったに売って」しまいます。



re 方言

あお (2003/05/30 21:28)

Maniac C.さん詳しいご説明ありがとうございました。
標準語にそのような制約があるとは東京に30年も暮らしても気が付きませんでした。入試でそんな問題を出されたら全問×のところでした。徳島では、ある・いる以外はすべて、よる進行、とる完了の使い分けが可能でした。多分今も。東京でも状態動詞、継続動作動詞とやらは、ある・いる以外は平気で「ている」をつけて完了と進行の両用に活字でも使われていますのでもはや間違いとはいえないのでは。また徳島方言の言いまわしに平安時代のが多いことからすると多分古い日本語では徳島流だったのでは。



Re:バッタ

未菜実 (2003/05/30 21:00)

書き忘れてしまいました。^^;

江戸語の辞典(講談社学術文庫)には
「ばったにうる」の項には「ばったり売る」に同じとあります。
「ばったり売る」の項には
古道具屋用語。叩き売りにする。大安売りに売る。一説に、ばったりまとめて処分するというは、いかが。
と出ています。



Re:バッタ(飛蝗)

未菜実 (2003/05/30 20:52)

「語源大辞典」堀井令以知、東京堂出版 には次のように載っています。
飛蝗 バッタ科の昆虫。ハタハタ(しょうりょうばった)からか。
和名抄に[虫奚][虫斥](波太波太)の語がある。 []は一字のつもりです。



Re:バッタ

鴛鴦 (2003/05/30 19:30)

>てんちさん
初めまして。鴛鴦といいます。

「バッタ」そのものの語源については分からないのですが、「バッタもん」についての説明が下のリンクに載っています。
参考になれば・・・

http://plaza.rakuten.co.jp/westy/006004/index.html



バッタの語源について

てんち (2003/05/30 16:44)

「バッタもん」「バッタ屋」などの「バッタ」ってどこから
きているのでしょう?

今朝職場で話題になり、それぞれ調べてみたのですが
「バタバタとごみをあさるから」「道端のものまで拾うから」
「バッタバタと倒産した会社の商品を買い占めるから」等々、
諸説紛紛で納得いきません。

また自分でも調べてみますが、よろしくお願いいたします。



したべら

zo- (2003/05/30 09:10)

私の使いわけは、名古屋辺りでは普通だと思います。

それから「したべら」うちの方でも使いますよ。
「わかるら」は長野県の方でも使います。「わかるでしょ」という感じでしたが。

日本語教師をやってたことがあるんですが、なかなか動詞の瞬間と継続の「ている」を区別して定着させるのって、難しいです。



Re: 躾

massangeana (2003/05/30 08:47)

大原望さんの「和製漢字の辞典」というのがあります。
 http://member.nifty.ne.jp/TAB01645/ohara/index.htm
「しつけ」と読む字には「身+{美・花・益}」の 3字がみえます。
すべてどうようの趣旨による造字だろうとおもいます。



re 躾

Maniac C. (2003/05/30 02:03)

イワサさん、初めまして。

「身について美しい」という、見たまんまだと思っていましたが……。
他に何か深い意味が有るのでしょうか?



re 方言

Maniac C. (2003/05/30 01:51)

■まづ、皆様に“大好評”の「ずらけ」ですが。
いみじくも、あおさん・zo-さんのご推測どおり、過去の推量を表します。標準語の
「〜たろう」に当たる言い方ですので、「あれは高かったろう。」の意味になります。
(そうと解ったのは、会話を交わして大分日数が経ってからのことですが……。 ^^;)
きしろふさん引用の「ちゃっきり節」は、「雨だろうよ」の意味になります。
静岡弁にはちゃんと現在の推量、というよりは確認用の不変化助動詞も有りまして、
「ら」と言います。「わかるら?」と言うと、“You know that, don’t you?”という
感じになります。
■静岡弁は、ネタが尽きないのですが、もう2つ。
1人称の代名詞は、単数でも、「うちっち」と複数形で表します。標準語の「おいら」
「おれっち」も、考えてみれば、「おれ」+複数語尾「ら」「たち」ですよね.
九州の「おいどん」は、「おれ」+「どの」かと思っていましたが、今考えたら、
「おれ」+「ども」かも知れませんね。
英語の‘tongue’のことを文章語では「した」、口頭語では「べろ」と言いますが、
静岡弁では「したべら」、または単に「べら」と言います。この単語を聞いたとき、
ああ、「べろ」の語源は「箆」なのか、と膝を拍ちました。
■「けけけけ」と似たものとして、岡山弁では「ケーコ、コケーケー」が有ります。
これは、タウン情報おかやま別冊『岡山弁JAGA!』(株式会社アス、青山融著)に
載っているのですが、「景子、ここへ来い」という意味です。
■それから、「ヨル」と「トル」ですが。
zo-さんの母語としては、「開けよーる」「開けとる」が同じ意味(進行形?)で、
「来よーる」と「来とる」は進行形と完了形で使い分けるとの御報告ですので、
先述の論考によると、天草方言・福岡方言と同じ使い分けという結果になります。
■さらに、標準語の「テイル」と津・淀江・名古屋の「トル」の違いについて。
「テイル」による、標準語動詞の4分類は、国語学会では割と常識の部類に属する
のですが、皆様は御存知でしょうか。松下大三郎・佐久間鼎両氏の状態動詞・継続
動作動詞・瞬間動作動詞に、金田一春彦氏が「状態を帯びる意味の動詞」を加えた
分類のことです。岩波新書『日本語』に従ってもう少し詳しく説明しますと:
 ◇状態動詞…「〜ている」の形を持たない。例=ある、いる、できる、泳げる、
赤すぎる
 ◇継続動作動詞…「〜ている」の形を持ち、動作が進行中であることを表す。
  例=読む、書く、歩く、走る、降る
 ◇瞬間動作動詞…「〜ている」の形を持ち、動作が完了した後であることを表す。
  例=始まる、終わる、死ぬ、結婚する
 ◇状態を帯びる意味の動詞…いつも「〜ている」の形で使われ、ある状態にある
ことを表す。例=似る、聳える、才気走る、坊ちゃん坊ちゃんする
という分類をすることが出来ます。
(よく考えたら、丸付き文字は機種依存文字だから、使ってはいけないのでした!)
■1は、継続動作動詞なので、標準語で「作っテイル」「開けテイル」と言うと、
進行の意味しか表せず、完了の意味では、「作ってある」「開けてある」と言わねば
なりません。
■2は、瞬間動作動詞なので、標準語で「来テイル」と言うと、完了の意味になり、
「来ようとしている」とでも言わないと、進行の意味にはなりません。
■3も、継続動作動詞なので、「読んデイル」は進行の意味になります。「読んである」
とはあまり言わない気がしますので、「読み終わっている」「読んだらしい」などと
言うしかないのではないでしょうか。
■4は状態動詞ですから、そもそも「テイル」の形が出来ません。「泳いでいる」と
しか言えないのです。(誤用や臨時的使用としては「泳げている」はあるかも知れません
が、規範的には認められませんので、学校で作文に書いたら朱で直されるでしょう。)
■あおさん、お解りいただけたでしょうか。



ずらけなど

あお (2003/05/29 22:54)

Maniac.cさん
ものすごくたくさんお教えいただき有難うございます。静岡に未来形があるというのは驚きました。実はどこかの方言に未来形がないかずっとさがしておりました。ずらけは英語の未来の過去形であるIwould assumeのようなおぼめかしの語感なのでしょうか。
ご引用頂いた、下記論考にはどうも納得できず、全然異なっていないように感じるのですがいかがでしょうか。
>この論考では、津・淀江・名古屋は、標準語のテイルとは次の
4点で異なっているけれど、ヨルが無く、トルに一本化されている、と書かれています。
@「お母さんがケーキ作っトル」「お母さんが窓開けトル」で進行も結果も表せる。
A(子供が来つつあるのを見て)「今こっちに来トル」と進行を表すことがある。
B(本に赤い線が在るのを見て)「太郎が本読んドル」と結果を表す。
C(今まで泳げなかったのに)「太郎ちゃん、泳げトル」と可能動詞にも言える。



Re:方言

きしろふ (2003/05/29 18:51)

「許っしゃたもんせ」も鹿児島弁ですよね?
あと、「ずら」は静岡でも使いますよね?「ちゃっきり節」で「雨ずらよ」と歌っていますから。



gikihiについて

辻本裕幸 (2003/05/29 16:44)

なるほど!kaやgaは人口音節だ!というのなら、納得がいきます。しかしどうして日本語と中国語は珈琲の当て字が少し違うのでしょう?
 かくして北方官話のgi,ki,hiはji,qi,xiになってしまった。しかし今も山東省とかgi,ki,hiを残している方言はあるかと思いますが。逆に本来ji,qi,xiとすべき漢字(系、西、など)が逆にgi,ki,hiになっている方言ってあるでしょうか?東西dongxiトんシ>donghiトんヒ みたいに





イワサ (2003/05/29 13:17)

躾という国字の起源等を教えていただきたいのですが。



Re: けけけ

massangeana (2003/05/29 11:34)

普通は「けけけけ」(貝買いに来い)が鹿児島弁の例としてよくでてきますね。
「かい」や「こい」が「けえ」になるのはほかの地方でもよくありますが, 鹿児島だと
しばしばさらに短くなって「け」になってしまうのです。「けけけけ」の最初と二番目の
「け」は「かい」, 最後の「け」は「来い」です。三番目の「け」は「...するために」と
いう助詞で, 博多だと「げい」, 佐賀だと「ぎゃー」といいますが, 鹿児島ではなぜか
清音になっています。
>おいどん
東京の人が「我輩」を使うのと同じていどに使います。
ふつうは「おい」, ていねいに言うときは「あたい」が多いですね。

>ずら
山梨から来た人が「おとう・おっかあ・ずら」を使ってました。鹿児島では
どれもマンガの中でしか目にかかったことがないので, かれは大変な人気者
になりました。



中国語の「在」と「著」

zo- (2003/05/29 05:36)

アメリカインディアンの言葉ですか。

中国語の「在」「著」も、やや二つの「テイル」の区別に近い差があると思います。もともと「在」は南方的な言葉で、北京語ではもともと「著」と「{口尼}」だけだったようですが、今ではすっかり定着し、「在V」が動作の進行を表わし、「V著」が動作の結果の持続を表わすことが多いと思います。もちろん日本語と必ずしも対応しているわけではないですし、「他『在』等『著』ni3『{口尼}』」(彼はあなたを待っています)のように、「在」「著」「{口尼}」の3つを同時に使ったりする場合もありますが、多分それは動詞が瞬間動詞かそうでないか、両方兼ね備えているかなどの区別が日本語と異なるためではないかと思います。「在」「著」それぞれ他の用法もあるので、単純に分けられるわけではないですが。



方言など

zo- (2003/05/29 05:21)

あおさん
 ありがとうございます。同じですか。やっぱり、テイルって方言によって差があったり共通していたり面白いですね。

Massangeanaさん
 私は国内では本州を出たことがないので、鹿児島でも佐賀でもすごいです。一度、私の福岡出身の知人のお父さんから家に電話があり、母が出たんですが、なんかすごい異文化にであったように喜んでいました。やっぱり九州の言葉は新鮮です。「け、け、け。」!、どうしてそういう意味になるんですか。ちなみに、「おいどん」って今でも使うんですか?母の田舎の方(東海地方)では、二人称に「おんし」(多分「おぬし」から)というのを使います。



「しとる」など

zo- (2003/05/29 05:08)

Maniac.cさん

 なるほど「見える」は「来る」の意味だけですか。東京の人でも人によって違うかな、と思います。実は東京に住んでいたとき、主動詞については、東京生まれの人、数人に聞いたことがあるんですが、使うという人と、使わないという人、半々でした。工藤真由美先生の論考、ご紹介ありがとうございます。

×は不自然、○は自然

「早く行こうと」+「×おもよーる」「○おもっとる」
「お母さんが窓」+「○開けよーる」「○開けとる」
「今、こっちに」+「○来よーる」「○来とる」

「開けよーる」「開けとる」は同じ意味です。「来よーる」は「こっちに向かっている」意味で、「来とる」は、動作の結果の継続というか、こっちに来て、そのままここにいる、という意味です。

です。

「だら、りん」は愛知でも三河だけですね。尾張の人は笑ってます。

「ずらけ」ですが、長野県でも「ずら」は使います(長野県に住んでいたことがあります)。未来というよりも、共通語の「です」というよりも断定を避けた判断、推測のような感じです。「ずらけ」全体で推測を表わす可能性はないですか?



Re: 「しよーる」と「しとる」

massangeana (2003/05/29 04:02)

>「しよーる」と「しとる」
わたしのところでは区別しません。「しとる」というと「やり終える」という
ぜんぜんちがう意味になります。
>「と、と、と。」
「取っているの」でしたっけ?
>「け、け、け。」
「買いに来い」ですね。さすがに自分のところのはよくわかる :-)
>鹿児島の「めしゅ(=飯を)たもっちょいやっ」すごいですねー。
そ, そうですか? 佐賀あたりのことばとそれほど大きくはちがわないと
思うのですが。



「見える」「つつ」「しょーる」と「しとる」他

Maniac C. (2003/05/29 02:42)

>zo-さん
>主動詞の「居る」の敬語として「見える」を使うのはたぶん共通語でもあると思います。
→共通語では「来る」の尊敬語としてだけ使い、「居る」の尊敬語としては使われません。
しかも、私の中では、「お見えになる」という、尊敬語としての定型表現の中でだけです。
補助動詞として「〜てみえる」と言われると、「〜するように見受けられる」と解釈します。
共通語での「見える」は、「見ることができる」と「見受けられる」の意味だけでしょう。

>あおさん
>口語で「つつある」というのは関東に古くからあったのでしょうか。NHKが進行形を表すために最近作った言いまわしかもしれないと思っております。ご存知の方はお教えください。
→「つつ」は、奈良時代から在る接続助詞です。同じ動作の反復を表す意味から、同じ
動作が別の主体によって同時に行われる意味へ、そして、異なる動作が二つ同時に進行
する意味へ変わり、平安時代から鎌倉時代にかけて「ながら」と交代し、江戸時代には
文章語・古語になりました。それを、明治時代に、進行形の訳語として活用したのです。

> zo-さん&あおさん&massangeanaさん
大修館書店『月刊言語』1998年7月号に『西日本諸方言と一般アスペクト論』(工藤
真由美)という興味深い論考が有ります。ここで調査している方言は13県19地域
で、熊本(松橋町・天草町)・大分(大分市・竹田市)・長崎(福江市)・佐賀(佐賀市)・
福岡(北九州市・福岡市東区・久留米市・吉井町)・愛媛(松山市)・山口(小野田市・
下関市)・広島(広島市)・岡山(岡山市)・兵庫(姫路市)・島根(淀江町)・三重(津市)・
愛知(名古屋市)です。この論考では、津・淀江・名古屋は、標準語のテイルとは次の
4点で異なっているけれど、ヨルが無く、トルに一本化されている、と書かれています。
@「お母さんがケーキ作っトル」「お母さんが窓開けトル」で進行も結果も表せる。
A(子供が来つつあるのを見て)「今こっちに来トル」と進行を表すことがある。
B(本に赤い線が在るのを見て)「太郎が本読んドル」と結果を表す。
C(今まで泳げなかったのに)「太郎ちゃん、泳げトル」と可能動詞にも言える。
更に、進行形がヨルしか言えないか、ヨルでもトルでも言えるか、でその他を四つに
分類しています。御自分の母語ではどうなっているか、お考えください。
「早く行こうと思いヨル/思っトル」「お母さんが窓開けヨル/トル」
「今こっちに来ヨル/トル」

私は静岡市と岡山市に居たことが有りますが、岡山では、「しょーる」と「しとる」
を使い分けます。静岡では、愛知と「ぢゃん・だら・りん」の前二者は共通ですが、
大地溝帯よりは西ですが東日本文化圏なので、完了と進行の言い分けは有りません。
大体、静岡では、時制が標準語とは違うのです。過去形は終止形+「け」で表し、
未来形は終止形+「ずら」で表します。「あれは高いずらけ」と言われた日には、
未来形+過去形! と、頭の中が真っ白になります。(実話です ^^;)



Re: 「しよーる」と「しとる」

あお (2003/05/28 20:36)

全く同じです。多分「-よる」のいい方が残っている地方では使い分け方は同じだと思います。大阪や奈良を飛び越えて名古屋にこれがあるとは存じませんでした。それなら使い分け人口は日本人の過半かも。わたしなりの解釈は、京の都から東国に言葉が広まる前、東国では進行形と完了形の区別のない言葉が使われていて、区別を真似ることができなかったのではというところです。この区別はアメリカインディアンの言葉にもあるとのこと。そうすると彼等は西日本人の仲間かもなどと勝手に考えています。





zo- (2003/05/28 19:58)

昔、康有為とか張之洞とか梁啓超とかの文章を読んでいたんですが、もうあの頃、かなり小さな国の中国語名もかなりでてきますよね。地理の授業というのもあったでしょうし。もちろんどうしてgaを使わないかということの答えにはなりませんが。

私もこのkaだのgaだのの発音はなんか気になっていました。中古音から規則的な変化をしてgaとかkaとかいう音は生ずるものですか?なんだかカードとかコーヒーとか外来語或いは擬態語、擬声語専用で人為的に作ったような気がするんですが。

「jia li」私も聞いたことあります。



方言

きしろふ (2003/05/28 19:48)

九州のほうだと博多では「と、と、と。」だけで通じてしまうし、鹿児島では「け、け、け。」だけで通じてしまいますからねぇ。



「しよーる」と「しとる」

zo- (2003/05/28 19:33)

うちの方(名古屋郊外)では

「しよーる」動作の進行
「しとる」動作の進行、動作の結果の持続

動作の進行を表わす場合はどちらも殆ど同じ意味に使いますが、動作の結果の持続「結婚している」は「結婚しとる」で、「結婚しよーる」とはいいません(意味的に結婚という動作を進行しているということを想定しにくいんだと思います)。それから「座っとる」は動作の結果の持続ですが、「座りょーる」は、「今まさに座りつつある」という意味で、使いわけもあります。

あおさんの使いわけと同じでしょうか?



Re:ご飯を食べてみえる(ありがとうございます)

zo- (2003/05/28 16:08)

massangeanaさん、あおさん、ありがとうございました。私もうすうすは…。他の地域の方、結構気にしてくださってたんですね。

 鹿児島の「めしゅ(=飯を)たもっちょいやっ」すごいですねー。

うちのほうでは「しよります」「しとります」を「しよーる」「しとる」といいます。敬体はないです。
「ご飯をたべよーる」「ご飯を食べとる」
「病院に行きょーる」「病院に行っとる」
「?勉強しよーる」「勉強しとる」

でも、区別が曖昧になっているかもしれません。もともと違う区別かもしれません。どう区別するのか、自分でもちょっと整理できてません。

確か辻本さんは三重の方、飛び越えていかれちゃいましたね。三重のことも気になります。



Re: 加にgaの読みはある?

massangeana (2003/05/28 15:10)

わたしはきいたことがありません。たぶん, 音があっていれば何でもいいわけでなく,
あるていど立派な字をあてようと努力するというのと, すでに ka の音に「加」をあてる
ことが慣用として定着してしまっているということがあるのではないかと思います。

>カレーライスをJiali飯と
あ, これわたしもいいます。さすがにコーヒーをチアフェイとはいいませんが。



加にgaの読みはある?

辻本裕幸 (2003/05/28 13:58)

普通話のはなしですが、
「加」の漢字には「jia」の他に「ga」の読み方はないのですか?外国の地名などで、カとかガは大抵「加」の字が当てられるでしょ?しかしあれは現代読みではjiaだから、どうしてもカナダ>チァナタ シンガポール>シンチァポー とか違和感のある発音になる。普通話現代漢字音でもgaやkaの発音をする漢字はあるので、中国人にもjiaとgaの音の違いは充分認識されているかと思います。カナダやシンガポールのように古くから知られている地名に「加」の字が当てられている場合、広東語から入ったとも考えられる。(あるいは加がまだgaやgiaと発音されていた頃に命名された地名であるとか。)しかしですよ、ガーナ、ガボン、マダガスカル、ドミニカ、ニカラグア、ジャマイカなんかの「カ、ガ」の部分も「加」の字が当てられている。それらの国を中国共産党が認識し始めたのは最近のことだと思いますから、それらに「加」をあてたときはすでに「jia」の発音になっていたはずです。
 そこで疑問。カレーライスとか珈琲とかに使う、gaやkaの発音をする漢字やカードのkaなど、普通話にはちゃんとga,kaと発音する漢字があるのに、何故わざわざ故意に、おおきく発音が異なる「加jia」の字を当てるのか?
 考えられるのは、多音字として「加」には知られざる「ga」の読み方もあるのでは?中国で外国の地名を付けている人たちも「加」と書いてgaと読んでもらうことを期待してネーミングする。しかしgaの読み方が普及していないため、jiaと読まれてしまう!?
 ちょっと考えすぎですが。
 ちなみに私の上海の友人がカレーライスをJiali飯と言っていましたが、これも関係あるでしょうか?



Re: ご飯を食べてみえる

あお (2003/05/28 12:53)

zo-さん
補助動詞として「見える」を使うのは東海地方の方言です。これはzo-さんほど言葉に敏感な方でも疑問を持たれるほどというべきで、気づきにくい例の代表です。他の地方の人間には違和感がありますが意味は通じます。口語で「つつある」というのは関東に古くからあったのでしょうか。NHKが進行形を表すために最近作った言いまわしかもしれないと思っております。ご存知の方はお教えください。因みにわたしの出身地徳島では今でも進行形は「-よる」と完了計は「-とる」と区別します。この区別のある地域は多分岡山、鳥取から沖縄にわたる全域ではないでしょうか。この区別は大変重要な区別なので標準語に取り入れられるべきだと思っております。
例えば東京で「やっています」などと言われても済んでいるのか途中なのか全く聞き分けられないのが、「しよります」か「しとります」で聞き分けられるのです。近畿圏では両方を「しとります」というので東京となんら変わりませんが。



Re: ご飯を食べてみえる

massangeana (2003/05/28 12:07)

「ご飯を食べてみえる」はとっても東海的だと思います。
九州だと「おる」の敬語を使うでしょうね。鹿児島だと「めしゅ(=飯を)
たもっちょいやっ」です。「ちょいやっ」の部分が「ておりやる」です。あと
「見ていろ」の意味で「見ちょけ(見ておけ)」というのが九州では多いと思います。



ご飯を食べてみえる

zo- (2003/05/28 11:41)

主動詞の「居る」の敬語として「見える」を使うのはたぶん共通語でもあると思います。が、補助動詞として、進行や日常の生活、反復などを表わす場合、「○○さんは今、ご飯を食べてみえる」「○○さんは、出版社に勤めてみえる」のように使うのは、方言でしょうか?私の田舎では、コテコテの方言として、「…てござる」というのもありますが、「…てみえる」は方言のようなそうでないような。「ている」に相当する補助動詞って、「ている」と「つつある」の使いわけや、使用する語彙の違いも含めて、方言間で差が大きいような気がします。よければ、皆さんの出身地の「ている」紹介していただけませんか。



入った

zo- (2003/05/28 11:34)

きしろふさん、massangeanaさんありがとうございました。

「いる」って結構慣用表現に使うんですね。
ちなみに「要る」の過去形「要った」ですが、私は東海地方の出身なんですが、母がよく使うので、方言だと思っていました。



Re: 鬼籍に入る

massangeana (2003/05/28 10:42)

むずかしいところですね。「...にいる」の慣用表現で圧倒的に多く使うのは「気に入る」でしょうが,
これはすでに「甲が乙の気に入る」だけでなくて「甲を乙が気に入る」ともいうので「気に入る」で
ひとつの動詞になっているものではないでしょうか。
それ以外のたとえば「堂に入る」はほとんど「堂に入った何々」の形しか使わないように思います。
「鬼籍に入る」は私は「はいる」と言うかもしれません。

ひょっとするとここの 2001年11月の過去ログにでている, 「要る」の過去形を
不自然と思う人が多いというのと関係あるかもしれませんね。



Re:「鬼籍に入る」

きしろふ (2003/05/27 20:55)

>zo-さん
日本漢字能力検定協会『漢検 国語辞典』だと・・・
 「入る」[い−る]***1.はいる。2.ある状態になる。3.動詞の連体形について、その動作を強調する。
 「入る」[はい−る]***1.外からなかへ移る。2.団体や組織などの一員になる。3.収容できる。4.自分のものにする。5.その時期になる。
あと、私も三省堂『新明解 国語辞典』を持っていますがそれによると、「いる」の意味の一つとして「はいる」の雅語的表現と書いてあります。
ですから、「鬼籍に入る」の「いる」はある状態になるという意味ではないでしょうか?
「悦に入る」も「いる」と読みますから。
余談ですが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の「いる」と「郷に入っては郷に従え」の「いる」は「はいる」の雅語的表現だと思うのですが・・・



鬼籍に入る

zo- (2003/05/27 20:12)

という言葉、ありますよね。あれ、私は「いる」と読んでいます。なんか「はいる」はちょっと変な感じがします。辞書にも「いる」と書いてあります。が、過去形にして名詞を修飾するような場合、どうなんでしょうか?「鬼籍にいった人」って、私の感じではなんか逆に変です。皆さんはどのように使われるでしょうか。



なるほど

たまお (2003/05/26 20:17)

未菜実さま
たくさんの資料に当たってくださって、ありがとうございました。
「率」説は、個人的には納得がいきます。
ひとつ謎がとけて、ホッとしたこと。助かりました。



台湾語の歌

zo- (2003/05/26 20:06)

歌の内容と言葉のイメージは別として…。

やってできないことはないかもしれませんが、北京語で「子」を語尾に持つ2音節の単語が、台湾語では「仔」を持つとは限らず、一音節になってしまったり、単語そのものが、北京語の台湾語発音読みだと、非常にこなれない感じがしたりしてしまうものも多いと思います。逆に台湾語の歌を聞いたり、歌詞カードを見たりすると台湾語独特の単語がかなり用いられているので、仮に北京語の歌を台湾語で歌っても、台湾語の歌らしくはないと思います。文法については、もちろん基本的には近いですが、北京語の「還是」であるところに「ah是」という語源不明の語を使ったり、程度補語構造の「V得C」に「VgahC」というこれまた語源不明の語を使ったりします。これらは訓読字として読めばいいかもしれませんが、北京語で「V過」であるものを、台湾語では「有V(過)」「batV(過)」といったり、また程度補語にしても、北京語でいう「V得C」を用いるとは限らず、台湾語ではそれに相当するさまざまな表現があったりと、必ずしも一対一の対応をしていません。できないとはいえないでしょうが、いくつか面倒な点もあるようです。



re:点字の改訂

鴛鴦 (2003/05/26 18:22)

>点訳者さん
ありがとうございました。
ニーズによってくっついたり離れたりと(^^)





辻本裕幸 (2003/05/26 16:48)

ところで、前にも似たような質問をしたと思いますけど、広東語の歌って、発音が広東語と言うだけで、文章は国語と全く同じなのでは?係haiとかみんな、是siと、国語の語彙に置き換えられている。おそらく文法も同じなのでは?と言うことはすべての歌が、国語と広東語両方で歌えると言うことになりますよね。
 台湾語の歌もそうですか?



Re:そつ

未菜実 (2003/05/26 16:38)

あまり良い資料ではないのですが、ことばの豆辞典第6集(角川文庫:三井銀行ことばの豆辞典編集室)の「抜かりない」の項に「そつがない」に言及していて、
「そつがない」の「そつ」とは、軽率、むだなどを意味する言葉です。
なお、漢語の「率」には、一定の規準、きまりの意味もあるそうですが、軽率の場合の「率」は、はっと急に引き締まる様の意だそうです。つまり、軽率は軽はずみの意味でしょうか。
とあります。

なお、普通に辞書では「そつ」はひらがなになっていますが、江戸語の辞典(講談社学術文庫)では、卒の字をあて、1.手落ち、手抜かり 2.むだ としています。

卒=率 ですから 中国語辞典(小学館)の「率」の項を見ると、1.率いる 2.軽はずみである 3.率直である とあります。

語源不明の方が正しいのでしょうが、「そつ」=「率」説もあるような気もします。



然様ですか

たまお (2003/05/26 13:55)

では、仕方ないですよね。
調べてくださって、ありがとうございました。



Re:そつ

らにい (2003/05/26 12:40)

三省堂『新明解 国語辞典』では「語原不詳」と・・・



そつ

たまお (2003/05/26 12:14)

ここしばらく探しているんですが、なかなか見つからなくて。
「そつがない」の「そつ」の語源はなんでしょう?
どなたか教えてくださいまし。



そういえば

zo- (2003/05/26 11:23)

お経は音読みですね、殆ど。



漢詩

zo- (2003/05/26 11:16)

漢詩の詩吟とかも、訓読したものを使いますよね。確か、江戸時代の荻生徂徠とか、中国音で読むことを主張していたんじゃなかったでしたっけ?近代でも漢音で読む漢文直読論というのを唱えていた人がいます。確か韓国では吏読というのがあって、韓国の漢字音を使って、日本語の訓読ほど一つ一つじゃないですが、多少ひっくり帰って読むことが行われていました。そういえば高駒さん、どうしちゃったんでしょうねー。

広東語の歌は広東語で、台湾語の歌は台湾語で楽しみましょうよ。



日本語で漢語を歌う。

辻本裕幸 (2003/05/26 10:07)

huについてありがとうございました。少し分かったと思います。
 ところで日本では、漢詩や漢文を全て音読みで読むような習慣ってないんですか?必ず、「シ イハク」とかあんな風に訓読みにしないといけないんでしょうか?韓国では、全部音読みで読むと聞きましたが。
 私は馬鹿なのでいろいろとくだらない事をします。この前サンデーラムの歌を、試しに日本語漢字音の音読みで歌ってみました。そしたら、広東語そっくりになりました。「唯有這一時的高興能譲我」【waiyau zeyatsi dik gouhing nengyoeng ngo】を「ユイユー シャイッシ テッ コーコー ノージョー ガ」みたいに。漢語らしくなっていますよ。ただ清音の有気無気摩擦音が区別できないので、ちょっとヤバイですけど。歌うコツは、入声部分は、本物の入声みたいに弱く歌うことです。そうすれば全音節一拍で歌えます。なんかこういうの流行らしたいなと思うんですが。1.呉音にそろえる 2.漢音にそろえる 3.呉音漢音慣用音チャンポンで行く 4.旧仮名遣いにする まあどれでもいいんですけど、漢詩とか、漢語を日本語の一部分と解釈するならばですね、日本歌謡曲界にこういうジャンルがあってもおもしろいかと思うんですが、いかがでしょうか?ヒトトヨウとか誰かやってくれないですかね?



Re:瑞

zo- (2003/05/26 08:56)

『新字源』によると、漢音はセン、慣用音はゼンのようです。慣用音ってなんかつかみ所ないですね。



Re:瑞

zo- (2003/05/26 05:30)

喘を「ぜん」と読むのは不規則な対応してるんですか。

なんとなく、どうして「スイス」が「瑞士」なのか、分かったような気がしました。でも北京語から来てるとは限らないか・・・。



介音

zo- (2003/05/26 05:20)

massangeanaさん

 ありがとうございました。音韻って、やっとこの部分では一段落つく頃かなと思うと、また分からないところが出てきて、堂々巡りです。ご解説もかなり難しいのですが、勉強します。



Re: 瑞

massangeana (2003/05/26 04:50)

おっと, 「瑞」は呉音ならズイでかまわないのでした。
すると変なのは「喘」の方ですね。



Re: 瑞

massangeana (2003/05/26 04:48)

zo- さんどうも。日本語の「瑞」がズイと濁るのはどうしてなんでしょうね。
「喘」がゼンになるのも気になります。



Re: 介音

massangeana (2003/05/26 04:39)

韻鏡の四等というのはじっさいにはいろいろ異なる由来のものがまじりあって
います。「直音と拗音が一、二、四等と三等に分けられる」といったときの四
等はそのうちの一部(直音四等韻・仮四等韻などと呼ばれるもの)を指します。
それ以外の四等におかれている字は三等とみなしているのです。しかし, 「三、
四等は介音iを持っている」といったときの四等はそうではありません。

>四等韻は、六朝の頃は介音iを持っていなかったが、宋代の『韻鏡』
>の頃には介音iを持つようになったと考えてもいいんでしょうか。

直音四等韻は e のような前よりの母音をもっており, これが ie のような二
重母音の韻(重紐四等)に合流したようです。韻鏡で直音四等と重紐四等が両方
とも四等にあらわれるのは, そのことを反映しているのだろうと思います。
宋代といわず, 8世紀末長安方言の主要な資料である慧琳音義ですでに合流し
てしまっています。
切韻の序文に「先仙・尤侯, 倶論是切」という文があり, すでに先韻(直音)と
仙韻(拗音)の間に混乱があった(もっとも同音でなくて押韻したというだけか
もしれませんが)ようです。先と仙, 蕭と霄, 清と青などの韻がとなりあって
いるのも, これらが近い韻と考えられていたことを示すのかもしれません。



Re: h+uについて

massangeana (2003/05/26 03:46)

たぶん辻本さんのおっしゃるように hu- は「ホ」のように聞こえることが多
いと思います。それほどでないにしても duan と guan でも guan の方が少し
「オ」に近く聞こえるのではないでしょうか。あるいは suan と shuan では
shuan の方が「オ」に近く聞こえるのでは。

思いつきなので違っているかもしれませんが, 「h」の調音位置がほかの子音
にくらべて後ろにあるため, より暗いこもった音がでるのが, 「オ」に聞こえ
る理由ではないでしょうか。



点字の改訂について

点訳者 (2003/05/25 23:18)

Maniac C. 様
>やはり普通の表記法が基本で、点字用の表音的な書き方が在るわけでは
ないのですね。違う言い方を強調したいときだけ、そういう書き方になる、と。
 そうですね、基本は現代仮名づかいに基づきます。しかし、例えば長音といって、
 「交通」は「コウツウ」とはならず、「コーツ−」と打ちます。しかし「胡瓜」は
 「キューリ」とはならず、「キュウリ」と打ちます。これは「きゅうり」の「う」が
 「こうつう」の「う」と違って、単にのびる音を表わしているのではなく、「瓜」の
 「う」だからだそうです。

 また、改訂についてですが、これはほとんど分かち書きに関する改訂です。
 分かち書きというのは、テキストから引用すると、「点訳は、仮名まじり文である墨字(点字に対して普通の文字をいう)と違って、仮名文字である点字を使うので、言葉の
 区切りをはっきりさせるために分かち書きをする。言葉(自立語)と言葉(自立語)の
 間は区切って書き、助詞や助動詞などの言葉に付属して使われる言葉(付属語)は前に
 続けて書くのが原則である」とあります。
 例えば「私はいつも夜遅くに寝ます」は「ワタシワ イツモ ヨル オソクニ ネマス」
 となります。
 改訂されているのは例えば、「不忍池」は以前は「シノバズノ イケ」でしたが、
 現在は「シノバズノイケ」と続けて打ちます。これは時代を経て、これ一語で
 固有名詞として認知されたからということと、複合名詞は3拍以上の意味の
 まとまりごとに区切って書き、2拍以下のものは続けて書くという原則があるから
 だと思います。
 また、古語的表現の助詞である「して」は「ローセズシテ(労せずして)」のように
 今までは続けて打っていましたが、最近「ローセズ シテ」のように、「して」「し」
 「する」「させる」などは全て区切るようになりました。これは多分、点字使用者から
 「分りづらい」などの意見があっての事だと思われます。

鴛鴦様のご質問に対しても、上記のようなお答えでよろしいでしょうか?

私自身、まだまだ点訳初心者で、国語力も不足しているため、ちゃんとご説明できているのか
わかりませんが、今回はこの位でご勘弁を…。



やっぱり文字化けした

Maniac C. (2003/05/25 15:36)

「オック語とオイル語」で半角の accent grave とその前の母音が消えてしまっています。
全角に直して部分的に再々投稿します。
 「生温かい」te`be[tEβe] : tie`de[tjEd]
 「空」ce`l[sEL] : ciel[sjEl]
 「心臓」co`r[kO(R)] : cuer > coeur[koe:r]
 「子羊」anhe`l[An~EL] : agneau[an~o]
 「身振り」ge`st[dзEst] : geste[зEst]
 「父」paire[pAiRe] : pe`re[pE:r]
 「石」pe`ira[pEiRO] : pierre[pjE:r]
 「〜だ」e`sser[Ese] : estre>e^tre[Etr]



re オック語とオイル語

Maniac C. (2003/05/25 15:07)

>青蛙さん&松茸さん
大分前(5/16)の話で恐縮なのですが。
>パリ方言@オイル語(langue d'oil)とプロヴァンス方言@オック語(langue d'oc)の特徴など、簡単にご教示いただけたら幸いです。
という一文に対する回答が、ようやっと公開できるとこまで漕ぎ着けました。
■単語の語形と発音の主な違いを以下に載せてあります。
■左がオック語形、右がオイル語形です。
■発音記号はweb上ではかなり制限されますので、以下のように代替しています。
 A→奥舌の「ア」、E→広い「エ」、O→広い「オ」、L→暗いl、R→巻き舌のr、
 β→両唇摩擦音のb、λ→口蓋化したl、n~→口蓋化したn、з→∫の有声音。
 もし仏語がお読みになれるのでしたら、より詳しくは下記で、左画面のServices
 からOnline courseを選び、Leçon 0 : prononciation を御覧ください。
 http://occitanet.free.fr/en/index.html
■オック語は仏語の古い形を保存しているものが多く在ります。
@ 強勢の無い語尾の-a が保存される。
 「扉」porta[puRtO] : porte[pOrt]
A 母音間の -g-, -b-, -d- が保存される。
 「湾」baga[bagO] : baie[bE]
 「生温かい」tbe[tEβe] : tide[tjEd]
 「生命」vida[βidO] : vie[vi]
B 強勢の有る開音節の母音が重音化しない。
 「空」cl[sEL] : ciel[sjEl]
 「心臓」cr[kO(R)] : cuer > coeur[koe:r]
 「塩」sal[sAL] : sel[sEl]
 「布」tela[telO] : teile > toile[twal]
 「花」flor[flu(R)] : flour > fleur[floe:r]
 ※但し、半子音の前では二重母音化が見られる。
  「寝台」lieit,liech[ljeit,ljet∫] : lit[li]
  「夜」nueit,nuech [nyeit,nyet∫] : nuit[nyit]
  「9」nueu[nyeu] : neuf[noef]
   (オイル語では中央の母音が脱落している)
C ca, ga が口蓋化しない。
 「暑い」caut[kaut] : chaud[∫o]
 「庭」gardin[gaRdE~n] : jardin[зardE~]
D 二重母音 au が保存される。
 「金」aur[au(R)] : or[O:r]
E 鼻母音の後の子音が保存される。
 「良い」bon[βO~n] : [bO~]
F 湿音の l, n を lh, nh と書く。
 「藁」palha[pAλO] : paille[pA:j]
 「子羊」anhl[An~EL] : agneau[an~o]
G [t∫][dз]が保存される。([ts][dz]と発音される地域もある)
 「高価な」cher[t∫e(R)] : cher[∫E:r]
 「身振り」gst[dзEst] : geste[зEst]
H ラテン語のtの痕跡がiとなって保存される。
 「父」paire[pAiRe] : pre[pE:r]
 「石」pira[pEiRO] : pierre[pjE:r]
 (ラテン語のtrがtr>dr>irとなって、オイル語では更にir>rと脱落した)
I lが母音化しないこともある。
 「夜明け」alba[ALβO] : aube[o:b]
 「偽りの」fals,faus[fALs,fAus] : faux[fo]
 「他の」autre[AutRe] : autre[o:tr]
J s+子音のsが保存される。
 「島」isla[isLO] : i^le[il]
 「学校」escola[eskuLO] : e´cole[ekOl]
K 重子音を発音どおり単子音で書く。
 「僧院長」abat[AβAt] : abbe´[abe]
 「息を吹く」soflar[suflA] : souffler[sufle]
 「焔」flama[fLAmO] : flamme[flA:m]
 「滴」gota[gutO] : goutte[gut]
L qua-がca-と書かれるものがある。
 「4」catre[kAtRe] : quatre[katr]
 「波止場」cai[kAi] : quai[ke]
M b以外の語中子音が現れない。
 「部屋」cambra[kA~βRO] : chambre[∫A~:br]
 「灰」cenre[sA~nRe] : cendre[sA~:dr]
 「〜だ」sser[Ese] : estre>e^tre[Etr]
■rey : roy に関しては、次のような歴史的関係に有ります。
 羅語の狭いeが、古仏語(9-10c.)ではeiと二重母音化します。これが12c.にoiに
 移り、強勢が第1要素から第2要素へ移り、oi>oe>oE(13c.)>wE(14c.)>E(16c.)
 >wE>wa(17c.末)となって、現代中央仏語の発音につながるのです。
 やはり古仏語の形がオック語に残されている、という例ですね。
■地方ごとの詳しい特徴や文法的な違いもお知りになりたければ下記をご覧ください。

http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ykawa/results/romance(1998).htm



一応

鴛鴦 (2003/05/25 09:23)

>点訳者さん
はじめまして。宜しくお願い致します。
>「点字もユーザーのニーズに合わせて改訂していますが」
ということですが、時代を反映させて改訂することはありますか?
一応、手話は時代を反映させて改訂することはあります。例えば「新幹線」を表現するときは新幹線の先頭の形を(顔の前で)表現しますが、昔は丸く、今はとがったように表現します。
(但し、自分自身はほとんど手話の知識はありません。これだけは知っているということです・・・ ^^;)





zo- (2003/05/25 08:40)

辻本さんへ

 確か、瑞の語音について書込まれていたと思うのですが、偶々以下の論文を読みました。

郭力「近代漢語後期幾個字的声母演変」

これによると「瑞」は『広韻』では禅母、『中原音韻』『合並字学集韻』『五方元韻』などではsのそり舌音で、『官話萃珍』(1898)ではsのそり舌、zのそり舌が見られ、瑞祥などにはzのそり舌が用いられ、sのそり舌が用いられるのは、瑞典国の時だけだそうです。



介音

zo- (2003/05/25 06:56)

Massangeanaさん

また助けていただきたいことがあります。『広韻』の声類について質問し、唱えやすくするために、直音とそうでないものを分けたと教えていただいたんですが、それから自分でも勉強し、一、二、四等と三等に分けられることを知りました。普通、等韻学の説明を見ると、三、四等は介音iを持っているとあります。四等韻は、六朝の頃は介音iを持っていなかったが、宋代の『韻鏡』の頃には介音iを持つようになったと考えてもいいんでしょうか。もしそうならどういう変化が起こったんでしょうか。それから、四等に並べられている韻は数が他よりかなり少ないように思うんですが、何か理由はあるんでしょうか。



re 点字

Maniac C. (2003/05/25 00:51)

>大阪弁を強調するように…そのまま「ユーテハル」と打ちます。
なるほど。やはり普通の表記法が基本で、点字用の表音的な書き方が在るわけでは
ないのですね。違う言い方を強調したいときだけ、そういう書き方になる、と。

>点字はもともとフランス人が作った物
Louis Braille という、19世紀前半の盲人音楽家の方ですよね。
英語では点字(法)のことを、そのまま Braille と言います。

>点字もユーザーのニーズに合わせて
>改訂しています
へえ、そうなんですか。
もし時間的に余裕がお有りの際には、どんな改訂が行われているのか、もう少しく詳しく
お聞きしたいものですね。

またいつでもどうぞ。御質問を楽しみにお待ちしております。



re 浮世風呂

点訳者 (2003/05/25 00:07)

Maniac C. 様
ご親切にありがとうございました。
点字では「言う」は通常「イ・ウ」と打ちますが、
大阪弁を強調するように「ユーてはる」などと表記してある場合は、
そのまま「ユーテハル」と打ちます。
今回の場合も大坂弁を強調したいので「ユーテジャサカイ」と打つ事になります。

点字はもともとフランス人が作った物なので、日本語に当てはめた時に、
かなり無理矢理だったり、複雑な決まり事を作らざるを得なかったように思います。
そして、日本語が日々変化しているように、点字もユーザーのニーズに合わせて
改訂していますが、それが却って従来の点字利用者の混乱を招く事になっており、
日々勉強です。
しかし、今回質問させていただいたような点では、基本的に自分の日本語力が
不足している事を思い知らされます。少しはこちらの皆様を見習わねば!
本当にいろいろとありがとうございました。



質問

Maniac C. (2003/05/23 23:56)

点訳者さん。
「言う」は点字では「いう」ですか、「ゆー」ですか?
もしそうなら、下記は
「きょーわどーしてやら、まるたいてくわそと、こないゆーてじゃさかい、ひるわまるじゃ」
となると思いますが。

ちなみに現代語訳は「今日はどう言うわけだか、スッポンを煮て食べさせようと、
このように言っているのだから、昼食はスッポンだ」となります。



re 浮世風呂

Maniac C. (2003/05/23 23:49)

>「今日はどうしてやら、丸焚いて食はそと、こない云うてぢゃさかい、昼は丸じゃ」
「きょうはどうしてやら、まるたいてくわそと、こないいうてじゃさかい、ひるはまるじゃ」
でしょう。

お仕事、頑張ってください。



落語「浮世風呂」

点訳者 (2003/05/23 21:48)

先日は「志不可起」の読み方を教えていただいて、大変助かりました。
ありがとうございました。

また皆様のお知恵をお借りしたいのですが、よろしいでしょうか?

式亭三馬の「浮世風呂」の一節、
「今日はどうしてやら、丸焚いて食はそと、こない云うてぢゃさかい、昼は丸じゃ」の
『食』の読み方は「しょく」で良いでしょうか?それとも「くう」などと読むのでしょうか?
それとも別の読み方はあるでしょうか?ちなみに丸はスッポン汁の事だそうです。

落語協会にでも聞いた方が良いのだろうかと思いつつ、また皆様のご好意に甘えに来て
しまいました。よろしくお願い致します。



ちなみに

zo- (2003/05/23 17:42)

私はhuoがfoに聞えることはありませんが、私もuとuoではどっちだったっけと思うことがあります。掌握の握とか。



私の場合は

zo- (2003/05/23 17:35)

きっと詳しい方が説明してくださると思うんですが、私の場合はどの発音の時でも口先の丸さは同じで、日本語よりもかなりきつくすぼめていますが、口の中の広さがやや違っています。一番広くなっているのはHua、huangです。その次にhuoで、それよりやや狭いのがhuanです。素人考えだと、Hua、huangはaが続くので口を広げる準備しているが、huanはaだけど、あとにnがくるので、aがそんなに口を広げない、ややeに近い発音になっているのかなあという感じです。



h+uについて

辻本裕幸 (2003/05/23 08:50)

いまさら聞けない、素朴な疑問ですが、
 どうして中国語の介母音【u】、duan,suan,guanとかはトゥアン、スアン、クアンのように「ウ」に聞こえる。しかし、huanはホアン。huiはホイ、huaはホアと、声母hを有したときは、【u】が「オ」のように聞こえる。さすがに、huoは後ろに【o】が来るため、フオのように聞こえるが、そのために私は、【fo】のようにうっかり発音してしまうこともあります。
 これらは、なぜでしょうか?



ママ

poronup (2003/05/23 03:35)

ママについては、私も聞いたことも見たこともありません。おそらく幽霊アイヌ語であろうと私も思います。

ただ、(自分が見た)辞書に載ってないから、このアイヌ語は存在しないと、と断言することはできないのではないでしょうか。
もしかしたらほかの辞書・文献に載っているかもしれません。

逆に「ママ」がアイヌ語だというのでしたらそれはどのような根拠でそう言えるのか聞いてみたものです。どこそこの文献に載っていたとか、これこれの伝承者のアイヌ語の語りの中に出てくる、という根拠がはっきり提示されれば信用するに足ると思います。
根拠があやふやなら幽霊アイヌ語である可能性が高いと思います。

それからついでに。
下で紹介されている佐藤さんの文章で論じられていますが、少なくともmamtaというアイヌ語は存在します。地名小辞典のmamの項をご覧ください。
ただし、mamtaが「美しい」という意味だという解釈はおかしいです。mamtaはバチェラー辞典にも載ってますが、mamtaは、赤ちゃんなどが「かわいい!」、というときに発する間投詞のようです。
「四万十川=非常に美しい」という説は、おそらくバチェラー辞典あたりを見て解説をきちんと見ずに、寺田寅彦あたりがっこじつけたものでしょう。ただ、mamtaというアイヌ語が存在しないと言うことはできないと思います。間違っているのは解釈です。



ありがとうございました!

惷叡 (2003/05/23 00:45)

massangeana様、どうもありがとうございました(深々)
このように詳しく教えていただいて感謝しております(^^)



ありがとうございます!

ay (2003/05/22 22:10)

massangeana 様
どうもありがとうございます。すいません、一行で終わるような質問で・・・



万葉集

zo- (2003/05/22 17:22)

massangeanaさん、どうもありがとうございます。

『万葉集』は私も大学時代に好きで漢字の原文を読んでいました。当時は訓には興味がありましたが、音は知識が全くなかったので、気にしなかったんですが、なんか、とても興味が出てきました。この掲示板やmassangeanaさんはじめ皆さんのおかげで、音韻などにとても興味が出てきました。



Re: オ段甲類と乙類の音価

massangeana (2003/05/22 16:00)

zo- さん:
私がみたことがあるのは「甲類が wo, 乙類が o」, 「甲類が o, 乙類があいまい母音」,
「甲類が広いo, 乙類がせまい o」, 「甲類が o, 乙類が中舌円唇母音」などです。



Re: 万葉仮名の「の」つづき

massangeana (2003/05/22 15:35)

話を単純化しすぎたので, さらに補足を。

じつは「野」を意味する万葉仮名に「奴」を使った例がひとつあります(4387
番)。ただし作者が千葉の人なので, 東国方言なのだろうと思います。

14巻には「野」に「乃・能」を使った例がありますが, これは14巻に後世の手が
加わっているからと考えられます。

さらにややこしいことに「努・怒」などが「ぬ」を表すこともあったらしいの
です。
万葉集では菟原処女(うなひをとめ)をめぐって 2人の男が争う有名な話(1809
番)で, 茅渟壮士(ちぬをとこ)の名前が 2回出てきますが, 1回めは「智弩壮士」,
2回めは「血沼壮士」と書いてあります。1811番では「陳努壮士」です。同じ
話が 4211番にもあり, こちらでは「知努乎登古」になっています。「沼」が
「ぬ」であって「の」でないことは他の歌から明かなので,
 1. 「弩・努」は「ぬ」と読むこともあった
 2. 「ちぬをとこ」と「ちのをとこ」の 2つの形があった
 3. 「弩・努」は写本の誤りで, じつは「奴」と書いてあった
のどれかの解釈をすることになりますが, ふつうは 1. の説をとるようです。
2. も不可能ではなくて兎に「うさぎ・をさぎ」の 2つの形があることなどと
同様と考えられなくもないのですが, 同じ歌の中で両方が出てくるというのは
やや不自然かもしれません。3. は複数の歌について「弩・努」が使われてい
るので無理なのではないかと思います。

この茅渟についてはさらに, 日本書紀の巻三, 神武即位前戊午年に「五月丙寅
朔癸酉, 軍至茅渟山城水門(亦名山井水門。茅渟此云智怒)」とあります。これ
は茅渟(いまの大阪湾)を「智怒」と読むということですが, 古事記には「到血
沼海」のように「血沼」と書いてあることから, ここでも「怒」はノ甲でなく,
ヌをあらわしているのでしょう。



「ママ」

松茸 (2003/05/22 12:52)

> "真間"(=崖)という地名がそれに当たると聞いています。
……手もとに辞書がないので、Web検索した限りでは、“「ママ」=崖”も幽霊アイヌ語みたいです。(^^;
cf.
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/aynu/kawatimei.htm
| 「また、アイヌ語では切り立った崖を「モモ」という。」
|
| 田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』草風館
| 中川裕『アイヌ語千歳方言辞典』草風館

| 萱野茂『萱野茂のアイヌ語辞典増補版』三省堂
| 知里真志保『地名アイヌ語小辞典』北海道出版企画センター
| 以上の辞典に「モモ」という単語は存在しない。



訂正

yu-zen (2003/05/22 11:19)

題名”感謝”を入力するのを忘れていました。すいません。



(無題)

yu-zen (2003/05/22 11:17)

D.B.A.様
「芦別岳」、「○△ヌプリ」や「○△ネ・シリ」の例など、今後の調査の上での指針として非常に参考になりました。有り難うございます。
”それぞれの地形を表す単語の「概念規定」を、特定していく”ことはアイヌ語でも特に興味のある分野です。
千葉県市川市に住んでいるのですが、うちの市にもアイヌ語起源と言われている地名があります。
"真間"(=崖)という地名がそれに当たると聞いています。
確かに、この付近は坂(かつては崖だったが、人工改変が加えられている)が多いです。
この崖は縄文海進期に形成された旧海食崖(波力による浸食で形成された崖)です。
poronup様
1:50000"然別"で確認したところ、確かに蛇行の激しい河川でした。
まだ調べていませんが、もしかしたら、釧路湿原周辺でもShi-kariとつく地名が存在するかもしれないと考えています。
山田秀三『アイヌ語地名を歩く』(北海道新聞社)、さらっと目を通して見ました。
これから本格的に読んでいくつもりです。



中国式 台湾式

辻本裕幸 (2003/05/22 10:20)

しかし英語は羨ましい。イギリス英語アメリカ英語の違いの様な物が、きちんと決められていて、イギリスで英語を学んだ人が、アメリカでしゃべっても十分、その違い(aeの母音を発音するとか、語尾のrを発音するしないとか。)に市民権が与えられているからだ。
 しかし中華人民共和国普通話と中華民国国語の違いはそのように公式といえるほど、認識されているだろうか?私は、どちらかというと、中共寄りの人間である。(とりあえず、中国は共産党一党独裁の方が良いと思っているという事。)しかし言葉の面では台湾に部があると思います。
1.下手に略字をせず、繁体字を使っていること。(簡体字は北京音に従って作られている、全土で通じる概念ではない。)
2.中華民族独自の注音符号を使っていること。
3.この前私が見た、映画「多桑」の様に、(中国の、大部分の地域の人間が発音に困難を有する)そりじた音zh、ch、shを、z、c、sの様に正歯音で発音することを、公式な場でも、うるさく言わないこと。(そのように発音しても良いから、映画でもそのように発音していると言うことでしょう?)
私は、注音符号はちょっと使えないんですけど、繁体字を使うし、そりじた音も正歯音で発音する主義です。ですから、「俺の英語はアメリカ英語だ」みたいな感じで、「俺の中国語は台湾式だ」みたいにいえる物なら言いたいですね。でも今はそう言える段階ではない。上記のような違いが、正式に漢語学習者の間で認識されていないから。だから繁体字で文字を書くと、「簡体字を覚えろ」と同級生に命令されるし、「我是日本的 wo si ri ben de ウォースーズーペンダ」の様に発音すると、「そんな発音するな」と同級生にいちゃもんをつけられる。
 しかしどうして日本人てあんなにお節介なんでしょう?人がどんな風に発音しても自由やし、ええやん!しかし一つの標準以外の発音をしないと、すぐ、「どうしてそんな発音するんや?」と、うるさくてかなわん。何で私が、そういう発音するかと言えば、今まで恋をしてきた人が、四川人、南京人、広東人だったからだ!この人たちはみんな、そりじた音と正歯音を区別しないで発音する人たちだったし、lとnも区別していなかった。だから私もそういう風に発音することにした。誰だって、自分の好きな人のしゃべり方は真似したいと思うでしょ?そういうしゃべり方が、「台湾式中国語」として市民権を得たら、邪馬台(ヤマト)はらからも、文句を言ってこなくなるかと思われます。今は日本人の前で中国語をしゃべるのは、すごく嫌だ〜



北朝鮮について

辻本裕幸 (2003/05/22 09:57)

ところで、北朝鮮って、使ってもいい言葉なんでしょうか?私も昔は使っていましたけど、今は止めた。朝鮮民主主義人民共和国の人たちは、北朝鮮という言葉が嫌いだそうだからだ。当事国の人たちが嫌がる言葉を故意に使ってもいいのでしょうか?だから今は、私は朝鮮といっている。北朝鮮とは、多分アメリカやその傀儡政権の視点で見た言葉である。私は朝鮮半島をアメリカの目では見ず、中立の目で見ているので、ここはやはり、朝鮮と呼びたいですね。



なるほど

zo- (2003/05/22 08:40)

massangeanaさん

 万葉仮名のこと、大変勉強になりました。惷叡さんのご質問、そういう意味だったのか、と解説を読んではじめて気づきました。

 ちなみに、甲類ノと乙類ノはどんな音だったかということは推定されているんでしょうか?



万葉仮名の「の」つづき

massangeana (2003/05/22 08:15)

つづきを書こうとして根気が切れました :-)

この「努・怒」について新しい解釈がなされるようになったのは上代特殊仮名
遣が知られるようになったのが原因です。本居宣長はすでに「こ・と」などに
使われる万葉仮名が語によって違っていることを指摘していましたが, 一般に
はこの現象はふかく考えられてきませんでした。詳しくは橋本進吉「古代国語
の音韻に就いて」を読んでみてください。

 http://www.aozora.gr.jp/cards/000061/files/510.html

オ段の「こ・そ・と」などが万葉集時代には 2種類に分かれることがわかった
ために, 「野」が助詞の「の」と違った仮名でかかれているからといって, 野
を「ぬ」と考える必然性はなく, 「の」が 2種類に分かれていたと考えること
が可能になりました。「努・怒」で書かれている語が原則として現代語で「の」
になっていることも, この字であらわされる音が 2種類の「の」の 1つである
と考える根拠になります。中国語で同音である「努・怒」と「奴」を「の」と
「ぬ」に分けてつかったのは, 当時の中国語でこの 2つを区別するのに適当な
字がなかったためと考えることが可能です。

(枕詞の「ぬばたまの」が「野干玉之」のように書かれるのはどう考えるんだ
ろう?)

なお, 現在「の」と読まれる 2種類の音を「ノ甲類・ノ乙類」と呼ぶのは便宜
的なもので, 万葉時代に今の「の」に似た音だったという保証はありません。



Re: 朝鮮語

Maniac C. (2003/05/22 07:28)

To Mr massangeana,
>うーん, つっこみ甲斐が ^^;
→ある? ない?
いっぱい突っ込んでください。こちとら、怪しいのは百も承知の上ですから。
>「ノッポ」や「ハナから」や「わっしょい」は単なるこじつけ
→でも、和語としての語源は不明では?
>「クサ(草)」とコッ(花), 「ウリ(瓜)」とオイ(きゅうり)のように,
>日本語と朝鮮語の同源説に使われる語
→あら、そうでしたか。また無知が露呈されてしまった。
>借用かどうかはよくわからない
→そうですね。「借入語」としたのはまづかったかも。
> putche なる語
→元ネタは、森正俊『梵和英三語考』in『角川外来語辞典』:
「ホトケはBuddhaが印度から支那朝鮮を経由して我国に這入って来る間に音声変化
して出来上がったもので,朝鮮語ではPutcheという事を岡倉先生から教わって知った.
Putcheからホトケは確かに近い音である」



Re: 万葉仮名の「の」

massangeana (2003/05/22 06:49)

惷叡さん:
われわれは万葉集を現代日本語の音で読んでいますが, 当時の発音といまの発音は
かならずしも同じでないはずなので, いま「の」と発音していても, 万葉集の時代
に「の」であったとは必ずしもいえないわけです。
万葉集の仮名を見ると, 助詞の「の」は「乃・能」などの字を使って書かれていま
すが, 「野」には(一部の巻の例外をのぞいて)これらの字が使われることはなく,
かならず「努・怒」などで書かれています。たとえば「波流能努尓(春の野に,837番)」
のように, はっきり助詞の「の」と名詞の「野」は違う字が使われています。

さて, 「努・怒」は中国語では(声調をのぞいて)「奴」と同じ音です。
「奴」はいまのひらがなの「ぬ」のもとになった字ですし, 「努・怒」を
くずした字も江戸時代には「ぬ」の仮名として使われていました。さらに万葉集
では「奴」を否定の「ぬ」と同じ場所に使っています。
 例: 阿岐太良奴比波(飽き足らぬ日は, 834番)
以上から「野」が万葉集時代に「ぬ」と読まれていたと考えることが可能です。
かなり科学的な根拠があることがわかると思います。

(つづく... かな?)



湖の名前

D.B.A. (2003/05/22 06:48)

北海道内の地名は、河川を指し示すアイヌ語地名に由来するものが大部分です。
「芦別岳」は、has-petという川の「水源に位置している山岳」であるため、
河川名が山岳名として、転移・借用された、・・・いわゆる、和人が入ってきてから、
付けられた「和語地名」と考えられます。

よって、「○△ヌプリ」や「○△ネ・シリ」というようなもの以外は、
和人によって、付けられた山岳名と考えてだいたいよいように思います。

「然別湖」についても、おそらく、単に「トto」と呼ばれていたものが、
「然別川」の流域に存在することから、河川名を借用して、発祥したものと考えられます。
また、sikari-pet・・・というアイヌ語河川名は、道内各地に例があり、
スキーのウェーデルンのように、「小刻みな曲流を繰り返して流下する河川」
を表現する場合に用いられます。

なお、知里・小辞典は、「地理屋」が使える「地形学用語」では表現されていません。
今後、道内のリストアップがされた時点で、それぞれの地形を表す単語の
「概念規定」・・・「相当する地形学用語」を、特定していく必要があると考えます。
yu-zenさん、メール・アドレスをこの掲示板に投稿する際に記載してくれると、
個人的にも、お役に立てるのではないか・・・と考えています。

ところで、今、どこに住んでいますか?都道府県名でいいですから、教えて下さい。



Re: 北緯@度@分

massangeana (2003/05/22 02:56)

ayさん:
緯度・経度に限らず角度の「分」は「ふん」ですね。温度だと「ぶ」ですが。



北緯@度@分

ay (2003/05/22 02:11)

始めまして、ayです。
北緯とか西経の@度@分の「分」は「ふん」もしくは「ぷん」なのでしょうか、それとも「ぶ」と読むんでしょうか。もしくはそれ以外の読み方があったりしますか?ちょっと指摘されたもので・・・。ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。よろしくお願いします。



万葉仮名の「の」

惷叡 (2003/05/21 22:25)

初めまして、惷叡と申します。
早速なのですが、母音交替での「野」を「の」とも「ぬ」ともなる事は誤りであり、「の」と言う万葉仮名「努」「怒」「弩」を国学者が「ぬ」と誤解したのが原因であるそうなのですが。
何故、誤解してしまったのでしょうか?それには何か根拠があったのでしょうか?
どなたか御存知でしたら教えて下さいませ。



Re: 朝鮮語

massangeana (2003/05/21 18:29)

うーん, つっこみ甲斐が ^^;
「ノッポ」や「ハナから」や「わっしょい」は単なるこじつけでしょうし,
「クマ」や「ハタ」は, 「クサ(草)」とコッ(花), 「ウリ(瓜)」とオイ(きゅうり)のように,
日本語と朝鮮語の同源説に使われる語で, 借用かどうかはよくわからないと思います。
「ムラ」は「群ら」であるという説もあります。もちろん「群れ」自体が朝鮮語と関係あると
考えることも可能ですが, そうするとやはり借用よりは同源説ということになろうかと思います。
「ホトケ」が浮屠から来ているという話はきいたことがありますが「ケ」が不明です。
putche なる語はみあたりませんでした。



Maniac C.さん有難うございます!!

まさる (2003/05/21 18:27)

本当に有難うございました!!
そういえばキムチやクッパは現代でも外来語だって分かる単語ですね。奈良時代までに仏教とともに入ってきたもの(例えばカササギ)のように、今では和語か漢語かと思われるようなもので頭がいっぱいで、もっと身近なところに目を向けるのを忘れていました。
これからはもっと頭を柔らかくして考えるようにします。
今後調べていくなかでほかにも意外な言葉やおもしろい言葉があれば報告しますね。



然別

poronup (2003/05/21 03:40)

yu-zen 様

はじめまして。
sikariというのは、分解すると「自ら・を回す」という意味ですが、「丸い」という意味でよく使われます。sikari-cupというと、満月です。
然別(川)は、山田秀三『北海道の地名』(草風館)によると、半円状の形をしているそうです。
川筋が旋回しているのでsikariなのでしょう。
手元に地図がないので実際の地形を確認してないですが、よかったら本当にそうなのか、どこがsikariなのか確認してみてください。

…sikariがネパール語な訳ありませんね(笑)。

辞書はとりあえず、松茸さんの挙げられたものが最適だと思います。
もしアイヌ語地名を関心をお持ちなのでしたらまずは山田秀三『アイヌ語地名を歩く』(北海道新聞社)をお読みになることをお勧めします。そして先ほど挙げた本も詳しくて非常に便利ですのでお勧めです。



日本語のラリルレロ

にれのや (2003/05/21 01:01)

■Hi, Howard! のぞいてないかな?
日本語のラリルレロを会得(えとく)する、いい方法を思いつきました。
Howard は、米語の water の発音ができますか? この water の t の発音が、日本語のラ行の子音にソックリです。t が 「反り舌(そりじた)化」 するとともに 「有声化(ゆうせいか)」 して、ラ行に子音に近い音になっています。日本人には、アメリカ人の water は 「ワラ」 に聞こえるんです。どうですか? だめかな。それより、これ読んでるかな。



足立区について

にれのや (2003/05/21 00:55)

■子供のころ、わたしの周辺では、「行ったことがある」 と 「行ったときがある」 は、完全に置き換え可能な表現のバリアントとして通用していました。ただ、「行ったときがある」 のほうが、「バカっぽい表現」 という印象でした。
■足立区というのは、東京オリンピックを契機に爆発的に人口が増えました。いわゆる、「民生住宅」 というのが大量に建設されて、都心にバラックを建てて住んでいたような人々が、ある意味で、強制的に移住させられてきたわけです。こうした人々が、どのような土地の出身者だったのかは統計をとらないとわからないでしょうが、わたしのイメージでは、訛っている人は意外に少ないです。(先祖代々足立区に住んでいたお百姓の家の人は、五十代くらいでも足立訛りというのか、下町とは違う、独特のぶっきらぼうな話し方をします)。足立区は、下町の焼け出され組が多いんですかねえ。



re朝鮮語

Maniac C. (2003/05/21 00:43)

>まさるさん(5/16)
私が覚えている限りでは、以下のようなものが朝鮮語(古語・現代語問わず)からの
借入語として在ったような気がします。(資料によって綴りが区々で御免なさい!)
カササギ=kach’i+chak(鵲)
カルビ=galbi
キ(城)=ki
キムチ=gimchi
クッパ(汁飯)=guk-pap
クマ(熊)=kom
コホリ(郡)=ko-pur
コマ(狛)犬=kom
コムタン=gomtang
タンベ(煙草)
チゲ=jjikae
チヂミ=ji-jim
チマ・チョゴリ=chima chokoli
チャリンコ(自転車)=jajeonkeo
チョンガー(総角)=ch’yong kak
テラ(寺)=chor,cheor,chol,chyeol
ノッポ=nop
ハタ(畑)=pat
パッチ=pat-chi
ハナ(最初)から=hana(1)から
ビビンバ=bibim-bap
プルコギ=bul-gogi
ホトケ(仏)=putche
ムラ(村、群)=muri,muli
メンタイ(明太)子=myeong-thae(鱈)-ja
ユッケ(肉膾)=yuk-hoe
わっしょい=wasso
…もっと在るかもしれません。



Re: 然別

ロスケ (2003/05/20 20:44)

>yu-zenさん
私もご参考までに一言。
ご紹介のサイト↓
http://www.you-i.org/nonainu.html
の作者は生田某さんという人で、現在↓のサイトで「大黒様ものがたり」という
シリーズものを連載しています。
http://ucgi.kamnavi.net/cgi-bin/kambbs.cgi

ここを見ればどのような人か、一目瞭然だと思いますよ。



re wool

Maniac C. (2003/05/20 20:23)

to Mr Massangeana,
以前、羅馬神話の本で、Vulcanus(英語読み・ヴァルカン)を、「ウゥルカーヌス」と表記
してあるものに出喰わし、「Woman=ウーマンの淵源はこれだ!」と感動したものです。
「ウール」も恐らく、この伝ではないでしょうか。



”松茸”さん有難うございます

yu-zen (2003/05/20 20:08)

知里真志保『地名アイヌ語小辞典』、本屋で探してみます。
Web上のアイヌ語地名解釈には注意します。
まだ、アイヌ語は駆け出しの状態なんで、今後も様々な質問をするかもしれません。
その時はよろしくお願いします。
今までは、断層や積雪の研究をしてたんで、その分野について何かありましたら、気軽に聞いてください。
といっても、このサイトのテーマが”言語の世界”なので、その分野の疑問をもってこのサイトを見る人はいないと思いますけど・・・。



こと、とき

zo- (2003/05/20 18:08)

間違いか、間違いではないかは、なんともいえませんが、「そんなことないよ」の「こと」の前は「そんな」という形容動詞(?、品詞なんでしょうね?)で、「行ったこと/ときある」の「こと/とき」の前は動詞で、由来や起源はどうであれ、全く別物と考えたほうがいいんじゃないでしょうか。当然、後者は経験を表わすので時間を表わしていると。

間違い、間違いでないは別として、それになじめない人が多いということは、そんなに一般的な表現ではない可能性もあるんじゃないですか?私も実は、あまり好きではありません、というか違和感があります。



感謝

zo- (2003/05/20 18:05)

massangeanaさん、U+3002さん

 解説ありがとうございました。御両方の説明とも、とてもよく分かりました。



続・“こと”or“とき”

えいこ (2003/05/20 17:31)

世代に関係するのでしょうか??
私は頻繁に“とき”を発しているらしいのですが、混同することはありません。
例えば、
「私ってブス?」「そんなことないよ。」ー>そんなときないよ、とは言いません。
「こと」とは事柄、物、物体を表しているような気がします。
「行ったときある」ー>「とき」とは時の流れが含む文に使われるのではないかと
思うので、決して間違った文ではないと思うのです。



Re: 行ったときがある

massangeana (2003/05/20 15:45)

にれのやさん:
足立区というのが興味あります。井上史雄さんの本でだったと思いますが,
こどものことばは西東京と東東京でかなりちがうと書いてあるのをみたこと
があります(下町と山の手というのとはまた別の話)。「ときがある」も東か
北の方から東東京にはいってきたいいまわしではないかと想像したくなりま
すが, 真相はいかに?



Re: 言語の近さ

massangeana (2003/05/20 15:29)

U+3002 さん:
>私見ですが、中国語(中国語派諸語)は、漢字により、語彙の変化が抑えられ、逆に、
>表音文字文化圏に比較して、発音の変化が野放しだったような気がします。

これはそうかもしれません。そのおかげで, ある程度慣れると知らない単語でも
応用がきくわけではありますが, 予備知識がない場合はまるでわからない言葉と
してしか聞こえないのでしょうね。



Re: 外来語

massangeana (2003/05/20 15:04)

Maniac C. さん, 大変な力作ありがとうございます。
>「プロキシ」
そういえば教科書でベルの名前を「アレキサンダー・グラハム・ベル」って書いてありません
でしたっけ。「アレキサンダー」も「グラハム」も変ですねえ。

>「スティル」→「スチィル」→「スチール」
ああこれはなんだかすごくありそうな :-)

>wool
これは「ウル」だと「売る」とまぎれやすいからかもしれませんね。



Re: 声類

massangeana (2003/05/20 14:59)

まちがい:反切繋聯法→反切系聯法 です ^^;



re:然別

松茸 (2003/05/20 14:10)

 はじめまして。
 アイヌ語については発言権がないのですが、トンデモ愛好者のはしくれとして、ご紹介の http://www.you-i.org/nonainu.html
について一言。

 アイヌ語語彙に対してネパール語やタジク語(どちらも印欧語族です)をもちだす解釈に、信頼性があるのでしょうか?
 手の込んだトンデモは素人には判らないこともありますが、この程度の粗雑なウソが見抜けないのでは、研究者としての資格が疑われます。(^^;

 これは極端な例ですが、Web上のアイヌ語地名解釈にはデタラメが多いので、ご注意下さい。
 小型の辞書としては、知里真志保『地名アイヌ語小辞典』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4832888021/ref=sr_aps_b_/250-9758830-5949055
が入手しやすいと思います。



Re: 声類

massangeana (2003/05/20 13:26)

たぶん zo- さんはかなりの部分をごぞんじだと思いますが, いちおう一般む
けに書いたので長くなってしまいました。すみません。

広韻ではごぞんじのように音を反切で示していますが, 同じ子音なら必ず同じ
文字で反切を示すわけではありません。たとえば北京音で b- であるものだけ
でも「伯博卑彼必筆百布……」など, いろいろな字が使われています。これら
の字が広韻ですべて同じ音を意図していたとは断定できません。反切上字(ま
たは下字)のどれとどれが同じ音であるかを調べる基本的な手段が反切繋聯法
です。つまり, 反切上字P の反切上字に Q が使われていれば, P と Q は同じ
子音を意図していたであろう, と仮定できます。このようにしてまとめた反切
上字のグループを声類(下字の場合は韻類)とよびます。たとえば最初にあげた
「伯」の字でいうと, この字は「博陌切」と書いてありますから, 「博」と同
音であることがわかります。さらに博は「補各切」なので, 「補」とも同音で
あることがわかります。いま反切上字のあとにかっこでその字の反切を示すと,

 伯(博陌)→博(補各)⇔補(博古), 邊(布玄)→布(博故), 北(博墨), 百(博陌)

のようになり, これらがすべて同音だとわかります。これが博類です。また

 并([田/廾]政)→[田/廾](必至)→必(卑吉)→卑(府移)→府(方矩)⇔
 方(府良)←鄙(方美)←筆(鄙密),
 陂(彼義)→彼(甫委)→甫{府と同音}←兵(甫明), 分(府文)

も同じ音をあらわすことがわかります。これが方類です。(類の名前は学者に
よって異なります)

ただ, いつもこううまくいくとはかぎりません。上の博類の例だと, たとえば
もし「布」が「博故切」でなくて「邊故切」だったとしたら, 「邊・布」の 2
字だけで 1グループになってしまい, 「博」と同音であるにもかかわらず別々
になってしまいます。このへんを処理するために, たとえば「声類1 と声類2
が同じ韻にあらわれない場合, 同じグループとみなす」などの処理を行うので
すが, ここらへんは主観がまじるので, 学者ごとに類の数がことなるのです。

博類と方類についていうと, 博類は直音の韻のみ, 方類は拗音の韻のみに現れ
るので, この 2つは音韻的には区別する必要がない(たんに広韻の編纂者が反
切を唱えやすくするために拗音の字の反切には拗音の字をあてた)と解釈する
ことが可能です。



然別

yu-zen (2003/05/20 13:06)

はじめまして。
大学で地理を学んでいる者です。
アイヌ語と地形の関連性に興味があり、たまにこのサイトを見てます。
今夏に野外実習で然別湖へ行くことになりました。
その下調べとしてアイヌ語で”然別”とはどういう意味なのかを探っています。
様々な本で調べたんですけど、どちらが本当に正しいのか疑問です。
1.shi(自分を)-kari(廻す)-pet(湖)
2.shikari(狩)-pet(湖)<http://www.you-i.org/nonainu.htmlに記載>
どちらなのでしょうか?
また、実習に際して、小型で地名が豊富に掲載されているものアイヌ語辞典を購入したいのですが、何かオススメのものは有りますか?



Re:比較言語学

U+3002 (2003/05/20 12:21)

zo- さん
>>比較言語学的な距離は、「語彙の入れ替わり」で定義され、「発音の変化」を考慮しません。
>「発音の変化」を考慮しない、というのはどういうことなんでしょうか?
>音韻対応が見つかられれば、同じものとして扱い、別物としては考慮しないということでしょうか?

そのとおりです。
表面的な発音がどれだけかけ離れていても、同じ祖語から(あるていど)規則的に生成
できるなら、「まったく同じ」ばあいと同じく、1点です。

>>台湾語のsup8;
>というのはなんでしょうか?

すでに
massangeanaさん
>声調の 8 を右肩につけたかったのだと思います。でも sup1 から sup3 までしかないんですよね...
とお答えが出てますね……。

>台湾語では教会ローマ字で書くitです。
>台湾語のchiと潮州語のzekは「一」の漢字音(白話音とか)ではないようです。

そうだったんですか。浅はかでした。
最初の原稿では、印欧語の例を書いていたんですが、話題の中心が中国語だったので、
よく知らないまま、中国語版に書き直してしまいました。



外来語

zo- (2003/05/20 03:16)

Maniac C.さん
 すごいですねー。勉強になりました。



声類

zo- (2003/05/20 03:13)

massangeanaさん
 いつもすいません。ちょっとお伺いしたいんですが。『広韻』の類ってどういうものなんでしょうか。董同heの『漢語音韻学』には曾運乾の51声類が出ていますが、他の本を見たら、40声類、41声類などありました。私が分からないのは、例えば30字母では軽唇音と重唇音は分化していなくて、「並明不芳」になっていますが、51声類では博類と方類に分かれていて、この博類と方類の区別は軽重の区別と違うようです。どういうものなんでしょうか?



re 外来語(第3部)

Maniac C. (2003/05/20 02:35)

■エキサイティング…この語形としての初出は1936年ですが、その原形としての  「エキサイト」の方は、1923年です。
  上述「チーム」の項で「チ」と「ティ」の表記年代についての大雑把な見分け方
 を示しましたが、1920〜35年間にも17%ほど、語頭に「ティ」「ディ」という表記
 を持つ語例が挙げられています。これも「ティ」の表記を使った、比較的早い例と
 言うことが出来ます。
  -ing で終わる形容詞というのは、現代語でもそんなに多くないのですが、私の
 調べた限りでは、同書には5例しか記載されておらず、それぞれの初出年を古い
 順に挙げると、「チャーミング」1884、「エポックメーキング」1900、「ショッ
 キング」1922、「スリリング」1928、そしてこの「エキサイティング」1936です。
 私個人の感覚ですが、これらに共通して、俗っぽいけれど、何かちょっと新しい、
 という語感が有ります。マスコミでは耳にしますが、自分では使いませんね。
 余談になりますが、最近の小・中学生にとっては「チャーミング」という単語は、
 既に死語のようです。
  ハワードさんは「エクサイチング」と書いておられますが、やはり「チ」の音が
 決定的に、戦前派の老人(70歳以上)が使うような古臭い言い方、という心象を与え
 るのだと思われます。それよりも私が興味を惹かれるのは、「ク」の音の方です。
 xの表記の仕方については、1954年の『外来語の表記について』の時点で既に「キ」
 と書かずに「ク」と書く方針が出されているにも関わらず、未だに「キ」と書かれ
 続けていることが不思議でなりません。例えば、「プロキシ」なんぞは、どー考え
 てもインタネットが普及してからの借用語であるはずなのに「プロクシ」になって
 いない。薬学用語で酸素関係を「オキシ〜」と言うの(例えば、歯磨粉の宣伝で有名
 になった「ハイドロキシアパタイト(水酸化燐灰石)」とか)の類推が働いているの
 だろうか?
■プーリー…こちらも訂正。前回投稿時に「(仏poulie)」と書きましたが、前掲書を
 よく見ると、【仏 poulie>英 pulley】と有って、単に語源を説明しているだけの
 部分でした。初出も「『滑車(プウリイ)』小此木真三郎訳『親と教師に語る』1949」
 と有り、小此木氏の他の書名を見ても『フレーム・アップ―アメリカをゆるがした
 四大事件』と米国関連ですし、この訳本『親と教師に語る 子どもの世界とその
 導きかた』の原典も、作者は Homer Terril Lane という米国人のようですから、
 原語は英語と断定して良いでしょう。小此木氏は、円唇音の発音を表そうとして
 「プウ」と書いたのではないでしょうか。
  用例・初出年代の記述は有りませんが、「プレー」という文字発音の語形も示さ
 れています。こっちの方が古いのでしょうね。
  大家(みなさん)御案内のように、bull, full, pull, wool(古期英語の綴りは
 wull)と、唇音+短母音uは、(例外も在りますが)他語のように[Λ]へ変化せず、
 [u]のまま発音されているのですね。
■ルーキー(米)…1951年と戦後ですから、耳で聞いた語形と言うよりは、目で見た
 語形でしょう。先に在った「ルーム(1864)」や「ルート(1899)」からの類推と考え
 られます。西洋将棋の城将は、項目は有るのですが、用例・初出年が有りません。
■パーテーション…記載なし(恐らくパーティションの誤読)
■チルド…記載なし。工業系の用語のため、「プロキシ」同様、言い方が古臭いのだ
 と考えます。

以上!!



re 外来語(第2部)

Maniac C. (2003/05/20 02:34)

■チーム…一往、1925年がこの語形の最古の記録として前掲書には掲載されています
 が、「ティーム ウォーク」(teamwork)という語形が、それより早い1923年として
 掲載されています。
  語頭に「ティ」「ディ」という表記を持つ最古の記録を、前掲書でザッと探してみ
 ますと、1848年に「茶=ティ」と有りますが; これの出典は『改正増補蛮語箋』
 ですので、蛮語=蘭語のthee [te:] を表すものとして「テイ」と、大文字で表す
 べきでしょうから外しますと: 1864年の「昼食=ディンネル」というのが最古の例
 と言うことになります。
  しかし、精密に調べたわけではありませんが、多分、敗戦までは普通、「テ」「デ」
 または「チ」「ヂ」と表記され、敗戦後、多くの人が米語に触れるようになって漸く、
 「ティ」「ディ」という表記が増え始めたのだと思います。前掲書でも、語頭に「ティ」
 「ディ」という表記を持つ用例は、76%が1950〜65年のものです。傍証として、
 1952年から、国語審議会が「外来語について,その書き表し方が様々になっている
 現状にかんがみ,その基準を定める必要を認めて」審議し始めました。ところが
 1954年に文部大臣に提出された『外来語の表記について』は、部会報告に留まった
 ため、参考にはされましたが、教科書・新聞・放送などではそれぞれ独自の基準を
 設けたので、表記の揺れは放置されたままでした。
  取り敢えず、この段階では、「外来語をかながきにする場合,さしつかえない
 かぎり,『ティ』『ディ』の代わりに,『チ』『ジ』と書く。」とされており、
 “有識者”の間では、「ティ」「ディ」と書くより「チ」「ジ」と書く方が優勢だが、
 拘束力の有る訓令として制定するには躊躇される、という認識の有ったことが窺え
 ます。
  「ティ」「ディ」の方が一般的な表記であると認められるには、1991年制定の
 『外来語の表記』まで待つ必要が有ったわけです。こちらでは逆に「『チ』『ジ』
 (『テ』『デ』)と書く慣用のある場合は,それによる。」となっています。
  大雑把に言って、敗戦前に借入されて定着した語は「チ」「ジ」「テ」「デ」、敗戦後
 に借入された語/借入し直された語は「ティ」「ディ」と言って良いと思います。
■チップ…年代記載の有るのは1924年ですが、1910年代後半と思われる用例が有り
 ます。「ティップ」という用例も有りますが、年代記載が無く、初出年は不明です。
■ショートケーキ…これも前回は「年代記載なし」とだけ書き込みしましたが、遅く
 とも1931年には使用されていることが判りました。
  名前の由来については下記のHPを参照してください。このペーヂに拠ると、
 大正11(西暦1922)年には「ショートケーキ」が誕生しているようですね。
■チタン…「チタニウム」の意味では1931ですが、「ティーターン神族」の意味で
 1915年には既に「ティタン」と紹介されています。学者は原語にこだわりますね。
■シューアラクリーム…最古の用例と思われる1897年には、ちゃんと「シューアラ
 クレーム」と有ります。それが1934年には「シューアラクリーム」と訛り、前掲
 書が出版される1967年までのどの時点かで「アラ」が落ちて「シュークリーム」
 になったようです。この語形の初出については、何の記述も有りません。
■スチール…前回投稿時は調査時間が無く「1958(?)」としましたが、1933年である
 ことが判明しました。
  なぜ長音なのか、これも謎です。「テ」と「チ」は字形がよく似ているので、
 「スティル」→「スチィル」→「スチール」なんてことが有ったかも知れません。
http://www4.ocn.ne.jp/~kasinoki/tousen2.htm



re 外来語(第1部)

Maniac C. (2003/05/20 02:31)

大家(みなさん)、譲您受等了(おまたせしました)!
■シャツ…はっきり言って、何故長音にならなかったのか、謎です。
  1864年の初出時には、らにいさんの想像されたとおり、「シルト」と、蘭語読み
 されています。これは、マ、当時はよく有ることで、余談ですが、恐ろしいことに、
 girl を「キリル」(@@)と表記しているものも有ります。「ゲイロ」「ゲール」「ゲヘル」
 という表記の方が、耳で聞いた場合の妥当な表記だと思いますけどね(^^)。
  次には、1867年に福沢諭吉が「ショルツ」と紹介しています。
  明治維新前後は[@r]や[Λ]は「オ(ル)」と表され、これが現代でも「グローブ」
 「モンキー」「トロッコ」「トンネル」「プロシア」「モスリン」に残されています。
  語末の -t を「ツ」と表すのは漢語入声音からの影響で、現代でも「バケツ」
 「カツレツ」「シーツ」などに残っています。
  そして、1873年には既に「シャツ」となって、現代に至っています。
  一つ考えられるのは、1901年に所謂「棒引き仮名遣い」の教科書が出るまで、
 長音符「ー」は一般的ではなかったこと。例えば、1887-9年発行の『浮雲』では
 「御新造さアン引」と書かれているそうです。「シヤアツ」は変だ、という感覚が
 有ったのでしょうかね。
  もう一つ、可能性として考えられるのが、短呼化。語例が少ないのですが、
 「ハツ(heart)」「ハロン(furlong)」なども、訛り具合から、同じくらい古いと
 思われます。但し前掲書には、明治に遡るほど古い年代の資料は挙げられていません。
■チケット…初出は1867年。「テケツ」という語形も有りますが、初出年は記載なし。
 「テケツ」は大正末〜昭和初期(1920-30)辺りの語形らしいということだけは判り
 ました。
■チクタク…初出は1909年。後述しますが、「ティ」の語形を持つものが現れ始める
 のは1920年代からですので、それより前の借入語だということになります。
■エール…まづは初出年訂正から。前回投稿時の1871年は、同じ「エール」でもale
 の方でした。yell の方は、1920年と50年も新しく、しかも語形は「イェル」と、
 原語の羅馬字読みに近い形でした。それが1931年には「エール」になっています。
  多分、「イェ」は発音しにくいので実際には「イエル」と発音されていて、語頭の
 「イ」が落ちて、代償延長で「エ」が延びたものと思われます。



Re:「さん」と「さま」

zo- (2003/05/20 01:30)

どっちがいいか分かりませんが、私は「○○さま、検温の時間です」と言われたら、正直なところすごく違和感があります。全くの好みですが、出身が田舎ということもあり、お医者さんはともかく、看護婦さんは地元の人が多いので、方言というか、日常の言葉で接してくれた方が、変な距離をあけずに済みます。これは田舎のことなので、都市部だとかなり違ってくるとは思います。



Re:文字実体参照

zo- (2003/05/20 01:21)

massanagenaさん

解説ありがとうございます。私の知らない発音があるかと思ったんですが。



Re: 行ったときがある

にれのや (2003/05/19 23:46)

■東京の足立区というのは、もともと田んぼばかりのところで、住民は諸国の吹き溜まりですが……
子供のころ(昭和40年代)、友だちうちでは、「行ったことがある」 も 「行ったときがある」 も使っていました。大人になってからは 「行ったことがある」 ですが。
■話題は変わるんですが 「〜したことがある」 は、インテリが使い始めた英語の 「経験を現す現在完了」 の翻訳語(なんか言い方ありましたね。何だっけ)ではないでしょうか?
■いわゆる古典芸能には、「〜したことがある」 という表現がないんです。落語なんかでも、明治生まれの噺家は 「〜したことがある」 を使いませんねえ。過去形で表すんです。今の我々からすると、ちょっと違和感があるんですが。たとえば、
  おまえ、鏡見たことあるかい → おまえ、鏡を見たかい
  あなた、はりつけってものを見たことがありますか → ああた、はりつけってものを見ましたか
という具合です。



文字実体参照

massangeana (2003/05/19 22:38)

zo- さん:
>sup8
声調の 8 を右肩につけたかったのだと思います。でも sup1 から sup3 までしかないんですよね...



Re:「さん」と「様」

あお (2003/05/19 22:13)

彼女がひとりで、たとえば町医者として患者に接する立場なら分かりますが、集団の一員としてだと多分言われた方もぎょっとするだけに終わるのかも。むしろ医者がどんなひどい言葉で接しているかを知り、それとのバランスを取られた方が言われた患者も気が楽というものでは。言葉遣いには絶対的な正しさというものは多分なく、むしろ車の運転に近く、彼女のせっかくの提案も、皆が80キロで走っているところを40キロの標識をみつけたとたんに急ブレを踏むようなことになるとまわりも困惑するというだけのことではないでしょうか。



「さん」と「様」

ひろし (2003/05/19 20:44)

はじめまして。ひろしと申します。
ここに書き込みをして良いものか悩んだのですが、思い切って書き込みさせていただきます。
実は、私の彼女が病院に勤めていて、今回、職場を変わったのですが、新しい職場で、患者を呼ぶときに、「様」で呼びましょうと提案したところ、職場のみんなから、つまはじきにされ、いじめられていると言うのです。
その職場では、以前からずっと「さん」て呼んでいるので、親しみがあって良いと言う意見なんです。
ですが、彼女の意見は、「患者様が来てくださっての病院。今は患者様も病院を選ぶ時代。敬意を持って患者様に接するべき。特に小さな個人病院では患者様が来てくだされなければ、経営していけない。」というものなんです。
「様」が冷たいとか、こびを売っているようだとか、散々ののしられ、仕事も十分に教えてもらえない状況なんです。
そこで、ご質問なんですが、「さん」と「様」との違いを教えていただけないでしょうか。
それと、もし良ければ、病院では、「さん」と呼ぶ方がいいのか「様」と呼ぶ方がいいのか、ご意見も聞かせていただければ、助かります。
彼女が深刻に悩んでおり、職場を辞めようかとまで言い出して、せっぱつまった状態なので、ここに書き込みをさせていただきました。
もし、ここの掲示板にそぐわない内容でしたら、削除してください。
長くなりましたが、よろしくお願いします。



比較言語学

zo- (2003/05/19 19:42)

中国語の比較言語学的な見方については、きっとmassangeanaさんがお詳しいんだと思います。是非うんちくを傾けていただきたいと思います。

U+3002さんへ
>比較言語学的な距離は、「語彙の入れ替わり」で定義され、「発音の変化」を考慮
しません。

「発音の変化」を考慮しない、というのはどういうことなんでしょうか?音韻対応が見つかられれば、同じものとして扱い、別物としては考慮しないということでしょうか?解説いただけたらと思います。

それから、一を表わす中国語方言ですが、もしかして文字化けしているのかもしれませんが、

>台湾語のsup8;

というのはなんでしょうか?私は一応、台湾語も勉強しているんですが、こういう発音は聞いたことがありません。普通、台湾語では教会ローマ字で書くitです。それからご指摘の発音に音韻規則が分かるとのことですが、台湾語のchiと潮州語のzekは「一」の漢字音(白話音とか)ではないようです。もう一つ、びっくりするのは、福州語のsoという語ですね。

ちなみに潮州語話者からはビン南語(台湾語など)はだいたい分かるという話をよく聞きますが、ビン南語話者からは潮州語は殆ど分からないとよく聞きます。ただ、私が聞いても似た単語が多いので、慣れれば結構相手は潮州語、こっちは台湾語で通じるのかもしれません。それから福建の中でも、泉州の言葉は他よりも潮州語に近いかもしれません。



言語の近さ

U+3002 (2003/05/19 19:12)

「比較言語学的にどれだけ近いか」と「聞いてどれだけわかるか」は別問題だと
思います。
何について話しているかを明確にしないと、不毛な議論になる可能性があります。

比較言語学的な距離は、「語彙の入れ替わり」で定義され、「発音の変化」を考慮
しません。

しかし、会話が通じるかどうかは、発音が大きく関係します。

音韻規則を片手に対照表を見れば、北京語のyi¹・広東語のyat¹・台湾語のchit&sup8;・
上海語のiek&sup4;・潮州語のzek&sup8;・客家語のyit&sup5; (一)が同じであることはわかります。
しかし、耳で聴いて「同じに聴こえる」とは思えません。

私見ですが、中国語(中国語派諸語)は、漢字により、語彙の変化が抑えられ、逆に、
表音文字文化圏に比較して、発音の変化が野放しだったような気がします。

だとすれば、基礎語彙の差が英語とドイツ語くらいしかないとしても、実際はより
多くの差があることになります。



とき

zo- (2003/05/19 18:12)

私、東海地方出身なんですが、東京に住んでいて、家庭教師をしていて、中学生が、私だったら「ことがある」を使うところで、「ときがある」といっていてすごく驚いた記憶があります。それから気をつけて聞いていたんですが、私の感覚では地域的というよりも、世代的な理由が大きいんじゃないかと感じました。



言語の近さ

辻本裕幸 (2003/05/19 16:58)

やっぱり言語の近さを表す表現は、「英語とドイツ語ぐらい」とか、曖昧な表現しかできそうもありません。
 しかしよく中国の人は「広東語は99パーセント、聞いても分からない」の様なことを言いますが、それは言い過ぎ。広東語と普通話では、共通語彙も多いし、所以suoyiとso:yi:のように発音からも簡単に類推できそうな言葉が多い。ではなぜ、中国の多くの人は、「広東語が分からない」と言うかと言えば、それは広東に対して偏見があるから。あるいはそもそも、多くの中国人は、聞いて理解できなくなるほど広東語を聞いた経験もないはずです。そして中国人は方言が多くて互いに理解できないものが多いほど、進化した言語だと思っているのかもしれない。事実、私が「日本語も方言差が大きい」といったら、そんなことはないとムキになる人が多い。私の山西省の友人に一度広東語のテープを聴かせたところ、neiho:はニーハオかな?とか、doei m zyuは、対不起かな?とか大体言い当てていた。他地方の中国人も、広州で大体、半年も暮らしていれば、広東語が分かるようになるとか。両者の関係は私たちが想像している以上に近いのだと私は思う。ビン南語圏スワトウ人の留学生は、広東語も話せた。広州話はエツ語圏のみならず、広東省全体の公用語なのだと思う。
 私は三重県人です。近畿地方の言葉は大体分かります。しかし隣の岐阜の、飛騨のほうの方言は、聞いても分かりにくいです。



Re: “こと” or “とき”

massangeana (2003/05/19 16:33)

えいこさん:
おもしろいですね!
わたしは鹿児島の出身なのであまり何が標準的かは自信をもっていえませんが,
経験があることは「ことがある」を使い, 「ときがある」はそういう場合がある,
というときに使うのがふつうだろうと思います。
もちろん経験があるという意味で「ときがある」と言われても意味は理解できます。
どのへんで「ときがある」を多く使うのか興味わきますね。



Re: 言語の近さ

massangeana (2003/05/19 16:14)

あおさん:
たしかにポルトガル語圏の人が勉強しなくてもだいたいスペイン語をききとれるという
のはよくききます。イタリア語だともうすこし離れて「ゆっくりしゃべればわかる言葉
もけっこうある」ていどになるのではないかと思います。

言語の近さを客観的に計るのは難しいですが, ひとつの尺度として基礎語彙がどの程度
一致するか調べるのが昔はやりました。北京語とビン南語はひじょうに離れており,
王育徳さんの研究によると基礎200語では英語とドイツ語に匹敵する違いがあるそうです。
もっとも英語とドイツ語は基礎語彙以外の部分も大いに異なるのに対し, 北京語とビン南語
では文化的用語は(音韻的違いをのぞけば)共通度が高くなるので, じっさいにはもっと近く
かんじられると思います。
(東京と青森は, たぶんスペイン語とイタリア語より近いです)



“こと” or “とき”

えいこ (2003/05/19 16:00)

私が新潟出身です。これが正しい日本語なのかどうか、また標準語なのかどうか、
皆様のアドバイスお願いします。
例えば、“私そこに行ったことがある。”OR“私そこに行ったときがある。”
    “私そんな事聞いたことがない。”OR“私そんな事聞いたときがない。”
“こと”“とき”皆さんどちらを使いますか?ちなみに私は“とき”なのです。
新潟出身以外の友達に、“とき”を使うのは日本語として間違っている!とまで言われてしまった
のですが、本当でしょうか?ぜひよいアドバイスを!



シャツ、チーム

U+3002 (2003/05/19 13:52)

即答できなかったが、しばらく考えて、まとまったので。

ハワード さん
>burnはカタカナ英語で、”バーン”ですね?何故、shirtは”シャート(ツ)”ではなくて、"シャツ"ですか?

英語の母音(vowel)は,無声子音(voiceless consonant)の前では、かなり短くなります。
たとえば、see[si], scene[sin], seed[sid], seat[sit] を比べてください。
この順にだんだん母音が短くなり、seatの母音はとくに短くなっているはずです。

同じ理由で、shirt[ʃɚt (<sh><@r>t)]の母音は、一般的な[ɚ (<@r>)]より
短いと思います。

とはいえ通常は、強勢(stress)のあるrhotacized(= r‐colored)母音は、実際の長さに
かかわらず、常に長母音に日本語化されます。

おそらく、「シャツ」は、比較的古い時代に、耳から取り入れられた借用語では
ないでしょうか。

Maniac C. さんの書き込み
>シャツ 1864
もごらんください。

>teamは”チーム”ですが、”エクサイチング”はどうして変ですか?

「[ti]・[tı (tI)]は、昔は「チ」としたが、今は「ティ」とする」
という傾向はありますが、単純に時代だけで決まるものでもないようです。

英語の無声破裂音(voiceless plosive, {k t p})は、強勢(stress)のある母音の前では
有気音(aspirated)になります。
team[tim]の[t]は有気音(aspirated)です。

有気破裂音は、その響きが破擦音(affricate)に似ています。
ですから、日本語化されるとき、ティ[ti]ではなくチ[tʃi (t<sh>i)]になったの
かもしれません。

同種の言葉として、
ticket(チケット), tilde(チルド), tilt(チルト), tip(チップ), tick‐tack(チクタク)
Titan(チタン)
などが思いつきます。必ずしも古い言葉ばかりとは限らないように思えます。

(Titanはドイツ語ですが、ドイツ語にも英語と同じ有気化が起こります)



客家語

zo- (2003/05/19 11:45)

そういえば、数年まえ、客家語の映画は台湾で作られていました。たぶんあれ以来、ないと思いますが。



いろいろ

zo- (2003/05/19 11:41)

あおさん
 どうもありがとうございました。やっぱりそういうことなんですかね?なんか幾らなんでも、本国人の役で映画にでられるほどまでに、完璧にできるんだろうかと思ってたんですが。
 広東人が台湾語を勉強しようと思うような場合、通じればいい程度だったら、ある程度速成できるかもしれませんが、台湾人のようにというのは、たぶん無理じゃないかと思います。台湾にいる香港人の中国語は凄まじいです。

辻本さん
 広東語の根強さには驚きますね。100年ほど前、キリスト教布教のために、聖書をいろいろな中国語の方言に訳したようですが、広東ではほぼ広東語と広西語といくつかだけなのに、福建では各地ごとでいろいろな翻訳が出ているようです。もちろん本質的に、福建のほうが方言の種類や分布が複雑ということもあるかもしれないんですが、広東語は広東省の中での共通語としての位置を早い時期に得ていたのではないかとも思いました。

台湾では、こちらが「国語」で聞いても、台湾語で答えてくるということは良くあります。そういう場合は殆ど別に意地になっていたりするわけではなく、店の主人は、台湾では基本的に「国語」と台湾語ができるのはあたりまえ、お客さんの若者は「国語」で話しているが、少なくとも「台湾語」も聞いて分かるはず、自分は「国語」は聞いて分かるが、苦手だから、台湾語で答えるという感じです。私もそう場面は日常茶飯事ですが、「台湾語分からないんですけど」って言えば、訛りがきつくても「国語」で応対してくれます。私も広東には一度言ったことがありますが、私も広東語がわからないと、不便だろうなと思いました。台湾ではかなり年配でも、日常生活程度は「国語」でようが足ります。

呉語、確かに香港、台湾のようにある程度、中共とは違った政治機構で成り立っている地域がなかったり、華僑、華人にも殆どいないので、そういう文化を成り立たせるのは今では難しいのかもしれませんが、前にも出ていた『海上花列伝』を始め、文学言語としては、官話以外では、歴史もそこそこ長く、研究対象としても注目度は一番高い(高かった)んじゃないですかね?



中国語方言事情

辻本裕幸 (2003/05/19 10:11)

その台湾の映画見てみます。しかし北京語、広東語、台湾語はまだ映画が作れますが、上海語の映画というのはあるんでしょうか?たぶん、あまり無い。あっても、広東語映画のような一ジャンルは絶対築いていないでしょう。上海語の歌謡曲というのも、まだ見たことも聞いたこともない。中国五大方言の中でも呉方言はちょっと可哀想かもしれません。上海の地下鉄でも放送は普通話だけですし。上海で売っている上海語のテキストも本ごとに、著者ごとに表記法が違ったり、はなから、ピンインを作ることをあきらめて、万国発音記号で表記してあったり、一様ではない。しかし私も上海には4回行きましたが、上海では、上海語が話せなければ困ると言うことは絶対にないと思います。普通話で十分。だからテキストも真剣には編集されていない。ところが、この三月に行った、広州では広東語ができないと全く生活は無理だと、私は思った。こちらが普通話で話しかけても、店の人とかは、その意味を理解した上で、広東語で返答してくるので、手強い!
 台北とかはどうですか?



役所言葉 訂正

きしろふ (2003/05/18 16:09)

× 「湮滅(今は「隠滅」が使われている。いんえい)」
            ↓
○ 「湮滅(今は「隠滅」が使われている。いんめつ)」



Re: ロマンス語系諸国

あお (2003/05/18 15:21)

zo-さん
中国語圏といってもその3つの言語はほとんど無関係なくらい文法も発音も違うのでは?小生の以前かじったスペイン、イタリア、ポルトガルの言葉は別の言葉と扱うのが笑わせるという程度の違いでは?現地の人に尋ねたところ、勉強してなくてもだいたい話しが通じる由。東京を基準にすると、これはおそらく埼玉、千葉方言程度の違いでしょう。ドイツ語でやっと青森くらいでしょう。うちの向かいに韓国で30歳くらいで日本人と結婚してはじめて日本語を使い始めた50がらみの方がお住まいですがその方の日本語は小生が上京当時に喋っていた関西訛りの東京語よりはるかに東京語です。会社にかかる現地人からの電話でもソウルからだとそれとは瞬時には分かりませんが、その他はどこからかかっても日系人でないことがわかります。



教えてください。

大坪 城 (2003/05/18 12:11)

この種の質問は受け付けていただけませんか。
私の名前は 城 と書いて 「きづく」と読ませています。これが縁で 日本語の語彙の構成
というか 言葉の成り立ちに興味を抱き 一人がっての推察をしております。
一人でやって居っても 事例集めやら思いつきに限りがあります。
漢字が入る以前の日本語の要素と構成について 勉強会などあるようでしたら教えてください。
ただし、外国の言葉との連想をやるのは今まで見てきましたがとてもレベルが低いので避けて、
ちゃんと縄文時代や石器時代の方々の生活を踏まえた話が出来る勉強会がいいのですが。
ご多用中かと思いますが、目にとまったらよろしく願います。



Re:役所言葉

きしろふ (2003/05/18 10:42)

>にれのやさん
私もそう思います(^^;)
ちなみに・・・
○「仮装経理」・・・架空売上、架空在庫の計上、仕入債務の過少計上といった事実に反する経理のこと。要するに売上を計算する際、事実より売上を多く(または少なく)計算したりすることなど。
「陳腐化償却」はかなり説明が難しいので省きます(^^;;)

「役所言葉」っていろいろありますよねぇ。「役所言葉」を何例か。
○「惹起(じゃっき)」・・・引き起こすこと。
○「爾後(じご)」・・・この後。
○「湮滅(今は「隠滅」が使われている。いんえい)」・・・あとかたもなく消したり、隠したりして無くすこと。
○「毀棄(きき)」・・・壊してすてたり、役に立たないようにすること。
○「隠匿(いんとく)」・・・秘密にしたり、かくまったりすること。
○「窃盗(せっとう)」・・・他人のものを断りも無く自分のものにすること。
○「慰謝料(いしゃりょう)」・・・生命・身体・自由・名誉・貞操などを不法に侵害されたことによりこうむった精神的苦痛などに対する損害賠償のこと。
○「瑕疵(かし)」・・・キズや欠点、欠陥。アパート等の物件だとそこの部屋で事件や事故が起こったこと。
○「射幸(しゃこう)」・・・偶然の幸運などを当てにして利益を得ようとすること。
○「毀損(きそん)」「損壊(そんかい)」・・・前者は名誉や信用を傷つけたりすること、後者は物を壊したり傷つけたりすること。
○「外患誘致(がいかんゆうち)」・・・外国の軍隊を自分の国に攻め込ませること。
○「自首(じしゅ)」・・・指名手配される前に、自ら申し出て積みを白状すること。(指名手配後は「出頭(しゅっとう)」)
○「輸嬴(ゆえい)」・・・賭け事などの勝ち負けのこと。
○「囲繞(いにょう)」・・・囲まれた土地。
○「剪除(せんじょ)」「截取(せっしゅ)」・・・どちらも断ち切るという意味だが、「剪除」は枝、「截取」は根と民法では使い分けている。

疲れやした・・・(--;)



ロマンス語系諸国

zo- (2003/05/18 05:10)

といったら、いいんでしょうか、フランス、スペイン、イタリアとか。イタリア(語)映画にフランスやスペインの俳優さんがイタリア人として出てたり、スペイン(語)映画にフランスやイタリアの俳優さんが出てることって、結構ありますよね?あれってネイティブの人から見て、違和感ないんでしょうか(訛ってるとか)?中国語圏の場合、映画が或る程度製作される普通話(北京語)、広東語、台湾語の中ではそういう交流というかは、ほとんどないと思います(各地の人が普通話の映画に出ていることは有るかもしれませんが、すごくいい広東の俳優だからと言って、台湾の映画で台湾人の役で使うことはないと思います)。もし出ても、多分言葉の面で違和感なく馴染むには相当大変だと思います。私は北京を舞台にした映画に非北京の俳優(コンリーとか)が出ているだけで、言葉の違いが大きくて、なんとなく幻滅してしまったりするんですが。フランス、スペイン、イタリアなどの国では、許容度が大きいんでしょうか?

「非情城市」で、香港の俳優が口の聞けない人として出ていたのを見て、ふと思いました。



悲情城市

zo- (2003/05/18 04:58)

という台湾の映画の始めのほうで、日本の敗戦で本土復帰し、病院の職員に中国語を教えるという場面がでてきますが、その先生がへんてこりんな中国語を教えています。辻本さんへ、御参考までに。



役所の言葉はむずかしい

にれのや (2003/05/18 03:27)

■ええ、あたくしが出頭しないのをご心配いただいた向きもあるようで……
ありがとうございます。
■ちょいと、確定申告に追われておりまして、帳尻が合わない、とはよく言うたものだと……
まったく、役所の言葉というのは all Greek to me でありまして。
ときおり、なんじゃこりゃという言葉に出会います。
  陳腐化償却
  仮装経理
しばらくは、タマちゃんのように、現れたり消えたり、ということで……



お返事

鴛鴦 (2003/05/17 21:58)

>zo-さん
こちらこそ。



Re:セ

zo- (2003/05/17 20:34)

佐藤さん、失礼しました。そうでした、私が見たのはこの掲示板の佐藤さんの書き込みでした。

鴛鴦さん、どうもありがとうございました。kan-chanさんのHPはよく行っているんですが、これははじめて目にしました。



Re:「せ」

鴛鴦 (2003/05/17 10:21)

>zo-さん
ここに一応載ってます。「しゃうゆ」が正しいようです。
http://kan-chan.stbbs.net/word/wdbbs01.html

ここのページ(掲示板の過去ログになっています)に載っている「せうゆ」ネタの投稿者と同じく、私も「さしすせそ」に当てはめるため無理矢理「せ」にしてしまった可能性が強いと思います。

このリンクのトップページはこちらになります。
「歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)」について詳しく載っています。

http://kan-chan.stbbs.net/word/main.html



Re:せ

佐藤和美 (2003/05/17 09:30)

「調味料のサシスセソ」 (2003/01/12 16:53)なんて書き込みもありましたね。





zo- (2003/05/17 01:50)

どこかの掲示板でみたんですが、「しょうゆ」は「しゃうゆ」?であるはず。どうして「せうゆ」なの?という質問を見たことがあります。



お料理言葉

鴛鴦 (2003/05/16 22:48)

>青蛙さん
いえいえ、こちらこそ。

今朝の新聞に「さしすせそ」について書いてありました。
「さしすせそ」は煮物を作るときにこの順番に加える調味料の頭文字をとって並べたものです。
・「さ」・・・砂糖(さとう)
・「し」・・・塩(しお)
・「す」・・・酢(す)
・「せ」・・・醤油(しょうゆ。旧仮名遣いで「せうゆ」)
・「そ」・・・味噌(みそ)
初めて見た人が「せ」が何なのか分からないというのは分かりますね。
そこの記事に載っていた川柳では、
 「さしすせそ 『せ』ってなんだよ 『洗剤』か?」
そうだと、「せ」の時点で潰れるでしょう(^^;)
他は「『落しぶた』ってどんな『ぶた肉』ですか?」 どんな味がするのでしょう?(^^;;)
「『ゆでこぼす』って沸騰したお湯がこぼれるまで待つの?」 アクの強い料理ができそうです(^^;;;)
(・「落しぶた」・・・中の材料に直接のせる蓋のこと。鍋の中にすっぽり落とすのでこの名がついた。
・「ゆでこぼし」・・・豆や乾物などをゆでる時に、途中でゆで汁をすてること。水に出たアクをゆでている材料に残さないため。)
他、こんな言葉が載っていました。
・「焼き霜」・・・生きのいい魚を(皮目のところを)強火であぶり、冷水に取って縮まらせ、刺し身に作ること。
・「踊り串」・・・焼き上げて盛り付けた時に、魚が活き良く見える様に魚をくねらせながら串を打っていくこと。
・「迎え塩」・・・塩漬け食品の塩出しをする際、薄い塩水に浸して塩気を抜くこと。
・「化粧塩」・・・魚などを姿焼きにする時、焼き上がりを美しく見せるためにふる塩のこと。特に、尾やひれにはたっぷりの塩をふると、白く形よく仕上がり、しかも焦げるのを防ぐ効果がある。

やっぱり料理をしないと分かりません(汗)



re:やっぱり違うのか

松茸 (2003/05/16 22:08)

* まずおわび。「三性同形」は完全な勘違いです。すみません。m(_ _)m

* 中世「フランス語」(オイル語)では roy が使われますし、現代語でも、固有名詞などに roy の綴りが遺存していますから、近代正書法成立以前の綴りの一つとしてよいと思います。

* オック語は(も)全然知らないので……。
 現代オック語のオンライン辞書を見つけて、調べてみましたが;
http://www.lexilogos.com/occitan_langue_dictionnaires.htm
roi の訳語として rei が出てきます。



文字読み

らにい (2003/05/16 21:46)

>ハワードさん
>「何故、『shirt』は『シャート(ツ)』ではなくて、『シャツ』ですか?」
多分「文字読み」だと思いますが・・・
「文字読み」とは、その単語を耳で聞いたことのない人が、文字面をたどって自己流に読んだり誤読したりすることです。
例として、日本語の「ドル」は英語に直すと「dollar」ですが、明治時代に「doller」が入ってきた際、「l」や「r」を「ラ」や「ル」と読み、「dollar 」の「dol」を「ドル」、後ろの「lar」を「ラル」として、「ドルラル」と読んだということです。これが略されて前半の「ドル」だけが生き残り「dollar」の訳語として現在使われています。
でも、「shirt」だと「シルト(ツ)」なんて読むような気がします。
やっぱり違うのかなぁ〜・・・(^^;)

下のリンクには他の「文字読み」の例もありますし、「ドル」の語源も載っています。

http://www.d1.dion.ne.jp/~kazu1126/dollar.htm



まだ re:学名関係

青蛙 (2003/05/16 18:22)

Maniac C.さん:

> レスに1週間近く掛かってしまった……。
 どうぞ、お気になさらずに。私なんぞ、いっつも亀レスですからね。レスしそびれて流れたものが幾つあるやら。そんなことより、いろいろとお骨折りをいただきまして、本当にありがとううございます。

●性別を問わない
 これは、gender の意味に囚われた部分があるかもです。Maniac C.さんも仰っているとおり、自然性(sex)と文法性(gender)は別のものですから。ただ、sex と gender が照応している場合(例えばラテン語やアラビア語)もあって、必ずしも、一概にそうとは言い切れないわけなんですけど。
 “性”という表現に惑わされずに、gender にも
・甲類(common)
・乙類(neuter)
があり、甲類が更に
・甲類の一(mascline)
・甲類の二(female)
があると置き換えて考えてみてもいいかも知しません。

●Kaus
> 書店で市販の羅和辞典を見てみましたが、載っていませんでした。
 一般の lexicon(羅和含む)には載っていないと思います。ラテン語で書かれて書物に記載されていたので(借用語として)ラテン語と扱っただけですから。

>「3性同形型」の形容詞は、現在分詞の –ns,ntis型が代表的なものです
 そうでしたね。動詞の現在分詞形は一形だけ(三性同形)でした。対する完了分詞は、三形に分かれていますが。

●おおぐま座νおよびξ
> 星の名前の語源はアラビア語の(al-qafzah) al-ula
>「第1の(跳躍/足跡)」
 そうです。Alula はアラビアの星座 al-Qafzat al-'U:la:(al-Qafzatul-'U:la:) の後半、序数詞部分から来ています。(カッコ内は正則アラビア語に基く表記、'u:-la: は 'awwal の女性形) ちなみに、
λ・μ:al-Qafzat al-Tha:niyah(al-Qazatuth-Tha:niyatu)
ι・κ:al-Qazat al-Tha:lithah(al-Qazatuth-Tha:lithatu)
 カッコなしは平俗読みではなく、西洋の文献に見られる、正則アラビア語の語尾変化を省略したものです。(ただし、自己流です。それぞれ al-Qafzat ath-Tha:niya, al-Qafzat ath-Tha:litha とするのが一般的)

> 語源を尊重するなら、
> 女性形が正しいのでは。羅語の別語としても女性名詞の語尾をしていますから、紛れ
> ようの無いはずなのですがねえ…。
 これに関しては、まさしく仰るとおりで、語源をとっても語形をとっても女性としかしようがないと思うんですけど。命名者は何を考えていたんだろう。某氏の言うとおり「古典語に対する無知」によるものか。(と思ったら、-a 語尾の中性名詞もあるんですね。びっくり)

●エドヒガン
> エドヒガンの漢字は「江戸緋寒」ではなく、「江戸彼岸」が正しいようです。
 ああ、そうでしたか。私も初めは「江戸彼岸」じゃないかと思っていたのですが、次に「緋寒桜」という種があったものですから「?」を付けておいたんです。

> ネット検索をしても「江戸寒緋桜」は在りませんでした。
> 「江戸緋寒」は少数引っ掛かってきました。
 それでも、「江戸緋寒」としているものも存在しているんですね。正しい・適しているかどうかは別にして。

> ネット検索の多数決の無意味さは
> 重々承知していますが、
 これは、私の「ネットでの検索には意味がない」との発言を受けてのことかと思いますが、私のこの発言は一般論ではなく、あくまで星の名前に関連してです。酷いですよ、星の名前。ほとんど全てのサイト・書物が(国の内外を問わず)『〇名の世界地図』なみ。

●教会ラテン語
> 古典ラテン語の発音ではなく、伊語訛りの発音になるようです。
私もそう認識していたのですよ。バチカンは地域としてはイタリアにありますし。ところが、教会ラテン語にも各国語訛り(英語訛り、ドイツ語訛り、フランス語訛り)もあるようです。その発音を説明していた書物があったんですけど、書名をド忘れしてしまいました。

●Citrus aurantium
 いえ、これ、「なりませんか」と申し上げているように、よく判らんのですよ。文法(語法)上はどう見ても誤りとしか思えない。『生物学名命名法辞典』で平嶋氏は、属名の性の不一致に触れながらも、Citrus aurantium も掲げているのに何らその説明がなされていないんです。現行では、これが正式なんですね。



やっぱり違うのか

青蛙 (2003/05/16 18:21)

松茸さん:
 いつもながら、さりげなーく、それでいて鋭いツッコミをありがとうございます。

> Les Centuries の「原文」はWeb上でも読めますが、基本的には同時代の「フランス語」(パリ方言)で書かれています。
 確かに、普通 Les Centuries は、プロヴァンス方言で書かれていたとは言われていません。(織り交ぜられているとは言われている)ただノストラダムスは、例えば「王」を意味する roi を roy と綴っています。私は、これを当時の古形と考えていたのですが、プロヴァンス方言形だと聞いたことがあるんです。このような基本的な語彙がプロヴァンス方言形なので「……らしい」としたものです。
 パリ方言@オイル語(langue d'oil)とプロヴァンス方言@オック語(langue d'oc)の特徴など、簡単にご教示いただけたら幸いです。

*一応お断りしておきますが、Les Centuries はノストラダムスの予言集の呼称であって題名ではありません。

 ところで、言語ばかりか歴史からいわゆるオカルトまで詳しい松茸さん、あなたの正体は一体何物?って、web 上じゃ聞くだけ野暮ですよね。

 リンネと生物の学名との関わりについては鴛鴦さんが紹介しておられたリンク先にありますので、改めて説明するまでもありませんね。
・学名について/生物の分類/学名の構成/学名の小史
 (http://www.asahi-net.or.jp/~sn7i-hrd/setumei/gakumei.html)
更に、そのリンク先にある
・CXJ11255:動物命名法関連用語集
 (http://member.nifty.ne.jp/angursa/meimei/index.html)
も参考になるのですが、作成されてから3年を経過しても暫定版のまま更新されていないらしいのが残念です。ところで、同じ作成者による
・「ギリシア語→ラテン語換字表」
 (http://member.nifty.ne.jp/angursa/meimei/grlat.html)
なんですけど、皆さま、きちんとアクセント付きギリシア文字が表示されますか?

最後になりましたが、鴛鴦さん。ご理解いただきまして感謝です。



Re:コーヒー

古本屋 (2003/05/16 17:51)

コーヒーについて、えらく詳しく書いた本があります。「珈琲」(井上誠著、昭和30年、近代社)と言う本ですが、残念ながた48年前に出版されたものなので、古書でしかありません。図書館にあるかもしれません。



朝鮮語

まさる (2003/05/16 14:27)

 はじめまして。最近このHPを見て、勉強になることをたくさん教えていただきました。
日本語について調べているときに、“外来語の中でアイヌ語と朝鮮語から入ってきた言葉を特に借入語という”と書いてある文献がありました。アイヌ語はラッコやコンブなどがあることが分かったのですが、朝鮮から入ってきた言葉で、はっきり外来語として紹介されている言葉の例がどの文献にも載っていません。もしよろしければどのような言葉があるか教えていただけませんでしょうか。



Re:コーヒー

きしろふ (2003/05/16 12:56)

お昼の時間に失礼します。

>massangeanaさん
>「『quhwah』ではなくて『qahwa(h)』だろうとおもいます。この語が『コーヒー』以外の飲み物をさすとはきいたことがありません。」
まず自分が直さなければならないところがあります。それはスペルミスです。
massangeanaさんが書いたスペルがあっています。申し訳ありません(--;)
さて、「『コーヒー』以外の飲み物をさすとはきいたことがありません。」と指摘されましたので詳しく調べると、「コーヒー」の語源には諸説あることがわかりました。
参考ページは下のURLです。

https://plaza.rakuten.co.jp/elissa/002003/index.html
http://www.coffee-shinsenkan.com/pages/column10.html
http://www.ucc.co.jp/jin/2001_12/topics.html
http://www.ucc.co.jp/news/rel020828a.html
http://www.coffee-bijin.com/my_profile0302.html
http://www.elrosa.com/tisen/82/82514.html
http://www.mint-house.net/coffee.html
http://www.coffee2.com/coffee/Coffee_Africa.html
http://www.ohayo-milk.co.jp/salut/information/fruit_dictionary/fruit03/fruit03.html
http://www.rakuten.co.jp/ippukujaya/438214/430791/445080/index.html

これらの資料をまとめますと、「コーヒー」の語源は、
・エチオピアにある「カファ地方」から。
・アラビア語「kaffa」(意味は「力」)から。
・イスラムの僧侶たちが、コーヒーの木になる赤い実を元気の源として食し、その実の煮汁を眠気覚ましや体力をつける薬として飲んでいた。そして、この飲み物を酒の名前である「qahwah」と呼んだことから。
とあり、「コーヒー」は元々、
・ワインのようなグレープやデイツの実からつくる飲み物
・ワイン等のお酒
等の意味があるとのことのようです。



re 外来語

Maniac C. (2003/05/16 07:54)

時間的余裕が無いので、『角川外来語辞典』の初出年代のみ。
解説はまた後で。それまで大家、下記を参考に考察されたし。
シャツ 1864
エール 1871
チーム 1925
シューアラクリーム 1934
エキサイティング 1936
プーリー(仏poulie) 1949
ルーキー(米) 1951
スチール 1958(?)
パーテーション 記載なし(恐らくパーティションの誤読)
ショートケーキ 年代記載なし



どういたしやして!

ロスケ (2003/05/16 04:49)

ハワードさん、Warrenについての情報をありがとうございました。日本でも昔は「熊」とか「虎」という女性の名前があったそうで、それと同じようなものかもしれませんね。

>今度もし私が私の声(日本語)を録音して、アップロードしたら、
>みなさんはどこが変か教えてくれますか?

もちろんです!
とても良い方法を思いつきましたね、是非やりましょう。

>>ありあとあんした!(in advance)
>どういたしやして!(すみません、変に聞こえますか?(笑)

こんな例を持ち出した私が悪いのですが、「ありあとあんした」は主に安酒場で耳にする挨拶の言葉です。
客が勘定を済ませて「ごっそさん(ごちそうさま)」とか言って店を出て行く時に、店主が追いかけるように「ありあとあんした」と言うわけで、多分返事は期待していません。ですから客が「どういたしやして」と返すことは・・・普通ありませんね。

#安酒場専門の私としては「ありがとうならいもむしゃはたち」と切り返したりするかも。
これは「蟻が十なら芋虫は二十歳(はたち)」・・大きさからの連想による駄洒落です。
しかしいずれにしろ、こんな駄洒落を多用するのは「言葉の世界」掲示板にはふさわしくないので、以後自重します。



外来語

zo- (2003/05/16 04:29)

英語から単語を取り入れるとき、或る程度の規則はあるのかもしれないんですが、やっぱりmassangenaさんのおっしゃるとおり取り入れた時期などの理由によってに違うんでしょうね。明治時代の小説とかを読んでいると、今の言い方と違うものが時々出てきて、へー、と思うこともあります。それから東京の古いビルとかだと、ビルディングではなくて、ビルヂングって書いてあることありますよね。



Re: Niederlande

massangeana (2003/05/16 00:35)

すみません。訂正文をよんでませんでした。
Niederlande でいいんですね。どうもありがとうございます。



Re: シャツとか

massangeana (2003/05/16 00:07)

>シャツ
たぶん日本につたわった時代によって読み方がちがうのだと思います。「シャツ」は
とても古いはずです。ぎゃくに yell が「エール」, still が「スチール写真」, pulley が
「プーリー」, rookie が「ルーキー」, partition 「パーテーション」のようにのびているもの
もあります。ルーキーとパーテーションが日本語にはいったのはあたらしいだろうと思いま
すが。

>歌唱発音
坂本九も「うへをむーいて あーるこぅうぉぅうぉぅうぉぅ」と歌ってましたね :-)

>「コーヒー」の語源はアラビア語「quhwah」からとのこと(意味は「飲み物」)
quhwah ではなくて qahwa(h) だろうとおもいます。この語が「コーヒー」以外の飲み物
をさすとはきいたことがありません。

>ウムラウト...「Niederland」にはついていません
いや, Niederland ならつかなくて当然です(単数だから)。「Niederlande」と
さいごに e をつけてかかれていたので, ウムラウトがつくのではないかとお聞き
したのです。



シャツ 追加

らにい (2003/05/15 23:39)

下のレスはハワードさんのレスを見て自分の意見を書き込んだものです。



シャツ

らにい (2003/05/15 23:37)

私日本人でもなぜ「シャツ」というのか分かりません(^^;)
ただ、「シャツ」の語源は知っています。「シャツ」はゲルマン語「short」(女性用の短いガウン)から来ており、次第に上の方に身につけるものを「シャツ(shirt)」、下の方に身につけるものを「スカート(skirt)」と呼ぶようになりました。



結婚を

あお (2003/05/15 23:29)

ハワードさん
kekkonのnは舌先を上あごの歯茎の付け根のあたりに付けると英語のnですね。
舌先の替わりに、
舌の奥を上あごに付けてのどをふさいでそのままで発声したのが日本語の「ん」です。
それを急いで離してからoと言うと「結婚を」になり、
離しながらoと言うと「結婚後」になり、
付けたままの時間がLと同じ位長いとフランス語のgnoになります。
「結婚の」は英米人と日本人で発音に差がないでしょう。



訂正

鴛鴦 (2003/05/15 20:53)

× 「Niederland」→○ 「Niederlande」
m(_ _;)m



重複

きしろふ (2003/05/15 20:45)

「シュークリーム」に関しての記述がU+3002さんと被ってしまいました。
失礼しました。



コーヒーといろいろ

きしろふ (2003/05/15 20:43)

>massangeanaさん
>>「コーヒー」は・・・エチオピアのカファ(kaffa)という地名から
>前に書いたような気がしますが, この説はかなりマユツバです。
もう一度調べてみますと、「コーヒー」の語源はアラビア語「quhwah」からとのこと(意味は「飲み物」)。外来語としての「コーヒー」はオランダ語「koffie」の発音に由来しています。ちなみに「コーヒー」は10世紀頃アラビアの医者が乾燥したコーヒー豆を煎じて薬として使ったのが最初とされています。また、他にも夜通し行う宗教の儀式の前に眠気を払う霊薬としても使われていたようで、そういった儀式に使われたカップは怨念がこもってしまっているともいわれています。

>ハワードさん
ご返答ありがとうございました。
>・「月」
多分カメラで魂を抜かれるなんて信じる人はまずいないでしょう(^^;)
悪いイメージも「今は昔」なんですね。
>・「Xmas」と「X'mas」
確かに「X」は十字架に見えますね。
なぜギリシャは「X'mas」を使っている?
>・「ショートケーキ」
やはりびっくりしましたかぁ〜
日本の「ショートケーキ」は一応「sponge cake」で通っているそうです。
「靴クリーム」出された日なんかは時間が止まるでしょう(^^;;)
・「シュークリーム」・・・フランス語「chou a la cream」からで、これは「クリーム入りのキャベツの型をした菓子」という意味。ちなみに「キャベツ(cabbage)」はもともと「cappage」と書き、「頭の形」を意味する。



歌唱発音、ほか

U+3002 (2003/05/15 20:24)

ハワードさん。
>歌で、"を"をwoと言ったり、"い"をwiといったりしませんか?宇多田ヒカル>という歌手の
>First loveという歌を聴いて、”恋に落ちても”がko-Wi-ni-Wo-chi-te-moと聞こえます。
>”落ちて”の”お”はoだと思っていましたが。。。
それは、歌唱発音(diction)です。
歌唱発音では、母音(aiueo)が連続するばあい、しばしば半母音(jw)を挿入します。
[i]>[wi], [o]>[wo]のほか、[e]>[je]もあります。
音の立ち上がりを際立(きわだ)たせるため、外国語っぽく聴こえさせるためなどとされています。
文字が「お」か「を」かということとは関係ありません。

>あと、”大きな古時計”で、"ご自慢の"が"go-ji-maM-no tekei sa"に聞こえます。
これも同じく、歌唱発音です。
伸ばしたばあい、[n]や[ŋ(ng)]や[ɴ(N)]より[m]のほうが美しい音だとされています。
余談ですが、この発声法は、小学校(primary school)で教えるので、かなりの日本人が
「「ん」は(会話でも)常に[m]だ」と誤解しています。

英語にも、歌唱独特の発音法があると聞きます。
たとえば、フレーズ冒頭の冠詞は発音しないと聞きますし、事実、そう聴こえます。

>フランス語でのよりよい訛りを身につけたいのです(Everyone wants to have a better accent in French
日本語の「訛り」は、標準的な発音から外れたものに使うので、
「よりよい訛り」は変ですね。
このばあいは「よりよい発音」でしょうか。

>シュークリームを食べる、と聞いて、私はshoe cream!?!?(靴クリーム?)と思いました。。。cream puffですね。
シュークリームはフランス語chou à la creme [ʃuː a la kreːm ?] (cream in cabbage)
です。後半だけ英語のcreamに置き換わりました。



オランダ&サンタクロース

鴛鴦 (2003/05/15 18:55)

massangeanaさんが指摘してくださった点についてまた調べなおしてみました。

>「複数形なのでオランダ語は Nederlanden になるのではないでしょうか。」
massangeanaさんが後の書き込みで書いていますが、オランダ語でオランダのことをいう場合、正式国名の「Koninkrijk der Nederlanden」以外では単数形で「Nederland」と呼ぶことが多いようです。「Nederlanden」は元々ベネルクス3国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)と北フランスの一部を含む地域全体を指していました(原義は「低地の国々」)。
>「ドイツ語では lande の a の上にウムラウトがつくのではありませんか。」
もう一度辞書で調べてみましたが、派生語の「Niederlander」や「Niederlandish」には「a」の上にウムラウトがありますが、「Niederland」にはついていませんでした。使用辞書は「三修社『新現代 独和辞典』」です。発行は第1版第6刷(1998年2月1日)発行のものですが、その年の8月以降に買った物でドイツ語の新正書法についての手引きがあります。手引きには新正書法での「Niederland」についての表記がなかったので、変化しているかどうかは分かりませんが・・・。
>「聖ニコラスの祝日は12/6みたいですが・・・」
このことについて説明が足りなかったです。失礼しました。
聖ニコラウスの祝日(12月6日)とクリスマス(12月25日)との関係は全然ありませんでした。12世紀から数世紀にわたってヨーロッパでは、聖ニコラウスの祝日である12月6日に、教会関係の学校や、修道院附属の学校で面白い習慣がはやっていました。その日学校で選ばれた一人の生徒は、司教服を着て、他の生徒達と共に聖堂で荘厳に祈りを捧げ、それから一日校長になりすまし、生徒に種々の恩恵を与える権利があるという面白い行事がありました。特に、スイス、フランス、ドイツ、オランダなどでは、聖ニコラウスの祝日は子供の日になって、聖人がかつてお金を窓に投げ入れ、三人の娘を救ったあの伝説がもとになって、聖人の祝日の前夜に子供へそっとプレゼントする習慣ができました。12月6日の晩、子供達はベットへ行く前に紙で作った小船か、靴を用意したり、靴下を窓際へかけておいたりする。すると聖ニコラウスが夜通る時に、お菓子と贈り物を入れてくれると信じています。しかし、宗教改革の頃からプロテスタントの間で、この優しい司教の訪問を廃止して、贈り物を入れた袋を背負い、司教服になぞらえた赤服に赤い頭巾で長靴の、お爺さんの形にかえ、それをクリスマスと結びつけてしまいました。名前も聖ニコラウスをオランダ訛りで「サンタクロース」となりました。
その後、イギリスへ伝わった際、クリスマスのプレゼントを窓からではなく、煙突から入って暖炉やストーブのそばに用意した靴や、靴下の中に入れることになりました。さらに北欧の伝説も加わって8頭のトナカイのソリにおもちゃを乗せて北の国から訪れてくるのだといい伝えられました。

以上、報告終わり!(笑)



パート2!

ハワード (2003/05/15 18:20)

>ろすけさん
>乱暴ですがこんなのはどうでしょうか? ↓( )の部分は省く。
>”結婚を”は「kekkon wa(rren)」
>”結婚の”は「kekkon(?) no(!)」
それはいいかも知れませんね!kekkonの後に、wをつけますか!明日友達に試してみます!

ところで、今度もし私が私の声(日本語)を録音して、アップロードしたら、みなさんはどこが変か教えてくれますか?私の友達たちは私の発音に慣れているので、あまりわからない、と言いました。。。(T_T)

>おっ、ついでに教えていただきたいことが出てきました。英米でWARRENという男の名前があり
>ますね。
>この単語の意味は「ウサギの飼育場、ごみごみした場所」とかで、あまり良い印象を受けませ
>ん。なのに、このような単語をわざわざ子供に名づけるのは何故でしょうか?
いい質問ですね。。。warren意外にも、たくさん変な名前はありますが。。。なぜそういう名前かはわかりません。でも、Warrenという名前を聞いても別にwarren(もう一つの)とは思わないでしょう。。。英語学者ならわかるかも知れません。。。今度、聞いてみます!^^

>ありあとあんした!(in advance)
どういたしやして!(すみません、変に聞こえますか?(笑)

>きしろふさん
>「月」のイメージ。日本人の「月」に対するイメージと西洋人のそれとは、かなり違うように思
>います。日本語では、「月の都」「月の宮人」「月の杯」「月の前の灯火」など、美しいものを
>喩えることが多いのに対し、英語では、「お尻」「密造酒」「ふらふら歩く」などあまり「美」
>を感じさせないようです。。「月」に関連する英語で lunar (lunatic) などは、「精神異常、
>狂気、愚行」という意味があります。これは、「精神的な異常が月の満ち欠けによっておこるも
>の」と信じられていたようです。
>やっぱり「月」に対してのイメージは向こう(イギリス等の西洋)では悪いんでしょうか?
はい、昔はたくさんの人が”月の光を見ると頭がおかしくなる”と信じました。でも、これは、おそらく日本の"カメラ"の話しと似ています、、、つまり、昔は写真を撮ると魂がなくなる、と信じた人もいた、と聞きました。しかし、今はあまりそれを信じる人はいないでしょう(多分。。。
Werewolfも、月を見ると頭がおかしくなりますね。それと似ていると思います。。。
あと、満月の日には、魚が連れない、と言う人がたくさんいます。。
多分、これは、少しの人はまだ月にとっていいイメージを持っていないからでしょう。でも、ほとんどの人はあまり気にしないと思いますが。。。でも、いいイメージがある、というわけでもないです。。。

> ・日本には「Xmas」と「X'mas」と二つの書き方がありますが、向こうでは「X'mas」という
>書き方がないというのは本当でしょうか?
本当です。X'masと書くと、Xを離しているので、十字架に見えるので、あまりいいイメージを持たない人もいるからでしょう。ギリシャの人はX'masと書く、と聞いたのですが、あまりわかりません。。。

> ・日本の「ショートケーキ」にビックリしたことがありますか?(変な質問ですいませ
>ん・・・ ^^;。向こうでは日本のとは姿かたちとも全然違うと聞いていますので)
>もしよろしければ返答お願い致します。
はい!!!!とても驚きました!ある時、下宿のホストマザーが”ショートケーキを買ってきた”と言ったので、私はshortcake(パンの中に、苺を入れて、上にクリームをつけます)を期待しました。でも、彼女が買ってきたのは苺クリームスポンジケーキ(!?!?)みたいでした(笑)
あと、シュークリームを食べる、と聞いて、私はshoe cream!?!?(靴クリーム?)と思いました。。。cream puffですね。



みなさん、どうも!

ハワード (2003/05/15 17:58)

>Maniac Cさん
>「ら」の子音(しいん)は alveolar flap です。米語(べいご)の d とほぼ同じです。
>ですから、tabeDaDeDu を速く、滑(なめ)らかに言えるように練習すれば良いのでは
>ないでしょうか。
はい、アメリカ人は時々dを変に発音しますね。イギリスでも、南では、する人が多いです。
でも、私はそれになれてないかもしれません、、、はじめtabedadeduと友達に言ったら、彼は私に笑いました。。。”たべだでどぅ”みたい、といいました。
例えば、”子で”と”これ”はどう違いますか?

>■「ん」は難しいですね。私も仏語(ふつご)の鼻母音を想起しましたが、ちょっと
>違うように聞こえてしまう心配が有ります。「結婚の」のときは、「ん」の後に気持ち
>(a bit)、間(ま)を空けると良いでしょう。「結婚を」のときは「を」を「wo」と発音
>すれば宜(よろ)しい。日本語の古い発音は「wo」だったし、私を含め、極(ごく)少数
>の日本人は、まだそう発音しています。
私の先生も、”を”をwoと言いました。あと、歌で、"を"をwoと言ったり、"い"をwiといったりしませんか?宇多田ヒカルという歌手のFirst loveという歌を聴いて、”恋に落ちても”が
ko-Wi-ni-Wo-chi-te-moと聞こえます。”落ちて”の”お”はoだと思っていましたが。。。
あと、”大きな古時計”で、"ご自慢の"が"go-ji-maM-no tekei sa"に聞こえます。多分、日本人のたくさんはあまりこれを気付いてないと思いますが。。。

いつもながら(使い方、あってますか?)添削、どうもありがとうございます!!とても勉強になります^^

>にれのやさん
>■ムッシュ・ハワード、こんな説明でどうでしょう。
>→ハワードさんは、フランス語の鼻母音(びぼいん)というのができますか? pont [ポん] とい
>うような単語で、舌を上の歯の裏につけないで、鼻から息を抜く母音です。「けっこん」 の "-
>on" の部分を、この鼻母音で発音するのです。そのままで、次の 「を」 を発音します。「を」 の
>音は、最初の部分では、まだ、鼻から息が抜けているようです。(自分の発音を観察してみて)
>こんな説明でわかるでしょうか?
はい、わかりやすいです^^ たくさんのイギリス人が鼻母音(nasal vowelsですよね?)を発音しようとします、しかしあまり成功しません、、、みんなフランス語でのよりよい訛りを身につけたいのです(Everyone wants to have a better accent in French,この日本語で合っていますか?)例えば、シャンペーン、と言う時、フランス語の発音をすると、みんな驚きます。ちょうど、日本語を話すとき、カタカナ英語を英語の発音で言うのと同じです^^

ところで、一つ質問していいですか? burnはカタカナ英語で、”バーン”ですね?何故、shirtは”シャート(ツ)”ではなくて、"シャツ"ですか?
teamは”チーム”ですが、”エクサイチング”はどうして変ですか?
よろしくお願いします!



雑種記号

U+3002 (2003/05/15 14:37)

初めて書き込みます。ちょっと気になったもので。

青蛙さん。
>> Prunus × yedoensis Matsum.
>  この「×」について何の説明もされていませんでしたが、雑種(hybrid)であること
>を表しています。ソメイヨシノ(染井吉野)はエドヒガン(江戸緋寒?)Prunus
>pendula forma ascendens とオオシマザクラ(大島桜?)Prunus speciosa との
>種間雑種ですから Prunus pendula × P.speciosa となるのではないかと思われるので
>すが、なっていませんね。松村さんが Prunus yedoensis 名付けてしまったのかな?

Prunus pendula X P. speciosa (Xは大文字) というふうに書くのは、
「未登録」のばあいですね。
Prunus x yedoensis (xは小文字) は、登録ずみ雑種もしくは自然雑種です。
なお、正式には「× (かける)」ではなく「X/x (エックス)」です。

「登録」とは、IRAs (国際園芸品種登録機関) に登録することだと思います。



お転婆 追記 その2

らにい (2003/05/15 12:48)

度々すいませんm(_ _;)m
「江戸時代まで」と限らず昔は無かったのでしょうか?



お転婆 追記

らにい (2003/05/15 12:42)

「お転婆」とは関係ありませんが、
「簿記」という言葉は江戸時代まで無かった!?



お転婆

らにい (2003/05/15 12:40)

>massangeanaさん
が書き込みしましたリンクのページを見る限り、「伝馬」も「ontembaar」も諸説の一つのようですね。しかも、「ontembaar」ば後からとって付けたような感じがし、「伝馬」等の日本古来からある言葉からのほうが正解のような気がします。



台湾国語について

辻本裕幸 (2003/05/15 10:21)

本当にありがとうございます。zoさん。参考になりました。台湾には元々ビン南語を話す人がたくさんいる。ハッカ語を話す人もかなりいる。オーストロネシア系先住民諸語を話す人もそれなりにいる。日本語を話す人も結構いる。しかし北京語を話す人は、あまりいなかったのだと思います。それは大陸の別の省でも同じ事ですが、大陸は陸地続きですからね。おまけに北京の政府と直結していますから、いかなる僻地でも一応標準とされている、北京語は入ってくる。しかし台湾は北京と繋がりが切れましたから。もし台湾の人が(一応、北京政府が定めた)標準的な話し方をしていなかったとしても誰も注意できませんからね。だから独自の話しぶりをする人が多いのだと思います。おそらく台中の国語の差は、米英のイングリシュの差ぐらいは離れたのだと思います。そして台湾の人たちは、長く北方官話とは無縁に暮らしていた人たちが多いと思うので、彼らが北京語を公用語とするのは、日本人が北京語を公用語にするのと同じぐらい、やっかいなことなのだと思います。



Re: オランダ

massangeana (2003/05/15 09:42)

>複数形なのでオランダ語は Nederlanden になるのではないでしょうか
The country is called "Nederland" (singular) and the kingdom is called
"Nederlanden" (plural) だそうです。
 http://homepages.tesco.net/~plk33/plk33/History/FeaturesEurope/FranceNetherlands.htm

>オランダ語(方言)「Sante Klaas」
方言としているものはいくつかありました。
The Concise Oxford Dictionary of English Etymology
 http://groups.google.com/groups?selm=3E02682D.5030403%40mom2many.com
Online Etymology Dictionary
 http://www.etymonline.com/s1etym.htm

この 1773年の初出形では St. A Claus となっているそうです。
現在のサンタクローズのイメージのもとになったのは Irving の "A History of New York" (1809)
 http://arthursclassicnovels.com/arthurs/irving/histny10.html
や, Moore の "A Visit from St. Nicholas" (1822)
 http://www.nyise.org/moore/
だそうですが, 両方とも St. Nicholas と書いています。19世紀はじめにはまだ Santa Claus と
いう名前は一般的ではなかったのではないでしょうか。



Re: オランダ

massangeana (2003/05/15 07:12)

>「Netherlands」はオランダ語「Nederland」から。ドイツ語「Niederlande」
複数形なのでオランダ語は Nederlanden になるのではないでしょうか。
ドイツ語では lande の a の上にウムラウトがつくのではありませんか。

>オランダ語(方言)「Sante Klaas」。(標準オランダ語 では「Sinterklaas」)
方言なのですか? たんに現在の正書法が確立するまえのいろいろな綴りのひとつ
ということはないでしょうか。

>Nicholasの祝日の習慣

聖ニコラスの祝日は 12/6 みたいですが...

>コカコーラ社は...アメリカの画家に

この画家はスウェーデン人だったようです。ここに当時の絵がありました。
 http://www.angelfire.com/trek/hillmans/xmascoke.html

>「コーヒー」は...エチオピアのカファ(kaffa)という地名から
前に書いたような気がしますが, この説はかなりマユツバです。

>「お転婆」は...オランダ語 「ontembaar」から
この説についてはここにまとめられてますね。かなりあやしげみたいです。
 http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/2003/ontembaar.htm



ウサギおいしい?

ロスケ (2003/05/15 04:28)

>姓の Warren は又別で、仏国の地名 La Varenne (sandy-soil) に由来するそう
>です。又、普通名詞に由来する Warrener という姓も在るそうで、こちらは、
>現代語では「養兎場主」の意味ですが、歴史上は「野生鳥獣飼育地の管理人」
>の意味で、姓は後者の意味だそうです。

Maniac C. さん、ありあとあんした!
思いつきですが、Varenneがsandy-soil(砂地)なら、英語barren(不毛の地)と関係あるかも。
養兎場ということは、ウサギを食う習慣があるのでしょう。それにしても世界でいろいろ変わった動物が食用に珍重されているようですね。フランスではウサギや鳩、インドシナ半島ではネズミ、朝鮮や中国では犬。
#さすがに猫を食べるのはあまり聞いたことがありませんな・・・



re 学名関係

Maniac C. (2003/05/15 02:33)

>青蛙さん(5/9)
レスに1週間近く掛かってしまった……。

>通性とか共性とか両性とか呼ばれるもの(common gender)があるのはなんででしょう。これは gender が無いとは言えませんが、(男性と女性との)性別を問わないのではないでしょうか。
→蘭語を例に取りますが(北欧諸語も大体同じです)、蘭語は通性と中性の2性が
在ります。御案内の通り、「通性」は歴史的変化の結果、男性名詞と女性名詞が合流
してしまったものです。通性名詞は代名詞で受ける場合、日常会話では「牝牛」や
「雌猫」さえ男性代名詞で受けますが、格調高い口語・文語では、かつて女性名詞
だったことが判る語尾を持つ regering や liefdadigheit などは、ごく一般的に
女性代名詞で受けるそうです(『オランダ語誌』)。
 ロマンス諸語では男性名詞と中性名詞が合流してしまっています。
 「性別を問わない」は二義的ですが、無論、自然性(sex)の区別は関係有りません。
文法性(gender)の区別は、語源学者でもない限り、つけられない、と言うことです。
ただ、英語と違って、無生物(精確には無情物)を全部中性扱いにするところまでは
至っていません。

(Kaus)について知りたいのは名詞の性
→書店で市販の羅和辞典を見てみましたが、載っていませんでした。
確認できたのは、羅語で「弓」を意味する arcus が男性名詞だ、ということだけ
でした。

「三性同形」は欲張り過ぎなのでは。meridionalis の中性形は meridionale ではありませんでしたか。
そうですね。「3性同形型」の形容詞は、現在分詞の –ns,ntis型が代表的なものです
が、その他は -rs,rtis型, -rs,rdis型, -x,c-is型などですね。

UMA ν & ξ
→ Alula は、羅語では a¯la 「翼」の指小形として、「小翼」を意味する別語が在り
ました。こちらは女性名詞です。星の名前の語源はアラビア語の(al-qafzah) al-ula
「第1の(跳躍/足跡)」を意味する女性形のようですから、語源を尊重するなら、
女性形が正しいのでは。羅語の別語としても女性名詞の語尾をしていますから、紛れ
ようの無いはずなのですがねえ…。
borealis や australis で検索すると、まだまだ見つかるかもしれませんね。

>> Prunus × yedoensis Matsum.
> この「×」について何の説明もされていませんでしたが、雑種(hybrid)であることを表しています。ソメイヨシノ(染井吉野)はエドヒガン(江戸緋寒?)Prunus pendula forma ascendens とオオシマザクラ(大島桜?)Prunus speciosa との種間雑種ですから Prunus pendula × P.speciosa となるのではないかと思われるのですが、なっていませんね。松村さんが Prunus yedoensis 名付けてしまったのかな?
→「×」については、解る人には判るだろうと思い、説明しませんでした。
■エドヒガンの漢字は「江戸緋寒」ではなく、「江戸彼岸」が正しいようです。
「緋寒桜」は「ヒ(カン(ザクラ))」で、清音です。この2つの混同を避けるために
後者を「寒緋桜」と言うようになったそうで、学名は P. campanulata Maxim.
らしいです。
ネット検索をしても「江戸寒緋桜」は在りませんでした。
「江戸緋寒」は少数引っ掛かってきました。ネット検索の多数決の無意味さは
重々承知していますが、圧倒的多数が「江戸彼岸」でした。
『広辞苑』には「ひがんざくら(彼岸桜)」「ひかんざくら(緋寒桜)」のどちらも
立項してありますが、「寒緋桜」は記述すら在りません。
尚、「彼岸桜」の説明には「エドヒガンの俗称」とも在り、「江戸彼岸」の項目
には「ヒガンザクラ(コヒガン)とは別種」と在りました。こちらの学名は、
P. × subhirtella Miq.です。
■松村さんが学名をつけた1901年には、染井吉野の起源は、まだ明らかではありま
せんでした。1960年に、竹中要(よう)氏が実際に掛け合わせて雑種説を実証し、
論文に発表したのです。

>> ラテン語はバチカン市国の公用語です。
> いわゆる教会ラテン語というやつでしょうか。
→そのようですね。古典ラテン語の発音ではなく、伊語訛りの発音になるようです。
発音について詳しくは、下記のHPを御覧ください。

>>>* sour orange の学名"Citrus aurantium"も、性が一致しない例でしょうか?
>> →何日か前に書き込みしましたが、羅語では、果樹は女性、果実は中性だったのです。
> これは答えになっていないのではないでしょうか。
>・羅:citrus < 希:kitrea(シトロンの木:女性)
>・羅:citrum < 希:kitron(シトロンの実:中性)
>属名の Citrus は女性と扱われますから、やはり aurantium では性が一致せず、おかしいことになりませんか。
仰るとおりです。済みません。m(_ _;)m
http://zakio.hp.infoseek.co.jp/music/latin.html



添削つけたし

Maniac C. (2003/05/15 00:18)

□説明なさりました→説明してくださいました
 …「〜なさる」は相手に対して使う敬語です。この場合、相手はにれのや師匠であり、
 Maniac C.は3人称の主語ですから、敬語の使い方が不適切ということになります。
 主語が3人称で、その行為の結果が自分に利益として及ぶ場合、「〜てくれる」を
 使います。“He explained it.”と“He gave an explanation of it for me.”の
 違いでしょうかねえ。



外来語

らにい (2003/05/14 23:52)

きしろふさんの下のレスで思い出したことがあります。
私も前に外来語について調べたことがあります。
驚いたこともありました。例えば、
・「簿記」は「book-keeping」の音訳だったこと。
・「お転婆」は「伝馬(官公専用の馬。情報を伝達する役目を受け持つ馬で、若くてピンピンしていて、多少気性が荒れていた馬が多かった)」が「転婆」に変わったものと思っていたら、オランダ語「ontembaar」(意味は「女性としてのたしなみを忘れてふざける少女」)からきているというものもあったこと。
などです。
あと、違う話として「カナダ」という名前の由来は、(アメリカ入植当時の頃)ヨーロッパ各地からの移民が北米の先住民イロクォイ族に「ここはどこだ」と聞いたところ「カナタ(村)」と言ったのを、そこの地名と勘違いをしたことだそうです。



いろいろと・・・

きしろふ (2003/05/14 21:21)

失礼ながらハワードさんに少しお聞きしたいことがあります。
それは・・・
 ・「月」のイメージ。日本人の「月」に対するイメージと西洋人のそれとは、かなり違うように思います。日本語では、「月の都」「月の宮人」「月の杯」「月の前の灯火」など、美しいものを喩えることが多いのに対し、英語では、「お尻」「密造酒」「ふらふら歩く」などあまり「美」を感じさせないようです。。「月」に関連する英語で lunar (lunatic) などは、「精神異常、狂気、愚行」という意味があります。これは、「精神的な異常が月の満ち欠けによっておこるもの」と信じられていたようです。
やっぱり「月」に対してのイメージは向こう(イギリス等の西洋)では悪いんでしょうか?
 ・日本には「Xmas」と「X'mas」と二つの書き方がありますが、向こうでは「X'mas」という書き方がないというのは本当でしょうか?
 ・日本の「ショートケーキ」にビックリしたことがありますか?(変な質問ですいません・・・ ^^;。向こうでは日本のとは姿かたちとも全然違うと聞いていますので)
もしよろしければ返答お願い致します。

>鴛鴦さん
オランダ語源の言葉を少し教えてあげましょう。

 ・「レンズ」・・・「レンズ豆」という豆の形に似ていたから。
 ・「コーヒー」・・・コーヒー豆の原産地、エチオピアのカファ(kaffa)という地名から来て、オランダで「コーヒー(koffie)」となった。日本には、17世紀ごろ、オランダ人によって伝えられた。
 ・「ランドセル」・・・「子ども用の背負いかばん」という意味の「ランセル
(ransel)」から。「ランセル」または「ランゼル」と発音されていたのが、しだいに「ランドセル」となまっていった。



オランダ 再び(笑)

鴛鴦 (2003/05/14 18:53)

以前、私がオランダについて質問し、いろいろと答えをもらいました。
最近またオランダ(またはオランダ語)について調べてみたのです。
なぜ「Dutch」というのか調べてみたかったのです。
そして、このようなことが分かりました。

・「Dutch」は元々「Dutsch」と書き、「ドイツ(Deutsch)」を意味していた。(実際17世紀頃までオランダ語、ドイツ語共に明確に区別されていなかった。)
・「Holland」は古高地ドイツ語「Holtland」から来ており、「木の国」を意味する。
・「Netherlands」はオランダ語「Nederland」から。ドイツ語「Niederlande」。昔はベルギーも一緒だったが、ベルギーは1830年分離・独立し、「ベルガエ人の国」つまり「ベルギー」となった。

また、調べていくうちに「サンタクロース」がオランダ語からきているという事実に達しました。
・「サンタクロース(Santa Claus)」は4世紀に現在のトルコにある、小アジア(Asia Minor:Anatolia)の司教St. Nicholasが由来。語源は「St. Nicholas」のオランダ語(方言)「Sante Klaas」。(標準オランダ語では「Sinterklaas」)オランダ語が語源なのはSt. Nicholasの祝日の習慣をアメリカに伝えたのがオランダ人だったから。ちなみに「New York」は最初にそこに移り住んだのがオランダ人だったのでそのころは「New Amsterdam」と呼ばれていた。
・余談ですが、サンタクロースの服がああいう風(赤い上着に白の縁取りがされたもの)なのは、1931年アメリカのコカコーラ社は冬のキャンペーン促進のために、アメリカの画家に“サンタクロース像” を描くように依頼。その画家は、コカコーラの赤と白をサンタクロースの服に使って描くことにしたそうです。しかも、あのふくよかなサンタクロースは、定年を迎えた営業マンがモデルになっていたそうです。

さて、「サンタクロース」についても分かりましたが、同じ英語圏ならイギリス(やオーストラリア)にはどうやって伝わっていったのかなぁ?



台湾国語

zo- (2003/05/14 16:08)

辻本さん

私にはすごく難しい問題です。音韻論的な問題は殆ど分からないので、断片的に聞いた知識と私の感覚でお答えします。

中華民国の政府は、規範を変更してしまったわけではありませんが、アナウンサーなどでは「台北国語」の中でもやや標準という程度でなれるようです。台湾は放送局(ケーブルテレビやFMラジオ)がすごくたくさんあるので、中にはすごくなまっている人もいます。

特に「日本」の「日」の発音は、台湾の中でもいろいろで、「ズー」「ジー」「リー」「イー」いろいろに聞えることがあります。どういう語彙に用いられるかとも関係あるかもしれません。「日記」は「ジージー」に聞えますし(こう言われてなんのことか分からなかった経験がある)、「日立」は「リーリー」に聞えます。「栄」という発音などの場合は、longに聞えることが多いです。台北に「栄心花園」という葬儀場?があるんですが、私はずっと「龍心」だと思っていました。でも「ゾン」のように発音する人もいるような気がします。「日本」はリ―ベン、ジーベン、ズーベン、どれも聞いたことがあります。

台湾の中国語については、台湾語、客家語の影響も大きいと思いますが、ここ50年でどのように学んだかということとも関係があるようです。55歳くらいの人から聞いたんですが、自分たちが小学校の時には、先生すら国語を話せず、先生たちが国語の教習所みたいなところへ前日までに行っておいて、それを学生に教えるのが殆どだったそうです。その教習所のようなところの先生がどんな先生かは聞いてませんが。

中国の研究者が書いた文章で以前、台湾の中国語にはセッコウ省あたりの影響があると書いてあるのを読んだ記憶があります。が、もしかしたら、そのときは蒋介石率いる…という先入観かなあ、と思った記憶があります。

正直なところ、あまり断定的なことは言えません。



台湾国語そりじた音

辻本裕幸 (2003/05/14 13:36)

zoさんへ
 時々掲示板見過ごしています、本当にごめんなさい。
 さてこの前「多桑」という台湾映画見ました。ナレーターみんな国語でしゃべっていましたが、(予想はしていましたが)そりじた音はすべてz,c,sになっていました。しかしです、映画のナレーターですよ。そういう正式の放送の場でも、台湾では、そりじた音は発音しないのですね。ということは台湾では半ば、国語のそりじた音をz,c,sで発音するという事が、公にも認めれてきていると言うことなのでしょうか?もしそうなら、私は大賛成です。大陸でも、みんな発音しませんから、そりじた音。しかし興味深かったのは、そのナレーターは日本を「ズーペン」と発音していたことです。私もセッコウ省や四川省の人が「ズーペン」と発音していたのは聞いたことがあります。(もちろんその人が普通話を話しているときのことです。)しかし広東人が「ズーペン」と発音しているのは聞いたことがありません。ビン南語をしゃべる友人は多くないので、経験に乏しいのですが。私の先入観では、台湾語(ビン南語)では日本のこと【lit bun】みたいに発音するじゃないですか?ですから私の偏見によれば、台湾人が(ビン南語でなくて)国語を話しているときも日本を【li ben】みたいに発音するのかな?と思っていたんですよ。しかし映画では明らかに「ズーペン」と発音していた。もしそうなら、日の「ズー」はどっから出てきたのでしょうか?セッコウ省の方言では日本を「ザッポン」みたいに発音するようですから、その連想で彼らが普通話を発音するときも日本が「ズーペン」となるのは、想像がつきますが。まずは台湾国語は一般にどのように発音されているのかを教えていただけないでしょうか?これは文献も読むより、実際に台湾で過ごされた方の経験談を聞く法が確実だと思います。



re Warren

Maniac C. (2003/05/14 12:09)

>ロスケさん
>英米でWARRENという男の名前がありますね。
>この単語の意味は「ウサギの飼育場、ごみごみした場所」とかで、あまり良い印象を受けません。なのに、このような単語をわざわざ子供に名づけるのは何故でしょうか?
>#普通名詞のwarrenとは語源が違う可能性も考えられますが、そこまで調べられませんでした。

■横レス失礼します。
 結論から先に言いますと: 同語源だが、関係は不詳(研究社『英語語源辞典』)、
 らしいです。別語と考えた方が良いと思います(ネイティヴの感覚としてはハワード
 さんの回答を待つべきだとは思いますが)。

■普通名詞…(1649)大勢の人が住んでいる所←(1378頃)猟鳥獣類(とくにウサギ)の
 飼育場 ME wareine ← AF warenne (game-park) ← OF warir (to preserve) ←
 Frank. *warjan (to protect)
■男子名…ME Warren ← ONF Warin ← OHG Varin(民族名) ← Gmc *warjan (to
 defend)

と、上掲書には有ります。綴りから、中期英語では強勢の位置が違ったようですね。
■尚、姓の Warren は又別で、仏国の地名 La Varenne (sandy-soil) に由来するそう
 です。又、普通名詞に由来する Warrener という姓も在るそうで、こちらは、現代語
 では「養兎場主」の意味ですが、歴史上は「野生鳥獣飼育地の管理人」の意味で、
 姓は後者の意味だそうです。



Warren

ロスケ (2003/05/14 05:09)

ハワードさん、お久しぶりです。

>例えば、”結婚を”(kekkon o)と、”結婚の”(kekkon no)が
>難しいです。何かいい方法がありますか?

乱暴ですがこんなのはどうでしょうか? ↓( )の部分は省く。
”結婚を”は「kekkon wa(rren)」
”結婚の”は「kekkon(?) no(!)」

おっ、ついでに教えていただきたいことが出てきました。英米でWARRENという男の名前がありますね。
この単語の意味は「ウサギの飼育場、ごみごみした場所」とかで、あまり良い印象を受けません。なのに、このような単語をわざわざ子供に名づけるのは何故でしょうか?

#普通名詞のwarrenとは語源が違う可能性も考えられますが、そこまで調べられませんでした。

ありあとあんした!(in advance)



訂正

Maniac C. (2003/05/14 04:54)

(誤) te-form も、「って」ではなく「いて」になります

(正) 命令形も、「れ」ではなく「い」になります

 ◎なさって・おっしゃって・いらっしゃって・くださって
 ×なされ・おっしゃれ・いらっしゃれ・くだされ(archaic)
 ◎なさい・おっしゃい・いらっしゃい・ください



re 「ら」と「ん」

Maniac C. (2003/05/14 04:46)

>ハワードさん
先だっては質問の回答を有難う存じました。
■「ら」の子音(しいん)は alveolar flap です。米語(べいご)の d とほぼ同じです。
ですから、tabeDaDeDu を速く、滑(なめ)らかに言えるように練習すれば良いのでは
ないでしょうか。
■「ん」は難しいですね。私も仏語(ふつご)の鼻母音を想起しましたが、ちょっと
違うように聞こえてしまう心配が有ります。「結婚の」のときは、「ん」の後に気持ち
(a bit)、間(ま)を空けると良いでしょう。「結婚を」のときは「を」を「wo」と発音
すれば宜(よろ)しい。日本語の古い発音は「wo」だったし、私を含め、極(ごく)少数
の日本人は、まだそう発音しています。
■ついでに、図に乗って、添削ですが。
□「その冗談」→「例の冗談」「あの冗談」
 …「その」「それ」は、相手の側に在るものを指すときに使います。ハワードさん
 が持ち掛けた冗談ですので、「私の冗談」とは言えても「その冗談」とは言えません。
 この場合は、「以前に話題に出て共通認識の有る冗談」と言う意味の“the joke”
 ですので、「以前」という意味では、遠いところに在るものを指す「あの」が
 使え、「共通認識が有る」という意味では、「例の」が使えます。
□「なさりました」→「なさいました」
 …敬語の「る」で終わる動詞は、「ます」につけるとき、「り」ではなく「い」に
 なり、te-form も、「って」ではなく「いて」になります: おっしゃる・いらっしゃ
 る・くださる→おっしゃいます・いらっしゃいます・くださいます。
□「よくない」→「うまくない」「上手ではない」
 …「よい」は「わるい(bad)」の反対語(antonym)。「うまい」「上手」は「へた(poor)」
 の反対語です。
□「たくさんのとき」→「よく(often)」
□「彼らはあまりわかりません」→「彼らはあまりわかってくれません」
 …「わかりません」は、平叙文(a declarative sentence)では「私」が主語のとき
 に使います。「私(たち)」以外が主語のときは「わかってくれません」と言います。
□「私は彼を支持しません」→「私は彼に同意しません」(文章語)
              「私はそうは思いません」(会話語)
 …「支持する」は「支え持つ」が原義で、「人の意見・行動などに賛成して、後援する
 こと」です。この場合、「後援(経済的に支えたり、応援したりすること)」の意味が
 含まれませんので、賛意だけを伝える表現にします。



re “A dog of Flanders”

Maniac C. (2003/05/14 03:39)

■松茸さんご紹介の eText を改めて読んで思ったのは、「何ぢゃ、これ?」でした。
ウィーダことルイーズ-マリー=ド-ラ-ラメーは、流行作家だったはずです。しかし、
文章を読む限り、(時代が古いこと、児童文学? であることを差し引いても)全く
その文体に文学的魅力を感じません。やたらA&B形式の修飾語句が目に付くだけ。
■にれのや師匠が気にしていらっしゃる人名・犬名にしても、「コイツは蘭語を全く
知らず、旅行で取材した雰囲気だけで書いているな」と思ってしまいました。村の
雰囲気だけはとても inspire されたようで、当時の状況をよく伝えていることは
評価しても良いと思いますが。
■まづ、題名にもなっているワンコの名前ですが。Patrasche は、もし蘭語式に読む
なら「パートラースヘ」。少し間違っているとして、最後の –e が無ければ「パー
トラース」。大幅に間違っていると考えた方が良さそうなので、多分、Petrusje で、
「ペートリューシェ」。英語のピーターに当たる Petrus に指小辞 –je を付けたもの。
これなら在りそうです。
■その飼い主となる Nello と Jehan については師匠の調べられたとおり。最初、
原書を読んだときは「イェーハン=ダース」って何だ? と思いました。独語で
Jochen なら在るけど、ヨーハネスぢゃないの? それに、daas って、渾名??
英語の dazed に当たる言葉で、蘭語では「(頭が)ぼうっとした→愚かな」という
意味なのですよ。確かに、奈翁戦争で脚が不自由な彼には相応しいと言えるかも
知れませんし、乞食のような暮らしをしていて夢破れると死んでしまう主人公の
運命を暗示しているのかも知れませんが、あんまりだ! …ちなみに、TVアニメ
では中途半端な英語読みで「ヂェハン」となっていました。
■Alois も、松茸さんの仰るように男性形で綴りが仏語風。蘭語訳ではAloi¨se
と、しっかり女性形になって分音符まで付いていますから、よく知られた「アロア」
より、massangeana さんご紹介の小冊子の「アロイス」の方が近いのでは。綴りに
忠実に発音すれば「アローイーセ」。意味は不明……。
■私の一番の驚きは、彼女の父親の名前。Baas Cogez とあるから西班牙系かと思って
「コーへス」と読んでいたのですが(何か娘の容貌についてもそれらしい記述が有った)、
昔のTVアニメの記憶では「コゼッツさん」と言っていたようなのを思い出しました。
これまた中途半端な英語読みだ……。ちなみに、baas は英語の boss に当たり、やはり
村の名士で、主人公に辛く当たる役には、相応しい名前でしょうか?



Re: 結婚を/結婚の

にれのや (2003/05/14 00:34)

■ムッシュ・ハワード、こんな説明でどうでしょう。
  Kekkon-no 英語式の [n] の発音でよい。
  kekkon-o
→ハワードさんは、フランス語の鼻母音(びぼいん)というのができますか? pont [ポん] というような単語で、舌を上の歯の裏につけないで、鼻から息を抜く母音です。「けっこん」 の "-on" の部分を、この鼻母音で発音するのです。そのままで、次の 「を」 を発音します。「を」 の音は、最初の部分では、まだ、鼻から息が抜けているようです。(自分の発音を観察してみて)
 こんな説明でわかるでしょうか?
 もっと、マシな説明のできる方(かた)よろしくお願いします。



オランダ人の名前に Nello と Jehan があるか?

にれのや (2003/05/14 00:23)

■どうも、アントワープに、モニュメントを立てたのは the Japanese community of Belgium だそうです。アントワープのツーリズム・ニューズレターによると、「『フランダースの犬』 という話は、日本人と韓国人のあいだではよく知られた話である」 とのことです。おやまあ。
■以下に、オランダの Prism 社の "Voornamen" (名前の辞典)から、フラ犬関係の名前のリストを引用してみやしょう。
【Nicolaas】 基本形
  [異体・略称・愛称] Claas, Clasinus, Cola, Coletus, Colijn, Klaas, Kola, Kolijn, Kool, Nick(y), Nico, Nicol, Nicola, Nicolas, Niek, Niklaas, Nikolaas.
  [Drente] Klaasien.
  [Friesland] Kaeye, Klaes, Klees, Laas, Liekele, Likel, Likele, Lykele, Lykle, Nikele, Nikels, Nykle.
  [Groningen] Niekel.
  [Hogeland] Niekel.
  [Land van Heusden en Altena] Clazinus.
  [Middel-Limburg] Kla.
  [Noord-Brabant] Co.
  [Noord-Limburg] Nil.
  [Overijssel] Klaasien.
  [Ruinen] Kle{u+¨}s(ien).
  [Texel] Laas.
  [Zuid-Limburg] Colla.
  [Zuid-Nederland] Klijn.
【Johannes】 基本形
  [異体・略称・愛称] Andy, Han, Hannes, Hans, Hansko, Hanzo, Jan, Janco, Jannig, Janis, Janno, Janus, Jennius, Jentje, Jewan, Jo, Joannus, Johan, Johannis, Johanny, John, Johnny, Jon, Joop, Sjonnie, Sjonny
  [Brabant] Jakke
  [Drente] Janne, Jantinus
  [Friesland] Ievan, Jaen, Jan, Jane, Janke, Jannes, Jean, Jeane, Jeen, Jehannes, Jen, Jene, Jenke, Jenne(ke), Jense, Jensen, Jent(e), Jentse(n), Jentsje
  [Gelderland] Janje
  [Groningen] Janko, Jenne, Jenno, Joan
  [Limburg] Jang, Jeng, Sjang, Sjeng, Zjang, Zjenske
  [Noorbeek] Jang, Jeng
  [Noord-Brabant] Has, Haske
  [Noordwest-Limburg] Haske
  [Oost-Vlaanderen] Wein(je)
  [Overijssel] Jaentien, Jannes, Jens, Jentinus
  [Vaals] Hennes
  [Volendam] Jannig
  [Vollenhove] Jannesjan
  [Weerselo] Jens
  [Zeeland] Jannes, Jans, Janse, Jent, Jentinus, Jewannes, Joannes, Wanne
  [Zeeuws-Vlaanderen] Jannis
  [Zuid-Beveland] Joannes, Wanne
  [Zuid-Holland] Janse
  [Zuid-Nederland] Janick, Jowan
■要するに、Nicolaas には、Nello という愛称は見当たらないし、Johannes の異体には Jehan (かすってるのはあるが、フリースランドである) がない、ということです。



今日学びました

ハワード (2003/05/13 20:41)

”音読”は”おんよみ”と読むと思っていましたが、本当は”おんどく”ですね。今日わかりました^^;
”音読み”が”おんよみ”ですね。難しい。。。

その冗談は、Maniac Cさんが説明なさりましたね^^ 私の日本語はまだそれを説明するほどよくないです^^; たくさんの時わたしは友達に英語の冗談を説明しようとしますが、とても難しいです。。。彼らはあまりわかりません(;_;)

ところで、私の友達が今日、日本語の発音は簡単だ、と言いました。私は彼を支持しません(笑)なぜなら、日本語は私(たち)にとってとても発音が難しいと思います。特に、早く喋る時に。
taberareru、を言えるようにたくさん練習しました。”ら”の発音はある時Rに聞こえます。とある時Dに聞こえます。でも、どちらでもないです。ある人はLだ、と言いました(彼女は日本人です)しかし、Lはそう聞こえません。
”ら”を練習するいい方法が何かありますか?あと、”ん”です。
例えば、”結婚を”(kekkon o)と、”結婚の”(kekkon no)が難しいです。何かいい方法がありますか?

よろしくお願いします!



アントワープ

zo- (2003/05/13 19:20)

massangeanaさんご紹介の小冊子見てみました。なんか行って見たくなりました。





zo- (2003/05/13 16:31)

massangeanaさん、ありがとうございました。

「鋭」そういえば日本漢字音の発音は「えい」ですよね。ruiはやっぱり変だと思って、昨日の晩、王力の『漢語史稿』を見たら、これは特殊だと書いてありました。

>漢字音と生きた言葉としての語で変化が異なってくるのはおもしろいと思います。

そっかー、そういうふうに理解するんですね。漠然と二つあるのかというふうにしか思ってなかったんですが。



Re: rについて

massangeana (2003/05/13 15:06)

>南京方言
ちょっと手元に資料がありません。古い資料(漢語方言概要, 1960)では南京はそり
舌音があるように書いてあります。資料がまちがってるのか, 昔はそり舌だったの
が周辺地区の方言の影響で消滅したのか。

よく似た揚州についていうと, たとえば「能・冷・仍」はいずれもロンのような音に
なります。しかし蘇州・南昌・廈門などでは「譲」がニアンかニオンのように拗音に
なるのに対して, 揚州では直音のラン(lang)になります。拗音から直音になった理由を考え
ると, そり舌音のうしろで i が落ちたため, と考えられるので, n- から直接 l- になったので
はなく, いったんそり舌の r- を経由して l- になったのであろうと思います。

>湖北方言
上と同じ漢語方言概要ですが, 漢口では開口で n-, 合口および「日」はゼロ声母,
「鋭・蕊」は z- が出てくると書いてあります。

そり舌音のあらわれ方は地方によってさまざまですが, いちばんおもしろいのは陝
西・甘粛あたりの言葉で, 合口で pf, f, v などがでてきます。「出pfu, 書fu, 如vu」
など。西安でもむかしはそうだったようですが, 現在は老人の言葉にしか残ってい
ないそうです。

zo- さん:
>郭力「論北京話中”栄””容”等字讀音演変」
おお, おもしろそうな論文の紹介ありがとうございます。
>『北京語詞語』
これはもってたような気がしますが, でてきません... x-(
漢字音と生きた言葉としての語で変化が異なってくるのはおもしろいと思います。

>李栄「論北京話的”栄”字的音」
これは『語文論衡』(1985, 商務印書館)におさめられていますね。



Re: フランダースの犬

massangeana (2003/05/13 09:56)

アントワープ市はこんな資料まで作っているんですね。
 http://www.hoboken.pos.to/flanders/acrobat/nello_en_patrasche.pdf
Alois はちゃんと「アロイス」と書いてありました :-)



Re: 鋭

massangeana (2003/05/13 07:17)

zo- さん:
現在 rui と発音する字「鋭・瑞・蕊」のうち, 日母だったのは「蕊」だけで,
「鋭」は羊(以)母なので wei, 「瑞」は常(禅)母で「睡」と同音なので shui になるのが
規則的です。



Re: 常用漢字

massangeana (2003/05/13 06:07)

手元に『新聞電子メディアの漢字』という本があります。朝日新聞1993年分の漢字
のべ 1700万字(異なる漢字は 4583字)を頻度順にならべたものですが, 頻度100以
上の字は 2097字です。頻度10以上なら 3042字になりますが, このへんの字をみる
と, 人より漢字を知っているとおもう私でも何に使うのか想像できない字がかなり
あります。1700万字のうちの10回といえば頻度 0.00006% なのでとうぜんかもしれま
せん。これ以上の漢字をおぼえるのは時間のむだづかいのように思われます。
ふつうの日本人の読める漢字は 2000字ていど, 書けるのは 500字ていどと聞いたことがありま
す。



Re: いろいろ

にれのや (2003/05/13 00:41)

■その1。ムッシュ・マニアック・C。つつしんで、シャッポを脱がさせていただきます。あたしも、わーづわーすくらいは勉強せにゃ。
■その2。松茸さん。恐ろしいですねえ。大書店のハシゴをして、たとえば、「樹木に関する本に片っ端からあたって立ち読み。生体RAMに書き込む」 という作業をよくやるので、どこかで記憶ファイルがゴッチャになったのですね。もう一度調べて必ず正しいところを報告しやしょう。
■その3。zo-さん。漢字の使い方は人それぞれでいいんでしょうね。人それぞれだから文体になるわけですから。
 以前、新聞に載っていた調査の結果ですが、現在の日本人の構成では、中年がいちばん漢字を使用する傾向が低く、若い年齢層のほうが、漢字を使う傾向が高いそうです。
 それと、ついこのあいだ載っていた記事では、高齢者は「鴎外」などに略字を使用する傾向が高く、若い世代のほうが、正字にこだわる傾向があるとの由。
■その4。wieder 松茸さんへ。なるほど。Nicolas でもう一度調べてみましょう。





zo- (2003/05/12 19:16)

辻本さん

>鋭、栄などの例外的変化の理由もよろしければ、教えていただけないでしょうか?

栄については、私が2,3週間前に質問したばかりです。過去の書き込みを読みましょう。
鋭は、何か特殊なんですか?思いつかなかったんですが。

ちなみに下記の郭力の論文によれば、

李栄「論北京話的”栄”字的音」『方言』1982年第3期

もあるそうです。



Re^2:拉丁語

きしろふ (2003/05/12 19:11)

>Maniac C.さん
有難うございました。
この資料はじっくりと(笑)読ませていただきます。



学名and拉丁語

鴛鴦 (2003/05/12 19:04)

>青蛙さん
ご指摘有難うございます。
確かに技術等が進歩していきいろいろなことが分かってくると、それに準じて教科書等も内容がかわっていきますからね。
心して置きます。
>Maniac C.さん
つまらない質問でしたが一つ一つ答えてくださって大変感謝です。
>「『日本語の古典の文章をマスターできたら、現代日本語はどのくらい理解できるの
だろう!?』という問いに置き換えてみれば、容易に想像できると思います。」
なるほど、確かに言葉自体と意味とが(現代語の感覚としては)ぜんぜん違うものは多いですから。



re 拉丁語(Part 4)

Maniac C. (2003/05/12 18:22)

>鴛鴦さん
Part 3の続きです。
■希語に至っては、羅語に希語からの借用語が多いことが一縷の救いですが、
語派自体が違います: 羅語はイタリック語派、希語は希語派。同じ印欧語族の
同じ程度に古い語派ですので、大枠は似ていますが、それでもかなり違います。
主な違いを、語形変化を中心に、以下に挙げます。
□名詞の格: 羅語(主・属・与・対・奪・呼の6格)、希語(主・属・与・対・呼の5格)。
      但し、印欧祖語に仮定されている具格・所格が、羅語では奪格に吸収され、
      希語では与格に吸収されているという違いが有り;
      羅語に有って希語に無い「奪格」は、希語では属格に吸収されている。
□名詞の数: 羅語は単数・複数の2数だが、希語は「両数」という、ペアを表す語形
      が有る。但し、格変化は2形しか無く、動詞の人称変化も、1人称は
      複数形で代用する。ヘレニズム時代(4B.C.-4A.D.)には両数は消滅した。
□冠詞: 羅語には無いが、希語には有る。
□繋辞(copula): 羅語には有るが、希語には無い。
□動詞の活用型: 羅語は大枠4群の規則動詞と少数の不規則動詞。
        希語は大枠2群だが、不規則変化に満ち満ちている。
□動詞の語幹: 羅語は現在・完了の2系列、希語は現在・完了・アオリストの3系列。
□動詞の法: 羅語は直説・命令・接続の3法、希語は直説・命令・願望・接続の4法。
      羅語の命令法は現在形と未来形だが、希語は現在形とアオリスト形。
      希語の願望法はヘレニズム時代(4B.C.-4A.D.)には消滅した。
□動詞の態: 羅語は能動・受動の2態、希語は能動・受動・中動の3態。
□分詞: 羅語は、現在・未来の能動分詞に完了の受動分詞、という3種類しか無いが;
    希語は、現在・未来・アオリスト・完了の能動・中動分詞に、
    未来・アオリストの受動分詞、という10種類が有る。
□音韻変化の歴史も違うので、同系語でも見た目が異なっているものが数多く在ります。
 「百」(*dkm。-tom)…羅 centum : 希 hekato´n
 「歯」(*dent-s)…羅 de¯ns : 希 odo¯´n, odou´s
 「目」(*okw-s)…羅 oculus : 希 o¯´ps
 「5」(*penkwe)…羅 quinque : 希 pe´nte
 「熱」(*dhegwh-e/os)…羅 febris : 希 pyreto´s
 「戸」(*dhwer-a¯-s)…羅 foris : 希 thu´ra¯

以上、連続投稿、失礼しました。



re 拉丁語(Part 3)

Maniac C. (2003/05/12 18:20)

>鴛鴦さん(5/9)
>ラテン語マスターできたら、フランス語はどのくらい理解できるんだろう!?
>(スペイン語やポルトガル語、イタリア語なんかも。ギリシャ語はすぐにでも分かると思いますが。)
■羅語と仏語、羅語と希語は、いづれも違う言語だと思った方が良いと思います。
羅語はロマンス諸語の御先祖様なので、それぞれが解っていた方が、それぞれを
より良く理解することはできますが。
「日本語の古典の文章をマスターできたら、現代日本語はどのくらい理解できるの
だろう!?」という問いに置き換えてみれば、容易に想像できると思います。
それぐらい、変わっています。名詞や形容詞や動詞の屈折が複雑だし、現代語とは
系統の違う語彙を、新たに覚えなければなりません(現代語と系統が同じで、音韻
変化が少なければ、推測はつきます。しかし、意味の異なることもしばしばです)。
文法組織も幾分、変わっています。
□屈折の複雑さは、以下の通りです。
名詞…現代仏語: 男女2性、1格、曲用は、綴りの上で単数・複数を区別するのみ。
羅語: 男女中3性、最大6格、曲用は大枠5種類、単数・複数で別変化。
人称代名詞…現代仏語: 1・2人称で2形、3人称で3形。その他に強勢形が有る。
           主格形は、活用変化を補うものとして、必須の要素。
      羅語: 1・2人称のみ、単数4形、複数3形。3人称も強勢形も無い。
         主格形は、強調や対照以外は省略される、任意の要素。
形容詞…現代仏語: 男女2性、1格、曲用は、性と数で異なるものが在る。
         比較変化は無く、plus/moins, 冠詞+plus/moins を付ける。
    羅語: 男女中3性、最大6格、活用は大枠2種類、単数・複数で別変化。
       比較の語形変化が有る。
動詞…現代仏語: 直説法で1態×3人称×2数×1と1/3相×3時制=24形。
        2群の規則動詞に多数の不規則動詞が在る。
        受動態は全て e^tre の変化形+過去分詞で表す。
        完了相は avoir の変化形+過去分詞で表す。
   羅語: 直説法で2態×3人称×2数×1.5相×3時制=54形。
      大枠4群の規則動詞と de¯po¯nente¯s と少数の不規則・不完全動詞が在る。
      「規則動詞」と言っても、相による語幹の変化は各々覚えねばならない。
      受動態は、継続相では能動態と異なる活用語尾で表し、
      完了相では完了分詞+esse の変化形で表す。
      de¯po¯nente¯s は受動態しかない。「不完全動詞」は一部の活用形しか無い。
□音韻変化の激しさの例を幾つか挙げます。お膝許・伊語の方が原形を留めています。
 羅語 aqua「アクヮ」→仏語 eau「オ」/伊語 acqua「アックヮ」
 羅語 se¯cu¯rum「セークールム」→仏語 su^r「スュール」/伊語 sicuro「スィクーロ」
 羅語 calidus「カリドゥス」→仏語 chaud「ショ」/伊語 caldo「カールド」
 羅語 pungere「プンゲレ」→仏語 poindre「プワンドル」/伊語 puntare「プンターレ」
□羅語と語彙が交代した例も幾つか挙げておきましょう。
 羅語 equus 「馬」→仏語 cheval<caballus 「輓馬」
 羅語 ignis 「火」→仏語 feu<focus 「炉」
 羅語 caput 「頭」→仏語 te^te<testa 「鉢」
 羅語 cru¯s 「脚」→仏語 jambe<camba 「馬の股関節」
 羅語 e¯dere 「食べる」→仏語 manger<mandu¯ca¯re 「貪り食う」
 羅語 loqui¯ 「話す」→仏語 parler<parabola¯re 「言葉+する」



re 拉丁語(Part 2)

Maniac C. (2003/05/12 18:18)

>きしろふさん
Part 1 の続きです。羅語は日本語における漢語の位置と似たものが有り、それ故、
日本人が国語の時間に漢字・漢文を学ぶのと同様に、文学作品を読む際の、基礎的
且つ、より高度な教養として、欧米人は羅語を学習させられるのです。(日本人が
漢字を読めなかったら困るわけですし、その漢字で作られた単語の背景を知っていた
方が、より高度な読解が可能になるわけです。)例えば、ハリポタなどでも、魔法の
呪文が羅語めかして書いてありますが、あれも羅語の素養が有れば、何となく、
こんな効果の有る呪文なのかな、と想像が着きます。例えば、“Petrificus Totalus”と
唱えている場面が在れば、「ははん、total(全体的)に petrify(石化)するんだな」
と解るわけなのです。実際これは相手を動けなくする呪文で、映画では非常に
効果的に、全身硬直して石のようにバターンと倒れる様子を映像化していました。

さて、Part 1 の引用文でも、「仏語」と「羅語」とが微妙に分けて書かれていた
点に、お気づきになったでしょうか。仏語からの借用か羅語からの借用かの区別は
つけ難いものが在りますが、分けて考えた方が良いと思います。
■ラテン借用語(Latin loans)は、借用の時期によって次のように分けられるそうです。
(1) 大陸時代(英語以前): 実用品や贅沢品など、少数。
(2) ブリテン島移住時(初期古英語時代, 450頃): 都市関係語など、少数。
(3) キリスト教改宗時(初期古英語時代, 597,635): 宗教・教会儀式関係語など、
  約400語。日常語は僅か。
(4) 中英語時代(1150-1500): 教会ラテン語を通じて、格調高い文章語として。
  当時、裁判所の記録などの公文書はラテン語で書かれていたが、法律関係など、
  専門用語としてだけでなく、文芸語としても、一種の技法のように使われた。
(5) ルネサンス期(後期中英語〜初期近代英語時代, 15-17c): この期間の全借入語の
  60%以上を占める。学者語としての新造語が多い。
(6) その他(近代英語時代, 18-20c): 引き続き、学者語としての新造語が多い。
  alibi, allergic, interior, isotope, neutron, nucleus など.
要するに、羅語は基督教と深い関係が有り、文化程度が高いという認識も手伝って、
常に借入されている、ということです。
■仏語からの借用は
(1) 征服以前: castle, proud 程度と少ない。
(2) 征服後、13c 半ばまで: まだそれほど多くない。アングロノルマン語と言われる、
  ノルマンディーやピカルディー地方を中心とする、仏語の北部方言から借用した。
(3) 13c 半ば以降: 急速に増大し、14c に頂点に達する。ノルマンディー公の
  ノルマン朝(1066-1154)からアンジュー伯のプランタジネット朝(1154-1399)へ
  移り、欠地王ヂョンの時代(1199-1216)に大陸領を失った関係で、中央仏語から
  借用された。英語における仏語借入語はその40%が1250-1400年間のものと
  言われている。が、百年戦争(1339-1453)が始まって敵性語と看做されてゆき、
  徐々に英語の国語としての地位が高まった結果、15c 以後は急速に減少する。
■この前後の英国と仏国の関係については、下記のHPが解りやすいと思います。
「アンジュー伯」と言うから、今のロワール川下流域しか領有していなかったの
かと思っていたら、さに在らず。スコットランド国境からピレネー山脈まで支配権を
持っていましたので、イル-ド-フランス周辺しか領有していない、時の「フランス公」
ルイ7世より余程、広大な領土と強大な権力を持っていたのです。
http://www5c.biglobe.ne.jp/~paruwees/Histoly_57_60.html



re 拉丁語(Part 1)

Maniac C. (2003/05/12 18:16)

>きしろふさん(5/9)
>こうなったのもノルマン・コンクエスト(Norman Conquest。西暦1066年)が影響しているのでしょうか?
→きっかけになった、ということは言えると思います。岩波文庫『英語発達小史』
(H.ブラッドリ著、寺澤芳雄訳)第3章「英語に対する外国語の影響」に詳しいので、
以下に要所を抜き出します。
「…新しい支配者の言語が前述の通り多数の英国人の日常生活の中で用いられ、
口語的語彙も少なからず英語の中に取り入れられた。のみならず、フランス語の
知識は大陸の豊穣な文学を身近なものとしたので、十三−十五世紀の英国文学の
大半はフランスのロマンスを翻訳したものであり、創作された英詩もフランス詩を
範とし、その影響を強く受けている。こういう事情から考えれば、英語の文学語が
フランスの単語を豊富に導入し、その多くが漸次日常語彙の中に入るに至ったのは、
自然の勢いであった。」「英語が純粋なゲルマン語から混血的語彙を持つ言語に変容を
遂げた過程に対して、ノルマン征服はなおもう一つの面から影響を与えている。
ノルマン及びアンジュー王家(一一五四―一三九九)統治下の英国の修道院に流れ
込んだ外国人聖職者は、まもなく歴史や神学の著作にラテン語を用い、その比較的
高い文学的素養を示した。やがて多数のラテン語で著された年代記や宗教書も
英語に翻訳されたが、その際訳者はある程度教養のある人々を対象に執筆したので、
母国語の対応語に訳すよりもラテン語を借用する方が容易と思うことがしばしば
あった。」「口語に対する文章語としてのフランス語の借入は十二世紀に始まり、
以後今日に至るまで続いている。十三−十四世紀の英国の作家は、読者がフランスの
文章語について相当な知識を持っているものと仮定することができた。つまり、
フランス語の単語を随時活用して差支えないと考えていた。そしてこの自由を存分に
活用したのは詩人たちであった。韻律の要求を満たし、とくに頭韻詩の厳格な規則に
応えようとするとき、フランス語は甚だ便利な手段を提供してくれたからである。」
「フランス語では文語的な語彙については、早くから多数の学問語をラテン語から
取り入れ、…用いていた。……フランス語を通じて間接的にラテン語を借入する習慣
は、広汎なラテン語からの直輸入への道を整え、これを促すことになった。英語が
他のいかなるゲルマン語(ドイツ語、オランダ語、北欧諸言語)にも優って、その
語彙のうちに多数のラテン語要素をもっているのはこの理由によるのである。…
ドイツ語とオランダ語はその発達の過程において、フランス借入語をそれほど取り
入れなかったので、新しい観念を表す必要に迫られたとき、その語をラテン語の
宝庫から引き出すことをせず、本来語を操作して間に合わせたのであった。」
「近代英文学の大部分は古典的教養のある作家によって書かれており、読者の方も
ラテン語の知識は多少ともあるものと見做されていた。およそ学識のある作家で、
ラテン語起源の新語を英語化することに与らなかった者はまれと思われる。そういう
わけで、ラテン語の全語彙あるいは少なくともよく読まれるラテン語テクストに
出てくる単語は、英語としての潜在力をもっている。つまり、何か新語が必要なとき
には、ラテン語をそのまま英語化するか、またはラテン語の要素を結合して合成語を
作る方が、本来語でその場合の必要に合うような合成語や派生語を作るより容易な
ことが多いと考えられるようになった。まさにその通りなので、ラテン語由来の
新語を多く使っている作家なども、自分が使った語がそれまで一度も使われて
いなかったり、普通の辞書にも見当たらない語であると知ったらさぞ驚くに違いない。
又一方古典語に素養のある読者の方も、ある意味を巧みに表現していると一目で分る
ようなラテン語源の単語に出会った場合、実はその語が英語ではめったに使われて
いなかったという事実になかなか気がつかないのである。」



栄容

zo- (2003/05/12 18:10)

少し前massangeanaさんにいろいろ教えていただいたんですが、先日たまたま中国書籍専門店で論文を見つけました。辻本さんの書き込みとも関係あるので、少し紹介します。

郭力「論北京話中”栄””容”等字讀音演変」『古代語言現象探索』2003年

これによると、”栄””容”等は最初はピンインで書くyongのような発音だったが(本当は国際音標で書いてあります)、後にrongの発音も起きて、rongが優勢になったということが、

1606年『合並字学集韻』
1840年『李氏音鑑』
『鏡花縁』
1840年『音韻逢源』
1869年『語言自迩集』
民国初『京音字彙』
1990年『北京土語辞典』

を資料にかかれてあります。「容易」等は北京土語では、今でも「yong2 yi4」と読まれているようです。手元に『北京語詞語』という本があるんですが、それでも「yong2 yi4」となっています。



rについて

辻本裕幸 (2003/05/12 17:10)

さっそく有難うございました。massangeanaさん。
ngの脱落と言うことなら、納得がいきます。
 湖北方言辞典では普通話のrがnで発音されている。これは、唐代以前の発音(日本語漢字音呉音ニやネで始まる漢字のような)が、湖北に残されていると言う解釈でいいのでしょうか?そしてもしそうなら、なぜ、ここにだけ残ったのか?湖北方言辞典では普通話のlの漢字もnで発音されているとかいてあった。
 南京方言などの辞典では普通話のrがlで発音されているとかいてある。しかし南京ではnもlで発音されている。ですから、唐代以前から南京に残っていた、普通話rのn音漢字が、lに合流したと言うことか!?(ちょっと苦しいですけど)
 鋭、栄などの例外的変化の理由もよろしければ、教えていただけないでしょうか?



Re: 広東語・韓国語と r

massangeana (2003/05/12 16:54)

まず広東語の方ですが, 広東・広西のほかの方言を見ると, ng- のような鼻音を
もっている方言がかなりあります。"日" の声母はもとは口蓋化した鼻音であり,
拗音で口蓋化した ng- と合流したようです。標準の広東語では拗音で ng- が脱落
します(例: 宜 yi, 業 yip)ので, "日" などもそれと運命をともにしたのでしょう。

つぎに韓国語ですが, 中期朝鮮語では z- になっています(二zi, 人zin など)。
この z- は漢字音だけでなく朝鮮語の固有語にもありましたが, のちに脱落し
ました。

>日本語の鋭と容、栄
これらは北京語で r- のでてくる方が例外的な音変化なので, ちょっと話が別だと
おもいます。



質問

辻本裕幸 (2003/05/12 15:31)

 普通話rではじまる漢字は、なぜ広東語や韓国語ではy【j】や子音無しで始まるのでしょうか?日本語の鋭と容、栄もそうですが。
 いま中国語の歌を勉強しています。しかし何で中国語の歌謡曲のCDって歌詞カードがかなり、でたらめ、何でしょうか?書いてある字と、実際に歌っている字が、あまりに違うので、不便です。



「出来る」と「為」

zo- (2003/05/12 04:15)

にれのやさん

 そうですか、「出来る」や「為」は不必要ですか。。。主旨は理解しているつもりで、私も他の人が書いた文章を読んでいて、不必要な漢字表記というのはどきどき感じることがあるんですが、私にとっては「出来る」は全く現代の日本語の表記でも馴染んだもの、「為」も許容範囲かな、という感じなんですが。反論ではありません、ふと感じたので。



re:フランダースの犬

松茸 (2003/05/12 03:38)

 "Nello"については、作中で
 "Little Nello, which was but a pet diminutive for Nicolas,..."
http://www.ibiblio.org/gutenberg/etext00/sbeag10.txt
と説明してますが、根拠があるんでしょうかね?
 ヒロインの"Alois"がどう見ても男性名なのも気になります。



訂正

Maniac C. (2003/05/12 03:15)

同音の‘brute’→類音の‘brute’
固有名詞の方は[bru´:te], 普通名詞の方は[bru:t]ですね。



re 洒落

Maniac C. (2003/05/12 02:59)

>にれのや師匠
■シャレを解説することほど無粋なことは無いと思いますが、事が外国語になると、
そうも行きませんね。何しろ、“Et tu, Brute!”も暫く解りませんでしたからね。
■“Et tu, Brute!”は、最後の‘Brute’「ブルータスよ」という部分を、同音の
‘brute’「けだもの→人でなし」に掛けているのだな、という所まではすぐに
解ったのですが、何故「おやつ」なのか、そこまでは解りませんでした。でも、
何回か“Et tu!”“Et tu!”と口に出して唱えているうちに、やっと判りました!
米語では‘ate’の発音は[eit]ですが、英語では[et]です。即ち、“And thou, too!”
「お前もか!」と“(You) ate two!”「2つも食べたな!」とが掛けてあるのですね。
■“Speak for yourself, John!”の原典は、ワーヅワースの"Courtship of Miles
Standish"の3連目最終行の“Why don’t you speak for yourself, John?”(下記) に
在るようです。ピルグリム・ファーザズの話らしく、マイルズ=スタンディシュが友人
であるヂョン=オールドゥンにプリスィッラ=マリンズへの恋の橋渡しを頼むのですが、
友人の求婚を伝えに行ったヂョンに、彼女が言った台詞がこれです。そこでの意味は
「あなた自身の考えを言ったらどう?」、つまり、「お友達の話ではなくて、あなたの
気持ちを聞かせて」です。結局ヂョンと彼女が結婚し、11人の子供を設けたそうです。
4連目にもこの台詞が出て来て、その13行後に“You too, Brutus!”が出て来るのは
ハワードさんの連想がここに起因するのでしょうかね。
■んで、今日的用法ですが、辞書によって微妙に書いてあることが違いますね。
□ヂーニアス:「(他人のことについて)勝手なことを言わないでくれ, 自分のことだけ
言え.」例文は無し。
□ライトハウス: 「勝手なことは言わないでくれ, 私の考えは違うよ: It’s about
time we were going home. ―Speak for yourself! 私たちはそろそろ帰らなければ.
―私はそうは思わないよ(勝手に帰れば).」
□リーダーズ: 「人の意見まで代弁したと思うな, こちらの考えは別だ((不同意の表現)).」
例文は無し。
□研究社新英和大辞典: 「勝手なことは言わないでくれ((不同意の表現)): “I think
we’ve had enough.”“ Speak for yourself, Tom!”『十分にいただきました.』
『それは君だけのことだろう, トム』.」
不同意の表現であることだけは共通しています。ハワードさんの仰っているのは、一番
下の例でしょう。定型表現なのにわざわざトムに変えているのがいじましいですね。
http://www.alden.org/heritage/longfellow_info/courtship_poem.htm



ノストラダムス関連(?)で

松茸 (2003/05/12 02:40)

* Les Centuries の「原文」はWeb上でも読めますが、基本的には同時代の「フランス語」(パリ方言)で書かれています。
 ヴィレール=コトレの勅令の直後ですし、想定読者層をも考慮すると、これは妥当な選択でしょう。

* 「ケンペルのゲーテ・ショック」?
>  ケンペルは、親交のあったゲーテに、イチョウの標本を贈っているそうで、ゲーテはその感動を Ginkgo biloba という詩に書いているそうです。
……ケンペルは1716年没、ゲーテは1749年生まれなので、「親交」をもつのはかなり難しそうです。
 "Ginkgo biloba"とゲーテについては、このサイトなどご一読を:
http://www.xs4all.nl/~kwanten/



フランダースの犬

にれのや (2003/05/12 01:54)

■『フランダースの犬』で、ネロとパトラッシュが最期を迎えた、ベルギー・アントワープのノートルダム大聖堂前の広場に、記念碑が立てられたそうです。「記念碑は、長方形の石の台座にネロとパトラッシュの顔を彫り込んだ直径約90センチのガラス板をはめこんであり、台座には "日本語で" 「永遠に語り継がれる私たちの宝物」 という文章が記されている」 そうです。
■『フランダースの犬』の話は、地元の人はほとんど知らないそうです。しかし、「童話のゆかりの地を訪ねる日本人観光客は多く、市郊外にもネロ少年とパトラッシュの銅像が建てられている」 とのこと。
■地元の人が知らない? どういうことか調べてみたら、"A Dog of Flanders" というのは英文学で、著者は Ouida こと Marie Louise de la Ramee (マリー・ルイーズ・デ・ラ・ラメーと一般には書かれていますが、実際の発音はどうでしょう)。彼女の父親はベルギー人で、母親は英国人だそうです。名前だけ見せられたら、まずまちがいなくフランス人の名前ですね。姓は父親のものなんでしょう。名前は、英国でもベルギーでも通用するようなものを選んだ感じですね。Ouida というペンネームは、幼いころ Louise という自分の名前をうまく発音できなくて Ouida と言っていたのを採用したそうです。
■疑問はここからです。『フランダースの犬』の主人公、ネロとパトラッシュの名前です。Patrasche は、フランドルが舞台ということから言えば 「パトラッシェ」 とするのが正当でしょうね。Patrick に関係ありそうだし、綴りもオランダ語的だし、何かありそうな名前なんだけど、どうなんでしょう? いろいろ調べたけれど語源は不明ですね。オランダ語圏の、少なくとも「人間の男子名」には Patrasche というのはありません。
■さらに問題なのが、少年ネロです。Nello という男子名は、オランダ語圏の名前としては、正式名にも愛称にも例がありません。特別に、そういう名前だったんだ、と言われればそれまでなんですけど。むしろ、Nello というのは、イタリア人の名前です。Antonello の略称、もしくは、そこから派生した独立した名前です。
■『フランダースの犬』の1人と1匹の名前に関する情報が、何かありましょうか?
■余談ですが、スイスには、「ハイジの山小屋」というのがあります。これも、日本人観光客のために作られた、架空の山小屋です。



Ginkgo と書いたのは誰?

にれのや (2003/05/12 01:09)

■massangeana さま。『植物名の由来』という本に、イチョウの項がありました。確かに、イチョウをヨーロッパに紹介したのは、ケンペル (Engelbert Kaempfer) が初めてだそうで、Ginkjo とすべきところを Ginkgo としたのもケンペルだそうです。リンネは、ケンペルの綴りをそのまま写しただけだそうで。
 ケンペルは、親交のあったゲーテに、イチョウの標本を贈っているそうで、ゲーテはその感動を Ginkgo biloba という詩に書いているそうです。



Speak for yourself John! とは?

にれのや (2003/05/12 00:50)

■有り難う御座居ました、ハワード殿(ありがとうございました、はわーどどの)
「できる」 を 「出来る」、「ため」 を 「為」 というように、不必要なまでに漢字を使うクセのある日本人というのは、確かにいますね。そういう文章は、日本人が見てもあまり体裁のよいものとは感じません。常用漢字が読めるなら心配ありませんね。普通に書かせていただきやしょう。
■Howe というのは、How と発音が同じなんですね。Howe と呼ばれるのが好きな人と、きらいな人がいる、ということですね。では、ハワードさんは、ハワードさんということで。
■なるほど、Et tu, Brute! などと言って、笑われないようにしましょう。米文学(べいぶんがく)には疎い(うとい)ので "Speak for yourself, John." の妙味がわからないのですが…… 誰の詩で、どんなコンテキスト context で使われているんでしょうか?
■「アメリカの詩から着ました」 は 「〜来ました」 ですね。でも、ワープロの場合、日本人でもこういうまちがいをよくやりますね。



re^2:学名関係

青蛙 (2003/05/11 23:17)

鴛鴦さん:

 「生物の名が各国まちまちで1つの種類に対して国や地方ごとに違った名前がついている」のは、は全くそのとおりです。ですが、その「ようなことでは学問が成り立たない」かといえば、そうとはいえません。

 確かにリンネの時代であっても、やはりそれぞれの生物には「国や地方ごとに違った名前がついてい」たはずです。しかし、リンネや他の学者達はそれを使わなかったでしょう。なぜなら、彼らの論文や著書は原則としてラテン語によって書かれていた(*)のですから、そこで使われていた名前もラテン語ということになります。

 つまり、学者達は、日ごろ自分達が使っている各国語による呼称(通俗名=俗称といいます)の他に、学問用の名前(これは言うための名前ではなく書くための名前ですから呼び名=呼称とはいえません)を持っていました。これを仮に「生物分類名」としましょう。

 ヨーロッパの学者はずっとラテン語は使っており、「もはや使われなくなっ」たなどということはありません。これは現在でも言えることです。(現行の学名もラテン語ですし)ラテン語が死語(使われなくなった)とされているのは、あくまで話し言葉としてのことです。

 現代人のハワードさん達も小中学校で苦労させられているようですが、当時であっても、全ての民衆とまでは行かなくても、学者を名乗るような知識層にある人は当然、ラテン語を身につけておかなければなりませんでした。ですから、「どの国にも不公平にならない」というのは理由として不要であると思われます。

 これは生物名に限ったことではないのですが、学者達は伝統的に使われていたラテン名を拡張して学術的な名称としてきたのです。リンネの生きた時代は、「全てを分類し尽くす」という博物学の機運が高まっていました。博物学に携わっていれば、皆が生物分類名を定めようとしたことでしょう。つまり、生物の名は、学者によって違った名前がついていたのです。それらの中からリンネの命名法が採用されたのは、一つに「二名法」を採用したことがあげられます。とはいえ、二名法はリンネが創案したものではなく、彼より前にも行なわれていました。リンネはギャスパール・ボアンが案出した二名法を踏襲したのです。

 ただし、ボアンの命名法は形式だけの二名法でした。リンネが行なった生物分類名として継承されたのは、以前にれのやさんが仰っていた「ある種を同定する際の、記号として不変であることのほうが重要」だったためです。リンネが、学名を種の説明ではなく記号として扱ったことですね。

 というわけで、『新生物TB・U』で説明されていたことは、リンネが生物分類名をつけるようになった経緯ではなく、国際的な生物分類名(すなわち学名)の命名規約が制定されるようになった経緯だったわけです。

 このような具合なんで、参考書に書かれていることをそのまま鵜呑みにするのは危険です。また分野は違いますが、例の遺跡捏造事件に見られるように、教科書に書かれていることでさえ厳然たる事実であるとは言い切れず、今後の研究の進展によって変わりうるということを念頭におくべきでしょう。

*有名なノストラダムスの予言集 les Centuries のように、リンネより2世紀も前なのにフランス語(プロヴァンス方言らしい)で書かれたものもあります。難解にしたかったのなら、はじめからラテン語で書けばいいのに。



下の続き

きしろふ (2003/05/11 20:59)

この数の漢字(3252字)をマスターできれば、漢字検定の準1級は大丈夫だとは思います。1級はこの倍の数は覚えないと・・・(^^;)

漢字だけでなく読みもあるし・・・



常陽・・・じゃなかった、常用漢字

きしろふ (2003/05/11 20:55)

>ハワードさん
既に存じていればいいのですが、「常用漢字」(小学校〜高校の間に習う漢字)は1945字あります。そのうち「教育漢字」(小学校6年間で習う漢字)は1006字あります。他は「常用漢字表外漢字」となりますが、そのうちよく新聞・雑誌でよく使われる漢字が「印刷標準字体」として1022字あるのと、「人名用漢字」として285字あるのとがあります。よって、普段見かける漢字は3252字(もっと見かけるでしょうが・・・)程度になります。



おおっ!

ハワード (2003/05/11 14:19)

>Maniac Cさん
添削と、日本語の過去形について教えてくれてありがとうございます!
添削をプリントアウトしました!じっくり(使い方、あってますか?)見て勉強します。これからも何かが変だったら教えてください!

>重ねての質問ですが、1) Why 〜? という言い方は絶対にしませんか。
>2) もし、することがあるとすれば、どんな意味になりますか。
ん〜。。。whyを使うことはほとんどないと思います。whyは論理的な原因を必要とするので、論理的な原因で何かを知っている場合がもしあるならば、OKかもしれませんが。。例えは思いつきません。私と私の周りの人々は多分誰もwhy do you know...を使ったことがないと思います。

>にれのやさん
>■ハワードさんのUKでの愛称は何でしたか? How という愛称はあるんですか?
Howieと呼ぶ人が時々ありましたが、ほとんどの人はHowardと呼びました。Howはあまりないですが、Howeなら、それを好む人も居ます^^
Howe, Will(William)などは、how, willを混乱させるのでたくさんジョークをつくる人が居ます。

>■それと、ハワードさん、漢字はどのていどまで読めますか?
漢字は、常用漢字はほとんど読める、と思います。でも、全ては書けないです。
新聞を読んで、朝電車の中で漢字を勉強します。でも、時々使わない漢字(できる→出来る、とりあえず→取敢えず)とかがあるので、どれを覚えるべきか時々わからないです。

>たとえば、自分のとっておいたケーキを、弟がコッソリ食べてしまったとしますね。そういうと
>きに、弟にむかって "Et tu, Brute!" と言って怒る、というダジャレがあると、ある英文学者
>が書いていたのですが…… ホントですか? ホントなら、今でも使いますか? それとも
>out of fashion ですか?
そのジョークは忘れた方がいいです(笑)かなり古い、というか、たとえ私にとってももうほとんど聞いたことがないジョークです(笑)でも、"Speak for yourself, John."(アメリカの詩から着ました)は、時々使う人がいます。Et tu, Brute!は、たくさんの人が分からないと思います:P

それではちょっと急いでいますから、街に行ってきます!(^^)



Et tu Brute! について質問

にれのや (2003/05/10 15:12)

■ハワードさん、もうしわけない! ひとつ質問を。
「きしろふ」 さんの書き込みを読んで思い出したことです。

たとえば、自分のとっておいたケーキを、弟がコッソリ食べてしまったとしますね。そういうときに、弟にむかって "Et tu, Brute!" と言って怒る、というダジャレがあると、ある英文学者が書いていたのですが…… ホントですか? ホントなら、今でも使いますか? それとも out of fashion ですか?



re:学名関係

鴛鴦 (2003/05/10 13:17)

>青蛙さん
「生物の名が各国まちまちで1つの種類に対して国や地方ごとに違った名前がついているようなことでは学問が成り立たないと考えた。そこで、どの国にも不公平にならないように、もはや使われなくなっているラテン語を用いることにし、」という記述は間違いがありますか?
そこのところは全く分からんものですから、本質なぞ全然で。
参考書そのまま鵜呑みにしていましたから。



Re:拉丁語

きしろふ (2003/05/10 09:34)

>ハワードさん
そうなんですか。ラテン語は必須(ひっす)科目ですか。
フランス語やスペイン語、イタリア語はラテン語から発展していきましたからねぇ。
>「多分アメリカではスペイン語が重要だと思います。」
これは多分メキシコやヒスパニックが関係しているからでしょうか?
>「でも、ラテン語は難しいと思いませんか?日本語の文法は難しいですが、ラテン語を勉強した後に日本語を勉強したので、”ラテン語に比べて簡単だ”と思って日本語を勉強しました(笑)サブジェクトによって動詞をたくさん変えますからね。」
確かにそうも思えます(^^;)「ブルータスよ、お前もか」は「ET TU, BRUTUS.」ではなく「ET TU, BRUTE.」ですから。



ハワードさんの日本語

Maniac C. (2003/05/10 01:19)

実は、私の専門は国文法(=Japanese syntax)です。
何か疑問に思うところが有れば仰ってください。出来る限りお答えします。

で、要らぬお世話かも知れませんが、ハワードさんの日本語を少々
添削(てんさく= to correct)してみました。
更に研鑽(けんさん)を積んでください(=Pursue your study further)。

■私の戻りをお祝いしてくれてありがとうございます
→私が戻ってきたことを喜んでくださり、うれしく思います
 この文で一番おかしく感じるのは「お祝いして」の部分。
‘rejoice’には「祝う」の訳も在りますが「喜ぶ」の方が普通。
 「お〜する」の形は自分の動作に対して使いますから、
相手の動作に対して使うのは誤りです。
 相手の動作には敬語を使った方が洗練 (せんれん=sophisticate) された印象を与える
ので、「くれる」より「くださる」の方が良いと思います。
 また、「戻り」という gerund は、あまり使われませんので、
「戻ってきたこと」とした方が良いでしょう。
 「私が」は「私の」のままでも通じます。
 「ありがとうございます」はこのままでも良いのですが、
せっかく「くださる」を使って洗練された文体(ぶんたい=style)にしましたので、
それに合わせて「うれしく思います」に変えました。

■実は私も昔…たくさん言いました。→実は私も昔…何回も言いました。
 “a lot”と“many times”の違いと言ったら、解(わか)っていただけるでしょうか。

■文章が変に思います。→文章が変だと思います。/文章を変に思います。
 「思う」は他動詞(たどうし=intransitive verb)なので、
「文章が」で始めたら clause にしないといけません。
phrase のままにするのでしたら「文章を」と accusative にしないといけません。
 前者(ぜんしゃ=the former)の方が普通です。

■たくさんの日本語を勉強する人→日本語を勉強する多くの人
 まず、修飾語句(しゅうしょくごく=modifiers)の順番ですが、
複雑な構造のものを先に、単純な構造のものを後に、という規則が有ります。
「たくさんの」は「日本語を勉強する」より単純な語なので、
主要語(=headword)の直前に置きます。
 次に、「たくさん」は口頭語(=colloquialism)なので、
文章語としては「多く」の方が良いでしょう。

■アメリカ人で友達→アメリカ人の友達

■「話し」と「話」
 「話し」は動詞の変化形(=conjugation)の一つで、「話」は名詞です。

■私はあまり〜といいませんが…という→私はあまり〜といわず…という
 “not 〜 but … ”は、「〜しませんが…する」ではなく、
「〜せず…する/します」と言います。formulaです。

■日本語文法の本を今からします。→日本語文法の本で今から勉強します。
 “I am now going to do with a book on Japanese grammar.”が元(もと)でしょうか。
 日本語では「本をする」という表現はありませんので、
「本を読む」とか「本で勉強する」と言わなければ意味が通じません。

■今は”助詞”の問題をたくさんします。→今は”助詞”の問題をたくさんしています。
 この場合の「今」は「最近(=lately)」の意味でしょうから、
「します」より「しています」の現在完了進行形(げんざいかんりょうしんこうけい=
present perfect progressive form)の方が良いでしょう。



Why と How +過去形

Maniac C. (2003/05/10 01:15)

>ハワードさん、早速(さっそく)のご回答、ありがとう存じます。
大体、私の予想したとおりでしたので、満足です。

重ねての質問ですが、1) Why 〜? という言い方は絶対にしませんか。
2) もし、することがあるとすれば、どんな意味になりますか。

>英語では常にタイミングが問題なので、”今”知っていることは常に現在形です。
→私は、これに関しては、別な解答を持っています。
英語の現在形・過去形と、日本語の「ル形」「タ形」は同一のものではありません。
英語の現在形は、その命題(めいだい=proposition)が現在において真(しん=true)である
もの、過去形は偽(ぎ=false)であるもの、です。仮定法(かていほう=subjunctive)を
考えてみれば解(わか)るでしょう。
それに対して、日本語の「ル形」は非実現形(non-realized form)であり、
「タ形」は実現形(realized form)なのです。
現代日本語には、実は、現在時制(じせい=tense)は有るのですが、英語のような、
「現在の命題に反することを表す」過去時制は無いのです。
>”ありました”は”昔はあったけど今はない”ように聞こえませんか?
→日本語の「タ形」をアオリスト(aorist)のように考えてしまうから、
そういう解釈(かいしゃく=interpretation)が生まれるのであって、日本語のネイティヴ・
スピーカーは誰もそう感じません。“「ある」ことが実現した”と解釈するのです。
 この「タ」のことは、特別に“発見の「タ」”と言い、
出現・消失(しゅつげん・しょうしつ=appearing & disappearing)や変化を発見したとき
使います。日本人の子供が教室の入口から廊下(ろうか)を見ていて、
教師の出現を確認すると「来た(Here he comes)!」と言うのは良く見かける光景ですが、
実際には先生はまだ教室へは来ていません。
しかし、見張り(みはり=lookout)の子供は“先生を発見した!”
“先生が教室へ来ることはもう確定(かくてい=be settled)だ、実現した”と、
他の子供たちに伝えるわけです。



orange と mandarin

にれのや (2003/05/10 00:00)

■ センキョー、ハワード!
なるほど。sour orange のほうが自然なんですね。確かに、英英辞典では、bitter orange という語を使っていないものが多いです。
■Orange=鮮やかなオレンジ色の果実で、皮が厚い。ということですね。ははぁ、mandarin は、「皮がうすくて、手でむける」 と……。この解釈でいいんだろうか? tangerine は 「手でむけますか?」 わたしは tangerine を食べたことがないんですけど。
■ハワードさんのUKでの愛称は何でしたか? How という愛称はあるんですか?
■それと、ハワードさん、漢字はどのていどまで読めますか?



学名関係

青蛙 (2003/05/09 23:09)

鴛鴦さん:
> 『チャート式シリーズ 新生物TB・U』
 参考書のようですが、いや、どうも参りましたね。「スウェーデンの博物学者・医師。ウプサラ大学の生物学教授になったことがあるが、(中略)二名法を確立して、分類学のその後の発展におおいに貢献した」の中略とした以外は妥当なんですけど。「中略」とした部分へのツッコミはまた改めてということで。

松茸さん:
> 〈gender がない名詞〉は文法的にありえないでしょう。
 仰るとおりです。ですが通性とか共性とか両性とか呼ばれるもの(common gender)があるのはなんででしょう。これは gender が無いとは言えませんが、(男性と女性との)性別を問わないのではないでしょうか。

> # いうまでもないですが、ラテン語の名詞の性は inflection
> # で決まるわけではありません。
 うーん、私は自分で何が言いたかったんだろ。なんか修飾語と被修飾語がごっちゃになっているな。
> ・外来語は不変化詞扱いで、性は問わない?
この一文がおかしかったですね。「不変化詞扱いで」が不要でした。被修飾語(Kaus)について知りたいのは名詞の性なのですから、語尾の曲用(格変化)は関係ないですね。

 借用語の gender は物議を醸しており、Kaus Medi- の場合は、現状ではどちらが正しくてどちらが間違っているとは言い切れないといったところでしょうか。

> 当面の"kaus"については、命名者が《形容詞のほうを三性同形のものにすることで、性の決定を免れる》というズルをし(ようとしてコケ)たものと思われます。
 これは充分考えられますな。命名者がそういうことをしかねない人だから。でも、「三性同形」は欲張り過ぎなのでは。meridionalis の中性形は meridionale ではありませんでしたか。
 本当、Kaus Borealis(いて座λ)や Kaus Australis(同ε)なら、名詞の gender なんか知らんぷりしていても支障がなかったのに……いや、待てよ。
・おおぐま座ν:Alula Bolealis/Alula Australe
・おおぐま座ξ:Alula Australis/Alula Australe
なんて例があったな。あっ頭いた……。

> 規範的には、(ことばでなく realia の水準の話ですが)天体の名称は IAU の管理下にあります。
確かに、彗星とか小惑星などの新天体や惑星上の地形などの命名は IAU によって規定されています。(変光星名は IAU の直轄ではなかったはず)それなのに、なぜか恒星名に関してだけは野放しなんですよね。どこを見ても規約らしいものが見当らないんです。星座名ですら規定されているというのに。
 つまり、現行の恒星名に科学的な根拠や学界における権威なんてものはなく、あくまで学者各位の慣用に過ぎないんですね。驚きです。

Maniac C.さん、学名が移ろうという具体例をありがとうございました。
> Prunus × yedoensis Matsum.
 この「×」について何の説明もされていませんでしたが、雑種(hybrid)であることを表しています。ソメイヨシノ(染井吉野)はエドヒガン(江戸緋寒?)Prunus pendula forma ascendens とオオシマザクラ(大島桜?)Prunus speciosa との種間雑種ですから Prunus pendula × P.speciosa となるのではないかと思われるのですが、なっていませんね。松村さんが Prunus yedoensis 名付けてしまったのかな?

> ラテン語はバチカン市国の公用語です。
 いわゆる教会ラテン語というやつでしょうか。

> >* sour orange の学名"Citrus aurantium"も、性が一致しない例でしょうか?
> →何日か前に書き込みしましたが、羅語では、果樹は女性、果実は中性だったのです。
 これは答えになっていないのではないでしょうか。
・羅:citrus < 希:kitrea(シトロンの木:女性)
・羅:citrum < 希:kitron(シトロンの実:中性)
属名の Citrus は女性と扱われますから、やはり aurantium では性が一致せず、おかしいことになりませんか。



ラテン語

ハワード (2003/05/09 22:40)

>きしろふさん
>ハワードさんはラテン語勉強したことありますか?
はい、たくさんのアメリカとイギリスの学生は小学校か中学校でラテン語を勉強せねばなりませんから、私もラテン語を小学校で勉強しました^^ たくさんの生徒は中学でイタリア語やフランス語を勉強します。ラテン語の知識はフランス語やイタリア語を勉強する時によいです(^_^)多分アメリカではスペイン語が重要だと思います。スペイン語もラテン言語なのでラテン語の知識は役に立ちますね^^ 多分色んな人がもう言及していらっしゃると思いますが、英語もたくさんフランス語の言葉を入ってきているので英語を勉強するときも重要です。あと、高校の英語の授業では難しいイギリス文学を読むときにラテン語を使って説明なさいます(^o^)

でも、ラテン語は難しいと思いませんか?日本語の文法は難しいですが、ラテン語を勉強した後に日本語を勉強したので、”ラテン語に比べて簡単だ”と思って日本語を勉強しました(笑)サブジェクトによって動詞をたくさん変えますからね。

ところで、多分ドイツ語(オランダ語でもいいと思います)とフランス語を知っているベルギーの人にとって、英語は簡単でしょう。ベルギーの人のアクセントは私はあまりわかりませんけど^^



re:拉丁語

鴛鴦 (2003/05/09 22:02)

>きしろふさん
英語の単語の約半数がラテン語系ですかぁ。

ラテン語マスターできたら、フランス語はどのくらい理解できるんだろう!?
(スペイン語やポルトガル語、イタリア語なんかも。ギリシャ語はすぐにでも分かると思いますが。)



拉丁語 追記

きしろふ (2003/05/09 20:45)

ラテン語で知ったこと・・・
○なぜ「ナンバー(number)」の略が「Nu.」ではなく「No.」なのか?
ということです。



拉丁語

きしろふ (2003/05/09 20:29)

私もラテン語には少し興味を示したことがありますねぇ〜
英語の単語の約半数がラテン語系ですから。英語は一応ゲルマン語系です。
こうなったのもノルマン・コンクエスト(Norman Conquest。西暦1066年)が影響しているのでしょうか?
ハワードさんはラテン語勉強したことありますか?



>Maniac Cさん

ハワード (2003/05/09 18:12)

私の戻りをお祝いしてくれてありがとうございます^^

>「どうしてそのことを知りましたか。」に当たる英語は
>"How do you know that?"ですよね。日本語から考えると、"Why do you know that?"
>になりそうなのですが、ちょっと(=somehow←これも日本語では「なぜか」)変です。
>日本語でうまく説明できないので、その辺りをお願いします。
はい、実は私も昔「どうやって知っていますか?」とたくさん言いました。でも、ある時友達に間違いと言われましたが。多分、私の考えでは、knowという言葉は何かを”知る(get to know)→知っている”という両方を一緒に意味すると思います。それで、How(どうやって) do you know(知る→知っている) thatというと、まずはじめの”知っている(get to know)”という意味をHowが包みます。言い換えるならHow did you get to know that?です。では何故現在形でいうか、というと英語では常にタイミングが問題なので、”今”知っていることは常に現在形です。
ところで、私は今でも、例えば
A:携帯見つかりましたか?
B:はい、ありました!
という文章が変に思います。なぜなら、”ありました”は”昔はあったけど今はない”ように聞こえませんか?はじめ”It was there”の意味と思って"??????"とおもいました。これはたくさんの日本語を勉強する人を混乱させます。

>にれのや師匠の仰(おっしゃ)る"bitter orange"は、辞典では"sour orange"や"Seville
>orange"と同じ意味の表現とされています。
はい、今日アメリカ人で友達と話していました。彼に今日"bitter orange"の話し、この掲示板の話をしていましたが、彼はbitter orangeが普通といいました。私はあまりbitter orangeといいませんがsour orangeというので、bitter orangeを聞くとちょっと変な感じがあります。でもbitter orangeはちゃんとした言い方みたいなので、私が混乱させていたらごめんなさい。多分それはネイティブスピーカーによると思います。

感嘆符、疑問符と語源、由来の話しを教えてくれてありがとうございます!
それでは、今日買ってきた日本語文法の本を今からします。今は”助詞”の問題をたくさんします。難しいです!

それでは!



Re:ラティーニー

らにい (2003/05/09 12:35)

>Maniac C.さん
ナイスフォロー、有難うございます(^^;)
心しておきます(^^;;)



ラティーニー

Maniac C. (2003/05/09 03:56)

>らにいさん
>「ラテン」は「ラティーニー族(イタリア中部にいた部族・集団)」からきています。
→惜しい! 実は次のようなつながりです。
■Lati ̄n-i ̄: Lati ̄n-us 「ラティン人」の複数形。
■Lati ̄n-us: 形容詞lati ̄n-us,-a,-um 「ラティウムの、ラティン人の」の転成名詞。
■lati ̄n-us,-a,-um: Lat-i-um 「ラティウム」に接尾辞-i ̄n-us,-a,-um をつけたもの。
■Lati-um: 語源不詳の地名。現在のラツィオ地方。
■-i ̄n-us,-a,-um: 名詞語幹などに付いて、「〜に関する、〜性[質]の」の意味の形容詞
 を造る接尾辞。英語では-ine になる。

というわけで、普通の辞書では、「『ラテン』は『ラティウム』から来ています」と説明
されています。

ついでに、この伝言板の過去ログで「なぜ『ラティン』ではなく『ラテン』なのか」という
話題が在りましたが、多分、結論は出ていなかったように記憶しています。
実はこの日本語は、蘭語 Latjin 「ラーテイン」に由来しているのです。室町時代の切支丹
資料では「ラチン」と書かれてあるのですが、蘭学時代に「ラーテイン」が約(つづ)まって
「ラテン」になったのです。



質問: How と Why

Maniac C. (2003/05/09 03:25)

ハワードさん、お帰りなさい。
私も貴方(あなた)の復帰を嬉しく思う一人です。

さて、首記(しゅき)の件ですが、「どうしてそのことを知りましたか。」に当たる英語は
"How do you know that?"ですよね。日本語から考えると、"Why do you know that?"
になりそうなのですが、ちょっと(=somehow←これも日本語では「なぜか」)変です。
日本語でうまく説明できないので、その辺りをお願いします。

追記:
疑問符(ぎもんふ=!)や感嘆符(かんたんふ=?)の後は、1文字分の空白を入れると、
読みやすくなりますよ。

追々記:
にれのや師匠の仰(おっしゃ)る"bitter orange"は、辞典では"sour orange"や"Seville
orange"と同じ意味の表現とされています。

追々々記:
「語源学」→「語源」、「由来(ゆらい)」、「来歴(らいれき)」。最後のは文章語。
「母国語話者」と「ネイティブスピーカー」→後者(こうしゃ)の方が「普通」です。



ただいま!

ハワード (2003/05/09 01:43)

>にれのやさん
英語の質問がたくさんありますか!嬉しいです^^ 私達の言葉に興味がある人がいるといいですね^^ 色々聞いてください!頑張って答えます!

>What does the word "orange" usually mean in UK? "Sweet orange"? "bitter
>orange"? Or either?
"ORANGE"という言葉は、あまり味を知りません。普通私達がOrangeをいうと、まず色の橙色、次に橙色の厚い皮がついている果物をきっと意味します。だから、あまりすっぱいか甘いか、は気にしないです。

>Are the phrases "sweet orange" and "bitter orange" common in daily life of UK?
普通、果物はbitterじゃなくてsourを使います^^ bitterだと黒いコーヒーの味みたいな味の感じがあります。sweetは、はい、sweet orangeは普通の表現です!

>We have been discussing about the etymology of the word "orange". And yet lots
> of questions.
etymology! 英和辞典でこれを日本語で何というか調べました。語源学といいますね。(この言葉は普通使いますか?)ラテン語は小学校の時に学校で勉強を強制されました(笑)でも少しだけ覚えてます。これが助けれるかもしれません^^

>Thank you. (←OK such use?)
はい!^^ 多くの英語の母国語話者(ネイティブスピーカーとどちらが共通(一般???)ですか?)は、何かを人にすると頼む時にthank youをつけます。話すときも、書きときも使います。
”よろしくお願いします”と同じですね!(これはこの掲示板で学びました!ありがとうございました!^^

それでは!

p.s. 今アメリカから私の友達の息子さんが僕の家に泊まります。彼はまだ15歳です。彼は日本に来てから毎日、私に電気屋さんに連れて行って、と頼みます。彼はSONYが好きですから。でも、彼の英語はちょっとアメリカ訛りが強いです(^^;



では日本語ということで

にれのや (2003/05/08 22:35)

ロスケさま。申し訳ありません。今後は日本語で質問しましょう。



ラテン語

らにい (2003/05/08 12:50)

少々ラテン語について盛り上がっている(のか?)ようで。
ほんのちっとラテン語について調べたことがあります。但し、ラテン語についての知識はほぼ皆無でやんす(汗)
参考資料は下のリンクで。

http://www.hi-ho.ne.jp/kellopie/latin_index.html
http://homepage1.nifty.com/nomenclator/latina/indexlat.htm
http://www.ab.aeonnet.ne.jp/~memoria/lingua/phon_lavu.html
http://www.ab.aeonnet.ne.jp/~memoria/lingua/gram_lavu.html
http://ww4.enjoy.ne.jp/~momiji.osm/latin/lat_intro.html
そして、世にも珍しい(?)ラテン語で(世界の)ニュースを提供しているサイトです。
http://www.yle.fi/fbc/latini/index.html

ちなみに「ラテン」は「ラティーニー族(イタリア中部にいた部族・集団)」からきています。



re:学名

鴛鴦 (2003/05/08 12:39)

昼休みにこっとりと・・・(殴)

>Maniac C.さん
訂正して下さいまして感謝、耐えませんm(_ _;)m
単純ミスしてしまいまして・・・(*^^*;)
「Matsumura」は「Matsum.」と省略できたんですね。
話は本当だったんですね。公用語でしたか。



日本語がよろしいようで

ロスケ (2003/05/08 03:58)

あのー・・・「師匠」と呼ばれるにれのやさんに、私のような浅学非才のものからは大変申し上げにくいのですが、ハワードさんとのやりとり(というか質問)は英語でなく日本語にしていただけないでしょうか?。
前にハワードさんからも慇懃に同様のリクエストがあったと記憶していますし、なによりも「英語にする必然性」が全く見当たらないのですね。(^^;
このあたりの事情を是非考慮され、英語はご勘弁を!思いますがいかがでしょう?。



re satsuma tangerine

Maniac C. (2003/05/08 02:46)

>にれのや師匠
一時、投稿しようとして、「学名もまた本によって違います」との書き込みに挫けて
お蔵入りしていた文章ですが、出します。“The Oxford Paperback Dictionary”の
記述と、研究社『新英和大辞典』所収の学名・和名です。参考になさってください。
■orange: a round juicy citrus fruit with reddish-yellow peel.
 オレンジ(Citrus の樹木の総称)
■mandarin: a kind of small flattened orange grown in China and North Africa.
Citrus nobilis マンダリン
■satsuma: a kind of mandarin orange originally grown in Japan.
Citrus unshiu ウンシュウミカン
■tangerine: a kind of small flattened orange from Tangier.
Citrus reticulata ポンカン
原産地の違いだけでしょうか? 小さくてひしげていれば全部同じ?

余談ですが、英語の“by the way”は、日本語の「ところで」の対応語として普及して
いますが、実は「その話題からちょっと離れて」ぐらいの意味合いですから、話題を
全く変えてしまう「ところで」とは違い、「時に」が訳語としては適切かと思います。
「ところで」に相当する単語は‘well’でしょう。



re 学名

Maniac C. (2003/05/08 01:53)

>にれのや師匠・青蛙さん
>学名とは暫定的なものであって確定していないものもあります。それは研究が進むことによって、分類が変わることがあるからです。
→上記の実例です。↓
http://www.wise-p.co.jp/marimo/japanese/hyakka/hyakka_1_05.html

鴛鴦さん
>ソメイヨシノ=Prunus yedonasis Matsumura
→(訂正) Prunus × yedoensis Matsum.

>余計ですが、ラテン語は今でもバチカンで使われていると聞きましたが、本当でしょうか?
→本当です。ラテン語はバチカン市国の公用語です。ローマ・カトリック教会では今でも
使われています。また、ラヂオ放送も有ります(フィンランド放送。変わっていなければ、
土曜17:55から17900kHz)。

>松茸さん
>* sour orange の学名"Citrus aurantium"も、性が一致しない例でしょうか?
→何日か前に書き込みしましたが、羅語では、果樹は女性、果実は中性だったのです。



res: ポイグナント(^^;

Maniac C. (2003/05/08 00:57)

>ロスケさん
>私は大容量HDD派ということになり、あえていえば「左脳派!」かもしれません。(^^;
→うーん。別に私が「右脳派」だと主張しているわけではないんですが。

>異言語からの借用語と解っていても、それが英語に規則正しく取り入れられなかった
→確かにそういう例はいっぱい在りますね。

>フランス語からの借用というグループの中で、更にその「例外」を覚える必要があるわけです。
→「例外」というよりも、「年代」つまり、借用時期ですね。同じ仏語とは言え、波が
有りますので。poignant は1387-95頃と、予想外に古く、チョーサー時代(後期ME)の
借用語でした。外見(綴り)の新しさに騙されたのですが、当時の綴りは poinaunt や
ponyaunt だったようです。こちらの方が、鼻母音の処理に苦しんでいる様子が綴り字
から解ります。
 過去分詞由来の point は、1200年以前(初期ME)の借用ではないかとされています。

>手荒にまとめると、poignantはラテン語pungere起源であるからして、発音はフランス語式に「プワニャーン」であろう、と思ったら意外にも英語式の「ポエニヤント」であった
→ちょっと違うんですよ。綴りが新しめだった→近代の借用語であろう→発音も現代仏語式
であろう→××(ブブー)→英語式でした! というわけなんです。多分、どこかで現代
仏語式に合わせて、綴りを改めたのでしょうね。



Orange?

にれのや (2003/05/08 00:02)

■Welcome back, Howard!
Is it OK we have loooooooooooooooooots of questions about English?
  By the way (giggle),
What does the word "orange" usually mean in UK? "Sweet orange"? "bitter orange"? Or either?
  Are the phrases "sweet orange" and "bitter orange" common in daily life of UK?
We have been discussing about the etymology of the word "orange". And yet lots of questions.
  Thank you. (←OK such use?)



おひさしぶりです。

ハワード (2003/05/07 23:09)

しばらくここに来ることができてませんでした。ごめんなさい。私が仕事は忙しかったからです。
今は大分もっといいです。多分もっとよくこのウェブサイトに来ることができます^^

さて、前誰かが英語のつづり方について質問なさいましたね?ちょっとそれについて話します。
英語の発音とつづりは確かに難しいです。たくさんの外国人がそれは難しいと思います。でも、ちゃんと一応のルールはあります。
walkとworkが難しい、とおっしゃいましたが、wa-は基本的に”ウォ”という音になります。warm, wall, walk, what(昔はウォットといいました。), waterは、全部ウォです。
また、worは口をあまり広く開けないワーという発音になります。world, word, workなど、全部そうです。

私達イギリス人が日本語を勉強する時、みんな始めはwatashiwaを”ウォタシウォ”と言いたくなります。ドイツ人は多分ヴァタシヴァ、と言います(笑)ドイツ人はwとvを間違えますから。

またすぐ戻ってきます!



世界音声記号辞典

にれのや (2003/05/07 23:08)

■いやあ、まずいことにクビをつっこんでしまいまして……
学名については、ベイリーと平嶋先生の本を、寝っころがりながら読んだくらいで……
正確なところは、大家、他の方の書き込みを参考になすってください。
■ホヤホヤの新刊の紹介です。
   『世界音声記号辞典』三省堂
The Univ. of Chicago Press の "Phonetic Symbol Guide" の second edition の訳書です。ほぼ、そのまま訳したもので、追加されているのは脚注だけです。先日、紹介した大修館のものとは別ものです。こちらは、大き目の記号の書体見本をかかげているので、ながめているだけでもユカイです。



re^2:Kaus etc.

松茸 (2003/05/07 23:04)

* (新)ラテン語では、外国語の名詞を不変化で取り入れることはあるようですが、〈gender がない名詞〉は文法的にありえないでしょう。
# いうまでもないですが、ラテン語の名詞の性は inflection
# で決まるわけではありません。

* 一般論として〈借用語の gender をどう決めるか〉はけっこう問題になるようです。  当面の"kaus"については、命名者が《形容詞のほうを三性同形のものにすることで、性の決定を免れる》というズルをし(ようとしてコケ)たものと思われます。

* 記述言語学的には、《同形同義で gender の違う語がある》と解釈するのが妥当?
 規範的には、(ことばでなく realia の水準の話ですが)天体の名称は IAU の管理下にあります。

* sour orange の学名"Citrus aurantium"も、性が一致しない例でしょうか?



re:ラテン語の学名 追記

鴛鴦 (2003/05/07 19:58)

余計ですが、ラテン語は今でもバチカンで使われていると聞きましたが、本当でしょうか?



re:ラテン語の学名

鴛鴦 (2003/05/07 19:56)

私、これでも生物を習っていまして、自分の持っている参考書に学名について載っています。(多分基本的なことでしょうが)
資料は『チャート式シリーズ 新生物TB・U』です。そこに載っているリンネについての説明では、
「リンネ Carl von Linne(正確にはe+´) 1707〜78 スウェーデンの博物学者・医師。ウプサラ大学の生物学教授になったことがあるが、生物の名が各国まちまちで1つの種類に対して国や地方ごとに違った名前がついているようなことでは学問が成り立たないと考えた。そこで、どの国にも不公平にならないように、もはや使われなくなっているラテン語を用いることにし、二名法を確立して、分類学のその後の発展におおいに貢献した。」
・・・ということでにれのやさん、
>「リンネがラテン語による学名をつけるようになったいきさつ」
は要するに死語になっていたラテン語を用いることによって、世界平等に使えるようにてることからということです。
普通は「二名法」を使いますが、種をさらに亜種・変種に分ける場合は「三名法」を使います。
「二名法」の例・・・
 ソメイヨシノ=Prunus yedonasis Matsumura
「三名法」の例・・・
 シマリス(亜種)=Entamias asiaticus lineatus Termminack
最後の単語以外は斜体字で表記されます。
最初の単語は「属名」で名詞のため大文字からはじめます。次の単語は種の特徴を表す「種名」でふつうは形容詞のため小文字からはじめます。最後はその生物を発見や製作(といっていいのやら)し、命名者の名前です。但し、リンネだけは「L.」と省略を許されるのです。(最近は他の命名者も省略を許されているようです。)「三名法」の3番目の単語は「亜種名」。これもふつうは形容詞のため小文字からはじめます。

・・・とまぁ、ざっとこんなところです。
下のリンクにはもう少し詳しく載っていますので、是非ご一見してみては。

http://www.pteron-world.com/topics/classfication/aboutsname.html
http://www.asahi-net.or.jp/~sn7i-hrd/setumei/gakumei.html



re:ラテン語の学名について

青蛙 (2003/05/07 18:37)

学名の話が出たのでもう一つ。

にれのや さん:
> ラテン語の学名について
 細かいことですが、学名と呼べるものはラテン語だけですから「ラテン語の」は不要なのではないでしょうか。(日本語の学名とか英語の学名なんてものは存在しません)

>『植物の名前のつけかた―植物学名入門』
 参考になりそうな書籍の紹介ありがとうございます。

> リンネがラテン語による学名をつけるようになったいきさつ
それなら
 松永俊男『博物学の欲望―リンネと時代精神』講談社(講談社現代新書)・1992 も参考になります。また、
> 巻末に学名用のラテン語彙集
については学名用のラテン語彙集の巻末にラテン語文法を配した逆のパターンの
 豊国秀夫『植物学ラテン語辞典』至文堂・1987
があります。しかし、学名について総合的に知りたいのであれば
 平嶋義宏『生物学名命名法辞典』平凡社・1994
でしょう。

> ラテン語で意味が通ることが大切なのではなく、ある種を同定する際の、記号として不変であることのほうが重要というわけです。
 これはそのとおりでしょうが、
> 学名のラテン語というのは、「文法的にまちがっていようと」、「綴りがまちがっていようと」 かまわない
> ある植物が、誰かの論文で初めて報告されたならば、以後は、何があっても変更してはいけない
なんてことはありません。(もっとも、これは動物命名規約での話ですが)そんなことをしていたら文法が滅茶苦茶かになってしまうではありませんか。学名の性の問題は学者の頭痛の種なんだそうですよ。
 生物の学名には動物/植物/最近(バクテリア)と命名規約に3様があって、必ずしも統一されていません。当然ながら、学名とは暫定的なものであって確定していないものもあります。それは研究が進むことによって、分類が変わることがあるからです。また、学名が不確定なものもあります。そのうえ、栽培植物やウイルスにはまた別の命名規約があるというのですから、massangeana さんが仰っているように
> 学名もまた本によって違います
> 植物学関係と園芸関係では同じものにも違う学名を与えていたりする
> 同じ植物にいくつも学名があったり
するわけです。ヤレヤレ。

 なお、生物の学名は、通例その基本単位である種の名称を指しています。そしてその種の名称は属名+種名からなる二名式命名法(binomial nomenclature)によって命名されています。その際、種名(第2要素)は(語源が固有名詞であっても)小文字ではじめなければなりません。また、種の名称は本来斜体で書くことになっています。(この掲示板でもタグを使えば表示可なのですが、私は以前をタグを使ったことによって掲示板に多大な迷惑をかけたことがあるので使わないようにしているのです)

 連続書き込み失礼しました。



re:re:Kaus

青蛙 (2003/05/07 18:33)

Maniac C.さん、こちらにもレスをいただき、ありがとうございます。

> 検索をしてみたら、
 これって、ネット検索をされたのでしょうか? 私も試しに検索したところ、ほぼ同じ結果が出ました。しかしながら、ネットでの検索(特にここで掲げられた件数のような数値)には意味がありません。そのあたりの現状は↓でもご覧になってください。
「奇々怪々のベテルギウス」
 http://homepage3.nifty.com/hirorin/yanagida97.htm
 検索したリンク先サイトがなんらかの言語・音韻・語源学的アプローチを行なっていればよいのですが、それらのほぼ全ては、単に既存の出版物から引き写しているに過ぎません。そのような有象無象のコピー群はデータとして意味をなしません。

> 何と、中性扱いも2件引っ掛かりました。
 私が検索したところでも同じでした。この2件はいずれもイタリア語のサイトではありませんでしたか? そこで考えられるのが、
 1)一方が他方をコピー・アンド・ペーストした
 2)双方が同じソースに基いていた
のいずれかでしょう。私が調査したところでは、中性形 Kaus Medium としている文献は一つもありませんでしたので、誤りと断じてよいと考えます。(中性形を取る根拠も思い至りません)

> 外来語だからと言って、名詞を不変化詞扱いには、しないと思います。
 羅和辞典を引いていたところ、ギリシア文字のラテン名(たとえばαに対する alpha)に対して indecl.(語尾変化をしない)とあったもので、ひょっとしてラテン語では外来語に対しては性を問わないのかなと疑問に思ったものですから。

 この問題は、どうも一筋縄では行かないようです。生物の学名の場合ですが、自由な造語による場合は「語尾の形によって決定される」のだそうです。星の固有名は建前上ラテン語ですが、もちろん生物の学名命名規約がそのまま適用されるものではありません。



re:re:swallow

青蛙 (2003/05/07 18:19)

 Maniac C.さん、いつもながら素早いレス、痛み入ります。
えーと、
> いろいろと誤解されておられます。
というか、こちらが舌足らずで誤解を招いてしまったようで恐縮しております。
> 名詞の方の来歴は納得されるでしょうが、動詞の方が疑問。
これだけだと、何か Maniac C.さんのご説明にケチをつけているみたいですね。

 しかしながら、「おそらく……」以下にあるとおり、Maniac C.さんのご説明と同じ主旨なんです。
(もっとも、私の場合は全く説明になっていませんが)
 ここで私の言う「疑問」とは、名詞 swealwe にはあるが動詞 swelgan にはない w の出処という、英語の音韻変化事情を知らない立場から思い至るであろう素朴な「疑問」という意味であって、決して Maniac C.さんのご説明に疑問があると言いたかったわけではありません。
そこで、『英語語源小辞典』巻末の「語原学解説」から。

 |OE g [γ] は後母音との間にわたりの音 w を発達させ [wγ]
 |となり,その後自身は脱落したので,結果的には ME w
 |となり,この w は ModE で母音化された

と説明されています。(p.524) Maniac C.さんのご説明とほぼ同じですね。
これは古(期)英語からの話なんですが、
 古期英語:母音+g+母音 → 中期英語:母音+we → 近(現)代英語:母音+w
となったわけです。

 ゲルマン基語云々については、ご指摘のとおりです。誤解を招くような表現をしてしまい申し訳ありませんでした。辞書等に見られるものは、あくまで音韻を推定したものですから、
> ゲルマン基語の段階では g が yogh で綴られていた
なんてことは有り得ないわけです。「ゲルマン基語の段階では軟口蓋摩擦音 [γ] であったと推定されている」とでもしておけば良かったんですね。

 皆さま、これからも当方のボケに対しては鋭いツッコミをお願いします。



Re: 首

massangeana (2003/05/07 15:11)

Maniac C. さん:
>「あたま」の意味
かもしれませんね。なお詩経などは「篇→章→句」でかぞえるのがふつうです。

>家畜を数えるのに「頭」を使う
南北朝だと「口」とか「足」もつかっていたようです(四足で 1頭というトンチじゃ
ありません)。



ポイグナント(^^;

ロスケ (2003/05/07 04:59)

>辞書を調べてみると、やはり、どちらも羅語 pungere に遡り得る単語でした。
>発音が「プワニャーン」という仏語式かと思ったら、英語的に「ポエニヤント」
>なんですね。こちらの方が私としては意外。

大変興味深い問題ですね。
↑を手荒にまとめると、poignantはラテン語pungere起源であるからして、発音はフランス語式に「プワニャーン」であろう、と思ったら意外にも英語式の「ポエニヤント」であった・・・・と。
確かに
>歴史を知って、こういう綴りでこういう発音は何処の国からの借用語か、というのが解る
>と、なかなか楽しいのです。
は認めますが、異言語からの借用語と解っていても、それが英語に規則正しく取り入れられなかったので、例えばフランス語からの借用というグループの中で、更にその「例外」を覚える必要があるわけです。これは階層が深いような、別の例で言えば圧縮してデータ量を少なくして記憶する(そして展開する)か、HDDの容量を増やして全部平面的に記憶してしまうかの違いに似ていると思えます。つまり、どちらの方式が得意か?という個性の問題になりそうです。
となると、私は大容量HDD派ということになり、あえていえば「左脳派!」かもしれません。(^^;



イチョウとオレンジ

にれのや (2003/05/07 02:37)

■massangeana どの。
なるほど、それはリンネにとっては汚名返上であります。Ginkgo の発音についてですが、英語では ['gi{ng}kgou] ギンクゴウ という、ありえないような発音が、あるんですね。
□それと、いろいろな言語に Gingko というヴァリアントがあるようですが、これはたぶん、「いっくらなんでも、Ginkgo はおかしいだろ。Gingko の書き間違いだよ」 という素朴な言語感覚でひっくり返ったんでしょうね。
■ウンシュウミカンなら、Citrus unshiu ですね。"i" が必要でした。北隆館の図鑑では、Citrus (ミカン属) をまとめて載せているので、参考になりました。sweet orange は、日本語では、スウィート・オレンジと呼ぶしかないようですね。
□ところで、西欧語の感覚で、さまざまな "mandarin(e)" を、1つのカテゴリーとしてくくっている指標というのは、何なんでしょう?



Re: ラテン語の学名について

massangeana (2003/05/07 01:42)

にれのやさん:
tangerine はありましたね。すみません。
satsuma は米国ではあまりいいませんが, スーパーでキシュウミカンを
satsuma mandarine として売っているのを見たことはあります。ふつうは
ウンシュウミカンの方をさすのではないかと思います。

Ginkgo はリンネではなくて, 西洋にイチョウを紹介したケンペル自身がそう記し
ているようです。ここに本を scan した写真があります(廻国奇観(1712) p.811)。
 http://www.rc.kyushu-u.ac.jp/~michel/serv/ek/amoenitates/fasc5/ae811.html
(注: 漢字は右から左に書いてあります) アンズは kjoo と書いています(p.797)
から, Ginkjo の誤記かもしれません。



retrial: 首

Maniac C. (2003/05/07 01:39)

massangeanaさんに声調の点を指摘されて、考え直しました。
やはり、「あたま」の意味ではないでしょうか。

家畜を数えるのに「頭」を使うのは、頭の所で縛って、それを数えるからでしょう。
釣った魚を数える「尾」や、鳥を数える「羽」も、同様にそこを縛ります。
日本語で木などを数える「本」も、多分、根っこの部分を縛ったのではないでしょうか。
(中国語では「枝」で数えるところを見ると、枝で縛るのか知らん?)

律詩では、最初の2行を「首聯」、次の2行を「頷聯」、更に次の2行を「頸聯」、
最後の2行を「尾聯」と言いますが、索引などに載せるとき、題名が無いものなどは、
もしかすると首聯だけをその代わりに使ったのではないでしょうか。

和歌でも、持統天皇の「春過ぎて」だとか、山上憶良の「しろかねも」だとか、
発句だけを取って、作品そのものを代表させることが有りますよね。

それと同じで、判りやすいように首聯だけ繋げたのを数えて、「○首」と言ったのが
起源ではないでしょうか。



re Kaus

Maniac C. (2003/05/07 01:23)

羅和辞典でも調べてみないと実際のところは判りませんが、調査報告と考察を。

■検索をしてみたら、女性扱いが圧倒的に多く、383件が引っ掛かりました。
 それに対して、男性扱いは66件。何と、中性扱いも2件引っ掛かりました。
■やはり、アラビア語通り、女性扱いが正しいのではないでしょうか。
 男性扱いは、語形にひかれた誤用だと思います。
■外来語だからと言って、名詞を不変化詞扱いには、しないと思います。



re swallow

Maniac C. (2003/05/07 01:22)

>青蛙さん
>名詞の方の来歴は納得されるでしょうが、動詞の方が疑問。おそらく、ゲルマン基語の段階では g が yogh で綴られていたと推定されており、それが現代英語で w に変化してしまったために、同じ綴りになってしまったのでしょう。
→いろいろと誤解されておられます。
■「ゲルマン基語」というのは、理論上の言語ですから、文字が有ったのかどうかは判り
 ません。
■研究社の辞書では、ゲルマン基語時代の[γ]の音を表す文字として、何故かyoghが使われ
 ています。[γ]は、[χ]に対する有声音で、印欧祖語の*ghに対応する音です。古い
 ゲルマン諸語では、これの対応音は、全て現代のgに相当する文字で書かれています。
■yogh は insular‘g’という、古期英語時代にgの換わりに使われた、「丂」に似た文字
 が変形したもので、使用されたのは中期英語時代です。やはり[γ]の音を表していました
 が、12世紀には、ノルマン写字生が持ち込んだyやwやghに、取って代わられてしまい
 ます。
■ゲルマン諸語の中で最も古い文献・資料はウルフィラのゴート語訳聖書で、これはゴート
 文字で書かれており、gは希臘文字「Γ」のアンシャル字体を使っています。この文字は
 geuua「ゲワ」と呼ばれました。また、ゲルマン民族の間ではルーン文字も使われました
 が、ルーンでは「×」がgを表す記号でした。この記号は geβo¯「ゲブォー」と呼ばれ、
 古期英語の時代にはgyfu「ユィヴゥ」と呼ばれました。
 どこにも yogh の出る幕は在りません。
■先日の書き込みでも記しましたが、来歴が印欧祖語にまで遡れるのは動詞の方で、名詞は、
 精々ゲルマン基語にまでしか遡れませんので、こちらの方が語源学的には「疑問」のはず。
 動詞の方は、drink と同じ、強変化の第3類に属する、由緒正しい、嫡々の印欧語です。
 swill(ガブ飲みする)という兄弟語も在ります。
■名詞と同じ綴りになったのは、これも先日書き込んだ通り、gがwに変化した所為も在る
 でしょうが、幹母音が類推でひかれた所為の方が大きいと思います。



poignant

Maniac C. (2003/05/07 01:17)

>ロスケさん
 よく高駒麗人komaさんが嘆いていらっしゃる、外国語の中の外来語の問題ですね。
 poignant とは、また随分と高級そうな単語ですが、これを覚えられた当時は Cognac と
いう単語はまだご存じでなかったのでしょうか。
 私は幸いにも学生時代にはこの単語と出くわさず、ロスケさんのこの書き込みで初めて
面会しました。でも、仏語の知識のおかげで、「あぁ、-ant は現在分詞語尾だな、なんで
-gn- になっているか解らないけど、きっと point (プウェン)と関係あるだろうから、
pointing の意味かな」と見当をつけることが出来ました。辞書を調べてみると、やはり、
どちらも羅語 pungere に遡り得る単語でした。発音が「プワニャーン」という仏語式かと
思ったら、英語的に「ポエニヤント」なんですね。こちらの方が私としては意外。
 私も羅馬字読みして英単語の綴りを覚えることもしましたが、どちらかと言うと、上に
書いたように、要素に分解して覚える方が多かったですね。現在分詞で今すぐに出てくる
単語はそう多くは有りませんが、friend と brilliant, pendant などがそうでしょうか。
 英語は、割りと外来語を原語の綴りそのままで書くので、覚えるのは一苦労ですが、
歴史を知って、こういう綴りでこういう発音は何処の国からの借用語か、というのが解る
と、なかなか楽しいのです。が、その域まで行かない多くの学生さんにとっては「記憶負担
の増大」に対する、果敢な挑戦という仕儀になってしまうのでしょうね。



Re: 観光

massangeana (2003/05/06 14:54)

寅さん:
>観光の本来の意味
どの本を見ても易の観卦の爻辞にある「観国之光」を引いています。国が栄えている
様子を見る, ということだろうと思います。国家の制度などを視察に行く意味で, 単
なる物見遊山を意味するようになったのは近代にはいってからのようです。

1400年前というと唐のはじめだと思いますが, とくにその頃の文献で特別な意味に使われ
ている例を見つけることはできませんでした。



swallow

青蛙 (2003/05/04 21:35)

 名詞の swallow と動詞の swallow は、Maniac C.さんがご説明しているように、英語における同音(というより同綴)異義語です。名詞の方の来歴は納得されるでしょうが、動詞の方が疑問。おそらく、ゲルマン基語の段階では g が yogh で綴られていたと推定されており、それが現代英語で w に変化してしまったために、同じ綴りになってしまったのでしょう。

 余談ですが、みずがめ座ε星は固有名を Albali といいます。アラビア語 al-ba:li‘ が語源です。ba:li‘ は動詞 bala‘a(あるいは bali‘a)の能動分詞(英文法の現在分詞)形で「呑み込むもの」という意味です。ところが、この意味が英米の解説書では“swallower”となっていたために、何を勘違いしたのか「ツバメ」の意味としているものがあります。(語尾の -er が見えなかったらしい)例えば、web ページでは
http://www6.airnet.ne.jp/minawa/star/fixedstar.html
 タネ本を無思慮にコピー・アンド・ペーストするから、誤訳までそのまま引き写しちゃうんですよね。

 性の話が出たところで、私からもお伺いしたいのですが。
 いて座δ星は、固有名を Kaus Medi- といいます。文献によって Kaus Medius となっていたり Kaus Media となっていたりします。一体、どちらが正しいのでしょうか。
・Kaus はアラビア語 qaws(弓)の借入で、外来語と考えてよい。
・原語 qaws は女性名詞である。
・ラテン語では -us は通例、男性名詞。
・外来語は不変化詞扱いで、性は問わない?
・もしそうだとしたら、どちらをあてても間違いではない?
 もとは、イタリアの Piazzi という天文学者が、自著(通称『パレルモ星表』)で Kaus meridionalis と誤って命名したのが始まり。



ラテン語の学名について

にれのや (2003/05/04 02:11)

■ tangerine は入ってます。satsuma も 「マンダリン仲間」 でしょうか。どうも "mandarin(e)" で表される柑橘類は、種類が多いようで "Citrus unshu" なんてのも 「マンダリン仲間」 のようです。
■ 植物の学名に関する面白い本を見つけました。
   『植物の名前のつけかた―植物学名入門』
というものです。リンネがラテン語による学名をつけるようになったいきさつから、学名のつけかたのルールまで説明し、巻末に学名用のラテン語彙集がついています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896944658/249-7859866-6157165

■ヨーロッパの言語では、イチョウのことをよく "Ginkgo" と言いますね。これね、リンネが、"Ginkyo" (銀杏) のローマ字の綴りの y を g と間違えたんだそうです。
■上記の本を見ていただくとわかりますが、学名のラテン語というのは、「文法的にまちがっていようと」、「綴りがまちがっていようと」 かまわないんだそうです。ある植物が、誰かの論文で初めて報告されたならば、以後は、何があっても変更してはいけないんだそうです。つまり、ラテン語で意味が通ることが大切なのではなく、ある種を同定する際の、記号として不変であることのほうが重要というわけです。



未菜実さん

せつようこ (2003/05/03 20:51)

ありがとうございました。
「バツゴウ」の略っていう説は、とても説得力がありますね…。
私の質問はひどく初歩的で、申し訳ないです(__)
とにかくありがとうございました!!



Re:地域

きしろふ (2003/05/03 19:16)

>zo-さん
そうですね。
マカオもポルトガルといわなければならなかったことになりますね。
>辻本裕幸さん
ちょっと台湾に関しては関係が複雑なようで・・・(^^;)



re: swallow

ロスケ (2003/05/03 11:17)

> 言うならば「百姓綴り」とでも言うところでしょうか。記憶負担の軽減のため、
>似た発音・同じ発音なら同じ綴りで良いだろう、という大衆の力は強いものです。

ありがとうございます、Maniac C. さんのご説明でよく理解できました。
私は学生時代、試験のためにpoignantをポイグナント、rapportはラポルトと覚えていました。こうしないとスペリングを思い出せないんですよ(まぁ、自分の才能の問題ですが・・・)。日本人にとってはこれらはかえって「記憶負担」の増大につながりますね。「ポイニャント」からpoignantの綴りを正確に思い浮かべるのは大変です。
こうなったらnuncio(ローマ教皇の)使節なんかは、卑弥呼の使節「難升米」と一緒にして「ナンショウ」と覚えるのも名案かもしれない(冗談)。



観光

寅 (2003/05/03 10:01)

観光の本来の意味(語源?)を調べたいのです。
古くは中国の書物で1400年前くらいに見られたそうです。
おそらく、今の日本で使われている意味とは全く違う意味ではないかと思うのですが。
どなたか博学の方でご存知の方、教えて下さい。



Re: ダース

massangeana (2003/05/03 02:52)

指の節を使って曜日を計算するのは中国ではわりに普通です。7つの節だけを使うのが
一般的だと思いますが, もとは 12 全部使って干支などを数えていたのかもしれないと考えた
ことはあります。
もっとも, 指の節が 12 あるから十二進法ができたのか, ぎゃくに十二を周期とする計算を
するために指の節を利用する方法が開発されたのかは, どちらともいえないのではないでし
ょうか。



Re: 柑橘類の学名

massangeana (2003/05/03 02:42)

英語には satsuma と tangerine を加えてください。以前みかんのことを tangerine といっ
たら「違う, みかんは mandarine orange だ」と怒られましたがいまだに mandarine orange と
tangerine の違いがよくわかりません。どこが違うかたずねたら, クリスマスに靴下の中にはい
っている方が mandarine orange だと教えてもらいました ^^;
英語とほかのヨーロッパ語との 2か国語辞典をみるとたいてい mandarine と tangerine の
両方に同じ語が載っています :-)

前にちょっと調べたことがありますが, 学名もまた本によって違います。
植物学関係と園芸関係では同じものにも違う学名を与えていたりするようですし,
同じ植物にいくつも学名があったりします。



柑橘類の学名

にれのや (2003/05/03 01:06)

□Monsieur Maniac.C. めるしぼく。

   (1) Citrus aurantium [だいだい/橙]
■英=bitter orange / sour orange / Seville orange
■露=померанец [パミェ'ラーニェッツ] / кислый апельсин ['キースるイ・アピェり'シヌ] / горкий апельсин ['ゴーリキイ・アピェり'シヌ] / бигарадия [ビガ'ラーヂヤ]

   (2) Citrus sinensis [オレンジ]
■英=sweet orange
■露=апельсин [アピェり'シヌ]

   (3) Citrus reticulata / Citrus nobilis / Citrus deliciosa
■英=mandarin orange / tangerine
■露=мандарин [マンダ'リヌ]

大家、こんな感じで、分類してみるというのはどうでしょう?



res: ダース

Maniac C. (2003/05/02 22:45)

>みかんさん、いらっしゃいまし。
ダースの語源を辿ると、それが解ります。日本語「ダース」の語源は英語の dozen
「ダズン」です。更に英語の語源は古いフランス語の dozeine 「ドゼーヌ」です。
フランス語では12のことを douze 「ドゥーズ」と言いますが、これに形容詞を
造る語尾である -ain が付いたものです。ですから、「ダース」は12なのです。

 では、何故、12個1組なのでしょうか。1つには、12は約数の数が多いので、
物を分けるときには便利だからです。もう1つは、ヨーロッパでの単位は12進法が
多く、身近(?)だったからでしょう。例えば、長さでは1フット=12インチでしたし、
値段では1シリング=12ペンスでしたし、重さでは1ポンド=12オンスでした。

 英語では概数(およその数)を表すのに、単位数を普通はしない複数形にしますよね。
例えば「何百もの〜」なら hundreds of 〜、「何千もの〜」なら thousands of 〜と。
「何万もの〜」と言うときには tens of thousands of 〜と言えるのですが、「何十も
の〜」と言うときには tens of 〜とは言えません。そう言いたいときには、代わりに
dozens of 〜と言うのです。

 実は dozen は、正確に「12」でなくとも良いのです。その証拠に、baker’s dozen
「13個」という熟語が在ります。12前後の数を表すもの、と考えた方が良いでしょう。

 ついでに、なぜ「10」ではないのか、ということもお教えしましょう。日本では、
「指折り数える」ときには親指から順に小指まで折ってゆきますが、そうではなく、
まづ、片方の掌を自分に向けてください。そして、親指で、人差し指の先から下へ、
関節を辿って「1,2,3」と数えてください。次は中指で「4,5,6」。順々に
小指まで数えると、ほうら、「12」になりましたね。(元ネタは下記のHP)
 そう言えば、英語では親指は thumb と言って、他の fingers とは区別されますが、
こんなところにその理由が在るのかも知れません。
 更に、時間や角度の60進法に進むのですが、なぜ「60」なのかと言うと、60は、
12個の約数を持つ最小の数だからだそうです。年がほぼ360日あり、その間に月が
約30日の周期で、ほぼ12回満ち欠けすることが昔から知られています。つまり、
360、30、12、10(両手の指の数)、5(片手の指の数)の公倍数および公約数として
便利な60が、時間の計算に用いられるようになったというわけです。更に天空に
おける太陽の位置がほぼ360日で1周することから、1周の角度が360度と定め
られ、天空が1日にほぼ1周することから、1日が24時間(古代には12時間)と
定められました。こうしますと、天文と時間の計算に便利なんですね。

http://www.kankyok.co.jp/nue/nue11/nue11_01.html



re 英語のg>w 仏語のw>gw>g

Maniac C. (2003/05/02 20:39)

>高駒麗人komaさん
■古期英語の‘g’という綴りは、後母音の間、又は流音と後母音の間に在るとき、
[γ](有声の軟口蓋摩擦音)を表していたと推定されています。
■それが中英語初期に[w]に変化し、やがて語尾の –n, 次いで -e (曖昧母音)が
脱落した結果[w]が母音化し、この際、渡り母音の[o]が生じました。
■ロスケさんの不思議がった、別系統の名詞との幹母音の一致は、類推の結果、
生じたものです。
■このような変化をした主な例を以下に挙げます。
 名詞boga/動詞bu¯gan>bow
 borgian>borrow
 dragan>draw
 folgian>follow
 holh>hollow
 a¯gan>owe
 a¯gen>own(元は上の過去分詞)
 sorh/sorg>sorrow
 tomorrow>to¯ morrgenne
■奥舌音だったものが、流音の調音位置に釣られて前に移動した結果だと思います。

■一方、古仏語のw>gw>gの変化ですが、2月にもそんなお話がありましたね。
島岡茂著・大学書林刊『フランス語の歴史』p.44に以下の記述を見つけました。
「ゲルマン人がロマニアに侵入した5世紀ごろには,古いラテン語の[w]はすでに
[β]に移っており,ガロ・ロマン人はゲルマン語のwを正しく発音できなかった。
調音を奥に引く力が過ぎ,舌と唇の運動を正しく調整できなかったため,wが重音化
してgwになったのである。これはゲルマン系の語に限らず,ラテンに固有の語でも
そうだった: ゲルマン werra>gwerra>guerre『戦争』,wardon>gwardare>gar-
der『守る』; ラテン vadu>gwado>gue´『浅瀬』,vagina>gwaina>gaine『さや』。
後続母音がe,@の場合[g]音を保つため表記上uが残っているが,その他の母音
のばあいは,w音が消えるとともに表記も失われた。その時期はkwのばあいと同じ
12世紀ごろとみなされている。…」
■この記述での新しい発見は、「ゲルマン系の語に限らず,ラテンに固有の語でもそう
だった」という点と、「wが重音化してgwになった」という点。「重音化」というの
が、小泉氏の言う「硬化」なのでしょうかね。



地域

zo- (2003/05/02 18:19)

サースの報道でも、他のニュースでも、例えば8カ国3地域とかいうので、別におかしくはないんじゃないですか?香港、マカオ、台湾など含めて。何らかの統治、行政機構が同じでなければ、区別するのは極普通のことだと思います。でなければ、英領香港だって、イギリスと言わなければおかしかったはずです。



re swallow と scuttle (Part.2)

Maniac C. (2003/05/02 18:18)

■綴りを別にするのが面倒だった?
 ロスケさんは、「一音節の単語ならともかく、『swallow』とわざわざ同じ綴りに
して…」と仰いますが、2音節だからこそ、1音節語より使用頻度が少ないし、
名詞と動詞で使われる場所も異なりますので、同じ綴りでも混乱が無い(=綴りを
変えなければならない必然性が無い)のです。
□古期英語時代は(実は)同じ語源でも、名詞と動詞では発音が違った!
 例えばwater ですが、名詞は古期英語でも全く同じ綴りでした。しかし、動詞は、
(ge)waeterian と、弱変化動詞語尾 –ian の影響で、幹母音は変音(ウムラウト)に
なっていました(swallow の場合は、lの後の子音まで異なっていますので、先日の
説明は騙しではありません、念のため)。
 この違いは、中期英語でae>aとなったため、現代英語までは引き継がれていま
せんが、sale―sell, tale―tell にはこの違いが保存されています。
 名詞と動詞で発音が違うというのは、古期英語には実際よくある現象で、ご存じで
しょうが、food と feed は、幹母音の変音が、現代英語までも残っている例です。
 又、後続母音の脱落時期が早いか遅いかの差で、現代英語で発音が違ってしまった
例としては、life と live や grass と graze が在り、 house や grease は、綴り
はそのままにして発音だけ変えている例です。
 これらが全て、1音節語であることに注目してください。
□現代英語の‘-ee-’と‘-ea-’
 現代英語では、発音はどちらも同じ[i:/e]ですが、中期英語時代は各々、狭い
エと広いエの長母音を表す綴りでした。それが近代英語時代になって同じ狭いエに
合流してしまうと、この綴りの違いを、積極的に1音節語の識別に利用することに
なります。1音節語は使用頻度が高く、名詞と動詞の使われる場所は異なりますが、
言ったり聞いたりするときには区切り(pause)などで判別できても、書かれたもの
ではその手掛かりが有りませんので、同じ綴りでは混乱が生じてしまうのです。
 以下に少し例を挙げましょう。他の例も御自分で探してみてください。
 been(動詞)―bean(名詞)
 heel(名詞)―heal(動詞)
 meet(動詞)―meat(名詞)
 reed(名詞)―read(動詞)
 see(動詞)―sea(名詞)
 steel(名詞)―steal(動詞)
 どちらの綴りがどちらの品詞、と決まっているわけではありませんが、見事に使い
分けられているのがお解りになると思います(上の表では、転成した品詞の方は無視
してありますので、御注意ください)。この見事さの故に、先人の苦労が偲ばれます。
ついでにreadの過去分詞も、中期英語では red という綴りでしたが、名詞・形容詞
の red と紛れないように、意味の方が優先され、原形と同じ、今の綴りに変えられ
ました(中期英語の過去形はredde)。
■類推
 言うならば「百姓綴り」とでも言うところでしょうか。記憶負担の軽減のため、
似た発音・同じ発音なら同じ綴りで良いだろう、という大衆の力は強いものです。

 さて、問題の scuttle ですが。
中期英語時代は、まだ動詞語尾が生きていましたので、名詞と動詞との区別の問題は
有りません。動詞同士でも、 scottlen (急いで行く)と scottellen (小穴を開ける)
で微妙に発音が違っていました。特に仏語由来の後者は、初期には強勢も第2音節に
有ったろうと思われます。この強勢が英語式に語頭に移った影響で、第2母音が弱化
して脱落し、前者と発音が同じになってしまったのです。しかし、前者は away や
off と使われることが多く、一方、後者は船や計画に関して述べられることが多い、
と明らかに使われる状況が違いますので、混同される懸念は無用でしょう。名詞に
しても同じです。「室内用石炭入れ」なぞ現代ではあまり見かけないでしょうし、
本来の意味である「浅い籠」は英方言で、一般的には使われないでしょう。「自動車
の機関覆いと車体との区切り」に至っては専門用語です。「舷窓」や「昇降口(の蓋)」
は、動詞同様、船に限定されますし、「(蓋付きの)天窓」は米語のようです。「急ぎ足」
は、多分、形式動詞+形容詞+名詞のような、群動詞の形で使われるでしょう。同綴
同音異義語でも何ら問題無し、と考えます。
 使用頻度の低い2音節語であるからこそ起こったことなのでしょうね。



re swallow と scuttle (Part.1)

Maniac C. (2003/05/02 18:17)

>ロスケさん
>毎度Maniac C. さんの学識には感服させられます。
→いやあ、お世辞を有難う存じます。私の場合、「見識」なぞというものではなく、
書物やHPの孫引きだけですので、却ってお恥づかしく存じます。
>本来系統の違う単語であったという動詞swelganと名詞swealweが同じ「swallow」という単語になる動機はどんなことが考えられますでしょうか?。
→難問ですね。「動機」=「或る場面で、その人(この場合は英国民か、M.C.)の行動
を決定する意識的または無意識的原因」(広辞苑)と言うほどのものではありません
が、私の「見識」の範囲内で、考え得ることを以下に述べます。

■中期英語時代の混乱
 所謂「諾曼人の征服」によって、英国民は公的な場では仏語を話すことを強制され
ました。当然、学校教育でも仏語が使われ、読み・書きは仏語になり、英語は家庭で
聞き・話すだけになるわけです。そうすると、それまでの古期英語の伝統が失われ
ます(教育が言語の変化を押しとどめる強力な力になる、ということについては、
今更ここで述べる必要もないと思います)。
 諾曼人の影響が弱くなって、英国民が自分たちの話し言葉で思想を書き表そうと
したときには、各地方で発達した方言形を仏語式の綴りで書くしかなくなっていた
わけです。その書き方が、「活版印刷」の発明で綴りが統一されるとき、学問的な
裏づけも何も無く行われたために、外国語として英語を学ぶ我々が「何故、この綴り
にこの発音?」と訝しむような単語が出て来るわけです。
□実際、中学校で習う基本的な単語には、綴りはこちらの方言のものだが、発音は
あちらの方言のものだ、というものが在って、そういうことを知ると、何か複雑な
気持ちになります。
 例えば、bus では[Λ]なのに、busy では[@]となり、更には高校級の単語ですが
bury では[e]となるのは、[Λ]の発音と u の綴りが中西部・南部方言なのに、
[@]の発音は中東部方言、[e]の発音は南東部方言だからです。更にこれが bush
では[u]になるというオマケつきです(中期英語時代は前3者と違う発音でしたが、
中・高生がそんなこと、知るもんですか!)。





zo- (2003/05/02 18:13)

量詞の首、比較的古くは『史記』あたりから見えるみたいですね。詩歌だけではなく、文章を数える時にも使ったみたいです(どの辞書を引いたか忘れてしまいました)。先秦には一般的には量詞はなかったといわれているので、漢代あたりから増えていったんでしょうけど、『魏晋南北朝量詞研究』にはでておらず、量詞になる前の姿がどういうものだったかは、分かりませんでした。



ダース

みかん (2003/05/02 17:12)

12個セットで何で「1ダース」と言うのでしょうか?
どうして12個なのか?どうして「ダース」と言うのか?
どんなに調べてもわかりません。
どなたかわかる人、教えていただけないでしょうか?



Re:SARS 追記

きしろふ (2003/05/02 15:36)

マカオ(澳門)もどうなんでしょうか???



Re:SARS

きしろふ (2003/05/02 15:34)

>高駒麗人komaさん
>「NHKでは『新型肺炎』、民放では『サーズ(SARS)』のようです。」
なるほど、そうですか。さすがNHKってところですね(何が!? ^^;)
>「『廣州政府』『上海政府』と言う中国式言い方はしていませんが、香港については『香港政府』とは言っています。」
う〜ん・・・、日本は香港が中国に返還(1997年7月1日)されても中国とは行政や法律が違うから(先日申しました「一国二制度」のこと)、独立国みたいな扱いをしているんでしょうか?
あっ、でもそうなると台湾は・・・??



Re: 鼻音化

massangeana (2003/05/02 14:54)

>「非鼻音化」であれば(中略)漢語では日常茶飯事の柳家小三治です。
異なる方言・異なる時代について起きた現象を同一視することはできませんし,
規則的な推移と個別の語についておきた現象を同一視することもできません。



Re: 首

massangeana (2003/05/02 14:52)

>「首」を動詞として使った「自首する」という熟語は、「自ら申し出る」という意味
結果としてそうかもしれませんが, 罪を白状する場合にのみ使うようで, 詩歌を数える
「首」とはあまり関係ないのではないかと思います。声調も異なります(「自首」の首は
去声, 「あたま」や詩歌を数えるときは上声)。



鼻音化 新型肺炎報道における香港と中国

高駒麗人koma (2003/05/02 14:27)

訂正
「肯」kenは日本語音で「こう」であるように本来 keng でしょう。「鳥」diao>niao、「秘」bi>miは非鼻音化(×)→鼻音化の珍しい例です。

「非鼻音化」であれば、「万」等のm>b(>v>w)、「日」等のn>r(z、y)、「五」等のng>g(福建語)等、漢語では日常茶飯事の柳家小三治です。

Maniac C.さんへ
日本語のハ行について資料紹介有難う御座います。Tante Grazie.
>http://www.biwa.ne.jp/~ichhan-j/paline/paline(contents).htm

きしろふさんへ
NHKでは「新型肺炎」、民放では「サーズ(SARS)」のようです。一国二制度にしても大陸中国と香港が一国内なら、「中国で感染者…人、香港で…人、台湾で…人」という分類は変でしょう。日本の媒体は、非典型肺炎の新聞(ニュース)でも「廣州政府」「上海政府」と言う中国式言い方はしていませんが、香港については「香港政府」とは言っています。

>一方、動詞のswallow は、古期英語では swelgan と綴られました。
これはMaria Schubiger「Einfuhrung in Die Phonetik」(小泉保譯「新版音声学入門」)に例として挙がっていました。warとguerr、WilliamとGuillaumeのw>gような舌根軟口蓋接近音wが閉鎖音gになる例の逆でしょうか。swallowはg>wの例ですが、「五」「我」等のng声母が福建語 g を経て北京語で w になっているのと似ています(ng消滅後wが出現したとの説も)。
余談:小中学生の頃、級友が「ヤクルトスワローズ」「大洋ホエールズ(横濱ベイスターズ)」を「椅子にスワローズ」「狼ホエールズ」等と言っていました。
Vickiこと Zhao Wei(趙薇)のCDには「小燕子 SWALLOW」の文字がありました。
http://www.chiungyao.com.tw/qssymm/
http://hp.vector.co.jp/authors/VA001148/fdai50.htm

http://asiastar-hp.hp.infoseek.co.jp/japanese/zhaowei.shtml



Re:ワルキューレ

らにい (2003/05/02 12:59)

>Maniac C.さん
本当に有難うございました。是非参考にします。
>松茸さん
>「『女神エルダに生ませた娘たち』というのはヴァグナーが創作したものだと思いますが?」
どうやらそのようでした。面目ありません・・・(--;)

ワーグナーの「ワルキューレ」については、
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/1548/ring2.htm
ゲルマン(北欧)神話の「ワルキューレ」については、
http://www2u.biglobe.ne.jp/~valwal/aboutgods.htm
http://www.pandaemonium.net/menu/devil/Valkyrie.html
を参考にしました。



swallow

ロスケ (2003/05/02 04:57)

>名詞の swallow は、古期英語では swealwe と綴られました。
>当時の英語はほとんど表音的でしたから、「スウェアルウェ」と読みます。
>一方、動詞のswallow は、古期英語では swelgan と綴られました。
>発音は「スウェルガン」に近く、違う単語であることが解ると思います。

なるほど明快ですね・・・毎度Maniac C. さんの学識には感服させられます。
ついでに(といってはなんですが)、教えていただきたい疑問が生じました。
もしも逆に「swallow」という単語から動詞swelganと名詞swealweが派生した!ということでしたら分かりやすくて納得できるのですが、本来系統の違う単語であったという動詞swelganと名詞swealweが同じ「swallow」という単語になる動機はどんなことが考えられますでしょうか?。一音節の単語ならともかく、「swallow」とわざわざ同じ綴りにして紛らわしくする理由が私にはどうにも理解できません。
他に「scuttle」の例もあげますが、研究社英和中辞典を参考にすると、
1)(動詞)急いで行く。
2)(動詞)(船底または船側に)穴をあけて(船を)沈める。
3)(名詞)石炭入れ

この3語がscuttleという同じ単語になる必然性がどこにあるのかなと・・・・思うわけです(^^;

#どなたでも結構ですから教えてください。



各国語の「マンダリン」(欧州編)

Maniac C. (2003/05/02 03:18)

>師匠
■取り急ぎ、こんなもんです(アルファベット順)。
 アルバニア語 mandarine¨
 バスク語 mandarina
 ブルガリア語 mandarin, mandarina
 ブルトン語 mandarin
 チェコ語 mandari´nek, mandari´nka, mandari´n
 デンマーク語 mandarin
 オランダ語 mandarjin, mandarjintje
 フィンランド語 mandariini
 フランス語 mandarine
 ドイツ語 Mandarine
 ギリシア語 mandari´nos, mandari´ni, mandari´nia
 ハンガリー語 mandarin, mandarinfajta
 アイルランド語 mandari´ni´
 イタリア語 mandarino
 ラトヴィア語 mandari¯ns
 リトワニア語 mandarinas
 ノルウェー語 mandarin
 オック語 mandarina
 ポーランド語 mandarynka, mandaryn
 ポルトガル語 mandarim, mandarina, tangerina
 ルーマニア語 mandarina~
 ロシヤ語 mandarin
 セルヴォ・クロアチア語 mandarin
 スロヴァキア語 mandari´n, mandari´nka
 スロヴェニア語 mandarin
 スペイン語 mandarina
 スウェーデン語 mandarin
 トルコ語 mandarina
 ウクライナ語 mandarin



re:ワルキューレ

松茸 (2003/05/02 01:43)

> ちなみに「ワルキューレ」はゲルマン(北欧)神話に出てくるもので、主神ヴォータンが女神エルダに生ませた娘たちのことを指します。
……ヴァルキューレがオーディン(ヴォータン)の娘というのは『古エッダ』にも出てきますが(王族の女性がなる、といった別設定もある)、「女神エルダに生ませた娘たち」というのはヴァグナーが創作したものだと思いますが?



日本語の色の名

kasumi (2003/05/02 01:07)

rinoさんの色名の件ですが、入手しやすいのは『日本の269色』(小学館文庫/2002)でしょうか。文庫で詳細なものは『日本の伝統色−その色名と色調』(長崎盛輝/京都書院/1996)でしょうか。『和の彩りにみる色の名の物語』(木村孝/淡交社/2001)着物などの写真(世良武史)が添えられてあっておすすめです。
現在入手可能かどうか確かめていませんが『色の手帖』(尚学図書編集/小学館/1986)も歴史的な考証のしっかりした本です。



re ヴァルキューレ ヴァルハラ

Maniac C. (2003/05/02 00:12)

>らにいさん
■そうですね。「とりあえず意味を知りたかったので、これで結構でございます。」
 とのことでしたので、「中間を端折って結論だけ、お伝え」したのでしたね。
 では、今回は中間を端折らず、詳しくお伝えしましょう。
■「ヴァルキューレ」も「ヴァルハラ」も、前半の「ヴァル」は古ノルド語 valr
 (=英 the slain)が語源で、これは印欧祖語 *wel@- (= to strike, wound) に
 遡ります。ご存じでしょうが、slain は to slay 「打つ・叩く・殴る→殺す」の
 過去分詞であり、《the + 形容詞》で、人を表す集合名詞になります。つまり、
 「殺された者たち→戦死した勇者たち」の意味になります。
■「ヴァルハラ」の後半の「ハラ」は、英語の hall ですから、「英霊たちの招かれ
 る大広間」という意味になります。
■「キューレ」は「選ぶ者」の意味です。ドイツ語 Kuer は古語ですが、「(皇帝を
 選ぶ)選挙」の意味で、接尾辞 -e は、Der Freischuetze「魔弾の射手(古形、
 現代語では –schuetz が普通)」のように、行為者を表します。英語では chooser
 に当たる言葉です。ドイツ語のkが英語で ch になるのは、ウムラウトの影響で
 口蓋化したためで、他にも、「教会(church)」がドイツ語では Kirche 「キァヒェ」
 のままになっていたりします。さらにドイツ語(本途は古ノルド語)のrが英語で
 z になるのは、「ロータシズム」という古い音韻現象で、sの有声音がzではなく
 rになるというものです。
■この「ロータシズム」という古い音韻現象が解ると、全く違うような英単語同士の
 関係が判って非常に面白くなります。例えば、be動詞の was と were がそうであり、
 また、比較級と最上級の –er と –est もそうです。英語の iron がドイツ語では
 Eisen になるのも同じです。
■ちなみに、「ヴォーダン」は「霊的に啓発された詩人、予言者」の意味で、「ゲルダ
 (Gerda)」は、gardian 「保護者」の意味だそうです。



オー!レンジ

にれのや (2003/05/01 22:56)

■Maniac.C さん、おみごと。プリントアウトして利用したい。
お願いがあります。mandarin(e) 系をぜひ加えてください。
それと、naranga (L群) に、ゲルマン語形があったのを、どこかの語源の記述で見たのですが……



ワルキューレ

らにい (2003/05/01 22:14)

私が始めて質問したことのなかに「ワルキューレ」についても質問したことがありましたが、少し細かいが分かりました。
「ワル(Wal)」は「戦場」、「キューレ(kure。但し、「u」にはウムラウトがある)」は「選ぶ」という意味らしいです。よって、「勇敢な戦死者をヴァルハラへ連れていく娘たち」ということのようです。
ちなみに「ワルキューレ」はゲルマン(北欧)神話に出てくるもので、主神ヴォータンが女神エルダに生ませた娘たちのことを指します。



res: ビューラー 首

Maniac C. (2003/05/01 22:12)

oniricoempiricoさんへ
どちらも確実なところは判りませんので、想像で申し上げます。

■ビューラー
 和製英語「ビューティーカーラー」を縮めて「ビューラー」と言うのではないでしょうか。

■首
 漢和辞典で意味を調べてみました。すると、名詞「かしら」→頭は先頭に在るから→「はじめ」
 →動詞「はじめる」→「行動を起こす」→「(はじめて)言い出す」→「申す・つげる」という
 意味の有ることがわかりました。ここから、「言い表したもの」というような意味で、漢詩・
 和歌を数える単位に「首」が使われるのではないでしょうか。ちなみに、「首」を動詞として
 使った「自首する」という熟語は、「自ら申し出る」という意味だそうです。



Re:バツ

未菜実 (2003/05/01 21:41)

堀井令以知の語源大辞典(東京堂出版)によると、
バツ
その場の都合、調子。バツゴウ(場都合)の略か。バツ(跋)の意からとの説もある。
書物のあとがき、むすびの意が転じたものか。
とあります。
また、松村明の江戸ことば東京ことば辞典(講談社学術文庫)でも、場都合説を採っています。



始めまして。

せつようこ (2003/05/01 21:22)

とても興味深いHPですね…。
ところで少し聞きたいことがあるのですが。どなたか知っている方がいたら、ちょっと教えて欲しいんですけど。
あの、よく「バツが悪い」というじゃないですか。
この「バツ」の語源とは一体なんでしょうか?
良ければ回答お願いします。



色の名前の歴史

rino (2003/05/01 16:03)

初めて利用させていただきます。現在オーストラリアで歴史言語学を学んでいます。色の名前についてが専門なのですがなかなか日本語の色の名前の歴史について書いてある本が見つかりません。ご存じではないですか?



各国語の「オレンヂ」(欧州編)

Maniac C. (2003/05/01 12:25)

欧州でのオレンヂの言い方を整理してみました。地図を片手にご覧ください。
sweet orangeかbitter[sour] orangeかは無視してあります。
尚、今回に限っては、皆さんに見ていただきたいので、いつもの漢字表記は
(一文字で書けて便利なのですが、混乱しそうですから)やめて、最も一般的
と考えられるカタカナ表記にしてあります。

■S群(サンスクリット語narangaに由来する)
 ポルトガル語 laranja
 カスティーリャ語 naranja
 アラゴン語 narancha
 バスク語 laranja
 フランス語 orange
 ブルトン語 oran~j
 イギリス語 orange
 オック語 aurenja
 イタリア語 arancia
 ドイツ語 orange
 オランダ語 oranje
 ポーランド語 Oranz~
 ハンガリー語 narancs
 スロヴェニア語 Oranz~evec
 クロアチア語 narandz~in
 セルビア語 narandz~a
 ギリシャ語 nera´tzia
 …ほぼ欧州全体に広がっています。

■G群(ゲルマン系apel+ラテン語Si¯nae)
 アイスランド語 appelsi´na
 フリジア語 sinesappel
 フラマン語 appelsien
 オランダ語 sinaasappel
 ドイツ語 Apfelsine
 デンマーク語 appelsin
 ノルウェー語 appelsin
 スウェーデン語 apelsin
 フィンランド語 appelsiini
 エストニア語 apelsini
 ラトヴィア語 apelsi¯ns
 リトワニア語 apelsinas
 ロシヤ語 apel'sin
 ウクライナ語 apel'sin
 …中欧から北欧、ロシヤに広がっています。

■L群(ラテン系pome+イタリア語arancia)
 オランダ語 pomeranse
 ドイツ語 Pomeranze
 ポーランド語 pomeran~cza
 チェコ語 pomeranc~
 スロヴァキア語 pomeranc~
 スロヴェニア語 pomeranc~a
 クロアチア語 pomorandz~a
 セルビア語 pomorandz~a
 …中欧から東欧にかけて広がっています。

■P群(ポルトガルに由来する)
 ルーマニア語 portocala~
 ブルガリア語 portocal
 アルバニア語 portokalle
 ギリシア語 portoka´lia
 トルコ語 portakal
 グルジア語 portoxali
 …主に南東に偏っています。

■上記4群以外
 カタルーニャ語 taronja
 ブルトン語   aouraval(aour=or, aval=apple)
 アイルランド語 flannbhui´croice´ine(十字軍のオレンヂ)
 ウェールズ語  ca´mala(ヒンディー語由来)

■上で、オランダ語とドイツ語が各3回登場していますが、下記のHPによると、
 Apfelsinen = Citrus
 Orangen  = Citrus Sinensis = süße Apfelsinen
 Pomeranzen = Citrus Aurentium = saure Apfelsinen
 という使い分けのようです(ドイツ語の形は複数形)。つまり、初め、Apfelsine が
 伝わったときには区別する必要が無かったのが、後から甘い種類の Orange が伝わって
 区別する必要が生じ、同じ Naranga に由来する異形の2語を各々に当てた、という歴史
 的経過を辿ったのでしょう。
 この使い分けがこのままオランダ語にも適用できるかどうかは少々不安ですが、
 取り敢えずこれで、松茸さん(4/28)に指摘された対応のズレは解消できると思います。

■また、Pomeranzen は、10世紀頃、アラビア人によって地中海地域へ持ち込まれ、
 Orangen は、15世紀にジェノヴァの商人によって持ち込まれた、ともあります。
 (師匠[4/29]、ヴェネツィアではなかったですね)
■更に、青蛙さん(4/30)の仰る「液果(漿果)」に相当する語 Beere が。実はこのHP、
 英・独・仏・西・伊と5版が在り、各々微妙に内容が異なるのですが、独語版以外には
 更に詳しく、「液果(漿果)」の一種の hesperidium (英語)「みかん状果・柑果」である、
 との説明が書いてあります。
■尚、pomme de Sine での検索には、下記6件のHPが引っ掛かりました。
 www.ilg.uni-stuttgart.de/oehl/Kurse/ WiSe02-03/S2Semantik/HA1LsgZus.doc(ドイツ語)
 www.zoz.nl/oranje-kids/okior.htm(オランダ語)
 www.etymologie.info/etland/etlandit.html(ドイツ語)
 www.1c.ru/ist/t-sys/af_bor/01-auto.htm(ロシア語)
 www.stud.ntnu.no/~krisha/ordforklaring/ appelsinsmaabonde.htm(デンマーク語)
 www.dbnl.org/tekst/_taa001taal03/_taa001taal03_013.htm(オランダ語オーフェルアイセル方言)
http://encarta.msn.de/find/Concise.asp?z=1&pg=2&ti=761561109



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