言葉の世界・伝言板 2001年4月



ありがとうございました。

tituba (2001/04/30 23:23)

字源と語源を混同してましたか。
ちょっと恥ずかしいです。

ただ、漢字には字源と語源があるのならば、
私は断然語源に興味を感じます。
全ての漢字に語源があるのでしょうか?
また、字源と語源ではどちらが先にあったのでしょう?

漢字の語源について面白い書籍などあれば教えて下さい。



グリムの法則(佐藤さんの補足)

田邉露影 (2001/04/30 22:35)

実はグリムが発見したんじゃなくてラスクが発見したんです。
でもラスクはマイナー学者だったので、
グリムの発表まで誰も見向きもしなかったとか。

この法則、k - h の対応のほかにも色々とありまして、
羅列してみると
 bh, dh, gh が b, d, g に
 b, d, g  が p, t, k に
 p, t, k  が h, th, h に
という対応がゲルマンでは見られるそうです。
当時の人、けっこう耳悪かったんですね(笑)。
あ、ジョークですよ、ジョーク。

さて問題、ではなぜラテン語・サンスクリット語の sept- は
英語では seven になったんでしょう?



字源 と 語源

未菜実 (2001/04/30 18:36)

字源と語源の混同ではないですか?

大辞林によると
字源(じげん)
個々の文字の起源。例えば、漢字「洞」の字源は「水」と「同」、片仮名「イ」の字源は「伊」、平仮名「い」の字源は「以」とする類。

語源(ごげん)
ある単語が、その形や意味で使われるようになるもとの形や意味。また、音韻と意味が結合した由来。

ご質問の、
 ハ+ム の方が字源
 gong の方が語源
になると思います。



漢字について漢字について

tituba (2001/04/30 15:40)

漢字は表意文字ですよね。例えば『漢語林』(大修館書店)によると、「公」という字は、「八」の部分は通路の象形で、開くの意味。「ム」の部分はもとは「口」で場所を示します。みなが共にする広場のさまから、おおやけの意味を示しています。対して、中国音韻学の藤堂明保さんによれば「公」はgongと発音し、筒の中に異物が入っていなくてコーンと音が出るような日本語でいえばからりといった擬音がもとになっているそうです。どちらの語源が正しいのでしょうか?漢字とはいったいどのようにして出来あがったのでしょうか?教えて下さい。





佐藤和美 (2001/04/30 12:45)

「犬儒主義」って何?
「シニシズム」の訳語でした。
「犬儒主義」は死語かな?
「シニック」なんてのもありましたね。

「羅和辞典」(研究社)では「canis」は「commmon gender」となってます。

英語では「hound」がラテン語「canis」と同語源のようですね。
(「英語語源辞典」(研究社)による。)
そういえばグリムの法則なんてのがありました。
「hound」の「h」と「canis」の「c」で全然違うじゃないか。
でも大丈夫、グリムの法則で説明できます。

『大辞林』
グリム-のほうそく【―の法則】
インド-ヨーロッパ祖語からゲルマン語が生じる過程にみられる、三系列の子音群の音韻変化の法則。グリム(1)が1822年に「ドイツ文法」の中で発表。

UEJさんの「コトバ雑記」の「とんがりコーン」から引用させていただきます。
「ラテン語系の「C」はしばしばゲルマン語系の「H」に対応しますが、英語やドイツ語で「角」を意味する単語「horn(ホーン)」や「Horn(ホルン)」も「corn(=角)」の仲間。「Matterhorn〔独〕(マッターホルン)」のような尖った山の名、「Alpenhorn〔独〕(アルペンホルン)」のようなラッパ状の楽器の名に使われます。車のクラクションのことを「horn(ホーン)」とも言いますね。」



犬 再び

くまのぱぱ (2001/04/29 03:31)

perro perra ともにポルトガル語でも 犬 の意味があるようです。

一方、cao (雄)犬
   cadela (雌)犬、<口語>ふしだらな女
だそーです。

ブラジル(ポルトガル語圏)には、perreiro 猟犬の世話係 というのが
あるようです。ポルトガル・ブラジルに多い、ペレイロ・フェレイラなどの姓は
ここからきたんでしょうかね。 
 日本にも「犬養」さん(犬養部=いぬかいべ)がいますね。

やはりヨーロッパには牛(caw,ox,bull・・・)と同じように犬にも
いろんなコトバがあるのでしょうか?



ドンタク

佐藤和美 (2001/04/28 18:09)

『大辞林』
ドンタク
〔(オランダ) zondag(日曜日)から〕
(1)日曜日。「一六の―に/安愚楽鍋(魯文)」
(2)休日。「毎日在宿―なし/安愚楽鍋(魯文)」
(3)「博多ドンタク」のこと。[季]春。

「ドンタク」は「博多ドンタク」、「半ドン」などに使われてます。

今日、気がついたんですが、オランダ語「zondag」って、英語「Sunday」と同語源だったんですねぇ。

zondag
Sunday

似てますねぇ。(あたりまえか)



蛇足:楚の荘王について

未菜実 (2001/04/26 09:44)

蛇足です。^^;

楚の荘王は「3年鳴かず飛ばず」の後、覇王になり「牛耳を取り」ました。
そして、何と言っても有名なのが、周王朝に対し「鼎の軽重を問う」たのです。

宣伝になりますが、私のHP(http://www.geocities.co.jp/Bookend/4373)の
春秋戦国 その1、その2 を参考にして下さい。(^_-)



RE 食指が動く

フジケン (2001/04/25 23:10)

ありがとうございました。
素晴らしい答えですね!
スッポンでした。
私もここまで知りませんでしたので勉強になりました。



食指が動く

未菜実 (2001/04/25 23:03)

「楚」の荘王が絡む話です。
荘王は、ある日大きなスッポンが獲れたので「鄭」の霊公に贈りました。
そこで霊公は部下達を召集します。
子公は召集された時、「食指(人差指)が動くからきっと美味しい物にありつけるぞ」と子家に話しながら登城しました。これが「食指が動ごく」の語源なのです。

ところが、その話を聞いた霊公は気に入らなくて、子公に食べさせずに追い返してしまいます。
立ち去る時、子公は指でスープをなめて帰りました。
それを見て激怒した霊公の様子から、子公たちはこのままでは殺されると逆に霊公を殺してしまいました。
う〜ん、食べ物の恨みは恐ろしい!

食指が動く:(鄭の子公がひとさしゆびの動いたのを見て、ごちそうになる前ぶれだと言ったという故事から)食欲がきざす。また、広く、物事を求める心がおこる。
食指を動かす:自分のものにしたいという気をおこす。欲しがる。



初めまして。

フジケン (2001/04/25 22:49)

困っています。
『食指を動かす』という言葉の語源となった動物はなんだったでしょうか?
忘れてしまい、思い出せません。
御存じの方いらっしゃいますか?



チパ

佐藤和美 (2001/04/25 21:18)

アイヌ語「チパ」(小さい)ですが、以下の辞典には載っていません。

田村すず子「アイヌ語沙流方言辞典」草風館
中川裕「アイヌ語千歳方言辞典」草風館
萱野茂「萱野茂のアイヌ語辞典」三省堂

「チパ」(小さい)は幽霊アイヌ語(存在しないアイヌ語)である可能性が高いでしょう。



Re: 犬

massangeana (2001/04/25 13:16)

しばらくこなかったらだいぶ盛況なようで...

ポルトガル語とフランス語の形はどちらもラテン語の canis から来ているので,
似ていて当然です。むしろスペイン語の perro みたいに全く違う形の方が変。

風間喜代三「ことばの生活誌」(平凡社選書, 1987) に印欧語族の「犬」の形に
ついていろいろ書いてあります(ただし, あまり言語学的な説明はありません)。



犬の名前

くまのぱぱ (2001/04/25 06:48)

青蛙さん、回答有難うございます。
犬種名といえば、前回のシャン・ダルトアは「小さい猟犬」という意味だそうです。
ということは、日本の柴犬の名称の由来のひとつ
 チバ('小さい'のアイヌ語)+犬
 (他に 「枯芝色の犬」 もあります)
と同じですね。
ところで、「チバ」=小さい であれば
小柄な人をあらわす「ちび」も同じ語源なんですか?



メールじゃないですね

sippo (2001/04/23 04:09)

メールではないですね。すみません。始めての書込みなので。これからもよろしく?



はじめまして

sippo (2001/04/23 02:24)

突然ですが始めまして。
少し前から,esamanさんとnupkesさんのやりとりを、
聞かせていただいたアイヌの一人です。

nupkusさんにぶしつけな質問なんですが,アイヌ語は貴方のものですか?
アイヌ一人一人のものですか?アイヌ語を勉強したいと思った理由は何ですか?
もしもよかったら、教えてください。

自分は,アイヌ語を全然知りません。今はすこし前とは違いアイヌ語を習う場所も,勉
強する場所も,随分増えたとは思うのですが,アイヌが一人で自発的にアイヌ語教室な
んかに、おいそれと行ける状況ではまだないと思いますが,あなたはでてこないアイヌが
誰一人いないということですが、どういうことでしょうか?私は,あるアイヌ語教室で
アイヌ語の勉強をしていますが、その教室は僕の他にもアイヌはたくさん来ています(沢
山来ているといっても和人のほうが多いくらいですが)。

言い方が汚いですけど,言わせてもらいます。
勉強する気があるアイヌはいるかですって? とても不思議でどうしょうもない質問に
聞こえてしようがありません。例えば,今北海道で,幾つのアイヌ語教室があるのか,知って
いますか?その教室にアイヌの人が何人くらいいるのか知っていますか?アイヌ語弁論大会と
いうものが毎年開かれていることを知っていますか?その大会に出場している人の殆どが
アイヌです。しかし、まだ出場者が自分で考え自分のアイヌ語で弁論できているとは言え
ませんが(しかし、出来ているひともいると思いますが)、年々出場者はアイヌのほう
からも増えていると思います。

簡単に半分決め付けた言い方はやめたほうがいいです。不愉快でしょうがありません。

そのresaknay氏という人はどこでアイヌ語講座なり,アイヌ語教室を開いてい
るのでしょうか?ぜひとも教えてください。

最後に、ウタリ協会式とは何の事ですか?馬鹿にしているように聞こえてなりません。
あなたの習っているアイヌ語は何式なのですか?簡単に否定するのも結構ですが,あなたの
アイヌ語がなぜ正しいといえるのですか?

nupkesさんの言っていることがあまりにもまわりの事をよく見ないで勝手に話し
ているようなのでこんな判りにくくて変なメールを送ってしまいました。ごめんなさい。



re:「プロキオン」

青蛙 (2001/04/23 00:22)

くまのぱぱ さん:
> 星の名前 の子犬座プロキオン ですが
> プロ+キオンでしょうか

おっしゃるとおりです。「キオン」はギリシア語で「犬」
のことです。ただしここでは、おおいぬ座のシリウスを指
しています。キオン星(シリウス)より前に昇るのでこの
名がついたといわれています。
佐藤さんが「星の語源」で説明しておられたアルデバラン
とは逆のシチュエーションですね。

そういえば、アライグマの属名が Procyon でしたね。
その上位のアライグマ科は Procyonidae。



「プロキオン」

くまのぱぱ (2001/04/22 06:43)

始めて投稿させていただきます。
星の名前 の子犬座プロキオン ですが
プロ+キオンでしょうか。
プロ  前に
キオン 犬?
ちなみに犬種名には「キオン」の類縁語?が多くあります。
カオ・デ・カストロラボレイロ、カオ・デ・アグア 他(ポルトガル)
シャン・ド・ラトラス(モロッコ->フランス語)、シャン・ダルトワ(フランス)
等々です。
ところで、フランス語ではたしか「シャ」は猫? ラングドシャ猫舌なんてお菓子がありますね。



RE:「正しい民族語」の持つ政治的意味について

nupkes (2001/04/20 20:50)

>「誰の為のアイヌ語か?」という視点には、
>「誰の為の正しさか」「何の為の正しさか」が大切な点かと思います。

正しさに、誰の為などということがあるのでしょうか。また、正しいアイヌ語で、アイヌにとって不利益があったのでしょうか。
 たとえば、田村辞書や中川辞書は、正しいアイヌ語を目指したものだと思うのですが、どのような点で「正しいアイヌ語」が、アイヌにとって不利益だったのでしょうか。
 また、アイヌのためになるかどうかは誰が決めるのでしょうか。あなたですか、ウタリ協会ですか。また、基準は何なのですか。

>彼の活動が当事の多くのアイヌにとってどれほどの「実益」があったかは判りませんが

 言語学に、「実益」を求めるとは驚きです。言語学は、それを必要とする人にとってだけ、役に立つだけのものです。わたくしは、知里の辞書にはお世話になっています。その辞書を必要としない人に、何の利益があるのでしょうか。あなたは、知里にどのような「実益」が有ればとおもったのですか。

>「空知でおこったこと」を、その本を読んで内容の正しさを問う、
>などという話しではなく(間違いの内容自体よりも、「誰のためか」が知りたいのです)

 誰のために? 彼ら、個人のためにです。どのような事を期待しているのですか。
空知地方史研究協議会は、空知の市町村史関係者、郷土博物館、学芸員、大学教師、校長などなどから成り立っています。約3年ごとに、空知教育局から、補助金をもらい、本を出しています。
 本は、空知の文学、空知の遺跡、空知の歴史、空知の民話などです。今年は、空知の鉄道関係の本を出しています。
 たとえば、空知の民話で、美唄関係の民話として知里の本から、ピパについての民話をのせていますが、美唄市とは全く関係の無いものです。このため、本来は、美唄とは関係のない話が、空知郷土史研究協議会のせいで、美唄の民話として扱われています。
 ですから、今回の本で、2回目のアイヌ文化の破壊となります。
 彼らのなかに、アイヌ語やアイヌ語地名を理解しているものは、1人もいません。それなのに、アイヌ語地名の本を書いてしまったのです。

>アイヌを育むことに協力が欲しいものです。

 なにを言っているのですか。勉強する気があるアイヌの方は、いるのですか。resaknay氏のところに、誰一人訪ねてきませんよ。また、手紙すらありません。
 はぐくむことを期待するのなら、自分から教わりに行く気は無いのですか。



ちょっと訂正します

kumanesir (2001/04/20 15:13)

kumanesirです。

>使い勝手等は、どうなるかわからないですが、要望とかしない限りは、キーボード
>で打ち込んで簡単に表示できるスタイルにはならないような気がします。

この部分ですが、訂正します。
Word 2000であれば、「挿入」-->「記号と特殊文字」の「ショートカット」で
キーボードからの打ち込みのカスタマイズができそうなので、ある程度は、自分
で、自由に設定して打ち込める環境は作れそうです。

http://sapporo.cool.ne.jp/kumanesir/



ちゅらさん

佐藤和美 (2001/04/19 21:10)

「チュラサン」(2001/01/27 08:25)佐藤和美wrote
>四月からのNHKの朝の連ドラの題名は「ちゅらさん」
>沖縄方言で「美しい。きれいである。」
>今度の舞台は沖縄ですか。

「ちゅらさん」ですが、
西岡敏・仲原穣「沖縄語の入門」(白水社)で以下の記述を見つけました。

代表的な沖縄語のひとつ、「チュラサ」(終止形はチュラサン)は<美しい>という意味で、ヤマトの「清(きよ)らさ」とつながっています。三母音の原則からすると、「きよらさkiyorasa」はキユラサとなるはずですが、実際にはチュラサchurasaですし、また「時toki」もトゥチtuchiになっています。このように、ヤマトのkにchが対応している例はたくさんあります。これは、沖縄語とヤマトの言葉との歴史的な関係を反映しているらしいのです。沖縄語ではかなり昔にケがキに変化したと考えられるのですが(エ→イの母音変化)、そうなると、ケから変化したキと、もともとのキとが一緒になってしまいます。これを避けるために、もともとのキの子音kがchに変わったのではないかと推定されるのです。
 このように母音iの前後で子音が変化することを「口蓋化」といいます。kがchになる以外では、gがj、tがch、dがjになります。
 クギkugi<釘>→クジkuji
 シタshita<下>→シチャshicha
 アシダ'ashida<足駄、下駄のこと>→アシジャ'ashija



はじめまして

kumanesir (2001/04/19 12:22)

初めて投稿します。
kumanesirといいます。

poronupさん、wrote
>小文字のカタカナのJISコードが制定されたそうですが、まだ普通には
>使えないのでもどかしい思いです。

そうですね。Unicode3.2に、ce, tu ,p(合成文字として扱われそう)以外の
アイヌ語用カナ小文字が文字コードとして採用されたので、すくなくとも、
2〜3年後には、WindowsやMacには実装されることと思います。
使い勝手等は、どうなるかわからないですが、要望とかしない限りは、キーボード
で打ち込んで簡単に表示できるスタイルにはならないような気がします。

なお、新しいJIS、JIS X0213:2000に基づいたShift_JIS X0213符号化方式に
基づいたフォントの紹介を以下のページに作ってみました。
興味ある方は、ご覧ください。


http://sapporo.cool.ne.jp/kumanesir/



「正しい民族語」の持つ政治的意味について

oripakEsaman (2001/04/18 16:08)

「誰の為のアイヌ語か?」という視点には、
「誰の為の正しさか」「何の為の正しさか」が大切な点かと思います。

我々はアイヌ民族ですが、
そもそも民族というのは、血統・言語・宗教・地域によって支配されません。
はっきりいってしまえば、民族とは本来大変曖昧なものです。
ですが、曖昧であるから越境できる、あるいは無視していい、という意味ではありません。

みなさんが、なんとなく日本人であるように、
本来的には、血の濃い薄い、使用言語、生活スタイルに関係無く、
アイヌの子が、アイヌ民族の一員なのであって、宗教や使用言語の正しさによって
「アイヌらしさ」が決定されるわけではありません。
アイヌでないものが、アイヌにアイヌの方法(アイヌ語なりアイヌの風習なり)を教える、
という事態は、ある意味悲劇であります。

確かに、人気のある知里真志保の生き方にはヒロイズムがありましょう。
ただし、彼ような姿勢でアイヌ語に取り組み、英雄となれるのは、
アイヌである知里真志保だけかと思います。
何故かといえば、彼は自身がアイヌであり、間違ったアイヌ語が充満している現状に対し
腹を立て、「アイヌの為の正しいアイヌ語」を目指したのだと思うからです。

といいましても、彼の活動が当事の多くのアイヌにとってどれほどの
「実益」があったかは判りませんが、
とりあえずは、急速に無くなって行く状態で、学者の多くがいい加減なことをしている
状況の中で、孤高な彼の行動は「取り返しのつかない事態への緊急回避」として、
極めて有効であったと思います。

ですが、アイヌがアイヌとしての声をあげ始めて、多少はその数が多くなってはいても、
進む同化の中で、殆どのアイヌがアイヌ語に触れることすらできなくなった現在、
しかも、そこまで同化が進んでも、未だに差別が執拗に残り、
「多少は進んだアイヌの復権運動」に合流する機会すらなくしている多くの
「アイヌの子」がとてつもなく多くいるなかで、「アイヌの為のアイヌ語」を考えると、私は、
最優先すべきは、「正しさ」よりも、「親しみやすさ」であめべき事態なのではないか、
と思います。

なぜかといえば、アイヌにアイヌ語をおしえるのは、
やはりアイヌであることが望ましい、というか、そうでないと意味が半減するからです。
それは、アイヌしは何か、ということを考える上で、とても大切な事です。
民族意識とは、親から子へ、共同体の親から、共同体の子どもへ、
受け継がれるべきものだからです。 本来ならば、ですが。

もっと簡単にいえば、「正しいアイヌ語」を広めるなり追求するなりは、
やはりアイヌがすべきこと、と思うのです。
それは、アイヌが和人に奪われた宝なのだから。
そして、アイヌにアイヌ語に携わる人材がいないわけでもなく、
さらには、間違ったアイヌ語によって、結果として損をするのはアイヌ自身だからであります。
(この部分の「何が損か」を決めるのも、やはりアイヌなんですが)

ですから、多くの和人には、そういうアイヌをもっと育てて欲しいものです。
そのような環境を、もっと作って欲しいのです。

ですから、「空知でおこったこと」を、その本を読んで内容の正しさを問う、
などという話しではなく(間違いの内容自体よりも、「誰のためか」が知りたいのです)、
是非、体験者の人に、お聞きしたいと思いました。
出きれば、どのようなことが起こったか、お教え下さい。

アイヌと和人の関係が、過去も現在も、数の多寡ではなく、対等であるならば、
このような配慮を求めることもないのですが、現在は、まだそのような時期ではありません。
いまの状態で「和人のアイヌ語専門家」の発言は、そのまま政治的発信になってしまいます。
「日本人の英語の専門家」は、そのような政治性は余り持たないでしょうが・・・
この違いを、是非とも御汲み取りください。

願わくば、和人のアイヌ語の専門家(研究者で無くとも、文法がわかるだけでも既に、
多くのアイヌにとっては十分専門家です)に置きましては、
アイヌを育むことに協力が欲しいものです。

http://www.alles.or.jp/~tariq/



R指定

佐藤和美 (2001/04/17 21:23)

R指定のRってなに?

「restricted」のイニシャルでした。
「制限された、限られた」などの意味があります。



失礼

ポロヌップ (2001/04/17 18:28)

本文最初の一行目、「」と書くべきところが崩れてしまいました。
やはりタグを使っての投稿はちょっと不便です。

小文字のカタカナのJISコードが制定されたそうですが、まだ普通には使えないのでもどかしい思いです。



nupkes 様

ポロヌップ (2001/04/17 18:25)

★アイヌ語のカナ表記について

確かにおっしゃるように、「音韻」を重視するなら、rなどは全部知里式に「 」で書くのが適切だと思います。

しかし、カタカナ表記を見る人は、どうしてもそのまま日本語の感覚で読んでしまいます。
音声とか音韻の違いなど、言語学の知識がある人はいいですが、一般の人はそうではありません。どうしても「書いてある」とおりに読んでしまいます。

個人差・地方差がありますが、korやkarは「コル」や「カル」に近い発音もありますが、特にこれまで研究されることの多かった幌別・沙流・千歳・石狩方言あたりでは「コロ」・「カラ」に近い発音になる場合・人が多いようです。

たとえば、北海道にギョウジャニンニク入りの「ピルカ・ソーセージ」なるものがありますよね? pirkaなどは、特にiのうしろだからなのか、「ピリカ」という発音になることの方が多いようです。

そういったことから、ウタリ協会式が生まれたのだと思います。だからそれなりの根拠・利点もあると思うのです。私は別に全否定していません。むしろ、私自身もウタリ協会とそれほど違った表記を使っているわけではありません。「撲滅」まではしなくていいんじゃないでしょうか(苦笑)。

ただし、特にrの場合、機械的に「ラリルレロ」にしてしまうのも弊害がある、というのは述べたとおりです。
聞こえたとおりに書くのもひとつの手ですが、そうすると、terkeが「テケ」になったり、「テケ」や「テケ」などとバラバラになってしまいます。ここが難しいところです。

私も結論が出てませんが、やはり、研究者や言語学の理論ではなくて、学習者にとって便利な学びやすい表記を今後試行錯誤しながら確立しなければならないと思います。

★「正しいアイヌ語について」

nupkesさんが問題にされている『空知アイヌ語地名考』についですが、私はまだ読んだことないので何とも言えませんが、その本が、もし「ダルミ」なみの間違いの充満しているものなのだとしたら困りますね。

アイヌだけでなく、マスコミや一般の人も、書かれているアイヌ語や分析が正しいのかどうか判別できないでしょうから、そういった間違ったものがまかり通ってしまうのも「ある意味」仕方ないと思っています。
アイヌ語に限らず、インチキがまかり通ってしまうのはどこの世界でもあると思います。
それに気がついた人が、間違いを指摘して訂正するしかないでしょう。
その作業は大変ですが、誰かがやらなければなりません。

本来もてはやされるべきでない人がもてはやされるのは、簡単な話、その問題点を知らない、もしくは気づいていないからではないでしょうか。誰かが指摘して教えない限りその人が自分で気づくことは難しいでしょう。
もちろん、その人が聞く耳を持つかどうかという問題はありますが、もしくはこっちの伝え方・言い方が悪ければ伝わりません。

私は知里真志保の姿勢に深く共感しています。間違いは間違い、正しいものは正しいと素直に認めることの大事さを私は彼の『アイヌ語入門』から学びました。
知里真志保は、当時、地名をはじめ、アイヌ語・アイヌ民族について間違った説や解釈を平気で書きつらねるほかの研究者を、激しい言葉ときつい皮肉で鋭く批判していましたが、おそらく当時彼はなかなか理解を得られなかったのではないでしょうか。当時、「アイヌ研究」の権威ともされていた学者や書籍を名指しで批判していたのですから。

あと、アイヌ民族の中にも、いろいろな考えの人がいます。アイヌ語に対する姿勢や知識も人それぞれです。
nupkesさんの考えを理解してくれる人、支持してくれる人だってもちろんいるはずです。
私の知人にも、アイヌ語の修得のために努力し、マスコミや書籍などで間違ったアイヌ語の解釈が広まることに対し憤りを覚えている人もいます。

アイヌであろうと和人であろうと分かってくれる人は分かってくれると私は信じてます。

ここしばらくnupkesさんと意見交換をさせて頂いて、改めて自分の認識や知識を再点検することができ勉強になりました。ありがとうございます。今後もよろしく。



正しいアイヌ語はいらない、とは言っていませんが。

oripakEsaman (2001/04/17 01:01)

なお、
「正しいアイヌ語よりは、生きたアイヌ語を」
というのは、
正しいアイヌ語はいらない、という意味ではありません。

「正しいアイヌ語」よりは「生きたアイヌ語」のほうが欲しい、という意味です。
わからんのなら説明しますが、
「正しさ」の為に「命」が削られるのならば、正しさよりは命を、という意味でして、
正しさは全然いらん、という意味ではありません。

よって、空知の一件がどうだったのかは、
私を話しを聞いてみないことには、全くわかりません。
私はアイヌの代表をする義務はないのですが、多いに聞く意思はあります。
何がなんだかわからないので、聞いてみないと判りません。
もっとも、相手に話す意志があるかはわかりませんが。

といいましても、アイヌやアイヌ語に関わる和人が、アイヌとちがって、
「いざとなったら手を引いてしまえる立場である」のは和人であるから当然にしても、
こうまであっさりと尻尾を巻いてしまうと、アイヌにはあまりいい印象はもたれませんよ。

http://www.alles.or.jp/~tariq/



私を勝手に「アイヌの代表」として扱うことは、決然とお断りをし、抗議します。

oripakEsaman (2001/04/17 00:54)

なにか勘違いをされているようですね。
私は、ウタリ協会の代表でも、アイヌの代表でもないのですが。
ただの1アイヌである私相手に代理戦争しかけても、なにもいいことないですよ。
あなたは、和人の代表ですかね? ちゃうでしょうに。

>アイヌ民族の方も、「正しいアイヌ語」はいらないとのこと。
>ご安心ください、もう、「正しいアイヌ語」地名調査はしません。

私はアイヌ民族ではあっても、アイヌの意見の代表ではなく、
ウタリ協会の人間でもないことを明記しておきます。

それでも、そう解釈なさるのは貴方の勝手ですが、
私が到底知りもしないことで、
「ああ、アイヌの方はそうおっしゃるなら、なになにはこうなんですね」
といわれては、なんとも、「なんじゃそりゃ」であります。

私は、空知で何が起こっているのか、何もしりません。
かんしゃくを起こされる前に、
出きれば何が起こったのか、経緯をご説明くださると幸いです。

というか、説明していただかないのに、私の発言を元に、
「アイヌの方はそうおっしゃってるので、もうなになしません」などといわれても、
なにを無責任なことを言っているのだ、説明しろ、としか言えませんね。
私の発言を「証拠」とする前に、弊害なり間違ったアイヌ語なり、
一体何が起こってたのか、私相手に、この場で、きっちりと説明願います。

それでも、説明するしないはご自由に、ですが、その場合、
私の発言を何かの証拠にはなさりませんよう。
何度もいいますが、わたしゃ、ウタリ協会の人間でもアイヌの代表でもありません。

例えば、私があなたの発言をもとに、
「和人の方々はなになになので、もう和人相手にはなになしません」
と、勝手に拡大して利用していいものでしょうか?
和人全てではなく、あなたという和人個人が相手ならいざしらず。


なお、私はウタリ協会の人間ではありませんが、
同じくアイヌの組織として、例え「間違ったアイヌ語」を使っているとしても、
それを理由で存在を否定したりはいたしません。
なにぶん、アイヌと和人の関係は、まったく中立という訳には到底いかないのが現実ですので、
「アイヌ同士の争い」を、なるべくならば助長しないようにしていただきたいものです。

http://www.alles.or.jp/~tariq/



RE:RE:お薦めの国語辞書・漢字辞書を教えてください。

猫丸 (2001/04/16 17:50)

佐藤様
有難うございます。



RE:言葉は誰のもの

nupkes (2001/04/16 15:55)

>「正しいアイヌ語」より、「いま生きているアイヌの為の、生きたアイヌ語」であらんことを。

「空知のアイヌ語地名考」に、「ダルミ川 ダルミはアイヌ語で短いとの意味」と明らかな誤りを書いた方が、その功績で、ウタリ協会某支部や某アイヌ語教室の講師の方と某大学でシンポジュームを開きました。
 なぜこのようなデタラメナな内容の本の著者が、と驚きましたが、やっと意味が分かりました。
アイヌ民族は「正しいアイヌ語」より、自分たちが利用できるものこそ大事だったのですね。
 わたくしは、何年も「空知のアイヌ語地名考」の誤りによる弊害を取り除くため、頑張ってきました。ところが、孤立無援で、あのデタラメを書いた空知地方史協議会が褒め称えられているのです。もうやる気がありません。
 アイヌ民族の方も、「正しいアイヌ語」はいらないとのこと。
 ご安心ください、もう、「正しいアイヌ語」地名調査はしません。



タコス〜ありがとうございます。

Johann (2001/04/16 10:49)

ご回答、ありがとうございました。なるほど、スペイン語においてはsingularだろうがpluralだろうがTacosで一つの単語である、ということだったんですね。アメリカにおけるメキシコ料理が
"Tex-Mex"であるように、言葉もきっとアメリカ語流解釈になってしまったのでしょう。なんとなくとっかかりにはなった気がしますので、真相の所を英語圏の人間にインタビューしてみようと思います。ありがとうございました、お邪魔しました。m(._.)m



RE:お薦めの国語辞書・漢字辞書を教えてください。

佐藤和美 (2001/04/15 12:08)

猫丸さん
>専門的なものではなく、
>1.高校生以上から一般対象
>2.小学生
>の二つで良いものが有りましたら、ご教示願います。

漢字辞書って、漢和辞典でいいでしょうか。
2の方は私にはわかりません。1で無難なものをあげます。

「岩波国語辞典」岩波書店
「漢語林」大修館書店

このあたりなら、大はずれはしないでしょう。



言葉は誰のもの

oripakEsaman (2001/04/15 03:08)

話しの成り行きは全くよくわかりませんが、
過去に言葉を奪われ、今も言葉を取り戻す機会の殆どないアイヌ民族の一員として、
一言言わせていただきたく思います。

>とはいえ、大部分の方にとってはどうでもいいことです。
>ですから、チカップでもポロヌップでもどうでもいいことです。
>アイヌ民族が決めることですが、それもできないなら、またそれもいいではないですか。
>お好きなように、どうぞ。

このヌップケシュさんの言葉は、何かと命あるアイヌ語から遠ざかってしまいがちな、
今のアイヌである、私のようなものにとって、ありがたいお言葉だと思います。

ウタリ協会はアイヌの「統一意思」によって成立しているわけではありませんが、
「北海道内のかなりの部分(半数に近いか?)のアイヌの利権を代表しうる機関」として、
「アイヌの代表」という「政治的発信」を行いうる立場にあります。

どのような利権が絡もうとも、少なくともアイヌの民族団体である同協会の発信は、
「ある程度の人数のアイヌの意思発信」であり、アイヌの民族団体ではない、
他のいかなる立場の団体もなし得ない、「アイヌの意見」の一つかと思います。

「和人がアイヌ語をやること」と、「アイヌがアイヌ語をやること」には、
かなり段違いの意味が伴ないます。
簡単に言えば、「言語に対する権利」というものがあるとすれば、
過去の成り立ちから現在に至っている事、現在も未だに存在するアイヌ語と、
アイヌの存在を取り巻く環境を考えるに、
アイヌの側にこそそれが優位であるべきですが、残念ながら現状は程遠いものがあります。
(それは、ここを見ても明らかかと)

出来うることならば、アイヌ語およびアイヌ民族に関する政治的な物事(簡単に言えば差別など)
が、未だに多く解消されない現在において、アイヌ語に携わる、関わる、興味を持つ、
全ての「専門家」、に、我々からすると見えてしまう言葉について詳しい人々にお願いしたい。

「どちらが正しいか」の議論には、
「そもそも、それは誰の為に」という視点を、是非お汲み取りくださいますよう。


願わくば、「正しいアイヌ語」より、
「いま生きているアイヌの為の、生きたアイヌ語」であらんことを。

私は、1アイヌとして、全ての風習・信仰・言語などは、
博物館入りするよりは、多少の簡略化はあっても、身近に存在することを望んでいることを、
誰の手も借りず、支援も受けずに、ここに直接お伝えします。

ここは、言語については殆ど知らない私が発言するには、場違いな場所とは思いますが、
自らの知識の不足などから、「砂を噛む思い」をすることのあるアイヌの一人として、
ここに思いを書かせていただきました。

私は、「アイヌと和人では、アイヌ語を学ぶことにも持つ意味が全然違う」と申しましたが、
これは別段、アイヌ語に関わる人々の存在自体に意義を唱えるものではありません。
が、「共に学ぶ仲間」は是非欲しいですが、
「アイヌ語の番人」が和人から出ることには、私は不快感を否めません。

出きれば、不勉強な私ではありますが、みなさまの活発な議論を元に、
アイヌにとってアイヌ語について、色々と勉強させて頂ければ、と思っています。
それでは、また。


http://www.alles.or.jp/~tariq/



RE:RE:長くなりました

ヌップケシュ (2001/04/14 01:10)

>utarを「ウタル」と発音しているのに、わざわざそれを「ウタラ」と書いてしまうのも
>どうかなという気がしたものです。その古老の言葉を覚えたいと思った人が、その古老
>のアイヌ語をウタリ協会式で文字にしたものを読んで勉強してしまうと、その人は、
>「ウタラ」という発音で覚えています。そうなると、その古老の発音とは違った発音
>のアイヌ語を覚えてしまうことになります。

表記と発音のことを混乱しては、いませんか。最近、話題になった「ん」ですが、
「店員は[te:iN]ではなく[tee~iN]と鼻にかかった「エー」と発音しているのです」
などと話題になりました。
 わたくしは、この話題についていけません。なぜなら、わたくしは、「てんいん」と発音し
「テェ〜イン」とは、発音しないからです。
 しかしながら、両者とも表記は「てんいん」です。
 たとえば、鼻濁音は、北海道ではほとんど発音されていませんが、だからといって東京と北海道では表記が違うことはありません。
 アイヌ語は最近になって表記が問題になったために、このような混乱があるのではないでしょうか。
 現時点では、アイヌ語では、清音と濁音はすべて清音で表記しますが、音韻としての記録は別問題です。このように、表記と音韻は別問題との前提があるはずなのですが。
 とはいえ、大部分の方にとってはどうでもいいことです。
 ですから、チカップでもポロヌップでもどうでもいいことです。
 アイヌ民族が決めることですが、それもできないなら、またそれもいいではないですか。
お好きなように、どうぞ。



タコス

佐藤和美 (2001/04/13 21:08)

『大辞林』
タコス [(スペイン) tacos]
メキシコ料理の一。トウモロコシ粉で焼いたクレープ状の皮に、炒(いた)めた挽(ひ)き肉やチーズ・レタスなどをはさみ、香辛料をきかせたトマト-ソースで食べるもの。

『EXCEED英和辞典』
taco
n. (pl. 〜s) タコス ((メキシコ料理)).

これで見る限りは、単数「taco」が、英語で複数になって「s」がつき、「tacos」になった、と考えるべきではないようですね。「tacos」はスペイン語そのもののようですから。



RE:長くなりました

ヌップケシュ (2001/04/13 19:49)

 >ポロヌップさん
まったくあなたの言うとおりです。
問題のあるウタリ協会式なんか撲滅しましょう。



長くなりました

ポロヌップ (2001/04/13 18:45)

>山田      知里
>shir シリ  sir シる
>charチャロ  charちゃる
>or オロ   orオる
>のように、知里と山田は、子音rの仮名表記は異なります。

※ 細かい話になりますが、知里真志保はアクセントのある音節をひらがなで書き、それ以外はカタカナなので、それぞれ、「しリ」・「ちゃル」・「おル」になるはずです。誤記かもしれませんが。私の以前の投稿では、山田氏の表記は、基本的には知里式を踏襲していると書きましたがこのことを忘れていました。訂正します。

自分の記憶違いかなと思って、山田氏の『北海道の地名』や著作集などの著作を読み返してみました。

確かに、rについては、実際に聞こえる音声を重視してか、大文字の「ラリルレロ」で表記している場合がかなりあるみたいですね。特に地名に頻出する、sir、orなどについては、ほとんどすべて「シリ」・「オロ」と書いてあるみたいです。しかし、ローマ字表記では、母音をつけてませんので、閉音節のrの存在を知らなかったわけではなさそうです。
あと、旧記や永田地名解を引用している場合、原文のままです。

また、「パロ」・「チャロ」の形で残っている地名については、par・carと母音のついていない概念形で記述している個所が多いみたいです。

しかし、すべてがそういうわけではないみたいです。

母音uのうしろのrについては、nupur(ヌプル)、surku(スルク)などの例があり、その他の母音のうしろのrについては、hattarを「ハッタル」、sarを「サル」、arutorを「アルトル」、srarを「シラル」などと書いてます。

一方、その他のptksmについては、おおむね小文字のカナを使っています。これは、知里式とほぼ同じです。

>ウタリ協会式の表記の問題点を取り上げ、より正確な表記をしていると
>のことですが、「別に特別ではない」となると、私には、理解できません。
>ウタリ協会式の表記ではなく、「別に特別ではない」表記とはどのようなものでしょうか。

どうも誤解されているようですね。

私のHNのporonupを、「ポロヌップ」という日本式発音の表記をしていることについてご質問がありましたね?そこで、こういった表記はタグなどで小文字が使えないこういった掲示板で、読みやすさを考えて便宜的に使っていると説明したつもりです。 しかし、たとえば、ウェブやその他、私がアイヌ語についての文章をどこかで発表する場合、アイヌ語の表記は、cikapを「チカップ」などと書かずに、小文字を使う表記を使っています。そのことを「より正確な表記」と言っているのです。

ウタリ協会式の問題点うんぬんは別の話です。ウタリ協会式が、アイヌ民族の「統一意思」によるものと言えるかどうかという文脈で、その問題点を述べたままでです。

補足になりますが、アイヌ語話者の方には、閉音節のrをその前の母音とは関係なく大体「ル」に近く発音される方が結構いらっしゃいます。これは地方差が多分にあるようです。私が以前アイヌ語を教えてもらった古老(十勝地方出身)もその一人でした。
たとえば、その方がutarを「ウタル」と発音しているのに、わざわざそれを「ウタラ」と書いてしまうのもどうかなという気がしたものです。その古老の言葉を覚えたいと思った人が、その古老のアイヌ語をウタリ協会式で文字にしたものを読んで勉強してしまうと、その人は、「ウタラ」という発音で覚えています。そうなると、その古老の発音とは違った発音のアイヌ語を覚えてしまうことになります。

もちろん、どれも一長一短なので私自身、どの表記法が一番いいのか結論が出ていません。



お薦めの国語辞書・漢字辞書を教えてください。

猫丸 (2001/04/13 18:28)

専門的なものではなく、1.高校生以上から一般対象 2.小学生 の二つで良いものが有りましたら、ご教示願います。



RE;「オップ」の語呂合わせ

nupkes (2001/04/13 00:05)

 アイヌ語地名で、最もやってはいけないのが語呂合わせです。でも、つい、やってしまうのが語呂合わせです。
 私も、やってみます。
 オップですから、そのまま書くとotpuまたは、oppuとなります。
 otpuなら、まず、よくある単語otとするとot-puとなります。otの後に来る単語と言えばpeです。子音は変化しづらいが母音は記録されるときによく変化します。
 以上から、ot-peと推定します。
 これは、num-ot-pe、pe-ot-peなどの脱落形です。これは、当然川の名です。
 川の名がその上流の山の名として呼ばれることはよくあることです。
 以上からオップはオッ・ペ ot-pe(〜ある・もの[川])となります。
当然、上記のことは、お遊びです。
 こんなことをかくと、resaknayさんに怒られそうですね。



「オップ」の語呂合わせ

佐藤和美 (2001/04/12 22:56)

「オップ」ですか。
日本語でも、アイヌ語でも意味がよくわかりませんが、
以下、アイヌ語による語呂合わせです。

まず私が連想するのは北海道の「オプタテシケ」山ですね。
意味は「オプop」(槍)+「タta」(そこで)+「テシケteske」(はねかえった)
ということになるようです。
「オップ」が「槍」と関係あるのかどうか、わかりませんけど。

もう一つ。
「オo」(川尻)「プpu」(倉庫)
「川尻に倉庫のある川」の「オプ」の部分が残った?

以上、語呂合わせでした。



RE:nupkes 様

nupkes (2001/04/12 20:38)

>私はカナ表記の話をしていたのですが…?
>sir/shirは、知里・山田とも、カタカナ表記では、通常「シル」ですね

どう答えたらよいのでしょうか。わざと知らないふりをしているのですか。

山田      知里
shir シリ  sir シる
charチャロ  charちゃる
or オロ   orオる
のように、知里と山田は、子音rの仮名表記は異なります。

>別に特別なものではありません(笑)。
>要するに音節末子音を、「ッ〇」などを使わず、小文字で書く表記です。
>たとえばcikapは「チカプ」と書いてます。

ウタリ協会式の表記の問題点を取り上げ、より正確な表記をしているとのことですが、「別に特別ではない」となると、私には、理解できません。
 ウタリ協会式の表記ではなく、「別に特別ではない」表記とはどのようなものでしょうか。

 正直なことを申しあげますと、ポロヌッブさんの言わんとすることがよく理解できないのですが。論理の流れがよく理解できません。



おっと

ポロヌップ (2001/04/12 18:21)

>カナで書くと両者とも「シリ」ですね。

sir/shirは、知里・山田とも、カタカナ表記では、通常「シル」ですね。
失礼。
細かいことですが。



nupkes 様

ポロヌップ (2001/04/12 18:12)

>知里真志保「地名アイヌ語小辞典」p.137には、usとあります。
>山田秀三「北海道の地名」では、usも少しありますが、主としてushと記載
>されています。

私はカナ表記の話をしていたのですが…?

確かにサ行音・シャ行音については実際の音に合わせてsとshを書き分けてますね。また、音節末の「イ」・「ウ」は、y・wではなく、i・uで書いていたりしますので、知里幸恵がそれまでの表記を改善して、や金田一・久保寺らが使った表記と基本的には同じですね。

>また知里小辞典では、子音rについては、直前部の母音を無視し、すべて「ル」
>で統一しています。たとえば、sirとshirを知里と山田と比較してください。

s・shの表記については確かに違いはありますが、音節末子音のカタカナ表記については基本的には同じではないでしょうか。カナで書くと両者とも「シリ」ですね。

>>より正確な表記を使っています。
>
>どのような表記でしょうか。

別に特別なものではありません(笑)。
要するに音節末子音を、「ッ〇」などを使わず、小文字で書く表記です。
たとえばcikapは「チカプ」と書いてます。



アイヌ語FM誕生。

oripakEsaman (2001/04/12 11:16)

え、いわんけ、やぁぁぁ。
チョー おひさしぶりです、アイヌの生活と現在を考えるHP、
Ainu puyarA の Esamanです。

4/8に、日本初のアイヌ語を交えた放送を行うミニFM局
「FMピパウシ」 が開局しました。
萱野さんの家の隣だそうです。
出力は76.1Mhzで、二風谷周辺だけしか受信できないようですが、
HP上で放送内容が聞けるので、それを補って有り余るものがありますね。
ネットを利用した、マイノリティの情報発信の好例だと思います。

その音声データは、ホームページ「国際先住民族ネットワーク」内にあります。
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html

http://www.alles.or.jp/~tariq/



RE:アイヌ語のカタカナ表記について

nupkes (2001/04/11 20:52)

>山田式とはどのような表記のことですか?山田氏の著者はいろいろ見ていますが、
>氏の表記は基本的には知里真志保のものを踏襲しているように思えますが…?

知里真志保「地名アイヌ語小辞典」p.137には、usとあります。
山田秀三「北海道の地名」では、usも少しありますが、主としてushと記載されています。
また知里小辞典では、子音rについては、直前部の母音を無視し、すべて「ル」で統一しています。たとえば、sirとshirを知里と山田と比較してください。
 これぐらいの差は、同じとのことであるならば、何もいえませんが。

>より正確な表記を使っています。

どのような表記でしょうか。

>アイヌ語の地名を大事にしようと運動をなさっている方が、こういううかつなことを
>書かれると困りますね・・・。

 小野有五「知里幸恵の百年」(『図書』2000.9岩波書店)に記載されているアイヌ語地名は、大部分に問題があります。是非、自分自身でお読みになって、その誤りを確認してください。
 北海道では、これが正しい姿です。間違いが多いほど、マスコミは支持します。
 北海道の空知では、「空知のアイヌ語地名考」なる間違いだらけの本が出たときは、マスコミは大きく報道しました。その間違いを指摘することは、空知では、タブーです。



ついでに宣伝〜☆

ポロヌップ (2001/04/11 18:33)

新聞・テレビの報道でご存知の方もいらっしゃると思いますが、平取町二風谷でミニFMが開局しました。その音声が、以下のサイトで聞くことができます。

http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html

また、このニュースについては、道新のサイト(http://search.hokkaido-np.co.jp/)で見れます。
「アイヌ語」などで検索すれば引っかかるはずです。



アイヌ語のカタカナ表記について

ポロヌップ (2001/04/11 18:32)

>小野有五「知里幸恵の百年」(『図書』2000.9岩波書店)で、
>地名「近文(ちかぶみ)」をチカップ・ニ(鳥・いる処)としています。

困ったものですね。知里真志保の名言「シロートはこわい!」を思い起こします。アイヌ語の地名を大事にしようと運動をなさっている方が、こういううかつなことを書かれると困りますね・・・。せめて

>また「チカップ」の表記ですが、小野氏に手紙にて質問したところ、
>やはり、「チカップ美恵子」さんがおられるので、つい、チカップト
>書いたとのことでした。

ただ、私が思いますに、これは、アイヌ語の表記の問題ではなく、単にアイヌ語の「知識」の問題なのではないでしょうか。アイヌ語を少し勉強した人であれば、「鳥」を指すアイヌ語が、cikapであり、cikappuではないことや、「ニ」に「いる処」という意味はないことは知っているはずです。

せめて、文章を発表する前に、アイヌ語に詳しい人にチェックしてもらえばよかったですね。

> わたくしは、別にどちらでもよいのです。ただし、どちらかに統一して
>欲しいだけです。
> アイヌ民族が、表記はakor itakで統一するとの決定をなさったから、
>わたくしは山田式の表記を捨てました。

山田式とはどのような表記のことですか?山田氏の著者はいろいろ見ていますが、氏の表記は基本的には知里真志保のものを踏襲しているように思えますが…?

確かに、北海道ウタリ協会はアイヌ民族最大の団体でありますが、その決定がアイヌ民族の「統一意思」とまで言えるかどうか疑問です。たとえば、萱野さんはまた少し別の表記を使ってらっしゃいます(必ずしも統一性がないですが)。
そういえば、砂澤クラさんは、ご自分の半生記をアイヌ語でつづった著書『私の一代の思い出 クスクップ オルシベ』(みやま書房)ではちがった表記を使ってました。cikapは「チカッ」という表記になります。

いわゆるウタリ協会式の表記の最大の特徴は、閉音節のrをその前の母音に従って「」・「」・「」・「」・「」と書き分ける点にあると思われます。たしかに、rは、実際にはさまざまな音色に聞こえるので、たとえばpirkaを「ピカ」と書くと、「ピルカ」と読まれるえ、実際の発音からかけ離れてしまう危険性があります。

しかし、rを機械的に「ラリルレロ」書くと、たとえば、rのあとの子音による影響など、偶発的な音のゆれを無視した表記になってしまいます。
実際に学習者が勉強する場合、このカタカナ表記を使用すると、実際の発音からかけ離れてしまった発音を修得してしまうのではないかと問題点を指摘をする研究者もいます。

たとえば、「アルキ」や「アリキ」に近く発音されることが多いarkiも「アキ」でいいのか、「アラパ」よりは、「アルパ」に近い発音でされることの多いarpaや、icarpaのrも、「」でいいのか、という疑問が出ます。

最近、推進機構での出版物などでは、ウタリ協会を基本的に踏襲していますので、今後もこの表記が普及するものと思われますが、実際は、いろいろ混乱も出ているようです。
今後、アイヌ語が復興・普及していくであろうことを考えると、これらの問題を試行錯誤しながら解決しないといけないでしょうね。

話は戻りますが、私のHNの表記は、あくまで、こういったウェブで、日本語の文章の中で限定的に使用しているもので、実際にアイヌ語として、文章や単語を書く場合は、より正確な表記を使っています。



「子音字 + O」複数形の例外って?

Johann (2001/04/11 16:17)

はじめまして、Johannと申します。質問のピントがあってるかどうか自信無いんですが…。

些細な事なんですが、考え始めたらわからなくなってきてしまいました。
英語で、『子音字+yとか子音字+oとか母音字+fが複数形になるときには、語尾を-esとする』と教わった気がするのですが、どんな時例外として通常の-sを使うか、あるいは例外な単語がなんであったかがどうしても思い出せません。「固有名詞だったら例外」とかじゃないだろうし…。

"Tomato"はルールどおり"Tomatoes"ですが、メキシコ料理は同じ「子音字+o」なのに"Tacos"です。では、「伊東家」は"Itos"でしょうか?"Itoes"でしょうか?同様に「佐藤家」は?
つまんない質問で恐縮ですが、どなたかご教授下さい。よろしくお願いします。m(._.)m



RE:私のHNについて

nupkes (2001/04/10 23:09)

>チカップ美恵子さんの「チカップ」と書いてます

小野有五「知里幸恵の百年」(『図書』2000.9岩波書店)で、地名「近文(ちかぶみ)」をチカップ・ニ(鳥・いる処)としています。
 これは、明らかにcikap-un-iのリエゾンを理解していないことによる区切りの誤りです。また「チカップ」の表記ですが、小野氏に手紙にて質問したところ、やはり、「チカップ美恵子」さんがおられるので、つい、チカップト書いたとのことでした。
 わたくしは、別にどちらでもよいのです。ただし、どちらかに統一して欲しいだけです。
 アイヌ民族が、表記はakor itakで統一するとの決定をなさったから、わたくしは山田式の表記を捨てました。
 切替助教授は、akor itakでは、だめだと主張し、確かに私もそのとおりだとおもいます。しかし、現時点では、アイヌ民族自身が決定したことを尊重すべきだと思っているだけです。  とはいえ、北海道では、アイヌ語地名をやっても馬鹿にされるだけですから、どうでもいいことですが。



私のHNについて

ポロヌップ (2001/04/10 20:53)

nupkesさん、はじめまして。

私のハンドルネームである「ポロヌップ」は、「大きい」・「平原・野原」を意味する、poro-nupですが、これを正確なカタカナ表記で書けば、「ポロヌ」になります。

以前、とあるアイヌ民族関係のHPの掲示板に書き込みをしていたときは、上の表記、またはローマ字のporonupを使っていました。しかし、個人的にローマ字はどうも読みにくいのではないかと思いましたので、基本的にはカタカナを使うことにしました。

そのカタカナ表記ですが、「ポロヌ」だと、まずウェブ上で表記しにくいという問題があります。たとえば、このt-cupの掲示板の場合、本文ではフォントを変えたりできますが、投稿者名・題名では、フォントの大きさを変えれないようです。

また、いくら「正しい」表記の「ポロヌ」と書いても、実際は、アイヌ語の正しい発音を身につけた人でなければ、日本語式に「ポロヌプ」と読まれてしまいます。なので、まだ「ポロヌップ」と読んでもらった方がましかなと思い、こっちの表記を使うことにしました。

たとえば、アイヌ民族の人権活動等で知られているチカップ美恵子さんの「チカップ」と書いてます。あと北海道の各地で行われている鮭迎えの儀式も「アシリチェップノミ」と書いてある場合が多いみたいですね。



re: ラテン語の本

田邉露影 (2001/04/10 00:42)

> > 時間があれば『ラテン語入門』なんかをつかって
> > どのくらい恐ろしい本なのかを、
> > じっくり語ってみるのも面白いのですが、
> 戸部氏の『実用ラテン語入門』だけでなく、
> 『ラテン語入門』もですか。

いや、詳しい書名まで覚えていませんが、
氏のものはラテン語に関していえば、
非常に恐ろしい本ですね。

うちの大学の図書館にも蔵書があったと記憶しているので、
そのうち、借りてきて検証しましょう。


> 先に紹介しておられた岩波の『ギリシア語入門』ともども、
> どんなに恐ろしいのか、
> 実例を(じっくりとはいきませんが)お聞きしたいですね。

まあ、実際に岩波の『ギリシア語入門』は、
多くの大学で使用されている、
標準的な教科書なのですが、
はっきり言って私個人としては、
すでに最初のページから最後に至るまで醸し出されている、
権威主義的な文体が、
非常に不愉快でなりません。

あと、文法説明があまりにも断片的で、
まるで大学のレポートのレジュメみたいです。

それから、長文を読ませないのも問題ですね。
(ごくたまに載っているのですが)
これに限って言えば、
日本語で書かれたマイナーな語学の教科書は
大抵、こういう形式のものが多いのですが……。


> > わざわざ日本語で古典ラテン語の本を新たに書く必要はないのでは
> > ないかと思います。
> そんなものなのでしょうか。

う〜ん、私はそうは思わないんですよね。

現状に満足していたのでは、
やっぱりいけないんじゃないでしょうか。

泉井先生にしても中山先生にしても、
文法書にまったく誤りが無いかといえば、
そんなことはありませんし、
語学書を書くうえでの方法論にしても
泉井先生の時代と今の時代では
大きくかけ離れているのですから。


ちなみに中山先生の『標準ラテン文法』なんて著書は、
比較的新しいものですけれども、
説明不足や数々の誤りは見られますけれども、
非常に簡潔に書かれていて、
教科書だけでなくて独習用にも、
大きく手助けになります。


> > 理系で学名などを知りたい人は,
> > 昔ながらの「ラテン語小文典」で充分だと思いますし。
> 参考にさせていただきます。

「学名」の意味を知りたいだけならば、
その筋の辞典を図書館で見れば良いだけの話でしょう。


> > むしろ教会ラテン語の方が需要があるでしょう。

これは、統計学的な視点からのお話しでしょうか?
それとも、massangeanaさんご自身の視点からのお話しでしょうか?



ラテン語の本

青蛙 (2001/04/09 23:34)

田邉さん:
> いや、印刷品質や値段云々以前に、
> 内容が悪いです。
いえ、内容云々以前に、そもそも商品としてとても釣り合いが取れていないと思ったものですから。ポロヌップさんがおっしゃっているように「300円とか500円だったら」まだわかるのですが。(これで印税ナシだとしたら、泰流社のボロ儲けですね)
別に戸部氏の著書を探しに図書館に行ったわけではなく、ついでに語学の書架を覗いてみたら戸部氏の著書がごろごろしていたので、どの本もページをパラパラと繰った程度で、内容まで詮索しませんでした。ですから、田邉さんの書き込みに対するレスとしてはハズしていました。面目ありません。

ただ、マイナーな言語を扱っているだけに、nupkes さんやポロヌップさんのご友人の方のように、戸部氏の著書を利用せざるを得ない場合もあるわけで、そんなときに、海外の方から怒りをかってしまったり、全く学習の役に立たなかったりするようでは困りますね。戸部氏の著書は、また機会がありましたら、どんなにトンデモないものなのか見てみたいと思います。

> 時間があれば『ラテン語入門』なんかをつかって
> どのくらい恐ろしい本なのかを、
> じっくり語ってみるのも面白いのですが、
戸部氏の『実用ラテン語入門』だけでなく、『ラテン語入門』もですか。先に紹介しておられた岩波の『ギリシア語入門』ともども、どんなに恐ろしいのか、実例を(じっくりとはいきませんが)お聞きしたいですね。

massangeana さん:
> いや, 私に言われても...
勝手に振ってしまって申し訳ありませんでした。

> 10年くらい前に日本語で書かれた市販のラテン語文法書を
> いくつか見たのですが, あまりまともな本はなかったような覚えが。

> わざわざ日本語で古典ラテン語の本を新たに書く必要はないのでは
> ないかと思います。
そんなものなのでしょうか。私にはとても市販のラテン語文法書の詮索なんてできそうもありませんし。

> 理系で学名などを知りたい人は, 昔ながらの「ラテン語小文典」で充分だと思いますし。
> むしろ教会ラテン語の方が需要があるでしょう。
参考にさせていただきます。

田邉さん、massangeana さん、ありがとうございました。



アイヌ語地名について。

奥山一絵 (2001/04/09 18:27)

はじめてお邪魔します。秋田で縄文遺跡の発掘調査を担当している者です。
現在調査を行っている遺跡は、標高45mくらいの台地の上にあって、ここから
「尾太山」(オップだけ)という山が見えます。多分アイヌ語だと思うのですが、
どんな意味なのか、どなたか教えてください。よろしくお願いします。



(無題)

未菜実 (2001/04/09 09:04)

>ぼっこさん

解答がないようなので、門外漢ですが・・・。

変化の経緯をたどると、「ひなたぼこり」→「ひなたぼくり」→「ひなたぼこ」→「ひなたぼっこ」となったようです。
「ひなたぼこり」は平安時代末の「今昔物語」にでています。
また「ひなたぼこ」は近松門左衛門の「天神記」に見えます。
江戸時代の川柳集「柳多留」では、もう「ひなたぼつこ」とでてきますが、上方では「ひなたぼこり」が。使われていたようです。

1.「ほこり」は「誇り」で平安時代「自慢する」以外に「心が浮き浮きする」「気が晴れ晴れする」と言う意味があり、「ひなたぼこり」は後者の意味とする。

2.雑草などが繁茂する「はびこる」が語源で、体が暖まって解きほぐされ、自由に伸び広がる感じを表している。

3.「ほこる」=「火(ほ)凝(こ)る」で、火力が集中し焼ける意味。
 ほかほか、ほこほこ、などの言葉と同根である。

一般には1.2.説が採られているようです。3.の説は萩谷朴の説ですが、一般にどう評価されているのか、知りません。



少数とZero

arayebis (2001/04/08 23:56)

英語のネイティブスピーカーに聞いても(複数)満足する答えは得られませんでした.
(そのうちの何人かはRSA diploma持ってます.
つまりプロの英語教師です.)
少数とZeroは(英語ではnought)なんで複数形なんでしょう.
nought point one grammes, zero degrees.
一じゃない数は全て複数形って事なのでしょうか?
彼らも「分からないけど単数形じゃないって感じかな?」ぐらいしか思いつかないそうです



いろいろ

massangeana (2001/04/08 21:24)

連濁の研究は複雑すぎて私にはとても把握できませんが, 漢字音に関しては,
漢音では連濁することが少なかった, と聞いています。「行進(コーシン)」は
漢音ですよね。

「生前」については「没前」という言い方もありますね。

青蛙さん:
>『ラテン語入門』もまともな本ですよね、massangeana さん。
いや, 私に言われても... 10年くらい前に日本語で書かれた市販のラテン語文法書を
いくつか見たのですが, あまりまともな本はなかったような覚えが。
そもそも古典ラテン語を学ぼうという人はある程度近代西洋の言語の素養があるはず
なので, 英語なりなんなりで書かれた本があればそれで充分で, わざわざ日本語で古
典ラテン語の本を新たに書く必要はないのではないかと思います。理系で学名などを
知りたい人は, 昔ながらの「ラテン語小文典」で充分だと思いますし。
むしろ教会ラテン語の方が需要があるでしょう。



表記について

nupkes (2001/04/08 21:14)

>ポロヌップ  さん

 ポロヌップ さんの「ボロヌップ」はアイヌ語でしょうか。アイヌ語であれば、poronutpuまたは、poronuppuとなると思うのですが。
 でも、メールは、poronupとなっています。細かなことにこだわって、申し訳有りません。



ひなたぼっこ

ぼっこ (2001/04/08 15:18)

ひなたぼっこの「ぼっこ」ってどういう意味なのでしょうか?
ご存知のかたぜひ教えて下さい!
ひなたぼこり、ぼこうなどという言い方もある、ということぐらいしか
調べられませんでした。



本「アイヌ語地名リスト」

nupkes (2001/04/07 20:24)

 北海道庁から「アイヌ語地名リスト」が発刊されました。内容には、非常に問題があります。
(私の名がこの書籍に記載されているのに、批判するのは道義的に問題かもしれません。)
 私たち仲間は、少しでも改善したく努力したのですが(そのために発刊が遅れましたが)、努力が報われませんでした。
 これは、財団法人アイヌ文化推進・研究機構
http://www.frpac.or.jp/index.html
に申し込むと手に入ります。
 ぜひ、みなさんからも、誤りを指摘し、改訂版の発刊に協力してください。



RE:「生前」は生まれる前?

佐藤和美 (2001/04/07 20:00)

「生前」の「生」は「生まれる」じゃなくて「生きる」でしょうね。
「生前」は「前の生きてるとき」でしょう。



ハーモニカ

もね (2001/04/07 11:39)

はじめまして。最近、ちょっと疑問に思って調べていることがありまして、伝言板の
表題に惹かれておじゃましました。ご存知の方がありましたら、教えてください。

『ハーモニカ』という楽器があります。
くわえて吸ったり吐いたりして音を出すあの楽器です。
この楽器の名前の語源を知りたいと思って調べたのですが、なかなかみつかりません。
言葉の響きで何となくラテン語を想像したり、『ハーモニー』と関係があるのだろう
と思うのですが、どういう意味のこめられた単語なのか、御存知の方がいらっしゃっ
たらぜひ教えてください。よろしくお願いします。



泰流社の本について

ポロヌップ (2001/04/07 10:49)

久しぶりの投稿です。

実名で、公に出版されているので、はっきり書きますが、泰流社戸部実之氏の本は、おそらくほとんど役に立たないものではないでしょうか。
アイヌ語はもちろんのこと、満州語も非常にいい加減な内容です。
私の知り合いの南米先住民の言語の研究者も、彼の『ケチュア語入門』を酷評していました。彼の著作のほとんどは、英語で書かれた、それもあまり信用できない内容のものを不十分な知識をもとに日本語に引き写しただけのものばかりのようです。
たとえば『アイヌ語入門』は、バチェラーの辞典についている、非常に不十分な文法解説を日本語に直したもののようです。

まだ、あれが、300円とか500円だったらまだ許せますが、マイナーな言語の学習を思い立った人間がなけなしのお金を払って買うにはあまりにも悪質な本だと思います。私の友人は、高校時代、アイヌ語を独学しようと思い彼の『アイヌ語入門』を買いましたがまったく役に立たず、あとでその内容の質を知り、怒っていました。私はサギと言ってもいいぐらいだと思っています。
戸部氏のシリーズは、結構各地の図書館や大学が購入しているみたいです。それで結構利潤があがってるのでしょうか…。

しかし、泰流社のものは、すべてがすべてそういうものではないようです。戸部氏以外のものは結構まともそうです。

ここで話題になっている『アラビア語入門』は非常にすぐれたテキストです(ただし、独習者には分かりにくいかもしれません)。東京外国語大学のアラビア語学科でもテキストに使っていたほどですから。最近はまだ種類が増えましたが、アラビア語の教本は以前は非常に少なかったので、10年以上前の私がアラビア語を独学しようとしたときは重宝しました。

ほかにも、黒柳恒男氏の『ペルシア語入門』、佐藤信夫氏のアルメニア語やグルジア語の文法書や、岩佐嘉親氏の『フィジー語入門』などは信用できるようです。

やはり語学書を書くには、最低限の条件として、実際のその言語を使って生活したことがあるなり、実際に実用能力があって、かつ言語学の基礎的な知識は必要ではないでしょうか。やはり、例文等、ネイティブのチェックは必要だと思います。
その点、戸部氏のように、英語で書かれた資料を、誤訳を多分に含んで日本語に移しただけのものは論外でしょう。

泰流社は倒産しましたし、最近は、結構古本屋に流出しているようです。中には、良心的なものも含まれていますし、もしくは戸部氏の本であっても「貴重本」として購入するのも一興かもしれません(笑)。
私も彼の『アイヌ語入門』を、700円で「資料」として買いました。 ^^



RE:戸部氏の著書

nupkes (2001/04/06 00:00)

>県内の大きな図書館2つを訪れましたところ、言語の書架に泰流社と戸部実之氏の著書が
>ごろごろ見つかりました。
2年前には、北海道立図書館の北方資料室の一番利用される場所にト部の「アイヌ語入門」が、「空知のアイヌ語地名考」と共に並んでいました。
 昨年は、なぜか消えていました。さすがに、内容のひどさから、一般向けではないと気づいたようです。
 北海道大学の近くの某古書店には、ト部の語学書群が多数、安価で並んでいます。きっと知らないで買う人がいるでしょう。

>シンハラ語とかケチュア語なんて全く興味がなかったので
我が家には、スリランカや、南米諸国の人々やウイグル族の方が来ます。オーストラリアの高校生は、4ヶ月ほど滞在しました。タイ、台湾、中国、ドイツの方々などなど。
 これは、特別なことではなく、北海道の田舎の一般的な家庭のことです。このようなときに、言葉はとても重要です。夏の暑いときに、スイカを食べながら、これはウイグル語でなんと言うんだと聞くと、喜んで教えてくれます。このようなときに、ト部の本を使用すると最悪です。
 日本人て何なのだと思われます。
 いまや、日本は、ごく普通の家庭が世界の少数派の言語と接する機会がある国となっているのです。このようなときに、ト部の本は困った物です。



(無題)

田邉露影 (2001/04/05 22:43)

>青蛙さん
いや、印刷品質や値段云々以前に、
内容が悪いです。

時間があれば『ラテン語入門』なんかをつかって
どのくらい恐ろしい本なのかを、
じっくり語ってみるのも面白いのですが、
不毛なのでやめておきます……(苦笑)。



「生前」は生まれる前?

富士見の男 (2001/04/05 21:45)

「死後」の反対は「生前」。「死前」とは言いませんよね。「死後」か゛”死んだ後”なら、「生前」は”生まれる前”ということになりそうなものですが、どうして生きていた時を意味するのか、教えて下さい。



Re:「詳説世界史」のカナ表記

青蛙 (2001/04/05 01:50)

佐藤和美さん:
> 高校の教科書「詳説世界史」(山川出版社)を読んでいるという話を書きましたが、
> カナ表記になかなか興味をそそられます。

私も興味をそそられます。
「外来語の表記」が改正されて、カタカナ表記の制限が解除(というか緩和)されたからでしょうか。それとも、鈴木敬信氏のような、著者のこだわりかも。
私も、原語になるべく近くなるよう外国語をカタカナ表記をすることにやぶさかではありませんが、手放しでは賛成できません。日本の世界史学界(なんてものがあればそこ)で統一されたものであれば、まだいいんですけど。他との整合性ですね。高校の教科書なんですよね。この本で学習した学生は、新聞や雑誌を見て表記の不一致を怪訝に思うかもしれません。



戸部氏の著書

青蛙 (2001/04/05 01:31)

あの一件があった後、県内の大きな図書館2つを訪れましたところ、言語の書架に泰流社と戸部実之氏の著書がごろごろ見つかりました。シンハラ語とかケチュア語なんて全く興味がなかったので、これまで全く気にも留めていませんでしたが、改めてその分量にすごいと感じました。

実際に『実用アラビア語入門』など、戸部氏の著書を目にしてみましたが、私の手許にある『アラビア語入門』とは全く毛色の違ったものでした。氏の『実用ラテン語入門』も拝見しましたが、同じ泰流社から出ている『ラテン語入門』とは全く違ったものです。(ラテン語の発音に、いきなり教会ラテン語なんて出さないでほしい)
『ラテン語入門』もまともな本ですよね、massangeana さん。『アラビア語入門』と『ラテン語入門』は、戸部氏の一連の著書と違って、なぜかちゃんとした活字組みなんですよね。

戸部氏の著書は、どれもごく簡単な文法にごく簡単な会話、そして後の半分を占める単語帳と極めて簡素、初歩の初歩といった感じでした。この百ページそこそこの本が(それもワープロからの直出しで極めて品質の悪い印刷で)7〜9千円もするんですから、いくらなんでも購入する気にはなりませんね。マイナーな言語を紹介するのはいいのですが、値段が高すぎます。(でも図書館にはおいてあるから、そっちの方面ではそこそこ売れたのかも)田邉さんがああいった忠告をされたのも納得できました。



「言葉の世界」伝言板3月分

佐藤和美 (2001/04/04 12:03)

 「「言葉の世界」伝言板3月分」を追加しました。

転勤しました。今週から新しい職場です。
3月の過去ログファイルは109キロバイトでしたが、
前回の転勤の月(1998/12)は7キロバイトという過去最低を記録してます。
そうはしたくないですが、書き込みが減るのはかんべんしてください。



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