言葉の世界・伝言板 2001年3月



RE:「行進」について。

佐藤和美 (2001/03/31 16:32)

こがさん
>伝わってきた当時の発音は、「カン(kang)」(コウ<カウ<カン?)であった、と解釈していいのでしょうか?

「行」(漢音の旧仮名:かう)の「う」の発音は「う」とは書かれていても「u」ではなく、「ng」だという意味です。

>なぜ「行進」は、「行者」や「行脚」のように連濁しないのでしょうか?

私は『連濁』で「時代が新しくなると、連声と同じように、連濁の習慣がなくなっていった。地名としての「両国」は「リョウゴク」だが、日米「両国」の場合は「リョウコク」となる」と書きました。
ポイントは「行進」がいつごろから使われているかですね。
ちゃんと調べたわけではないですが、せいぜい明治あたりからかと思いますが。



「『地名の世界地図』8刷修正点」更新

佐藤和美 (2001/03/31 14:02)

『地名の世界地図』8刷修正点」を更新しました。
私の指摘した内容と、修正に対する指摘を追加しました。
8刷「黒海に流れ込む川で共通していることは、インド・ヨーロッパ語族で「川」を意味する接頭辞のDoかDaがついていることだ。ドナウ川Donauもドン川Donも、その意味するところはやはり「川」、ドニエプル川Dnepr(dan+apris)は「北の川」ということらしい。」

ドン川って、アゾフ海に流れ込んでたんですね。今まで気がつきませんでした。
黒海じゃないぞ!



もっと「ん」

面独斎 (2001/03/31 04:20)

arayebis さんのように、「原因」や「全員」の最初の「ん」を鼻にかけずに「ゲーイン」「ゼーイン」と発音する方がときどきいらっしゃいますね。そういう発音をテレビなどで聞くとギョッとなったりしますが (^^;)。ただ、この鼻母音で発音すべきところが鼻音化されないという現象が「e_in」というコンテクストでのみ起きると考えるのは早計ではないかという気がします。「二千円」を「ニセーエン」と発音したり、「一万円」を「イチマーエン」と言ったりすることが、人によっては、あるいは地域によってはありそうです。通常は鼻母音で発音する人でも、早口など丁寧でない発音の中では鼻音化せずに済ましてしまうことがあるかもしれません。

「雰囲気」のことを「フインキ」と言う人は、若い世代を中心にかなりの広がりを見せているようですね。「フンイキ」として覚えた身には信じがたい話ですが。



re: さらに「ん」

青蛙 (2001/03/31 00:05)

遅くなりましたけど。

ゆうたさん:
> 母国語として,日本語を話してるのに,
> なかなか,こんなことに気づかないものなんですね。

> そこで,もう一つ質問ですが,鼻母音として,発音された場合,
> syllableの中の/N/の位置づけ,moraの中の/N/位置づけとは,
> 異なるものなのでしょうか。

syllable(音節)と mora(拍)ですか……。
私も説明を聞いて、実際に自分で発音してみて違いに気づいたクチですから、
以前ご紹介した『日英語比較講座1 音声と形態』や同じ大修館書店から出ている
『音声学入門』などを参考にしてみてください。


arayebis さん:
> 私の場合「全員」を発音するとき「ぜーいん」となり,
> このときに鼻をつまんでも最後の[N](語尾の「ん」)以外
> 鼻にかかっていないんですけど.

> 個人の癖なのか,そういう方言なのかは分かりませんが.

私は地方(新潟)出身いや在住者で、自分で実際に発音してみて5つの/N/の違いを識別できました。
言語の発音は、地域によっても、さらに個人個人によっても違いがありますから、地域や個人によっては、その違いを識別できない場合もあるのでしょう。



正午について

未菜実 (2001/03/30 15:50)

初めまして。
凄く活発でためになるページですね。
ざっと斜めにログを見ましたが、半日がかりでした。^^;

で、チョット気になったんで。
正午の正ですが、勿論"ちょうど"と言う意味ですが、
平安時代の暦(宣明暦:せんみょうれき、862年)では一日を12辰刻に分け、その各々を、初刻と正刻に2分しました。
昼の12時を正午と言うのは「午の正刻」のことです。午(うま)の刻は午前11時から午後1時までです。

>十二支を午前0時から2時間おきにわりふっていくと昼の12時が午になります。「午前」、「午後」はこれの前後ということでいいのですが、「正しい午」とはどういうことなんでしょうか。実は「正」には「ちょうど」の意味もあるのです。「正午」は「ちょうど午」で、12時ちょうどですよ、ということなんですね。



(無題)

田邉露影 (2001/03/30 12:45)

> 実際の発音については、調べてみますが、
> たぶんWebでは表示できないでしょう。
> (定説があったかな?)

たしかどちらかが口蓋音だと言われているんでしたっけ?
東大の湯川先生が関係論文を書いていたと記憶しています。



上代特殊仮名遣い

佐藤和美 (2001/03/30 12:34)

「上代特殊仮名遣い」(1999/07/01 16:10)佐藤和美wrote
>本居宣長はいろいろなことをやった人です。
>「字余り」以外にも「上代特殊仮名遣い」というのを発見しています。
>万葉仮名は漢字を仮名的に使っていますが、ある特定の音で漢字が使い分けされているのを発見しました。
>ある特定行の「イ」段、「エ」段、「オ」が2グループに使い分けされていたのです。
>これは後に橋本進吉によって再発見されました。
>橋本進吉はこれは母音の違いではないかと考えました。万葉時代には母音が8あったというのです。
>八つの母音とは a 、i甲音、 i乙音、 u、 e甲音、 e乙音、 o甲音、 o乙音 です。
>岩波文庫に橋本進吉の「古代国語の音韻に就いて」という本があります。
>この経緯を書いていて、なかなかおもしろい本です。

橋本進吉「古代国語の音韻に就いて」はWeb上にもあります。(著作権がきれてるので)

福井大学岡島昭浩さんのページ・国語学論文集
http://kuzan.f-edu.fukui-u.ac.jp/ronbun.htm
橋本進吉「古代国語の音韻について」(lha圧縮版・可視版)
ここでLHA版をダウンロードして、読んでみてください。

実際の発音については、調べてみますが、
たぶんWebでは表示できないでしょう。
(定説があったかな?)



「行進」について。

こが (2001/03/30 01:02)

こんにちは。早速ですが、音読の連濁についてわからないことがあるので教えて下さい。「行進」(コウシン)の「行」は、古く漢音が伝わって変化したものとのことですが、1)伝わってきた当時の発音は、「カン(kang)」(コウ<カウ<カン?)であった、と解釈していいのでしょうか?つまり、日本では現在「ウ」と書かれているが、入ってきた当時の発音は「ng」だった、と。2)また、コウの語尾の発音はもともと「ng」だった、とありますが、なぜ「行進」は、「行者」や「行脚」のように連濁しないのでしょうか?よろしくお願いします。



お久しぶりです!

ゆうき (2001/03/29 22:27)

 お久しぶりです!この前は、丁寧に教えてくださってありがとうございました。(発音記号の件)ところで、「言葉」に関するホームページを見ていると、ときどき「甲音」や「乙音」という言葉がありますよね?これは何ですか?中学生にはチンプンカンプンです・・・。「名前が違うから音が違う」くらいしか解りません。調べようにも、何で調べればいいのかすら解りません。ぜひ教えてください。お願いします!



「詳説世界史」のカナ表記

佐藤和美 (2001/03/29 12:36)

高校の教科書「詳説世界史」(山川出版社)を読んでいるという話を書きましたが、
カナ表記になかなか興味をそそられます。

イェルサレム
イヴァン
ヴァイキング
テューダー朝
サライェヴォ

今の高校教科書って、みんなこういう表記なのでしょうか。
あと何10年かたったら、こういう表記が一般的なる時代が来るのでしょうか?



横レスポンス

田島照生 (2001/03/28 14:22)

横レスご容赦されたし。2chにもあった町田健さんの本(三部作)は面白く読みましたよ。
そのうちの『日本語のしくみがわかる本』はとくにお気に入りです。
大野晋さんの「『が』と『は』のちがい」に異を唱えるなど、なかなか意欲的です。
私ならばこれを「買うべき入門書」としてお勧めしますがね。

東大の教養学部は、『知の技法』『知のモラル』『知の論理』『新・知の技法』で瞬く間に
有名になりましたが、あれも石川九楊さんの仰るとおり、「ゲーム化した学問」だと思います。
石川氏は書家という点で専門家には叩かれる傾向にありますが、彼の文化論は傑出しています。
小手先だけの学問は「学問の頽廃」というに相応しい。教授のレヴェルも玉石混淆です。



Re^2: 泰流社 アラビア語入門

青蛙 (2001/03/27 00:10)

massangeana さん:
> この本はまだ泰流社が語学本インフレになる前に出たもので, 信用できると思います。

田邉さんに指摘されて焦ってしまいましたが、内容に関しては信頼が置けるものなんですね。ひとまず安心いたしました。

> 教科書に採用されていたのは, 以前は日本語で書かれたアラビア語の入門書というと,
> この本と岩波の本しかなかった, という事情もあります。

道理で。私がこの本を入手したのはかなり以前のことで、当時はアラビア語の参考書なんてほとんど見かけない頃のことでした。泰○社なんて出版社は全く知らず、たまたま古本屋にあったのを目にして、古本ゆえに安価であったこと(言語の参考書はマイナーであればあるほど高価ですから)、わかりやすかったこともあって購入したものです。


田邉さん:
> でも別に「東大だから」という権威的な見方は
> よろしくないかと思います。
>
> 東大だって色々な先生がいらっしゃいますから。

う〜ん、やはりツッコまれてしまいましたね(^_^;。
件の書物の評価を探るべく検索していたところ、見出し(って言うんでしょうか)に学校名が記されていたうちの初めから二つが(これもたまたま)東大だっただけで、権威立てするつもりではありません。同じ検索ページの最後(見出しに学校名があるものでは3番目)には慶応大学が出ています。
(http://www.fbc.keio.ac.jp/l3jugrad/l2j_courceHG-body.html)
他に、見出しに学校名がないものでも、九州大学や千葉大学などでも使われているようです。

> でも、今ならもうちょっと良い本がありますよね、多分。

その後、いくつか出版されたようですが、参考書は『アラビア語入門』で事足りていたので、あまり注意を払っていませんでした。最近では初学者向けの参考書や辞書が発刊されているようです。



2chの書き込み

田邉露影 (2001/03/26 22:42)

>massangeanaさん
でも、今ならもうちょっと良い本がありますよね、多分。
(私はアラビア語は専門ではないので分かりませんが)

泰流社の書籍の唯一の強みって、
他にどの出版社も出していないような、
語学の入門書が揃っていることだと思います。

今でいうインターネットのようなものでしょうか……。
(自分も怪しげな語学入門を書いているので、
 人のことを言えませんが)


>佐藤和美さん
2ch の例の書き込みを読みましたが、
スルドイ指摘っていうか、
苦笑せずにはいられない発言が多いですね。

っていうか、
私は徳永先生は大好きですけれども、
田中先生とか千野先生とか、
徳永先生のお弟子さんの先生方って、
本当にアクが強い人が多いですね……(^_^;。



「買ってはいけない」入門書

佐藤和美 (2001/03/26 14:21)

もう一つ、2chから

「買ってはいけない」入門書
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=gengo&key=961066448



戸部実之スレッド

佐藤和美 (2001/03/26 12:56)

2chに戸部実之スレッドなんてのがあります。
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=gogaku&key=970623584



Re: 泰流社 アラビア語入門

massangeana (2001/03/26 12:00)

この本はまだ泰流社が語学本インフレになる前に出たもので, 信用できると思います。
ただし印刷が, アラビア語タイプライターの出力に手書きで母音記号を加えたものなので,
読みづらい(誤記もちらほら)という欠点はあります。
教科書に採用されていたのは, 以前は日本語で書かれたアラビア語の入門書というと, こ
の本と岩波の本しかなかった, という事情もあります。



RE^2:泰○社のこと

田邉露影 (2001/03/25 21:57)

>青蛙さん
> > これは裏話ですが、
> > この出版社から本を出すというのは、
> > それだけでも烙印になるそうです(^_^;。
> >
> > もちろん、参考文献にしようしても。
>
> ええっ、そうなんですか。こいつはまじいなぁ。泰○社って、それほど評判の悪い出版社だったんですか。

なにしろ、
私の先生の話によると、
泰○社は入稿すれば即採用だったのだそうです。
(その代わり印税はナシ)

ですから、特に専門家でなくても、
本が出したい人は泰○社に持って行けば…………。
(利害の一致)


> 私が参考にさせていただいているのは、
> この出版社からは1冊だけなのですが、
> 『アラビア語入門』という本です。
> 共著書で、著者のお一人は東京外国語大学教授、
> もうお一人は拓殖大学講師となっておりますから、
> ご両人とも外国語の先生なのでしょう。

いくら大学教授だからといっても、
失礼ですがピンからキリまでいらっしゃいますからね。


> 泰○社で70冊近くも著している“あの方”ではありませんでした。
> 私自身、この本を使っていて非常に分かり易く、
> 重宝にしていたのですが……。

確かに……確かに泰○社の全てが全て、
トンデモ本ではないです。
数打ちゃ当たるってやつです(^_^;;;。


> これまでこの本に関する悪い話も耳にしたことはありませんでしたし、泰○社がなくなった後も、最近になって別の出版社から改題されて復刊されているのも、この本が信頼されているからだと思っておりました。田邉さんに指摘されたので、気になって調べてみたところ、東大では教科書としても取り上げられていたようですし。
> (http://www.l.u-tokyo.ac.jp/official/lecture/lec96/other/gaikokugo.html)
> (http://www.l.u-tokyo.ac.jp/official/lecture/lec96/shiso/islam.html)

アラビア語関連の勉強をされている方は、
何かと泰流社の著書を知る機会が多いようですね。


でも別に「東大だから」という権威的な見方は
よろしくないかと思います。

東大だって色々な先生がいらっしゃいますから。

下に書いてあるギリシア語のクラスで
教科書として挙がっている
 田中・松平『ギリシア語入門』(岩波全書)
だってけっこうトンデモない本ですよ〜。
(ウソ本の類いではないですけれども)


とくに文学の先生が語学を教えるケースでは、
別にその先生が言語学の知識を
持ち合わせていない場合が多いです。

うちの大学にはスウェーデン語のクラスがあるのですが、
スウェーデン文学が専門の先生に
ウムラウトの事について尋ねてみたところ、
まったくデタラメなことをおっしゃっていました(^_^;;。


> > そういうわけで、
> > 同出版社を参考にされた部分は、
> > できるだけ再調査してみた方が良いかと思います。
>
> もちろん、この本だけに依拠するのではなく、
> 適宜、別の本も参照するようにしております。
> しかし、田邉さんのご指摘のとおりだとすると、
> ちょっとどころか大いに考えさせられてしまいます。

う〜む、
やはりこの出版社からの引用に関しては
大いに考えられることをお薦めします。

っていうか、
よっぽどのことがない限り
やめた方が無難です(^_^;;。


>nupkesさん
>  泰○社の『シンハラ語入門』p.34のある単語に
> 「親切」との訳語が書いてあります。
> これは、本来は「種類」の意味です。
> つまり、種本は英語で、
> kindと書いてある物を間違って訳したと推定できます。
> このことからだけでも、信用しづらい書籍です。

日本語で書かれた唯一のハンガリー語関連の辞典が、
やはり泰○社から出ているのですが、
……凄いですよ。

多分、洪英辞典で単語を調べて、
一番最初の単語だけを辞書で引いて、
一覧表にまとめたであろうと推測できる部分のみで
占められています(-_-;。


>  著者の戸○実○氏は、『アイヌ語入門』も書いていますが、
> 少なくともアイヌ語地名関係書籍に引用または、
> 文献としてあがっていることを知りません。
> アイヌ語地名関係者は、この書籍を無視しています。

この著者、ラテン語の入門書も書いているのですが、
属格と所有格の区別すら出来ません。
(まあ、うちにもそういうスウェーデン語の先生が、
 いらっしゃいますけれどもね(-"-;)

多分、英語辞書で genitive 「所有格, (言)属格」と
書いてあったんで、
属格というのは聞き慣れない言葉なので、
聞いたことのある「所有格」という言葉を使ったのでしょう。



さらに「ん」

arayebis (2001/03/25 21:53)

・・・・・店員は[te:iN]ではなく[tee~iN]と鼻にかかった「エー」と発音しているのです。店員と定員を、ちょっと注意
    して、実際に発音して比べてみてください。
    私はこの事を知ったとき、フランス語の発音をしようとしていて既に鼻母音を発音していた自分に驚いてしまいまし
    た。...

私の場合「全員」を発音するとき「ぜーいん」となり,このときに鼻をつまんでも最後の[N](語尾の「ん」)以外鼻にかかっていないんですけど.
一応私も第二外国語でフランス語をやったので鼻母音はわかります.「enchante」ははっきり鼻にかかります.
ワープロで「ぜえいん」と入力してしまうことがあるんです.
私個人の癖なのか,そういう方言なのかは分かりませんが.



RE:泰○社のこと

nupkes (2001/03/25 19:47)

 泰○社の『シンハラ語入門』p.34のある単語に「親切」との訳語が書いてあります。これは、本来は「種類」の意味です。つまり、種本は英語で、kindと書いてある物を間違って訳したと推定できます。このことからだけでも、信用しづらい書籍です。
 友人のスリランカ人にこの本を見せたところ、非常に怒っていました。
 著者の戸○実○氏は、『アイヌ語入門』も書いていますが、少なくともアイヌ語地名関係書籍に引用または、文献としてあがっていることを知りません。アイヌ語地名関係者は、この書籍を無視しています。



『地名の世界地図』8刷修正点

佐藤和美 (2001/03/25 17:15)

『地名の世界地図』8刷修正点」をまとめました。
8刷でこちらの指摘で修正された箇所は50箇所ちょっとでした。
なお、修正が妥当なものであるかどうかには、ふれていません。



Re^3: 「ん」について

ゆうた (2001/03/25 06:13)

>ゆうたさん:
>私たちは、普通「ん」という一つの文字(仮名)だけしか使いませんが、この「ん」は、いろいろな音を表しているのです。
1)タ行、ダ行、ナ行子音の前では[n]
2)マ行、バ行、パ行子音の前では[m]
3)カ行、ガ行子音の前では[?](G をひっくり返したやつ)
4)語尾では[N]
そして
5)母音の間では鼻母音となる
のです。
>店員は[te:iN]ではなく[tee~iN]と鼻にかかった「エー」と発音しているのです。店員と定員を、ちょっと注意して、実際に発音して比べてみてください。
私はこの事を知ったとき、フランス語の発音をしようとしていて既に鼻母音を発音していた自分に驚いてしまいました。
>以上の違いは、私は自分で実際に発音してみて違いに気づきましたが、方言によっては差異があるかもしれません。
>あと、このサイトの「日本語とその周辺」の「連声」が参考になります。

青蛙さん
貴重なご意見ありがとうございます。「(5)鼻母音になる」のには気づきませんでした。確かに,実際発音してみると,そうなりますね。実は,今,アメリカで音声学の授業をとっているのです。その授業でこの/N/を取り上げてるのですが,なかなか文献がなく困っていたのです。syllableとmoraを絡めて,この/N/の変化について(/N/の特性について),見てみようと思っていたのです。母国語として,日本語を話してるのに,なかなか,こんなことに気づかないものなんですね。
そこで,もう一つ質問ですが,鼻母音として,発音された場合,syllableの中の/N/の位置づけ,moraの中の/N/位置づけとは,異なるものなのでしょうか。もし,よろしければ,教えて下さい。宜しくお願いします。



泰○社のこと

青蛙 (2001/03/25 01:08)

田邉さん、ご丁寧なレスをありがとうございます。

> ……あの出版社の出している本は、
> 基本的に信用してはいけません。
>
> 著者のほとんどは研究者でも何でもない人や、
> 似非研究者ですから。
>
> これは裏話ですが、
> この出版社から本を出すというのは、
> それだけでも烙印になるそうです(^_^;。
>
> もちろん、参考文献にしようしても。

ええっ、そうなんですか。こいつはまじいなぁ。泰○社って、それほど評判の悪い出版社だったんですか。

私が参考にさせていただいているのは、この出版社からは1冊だけなのですが、『アラビア語入門』という本です。共著書で、著者のお一人は東京外国語大学教授、もうお一人は拓殖大学講師となっておりますから、ご両人とも外国語の先生なのでしょう。泰○社で70冊近くも著している“あの方”ではありませんでした。私自身、この本を使っていて非常に分かり易く、重宝にしていたのですが……。

これまでこの本に関する悪い話も耳にしたことはありませんでしたし、泰○社がなくなった後も、最近になって別の出版社から改題されて復刊されているのも、この本が信頼されているからだと思っておりました。田邉さんに指摘されたので、気になって調べてみたところ、東大では教科書としても取り上げられていたようですし。
(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/official/lecture/lec96/other/gaikokugo.html)
(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/official/lecture/lec96/shiso/islam.html)


> そういうわけで、
> 同出版社を参考にされた部分は、
> できるだけ再調査してみた方が良いかと思います。

もちろん、この本だけに依拠するのではなく、適宜、別の本も参照するようにしております。しかし、田邉さんのご指摘のとおりだとすると、ちょっとどころか大いに考えさせられてしまいます。



re: 疲れる修正

田邉露影 (2001/03/24 11:56)

> これもその口ですか。
>
> (「インド・ヨーロッパ語族」?)
> (「dan+apris」は何語のつもり?)

そのうち同じ段落でも、
意味がまったく通じない文章が出来上がることでしょう。

語源学のようなそれほど売れる見込みのない
「本を出す」ということは、
著者にもそれなりの意気込みが
あるはずなのですが……。



疲れる修正

佐藤和美 (2001/03/24 10:25)

こういう修正は疲れるなぁ。

『地名の世界地図』P200
「黒海に流れ込む川で共通していることは、インド・ヨーロッパ語族で「川」を意味する接頭辞のDoかDaが必ずついていることだ。ドナウ川Donauもドン川Donも、その意味するところはやはり「川」、ドニエプル川Dneprは「北の川」ということだ。」

私の指摘は「「Dnepr」には「Do」も「Da」もついてない。「DoかDaが必ずついている」の直後に「Dnepr」があるなんて、ちょっとはずかしいですね。「d」、「n」がついてるとしたほうがいいんじゃないですか。」
これがどうなったか。

「黒海に流れ込む川で共通していることは、インド・ヨーロッパ語族で「川」を意味する接頭辞のDoかDaがついていることだ。ドナウ川Donauもドン川Donも、その意味するところはやはり「川」、ドニエプル川Dnepr(dan+apris)は「北の川」ということらしい。」

「必ず」を削除。
「(dan+apris)」を追加。
「だ」を「らしい」に変更。

疲れる修正ですねぇ。
いくら指摘しても無意味なのかなぁ。

田邉さん
>高校生の小論文の手直し程度にしか、
>文章内容を直していないという根性が凄いです。

これもその口ですか。

(「インド・ヨーロッパ語族」?)
(「dan+apris」は何語のつもり?)



re: 『世界地図』シリーズに思う

田邉露影 (2001/03/24 02:38)

『ゴルゴ13』の第1巻なんて、
ハンガリー人の「セルゲイ」だとか、
凄まじく田舎な「ブダペスト」だとか、
旅行者ビザを発行してもらえばいいのに、
わざわざスキーで不法入国したり……。

また『孔雀王』のアーリア人思想にも驚かされました。
(この本もいかにも誇らしげに、
 トンデモ本を参考文献に挙げています)

……しかし、これらは漫画ですが、
『〜の世界地図』は漫画ではありません。
『文明の衝突』は自分の名前・地位を明記して、
しっかりと面と向かって批判を受けていますけれども、
(確かにあの本はどうかと思います(^_^;;)
『〜の世界地図』は明記されていないために、
それは不可能です。


> 田邉さんも指摘しておられますが、
> 文春側は、佐藤さんの web ページの存在と、
> 刻々と(と言っては大げさでしょうか)
> 自社の製品に対するミスが寄せられていることを、
> どのように受け留めているのでしょうか。

非常に悪い言い方をさせていただきますが、
もしかしたらクレーマーという認識を
しているかもしれませんね。


> ところが、『世界地図』シリーズは
> 9人のメンバーからなる共著書です。
> それも私のようなド素人ではなく、
> その道の研究者が9人も寄り集まっているというのに、
> あの間違いの多さ、
> まとまりの悪さはどうしたことでしょうか。

まあ、文章の論調からして、
非常に稚拙であると言わざるを得ません。


> 著作(商業出版)に対してあまりに無責任ではありませんか。
> 改訂版では、佐藤さんに対する
> 著作権がらみのケジメもさることながら、

実は似たような本って、
意外と多いんですけどね。

例え朝○新聞でも。
(実際ハンガリー関連の記事では
 かなり研究者の反感を買うような
 内容が多いのだそうです)


> 文責を明らかにするためにも、「21世紀研究会」なるグループのメンバーの個人名と略歴を開示するべきだと思います。

同感です。

例えば山川出版社の『新版 世界各国史』シリーズは
非常に懇切丁寧に書いてあり、
適切な研究者の手によって
書かれていることもさることながら、
きちんと個人名と略歴に関して、
巻末に明記してあります。


> それとも、彼らがそれを無視して、勝手に創作したものなのでしょうか?

多分、
「話の面白おかしそうな文献」
から拝借してきたものが、
ほとんどなのじゃないでしょうか。


> > まるで泰○社みたい(^_^;;;;。
> 実名を出して恐縮なのですが、

まあ、もうあの出版社はないですからね。


> 語学がらみで泰○社というは「泰流社」のことでしょうか?

そうです。


> 実は私、この出版社が出した書物で
> 参考にしているものがありますので、
> 何か問題があるようでしたら、
> 差し支えない範囲でご教示いただけたら幸いです。

だいたい一人の著者が、
ラテン語入門、ルーマニア語入門、ハワイ語入門などなど、
計10言語ほどの本を同出版社で出すなんておかしいです。


まあ、十把一絡げにするのも問題があるのですが、
……あの出版社の出している本は、
基本的に信用してはいけません。

著者のほとんどは研究者でも何でもない人や、
似非研究者ですから。

これは裏話ですが、
この出版社から本を出すというのは、
それだけでも烙印になるそうです(^_^;。

もちろん、参考文献にしようしても。


つまり、例の文春の騒動と同じように、
著者も出版社も責任感があまりにも無さ過ぎるんですよ。


ラテン語入門に関しては、
私も目を通しましたが、
明らかにこの著者はラテン文法が分かっていません(^_^;。
多分、違う洋書から拝借してきたものに、
自分風味のスパイスを加えたものでしょう。

また、ハンガリー語に関する同出版社の書籍も、
なんら信頼できるものはないのだそうです。
(ハンガリーが専門の先生から直接確認済み)


そういうわけで、
同出版社を参考にされた部分は、
できるだけ再調査してみた方が良いかと思います。



Re^2: 「ん」について

青蛙 (2001/03/24 01:50)

ゆうたさん:
私たちは、普通「ん」という一つの文字(仮名)だけしか使いませんが、この「ん」は、いろいろな音を表しているのです。
1)タ行、ダ行、ナ行子音の前では[n]
2)マ行、バ行、パ行子音の前では[m]
3)カ行、ガ行子音の前では[?](G をひっくり返したやつ)
4)語尾では[N]
そして
5)母音の間では鼻母音となる
のです。
店員は[te:iN]ではなく[tee~iN]と鼻にかかった「エー」と発音しているのです。店員と定員を、ちょっと注意して、実際に発音して比べてみてください。
私はこの事を知ったとき、フランス語の発音をしようとしていて既に鼻母音を発音していた自分に驚いてしまいました。
以上の違いは、私は自分で実際に発音してみて違いに気づきましたが、方言によっては差異があるかもしれません。
あと、このサイトの「日本語とその周辺」の「連声」が参考になります。

arayebis さん:
> あと英語のSituationを発音するとき私は最初のsiが無声化してしまうんです.なおしたいけどできないんです.
おっしゃるとおり、無声音に挟まれるとその母音も無声化してしまいがちです。無声化するのはまずいので、そのようなときはいっそうのこと、挟まれる母音を省略してしまった方がよいそうです。(國廣哲彌・編『日英語比較講座1 音声と形態』大修館書店)
# できぬなら おとしてしまえ ほととぎす



『世界地図』シリーズに思う

青蛙 (2001/03/24 01:07)

佐藤さんがご報告しておられるところによれば、『地名の世界地図』は3月15日付で第8刷が出ており、さらに4月7日付で第9刷が出るとのことです。田邉さんも指摘しておられますが、文春側は、佐藤さんの web ページの存在と、刻々と(と言っては大げさでしょうか)自社の製品に対するミスが寄せられていることを、どのように受け留めているのでしょうか。

もし、これからもシリーズの出版を続けるつもりであれば、その場しのぎのマイナー・チェンジによる増刷は直ちに止めて、ある程度の期間をおいて、そこに書かれていることを徹底的に吟味し、単なる増刷ではなく、これまでとは全く別の「改訂版」と位置付けて発刊すべきではないでしょうか。そうでなければ、私はこれらの書物に対して、トンデモ本としてすらも「買ってはいけない」と申し上げざるをえません。

それが単独著であったなら、そいつのフライングなんだなと、一連のトンデモは理解できます。ところが、『世界地図』シリーズは9人のメンバーからなる共著書です。それも私のようなド素人ではなく、その道の研究者が9人も寄り集まっているというのに、あの間違いの多さ、まとまりの悪さはどうしたことでしょうか。著作(商業出版)に対してあまりに無責任ではありませんか。改訂版では、佐藤さんに対する著作権がらみのケジメもさることながら、文責を明らかにするためにも、「21世紀研究会」なるグループのメンバーの個人名と略歴を開示するべきだと思います。

それにしても、シリーズにおける間違いは、「21世紀研究会」の面々が参考文献として掲げていたものに既に見られるものなのでしょうか。それとも、彼らがそれを無視して、勝手に創作したものなのでしょうか?

田邉さん:
> まるで泰○社みたい(^_^;;;;。
実名を出して恐縮なのですが、語学がらみで泰○社というは「泰流社」のことでしょうか? 実は私、この出版社が出した書物で参考にしているものがありますので、何か問題があるようでしたら、差し支えない範囲でご教示いただけたら幸いです。



re: 『世界地図』

田邉露影 (2001/03/23 14:41)

> 特殊アルファベットは若干の例外を除いて、使う気ないようです。

う〜ん、言語をナメていますね(^_^;。

っていうか佐藤さん、松茸さん、私をはじめ、
膨大な量の訂正があるはずなのに、
高校生の小論文の手直し程度にしか、
文章内容を直していないという根性が凄いです。

著者は素人だし、
まるで泰○社みたい(^_^;;;;。



『世界地図』

佐藤和美 (2001/03/23 12:33)

きのうは、8刷(3/15発行)をもらいました。
でも直しもれがあるようで、9刷が4/7に出る予定だそうです。

なお、ただ働きにはならなくてすみそうです。

さて指摘したところはどうなったかな?

「「地名の世界地図」の笑えるネタ?」(2001/02/17 17:38)
>次は算数の問題
>P14
>前二二五年頃……  千三百年後……  一五三三年
>「前」の意味がわかってないようで……

これがどうなったか。

前二二五年頃……  約千七百年後……  一五三三年

どう思います?
前二二五年から一五三三年は一七五七年なんだけど。
(BC+AD-1 → 225+1533-1 → 1757)
千七百よりも、千八百に近い……
「約」をつけたから、千七百でもいいことにした?

P26
「カンヌCannesは「葦」だから、おそらく当時は葦原が広がる浜辺だったのだろう。」

葦は淡水の岸辺に生えるのではないかとの質問に、こうなってました。
「カンヌCannesは「葦」だから、おそらく当時は葦原が広がる土地だったのだろう」

P32-33
「前133年までのローマ帝国」の図

これは「ローマ帝国の最大版図」に変更になってました。

P44-45
「ケルトの居住地」の図

これは「ローマ軍侵攻以前のケルトの居住地」になり、
イベリア半島の一部、ヴェネツィアのあたりが追加でぬられてます。

「ローマ軍侵攻以前」て、あいまいな表現ですね。
この図も検証が必要かな?

P120
「日本でも大ヒットしたザ・フォーク・クルセイダーズの「イムジン江」は、」

フォークルの「イムジン江」は大ヒットなんかしてないし、レコードだって発売中止になったんだぞ。それにザ・フォーク・クルセイダー「ス」だぞ。
で、これになりました。
「日本でもはやったザ・フォーク・クルセイダースの「イムジン江」は、」

9刷、手に入ったら、またこの本と格闘開始かな?

特殊アルファベットは若干の例外を除いて、使う気ないようです。



「ぼんやり」の語源について

浅野陽子 (2001/03/23 01:13)

初めての質問です。
「ぼんやりする」「ぼんやり見える」の「ぼんやり」の語源をご存じでしょうか。
少し調べたのですがよくわかりませんでした。お教え願います。
アメリカ人に聞かれたのですが、困りました。よろしく。



『世界地図』

佐藤和美 (2001/03/22 12:35)

いよいよ今日ですねぇ。
前回の指摘分がどう訂正されてるか、みものです。

>> あらかじめ著作権・原稿料については
>> きちんと白黒つけておいた方がいいのではないでしょうか。
>……同感です。

田邉さん、松茸さん、ありがとうございます。
今回はこのへんもはっきりさせたいと思います。

>「デューク Duke (姓)「男爵」。」 (『人名』p.289)
>……こんな侮辱をうけた以上、あの人物もすすんで依頼を受けるでしょう。

デューク・トーゴーもバロン・トーゴーに格下げですか。(^^);

http://www01.sankei.co.jp/databox/paper/0101/06/paper/today/book/06boo004.htm
産経新聞書評
『地名の世界地図』
フジ・産経グループは教科書検定でもめてる最中ですけど、『地名の世界地図』は産経好みのネタですね。
こうなってくるとただの間違いじゃすまないですね。

http://book.asahi.com/rev/rev01031401.html
朝日新聞書評
『人名の世界地図』
久世光彦さんの書評
間違いに気がついてないみたい。

http://kyoto.cool.ne.jp/bbs/saland?num=1098&ope=v&page=
「研究会じゃなくて勉強会の間違いじゃないの?」
ナットク!



『世界地図』シリーズのアブない記述

松茸 (2001/03/21 23:42)

 いいかげんしつこいですが、以下のような記述を〈単純な間違い〉として許容しては呉れない集団も、世界には存在しますので、あえて書きます。
# 一部、佐藤さまへ別途ご連絡した分と重複しています。
# また、最新刷では直っているかも知れません。乞うご容赦。
1) モンテネグロが「一九九〇年には東欧革命の影響で独立を果たした。」 (『地名』p.64〜65)
2) パフレヴィ朝は「[前略]アリアナ Ariana (アーリア人)がペルシア語に転訛したイラン Iran を国名にしたのだった。」 (『地名』p.161〜162。強調は引用者による)
3) 「マホレ島の住民の大部分がキリスト教であり、思想、文化まで西欧化してしまっているので、いまさらアフリカにもどれといわれても引き返せないところまで来てしまっている[後略]」 (『地名』p.192)
4) 地図の問題ですが、『地名』p.163で、「クルディスターン地方」がイラン北部に限られるかのような不正確な表示になっている。
……まだまだありますが、テロにでも遭いたいんですかね、文春は?
 更に:
5) 「ゴルゴダの丘」(『地名』p.148)・「エルサレムのゴルゴダの地」(『人名』p.131)
6) 「デューク Duke (姓)「男爵」。」 (『人名』p.289)
……こんな侮辱をうけた以上、あの人物もすすんで依頼を受けるでしょう。
 というわけで、佐藤さま、明日はくれぐれもお体にお気をつけてください。

# 『民族の……』が一番アブなそうですが、怖くて未読です。


※真面目な追伸
田邉さま曰く:
> あらかじめ著作権・原稿料については
> きちんと白黒つけておいた方がいいのではないでしょうか。
……同感です。
 単純な抗議の投書ならいざしらず、訂正箇所の指摘のため二度も担当編集者と面会して打ち合わせるというのは、事実上の共同編著者ということでしょう。
 向こうは大出版社ですし、なまじヴォランティア精神を発揮する必要はないと思います。

 なお、「21世紀研究会」の著作に関する、今までおよび今後の私の本伝言板への書き込みは、特に断らない限り、私の著作権(仮にあったとして)を一切放棄することを、この場を借りて明らかにしておきます。
# ただし、自分の書いたものを「参考」にして、盗用にならない範囲で新たに文章を起こす権利は、もちろん保留しておきます。(^^;



慣用読み

佐藤和美 (2001/03/21 12:36)

本屋で高校の世界史の教科書売ってたので、買ってきてぼちぼち読んでます。
(「詳説世界史」山川出版社)

巻末に「ヨーロッパ人名対照表」っていうのがあって、ここに「慣用」っていうのが載ってました。
どの言語にもよらない、日本独自の読み方ということでしょう。

ダヴィデ
ドミニコ
フェルディナンド
ヨハネ
パウロ
ペテロ
テレサ
ザビエル

慣用読みっていろいろあるんですねぇ。
「イエス(キリスト)」も慣用読みかな?



re^4: アーリア語

田邉露影 (2001/03/20 22:58)

> 私の回答が露影さんの質問と噛み合ってませんでした ^^;

ははは、インターネットではよくあることです。


> 私は辞書で「anchor」を引いたらそこに
> 「アーリア語から」と書いてあったので、
> それを引用しただけで、「アーリア語」≒「印欧祖語」というのは
> 恥ずかしながら今知りました。

もしかしたら文献が古いのかもしれませんね。

そういうこともあるので、
実際に「辞書からの引用」という行為は、
非常に危険度の高いものなんです。


実際に「アーリア語」というのは、
非常に誤解を招く言葉ですし、
なにより個人的には
アーリアという語には
政治的・人種的意味合いが強いので、
できればこの用語は避けるべきなのではないかと考えています。
(別に「使ってはいけない」とはいっていません)

さらにアーリアというのは、
しばしばインド・イラン語派のことを
表現することもあります。


さて、上で「政治的」といく表現をしましたが、
それはナチ、あるいはそれより少し前の時代、
「アーリア人種の思想」がもてはやされていたのですが、
(詳しくは
 http://www.ops.dti.ne.jp/~manva/
 の掲示板に私が書いた覚えがあるので、
 興味がおありでしたら、
 過去ログを探してみると良いかと思います。)
現在、「印欧祖語」という言葉が定着化しつつある中で、
敢えて「アーリア語」という言葉を使うということは、
それなりの意図があるのでは、と
個人的に勘繰ってしまったのです。

それで私はつい「どういう意図なのか」を
お尋ねしてしまったわけです。


なお比較言語学の簡単かつかなり大雑把な概略が、
私のページにあるので、
こちらもヒマがおありでしたら、
見てやって下さいまし。


> → 参考ページ

あ゛、このEKERTTってのは私です(^.^;;;;;;;;。

古代アイスランド語で
「私はTT(本名のイニシャル)である」という
意味だったのですが、
実は文法ミスで、正しくは EKEMTT です(^"^;。


> 「印欧祖語」の方が変な誤解を招かない表現ですね。

もちろん問題がないわけではありませんが、
妥当なところ、というところでしょうね。


> そのうち直しておこうと思います。ご指摘ありがとうございました。

お役に立てて光栄です。



RE:教えて下さい

佐藤和美 (2001/03/20 08:44)

湖乃ほとりさん
>沖縄の言語で「ティーダ」と「ユウナ」ってどういう意味を持つんですか?

国立国語研究所「沖縄語辞典」(大蔵省印刷局)からです。

tiida 太陽。お日さま。日輪。
'juuna 植物名。はまぼう。おおはまぼう。しまはまぼう。黄槿。あおい科の灌木。花は黄色、葉は円形で厚く、農村で食物をのせたり、ちりがみの代用にしたりする。

「?」声門破裂音伴う
「'」声門破裂音伴わない
長母音は母音を重ねて表記する



re^3: アーリア語

UEJ (2001/03/20 04:11)

私の回答が露影さんの質問と噛み合ってませんでした ^^;
私は辞書で「anchor」を引いたらそこに「アーリア語から」と書いてあったので、
それを引用しただけで、「アーリア語」≒「印欧祖語」というのは
恥ずかしながら今知りました。→ 参考ページ(http://www1.odn.ne.jp/beni/gengo/open1.html)
「印欧祖語」の方が変な誤解を招かない表現ですね。
そのうち直しておこうと思います。ご指摘ありがとうございました。



re^2: アーリア語

田邉露影 (2001/03/20 02:17)

>UEJさん
> Random HouseもしくはOEDに書いてあったと思うのですが、

え? なぜ英語が出てくるのでしょうか?
いや、そもそも私も意味は知っています。

しかし、UEJさんなら当然「印欧祖語」という言葉を
ご存じのはずなのに、
なぜ敢えて「アーリア語」という言葉を使ったのかを
知りたかっただけなのです。



アーリア語

UEJ (2001/03/19 23:51)

> 「アーリア語」と書かれているのには、
> なにか意図がおありなのでしょうか?
Random HouseもしくはOEDに書いてあったと思うのですが、
諸般の事情により現在どちらの辞書にもアクセスできない状態なので
ちょっと確認できません。

何か問題があればご指摘ください。m(_"_)m



(無題)

田邉露影 (2001/03/19 22:09)

>UEJさん
「アーリア語」と書かれているのには、
なにか意図がおありなのでしょうか?



[[

田邉露影 (2001/03/19 22:03)

> 木曜日(3/22)の夜に会う予定です。
> (>田邉さん、どうしよう)

せっかくお声いただいたのですが、
22日はちょっと無理そうですね。

来られるとしても、
10:00pm 頃になってしまいそうです。

火・金曜日でしたら予定が空いていたのですが……(^_^;。


> その後の『地名の世界地図』の手持ちの間違い・疑問点は
> どうにもまとまりがつかないので、
> 今回は『人名の世界地図』の判明分を持っていこうかと思っています。

私の疑問点としては、
前にも挙げさせて頂きましたが、
大まかには
「辞書の又引きをしていないだろうか?」
「歴史観の解釈に偏りがないだろうか?」
「『ヨーロッパ言語の旅』という著作を知っているだろうか?」
 (……どうせ洋書文献は読んでないでしょう)
を両方の本に関して、
お聞きしたいところです。


> 『地名の世界地図』に関してはまとまりしだい(数週間後?)FAXかなにかで送ることになるでしょう。(E-mailは苦手らしいので。)

あらかじめ著作権・原稿料については
きちんと白黒つけておいた方がいいのではないでしょうか。



『世界地図』

佐藤和美 (2001/03/19 12:53)

文春から連絡がありました。
『地名の世界地図』の新しい版(8刷?)の見本ができたそうです。
3/1にこちらが伝えた分の訂正が含まれているものでしょう。
木曜日(3/22)の夜に会う予定です。
(>田邉さん、どうしよう)
その後の『地名の世界地図』の手持ちの間違い・疑問点はどうにもまとまりがつかないので、
今回は『人名の世界地図』の判明分を持っていこうかと思っています。
『地名の世界地図』に関してはまとまりしだい(数週間後?)FAXかなにかで送ることになるでしょう。(E-mailは苦手らしいので。)



アングル人の地

UEJ (2001/03/19 09:31)

拙ページもご参照ください。↓

http://home.att.ne.jp/green/uej/kotoba/angle.html



Re:教えて頂きたいのですが・・・

坂梨 (2001/03/19 06:44)

>>レミさん
お尋ねの件、「伝言板」2000年5月分をご参照ください。



『天文学辞典』

青蛙 (2001/03/19 00:19)

松茸さん、いろいろとありがとうございました。おかげさまで、コペルニクスについてより良い情報を得ることができました。

>  鈴木敬信『天文学辞典』については、是非とも
> http://bosei.cc.u-tokai.ac.jp/~haruta/detarame/keisin2.html
> を参照してください。
先回のことといい、松茸さんも疑似科学に興味をお持ちのようで。
上記の web ページ、存じておりました。『天文学辞典』は「トンデモ本」ならぬ「デタラメ本」ですってね。いえ、だからといって全部が全部デタラメということはないでしょうし、先行資料をコピペしただけの、他の同じような辞典類よりも断然に面白いですよ。私は楽しく読ませていただいています。
著編者の鈴木敬信氏は、言葉にも独自の思い入れがおありだったようです。氏に言わせれば、「紫外線」は間違いで「菫外線」が正しいとか、わしゃ「クエーサー」なんて認めない「クアサール」じゃなきゃだめだそうで、先のページで指摘されていた以外でも、いろいろとツッコミどころがあります。美味しいけど毒がある河豚のようなものとお考えください。初版は1986年ですが、現在も増補版が出回っていますので、図書館等で見かけることがありましたら、巻頭の「本書の執筆・編集にあたって」だけでも、ぜひ目を通してみてください。

# この書物の最大の難点は、参考文献が掲げられていないことです。
# 書かれていることの裏付けが取れませんから。



RE:「ん」について

arayebis (2001/03/18 22:59)

>原因,牽引,船員,店員,全員,などは,[gein],[kein][tein],[senin],[zein]などと,/n/が消え,/ei/とのばしますよね?これは,n→#/e__inとなると思うのですが,どうして,こんなことが起こるのでしょう?それに,雰囲気は,[funiki]とは発音せずに,[fuinki]と発音しますよね。どうして,/n/は移動するのでしょうか?何か規則でもあるのでしょうか?

私は東京方言の話者なんですが「原因」と「全員」は「げーいん」「ぜーいん」と発音します.
店員は場合によっては「てーいん」と発音します.(たまにワープロ入力で間違えることがあります)
雰囲気は「ふんいき」と発音します.
自分の発音にあまり注意を払ったことがなかったから,こういった質問って面白いですね.
東京方言はglottal stopがやたら多いんです.
東京でも下町近くに育った父と山の手近くに育った母は発音や用語がかなり異なり,いつも喧嘩してました.
母曰く「まっつぐはおかしい,新宿はしんじゅくであってしんじくではない.うるかすなんて言う日本語聞いたこと無い」
でも関口宏さんや森山良子さんは「まっつぐ」とか「うるかす」って言うんですよね.
あと英語のSituationを発音するとき私は最初のsiが無声化してしまうんです.なおしたいけどできないんです.



Re^2: コペルニクス

松茸 (2001/03/18 22:42)

 歴史掲示板みたいになって恐縮ですが……。

 ご存知と思いますが、「コペルニクスはドイツ人だ」という主張があります。
 「チンギスハーンは日本人(=源義経)だ」などと違い、かなり根拠があるようです。
 例えば:
 http://www.asahi-net.or.jp/~FL5K-OOT/rekishi.htm
 http://www.blupete.com/Literature/Biographies/Science/Copernicus.htm#fn1
など参照。
 もっとも、当面の『人名の世界地図』の場合:
「母国のポーランドでは」(初刷p.91)
とはっきり断ってありますから、ドイツ語式表記を持ち出す必要は無いでしょう。

> そうなると、『天球回転論』で「父ミコワイ・コッペルニク」とあるのは誤りなのでしょうか? それとも、コペルニクスはミコワイのジュニアだったりして。[後略]
……ご教示いただいたリンクにあった
 http://es.rice.edu/ES/humsoc/Galileo/Catalog/Files/coprnics.html
 http://www.man.torun.pl/Citizens/Kopernik/
によれば、ご想像通りのようです。
# 「いや、実は三世だった」とか。(**;)☆\



教えて頂きたいのですが・・・

レミ (2001/03/18 20:43)

 初めまして。
 今日は教えて頂きたいことがあるのですが、ここに書いて良いものかどうかとなかなか書くことが出来ませんでした。駄目だというのであれば無視して頂いて結構なのですが、もしもお答えする事が出来るので有れば教えて下さい。
 私はある地名の名前が分からなく困っています。その地名の由来は、そこに侵入したアングル族に由来する物で「アングル人の地」と意味のある所です。
 色々探したのですが見つける事が出来ませんでした。
 もし知っている方がいらっしゃれば教えて下さい。
 宜しくお願い致します。



Re: コペルニクス re:人名の世界地図

青蛙 (2001/03/18 17:18)

まず前回の書き込みで、

> ざっと一瞥して気づいた点に、以下のようなものだあります。
→ざっと一瞥して気づいた点に、以下のようなものがあります。

> |は、母国のポーランドではミコワイ・コペルニク Mikokaj
→|は、母国のポーランドではミコワイ・コペルニク Mikolaj

の誤りでした。(単なる誤植です)
訂正してお詫びいたしますm(__)m


松茸さん、ご指摘ありがとうございました。やはり手元の資料だけでは限界がありますね。コペルニクスの原名、更にはその原綴りまで記しているものなんてなかなか見つからないものです。原恵氏の『星座の神話』でもカタカナで「ニコライ・コペルニク」とあるだけですから。

> ……コペルニクスの時代の西ヨーロッパでは、〈母語の正書法〉が十分確立
> していなかったので、人名のつづりに揺らぎが生じているのは当然でしょう。
> また、現代までに言語そのものが変化していることもあります。
おっしゃるとおりです。

>  ただし、問題の『人名の世界地図』は現代の正書法に基づいている(つもり)
> らしいので、現代ポーランド語の標準的な表記 "Mikolaj Kopernik" でよいと
> 思います。
http://www.britannica.com/seo/n/nicolaus-copernicus-1/
によれば、Mikolaj Kopernik は松茸さんのご説明のとおりですが、『天文学辞典』に見られる Niklas Koppernigk は、ドイツ語のプロイセン方言形ということらしいです。また、
http://www.astro.uni-bonn.de/~pbrosche/persons/pers_copernicus.html
も参考になりました。「ニコラ(ウ)ス」にはさまざまな綴りがあるようです。
それなら、Nikolaus という綴りもあながち間違いとは言えません。とはいいましても、『人名の世界地図』にあるように“Nikolaus Copernicus”とはならないでしょう。
また、この web ページでは「誤って Kopernikus とも」と説明されていますが、Kopernikus というのはドイツ語式の綴りなのではなかったのでしょうか? この web ページから張られているリンク先も、Kopernikus とあるのはみなドイツ語のページのようですし。


そうなると、『天球回転論』で「父ミコワイ・コッペルニク」とあるのは誤りなのでしょうか? それとも、コペルニクスはミコワイのジュニアだったりして。私が検索した範囲では、さすがにコペルニクスの父にまで言及しているものはありませんでした。



コペルニクス re:人名の世界地図

松茸 (2001/03/18 01:47)

青蛙さま曰く:
> p.91
>  |地動説を唱えたニコラウス・コペルニクス Nikolaus Copernicus
>  |は、母国のポーランドではミコワイ・コペルニク Mikokaj
>  |Kopernik とよばれる。
> 何を隠そう、『研究社 英和大辞典』でも同じ説明がなされています。
> しかし、鈴木敬信『天文学辞典』によれば、コペルニクスの原名(ポ
> ーランド語名)は Niklas Koppernigk とあります。
> 高橋憲一氏の『天球回転論』では、姓に関しては「他の綴りもある」
> とあるので、どちらの綴りが正しいとは言えません。更に「ミコワイ」
> はコペルニクスの父の名となっています。
> (Nikolaus は Nicolaus の誤りかと思われます)

……コペルニクスの時代の西ヨーロッパでは、〈母語の正書法〉が十分確立していなかったので、人名のつづりに揺らぎが生じているのは当然でしょう。また、現代までに言語そのものが変化していることもあります。
 ただし、問題の『人名の世界地図』は現代の正書法に基づいている(つもり)らしいので、現代ポーランド語の標準的な表記 "Mikolaj Kopernik" でよいと思います。
 Web上でいいページを見つけられなかったので、とりあえず
http://www.uni.torun.pl/
を根拠として挙げておきます。
 なお、"Mikolaj"の'l'は、正確には'?'(Unicode:x0142)ですね。
# Unicode直書きしました。見えない方はご勘弁。(^^;

P.S.
 鈴木敬信『天文学辞典』については、是非とも
http://bosei.cc.u-tokai.ac.jp/~haruta/detarame/keisin2.html
を参照してください。
# もうご存知でしたら m(_ _)m。



人名の世界地図

青蛙 (2001/03/18 00:41)

ようやくにして『人名の世界地図』を入手いたしました。
初刷とはいきませんでしたが、これ以上探すのもしんどい
ので、第2刷で手を打ちました。
ざっと一瞥して気づいた点に、以下のようなものだあります。

p.15
それまで一貫して「ペテロ」であったものが、12行目の末尾
から13行目にかけてだけ「ペトロ」となっています。
(単なる誤植でしょうか)

p.75(図中)
 |[ドイツ]ヨハン Johaann
ドイツでもヨハンは Johann なのでは。発音には「ヨハン」と
「ヨーハン」の2通りがあるようですが、「ヨハーン」ともい
うんでしょうか。

p.91
 |地動説を唱えたニコラウス・コペルニクス Nikolaus Copernicus
 |は、母国のポーランドではミコワイ・コペルニク Mikokaj
 |Kopernik とよばれる。
何を隠そう、『研究社 英和大辞典』でも同じ説明がなされています。
しかし、鈴木敬信『天文学辞典』によれば、コペルニクスの原名(ポ
ーランド語名)は Niklas Koppernigk とあります。
高橋憲一氏の『天球回転論』では、姓に関しては「他の綴りもある」
とあるので、どちらの綴りが正しいとは言えません。更に「ミコワイ」
はコペルニクスの父の名となっています。
(Nikolaus は Nicolaus の誤りかと思われます)

Arfred
p.157の系図の説明では、
 |Alfred の名は Alf-(自然を司る神エルフ)と、-red(指導者)
 |を意味する言葉を組み合わせたものだ。
とありますが、p.158の本文では
 |アルフレッド Alfred のアルフ alf とはこの妖精を意味する名前
 |なので、これに「王」を意味するエド ed がついてアルフレッドは
 |「妖精王」のいうことになる。
となっています。更に、p.275の大索引では
 |「妖精、超自然的存在」と「王」の二つの意味をあわせもつ。
となっていて、一貫性がありません。執筆者が複数のためでしょうか?
研究会としての申し合わせや、編集はどうなっているのでしょう。
1番目の説明にあるエルフって妖精であって「神」とは違うと思うので
すが。もっとも、最近のゲームやファンタジー小説に出て来るエルフは、
人間より長寿で長い耳を持ったヒューマノイドの一種として描かれてい
ますけど。
2番目の説明では、r が説明されていないようですし。
-red は、『英和大辞典』によれば rede (助言、忠告)と同根のようで
す。

p.160
 |Ludwig von Beethoven
→ Ludwig van Beethoven

長くなるのでこの辺で。それにしても、巻末の「大索引」の製版工程におけ
る手抜きは何とかならないのでしょうか。



教えて下さい

湖乃ほとり (2001/03/18 00:00)

沖縄の言語で「ティーダ」と「ユウナ」ってどういう意味を持つんですか?
http://www.jttk.zaq.ne.jp/hotori/tukimatikou.html



「ん」について

ゆうた (2001/03/17 20:38)

原因,牽引,船員,店員,全員,などは,[gein],[kein][tein],[senin],[zein]などと,/n/が消え,/ei/とのばしますよね?これは,n→#/e__inとなると思うのですが,どうして,こんなことが起こるのでしょう?それに,雰囲気は,[funiki]とは発音せずに,[fuinki]と発音しますよね。どうして,/n/は移動するのでしょうか?何か規則でもあるのでしょうか?



ペテロ

佐藤和美 (2001/03/17 17:03)

梅田修「ヨーロッパ人名語源事典」(大修館書店)からです。
「英語名ピーター(Peter)はギリシャ語Petros(石、岩)が語源である。(中略)イエスはシモンにケパ(Kepa:岩)という名を与えた。このケパをギリシャ語に翻訳したのがペトロである。」



『世界地図』

佐藤和美 (2001/03/16 12:49)

会社の帰りに本屋によるのが日課になってます。
『世界地図』、新しい版が出てました。
『地名の世界地図』7刷 3/5
『人名の世界地図』3刷 3/5

文春への二回目のメール(「地名の世界地図」佐藤和美(2001/02/16 12:35)と同じ内容)は修正されているようです。
ただし修正が適切かどうかが問題です。
いまさら買う気はおこらないので、詳しくは見られませんでしたが。
(矛盾点を指摘するだけじゃなくて、修正方法も教えないとだめ?)

ビーバさん
>ページは忘れましたが(前のほう)、ペテロをPeteroって書いてあったのですが、
>このように表記する言語ってあるんでしょうか? まさかローマ字綴りじゃないですよね。
P15に「ペテロPetero」ってありますねぇ。
考えてみると「ペテロ」ってふしぎな表記ですね。
たぶん日本語訛りなんじゃないかと思います。
で、「Petero」はこの本の著者の創作。
(これは間違いというより、創作に近いと思います。確信犯。)
P293の「ピーター」の項には「ペテロはヘブライ語で「石、岩」。」とあります。
「ペテロ」の語源はギリシア語のはずですが……



ラーフ

青蛙 (2001/03/16 01:28)

ビーバさんが書き込んでおられた
>  インド神話には、太陽や月を食べて日食・月食をおこすとされる「ラーフ」というアスラ
> (阿修羅)がいて、インド占星術でも蝕星として登場します。
というのは、以前、田舎の碩学者さんが書き込んでおられた「五星と五曜」(98/08/22 03:18)にある
> また、羅候を加え八曜とする説もあり。
の「羅候(らこう)」のことです。田舎の碩学者さんは“八曜”としていますが、私はこれに「計都(けいと)」を加えた“九曜”として聞いたことがあります。
現在の天文学では、これらは惑星のような実在する天体ではなく、
 羅候=降交点(月が黄道を上(北)から下(南)へ通過するところ)
 計都=昇交点(月が黄道を下(南)から上(北)へ通過するところ)
とみなされています。これらは黄道(太陽の通り道)と白道(月の通り道)との交点に当たり、ここで太陽と月が出くわしたときに日蝕(日食)・月蝕(月食)が起こるわけです。

羅候は「ラーフ」を音訳したものですが、人名のラーフラと関わりがあるかどうかは判りません。



著作権の件

青蛙 (2001/03/16 00:09)

面独斎さん、松茸さん、著作権の件につきましてご教示いただきましてありがとうござ
いました。

面独斎さん:
> 青蛙さんが「発見」の語をどのような意味でお使いなのか計りかねて、ひょっとして、
> たとえばアメリカのような先発明主義の特許権の考え方と混同していらっしゃるので
> はないかと考えたわけです。著作物に「発見」が含まれている必要はありませんからね。
いわゆる「サブマリン特許」のことですね。そういうわけではありませんが、↓で書き込
みましたように、論文等の「先取権」と混同していたところがありました。

> 佐藤さんの場合は、『地名の世界地図』の記述に対し学術的な批判を加えたうえでご自身
> の見解を文書にし、それを専用のページを設けてウェブ上で公表していらっしゃいますか
> ら、その時点で著作権が発生しています。
松茸さん:
>  公開されない著作物(たとえばEメイルによる私信)にも著作権は存在します(むろん、著
> 作権を法的に問題にした段階で、必然的に「公開」されてしまいますが)。
これも↓で書き込みましたように、公開・非公開にかかわらず、創作が成された時点で著作権
が発生することは存じております。
また、文春側に落ち度があったことを否定するものではありません。『地名の世界地図』の第
4刷が佐藤さんからのメールによる指摘を受けて訂正されたことは、状況から見ても明らかで
すから、紙面のどこかでこのことについて触れるべきでした。
いずれにしましても、誤解を与えるような書き込みをしてしまいましたことを、皆さんにお詫
び申し上げますm(__)m



『人名の世界地図』

ビーバ (2001/03/15 19:46)

佐藤和美さん:
>「ラーフラ 「月食」。この日に生まれたブッダの子。」
>ブッダが出家するときに出家のじゃまだというので「ラーフラ」とつけたはずです。「じゃまもの」というような意味だったはずです。月食の話は聞いたことないですねぇ。

 インド神話には、太陽や月を食べて日食・月食をおこすとされる「ラーフ」というアスラ(阿修羅)がいて、インド占星術でも蝕星として登場します。ブッダの息子「ラーフラ」の名前もこれと関係あると考えられているらしく、『人名の世界地図』の記述はこれに依ったものでしょう。ただし、「月食」というのでは説明が足りませんが。

 今日、『人名の世界地図』をちょっと立ち読みしてきたのですが、人名の由来がだらだら書いてあって最後まで読み切れるかも分からないので、買いませんでした。人名の由来はけっこう異説が多いので、当てにならないところもありますし(おっと、これは『人名の世界地図』にも書いてあるんでしたっけ?)。
 ページは忘れましたが(前のほう)、ペテロをPeteroって書いてあったのですが、このように表記する言語ってあるんでしょうか? まさかローマ字綴りじゃないですよね。



著作権その他

松茸@22世紀研究会 (2001/03/15 14:37)

->青蛙さま:
 著作権について、面独斎さまのご説明に補足しておきます。
 公開されない著作物(たとえばEメイルによる私信)にも著作権は存在します(むろん、著作権を法的に問題にした段階で、必然的に「公開」されてしまいますが)。
 たとえば、『地名の世界地図』の原稿は出版以前には当然「公開」されていないので、文春の方で丸ごと盗用し「文春新書編集部編」と銘打って売り出しても著作権法には違反しない、わけがありませんよね。(^^;
 なお、公開されている著作物を「無断引用」するのは著作権法でも認められていますが、「引用であることが判る」「引用元を示す」「みだりに改変しない」といった条件があり、今回の場合はまず該当しません。


 さて、『人名の世界地図』の変な記述を追加しておきます:

p.173〜174
「[前略]八世紀頃にカナダから移住してきたイヌイットが住んでいた島を十世紀に「発見」して、「緑の土地{グリーンランド}」とよんだのは、「赤毛のエリック」とよばれたスカンディナヴィア人である。[中略]
 この極北の地にキリスト教をもたらしたのは、ノルウェーの航海者レイフ・エリクソン Leifr Eriksson である。[後略]」(引用者曰く、ルビは{}で囲んで示しました)
……伝承によれば、レイフ・エリクソンは赤毛のエリックの息子なんですが……。

p.230
「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)では、一九四九年以降、「日本植民地時代の残滓」である漢字表記を廃止したため、[後略]」
……「封建時代の残滓」の間違い?

p.243
「北海道では、明治五年の戸籍法によって日本名に改名させられ、アイヌの人たちも、一般の日本人のように姓をもつこととなった。しかしつけられた名前は、実にいい加減なもので、血縁関係がなくとも同じコタン(村)のものには同じ名字をつけたり、山の中なので「山中」だとか、名前を考えた日が寒かったので「北風」などということさえあったという。また、元国会議員萱野茂氏で有名になった萱野や貝澤のように、地理や自然環境による命名も多かった。」
……これって、「一般の日本人」の場合もまったく同様だったはずですが? 「いい加減」につけられた珍姓・奇姓を集めた本やWebページもありますね。



ブッダ(『人名の世界地図』)

佐藤和美 (2001/03/15 12:45)

『人名の世界地図』の最後のページ(P306、P307)はインド人の名前です。
ここからブッダ関連のネタを三つひろってみました。

「ゴータム 「至高の雄牛」。ブッダ「目覚めた人」のもとの名として知られる。」
インドに「ゴータム」っていう名前があるのかどうか知りませんが、ブッダは「ゴータマ」で「ゴータム」じゃないですね。

「スジャータ 「高貴な生まれ」「素晴らしい性格」。ブッダに乳を与えた女性の名。」
「ブッダに乳を与えた」なんて、ポルノですね。(^^);
私の記憶では「乳粥」です。

「ラーフラ 「月食」。この日に生まれたブッダの子。」
ブッダが出家するときに出家のじゃまだというので「ラーフラ」とつけたはずです。「じゃまもの」というような意味だったはずです。月食の話は聞いたことないですねぇ。



Re: 著作権

面独斎 (2001/03/15 06:26)

青蛙さんが「発見」の語をどのような意味でお使いなのか計りかねて、ひょっとして、たとえばアメリカのような先発明主義の特許権の考え方と混同していらっしゃるのではないかと考えたわけです。著作物に「発見」が含まれている必要はありませんからね。

佐藤さんの場合は、『地名の世界地図』の記述に対し学術的な批判を加えたうえでご自身の見解を文書にし、それを専用のページを設けてウェブ上で公表していらっしゃいますから、その時点で著作権が発生しています。



(無題)

青蛙 (2001/03/15 00:33)

今、この伝言板の過去ログを拝見させていただいております。
本当に、参考になるお話がたくさんあって、リアル・タイム
でレスできなかったことが惜しまれます。

松茸さん:
>  ご存知でしょうが、ギリシア語・ラテン語の電網上のリファレンスとしては
> http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/perscoll?collection=Perseus:collection:PersInfo&type=interactive+resource
> が有名です。私も重宝しております。
情報ありがとうございます。「ペルセウス」ですか、有名ですね。
先般、Metailurus の件で情報を寄せてくださった佐藤さんもネッ
ト検索の達人とお見受けしました。しかしながら、アナクロな私に
は、まだ書籍による検索の方がしっくりしているようです。

田邉露影さん:
> 「田辺」のことですね?
そうです。名前を間違って呼ばれるのは不快ですし、呼ぶ方も失礼
ですから。

> でも実は私に限って言うと気にしないタチですから、
> どうかお気になさらず使いやすい方でお願いしますね。
お気遣い痛み入ります。

> この辞書って、
> 実は英語辞書としてよりも、
> 語源辞書としての方が
> 機能している気がしてなりません(笑)。
おっしゃるとおりです。日本にはレキシコン(古典語辞書)があまりあ
りませんし、あってもベラボーに高価なので、語源辞典としてそれから
専門語辞典として重宝しています。ただ、最新版の第5版にしても初刷
が20年前なので、情報の古さは否めません。改訂が望まれます。

面独斎さん:
> 著作権と特許権を混同してませんか?
おっしゃっている意味がよくわかりません。「先取権」と混同したことは
否定しませんが。確かに著作権は、作品を創作した時点で発生するもので
すが、その創作物を公表しないと効力が発揮されない(できない)のでは
ないでしょうか? 私、特許権については無知なものですから、ご説明い
ただけたら幸いです。

佐藤和美さん:
> 『人名の世界地図』
> 1刷 2/20
> 2刷 2/25
店頭に見られなかったのは売れ切れてしまったため!?
こちらこそ初刷を入手したいので、もう少し探してみましょう。

> どうも、ネタの使いまわしで、3冊の本を書いてるように思えてしょうがないんですが。
> 実際の情報量は2冊分くらい? もっと少ないかな?
某・自称サイエンス・エンターテイナー氏と同じじゃないですか。



RE:『人名の世界地図』

佐藤和美 (2001/03/14 12:55)

『人名の世界地図』
1刷 2/20
2刷 2/25
今回も好調な売れ行きです。
1刷が欲しい人は早めに買いましょう。(^^)


どうも、ネタの使いまわしで、3冊の本を書いてるように思えてしょうがないんですが。
実際の情報量は2冊分くらい? もっと少ないかな?
『地名の世界地図』で間違えてることは『人名の世界地図』でも間違えてる、という副作用もあります。
『民族の世界地図』でも同じ間違いしてるのかな?

「前133年頃までのローマ帝国」の図は
『地名の世界地図』P32、33
『人名の世界地図』P96
両方にあります。
前133年頃のローマの範囲と違う、
前133年頃はローマは帝国でなかった、
ということでしたね。

「ゲルマン民族の移動」の図は
『地名の世界地図』P50、51
『人名の世界地図』P152、153
両方にあります。
なぜか「スラヴ族」だけが「スラヴ人」に、「族」が「人」にかわってる?
図の下の部族の説明を年表等と比較してみるのも一興。



著作権

面独斎 (2001/03/14 05:23)

> 佐藤さんが発見して公表しているのであればわかりますが、
> そうでなかったら著作権云々は有り得ないでしょう。

著作権と特許権を混同してませんか?



(無題)

田邉露影 (2001/03/14 03:24)

>青蛙さん
> 『民族の世界地図』も見かけましたが『人名の
> 世界地図』はありませんでした。

私の場合、
まだ、手にはしていないのですが、
注文後、すでに入荷はしたみたいなので、
ヒマを見はからって買って来ようかと思っています。


> 田邉露影さん:
> お名前を間違えてしまい申し訳ありませんでしたm(__)m

一瞬分かりませんでしたが、
「田辺」のことですね?
「田邊」という間違いもよく出会います。

でも実は私に限って言うと気にしないタチですから、
どうかお気になさらず使いやすい方でお願いしますね。


> それから、「辞書からの引用は極力避ける」とご
> 忠告されていたにもかかわらず、辞書から引いて
> しまいました。私、『研究社 英和大辞典』を語源
> 辞典としても活用しているもので、ご容赦ください。

この辞書って、
実は英語辞書としてよりも、
語源辞書としての方が
機能している気がしてなりません(笑)。

古ノルド語とか、しっかり載っているんですから。


> 問題は、そこに書かれていることを鵜呑みにするか
> どうかだと思います。
> 『地名の世界地図』の著者にしても、二次資料に拠っ
> ているということよりも、参考文献を無批判に取り込
> んでしまったことに問題があったのではないでしょうか。

おっしゃるとおりですね。


>ビーバさん
> 紀元前3000年頃にインド・ヨーロッパ祖語が話されていたというのは、何か
> 問題あるのでしょうか?

本当のところ、ラリンガルがバリバリに発音されていた時代って、
何年前なんでしょう?
やはり Yahoo! オークションで、
タイムマシンを購入しておくべきでした。


>松茸さん
ラテン語辞書にはこんなのもあります。
http://users.erols.com/whitaker/words.htm



ケルト人その他

松茸@22世紀研究会 (2001/03/14 01:43)

佐藤さま曰く:
> その前に、イベリア半島がケルト居住地域かどうかのほうが問題でした。(^^);
……本格的な参考文献を調べる暇がないので、アンチョコから引いておきます。
・"Mycrosoft Encarta 2000"の「ケルト人」の項より抜粋:
「前5〜前1世紀、その影響は現在のスペインから黒海沿岸にまでひろがったが...」
・http://www.britannica.com/ の"Celt"の項より抜粋:
"Their tribes and groups eventually ranged from the British Isles and northern Spain..."
 また、電網上にもたくさんのページが見つかりました。
例:http://www.cofc.edu/languages/celts.html
 しかし、『地名の世界地図』(初刷・第四刷)pp.44〜45の地図には、なぜかイベリアは入っていないですね。いま気がつきました。(^^;


->青蛙さま
 はじめまして。
 ご存知でしょうが、ギリシア語・ラテン語の電網上のリファレンスとしては
http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/perscoll?collection=Perseus:collection:PersInfo&type=interactive+resource
が有名です。私も重宝しております。
 ところで、もしや、
http://askalabo.virtualave.net/cgi-bin/board2/wforum.cgi
の青蛙さまと同一のお方ですか?



ようやく入手しました

青蛙 (2001/03/14 00:03)

今度は比較的大きな書店に出かけまして、
ようやく『地名の世界地図』を入手しました。
さすがに初刷は無理でしたが、幸運なことに
第3刷を手に入れることができました。比較の
ために一番新しいと思われる第6刷も購入しま
した。私も文春に奉公してしまいました。
『民族の世界地図』も見かけましたが『人名の
世界地図』はありませんでした。新刊書なので
しょうか。

田邉露影さん:
お名前を間違えてしまい申し訳ありませんでしたm(__)m
それから、「辞書からの引用は極力避ける」とご
忠告されていたにもかかわらず、辞書から引いて
しまいました。私、『研究社 英和大辞典』を語源
辞典としても活用しているもので、ご容赦ください。
問題は、そこに書かれていることを鵜呑みにするか
どうかだと思います。
『地名の世界地図』の著者にしても、二次資料に拠っ
ているということよりも、参考文献を無批判に取り込
んでしまったことに問題があったのではないでしょうか。
皆さんのご指摘を見ていますと、それだけではないよう
ですけれども。

坂梨さん:
早速のレスをありがとうございます。
>>ヤマネコの属名は Prionailurus
> ひょっとしてPrior(前の)+ailurusですか?nは「つなぎ音」とか……
ギリシア語の prion「鋸」に由来しているもので、ラテン語の prior
とは関係ありません。動物分類名では priono-(母音の前では prion-)
は「鋸の歯のような」という意味で使われるそうです。

佐藤和美さん:
情報、ありがとうございます。
今は存在しない、昔(中新世)の属のようですね。



RE: 『人名の世界地図』

ビーバ (2001/03/13 17:54)

 紀元前3000年頃にインド・ヨーロッパ祖語が話されていたというのは、何か 問題あるのでしょうか?



Metailurus

佐藤和美 (2001/03/13 12:48)

青蛙さん、はじめまして。

「Metailurus」ですが、「goo」で「海外のページ」で検索すると15件ヒットしました。
(「日本語のページ」では0件)

その内の一つ
http://www.bluelion.org/Metailurus.htm
「Metailurus major」の絵があります。



RE:丼っていう字

佐藤和美 (2001/03/13 12:31)

大修館書店「漢語林」からです。

「丼」
象形。いげたの中に、「かめ」または水のある形にかたどり、いどの意味を表す。井の別体字。国字としては、井戸に物を投げたさまから、どぶん・どんぶりの音を取って、どんぶりの意味を表す。



ヤマネコ

坂梨 (2001/03/13 06:01)

青蛙様
詳細なご説明感謝です。
>ヤマネコの属名は Prionailurus
ひょっとしてPrior(前の)+ailurusですか?nは「つなぎ音」とか……



またまた猫

青蛙 (2001/03/13 00:42)

『地名の世界地図』はまだ入手していないので……。

以前、ここで「猫」の古典名について話題になっていましたね。
イリオモテヤマネコの学名 Mayailurus iriomotensis に見える
-ailurus は、坂梨さんや田辺さんが説明しておられるように、
ギリシア語源のようです。私、『研究社 英和大辞典』を利用して
いるのですが、語源欄に「NL」(新ラテン語)とあるところから
学名として使うためにラテン語化されたものでしょうか。

佐藤さん:
> マヤーは琉球方言で猫という意味です。
> 琉球方言が使われてるのがいいですね。
Maya- は琉球語源でしたか。
Mayailurus < Maya + ailurus は、aa と同じ母音が続くので縮約
されたか、坂梨さんが仰っていたように Maya の語尾母音が脱落した
のでしょう。フランス語の「エリズィオン」のような現象ですね。

ギリシア語系ではない純粋?のラテン語で猫のことは feles あるいは
felis というようです。普通のネコ(イエネコ?)の学名は Felis catus
です。実は昔、猫座 Felis という星座があったのです。

山猫は lynx です。語形からもわかるようにギリシア語源です。こちら
も星座になっており、「やまねこ座」は今もあります。ただし、学名で
Lynx はオオヤマネコの属名で、ヤマネコの属名は Prionailurus です。

>「ilurus fulgens」っていうのを発見。これも猫の仲間?
坂梨さんが仰っているように、Ailurus の語頭の A の脱字ですね。
レッサーパンダの属名です。ちなみに、ジャイアント・パンダの属名は
Ailuropoda (足が猫)です。

『谷津・内田 動物分類名辞典』役に立ちました。大枚を叩いた価値があっ
たというものです。でも、Metailurus は見当たりませんでした。



はじめまして

青蛙 (2001/03/13 00:35)

佐藤和美さん、皆さん、はじめまして。
私、青蛙と申します。

いやー、こんなにオモシロくてモノスゴくタメになるページがあったとは……。
今まで佐藤さんのページに気づかなかった、自らの不明を恥じるばかりです。
コンテンツを見るたびに「なるほど、そうだったのか」と膝を打つものばかりで
す。まだ全てに目を通したわけではありませんが、本当に参考になります。

それにしても『地名の世界地図』ですか。こんなオイシイ“トンデモ本”があった
なんて……。
早速、近所の本屋を当たったところ、2月5日付の第5刷と2月10日付の第6刷が
ありました。僅か5日で増刷……売れてるんですね〜。佐藤さんによれば、1月15
日付で第3刷、1月20日付で第4刷だとか。(こちらも僅か5日で増刷されてますね)
松茸さんによれば、第4刷には佐藤さんが指摘した箇所の誤記訂正は施されていたと
のこと。それ以前の刷、できたら初刷を手に入れたいですね。売れているのでしたら
古本屋の方が早いかもしれません。

ところで、↑の松茸さんの書き込みには
> # それどころか、「千島」の語義(p.110)は佐藤様の丸写しなので、著作権料を請求で
> # きるかもしれません。
とありますが、そこで説明されていることを佐藤さんが発見して公表しているのであれば
わかりますが、そうでなかったら著作権云々は有り得ないでしょう。
ただここまできたら、修訂版が出た暁には、佐藤さんのお名前を監修者か校訂者としてク
レジットしなければならないでしょうね。



re:『人名の世界地図』

佐藤和美 (2001/03/12 12:53)

>> 「前133年頃までのローマ帝国」の範囲と違う。
> いや、そもそも「前133年頃までのローマ」はまだ共和制なんですが。

失礼しました。(^^);

>P138
>「「石斧」を意味するケルトという名称は、アルプスの北、ヨーロッパとイベリア半島に住んでいた異民族を、古代ギリシアの地理学者が「ケルトイ」とよんだことによる。」
>・イベリア半島はヨーロッパの一部だと思いますけど。「アルプスの北とイベリア半島に」くらいの表現がいい?

その前に、イベリア半島がケルト居住地域かどうかのほうが問題でした。(^^);



RE:ピチピチ!

佐藤和美 (2001/03/12 12:49)

「蛸が好き 」さんの質問ですが、ほとんどは擬態語・擬声語(擬音語)でしょう。

いつもの「大辞林」から。

ぎたい-ご【擬態語】
物事の状態や様子などを感覚的に音声化して表現する語。「にやにや」「うろうろ」「じわじわ」「ぴかり」「ころり」「てきぱき」などの類。広義には擬声語の一種ともされるが、狭義の擬声語が、自然の音響や人間・動物などの音声を直接的に言語音に模倣して写すのに対して、擬態語は、音響には直接関係のない事象の状態などを間接的に模倣し、象徴的に言語音に写したものである。〔擬態語は、そのままの形で、または「―と」「―だ」「―する」など語によっていろいろな形で用いられる〕

ぎせい-ご【擬声語】
事物の音や人・動物の声などを表す語。「ざわざわ」「がやがや」「わんわん」「しくしく」の類。擬音語。写声語。〔擬声語は、そのままの形で、または「と」を伴って連用修飾語となる。ただし、擬態語のように、「―だ」の形で用いられることは少ない〕

前も書いたかもしれませんが、擬態語・擬声語の語源を調べようとするのは無駄な努力だと思います。擬態語・擬声語以外のものについては個々に質問してください。



丼っていう字

賽 (2001/03/12 00:04)

丼っていう字、語源としては井戸に石を投げ込んで”ドン”という音が出るから来た。
でも中華丼とか、丼(どんぶり)などに使うようになったのでしょうか?



re: 『人名の世界地図』

松茸@22世紀研究会 (2001/03/11 17:53)

 デタラメ本と知りつつ、やっぱり買ってしまいました。(^^;

佐藤様曰く:
> P96
> 「前133年頃までのローマ帝国」の図
> 「前133年頃までのローマ帝国」の範囲と違う。
……地図を見る限り、「後133年」の間違いみたいですね。
 いや、そもそも「前133年頃までのローマ」はまだ共和制なんですが。

> P138
> 「「石斧」を意味するケルトという名称は、アルプスの北、ヨーロッパとイベリア半島に住んでいた異民族を、古代ギリシアの地理学者が「ケルトイ」とよんだことによる。」
> ・ケルトは石斧を使ってた?
> ・本当にギリシアでケルトを「ケルトイ」と呼んだのか?
> ・イベリア半島はヨーロッパの一部だと思いますけど。「アルプスの北とイベリア半島に」くらいの表現がいい?
…… http://www.m-w.com/ で、"celt"を引いたら:
| Etymology: Late Latin celtis chisel
| Date: 1715
| : a prehistoric stone or metal implement shaped like a chisel or ax head
となっていました。民族(語族)名とは全然関係なさそうです。
 なお、ヘロドトスの『歴史』(松平千秋訳、岩波文庫)に"Keltoi"が出てくることを確認しました。


 さて、私もネタを追加しておきます:
p.29
「[前略]ラッセルの正式な名称は、バートランド・アーサー・ウィリアム三世・アール・ラッセル Bertrand Arthur William 3rd Earl Russel である。」
……"Russell"の'l'が一つ抜けているのはともかく、"Earl"が「伯爵」の称号であることに気づいていないので、完全な誤訳になっています。
 正確には、「第三代ラッセル伯爵バートランド・アーサー・ウィリアム」ですね。

p.169
「[前略]エラリー・クイーン Erary Queen(本名フレデリック・ダニーとマンフレッド・B・リー)のように二人で一つの筆名という作家もいる。」
……これも"Ellery"の間違い。
 また、「ダニー(ダネイ)」・「リー」も本名ではない(cf. http://www.cityfujisawa.ne.jp/~katsurou/mystery/queen/index.html)。
 ところで、かの『Yの悲劇』は当初「バーナビー・ロス」名義だったはずですが?

 最後に:
p.272
「[前略]なお、さまざまな名前、解釈には定説のないものも多い。お気づきの点については、さらなるご教示をいただければ幸いです。」
……開き直るなぁっ!!



『人名の世界地図』

佐藤和美 (2001/03/11 11:29)

今度は「間違いだらけの『人名の世界地図』」でもやりますか。(^^)
とりあえずは、10個ピックアップしました。

P22
「Anglro-Saxon」
正しくは「Anglo-Saxon」

P49
「このような命名法は、紀元前3000年頃のインド・ヨーロッパ祖語にまでさかのぼることができるという。」
知らなかった。紀元前3000年頃はまだインド・ヨーロッパ祖語が話されてたんですか。

P96
「前133年頃までのローマ帝国」の図
「前133年頃までのローマ帝国」の範囲と違う。

P115
「シェイクスピアの作品では、『ユダヤの商人』も、」
シェイクスピアの作品に『ユダヤの商人』ってありましたっけ? シャイロックっていうユダヤ人の高利貸しが出てくるようなんですが。(笑)

P138
「「石斧」を意味するケルトという名称は、アルプスの北、ヨーロッパとイベリア半島に住んでいた異民族を、古代ギリシアの地理学者が「ケルトイ」とよんだことによる。」
・ケルトは石斧を使ってた?
・本当にギリシアでケルトを「ケルトイ」と呼んだのか?
・イベリア半島はヨーロッパの一部だと思いますけど。「アルプスの北とイベリア半島に」くらいの表現がいい?

P153
ロンバルド族は「フランク王国をおこす」
『世界史辞典』(旺文社)には、ロンバルド族は「フランク王国のカール1世(大帝)に敗れて、774年併合された」ってあるんですが。フランク王国をおこすどころじゃない。(^^);
『世界史辞典』は最近、長女の「世界史」の勉強用に買ったんですが、思わぬところで役立ってます。

P156
「エドウィンEdwy」
正しくは「エドウィ」?

P224
「新羅の始祖は、天から光に包まれて降ってきたカボチャのように大きい卵から生まれたと言う伝説から、カボチャ(パク)を意味する「朴(パク)」」
カボチャはアメリカ大陸原産で、アジアに来たのは大航海時代になってからですね。この文章はどう解釈したらいいのか? 新羅の頃に「カボチャのように大きい卵」という言い方がなかったのは間違いないですね。

P242
「トウルシノ(垢だらけ)」
正しくは「トゥルシノ」

P244
「第二次世界大戦のインパール作戦、そして映画「ビルマの竪琴」などで、ミャンマーは、日本人にはなじみの深い国だ。」
そういえば、『地名の世界地図』P114には「日本では、韓国の首都というと、いまだに「京城」というイメージが強く残っている。」とありましたねぇ。いったい、何歳の人が書いてる?



「地名の世界地図」各種データと「〜の世界地図」シリーズ

田邉露影 (2001/03/10 02:08)

検索エンジンで調べれば分かることなのですが、
とりあえず「地名の世界地図」情報を書かせていただきます。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166601474/249-4730218-2677948
http://www.books-sanseido.co.jp/wnew_jbest.html
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=21%E4%B8%96%E7%B4%80%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/249-4730218-2677948

で、最後のリンクは
「21世紀研究会」の著作物らしいですが、
 『民族の世界地図』
 『人名の世界地図』
なんて書籍もあるようですね。
後者なんかは佐藤さんの範疇かな?
(以前、話題に出たかも知れませんが)

私は試しに(恐いもの見たさで)買ってみることにします(^_^;。



「地名の世界地図」直るかな?

佐藤和美 (2001/03/09 13:00)

文春に指摘した中で直るかどうか見物なところをいくつか書きます。

この本のコピーからです。
「ケルト人とアングロ・サクソン人が生き残りをかけて戦ったウェールズ地方は、なぜ「敵地」とよばれ、ウラジオストックは「東方を征服せよ」と名づけられたのか。」

で、このコピーに関してですが、

ウェールズは「敵地」ってなってるけど、本当にこれでいいのかな?
(研究社「英語語源辞典」ではそうなってない)

「ウラジオストック」と「ウラジカフカス」の「ウラジ」の訳し方が違う。
「ウラジ」の意味をロシア語がわかる人に確認したほうがいいですよ、と忠告したんですが。
(著者の中にはロシア語がわかる人はいないようです。)

コピーは変えたくないだろうから、この辺は変更しない?

P111
「韓国の首都ソウルは「みやこ、首都」を意味する固有の韓国語であり、漢字にあてはめることはできない。」

「みやこ」は「みやこ、首都」を意味する固有の日本語であるが、「都」という漢字をあてはめることができる。
てな話をしたんですが、どこまで通じたかな。

P199
「ナイル」の語源は、エジプト語で「ナ」が冠詞で、「イル」が「川」ねぇ。
「ナイル」っていうのは英語の発音によりますが、そのスペルは「Nile」。
「ナ」が冠詞で、「イル」が「川」かどうか知りませんが、
その前に語源を「ナイル」で考えてるのがナンセンスですね。
エジプトではなんと呼んでいたかとか、考えないんでしょうか?

著者はこっちが指摘したところ以外は再点検しそうにないですね。
私は間違いが多いのだから、全面的に見直したほうがいいですよ、といいたいのですが通じないようです。
2回のメールでもこのへんは書いたんですが……

因みに、P115「後一〇八年」が「前一〇八年」になってたら、新しい版ですので。
(こんな間違いなかなかできないですよね)


http://www.fukuishimbun.co.jp/jp/jakusui.html
(福井新聞のページ)から。

「富士山山」などというと笑われる。しかし、多くの世界の川の名には普通名詞としての「川」がそのまま固有名詞として使われている。これに川を付けると富士山山になってしまう▼例えばナイル川。古代エジプト語では川のことをイルという。これに冠詞のナをつけてナイル。ずばり川だ。ナイル川はつまり「川川」ということになる。ラインやエルベ、セーヌも本来は流れや川を意味する▼「アメリカ」の地名はイタリアの航海者アメリゴ・ベスプッチに由来する。なぜ第一発見者のコロンブスの名前が付かなかったのか。アメリゴは四度探検にでかけて、コロンブスより1年早く新大陸を発見したと主張した▼ドイツ人学者がこれを真に受けた。アメリゴはラテン語でアメリカと読む。自著で「アメリカの国」と紹介しこれが広まった。マダガスカルも誤解による命名だ。マルコ・ポーロが東方見聞録に記録したマディガスカルに始まる▼これはアフリカ東部の地名モガディシュのこと。1500年にポルトガルの探検家が実際にマダガスカルを見つけたとき、国王が「これこそ東方見聞録にあるマディガスカルだ」と勘違いして命名した▼「地名の世界地図」(文芸春秋社)にはこんな話がたくさん載っている。日本の地名は漢字からおおよそ見当がつく。しかし、世界の地名や国名の由来はあまり知られていない。それにしても、誤解やミスで付けられた地名が意外に多いものだ。

この本を信じる人もいます。
文春にはよく考えてもらいたいです。
(すなおな(?)人って結構いるもんですね。)
(こういう信じる人達と信じない私達って、どこが違うんだろう?)

この本で世界史の受験勉強すると、落ちますよぉ!(^^)
(もっとも、この本、信じるような人も受験落ちますよ)



re^2: 「地名の世界地図」

松茸 (2001/03/09 00:29)

 お久しぶりです。

 『地名の世界地図』の間違い探しをやりかけていましたが、のべ500箇所ほどで挫折しました。
# しかも、肝心の「地名の語源/表記」については、ほとんど手が出ない状態。
 田邉さまのおっしゃるとおり、「キリがない」というのが率直な感想です。

> 「著者を明記しなかったのは、
> 学会から袋だたきにあうのを避けるためではないか」と
> 悪意的に解釈せざるを得ません……。
……「学会から袋だたきにあう」ほど間違いが多いこと自体に気がついていなかった、ということでしょう。いや、そもそも、「研究者」を自称していますが、どう考えても著者たちは(自分の無知さえ知らないという意味での)ド素人ですよ。
# まさか「編集部の内部原稿」、ではないでしょうが……。(^^;



RE:RE:好きだ、愛している

ジャネス (2001/03/08 22:46)

佐藤さん、確認していただき、どうもありがとうございました。
>これ、マジな質問ですよね?
いま持っている「似ている言葉の使い分け辞典」が「好きだ」と「愛している」との使い分けは載せていないです。
>ジャネスさんは日本語を母語としてない人なんでしょうか?
母語が広東語で、香港からです。よろしくお願いします。

>「好きだ」、「愛している」の使い方はジャネスさんの書き込みしてるのでいいと思いますけど。
やっぱり、日本語のニュアンスや語感が外国人にとっては、とっても難しいですね。



Re:Re:Re:猫

佐藤和美 (2001/03/08 16:37)

坂梨さん、お手数かけます。

>>「ilurus fulgens」っていうのを発見。これも猫の仲間?
>googleで検索すると出てくるのはこのページ一件だけですね。
>一方「ailurus fulgens」だと30件ほど出てきました。
>「レッサーパンダ」だそうです。前者はタイプミスではないでしょうか。

タイプミスですか、どうもそうらしいですね。(^^);
どうもありがとうございました。



ピチピチ!

蛸が好き (2001/03/08 14:54)

 はじめまして。子供の頃からの素朴な疑問なんですけど、漢字表記出来ない言葉で二回以上繰り返す言葉(ピチピチ・チャプチャプ・ランランランのように音や気分を表すものから金持ちの息子をあらわすボンボン、もっと!みたいな意味で使われるドンドンなど…例をあげるときりがない…)は、一つだけだと意味が通じないですよね。これらの言葉は昔から使われていた言葉なんでしょうか?もし昔から使われている言葉なのでしたら、その語源を教えていただけないでしょうか?



Re:Re:猫

坂梨 (2001/03/08 13:38)

Metailurusもmata+ailurusの可能性がありますね。
>「ilurus fulgens」っていうのを発見。これも猫の仲間?
googleで検索すると出てくるのはこのページ一件だけですね。
一方「ailurus fulgens」だと30件ほど出てきました。
「レッサーパンダ」だそうです。前者はタイプミスではないでしょうか。



Re:猫

佐藤和美 (2001/03/08 12:52)

「ilurus」がつくのに「Mayailurus」以外に「Metailurus」っていうのがいるみたいですね。

http://www.lead.org.cn/Data/Case/en/jiuzhg.html

「ilurus fulgens」っていうのを発見。
これも猫の仲間?



RE:好きだ、愛している

佐藤和美 (2001/03/08 12:31)

これ、マジな質問ですよね?
ジャネスさんは日本語を母語としてない人なんでしょうか?
「好きだ」、「愛している」の使い方はジャネスさんの書き込みしてるのでいいと思いますけど。



re: 「地名の世界地図」

田邉露影 (2001/03/07 23:52)

>佐藤さん
> 「地名の世界地図」は、たたけば、ホコリがでるどころか、
> たたけば、ホコリだらけの本?

残念ながらそういうことになりますねぇ。
私は購入するまでは
もうちょっとマシな本だと思っていたんですが……。


> ただ「地名の世界地図」に関しては、
> もうこれ以上文春にはなにも言わないつもりでした。
> いいたいことはひととおり、言ったし。

今後、佐藤さんのご意志って、
著者側に伝わるんでしょうか……。

やはり一連のやり取りを見ている限りでは、
その辺は非常に気になります。


> そろそろこの本をネタにするのにも疲れを覚えてきたもんで。

キリがない、ってところですか?

デタラメが多すぎて、
多分、綿密にデバッグ作業をしたら、
一冊の本が出来てしまうでしょうからね……。


> 私は言語学、歴史ただのアマチュアですけど、
> それで間違いだらけだとわかるんですから、
> 専門家が見ればどうなるかわかりきってますよね。

むろん、専門家が見れば
デタラメを見破るというのは、
多くの場合は難しくありません。

また、いわゆるアマチュアでも、
デタラメを見破ることができる、ということでは、
この本はまだタチの良い方なのかもしれませんね。

しかし、それでも何も知らない人を、
非常に簡単に騙せてしまうこと、
それから出版社が名の通った会社であること、
さらに著者が「学者たちを集めて」と、
権威的に振る舞って説得力を高めたことは、
問題性が非常に高いと思います。

「著者を明記しなかったのは、
学会から袋だたきにあうのを避けるためではないか」と
悪意的に解釈せざるを得ません……。


> >また、巻末の主要著書を見れば分かるのですが、
> >これらはほとんど二次資料という、
> >学部論文ですら「不可」が出そうな、
> >かなり低俗な本と言わざるを得ません。
>
> 私の「本棚にある本」もろくな本がないので、
> 自分が言われてるみたいです。(^^);

集めること自体は非常に重要だと思いますよ。

問題は適切な資料を調べ挙げて、
論を展開することなのですが、
……私もそれがきちんと出来ていたら、
某2.5流大学なんかで勉強していないで、
とっくに大学教授になっています(笑)。

ともかく重要なのは
「辞書からの引用は極力避ける」
ということでしょう。
ほとんどは泥沼に陥ります(^_^;。


OEDなんかは非常に丁寧に語源が載っていて、
語源辞典としてのほうが、
利用価値が高いような気がしますが、
それでも専門家の話では
ウラル系はほとんどデタラメなのだそうです。
(こういった編集はほとんど
 英語を中心とした印欧学者が携わっているそうなので、
 無理もないのですが……)


> >2月から始めたページ「間違いだらけの「地名の世界地図」」は
> >間違いだらけでなくなった時点で削除ですね。(伝言板のログは残りますけど)
>
> なかなか、やめられそうにないかな?

とりあえず最新版の訂正箇所が気になりますね。

たとえ、この場で間違いを指摘したとしても、
「権威ある資料」がそう書いてあるのなら、
例え古かったり明らかに間違えていたとしても、
「権威ある資料」の方が採用される傾向が強いです。

ですから事実上、
「これ以上どうしようもない」と感じた時点で、
凍結せざるを得なくなるかもしれませんね。

先のことは分かりませんけれども。



Re:猫

坂梨 (2001/03/07 14:23)

>さらに学名に使うときに、ちょっと変形させた?
むしろ、Mayaの方をMayに変形したと考えた方がいいかもしれません。
ギリシャ・ラテン語を語根として学術用語を造語する際に
母音同士が衝突してしまうときには「つなぎ音」を間に
挿むことがあるようですが(いま例を出せなくてごめんなさい)、
ここではそうしなかったようですね。



「地名の世界地図」

佐藤和美 (2001/03/07 12:59)

「地名の世界地図」は、たたけば、ホコリがでるどころか、
たたけば、ホコリだらけの本?

ただ「地名の世界地図」に関しては、もうこれ以上文春にはなにも言わないつもりでした。
いいたいことはひととおり、言ったし。
そろそろこの本をネタにするのにも疲れを覚えてきたもんで。

私は言語学、歴史ただのアマチュアですけど、それで間違いだらけだとわかるんですから、
専門家が見ればどうなるかわかりきってますよね。

田邉さん
>佐藤さん、今度、
>機会があったら連れて行ってくださいね(笑)。

そのときは、声かけます。(笑)

>また、巻末の主要著書を見れば分かるのですが、
>これらはほとんど二次資料という、
>学部論文ですら「不可」が出そうな、
>かなり低俗な本と言わざるを得ません。

私の「本棚にある本」もろくな本がないので、自分が言われてるみたいです。(^^);


>2月から始めたページ「間違いだらけの「地名の世界地図」」は
>間違いだらけでなくなった時点で削除ですね。(伝言板のログは残りますけど)

なかなか、やめられそうにないかな?



あざらし

佐藤和美 (2001/03/07 12:39)

「あざらし」の語源ですが、
「日本国語大辞典」にはなにやらわけのわからない説が二つ書いてあります。
・もと蝦夷語
・アサラシ(磯鹿)から
ま、語源不明と考えておいたほうがいいんでしょうね。





佐藤和美 (2001/03/07 12:37)

坂梨さん、田邉さん、ありがとうございます。
「ilurus」で探しても見つからないわけですね。(^^);
ギリシア語がラテン語に入ったということでしょうか。
さらに学名に使うときに、ちょっと変形させた?



「地名の世界地図」はトンデモ本ではなくてデタラメ本?

田邉露影 (2001/03/07 01:32)

「地名の世界地図」をついに手に入れました。

……何て言うか、
やっぱりあの本はトンデモ本というより
デタラメ本ですね。

私はむしろ「21世紀研究会」の責任者にあってみたいですわ。
無知丸だしです。

佐藤さん、今度、
機会があったら連れて行ってくださいね(笑)。


……グチだけこぼしても仕方がないので、
とりあえず、ぱっと見て目立った問題点を
箇条書きにして挙げてみます。
(例も書きますがあまりに多いので、
 代表例だけ挙げます)

1. 特殊アルファベットの表記に完全に無知なこと。
(例:p.237 “Island” I の上にアクセント記号)

2. 読み方が間違えている。
(p.243 「デンマーク語ではケーベンハウン」……キワドイですね。
    多分、デンマーク学者はそうは書かないでしょう)
 p.244 「自称はノルゲ」 現代語では「ノリエ」)

3. 信憑性のない歴史資料をさも定説のように扱っている。
(pp.65-67 「ダキアローマ史観」 この資料って、
      どこから手に入れたのか気になります)

特に言語学の人間としては
1. の特殊アルファベットに関しては、
特に怒りを感じます。

パソコン通信・インターネットなど、
まだまだ混沌状態にある環境ならば、
これも仕方がないと言えますが、
本となれば話は別です。
(大体、フォントがあるんですから
 少々努力すれば印刷できるはずです)

これらの記号は日本語で言えば、
濁点と同じくらいの重要な意味を持っています。

これは日本人に限らず、
特殊アルファベットを持たない英米の人々にとっても
非常に分かりにくいことなのかもしれませんが、
(彼らも特殊アルファベットは
 置きかえる傾向にありますからね)
これら特殊アルファベットや装飾符の有無で、
弁別的に単語の意味や働きが
変わってしまう可能性があるのです!

……でも、例えば次のように反論する方も
いらっしゃるかもしれません。

|ドイツ語で Buch「本」は複数では Bu:cher です。
|(:は前の母音のウムラウト記号の意)
|これらは発音を区別するためのもので、
|大きな意味では取り除いても、
|意味には関係がない。

しかし、それならば、
英語で foot を feet と敢えて表記するのも、
問題があるはずです。
(o が e に変化したのはウムラウトの影響)

また、スウェーデン語では a'ka「乗る」と
(a'はÅのように o を上に乗せる、の意)
aka「??」では意味がまったく異なってしまいます。

a'ta「引き受ける」<--> a:ta「食べる」
という例もあります。

これらの問題をまったく考慮せずに、
なんの恥じらいもなく、
本という形で出版して頒布させてしまうという行為に、
「地名の世界地図」と題しながらも
「言葉」というものを
非常に軽く見ていてると
感じずにはいられません。


また、巻末の主要著書を見れば分かるのですが、
これらはほとんど二次資料という、
学部論文ですら「不可」が出そうな、
かなり低俗な本と言わざるを得ません。

多分、「原綴だと著者らが思い込んでいる綴り」も
英語辞書か何かからそのまま引っ張ってきたものでしょう。


というわけで、
個人的には編集者・著者らの責任感が無さを
感じずにはいられません。
(私ですらあくまでヨーロッパ系ならば、ですが
 もうちょっとマシな本が書けますよ(^_^;;)


PS
「ダキアローマ史観」については
完全に私の専門とそれていますので、
断片的にしかお話しできないので、
ここで書くのはやめておきますが、
今度、機会があったら触れてみましょう。



ラテン語で「猫」は?

田邉露影 (2001/03/07 00:29)

>佐藤さん
坂梨さんのおっしゃる通り、
猫はラテン語で“aelurus”(o語幹)です。



アイルルス

坂梨 (2001/03/06 16:14)

>>佐藤さん
英語で「猫」を表す連結形はailur(o)-, ailour(o)-, aelur(o)-
ですが、Chambers Dictionaryの語源欄に<ギリシャ語「猫」ailouros>
とありました。イルルスではなくアイルルス=猫と考えた方がいいかもしれ
ません。



あざ・らしい?

あざらし (2001/03/06 13:01)

オットセイの語源の話しを見せてもらいました。
ところで、あざらしはどうなんでしょう。痣・らしい?って事なんでしょうか?



マヤイルルス・イリオモテンシス

佐藤和美 (2001/03/06 12:48)

「マヤイルルス・イリオモテンシス」(Mayailurus iriomotensis)
「西表山猫」の学名です。
「マヤイルルス」の意味ですが、
マヤーは琉球方言で猫という意味です。
琉球方言が使われてるのがいいですね。

イルルスもギリシア語かラテン語で「猫」か「山猫」だったと思うんですが、
どうも確認できませんでした。
情報ある方、いらっしゃるでしょうか?



好きだ、愛している

ジャネス (2001/03/06 12:21)

こんにちわ。 「好きだ」と「愛してる」がどう違うかを教えてほしいです。
恋のことばとして、「好きだ」と「愛している」が似ているが、どういうふうに使い分けられますか。
これは、恋の段階によって違いますか。例えば、恋人になるまでに、好きな人への告白では、「君が好きだ。」が、恋人になったら、「君を愛している。」ですか。つまり、「すきだ」より「愛している」のほうが、恋の段階がもっと深いですか。
よろしくお願いします。
また、間違ったところを許して下さい。



「言葉の世界」伝言板2月分

佐藤和美 (2001/03/05 12:40)

 「「言葉の世界」伝言板2月分」を追加しました。



「閼伽」

ビーバ (2001/03/04 00:11)

 私も言語学の知識は浅く、サンスクリット語根についても特に詳しくはあり
ません。そんなわけで主に辞書に頼っているのですが、サンスクリット「argha」
の語根は「arh」で、「…する価値がある」とか「…する資格・権利がある」と
いった意味があるようです。一方、ラテン語「aqua」については印欧祖語にさ
かのぼれるのかも疑問がありますが、原義が「価値」だったという話はないよ
うで、意味の比較はうまくいかないでしょう。
 私としては、そもそも音韻法則からいって「argha(または語根arh)」がラ
テン語の「aqua」に対応することはなく、意味の比較を考えるまでもなく対応
は否定されるのではないかと考えています(ラテン語「qu」は印欧祖語「kw」
「p」、サンスクリット「c」「p」に対応?)。もちろん、意味の違いも一つの
根拠になると思います。



はじめまして!

ワンソン (2001/03/03 22:22)

はじめまして。
私は中国人の日本語勉強者です。
しかも、今の専攻は中日対照言語学です。
この「言葉の世界」は初めてですが、凄く興味を持っています。
よろしくお願いします。



RE:そこに山があるから?

佐藤和美 (2001/03/03 11:53)

ふとさん
>日本の火山て、母音+Sで始まる名前が多いってなんかの本で読みました。
>阿蘇山、有朱山、恐山、石鎚山、浅間山、朝日岳、旭岳、愛鷹山、足尾山etc
>割とおっきい山だけでもこのくらいありました、小さい山も含めればもっとありそうです。
>これってなぜですか?

「燃える山」UEJさん(1999/10/26 08:23)wrote
>関係あるかどうか分かりませんが、深田久弥「日本百名山」那須の項に以下のような引用があります。
>| 寺田寅彦氏の随筆「火山の名について」によると、
>| 日本の火山、アソ、アサマ、ウス(有珠岳)、ウンセン、エサン(恵山)など、
>| 互いに似通った名を持っている。
>| これは、南方語系のAso(燃える)Asua(煙る)などから来たのではないか、
>| そしてナスもその一変型ではないか、と説かれている。

ただし、こういう話はマユにツバつけて読んでたほうがいいですよ。
有珠も火山の名ではなくて、有珠湾のことだったし。
(「有珠」(2000/04/03 12:34)参考のこと)



「地名の世界地図」経過

佐藤和美 (2001/03/03 11:52)

おととい、文春と会いました。
こちらの気がついていたことは、一通り話しました。
(もらった名刺は「文春新書編集局長」となってました)
4時間弱だから、けっこう長く話してましたねぇ。
これで何週間か後には修正版もでることでしょう。
1、4刷は自分で買いましたが、今回は6刷をもらいました。
修正版ももらえるでしょうから、「地名の世界地図」は4冊になるという快挙(?)ですね。

2月から始めたページ「間違いだらけの「地名の世界地図」」は間違いだらけでなくなった時点で削除ですね。(伝言板のログは残りますけど)



(無題)

田島照生 (2001/03/03 01:32)

>ビーバさん

小生、浅学菲才の身にして、語根の問題には疎いのですが、では
梵語根arにラテン語aquaは対応しにくい、とみるべきなのでしょうか。
たしかにギリシャ語・ラテン語・サンスクリット語等は同系語で、
共通の音韻法則関係は多く見出される筈ですが、それを証明するため
には、先づ意味に共通性が見出されなければなりませんしね。
「argha」が飽くまで本義として「価値」の意を持っていたらば、
「aqua」が価値ある物情として認識されていたか、或いは
「価値」→「水」という転義が起ったということが証明されなければ
意味をなしませんね。やはり無関係?むつかしい問題ですね。



そこに山があるから?

ふと (2001/03/02 23:43)

始めまして、偶然このサイト見つけました。色々勉強になりました
んで、質問です。
日本の火山て、母音+Sで始まる名前が多いってなんかの本で読みました。
阿蘇山、有朱山、恐山、石鎚山、浅間山、朝日岳、旭岳、愛鷹山、足尾山etc
割とおっきい山だけでもこのくらいありました、小さい山も含めればもっとありそうです。
これってなぜですか?

p.s. ここまで書いて気付いたんですが、母音+Sじゃなくて(a/u/o)+Sで、もとはasで始まるっぽいですね。



「閼伽」OED

ビーバ (2001/03/02 23:34)

 以前に「閼伽」のことで OED と研究社『英語語源辞典』を引いたことがある
んですが、少なくとも私の見た範囲では、aquaとarghaを結びつける記述はなかっ
たですね。どの辞書かは忘れましたが、ラテン語「aqua」とサンスクリット語根
「ap-」との対応を可能性としてあげているものはありました。



閼伽

田島照生 (2001/03/02 13:39)

>ビーバさん

いえいえ。ビーバさんの記述の方がより詳しいので、
小生も勉強になりました。で、「argha」の件に関してなのですが、
ビーバさんの仰有るとおり、「argha=価値」が原義ですから
「argha」と「aqua」とが同原であると云う蓋然性はないでしょう。
発音面に関しては判りかねますが。ただ「argha」は「アルガァ」に
近い発音だったと聞きます。

『日本国語大辞典(第二版)』の「閼伽」の項には次のようにあります。

argha,arghya(価値)の意で、敬意を表わす贈り物のこと。功徳水と訳す。

続いて語誌欄には次のようにあります。

梵語の原義は、冒頭に示したように価値あるもの、客人表敬の贈り物であった。
後、「閼伽水。此即香花之水」[毘盧遮那成仏経疏]のように仏に供える
功徳水をさし、さらに(中略)神仏に捧げる物、供養の物を入れる容器を
さすことにもなった。

つまり「功徳水」の意は派生意ですから梵語のarghaがラテン語のaquaと同原で
あるというのは附会の説でしょう。それともジーニアスの語原説は根拠あっての
ことでしょうか。だとすればその根拠を知りたいですね。
またそのことはOEDには記載されているんでしょうかねぇ。



新たな戸籍名

坂梨 (2001/03/02 08:30)

asahi.comから

自公保3党の「国籍等に関するプロジェクトチーム」(太田誠一座長)は1日、
旧植民地出身者とその子孫である「特別永住者」が日本国籍を取得した場合、
戸籍名として新たに「崔、鄭、姜、趙、尹」の5文字の使用を認めることを決めた。

いままでは戸籍法で認められていなかったんですね。ところで読みはそれぞれ
「さい、てい、かん、ちょう、い」さんでいいのかな?

http://www.asahi.com/0301/news/politics01013.html



「地名の世界地図」経過

佐藤和美 (2001/03/01 12:30)

今夜、文春と会うことになりました。

送られてきた手紙を読んでの印象は「間違い・疑問の多さを認識してるのか?」です。
こっちが気がついてるのはメールで二回送った分だけじゃないんだけど。
こっちが気がついて文春に伝えてない個所だけでもまだ四、五十個所(?)はありそうなので、
話したらビックリするんじゃないかな。



Copyright(C) 2001 Satou Kazumi

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