1998年伝言板アイヌ語関係集




コロポックル

佐藤和美 (98/06/08 20:00)

 「日本語の中のアイヌ語」に「コロポックル」を入れるのを忘れてました。「コロポックル」だったら知ってる人も多いのではないかと思います。

 「コロポックル」korpokkurの意味は「コロ」kor(フキの葉)+「ポク」pok(下)+「クル」kur(人)です。「フキの葉の下の人」ですね。アイヌの伝説に出てくる小人で、コロポックルを題材に童話を書いた人もいましたね。(佐藤さとるでしたっけ?)

 アイヌ語では「r」の後に母音がないと、「r」の前の母音に影響されます。ただし1音節で発音されることにかわりありません。korを片仮名表記するときは、最近は「コロ」の「ロ」を小さく表記するのが一般的になってきていて、「コ」のように表記します。私の場合は小さくしないで「コロ」と表記しています。ローマ字も併記してますので、正確な発音はそちらをどうぞ。本来だったらこういうことは凡例で書いとかなきゃいけないですね。

 日本語では「l」と「r」の発音を区別しません。「kulage」でも「kurage」でも「クラゲ」です。アイヌ語でも「l」と「r」を区別しないのですが、それ以外にも区別しないものがあります。「k」と「g」、「t」と「d」、「s」と「sh」そして「p」と「b」です。「p」と「b」は区別しないのですから、「コロポックル」でも「コロボックル」でもどちらでもいいのですが、一般には無声音のほうで表記します。



ふくろう

水谷 です (98/07/19 13:54)

アイヌ語について教えてください。ふくろう〈owl〉が大好きなのではじめまして。
ふくろうについて大好きです。いろいろふくろう関連グッズを集めたりしています。
アイヌ語でふくろうってなんというのでしょう。
かわいいふくろう、小粋なふくろう、お利口さんなふくろう、生意気ふくろうなんて言い方ありますか。 アイヌ語のひびきが好きです。 娘が帰ってこないとEmailの番号がわかりませんので、このままおくります。



ふくろう

佐藤和美 (98/07/20 09:29)

 アイヌ語には標準語・共通語はありません。アイヌは国家をつくらなかったためでしょうか。

 そのため「ふくろう」もいろいろあります。
知里真志保「分類アイヌ語辞典・動物編」を参考にひろいだしてみました。(樺太方言は除いてあります)

・シマフクロオ
 カムイチカプ 「kamuy」(神)+「cikap」(鳥)
 カムイエカシ 「kamuy」(神)+「ekasi」(翁)
 コタンコッチカプ 「kotan」(村)+「kor」(所有する)+「cikap」(鳥)
 コタンコロカムイ 「kotan」(村)+「kor」(所有する)+「kamuy」(神)
 モシリコロカムイ 「mosir」(国土)+「kor」(所有する)+「kamuy」(神)

・エゾフクロオ
 クンネレクカムイ 「kunne」(夜)+「rek」(鳴く)+「kamuy」(神)
 ハシナウウッカムイ 「hasinaw」(枝幣)+「uk」(受け取る)+「kamuy」(神)
 イソサンケカムイ 「iso」(海幸山幸)+「sanke」(出す)+「kamuy」(神)
 イヌンカムイ  「inun」(漁する)+「kamuy」(神)

 いろいろあるわけですが、とりあえずは「コタンコロカムイ」を使えばいいのではないかと思います。

 なお岩波文庫に知里幸恵「アイヌ神謡集」というのがあるんですが、この本の最初の話が「梟の神の自ら歌った謡」です。ぜひ読んでみてください。(この本は岩波文庫の分類が赤帯(外国文学)になってます。岩波はなにを考えてるんでしょうか。)



ふくろう

水谷 です (98/07/20 10:37)

ありがとうございました。うれしく読みました。
他のページも読ませていただきました。ふくろうは聖書では知恵の神ですのに、中世では不吉な印にされているような気がしますがどうでしょうか。ギリシャ神話や星の中にもふくろうが登場しますか。またそれはどんな風に呼ぶのでしょうか。手塚先生のマンガにもふくろうが登場するものがありますか。
娘もたまに伺うようですのでその節はよろしく。



アイヌ語ラジオ講座

佐藤和美 (98/08/06 07:34)

 STV(札幌テレビ放送)というところで「アイヌ語ラジオ講座」という番組を始めたようです。
内容はWWWでも聞けるようです。詳しくはHPを見てください。テキストも郵便代だけで送ってくれるそうです。(去年成立したアイヌ新法の政策の一環なので、テキスト代は無料なんですね、きっと。)

「アイヌ語ラジオ講座」
http://www.dosanko.co.jp/stv/ainugo/

アイヌ語をインターネットで勉強できる時代になったんですね〜。



はじめまして

masahiro (98/08/29 13:03)

初めまして。
お尋ねしたいことがあります。
当地は青森県ですが、近所に”尻”のつくところが何カ所かあります。
尻内・尻前・尻引などですが、それ以外にも黒沢尻(岩手県)奥尻(北海道)などもっとあります。
これはアイヌ語でsir(しり)すなわち”やま”(山)を表しているのでしょうか?
それとも、”しま”(島)か”川の中州”を表しているのでしょうか?
門外漢ですので、宜しくお願いいたします。
                             小田正博



シリ

佐藤和美 (98/08/30 00:50)

 アイヌ語地名はこのHPの中でも特に愛着のある部門です。
伝言板ではあまりアイヌ語にふれることがないですが、久しぶりに行ってみましょうか。

 アイヌ語の「シリ」sirの意味ですが、
1.地、大地、土地、所。
2.山。
3.水際のけわしい山。
4.目に見えるかぎりの空間。
5.昼夜。
6.天候。
7.気温。
8.なぎ。
です。
(知里真志保「地名アイヌ語小辞典」)

この辞典には「島」という意味は載っていません。奥尻、利尻の「シリ」は「土地」の意味なのかもしれませんが、普通は「島」と訳します。

いくつか書いてあった地名を訳してみました。
尻内「シリ」sir(山)+「ナイ」nay(川・沢)
尻前「シリ」sir(山)+「オマ」oma(ある)+「イ」i(者(所))

尻引 なんと読むのでしょうか。
黒沢尻 アイヌ語か日本語か判断できません。
奥尻 本には「イクスンシリ」で「向こうの島」の意味と書いてあるのですが、定説にはなっていないようです。

「シリ」には「尻」の字が当てられることが多いのですが、「後」の字も使われます。国後とか後志(しりべし)です。このへんのことに関しては「知床地名行」を見てみてください。



”しり”について

masahiro (98/09/03 07:22)

"sir""しり”について、ご説明いただき、ありがとうございます。
”しり”にもいろんな意味がありますね。
”島”あるいは”陸地”のような意味にも解釈できて、安心しました。
アイヌ語辞典をこんど用意してみてみます。
黒沢尻は黒沢柵のあったところですね。合併を繰り返して人口10万人の岩手県で2番目の大きな町になりました。(北上市として)
これからも宜しくお願いいたします。       小田正博



コタン

佐藤 義昭 (98/09/03 16:51)

アイヌ語の”コタン”に、谷・渓の意味はありますか?

近頃読んだ本に、大江志乃夫著「日本植民地探訪」(新潮選書)があります。
この中で樺太大泊にあった楠渓町(樺太東線の駅)の由来について次のように書いてあります。

クシュンコタン(幕末にはふつう久春古丹と表記していたが、クシュンの当字に楠を当て、
アイヌ語コタン(谷)を渓と和訳して楠渓とした表記も見られる)

コタンは部落・村等の意味があると思いますが、それ以外の意味もあるのか。
教えて下さい。



コタン

佐藤和美 (98/09/04 12:06)

 「コタン」の意味は
1.部落、村。
2.国土、世界。
です。
(知里真志保「地名アイヌ語小辞典」)

「谷」という意味はありません。

「クシュンコタン」に「楠渓」という字を当てているということですが、
私が思うには
「クシュン」には「楠」(クス)という音を当てていますね。
こういう場合は普通は次も音を当てます。
「コタン」の「タン」に「タニ」(渓)の字を当てたのではないでしょうか。
そうだとするとつじつまがあうと思うのですが。



(無題)

佐藤 義昭 (98/09/04 13:05)

コタンの意味について、ありがとうございました。
アイヌ語地名の由来では、音を訳したのと、意味を訳したのがあり、さらに当字にしているのでむずかしいですね。
樺太の地名は、南部はアイヌ語からのが多いと思いますが、北に行くにしたがい、それ以外の言葉が由来と思われるのがあるようです。
樺太の駅停車場一覧(北海道鉄道百年史掲載)をみると次のような駅名があります。由来は何語で、意味は何なのか、わかりませんか?

亜屯
古屯
気屯



樺太の地名

佐藤和美 (98/09/05 23:10)

樺太のアイヌ語以外の地名ですか。
全然知識ないですねえ。

樺太のアイヌ以外の民族にはウィルタ(旧称オロッコ)、ニブヒ(旧称ギリヤーク)などがいたようですが、亜屯、古屯、気屯という地名もこのどちらかの言葉なのかもしれないですね。

網走の「ジャッカ・ドフニ」というのはウィルタの施設だったと思うのですが、こういうところにはウィルタ語辞典とかあるかもしれませんね。



三内丸山遺跡

佐藤和美 (98/09/16 12:03)

 東北地方北部はアイヌ語地名地帯です。多くのアイヌ語地名が残っています。

数年前、青森県で縄文時代の遺跡である三内丸山遺跡が発見されました。
この三内というのもアイヌ語地名のようです。

北海道では吉村昭の「羆嵐」(くまあらし)の舞台となった三毛別(サンケベツ)がありますが、語源は同じです。

意味は「サン」san(下る)です。「ケ」keは他動詞にする接尾辞です。「サンケ」(下す)の意味になります。

三内  「サンナイ」San-nay(下る川)
三毛別 「サンケペツ」Sanke-pet(下す川)

問題はなにが下るのかということです。
これは「水」だったようです。大雨などのとき、急に「水がどっとでる川」だったんですね。
(「サンナイ地名の謎」山田秀三「東北・アイヌ語地名の研究」所載)

 縄文時代の三内丸山遺跡では、どんな言葉が話されていたでしょうか。それはたぶんアイヌ語だったのではないでしょうか。



一、二、三

佐藤 義昭 (98/09/18 12:57)

樺太に次のような駅名がありました。これもアイヌ語でしょうか?
一の沢、二の沢、三の沢
場所は樺太東線の大泊から少し北へ行ったところにあったそうです。
そもそも、アイヌ語では、数・数値の概念はどうなっていたのでしょうか?
教えて下さい。



アイヌ語の数

佐藤和美 (98/09/21 12:03)

 アイヌ語の数、「一、二、三」ですが、

まずは、一つ、二つ、三つ(もの・動物)から
「シネプ」、「トゥプ」、「レプ」

次は一人、二人、三人
「シネン」、「トゥン」、「レン」

(「エクスプレス アイヌ語」白水社)

私個人の感覚で言うと、一の沢、二の沢、三の沢というのはアイヌ語地名的でないように思います。
北海道の知床半島の知床五湖を、一湖、二湖、三湖、四湖、五湖というように呼びますが、あの地名感覚ですね。

和人がつけた地名なような気がするんですけど。



これであなたもアイヌ語地名研究家

佐藤和美 (98/09/24 12:04)

 最短でアイヌ語地名研究家になる(なったふりをする?)には次の3冊を手に入れましょう。

 知里真志保「アイヌ語入門」北海道出版企画センター
 知里真志保「地名アイヌ語小辞典」北海道出版企画センター
 山田秀三「北海道の地名」北海道新聞社

まず知里真志保「アイヌ語入門」を読んで、後の2冊は手元においておく。
「地名アイヌ語小辞典」は地名に出てくる単語が、「北海道の地名」は北海道内の地名が解説されています。必要のつど辞典のように引きましょう。
これであなたも一週間でアイヌ語地名研究家です。(笑)



アイヌ語地名講演会

佐藤和美 (98/10/05 12:04)

伝言板が故障中、メールが届いていましたので以下に掲載します。


アイヌ語地名講演会巡検のお知らせをいたします。

10/10(土)・11(日)にアイヌ語地名講演会と巡検が行われます。
10/10(土)
講演会(参加費:学生・会員500円 一般1000円)
会場
高等学校教職員センター4F大会議場
札幌市中央区南大通り12丁目(地下鉄東西線西11丁目下車)
演者
藤村久和(北海学園大学教授)アイヌ語の楽しさ
高橋基 (旭川商業高校教諭)近藤重蔵の「テシヲ越え」ルート考
高木崇世芝(地名研究家)北海道の古地図-地名研究を中心として
榊原正文(小樽桜陽高校教諭)アイヌ語地名巡検の前に ルート概説

巡検10/11(日)9:00-16:00
(参加費:学生・会員3000円 一般4000円 サケのふるさと館入館料を含む)
ルート:豊平川水系から尻別川上流域、支笏湖にかけての貸し切りバスによるアイヌ語地名巡検
バスの定員になり次第しめきり。10/10に会場にて申し込み

詳しいことは下記の所まで
連絡先
渡辺0144-36-0688 榊原0134-54-4232



ヤチポチポチ

佐藤和美 (98/10/29 12:07)

 世界でただ一つのアイヌ語のみのホームページを紹介します。

「ヤチポチポチ」
http://aynu.727.net/

です。

このページのリンク集からこちらにリンクが張られていますが、
その説明もアイヌ語です。

ぜひ、見に行ってみてください。



はじめまして

Hiwa (98/10/29 19:13)

はじめまして。
以前からアイヌ語の地名に興味を持ってました。
北海道の地名の由来に関する本はそれなりに出ていますが、東北地方にも結構アイヌ語地名があると聞きます。
僕は山形(庄内地方)の出身なんですが、
僕の地元にもアイヌ語地名は存在するのでしょうか。
僕も、知っている地名をならべて少々考えてみたりするのですが、
いまいちすっきりしません。というか、見つけ出せません。
何か知っている方メール下さい。待ってます。



山形のアイヌ語地名

佐藤和美 (98/10/30 12:03)

 東方地方に多くアイヌ語地名が残っているのは
青森、秋田、岩手、宮城北部、です。
(山田秀三「東北・アイヌ語地名の研究」(草風館)による)

 山形県はそれほどアイヌ語地名は多くないようですね。
「東北・アイヌ語地名の研究」に出ている山形県でアイヌ語の可能性のある地名は
東根市の若木(おさなぎ)、
乱川の上流の横内(よこうち)、
です。

山形県の庄内はたぶん日本語なのでしょうが、もしも、アイヌ語だったら、「ショー」(滝)、「ナイ」(川)で「滝の川」という意味になります。(架空の話ですので、念のため)



はじめまして&おしえてください

た (98/11/03 03:58)

ひょんなことから興味が湧いてきて
アイヌ語のサイトをいろいろ見ています。

アイヌ語って今どの地域でどのくらいのひとに話されているんでしょうか。
それと言語学的にゆ〜と
日本語とか韓国語に近いんですか、やっぱり。
(膠着語とかっていう?)



アイヌ語

佐藤和美 (98/11/04 12:17)

 アイヌ語が話されていたのは、北海道、千島、樺太南部、東北地方北部です。このうちアイヌ語が残ったのは北海道だけです。それも太平洋岸地域と石狩川流域だけです。

北海道のアイヌ語も一時は絶滅の危機にあったようですが、最近はいくらか盛り返してきました。

アイヌの人口ですが、2、3万だったと思います。

 アイヌ語も日本語も同じ系統の言語は見つかっていません。
アイヌ語は文法的には日本語に似ています。
語順はだいたい同じなので、一語一語訳していけば、だいたい翻訳できてしまうほどです。

 日本語は膠着語ですが、アイヌ語は抱合語と言われています。



質問

星影 (98/11/09 20:28)

佐藤和美様
10000ヒット、おめでとうございます。

掲示板に始めて書き込みさせていただきます。
初めてなのにいきなり質問でなんですが、
いま、NHKで、天売島(テウリとう)の事が紹介されています。
テウリの語源は何でしょうか?
教えて下さい。
http://plaza6.mbn.or.jp/~Seiei/



天売島

佐藤和美 (98/11/10 22:03)

 ありがとうございます。

 天売島は古くは「テウレ」、「テウレシリ」と呼ばれていたようです。
「テウレ」の語源は定説なしです。
「魚の背腸(せわた)」、「趾(あと)」などですが、あまりあってそうもないですね。



はじめまして

kina (98/11/11 23:43)

はじめましてkinaと申します。面白そうなお話が展開しているのでよければ参加させてください。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kina/



シュマリ

佐藤和美 (98/11/12 12:04)

 イヤー、kinaさんに読まれていると思うと緊張しますね。(^^;

 以前、kinaさんに教わった手塚治虫の「シュマリ」のアイヌ語の訳ですが、
来年、手塚治虫メーリングリスト(http://www.osamushi.com)で
手塚治虫の同人誌を出すことになり、
その中で私が「手塚治虫作品のアイヌ語」というのを書くことになりました。
(今あるものを長くしたものです。)
その中で使わせていただく予定です。



ルイベと高野豆腐

佐藤和美 (98/11/14 16:29)

 ルイベは鮭を凍らせた食べ物です。
ルイベはアイヌ語で「ルイペ」(ruype)、
意味は「ル」(とける)ru+「イペ」(食料)ipeです。
意訳すると、「凍っている食料」です。

アイヌ民族博物館監修「アイヌ文化の基礎知識」(草風館)には次のような文章があります。
「たとえば、サケの保存方法には全述の乾燥・くん製のほか、凍らせて食べる方法もあります。秋口にとったものを塩づけにしておき、寒中にそれをとり出して戸外に吊しておくのです。そうすると寒いときには凍り、日中気温がゆるむと若干とけかけ、さらにまた凍るということが繰り返されるうち、その切り身を食べるとトロッとした味のある食べものになるのです。これをルイペといいます。有名なルイベという食べものは実はここからでた名前です。ただし、現在の市場で出まわっているものは単に凍らせただけのものですから、くれぐれも誤解のないように」

もともとのルイベって、ただ凍らせただけじゃなかったんですね。

それにしても、凍る、とける、の繰り返しで、素材とは違ったものを作るというのは、高野豆腐と同じですね。
思わぬところで、全然別の食べ物が同じ作り方をしていると知って、おもしろいものだと思ったのでした。



ルイベの科学

kazu (98/11/16 18:15)

ルイベの作り方に関しては、下記の説明については疑問が多いと思います。

アイヌ民族博物館監修「アイヌ文化の基礎知識」(草風館)には次のような文章が
あります。
「たとえば、サケの保存方法には全述の乾燥・くん製のほか、凍らせて食べる方法も
あります。秋口にとったものを塩づけにしておき、寒中にそれをとり出して戸外に吊
しておくのです。そうすると寒いときには凍り、日中気温がゆるむと若干とけかけ、
さらにまた凍るということが繰り返されるうち、その切り身を食べるとトロッとした
味のある食べものになるのです。これをルイペといいます。有名なルイベという食べ
ものは実はここからでた名前です。ただし、現在の市場で出まわっているものは単に
凍らせただけのものですから、くれぐれも誤解のないように」

と書いてありますが、どうも怪しいです。
詳しくは、kinaさんのホームページで論議されているのでそちらをどうぞ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~kina/



ルイベ

佐藤和美 (98/11/17 12:03)

 kinaさんのホームページ、ざっとですが、見てきました。
ルイベに関してかなりの情報量がありますね。

ルイベを、凍る、とける、の繰り返しでつくるというのは、まゆつばということですか。
そうするとルイベを意訳で「凍っている食料」としたのはまちがいかもしれませんね。
「とかして食べる食料」の意味だったのかも知れませんね。



白土三平「カムイ伝」

佐藤和美 (98/11/18 12:13)

 先週、NHKの「堂々日本史」でシャクシャインのことをやってました。
それで思い出したことです。

 白土三平の「カムイ伝」は主人公の名前が「カムイ」です。
この「カムイ」はアイヌ語で「神」の意味がありますよね。
ところが作品中にはアイヌにからんだ話はでてきません。

「カムイ伝」の当初の構想では
主人公のカムイは白いオオカミとともに北海道に渡り、
そこでシャクシャインの戦いにかかわっていく、という予定だったそうです。
(「「ガロ」編集長」ちくま文庫)
「カムイ」というのは、その伏線になっていたんですね。

予定どおりだったらどんな話になっていたでしょうね。



kinaさんのHPに中川氏が登場

kazu (98/11/19 19:38)

ルイペ論争の発端である中川氏(中川裕著「アイヌ語をフィールドワークする」大修館書店) が、kinaさんのHPに登場しました。


http://www2s.biglobe.ne.jp/~kina/



なすび

伊藤義貴 (98/12/03 08:48)

アイヌ語で、「おはよう」と、「さようなら」と、「おやすみ」は、なんというのですか????



伊藤様

kina (98/12/05 10:58)

英語で「いただきます」ってなんていいますか?

挨拶ことばは、対応するシチュエーションそのものが存在しない
場合もあるので、一概には答えにくいものです。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kina/



アイヌ語の挨拶

佐藤和美 (98/12/05 17:05)

 以下、中川裕・中本ムツ子著「エクスプレス アイヌ語」(白水社)より引用します。

挨拶の表現
 アイヌ語で「こんにちは」にぴたりと当てはまるような言葉はありません。昔は、他人の家を訪れた時には、外から声をかけたりせずに、まず表で咳払いをしたり何かそこらへんのものを叩いて音を立てたりして、家の人が自分に気づいてくれるまで待ちました。そして、家の人が表に誰が来ているかを確認して、家の中を掃除して客を迎える準備が出来てから、ようやくなかに入れてもらうことができるのであり、それから改まって挨拶をするものでした。
 「エイワンケ ヤ?e=iwanke ya?お元気ですか?」という言い方は、最近よく挨拶で使われます。また、久しぶりに会った時に、「フチ ヘー!huci he!おばあちゃん、久しぶり!」など、ヘーhe!という言葉をつけて相手を呼び、手をとりあったり、肩をだいて背中をさすりあったりして再会を喜びあうことも、よく行われます。



一、二、三

佐藤義昭 (98/12/10 12:50)

以前樺太の駅名で、「一の沢・二の沢・三の沢」がアイヌ語地名かどうか、お聞きしまして、その時は日本語的地名ではないかという事でした。
この件の続報という事で、近頃読んだ本に、チェーホフの「サハリン島」があります。この中で、「一の谷・二の谷・三の谷村」というのが出てきて、場所的に後の「一の沢・二の沢・三の沢」と同じところのようです。(チェーホフがサハリン島に滞在したのは、1890年7月から10月です。)どうやら、ロシア語地名を駅名にしたようです。ロシア語地名になる前はアイヌ語地名があったそうですが、ロシア語地名とは意味的にも関係はないらしいです。



一、二、三

佐藤和美 (98/12/11 12:49)

 樺太の地名に関しての書きこみは、9月18、21日にありますね。
「一の沢、二の沢、三の沢」の語源はロシア語だったということでしょうか。



ノンノ

佐藤和美 (98/12/21 12:54)

 「ノンノ」という女性雑誌があります。
この「ノンノ」の語源ですが、アイヌ語で「花」です。
思わぬところに語源があったというしだいです。




Copyright(C) 1998 Satou Kazumi

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