研究テーマ->音楽と著作権

このページでは、音楽と著作権について記述しています。 インターネットのホームページ、ブログ、動画サイトなどで曲を使用する場合の著作権上の留意点や期限や曲の使用許諾について記述しています。 インターネットでの公開以外の場合、たとえば、ビデオやCDを作って配布する場合などにもある程度参考になると思います。
なお、このページの内容は、法律等の変化により正しくなくなることもありますし、詳細に確認しているわけでもないので、参考程度にみてください。

 
けっこうややこしい、音楽と権利
それぞれの曲には、作曲者、作詞者、編曲者がいて、そのそれぞれについて著作権があります。これは、CD制作等のレコーディングが行われていなくても、曲を作った時点で発生します。CDが制作された場合には、これらに加えて原版権というものが発生します。またCDではなくネット配信のために作成されたデータに対しても同様の権利が発生します。ややこしいですが、おおざっぱに、作曲、作詞、編曲、音源に関して権利があると理解しておけばいいかと思います。 (ただし、ネットではファイルの形式で曲を公開すると思いますが、mp3のようにファイルフォーマットを使うことに対して、使用料を求められることもありますので、注意が必要です。 )
作曲、作詞、編曲、音源に関して権利がありますから、たとえばネット上で、JPOPのヒット曲をCDからとってきて、そのまま公開しようとすると、すべて をクリアしなければならず、個人では無理ということになります。
許諾なしに使ってもいい曲もある  〜 著作権の保護期間は没後50年でした(例外もあり)が、 TPPで70年に延長になりました
作曲、作詞、編曲、音源の4つの権利をクリアすればネットで自由に公開できます。一番単純なのはすべて自分で行うことです。自分で作った歌を録音して、ネットで公開しても誰も文句を言う人はいません。多くの人に聴いてもらえるかどうかは別ですが。。。
次に考えられるのが、大昔の人が作った歌を使うことです。大雑把に言って、作曲や作詞などを行った人が死んでから50年以上たった曲は、誰でも自由に使用していい状態になります。このような状態をパブリックドメインといいます。誰が作ったかわからない昔からある民謡もパブリックドメインです。
よって、たとえばベートーベンの曲は、誰でもが自由に使用することができます。ただし、作曲や作詞などがパブリックドメインになっていても、音源の権利は別です。なので、CDに収められたカラヤンの名演奏などは勝手に使用することができません。自分で演奏したり、歌ったりして録音する必要があります。
童謡・唱歌の場合、作曲者の権利だけ保護期間を終了していて、作詞者の権利は終了していないような曲がたまにあります。この場合、楽器演奏だけとか、ハミングだけとか、そのようにすれば、曲を許諾なしに使用することができると思います。逆の場合は、演奏するようなデータの公開はダメで、歌詞の掲載だけできることになります。
なお、外国の曲の場合は注意が必要です。作者の死亡後、50年たっても権利が消滅していない曲というのがあるからです。日本が戦争していた期間は、50年のカウントに入れないという条約(?)があるからで、10年ぐらい延長されていることがあるようです。 (戦時加算と言います。)この決まりは日本が敗戦国であることが原因で、2013年ごろに、JASRAC(だったと思う)がそろそろこの条約をなしにして欲しいと、国際的な場に申し立てたとかいうのがニュースになっていたことがありました。 例えばアメリカ人の作曲家が作った曲は、50年ではなく、60年経過しないと無料で使用することはできません。
「ハッピーバースディ」のように、なぜか日本ではパブリックドメインになっているのに、米国ではまだ保護期間中になっているという曲もあるようです。
もう1点、注意しなければならないのは訳詩です。たとえば「メリーさんの羊」は作曲、作詞とも著作権保護期間を終了していますが、日本で通常歌われるのは、訳詩のほうで、この権利は消滅していません。英語で歌うとか、自分で別の歌詞をつけるとかすれば、権利関係はクリアできますが。。。
なお、TPPの影響で1968年以降に亡くなった人の著作権保護期間は20年間延長(トータル70年)されるようになりました。
音楽の著作権の保護期間は、特許の20年と比べて、とても長くなっています。このため、解析したゲノム情報をMP3に変換して音楽として発表している企業があったようです。
謎の集団、JASRAC!?
上記のパブリックドメイン以外の曲を使用するには、作った人の許諾が必要です。たとえば、松山千春さんの曲を使いたい場合、松山千春さんにお願いする必要があります。個人ではとうてい無理ですが、たとえ企業であっても、いちいち交渉するのは面倒です。企業が毎年無数にでてくるアーティストと話をするのは大変ですし、交渉されるアーティスト側も大変です。JASRACはこのような権利関係をひとまとめにして管理してくれる組織です。アーティストはJASRACに登録しておけば、著作権料の徴収はJASRACが行ってくれます。企業側もJASRACと契約しておけば、JASRACの管理曲であれば、いちいちアーティストと交渉しなくてもよくなります。
ちなみに、JASRACに曲を管理してもらう場合、たとえ作曲家、作詞家本人であっても、その曲を使用する場合は、JASRACに曲の使用料を支払わなければならなくなります。以前、テレビで見ましたが、松山千春さんは、自分のコンサートで自分の曲を歌う場合でも、JASRACに申告をして、曲の使用料を支払っているそうです。
アーティストがJASRACに曲の管理を委託するかどうかは自由ですから、アーティストがJASRACに委託していなければ、やはり、曲の使用について交渉を行う必要があります。また、曲によっては、作曲の権利だけ委託されていて、作詞の権利は委託されていないというようなこともあります。このような情況はJASRACのデータベースで調べることがあります。JASRACのデータベースでは、その曲がパブリックドメインになっているかどうかも調べることができます。
JASRACと似たような組織にJRCやイーライセンスがあります。 (現在は合併して株式会社NexTone(ネクストーン)となっています。)JASRACのデータベースでたまに、JASRAC管理外となっている曲が見られますが、このような曲はJRCなど、JASRACと同様の業務を行っている他の組織で管理されている可能性があります。たとえば、斉藤和義の「ずっと好きだった」はJASRACデータベースの配信欄は「×」になっています。JRCのデータベースでは配信欄が「〇」になっています。確証はありませんが、 JASRACとJRCの両方で「〇」になっている曲は無いようです。つまり、1つの曲について、複数の管理団体が管理をしているというような状況は無いようです。
歌詞データと可視データ
JASRACでは、演奏データと可視データを区別して扱っています。どう区別しているかというと、別々にお金がかかります。たとえば、midiのような耳で聞くことを目的としたデータだと、演奏データについての使用料を払います。楽譜や歌詞のような目で見ることを目的としたデータだと可視データについての使用料を払います。カラオケは演奏、歌詞の両方見れますが、歌詞全体を表示せず、ちびちびと、少しずつ表示する形式なら演奏データとして扱ってくれます。歌詞全体が一覧できるカラオケの場合は、演奏データと可視データの両方の使用料を払うことになります。(倍かかります。)
ここでややこしいのが、可視という言葉です。JASRACの人たちは平気でこの言葉を使ってきますが、一般の人が、音楽の話をしている文脈で、「かしデータ」という言葉を使ったら「歌詞データ」と思うのではないかと思います。最初、歌詞を表示すると歌詞データの使用料が課金されるのかと思っていたのですが、楽譜の場合も、可視データの使用料が課金されるので注意しましょう。。。
midiデータの場合は、ソフトを使用すれば、演奏も楽譜の表示もできると思うのですが、なぜか演奏データの扱いだけでよいということになっているようです。
数秒や数小節の試聴や短い歌詞の引用はOK??
JASRACの管理曲であっても、30秒程度なら聴けるようになっていても大丈夫のような噂がありますが、これは間違いです。たとえ1秒であってもダメです。(ただし、ある程度以上に短くなると、もとの曲が何の曲か判別不能なので、意味ないかとは思いますが。。。)試聴用のファイルを作ってインターネット上で聴かせることが許されるのは、 そもそもがJASRACと契約していて、試聴用のリンクがその曲の販売ページに置かれていて、なおかつ曲が指定された長さ未満(たぶん40秒だったように思う)の場合だけです。 この40秒というのが誤って伝わり、30秒以内なら使用してもOKという都市伝説ができたのだと思います。
歌詞の表示も同様です。たとえば、「忘れがたきふるさと〜♪」みたいな短い引用でも、歌からの引用と分かる場合はダメです。(ちなみに、「故郷」の著作権保護期間は終了しているので、ここで掲載しても大丈夫です。)
パロディ、替え歌はOK??
ちまたで流行っている曲があると、パロディ、替え歌も同じように流行りだすことがあります。日常生活のなかでちょっと歌うのは問題ありまんが、ネットなどで使用するのは注意が必要です。元の曲ではないので、使っても大丈夫のような気がするかもしれませんが、やはり権利関係をクリアしなければなりません。替え歌の場合でも、メロディはもともとの曲と同じわけですから、作曲者の権利があります。作曲者の権利は保護期間を終了していて、作詞者の権利だけが残っている場合は、完全に自分で歌詞をつくりなおすのであればOKと思います。テレビCMでクラシックや外国民謡のメロディに、商品名を入れたような歌詞をつけて使用しているのは、著作権使用料を支払わなくて済むからだと思われます。ただし、元の歌詞が少しでも残っていたらダメで、全部、新しく作り直す必要があります。元の歌詞を一部かえただけの替え歌だと、元の歌詞と同様の著作権使用料が発生します。
また、著作権には、著作者人格権というのが別にあり、たとえ作詞作曲に関する権利料を支払っていたとしても、替え歌の内容が、もとの作者の意向に沿わなければ、使用中止や賠償を求められることがあります。歌詞をかえる場合は、それなりの注意が必要です。
生成AI による曲(2024年9月追記)
生成AIは、テキストや音楽、画像などを生成してくれるAIです。生成AIは過去に人間が制作した曲を学習して、指示により新たな曲を生成します。
この仕組みのため、AIで生成したものを使用する場合には、著作権違反になる場合があるため注意が必要です。具体的には、既存の著作物との類似が認められる場合は、著作権侵害となりえます。たとえば、小室哲哉氏は、自身の楽曲をAIに学習させ、あらたな曲を生成させ、さらに自身の編曲を加えて曲を作るというプロジェクトを行っているそうです。このようにAIに自分の曲だけを学習させる場合には、著作権上の問題は発生しないと考えられます。
一方、不特定多数の人が作成した曲を学習させている場合には、著作権上の問題が発生する可能性があります。このため、AIにどのようなデータを学習させるかということについて、政府や企業が規制を設ける方向にあります。
ホームページやブログで使用する場合
上記のようなことですので、まずCDからとってきた音楽をそのままBGM等で使用することはできないと考えたほうが良いです。
パブリックドメインの曲を自分で演奏して録音するとか、コンピュータミュージックのソフトでmidi等の演奏データを作成するとかのことになります。
JASRACの管理曲を使用したい場合は、JASRACと契約することが考えられます。個人で商売目的ではない場合、年間でそれほど費用はかからないようになりました。ただし、その場合でも、作曲、作詞、編曲などの権利がクリアされるだけで、録音やデータ作成は自分で行う必要があります。もしかしたら、音源もCDそのまま使う方法があるのかもしれませんが、やったことがないので分かりません。たぶん無理と思います。
個人でJASRACと契約している人の多くは、ヒット曲のmidiデータを自分で製作したり、歌詞を自分で入力したりして、それを公開しているという人がほとんどだと思います。
SNSで使用する場合
https://www.jasrac.or.jp/smt/news/20/ugc.html
上記に案内がありますが、TwitterはNG,FacebookやInstagram、TikTokはOKです。
動画サイトに投稿する場合
youtubeやニコニコ動画など、大手の動画サイトではJASRACと包括契約をしているところがあります。これは何を意味しているかというと、ある一定の条件を満たせば、JASRACの管理曲を使用している動画でも、著作権料を気にすることなしに、動画を投稿できるということです。これは、動画サイトがJASRACに対して投稿者のかわりに著作権料を支払ってくれるためです。なんでもかんでも投稿できるわけでなく、いくつかの条件があります。作曲、作詞、編曲、音源の4つの権利のうち、作曲、作詞、編曲はクリアできるのですが、音源の権利については別途クリアしなければなりません。なので、市販のCDからとってきた音をそのまま使うことはできません。自分で演奏して、自分で歌うというのならOKです。もちろん、JASRACが管理していない曲は、投稿OKの対象になりません。
ちなみに、JRCやイーライセンス(株式会社NexTone(ネクストーン)に統合された?)も
youtubeと包括契約をしているようです。
youtubeの第三者クレーム(著作権侵害の申し立て)とは。。。  
知らない人が多いと思いので説明すると、youtubeに動画を投稿すると、動画一覧の横に、第三者からの著作権侵害であるというクレームが表示されることがあります。
何かというと、「この動画は、オレ(大手のプロダクションのことが多い)が作ったものである。勝手に投稿するのはけしからん。著作権侵害だが、この動画に、広告をつけて流していいのなら見逃してやろう。」というものです。もちろん、その広告の収益は、クレームの主がもらう仕組みになっています。
だいたいは、CD音源などをそのまま投稿したような場合に発生します。
しかし、私の場合、音声も映像も自作のデータを自作のプログラムに通して作ってますので、完全オリジナルなのですが、それでもクレームがかなりの確率でやってきます。(作詞・作曲はしていませんが、youtubeはJASRACと包括契約しているため、自分で演奏したりデータ制作したものであれば投稿していいことになっています。)
たとえば「恋するフォーチュンクッキー オルゴールアレンジ」とかを投稿すると、「恋するフォーチュンクッキー楽曲管理者」なる人からクレームがやってきます。(あくまで架空の例です。)クレームが来た後、異議を申請するボタンがあって、その手続きをすると、たいてい瞬時に、クレームは取り消されます。複数の人で審査した結果、異議を受理したというようなことが表示されますが、ボタンを押した直後にそうなりますから、どうかんがえても、審査していないと思います。(以前は、都度、メールが送られてきていたのですが、最近、来なくなりました。)稀ですが、なぜか、異議の審査に、1か月くらいかかると、表示されることもあります。
このような動画は人が実際に見て判定するのかもしれませんね。
もちろん、これらのクレームは誰かが監視しているというわけではなく、youtubeのサーバー内のプログラムで自動判定されています。最初、動画についているタイトルで判定しているのかな、と思って、タイトルを「ほげほげ」とかにして投稿したのですが、結果は同じでした。midiからwmvに変換する際、自作のプログラムからQuickTimeとDirectXを呼び出していますが、ここでmidiのタイトルからwmvにタグ付けが行われているのかも、と思い、midiのタイトルから「ほげほげ」にしてみましたが結果は同じでした。
どうやら、ファイル内の音の解析をしているっぽいです。この解析プログラムの精度が悪いので、間違ってクレームが送られてきてしまう(それともワザとか?)と思うのですが、曲名は、あたっているので、そのあたりは凄いと思います。たとえば「恋するフォーチュンクッキー オルゴールアレンジ」を投稿すると、「恋するフォーチュンクッキー楽曲管理者」からクレームがくるので、解析の結果、その曲が何であるのかまでは、あたっているのです。いままで何十回(何百回?)もクレームが表示されましたが、曲名が外れたことはなかったので、そういう意味ではすごいのかと。。。(タイトルや他の手段に頼っている疑惑も残りますが。。。)
ホームページなどのBGM用に私が提供しているデータに関して、この「第三者からの著作権侵害であるというクレーム」の表示を気にして、時々、メールをいただくことがあります。しかし、下記のような、どう考えても、著作権侵害ではないものにも、 第三者クレームはくるのです。 (このようなホームビデオに対して、「この動画はオレのものである、オレが権利をもっている」と主張してくる無関係な人(?)がいるのには、笑えます。)あまり気にし過ぎないことをおすすめします。



2019年にはいって、また頻繁に「著作権侵害の申し立て」が表示されるようになりました。動画の投稿時にyoutubeのプログラムによってスキャンされていて、CD音源などとの一致率が高いとこの警告が表示されます。どのような分析を行っているか分かりませんが、前述のように曲が同じであれば、CD音源でなくても著作権侵害と誤認識されることがあります。しかし、異議申し立てをしたところ審査に最長で3週間ほどかかると表示され、しばらくして、却下の結果となりました。再度、申し立てできるようになっているので、もしかしたら、最初は調べないで却下するのかもしれません。しかし、JASRACとyoutubeとの契約が変更になった可能性もあり、再申請はせずにそのままにしてあります。見る側も広告表示に慣れてきているので、たまにそのような動画がある程度なら、そのまま放置するのも手かもしれません。
NexToneの管理曲の場合はyoutubeとの契約方法がJASRACと異なるのか、「歌ってみた」のようにCD音源でなく、自分で歌ったものでも、作詞作曲に対して著作権侵害が申告されます。そのままにしておいても大丈夫ですが、動画の再生時に広告が表示されます。

2021年頃から、「第三者クレーム」になっていない動画でも、自分のWebサイトのページなどに置いてあるものをyoutubeのサイトに移行して再生しようとすると広告が表示されることがあります。何か規約の変更があったのかもしれません。
曲を販売したい場合
有名な人が作った曲でも、自分で歌を歌って録音したり、データを打ち込んで作ったりしたものであれば、販売できる可能性があります。JASRACに登録されている曲であれば、JASRACと契約を行い、指定の手続きにしたがって著作権料を支払います。ただし、まったく売れなくても、毎月5000円の基本料金がかかります。ストリーミングと言って、データを保存できないようにして販売する場合は、すこし安くなります。また、販売するのではなく、個人のサイトなどで、単に、他の人に聞いてもらいたくて無料で配布する、というような場合は、かなり安くてすむ契約体系があったように思います。
もう1つの可能性として、オンラインデータの販売サイトの会員になるということが考えられます。たとえば、DL−MARKETというサイトは、JASRACと包括契約をしていますので、このサイト経由で著作権料をJASRACに支払うことができます。自分でJASRACと契約する場合に比べて、手間がかなり少ないです。また、月々5000円の基本料も不要で、販売した分だけ著作権料を支払うことになります。(ただし、DL−MARKETに販売手数料を支払います。)
 
   
 
JASRACデータベースの調べ方
その曲がJASRACの管理曲かどうかや、パブリックドメインになっている曲かどうかは、JASRACのデータベースで調べることができます。(盆正月やゴールデンウィークの前後1週間程度、メンテナンスのために使用できなくなります。)
曲のタイトルや歌手名から、曲を検索すると、管理曲かどうかを示すページが表示されます。曲タイトルの最初の部分を入力するだけで、該当する曲を検索してくれるので便利です。「作曲」「作詞」「編曲」「出版社」などの項目に分けて表示されますが、おおざっぱに言って、それぞれ、
作曲、作詞、編曲、音源の権利を示しています。 (※「音源=出版社」というわけではなく、原版権は、レコード会社、出版社、アーティストなど色々でケースバイケースです。)
また、演奏、録音、出版、貸与、ビデオ、映画、CM、ゲーム、放送、配信、通カラなどの項目別にも表示されます。ネットで自分の作った演奏データや楽譜データを配信したい場合は、「配信」の欄を見ます。パブリックドメインの曲は「PD」と表示されます。パブリックドメインの場合、貸与や映画など一部だけがパブリックドメインになっているということはなく、全部がパブリックドメインになっているのでいいのですが、管理が委託されているかどうかを示す「J」や「#」は項目ごとに異なっている場合があるので注意が必要です。配信の場合「J」となっていても、注意マークがついていることがあり、演奏データはダメで楽譜データはOKみたいな場合もあります。(希ですが。。。)
外国曲の場合、演奏データだけなら同じ要領でいいのですが、楽譜データも配布したい場合は、さらに、
外国作品のインタラクティブ配信可視的利用可否判定リストというのをみる必要があります。ややこしいです。たとえばビートルズの曲なんかだとNGのものが多いように思います。ジャニーズ系のアイドルなど日本のアーティストが歌っている場合でも、元が外国の曲というのはよくあります。タイトルがアルファベットの場合、全角で入力するか半角で入力するかによって検索結果が変わります。たとえば日本の曲でタイトルがアルファベットの場合、なぜか、全角でないとヒットしないことがあるようなので注意が必要です。同様にきゃりーぱみゅぱみゅをキャリーぱみゅぱみゅと入力してもヒットしません。
あと、注意したほうがいいかな、と思うのが、JASRACデータベースの内容は、おそらく自己申告に基づいているという点です。登録の依頼があれば、その曲が本当にその人の作曲かどうかなんて、調べないのではないかと。。。JASRACのデータベースでは1つの同じ曲で、複数の登録がある場合があります。たとえば、古い童謡と思われる曲で、1つの登録はパグリックドメインや作曲者不明、もう1つの登録は特定の作曲者の名前が書かれていたりすることがあります。調べた限りでは、もともとあった民謡や童謡のフレーズを変えたり、メロディを足したりした人の名前が作曲者や作詞者として登録されていることがあるということです。本来なら、補作曲、補作詞などの表記をすべきと思いますが、申請者が、作曲として申請すると、そのままそうなってしまうのでしょう。何百年も前の外国曲と思われる曲の作曲者として、日本人の名前が載っていたりするのはそのためです。おそらく、なんらかの創作活動をしているのだと思いますが、おおきくつくりかえたのか、ちょっとだけ変えたのか、もとの曲はどうだったのかなど、分からないことが多いです。 極端な場合は、民謡などで採譜を行った人の名前が、作曲者として登録されていることもあるように思います。 また、海外の伝承曲を最初に日本に紹介した人の名前が著作者として登録されているようなものもあるのではないかと思っています。本来はパブリックドメインとしてみんなが使用できるはずの曲が、このような登録のために、使用が制限されてしまうかもしれないのは残念なことです。 ネットで調べると、作者不明の曲を自分の曲として申請し、問題となった例を見つけることができます。JASRAC側としては、その人が本当の著作者ではないという証明ができない限り、自己申告を受け付けるしか、仕方がないのでしょう。。。。(作者不明曲について、このような証明が難しいことは言うまでもありません。)
JASRACのデータベースの特定の曲の情報は、何かあると更新されることがあります。たとえば、著作者不明だった曲の作者が判明したような場合は、その時点で、新しい情報に更新されます。2021年にジョージ・ガーシュイン作曲の337曲について、兄アイラ・ガーシュイン(弟より長命で1983年まで生きた)との共作であることが判明したため、一旦PDとなっていた曲が、JASRACの管理曲に移行されることになりました。
個人作曲家の権利
曲を使用する際、それを作った人の許諾が必要というのは分かると思いますが、逆の場合はどうなのでしょう?自分が作った曲をネットで公開した場合、JASRACに登録していないと、著作権上の保護を受けられない状態になってしまうのでしょうか?もちろん、そのようなことはなく、曲の著作権はJASRACに登録しようと、していまいと、作った人に帰属します。もし他にその曲を使いたい人がいた場合、自分が許諾してあげれば、その人が使える状態になりますし、許諾してあげなければ使えません。
では、有名なアーティストと同じようにJASRACに曲の管理を委託することはできるでしょうか?JASRACと契約(?)するには、メジャーレーベルからCDを出していなければいけないなど、幾つかの条件をクリアしなければなりません。音楽を作っている人は5万といるので、JASRACも希望者全員を相手にしていられないというのは当然でしょう。。。
おそらくですが、いったん、JASRACに委託してしまうと、曲を使用する人を選べなくなると思います。たとえば、JASRACへの委託前だと、Aさんは好きだから使用OKとか、企業Bは嫌いだから使用NGなどのことが言えると思います。しかし、JASRACへの委託後はたとえ嫌な相手でも、相手がJASRACとの契約や使用条件をクリアしていれば、使用できることになるように思います。
著作権の譲渡
著作権の売買というのは、普通にできるみたいです。たとえばビートルズの多くの曲の権利を、マイケルジャクソンが購入して持っていたという話があります。また小室哲哉氏は自分が作詞作曲した曲だけど、権利をもっていない曲を他社に販売したとして、事件になっていましたね。最近(2011年)では、メルカリでヒット曲の権利が売りに出されているという記事を目にしました。
JASRACでは管理していない権利
という理解だったのですが、JASRACでは「著作人格権」の取り扱いはしていない、という問題があります。
JASRACに登録されている曲は、いちいち作曲者、作詞者や管理会社に連絡せずに使用していいという理解だったのですが、あるとき、NHK出版が権利をもつものについては、NHK出版への確認と承諾が必要であるという話がもちあがりました。(←詳細は省略します。)「著作人格権」は、分かりやすくいうと、たとえば作品をバカにするような使い方をしたり、あるいは、作者に不本意な使い方をするようなことを拒絶できる権利です。とりあえず、NHK出版に連絡してほどなく許諾をもらいました。しかし、他の曲で、JASRACに登録されている曲は、JASRACへ使用料を支払うだけで、いちいち権利者に連絡はしていません。確信はありませんが、変な使い方をしない限り、いちいち使用の連絡はしなくてもいいのではないかと思っています。(連絡されたほうも困るのではないかと。。。)
自由に使用できる曲のリスト
CMでよく使われているクラシック曲
ジムノペディ JAZZの響きをもつクラシック曲。おしゃれな雰囲気で、化粧品をはじめ、色々なCMで使用されています。
天国と地獄 文明度カステラなどで使用。運動会で使われる曲の定番です。
アイネ・クライネ・ナハトムジーク ヴィックス コプドロップのCMで使用。軽快な出だしは、耳に覚えがあるはず。
トッカータとフーガ ドラマチックな感じの出だしが印象的。抜け毛のショックを表現するのに使われていたような気がします。
愛の喜び  大同生命のCMで使用。エルヴィス・プレスリーの「好きにならずにいられないの原曲です。
アメリカン・パトロール  アコムのCMで使用。運動会の行進で使われる曲の定番です。
パッヘルベルのカノン CMでよく使用されています。山下達郎のクリスマスイブに引用されていたり、戸川純が「虫の女」というタイトルでカバーしていたりします。
愛の挨拶 ドモホルンリンクルのCMで使用されていた曲です。
CMでよく使われている外国の民謡
アマポーラ しっとりとした感じの曲で、化粧品などのCMで使用されています。
アロハ・オエ ヤクルトのCMで使用。おそらくハワイで一番有名な民謡です。
コンドルは飛んで行く 南米の音楽、フォルクローレと言えばこの曲です。
自動車、携帯電話などCMで多数使用されています。
映画やドラマの曲
禁じられた遊び 悲しいシーンやさびしいシーンにピッタリの曲です。
子供向けの曲
グーチョキパーでなにつくろう 幼児向けの曲。訳詞者は不明瞭なため、曲だけで、歌詞は使用しないほうがいいかも。。。
あんたがたどこさ 子供の遊び歌です。
赤田首里殿内 NHKの子供番組でも紹介されている沖縄の有名なわらべ歌です。
アイルランドの子守唄 落ち着いた優しい感じの子守唄です。
童謡・唱歌
青い眼の人形 少し変わった感じの歌詞ですが、日本人なら誰でもが知っている曲です。
赤い靴 少し変な感じの歌詞で都市伝説的な逸話がある曲です。
あめふり 有名な童謡です。
雨降りお月 「お嫁にゆくときゃ誰とゆく」という歌詞の有名な曲です。
アビニョンの橋で フランスの童謡です。訳詞は幾つかあり、著作権保護期間終了しているものと、そうでないものとあるので注意が必要。
アマリリス 超有名というわけではありませんが、なんとなく聴いたことがる人は多いはず。。。
外国の民謡
アマポーラ メキシコの曲です。
学校行事の曲
あおげば尊し 卒業式の定番曲です。
 
 
使えそうで使えない曲のリスト と最近、使えるようになった曲のリスト
童謡
赤とんぼ 誰もが知っている童謡で著作権保護期間が終了したため使えるようになりました。
赤鼻のトナカイ クリスマスの定番曲ですが、外国の曲で、著作権保護期間中です。
あめふりくまのこ 著作権保護期間中です。
花祭り エドムンド・サルディバール (Edmundo Saldívar 1917〜1978)の作曲です。もともとあった民謡を採譜しただけなのか、オリジナルで作ったのかあいまいな部分もありますが、彼のオリジナル曲であるという線が濃厚なようです。
コーヒー・ルンバ ホセ・マンソ・ペローニの作曲です。
著作権の扱いがよく分からない曲
自動生成AIが生成した音楽 基本的に、AIが生成した作品に対して著作権は発生しないということになっていますが、今後、考え方が変わるかもしれません。
「既存の曲に類似している」「自動生成AIなどのツールの提供会社の方針」「ツールを使用して生成した人の意向」など、注意が必要です。
自動生成AIは、過去に人間が作曲した曲を学習し、曲を生成しているので、似ている曲が生成される可能性があります。
曲たんに言えば、数万曲のデータを学習し、それらをコラージュ的に組み合わせることで新しい曲を生成しているとも言えます。
(←正確に言えば断片を取り出して組み合わせているというわけではありませんが。。。)
今後、自動生成AIのエンジンが、どのようなデータを用いて学習を行ったかが問題になってくると考えられます。
4分33秒 アメリカの音楽家ジョン・ケージが作曲した曲で、無音が4分33秒続く曲です。
ジョン・ケージの作曲した他の曲はJASRACに登録されていますが、この曲は登録されていません。無音という何も音がない曲が、著作権保護の対象になるとは考えにくいです。
 
   
 
書籍とCDの紹介


最新・音楽著作権ビジネス ~原盤権から配信ビジネスまで という書籍で著作権について知ることができます。