研究テーマ->ジャンル研究->民族音楽->ガムラン音楽 とインドネシアの民謡
  各民族音楽の特徴をとらえ、自動作曲や自動編曲を利用したコンピューター・ミュージックで再現するということを試みています。このページは、このページ では、コンピューター・ミュージックで各民族音楽の 特徴をもった曲の作成を行うという観点から、特に留意した点を中心にして紹介しています。
ページの上半分でインドネシアの伝統芸能「ガムラン」について紹介しています。ページの下半分ではインドネシアの民謡について紹介しています。このページとは別にインドネシアの伝統曲を紹介するページ も用意しています。 ガムランの音階については、音階のページでも紹介しています。
 
 
ガムラン音楽
ガムラン音楽の特徴


ジャワのガムラン

ガムランから連想されるのは、やはり、ひたすら鳴り続けるゴングの音です。このゴングの音の上に、祭囃子の笛の音や、お経を読む声のようなものが重ねられることもあります。ガムランとはもともと、楽器の総称で、現地の人々は、自分たちの音楽を、カラウィタンと呼んでいます。カラウィタンはさらに、カラウィタン・ジャワ、カラウィタン・バリなどのように地域によって分けられます。ジャワのガムランとバリのガムランでは、似ている楽器でも、呼び名が違ったりするようです。ジャワのガムランが穏やかでゆったりとしているのに対して、バリのガムランは、音の動きが多く、音も大きいのが特徴です。
大きく分けて、カラウィタンはペロッグとスレンドロという音階があります。これはジャワもバリも共通です。音程の中に半音が含まれるものをペロッグ、含まれないものをスレンドロと呼びます。どちらも一音階の中は5音が基本ですが、ペロッグには7音、スレンドロには4音の音階なども存在します。5音のペロッグは沖縄音階(ドミファソシ(A♭CD♭E♭G))や都節音階(ドミファラシ)に似て聞こえますし、5音のスレンドロは民謡音階(ドレミソラ)や雅楽の律音階(ドレファソラ)に似て聞こえます。民謡音階に近いものは、オクターブを5つにほぼ等分したもので、C,Eb,F,G,Bbの音に近い音で構成されますから、自動作曲システム」では、これを、A,C,D,E,Gに移調して使用しています。


バリのガムラン

ジャワガムランはペロッグの楽器一セット、スレンドロの楽器一セット両方持って初めて完璧になります。演奏もペロッグとスレンドロを交互に演奏することがあります。バリガムランの場合には、例えばゴン・クビャールという形態のガムランセットはペロッグ、グンデル・ワヤンならスレンドロ、という風にオーケストラの構成楽器によって扱う音階が違ってきます。ガムランは地域や時代によって幾つかのバリエーションが存在します。ジャワとスンダでも違っていますし、それらとバリではかなり違っています。バリに関しては時代によって用いられる楽器の形態が変遷していますので、当然音階も変わってきています。演奏目的(神事・葬儀・王宮儀礼・民衆娯楽)によっても用いる楽器が違うのでこれまた違いが生じます。実際の演奏に際しては、これら楽器の編成や形態による音階の違いはもとより、調律師によって音が違うということが起きます。演奏する人間にとっては、決まり事からはずれない程度にいかに個性的な音に調律してもらうかが重要にるようです。例えば、同じゴン・クビャールでも楽器が違えば音はもちろん音程も違って聞こえます。このようなわけで、ガムランの音階を定義することは難しいと思われます。(以上の内容は、るっちゃんから提供していただいた情報を参考にさせていただきました。)
ガムランの音階
ガムランの音階は、上段の「ガムラン音楽の特徴」で説明しているように、スレンドロ 「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」、ペロッグ 「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」のうちの5音 です。
ガムランの楽器    各楽器についてはリンク先のページで紹介しています。

ボナン(bonang) 銅製の丸いゴングです。

サロン(Saron) 鉄琴のような楽器です。

 

グンデル(gender) 鉄琴のような楽器です。

クンダン 太鼓です。
  ルバーブ(Rebab) 弓で弾く弦楽器です。
  スリン(suling) 笛です。
ガムランのゆらぎの特性
色々な音楽は、それぞれの「ゆらぎ」を持っています。「1/fのゆらぎ」は、クラシック音楽などにみられる特性ですが、周波数成分を分析するツールを使用すると、それぞれの音楽が、どのような「ゆらぎ」を持っているかを調べることができます。(興味のある人は、こちらもご覧ください。)
「ジャワの宮廷ガムラン1」というCDに入っている「クタワン・プスポワルノ」という曲を解析してみました。ゆっくりした調子の曲で、男性、女性の合唱と、ゴングの演奏が入っています。

 多少、ムラがありますが、かなり、「1/fのゆらぎ」に近い形になっています。使用している楽器が、ゴングという特徴のあるものなので、もっと変わった形になるのかと思いましたが、意外です。また、曲のテンポがスローかどうかというのも、あまり関係ないようですね。
自動作曲ソフトによる再現
ガムランのゴングは、低音のものから、高音のものまで、数種が組み合わせて使用されるようですが、低音のものから高音のものに行くに従って、1小節あたりの音数が多くなるようです。実際には、1〜2小節単位の単純なパターンが延々と繰り返されるものが多いのですが、「自動作曲システム」では、もっと音のランダム性が高くなっています。
自動作曲システムによるサンプル曲
 
書籍とCDの紹介
《バリ》バリのガムラン1 というCDでガムランの演奏を聴くことが出来ます。

ガムラン武者修行―音の宝島バリ暮らし という書籍でガムランについて知ることができます。
 
インドネシアの民謡
インドネシア民謡の音階
ガムランとは別に、歌曲として歌われるインドネシアの民謡があると思いますが、有名な曲を数曲ピックアップして、使用音を調べて表にしたものが下記です。
他の民謡のように、「ファ」と「シ」は使用しない(ヨナ抜き音階)とか、「レ」と「ラ」は使用しない(沖縄音階)などのことはなく、ドレミファソラシドを使用するダイアトニックスケールのようです。ガムランの音階の影響はあまり受けていないと言えるかもしれません。
  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
かわいいあの子 14 0 14 0 20 11 0 20 0 15 0 4
私を叱らないでママ 15 0 9 1 22 16 0 17 0 12 0 6
川で歌おう 21 0 7 0 12 9 0 24 0 16 0 11
トラン ブーラン 15 0 7 0 20 17 2 27 0 7 0 5
ブンガワン ソロ 18 0 16 0 21 4 0 22 0 11 0 8

 

有名な民謡
関連リンク
インドネシア民謡については、インドネシアの伝統曲のページで紹介しています。
「るっちゃんち」に行くと、インドネシアの楽器の情報を見たり、ガムランのMIDIを聞いたりすることができます。