【2011年11月3日】

※葛西臨海公園(8:40〜13:20)
到 着時は徐々に潮位が上がり干潟が冠水し始めているところであった。最初に公園中央部を経由して護岸付近で探鳥を行った後、西渚観察ポイントに向かい午前 10時半過ぎまで渚周辺の探鳥を行った。午前11時頃からは鳥類園を回った。公園西側は回らなかった。オオタカを初めとした猛禽類がよく出現したせいでシ ギ・チドリ類は余り落ちついていなかったものの、比較的多くの個体が見られた。淡水カモ類は少なめであったが、オシドリが見られた。また渚沖合にはスズガ モを中心とした大群が到着しており、ウミアイサも見られた。カモメ類は多かったが、ユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメのみであった。 なお、西渚沖合から荒川河口付近にかけてペンギン類と思われる海鳥が見られた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ             62羽(渚周辺。冬鳥として飛来した個体群が多くなってきていた。西渚水面内や東西渚間水路でも見られた。夏羽個体は確認できなかった)
○オシドリ                    4羽(淡水池。♂2羽、♀2羽の小群。アシ原沿いで休んでいることが多かったが、池の中心部に移動してくることもあった)
○ウミアイサ                   5羽(渚周辺。このうち4羽は東渚の沖合にいたが、1羽は東西渚間水路内に進入してきてカンムリカイツブリなどと採餌していた) 
○オオミズナギドリ             約10羽(渚沖合。東京湾横断道路「ウミホタル」方向にかけて少数ながら滑空を繰り返している個体が見られた)
○ミサゴ                     1羽(♀タイプ。午前9時過ぎに西渚沖合の棒杭上に休止していた。狩りは行わなかった)
○オオタカ                    1羽(又は2羽。若鳥。汽水池南側や淡水池北側を中心によく飛び回っており、カラスに追いかけられたり追いかけたりした。2羽の可能性が高いと思われた)
○ハヤブサ                   1羽(若鳥。午前9時過ぎから東渚東側堤防の樹木上に休止しているのが見られた。かなり大型の個体で先週から見られている個体と思われた)
○クイナ                     1羽(淡水池南側アシ原周辺。午後1時頃によく鳴くのが聞こえたが視認はできなかった)
○トウネン                    1羽(水路護岸。ハマシギ6羽とともに飛来していた。幼鳥で換羽はまだ始まっていないように思われる個体であった)
○シロチドリ                約60羽(東渚など。午前9時過ぎのカウント数。干潟冠水後は東渚西側堤防上にハマシギとともに休止していた)
○ハマシギ               約350羽(東渚など。午前9時半頃に東渚西側堤防上にシロチドリとともに休息した群のカウント数は326羽であった。この他に東渚で休んでいる個体や西渚や水路護岸に飛来した小群も見られた)
○ アオアシシギ              約10羽(汽水池など。午前9時過ぎには東渚干潟で2羽が見られたが、午前11時過ぎには汽水池で7羽が見られ た。その後、正午頃にオオタカが飛び回った際には10〜20羽のアオアシシギを中心とした群が汽水池内を飛び回るのが見られた。なお、いただいた情報によ るとオオハシシギも混じっていたとのことであった) 
○ダイシャクシギ                1羽(東渚。成鳥と思われる個体)
○ホウロクシギ                 1羽(東渚。成鳥。飛翔パターンを確認できた。干潟冠水後は中央丘西側で休息していた)
○タシギ                     1羽(汽水池。アシ原内で休んでいるのが見られた) 
○カワセミ                    1羽(汽水池。飛翔するのが見られた)
○ジョウビタキ                 2羽(淡水池周辺。♂1羽♀1羽) 
○イソヒヨドリ                  1羽(西渚など。♀タイプ) 
<補遺>
○ ペンギン類                  1羽(午前10時頃に西渚沖合のスズガモ群近くに見慣れない海鳥らしきものがいるのを教えていただいた。 距離は最短でも300m以上あったが、我々を含め4名で観察を続けたところ、特徴的な太い嘴の他、羽のかわりにフリッパーらしきものが確認できた。西渚沖 合から荒川河口方面に移動し、一時的に西渚水面にかなりまで進入してきたが、その後は再び荒川河口方面に移動した。荒川河口付近ではよく潜水していたので 採餌していたものと思われた。その後、いただいた情報によると荒川をいくらか遡行したとのことで西渚荒川側護岸からかなりの近距離でペンギン類であること を確認できたとのことであった。我々は近距離からの観察をしていないことから断定はできないが、若鳥らしき個体であり、大きさからはマゼランペンギンやフ ンボルトペンギンなどが該当する可能性があると考えられた。本日の目撃個体は飼育されていたものが放鳥されたか、籠脱けしたものと考えられる)

以上。



【2011年11月12日】

※葛西臨海公園(8:40〜13:10)
到 着時は徐々に潮位が下がり干潟が広がり始めているところであった。最初に公園中央部を経由して護岸付近を回った後、午前11時過ぎまで鳥類園で探鳥した。 その後干潮を過ぎて潮位が上がるのに合わせて西渚観察ポイントに向かい午後1時近くまで渚周辺の探鳥を行った。公園西側は回らなかった。昨日来の雨上がり だったせいか猛禽類がよく出現した。鳥類園内は徐々に淡水カモ類が多くなってきているようであったが特に変わったものは見られなかった。また渚周辺には新 たにハジロカイツブリ群が到着していたほか、ワシカモメと思われる個体が見られた。なお、本日淡水池でアライグマが観察撮影されたとのことであり、当地の 生態系への影響が懸念されると思われる。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ           約150羽(渚周辺。冬鳥として飛来した個体群が多くなってきていた。西渚水面内でも見られた。夏羽個体は確認できなかった)
○ハジロカイツブリ            約200羽(渚周辺。東渚沖合を集団で動き回りながら採餌しているのが見られた。今季初認)
○ウミアイサ                    1羽(東西渚間水路。♀タイプ) 
○ワシカモメ                   1羽(西渚など。正午過ぎに西渚内棒杭上に休止しているのを見つけた。伸びをしたり飛び回ったりした際に風切なども確認できた。午後1時頃に東渚の浅水域に移動した。Third-cycle の個体と判定した)
○ミサゴ                      1羽(♀タイプ。午前9時頃には沖合の棒杭上に休止していたが、正午頃には東渚内の棒杭上に休止していた。狩りは行わなかった)
○オオタカ                    1羽(若鳥。探鳥開始直後にクリスタルビュー北側を西から東方向に低く飛翔して葛西臨海水族園内の樹林地に移動して見えなくなった)
○ ハイタカ                     2羽(♂成鳥と思われる個体と♀タイプ個体。午前9時半頃に観察センター付近から淡水池にかけて相次 いで出現した。♀タイプ個体は一旦北側樹林地に去った後再度池上空に出現し帆翔し旋回上昇しながら高度を著明に上げて南方向に流れた。途中カラスに追われ たり、渚上空に差し掛かったところでハヤブサの追撃も受けた。その後高度をやや落とした後、滑空しながら淡水池上空を再び通過する形で公園北側に飛び去っ た。♂成鳥と思われる個体は♀タイプ個体が北側樹林地に去った後に汽水池方面から淡水池上空に現れ上昇気流に乗って幾らか帆翔・上昇したが、余り高度を上 げることなく葛西臨海水族園の樹林地付近に去った。この個体の下面は鮮やかな橙色で成鳥と思われたが、これほどの♂成鳥個体を当地で見たのは初めてであっ た)
○ハヤブサ                     1羽(若鳥。午前9時半過ぎにハイタカが上空高く舞い上がり東渚方面に流れた際に追撃に上昇してきたが、間もなくして東渚方面に戻ったようであった)
○クイナ                       1羽(淡水池東側アシ原周辺。午前9時過ぎによく鳴くのが聞こえたが視認はできなかった)
○トウネン                      2羽(船着場東側水路護岸と東渚西側堤防のハマシギ群中で各1羽を確認できた)
○シロチドリ                      6羽(東渚など)
○ハマシギ                  約150羽(東渚など。群飛しているのがよく見られた。また正午頃には、東渚西側堤防南端や西渚東側堤防南端のテトラポッド上に計86羽が休んでいるのが確認できた)
○アオアシシギ                  約6羽(汽水池など。午前10時過ぎに汽水池で4羽が見られたが、水路周辺でも数羽の声が聞こえたので渚周辺から東渚にかけても2〜3羽がいたものと思われた) 
○オオハシシギ                    1羽(汽水池)
○ホウロクシギ                   1羽(東渚。成鳥。正午過ぎに西渚付近に一時的に飛来したので飛翔パターンを確認できた)
○カワセミ                       2羽(淡水池、汽水池で各1羽)
○オオジュリン                   4羽(淡水池。よく声が聞けた他、アシ原を飛びだして移動するのが見られた) 
 
以上。


【2011年11月20日】

※葛西臨海公園(8:40〜14:50)
本 日は正午過ぎが満潮で、到着時は既にかなり潮位が上がり干潟が狭まっていた。最初に公園中央部を経由して護岸付近を回った後、午前9時頃から西渚観察ポイ ントに向かい午前10時半過ぎまで渚周辺で探鳥した。その後は鳥類園に向かい観察センター周辺を回った。公園西側は回らなかった。昨晩は最大20mを超え る強風が吹き荒れたとのことであったが、カンムリカイツブリの漂着死体2羽を除けば特段変わったものは見られず、沖合にミズナギドリ類の姿を確認すること もできなかった。猛禽類がよく出現した。特にハヤブサが渚橋主柱上部に休止することが多いとの情報をいただき観察したところ、狩りをするところなどをよく 観察できた。カモ類はオカヨシガモも加わり、当地で見られる種類は出そろったと思われたが特に変わったものは見られなかった。カモメ類では短時間ながらズ グロカモメを確認できた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ           約800羽(渚周辺。午前9時過ぎのカウント数は784羽であった。西渚水面内でも見られた。夏羽個体は確認できなかった)
○ハジロカイツブリ           約1000羽(渚周辺。午前9時半頃には西渚水面内に300羽前後の群が3つほど進入してきた。この大きな群以外に小群が旧江戸川河口などでも見られた。ミミカイツブリは混じっていなかった)
○ウミアイサ                    1羽(東西渚間水路。♀タイプ。水路から上がって堤防上で休止していたが、その後近くのヒドリガモ群に混じった)
○ ズグロカモメ                  1羽(東渚。午前9時過ぎ東渚中央丘北側に残った干潟周辺で単独で採餌行動を取っているのが確認でき た。遠方であったが翼下面パターンなどはきちんと確認できた。午前9時半過ぎに猛禽類が出現した際にユリカモメ・ウミネコ・セグロカモメ類の混群に入り見 えなくなってしまった。今季初認)
○ミサゴ                      1羽(♀タイプ。午前9時過ぎに沖合の棒杭上に休止しているのが確認できた)
○トビ                        1羽(東渚周辺。午前10時半過ぎに上空を舞っているのが見られた)
○チュウヒ                     1羽(東渚。午前9時半過ぎからアシ原上空を中心に時々舞った。右側次列風切の欠損が目立つ個体であった。ハヤブサ、オオタカやハイタカなどと絡むこともあった)
○ オオタカ                     3羽(又は5羽前後。亜成鳥から幼鳥まで見られた。鳥類園内の他、公園中央部や東渚アシ原から舞浜付 近にかけて延7個体を目撃した。午前11時半頃には鳥類園・汽水池上空で同時に3羽が帆翔するのが見られた。淡水池北側樹林地でも2羽が同時に見られた)
○ハイタカ                     1羽(東渚アシ原付近。午前9時半頃にチュウヒに追い出される形で一時的に出現した)
○ ハヤブサ                    1羽(若鳥。渚周辺。午前10時過ぎに東渚アシ原内の高木に休止しているのが見られた。その後、渚橋主 柱上部に休止したりしながら、午前10時頃から2〜3回渚周辺での狩りを繰り返したがいづれも成功しなかった。今季よく見られている顔面に白味の強い個体 であった)
○トウネン                      1羽(幼鳥。船着場東側水路護岸)
○オオソリハシシギ                 1羽(東渚。脚を損傷しているようであった。既にハマシギ・シロチドリ群は去っていて見られなかった)
○タヒバリ                      6羽(渚周辺。鳴きながら移動するのが見られた。堤防上に休止した2羽はよく観察できたが、このうち1羽はかなり夏羽が残っていた)
○オオジュリン                   2羽(淡水池。よく声が聞けた) 
 
以上。



【2011年11月27日】

※葛西臨海公園(8:25〜12:00)
到 着時は満潮を過ぎて潮位が下がり干潟が徐々に広がり始めているところであった。最初に公園中央部を経由して護岸付近を回った後、鳥類園に向かい観察セン ター周辺で探鳥した。西渚観察ポイントや公園西側は回らなかった。引き続き猛禽類がよく出現したが特に変わったものは見られなかった。短時間ながらツグミ 類がようやく確認できた。23日に確認されたクロツラヘラサギは確認できなかった。主なものは次のとおり。なお、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリは いずれも1000羽を超える数が見られるようになってきてことから省略する。

○ウミアイサ                   3羽(旧江戸川河口付近。午前10時過ぎに小群が確認できた。遠方であったが、全て♀タイプと思われた)
○ズグロカモメ                  1羽(東渚。成鳥冬羽と思われる個体。干潟周辺をかなり広範囲に飛翔して単独で採餌行動を取っていた。遠方であったが翼下面パターンなどは確認できた)
○ミサゴ                      2羽(到着直後から沖合の棒杭上に休止している個体が確認できた他、午前11時頃には渚上空を西進し荒川河口を経て新木場方面に向かう個体も確認できた)
○チュウヒ                     1羽(東渚。午前10時頃にアシ原上空を中心に短時間舞うのが見られた。余り飛ばなかった)
○オオタカ                     2羽(成鳥と若鳥が各1羽。若鳥は汽水池周辺をよく飛び回っていたが成鳥は午前11時頃に淡水池北側樹林地から汽水池南側樹林地に移動した)
○ ハイタカ                     1羽(♂成鳥。同一個体と思われるものが3回出現した。鳥類園上空で帆翔したので下面をよく観察する ことができた。午前11時半頃に淡水池上空で帆翔しながら高度を上げ最後は急降下して淡水池西側の葛西臨海水族園境界部付近に入った)
○ハヤブサ                    1羽(若鳥。渚周辺。これまでと同様に、渚橋主柱上部に休止したり東渚内の高木に休止しながら狩りを繰り返していたがなかなか成功しなかった。またカラスのモビングも受けていた)
○クイナ                      1羽(淡水池周辺。視認できたのは1羽であったが、他に2ケ所以上で鳴き声が聞こえたので数羽が淡水池周辺にいるものと考えられた)
○シロチドリ                  約10羽(東渚。もっといたと思われるがきちんとカウントすることはできなかった)
○ハマシギ                  約300羽(東渚。午前10時過ぎから干潟に集結し始めたが、猛禽類の出現もあり落ち着かなかった) 
○アオアシシギ                   3羽(汽水池。午前10時前になって擬岩前の干潟にどこからか飛来した)
○オオハシシギ                  1羽(旧江戸川舞浜側アシ原育成地。午前9時半過ぎに単独で育成地を囲む鋼板上に休止しているのが確認できた)
○ホウロクシギ                   1羽(東渚。午前11時頃に干潟上にいるのが確認できた。羽繕いをした際に腰の白色部が確認できなかったが、逆光条件下であったのでダイシャクシギとの確実な識別はできなかった)
○カワセミ                      1羽(淡水池南側)
○ジョウビタキ                   1羽(♂成鳥を淡水池東側で視認できた。他にも鳴き声が聞かれたが視認することはできなかった)
○アカハラ                      1羽(♂成鳥。午前9時頃に葛西臨海水族園と鳥類園境界部付近のハマヒサカキの植込み周辺で見られたが、間もなく潜り込んでしまった。今季初認)
○シロハラ                      1羽(淡水池東側。正午前に短時間見られた。今季初認)
○ツグミ                       1羽(鳴き声のみ。葛西臨海水族園境界部から鳴き声がよく聞こえたが視認はできなかった) 
○オオジュリン                   4羽(淡水池。時折飛び出して東渚方面に移動していた) 
 
以上。