2008年6月 Torio&Torikoのフィールドノート 目次に戻る  top↑

【2008年6月1日】

※葛西臨海公園(8:20〜15:10)
 到着時は干潮で沖合いにもかなり干潟が広がっていた。その後徐々に潮位が上がり干潟が狭まってきた。午前8時半頃に西渚が開門となったことから、最初に西渚観察ポイントに回り約2時間ほど探鳥した後、汽水池周辺を回った。正午過ぎからは公園中央部付近で探鳥した。汽水池でササゴイが見られた他、居残りのシギ・チドリ類が比較的多く見られたが、アジサシ群中には特に変わったものは見出せなかった。ウミネコとオオセグロカモメの若鳥の群が目立った。また、淡水池では雛を連れたカルガモが見られた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        4羽(西渚水面など。夏羽個体の他に冬羽に近い個体も見られた)
○ハジロカイツブリ        2羽(西渚水面など。夏羽個体)
○アジサシ          496羽(東渚など。正午過ぎのカウント数)
○コアジサシ         562羽(東渚、西渚など。午前10時半頃のカウント数。西渚内にも多かった)
○イワツバメ           2羽(駅周辺)
○ササゴイ            1羽(汽水池。若鳥と思われる個体。カキ礁近くの浅水域付近で魚を盛んに捕食していた)
○ミヤコドリ           19羽(東渚など。西渚にも2羽が飛来していた)
○コチドリ             3羽(汽水池など)
○シロチドリ            8羽(東渚、西渚)
○ソリハシシギ           5羽(汽水池)
○アオアシシギ           1羽(東渚)
○キアシシギ           14羽(汽水池、堤防護岸)
○オオソリハシシギ         2羽(東渚)
○ダイシャクシギ          1羽(東渚。飛翔するのを観察できたが観察条件が悪く確実な判別はできなかった。ホウロクシギ2羽とは別行動を取る傾向があった)
○ホウロクシギ           2羽(東渚。午前10時頃に揃って飛翔するのを見ることができた。ダイシャクシギと思われる個体と3羽がならんだこともあった)
○チュウシャクシギ         7羽(東渚など。汽水池にも留まっている個体がおり盛んにカニを採取していた)
○セイタカシギ           4羽(汽水池。2つのペアが形成されているとのことで。1つのペアは観察センター近くで抱卵中であった)
○サンコウチョウ          1羽(公園中央部付近。♂1羽。情報をいただき何とか見ることができた。コナラ、マテバシイなどの混交林の茂みに入っていることが多く、時々鳴き声も聞けたが姿をじっくりと視認することはできなかった) 

以上。

ササゴイ(若鳥と思われる個体)
2008年6月1日
葛西臨海公園(汽水池)



【2008年6月7日】

※船橋三番瀬海浜公園(10:10〜11:50)
 カラフトアオアシシギの情報をいただいて、久しぶりに三番瀬を訪問した。到着時は既に干潟が相当広がっていたがシギ・チドリの群は潮干狩り場の第一会場内で採餌を行っており、カラフトアオアシシギもすぐに確認することができた。午前10時半頃から潮干狩り場内の巡回が始まり、午前10時50分頃にはダイゼン群とともに飛び立って南東方向に約1Kmほど離れた船橋港側干潟に移動したが、午前11時半頃には正面干潟の沖合いに生じた干潟に再び移動してきた。いただいた情報のおかげで極めて珍しいカラフトアオアシシギ夏羽とともに名残りのシギ・チドリ類を見ることができた。潮干狩り場は相変わらず多くの人出でにぎわっていた。アジサシ類は少なく、変わった種類も確認できなかった。なお、我々が湾岸フィールドで、カラフトアオアシシギを見ることができたのは1996年9月23日谷津干潟以来で約12年ぶり2回目であった。主なものは次のとおり。

○アジサシ           2羽(正面干潟など。コアジサシ群中)
○コアジサシ       約200羽(正面干潟など)  
○シロチドリ          2羽(正面干潟)
○ダイゼン          12羽(正面干潟など。若鳥の群で越夏群と思われた。カラフトアオアシシギなど他のシギ類はダイゼン群とともに行動しているようであった)
○オバシギ           1羽(正面干潟など。若鳥と思われる個体)
○コオバシギ          1羽(正面干潟など。成鳥夏羽と思われた)
○キアシシギ          4羽(正面干潟など)
○カラフトアオアシシギ     1羽(正面干潟など。夏羽と思われた。ダイゼンや他のシギ類と行動をともにしており、正面干潟ではカニを盛んに採取しているのが見られた)
○オオソリハシシギ       1羽(正面干潟。夏羽と思われた)

以上。


【2008年6月8日】

※葛西臨海公園(7:20〜11:20)
 到着時は満潮で潮位はかなり上がっていた。到着直後に一時的に小雨が降ったことから、最初に汽水池周辺を回り、その後西渚観察ポイントに回り渚周辺の探鳥を行った。特に変わったものは見られなかったが、水鳥の数は比較的多く干潟が出現するまでは東渚中央丘の陸繋部分に集結していたことから観察しやすかった。カモメ類はウミネコの若鳥とオオセグロカモメの若鳥のみで、このうちオオセグロカモメは約40羽が集結していた。なお、いただいた情報によると6月6日にクロツラヘラサギが確認されたとのことであったが、本日は確認できなかった。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        1羽(東渚付近。冬羽に近い個体)
○アジサシ            6羽(東渚。午前10時頃になって干潟が広がってから飛来した)
○コアジサシ         192羽(東渚、西渚など。午前11時頃のカウント数。西渚内や水路にも飛来していた)
○ミサゴ             1羽(東渚など。♀若鳥と思われる個体。旧江戸川河口付近と東渚内を往来していた)
○イワツバメ           4羽(駅周辺や淡水池付近)
○ミヤコドリ           24羽(東渚。午前9時頃に集結していた際のカウント数。観察した範囲では全て若鳥で、越夏群と思われた。三番瀬方面に移動することなく満潮時も当地で過ごしたものと思われ、潮位が下がるとともに干潟や岩礁付近で採餌していた。当地で観察した越夏群としては最大羽数と思われる)
○コチドリ             3羽(汽水池など)
○シロチドリ            4羽(東渚)
○ソリハシシギ           5羽(汽水池。2羽は西側で採餌していたが、3羽は擬岩近くの石塁上で休んでいた)
○キアシシギ            2羽(汽水池。西側で採餌していたが、いづれも黒褐色の横縞はなく若鳥と思われた)
○ダイシャクシギ          1羽(東渚。比較的近距離で、飛翔するのを観察できたことから確実に判別できた)
○ホウロクシギ           1羽(東渚。比較的近距離で飛翔するのを観察できたことから確実に判別できた。ダイシャクシギと離れて休んでいたが、干潟が広がり始めた午前9時半過ぎに相次いで干潟に移動し採餌行動を取った)
○チュウシャクシギ         2羽(東渚堤防上)
○セイタカシギ           4羽(汽水池。2つのペアが確認できた。抱卵中であったペアは巣を離れて採餌しており、巣内には卵は確認できなかった)

以上。


セイタカシギ(♂)
2008年6月14日
谷津干潟(淡水池)
アシを積み上げた台座状の巣で抱卵しており、時折立ち上がって卵を回転させていた。


ミサゴ、ミヤコドリ
2008年6月8日
葛西臨海公園(東渚)
流木上に休止したミサゴの足元の岩礁ではミヤコドリが採餌していた。


【2008年6月14日】

※谷津干潟(9:00〜14:30)
 到着時は干潮で干潟が大きく広がっていた。6月4日に三番瀬で確認されたカラフトアオアシシギがダイゼン群などとともに6月7日以降谷津干潟にも何回か飛来しているとのことで期待することとした。しかし残念ながら正午頃から潮位が上昇し干潟も狭まったものの飛来はなかった。観察センター付近の干潟や淡水池ではカルガモやカイツブリのヒナ連れでにぎわっており、オオヨシキリもさえずっていたが、シギ類は営巣中のセイタカシギが見られたのみで全体的に寂しい干潟であった。主なものは次のとおり。
 なお、三番瀬・谷津干潟地域では、2001年6月16日に三番瀬で確認されたシベリアオオハシシギ若鳥がダイゼン群とともに行動し、その後三番瀬と谷津干潟を行き来しながら7月10日前後まで留まったことがある。

○コアジサシ        約10羽(水浴も見られた。午前中は1羽が時折飛来する程度であったが、正午過ぎから小群が飛来し澪筋で採餌行動を取った)  
○セイタカシギ         4羽(淡水池など。干潟内で採餌する個体も見られた。観察センター付近の淡水池で抱卵中のペアが見られた)
○コゲラ             1羽(谷津バラ園付近。樹林地を動き回りよく鳴いていた)    
以上。



【2008年6月15日】

※船橋三番瀬海浜公園(7:50〜10:00)
 昨日見ることができなかったカラフトアオアシシギとの再会を願って三番瀬を訪問した。到着時は既に干潟が相当広がっており、シギ・チドリの群は正面干潟東側堤防突端から東約800mの船橋港側干潟に移動してしまっていた。いただいた情報によると、これより早い時間には潮干狩り場内で採餌を行っていたとのことであった。その後、午前8時過ぎには正面干潟沖合い約400mに現れた干潟にシギ・チドリ群が移動したことから干潟まで足を伸ばした。このため比較的近距離で観察することができた。なお、シギ・チドリ群の中心となっているダイゼンの越夏群は飛び立っても付近の干潟に移動する傾向が強いように思われた。またアジサシ類もいくらか見られた他、オオセグロカモメの若鳥の越夏群も50羽を超えているようであった。主なものは次のとおり。

○ハジロカイツブリ       2羽(夏羽個体。船橋港側堤防内水面)
○ハジロクロハラアジサシ   1羽(若鳥。第1回夏羽と思われる個体。コアジサシ群に混じって正面干潟上に降りていた。その後は沖合い干潟周辺に移動した)
○クロハラアジサシ       1羽(成鳥夏羽と思われる個体。堤防突端から東側を中心にコアジサシ群に混じって澪筋に飛び回り採餌行動を取っていた。一時的には相当近距離で見られた。なお、いただいた情報によると昨日は3羽が確認されたとのことであった)
○コアジサシ        126羽(午前8時頃のカウント数。正面干潟など。成鳥以外に第1回夏羽ではないかと思われる個体が2羽ほど見られた)
○シロチドリ          2羽(正面干潟)
○ダイゼン          11羽(全て若鳥で越夏群と思われた。カラフトアオアシシギなど他のシギ類はダイゼン群とともに行動しているようであった)
○オバシギ           1羽(沖合い干潟など。若鳥と思われる換羽中の個体)
○キアシシギ          2羽(沖合い干潟など)
○カラフトアオアシシギ     1羽(沖合い干潟など。成鳥夏羽と思われた。いくらか黒味が強くなってきているように思われた。ダイゼン越夏群と行動をともにしており、沖合い干潟ではカニやゴカイを採食しているのが見られた)
○オオソリハシシギ       1羽(沖合い干潟など。しばらくしてダイゼン群から離脱したようで見えなくなった)

以上。

カラフトアオアシシギ(夏羽と思われる個体)
2008年6月15日
船橋三番瀬海浜公園
後方はダイゼン若鳥で越夏群の1羽



【2008年6月21日】

※葛西臨海公園(11:20〜14:20)
 朝方の降雨も収まったことから出かけた。到着時は干潮で、東渚沖合いにも広大な干潟が広がっていた。最初に汽水池を中心に鳥類園を回り、干潟が狭まり始めた午後1時頃から西渚観察ポイントに回り渚周辺の探鳥を行った。引き続き留まっているシギ・チドリ類を比較的多くみることができた。カモメ類はウミネコの若鳥が500羽以上に多くなっており、オオセグロカモメの若鳥も少なくなかった。またユリカモメも3羽確認できた。しかしながらアジサシ類やサギ類の中に変わったものは見られなかった。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        1羽(東渚付近。冬羽に近い個体。時折飛翔した)
○コアジサシ         194羽(東渚、西渚など。午後1時半頃のカウント数。西渚内や水路にも飛来していた)
○ミサゴ             1羽(東渚など。午後1時半頃に東渚沖合いに飛来し、その後旧江戸川河口付近の竹杭上に移動した後、魚を捕らえ沖合いの棒杭上で採食した)
○イワツバメ         約10羽(駅周辺、淡水池付近など)
○ミヤコドリ           20羽(東渚など。正午頃には旧江戸川河口付近のカキ礁付近に群れていたが、その後散らばった。午後1時半過ぎには多くの個体が再び東渚に集結したが、西渚にも1羽が飛来した)
○コチドリ             2羽(汽水池)
○シロチドリ         約10羽(東渚など。西渚にも3羽前後が飛来した)
○ソリハシシギ           3羽(汽水池)
○キョウジョシギ          2羽(東渚堤防付近)
○オオソリハシシギ         2羽(東渚付近。ダイシャクシギの近くで採餌する傾向が見られた) 
○ダイシャクシギ          1羽(東渚。午後2時頃に沖合い干潟から東渚干潟に戻った。飛翔するのを観察できたことから確実に判別できた)
○ホウロクシギ           1羽(東渚。飛翔するのを観察できたことから判別できた。ダイシャクシギと離れて行動していた)
○チュウシャクシギ        14羽(旧江戸川河口付近。正午頃は河口付近のカキ礁付近に群れていたが、その後沖合い干潟に散らばり、午後2時頃に再びカキ礁付近に集結した後飛び立って移動した)
○セイタカシギ           4羽(汽水池。2つのペアが確認できた。いづれも♀が抱卵中のようであった。♂1羽は午後2時過ぎには水路干潟に飛来して採餌していた。ヘビなどによって捕食されたため、場所を変えながら産卵を繰り返しているようで繁殖が成功するかどうかが気掛かりな状況である)

以上。


【2008年6月28日】

※葛西臨海公園(8:20〜12:50)
 到着時は干潮を過ぎて徐々に潮位が上がってきているところであった。最初に渚橋付近から渚周辺を見渡したところ、カラシラサギを確認できたことから西渚の開門を待って渚周辺の探鳥から開始した。渚周辺で、カラシラサギ、クロツラヘラサギ、クロハラアジサシを見ることができた他、越夏中と思われるシギ・チドリ類としてアカアシシギも確認することができた。カモメ類は多くのオオセグロカモメの若鳥とユリカモメが3羽確認できた他はウミネコであった。正午過ぎからは鳥類園を回った。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        3羽(東渚付近。夏羽個体も見られた)
○クロハラアジサシ        1羽(西渚付近。午前10時頃に西渚干潟に飛来し、汀線沿いに飛翔を繰り返すのを観察することができたが、間もなく東渚側に移動して見えなくなった。一時的に至近距離まで飛来した。成鳥夏羽に近い個体と思われた)
○コアジサシ           28羽(東渚、西渚など。午前9時半頃のカウント数。西渚内や水路にも飛来していた)
○ミサゴ              1羽(東渚。午前9時半頃に東渚内の棒杭に飛来し休止した)
○イワツバメ            8羽(駅周辺)
○カラシラサギ           1羽(西渚など。成鳥夏羽と思われる個体。到着時は東渚にいたが、その後西渚干潟に移動してきた。午前9時頃までは干潟の汀線沿いを活発に動き回って採餌していたが、接近したためかダイサギとともに荒川河口方面に飛び去った。その後午前10時過ぎになって、再び東渚干潟内の潮溜まりに群れていたサギ群中に見つけることができた。同一個体でない可能性もある。最短で80m程度までしか接近できなかったが、目先の青味は残っていた)
○クロツラヘラサギ         1羽(東渚。成鳥と思われる個体。干潟上で休んだりサギ群とともに採餌行動を取ったりしていた。飛翔時風切に黒色部は全く確認できなかったことや冠羽も目立ったことから成鳥に近いと思われたが、黄色部は確認できなかった)
○ミヤコドリ            16羽(東渚など。到着時は干潟や中央丘の岩礁付近などで散らばって採餌していたが、干潟が狭まるとともに集結した。一部視界が遮られたことからもっといたものと思われる。西渚にも1羽が飛来した)
○コチドリ              3羽(渚周辺、汽水池)
○シロチドリ            3羽(西渚など)
○ソリハシシギ           6羽(西渚など。午前9時頃には西渚干潟の東側でカニを盛んに採食していたが、その後は東渚に移動した)
○アカアシシギ           1羽(東渚。午前10時半頃にアシ原付近の干潟を動き回って採餌するのを見ることができた。距離は約200mで同定には問題はなく、夏羽個体と思われた)
○キアシシギ            2羽(東渚堤防周辺。鳴きながら移動していた)
○オオソリハシシギ         2羽(東渚など。午前9時半過ぎに一時的に西渚に飛来した。その後は東渚に移動しチュウシャクシギ群中で休んだ) 
○ダイシャクシギ          1羽(東渚)
○ホウロクシギ           1羽(東渚)
○チュウシャクシギ        14羽(東渚。午前9時頃には干潟上やカキ礁付近で盛んに採食していたが、その後は東渚に集結した。当地では毎年のようにチュウシャクシギ、ダイシャクシギ、ホウロクシギが留まる傾向が見られるが、今年は特に個体数が多いように思われる)
○セイタカシギ           3羽(汽水池。2羽の♀が引き続き抱卵中のようであった。♂1羽は擬岩付近で採餌していた)

以上。

カラシラサギ(成鳥夏羽と思われる個体)
2008年6月28日
葛西臨海公園(西渚)