2008年10月 Torio&Torikoのフィールドノート 目次に戻る  top↑



【2008年10月4日】

※葛西臨海公園(7:30〜13:00)
 到着時は満潮で、その後徐々に潮位が下がった。最初に鳥類園で探鳥した後、午前11時頃から1時間ほど西渚観察ポイント付近で探鳥し公園西側を回って切り上げた。コアオアシシギは見られなくなっていたが、チュウヒやコオバシギが見られた他、いただいた情報によりウズラシギの群を見ることができた。小鳥類は昨日は多かったとのことであったが本日は少なくなっていた。ヒヨドリが群飛して西方向へ移動するのがよく見られた。また、西渚沖合いには今季初めてのスズガモ群約1000羽が到着しており、オナガガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、コガモといったカモ類も多くなってきていた。なお、いただいた情報によるとクロツラヘラサギは本日も確認されたとのことであったが、我々は確認できなかった。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        1羽(東西渚間水路。換羽中の越夏個体)
○アジサシ            8羽(東渚沖合い。午前8時頃にウミネコに追われている個体を含む小群が見られた。午前11時頃には沖合いの竹杭に2羽が休止していたが、いずれも干潟に降りることはなかった) 
○ミサゴ              1羽(♀タイプ。旧江戸川河口付近の他、東渚干潟の浅水域にも降りたりしていた)
○チュウヒ             1羽(午前8時頃に水路上空から汽水池方面に移動する個体が確認できた。今季初認であった)  
○ハヤブサ             1羽(成鳥。午前7時半過ぎに東渚舞浜側堤防上の看板に休止しているのを確認することができた)  
○ヨシゴイ              1羽(淡水池。午前8時頃に短く飛翔するのを見ることができたが、すぐにアシ原に入ってしまい、じっくりと見ることはできなかった)
○チュウサギ            1羽(汽水池。観察センター東側干潟)
○シロチドリ            1羽(東渚。午前11時過ぎに1羽が確認できたのみであった)
○ムナグロ             5羽(東渚。午前11時過ぎに小群が干潟で行動しているのを見ることができた。距離があったが、飛翔パターンも確認できた)
○トウネン             1羽(水路護岸。幼鳥。ウズラシギ群とほぼ行動をともにしていた)
○ウズラシギ            3羽(水路護岸。換羽中の成鳥1羽と幼鳥2羽からなる小群。午前10時過ぎに教えていただき見ることができた。護岸の水溜りなどで採餌していた。ウズラシギはこれまでも当地で記録されているが珍しく、群で見られたのは初めてと思われる)
○コオバシギ            1羽(汽水池。観察センター東側。アカアシシギ1羽と行動をともにしていた。体の下面が褐色味を帯びていたが、サブターミナルバンドがあったことから幼鳥と判定した。当地では東渚干潟でコオバシギを遠望したことはあるが汽水池で確認したのは初めてと思われる)
○アカアシシギ           3羽(汽水池。午前8時半過ぎに同時に3羽が確認できた。このうち2羽は擬岩付近にも飛来した。いずれも幼鳥から冬羽への換羽が進んでいるように思われた) 
○アオアシシギ          13羽(汽水池。午前8時半頃のカウント数)
○オオソリハシシギ        10羽(東渚)
○ダイシャクシギ          2羽(又は3羽。東渚) 
○ホウロクシギ           2羽(東渚)
○タシギ               7羽(汽水池)  
○セイタカシギ          11羽(汽水池)
○カワセミ              2羽(淡水池、汽水池) 
○イソヒヨドリ            1羽(東渚堤防石塁上。観察条件が悪く細かい識別はできなかった)
○キビタキ              1羽(公園西側。♀タイプ)
○カケス               5羽(汽水池南側樹林地など。公園西側でも見られた)

以上。


コオバシギ(幼鳥と思われる個体)
2008年10月4日
葛西臨海公園(汽水池)




ウズラシギ(成鳥換羽中と思われる個体)
2008年10月4日
葛西臨海公園(水路護岸)





【2008年10月5日】

※葛西臨海公園(7:30〜13:00)
 到着時は満潮に向かって潮位が上がっていたが汽水池干潟は残っていた。また午前10時過ぎからは再び干潟が広がり始めた。最初に汽水池で探鳥したが干潟付近に水鳥の姿は少なかった。午前9時頃から観察センターを中心に鳥類園を回った後、午前11時頃から1時間ほど西渚観察ポイント付近で探鳥し公園西側を回って切り上げた。結果的に猛禽類の出現が多く、水鳥の移動が激しく観察しづらかったが、基本的には昨日と同様であった。沖合いのスズガモ群中には200羽以上のオナガガモが混じっており、さらにその中にキンクロハジロを6羽ほど確認することができた。またユリカモメも100羽以上となっていた。クロツラヘラサギは本日も確認できなかったが、猛禽類の出現もあり移動してしまったのではないかと思われた。小鳥類もいくらか見ることができた。主なものは次のとおり。

○ミサゴ              1羽(♀タイプ。午前8時過ぎに旧江戸川河口付近の棒杭上で捕らえた魚を採食していた) 
○チュウヒ             1羽(汽水池、東渚。午前9時頃に汽水池上空に飛来しシギ類を飛ばした。その後、午前11時頃には東渚干潟に飛来し水鳥を飛ばし干潟に舞い降りて魚を採食した。当地ではチュウヒが魚と思われる漂着死体を採食するのが比較的見られる)
○オオタカ             1羽(汽水池。午前8時半頃に汽水池のセイタカシギ・アオアシシギの群がいっせいに飛び出したことから見上げたところ、本種が汽水池上空を東渚方面に飛び去るところであった。成鳥と思われる個体であった)
○ハヤブサ            1羽(東渚舞浜側堤防付近。構造物上に休止していることが多かったが、午前8時半頃には干潟上を飛んで水鳥を飛ばした)   
○カラシラサギ           1羽(東渚。午前11時頃に比較的近距離の干潟に降りているのを見つけたが、その後チュウヒなどの出現もあって頻繁に移動した。干潟中央部に移動した、それと思われる個体は判別が難しかったが、辛うじてコサギと嘴の色調の違いが確認できた)
○チュウサギ            1羽(淡水池。カマキリなどを捕食していた)
○ウズラシギ            1羽(汽水池。コオバシギと行動をともにしている幼鳥が確認できた。いただいた情報によると昨日見られた水路護岸でも成鳥・幼鳥各1羽が見られたとのことで、昨日の小群のうちの1羽が汽水池に飛来したものと思われた)
○コオバシギ            1羽(汽水池。幼鳥。ウズラシギとともに観察センター近くにも来た。本日はアカアシシギとは別行動のようであった)
○アカアシシギ           1羽(汽水池。午前10時過ぎに1羽のみ擬岩付近で確認できた。幼鳥と思われた) 
○アオアシシギ          14羽(汽水池など)
○ダイシャクシギ          2羽(東渚) 
○ホウロクシギ           2羽(東渚。1羽は脚を損傷していた)
○セイタカシギ           9羽(汽水池)
○ツツドリ              1羽(汽水池擬岩周辺。2回ほど飛び回るのが見られたが、じっくりとは確認できなかった。普通型若鳥と思われた) 
○カワセミ              2羽(淡水池、汽水池) 
○アリスイ             1羽(淡水池西側。午前8時過ぎに運よく見ることができた)
○セグロセキレイ          1羽(汽水池。午前9時頃に見ることができたが、ハクセキレイに追われて淡水池方向に飛び去った) 
○キビタキ              2羽(公園西側)
○エゾビタキ            2羽(公園西側)
○カケス              5羽(汽水池、公園西側)

以上。


ホウロクシギ(幼鳥と思われる個体)
2008年10月12日
葛西臨海公園(西渚)




コサメビタキ
2008年10月12日
葛西臨海公園(汽水池南側樹林地)


【2008年10月13日】

※葛西臨海公園(7:30〜13:10)
 到着時は干潟が大きく広がり始めているところで、午前8時過ぎからは旧江戸川河口付近のカキ礁なども姿を現した。最初に汽水池・擬岩付近で探鳥した後、観察センターに回って探鳥した。その後、午前10時半頃から正午頃まで西渚観察ポイント付近で探鳥し公園西側を回って切り上げた。淡水池で指標生物調査が行われていたおかげで潜んでいたオシドリを見ることができた。渚周辺や汽水池のシギ・チドリ類は基本的には昨日と同様であった。小鳥類は、先週に続いてヒヨドリのわたりが賑やかであった他、キビタキなど比較的多く見ることができた。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        1羽(西渚付近。荒川河口近くにいた)
○オシドリ             1羽(淡水池。午前10時頃に、調査に伴ってヒトが立ち入ったことから飛び出してきた。いちど舞い戻ったが、再度カルガモ・マガモの混群とともに飛び立ち水路方面に去った。飛翔時に確認した限りでは換羽中の♂であった。当地ではわたりの時期に本種が時々確認される)
○ミサゴ              1羽(旧江戸川河口付近など。午前8時半頃に棒杭上で採餌しているのが見られた。その後東渚内の棒杭に移動していた) 
○トビ               1羽(午前9時過ぎに荒川河口方面上を舞っているのが見られた) 
○チュウヒ             1羽(東渚。午前9時過ぎに汽水池上空で帆翔し高度を上げた。東渚に移動するものと思ったが、北方向に流れて去った。その後、午前11時頃に東渚に戻り中央丘のアシ原に入ったが、正午前には干潟上の漂着した魚の近くに舞い降り採食した)
○チュウサギ           12羽(東渚。午前10時半頃にダイサギに混じって干潟上で採餌している小群が見られた。西渚観察ポイントに回って干潟上を見回したところ、ダイサギ、コサギに混じってかなりの数が確認できた)
○ミヤコドリ             9羽(西渚など。午前10時過ぎから確認できた。午前11時頃には一時的に9羽が西渚干潟に飛来した。旧江戸川河口付近のカキ礁の他、荒川河口付近にも移動採餌しているようであった)
○シロチドリ          約10羽(東渚)
○ウズラシギ            1羽(汽水池。幼鳥)
○ハマシギ          約30羽(東渚。午前11時頃に群飛した際のシロチドリ・ハマシギ群のカウント数は38羽であった) 
○アカアシシギ           1羽(汽水池) 
○アオアシシギ          12羽(汽水池)
○キアシシギ            1羽(西渚観察ポイント対岸東渚堤防付近。午前11時半頃に飛来した。斑紋からみて幼鳥であった) 
○オオソリハシシギ         6羽(東渚。全て幼鳥と思われた)
○ダイシャクシギ          2羽(東渚) 
○ホウロクシギ           3羽(東渚。幼鳥1羽は西渚に飛来した)
○タシギ              5羽(汽水池)
○セイタカシギ          13羽(汽水池)
○オオハシシギ           1羽(汽水池。成鳥冬羽と思われる個体)
○ツツドリ              1羽(汽水池付近。午前9時半頃に汽水池北西側の樹林地から南側樹林地に移動するのが見られた。腹部を除いて全体的に非常に黒色味の強い個体であった)
○カワセミ              3羽(汽水池など。西渚でも目撃した) 
○コゲラ               1羽(汽水池南側樹林地)
○キビタキ              4羽(公園西側など。♂1羽♀タイプ3羽を視認できた。このうち♀タイプ2羽は汽水池周辺で見られた)
○カケス              2羽(汽水池周辺。鳴き声はよく聞こえた。午前8時頃には汽水池の北側と南側を盛んに移動するのが見られたが、同時に視認できたのは2羽であった)

以上。


オオハシシギ(成鳥冬羽)
2008年10月13日
葛西臨海公園(汽水池)


【2008年10月19日】

※葛西臨海公園(7:30〜13:00)
 到着時は満潮が迫っており、汽水池干潟もほとんどが冠水するところであった。その後は午前11時頃から再び干潟が広がった。最初に汽水池・擬岩付近から水路付近に回り、午前8時半頃から約1時間ほど西渚観察ポイント付近で探鳥し公園中央部・西側を回った後再び鳥類園に戻って切り上げた。太平洋沿岸の強風のためか、オオミズナギドリの大群が飛来していた。遠方ながらアジサシ類も確認できた。カモメ類も多かったが、特に変わったものは見られなかった。小鳥類はヒヨドリのわたりがまだ続いていた他、ノビタキ、ノゴマなどを見ることができた。ツグミ類らしき地鳴きも聞けたが視認することはできなかった。主なものは次のとおり。

○カンムリカイツブリ        1羽(東渚。冬羽。正午過ぎに見られた)
○オオミズナギドリ    約1000羽(渚沖合い。午前8時過ぎに旧江戸川河口付近の釣り船周辺を舞っているのを見つけた。その後沖合いを確認したところ、舞浜沖から荒川河口さらには羽田沖にかけて多数が飛来しているのが確認できた。午前11時頃のカウント数は確認できる範囲で1059羽であった。距離的には西渚東側堤防南端からでも最短で500m程度はあったものと思われた。当地で陸上から本種を確認したのは初めてであった)
○アジサシ             4羽(旧江戸川河口付近。正午前に舞浜側護岸付近を遡行したり戻ったりしながら飛翔しているのが見られた)
○コアジサシ         約10羽(旧江戸川河口付近。午前11時半頃に舞浜側護岸付近を飛翔しているのが見られた。かなり遠方であったが採餌行動のパターンなどから本種と判断した。本種については1998年に谷津干潟4羽(9月26日)、印旛沼北部調整池1羽(10月10日)の遅めの記録があるが、それ以上に遅い記録となる)
○ミサゴ              1羽(旧江戸川河口付近など。午前8時過ぎに棒杭上に休止しているのが見られた。その後東渚上空などを舞った) 
○チュウヒ             1羽(東渚。午前11時過ぎ東渚アシ原上をカラスにモビングされながら移動するのが見られた)
○シロチドリ          約20羽(東渚。正午前に群飛が見られた)
○ハマシギ             8羽(東渚) 
○アオアシシギ          13羽(汽水池)
○オオソリハシシギ         4羽(東渚。西側堤防南端のテトラポット上でホウロクシギとともに休んでいた)
○ダイシャクシギ          1羽(東渚) 
○ホウロクシギ           2羽(東渚)
○タシギ             10羽(汽水池。干潟で採餌していた4羽の他に中土手で休んでいる6羽が見られた)
○セイタカシギ           8羽(汽水池)
○オオハシシギ           1羽(汽水池。成鳥冬羽)
○カワセミ              1羽(水路護岸) 
○キセキレイ            1羽(又は2羽。汽水池)
○ノゴマ               1羽(公園中央部。幼鳥と思われる個体で昨日から見られているとのことであった)
○ノビタキ             1羽(西渚。午前9時半頃にハマゴウの群落付近で見られた)
○キビタキ             1羽(公園西側。♀タイプ)
○カケス              1羽(汽水池南側樹林地。鳴き声からは数羽はいるものと思われたが視認できたのは正午過ぎに1羽のみであった)

以上。


オオミズナギドリ(群れ)
2008年10月19日
葛西臨海公園(西渚沖合い)




2008年10月26日】

※葛西臨海公園(7:30〜13:10)
 到着時は既に干潟が大きく広がっていた。最初に公園西側・中央部を経由して汽水池周辺で探鳥した。その後観察センターに立ち寄った後再び公園西部に回って切り上げた。時折降雨もあり、本日は西渚観察ポイント付近からの渚周辺の探鳥は行わなかった。名残りと思われるオオミズナギドリの小群が見られた。渚周辺はスズガモ、ユリカモメの数がさらに多くなってきていた他、ハマシギ・シロチドリ群も飛来していた。また、マミチャジナイ、アオジ、ジョウビタキといった小鳥も見ることができたが特に変わったものは見られなかった。主なものは次のとおり。

○オオミズナギドリ         8羽(東渚沖合い。午前11時頃に旧江戸川河口沖の釣り船周辺を舞っているのを見つけた。その後は東渚沖合いから羽田沖方面にかけて移動した。いただいた情報によると10月20日にも当地周辺には多くの個体が見られたとのことであり、先週飛来した大群の名残りと思われた)
○ミサゴ              1羽(旧江戸川河口付近など。♀タイプ。午前中は棒杭や竹杭上に休止しているのが見られた) 
○チュウヒ             1羽(汽水池。午前10時過ぎに西方向から汽水池上空に飛来し、シギ類などの水鳥を飛ばした。その後は旧江戸川上空方面に去った)
○シロチドリ          約50羽(東渚。午前8時過ぎのカウント数)
○ハマシギ           392羽(東渚。午前8時過ぎのカウント数) 
○アオアシシギ           9羽(汽水池など)
○タシギ              7羽(汽水池)
○セイタカシギ           6羽(汽水池)
○オオハシシギ           1羽(汽水池。成鳥冬羽。もう1羽が飛来して2羽となっているとのことであったが確認できなかった)
○カワセミ              2羽(汽水池、淡水池で各1羽) 
○キセキレイ            1羽(汽水池)
○ジョウビタキ            1羽(♀タイプ。公園中央部。今季初認)
○マミチャジナイ          2羽(公園西側。樹林地を鳴きながら移動していることが多かったが、正午過ぎにフサアカシアの上部の枝に休止したことからきちんと視認することができた)
○キビタキ             1羽(公園西側。♀タイプ)
○ヤマガラ             3羽(公園西側。一時的にはシジュウカラと混群を形成していた)
○アオジ              2羽(汽水池南側樹林地林縁付近。今季初認)
○カケス              5羽(汽水池南側樹林地など。よく飛翔しオナガやヒヨドリ群と絡んだりしていた)

以上。