石堅(シー・キェン)

この人ってまだ生きているんだろうか(死んだという話を聞かない……)?何と映画界に入ったのは1939年のことだそうだ。その時は俳優ではなくメイクアップ師だったそうである。翌年には俳優に転向し、以降数百本の映画で悪役を演じ続けている(街を歩いていると石を投げつけられたそうだ)。しかし、その悪役人生の総決算的な作品といえば何といっても『燃えよドラゴン』で演じたハンだろう。その高枝切りバサミの先っぽのように付け替えが可能な左手は、以降多くの映画で悪役たちが使用する事になる。

オレがこの人を最初に観たのは、小学校5年位の頃に『Mr.BOO!』に出ているのを観て「あ、この人観たことある!」と思ったので、『燃えよドラゴン』かジャッキー・チェンの『ヤング・マスター』だと思う。印象としては「あんまり強そうじゃねえなあ」というのが正直な感想だった。しかしこう見えても小林門など五派のクンフーをマスターしているらしい。そのわりには『燃えよドラゴン』ではあまりキレの良さそうなアクションはしていなかったような気がするが(スタントダブルはラム・チェンイン)、もう歳だったからなあ。クンフーを始めたきっかけは幼い頃に体が弱かったため。なんかシュワルツェネッガーがボディビルを始めた時の理由と一緒だな。

実は上記の理由でこの人がシリアスな映画で悪役をやっているのを観るより、コメディ映画で悪役をやっているのを観る方が好きである。だから『ヤング・マスター』や『Mr.BOO!』での演技はかなり好きだ。特に『Mr.BOO!』での強盗団のボス役は白眉だった。あの時点でも結構な歳のハズだったのだが、マイケル・ホイと激闘を演じて最後は氷漬けにされて笑わせてくれた。また『上海エクスプレス』ではウォン・ケイイン(演じるのはジミー・ウォング!)とトンネルの度に殴りあうセルフ・パロディ的な役柄を楽しそうに演じている。

ただし昔から出ている映画の量が半端ではないので昔の映画(クァン・タクヒンのウォン・フェイフォン物とか)には凄まじいアクションを見せてくれているモノもあるかもしれないので油断大敵。探してみよう。