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〜古墳軍ニュース〜【2007/06/06】
取材は進めどなかなか追い付かないデータ整理と更新。放置して鮮度が落ちては惜しい情報を何とか救済すべく設置したコーナーです。古墳をめぐる最近の動向などを随時掲載・更新しますのでお見逃しのないように。
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ナンバー


◆ 恒例古墳軍夏の東北遠征・第4回福島県古墳探索 ◆
いちおう標柱がありましたが道路からはよく見えないし、難易度それなりに高いかも…
白旗山古墳群(白沢村和田)。山中かなりの高所にある。これが主墳の前方後円墳らしい。他の円墳は所在不明。遺物が出ており、古墳であることは確からしい。近くの他の古墳群も数か所探索したがほぼ空振りだった。
一帯は工事中でここだけが妙にきれいに片付いてました
黒塚(二本松市安達ヶ原)。阿武隈川のすぐそばにある。伝説の鬼婆の墓に擬せられ、整備されすぎて原形が失われているようだ。説明板にも全く古墳についての記載は無い。周辺は「安達ヶ原ふるさと村」として公園化されている。
ここでは新幹線を眺めるほうが面白かったわけなのですが…
藤兵内古墳付近(二本松市上川崎)。東北新幹線が阿武隈川を渡ってすぐ長い福島トンネルに突入する地点の西の稲荷神社。付近一帯が古墳とされているが明瞭な墳丘は発見できなかった。
夏場ゆえこういうところでは当然ながら蚊に食われまくります
八坂山古墳群(二本松市上川崎)。藤兵内古墳のすぐ東の丘陵尾根上の八坂神社周辺にある。石段を登りつめた境内の奥に低く小さい墳丘が幾つか見られた。見慣れた光景だが、福島では初体験。
古墳以外の名所旧跡もちゃんと訪ねております
旧亀岡家住宅(伊達市保原町)。明治30年頃に旧伊達崎村の富農亀岡正元が建てた、中身は和風の擬似洋館。伊達市保原町保原総合公園内の歴史文化資料館脇に移築保存されている。
周囲は田畑でこのあたりのみきれいに整備されています
大塚古墳(伊達市保原町)。推定7世紀の径40m高4mの旧保原町最大の円墳。保原総合公園の東に隣接。熊野神社が載る。周辺の円墳群はほぼ失われてすぐ傍の化粧塚が残るのみ。
舟形の塚なので大きな盆栽状。名前も素敵だし
大塚古墳群化粧塚(伊達市保原町)。大塚古墳のすぐ南にある。現状はかなり小型で細長い。南北朝時代、北畠顕家の侍女が主君の戦死を悼んで化粧品を埋納したという伝説があり、出土遺物に由来するかとも思われる。
明瞭な墳丘は見つけられませんでした
愛宕塚古墳群(伊達市保原町)。大塚古墳群の北西500m付近にあるとされる。該当地付近には周囲より少し高い古墳跡らしい愛宕神社があり、若干の土器片が見られた。石斧が出土したという情報がある。
ぴかぴかの住宅が並ぶ一角にぽつんとある神社です
大泉みずほ古墳群跡(伊達市保原町)。唯一塚の残る近くの樺山神社。宅地造成に伴い大規模な調査が実施された。約25mの前方後円墳の19号墳ほか多数の円墳・方形周溝墓が密集する遺跡であったが現在は跡形も無い。
お寺の雰囲気はよいのですが、ひいた絵が撮れません…
観音塚古墳(伊達市保原町)。別称前山古墳。旧保原町中心市街地付近の長谷寺(ちょうこくじ)にある。墳頂に観音堂が建つ。周囲が狭く全体を把握しにくい。長谷寺には他にも山門や画碑など文化財が多数ある。
立派なお堂を載せた古墳。こういうのばっかりなら探索は楽なのですが…
野崎観音塚古墳(伊達市保原町)。保原駅の西近くにある。大きさは大塚古墳とほぼ同級。本尊は近くの池で拾われ、弘法大師作とも伝えられる正観世音菩薩。古墳としての詳細は不明。
首塚の標柱のみ発見。すごい藪で入口が見つかりません
内山古墳(伊達市保原町)。上保原駅南東近くの龍背巌の丘にあるとされる。住宅地の裏山で接近できない。すぐ東には天文の乱の時相馬顕胤が高子が原の戦いの戦死者を葬ったと伝える首塚がありその標柱が垣間見える。
久々に出会ったおすべり付き古墳。ほかの遊具もいい味です
八幡塚古墳(国見町塚野目)。塚野目古墳群1号墳。長68m後円部径52m高6mの周堀と葺石を持つ帆立貝形古墳。西側前方部は削平。朝顔形円筒埴輪出土。形象・人物埴輪があった形跡あり。
田んぼの中に横たわる小さな前方後円墳です
錦木塚古墳(桑折町伊達崎)。塚野目古墳群4号墳。八幡塚古墳の南、段丘端近くにある長42m後円部径18mの前方後円墳。横穴式石室があり調査済。須恵器や銅鋺が出土した。全国的にも最後期の前方後円墳と見られる。
眼下にまちを見下ろす眺めのよい場所にあります
塚野目古墳群5号墳(桑折町伊達崎)。錦木塚古墳のすぐ北東にある。円墳らしいが周囲に畑がせまり四角い座布団状になっている。この他の同群では23号墳の名残りが畑のなかに見られるぐらいだった。
怪しい。どうにもこうにも怪しい…
沼田神社裏の塚(国見町徳江)。塚野目のすぐ東の地区にある神社。今回の事前調査資料には古墳の所在は記されていないが、わざとらしい土留めと迂回する道路など怪しい要素十分。
民家の庭先に残っている小さい円墳です
王壇古墳(国見町西大枝)。径15mの円墳で幅3m程度の周堀がある。本来周辺に数基の古墳があったがこれだけが残されている。説明板では松の木があるとしているが現在は無くなっているようだ。
藪状に見えているのがそれだと思われますが、どこから入れるんだか…
山崎小舘古墳(国見町山崎)。東北本線藤田駅南東の観月台公園・文化センター近くの八雲神社がそれらしい。宅地奥の小山に社が載っているのが見えるが接近不能で未確認。
かなりびっくりの葺石付き復元古墳。頂上からの眺めもよし
堰下古墳(国見町泉田)。藤田駅南西のニュータウン内にある。径22m高3mの円墳。埴輪と葺石を持ち竪穴に箱式石棺をおさめる中期古墳。中世に経塚として利用された形跡がある。完全復元された円墳としては北限かもしれない。
少々古めの住宅街の中にある神社。古墳らしき形のものは見られませんでした
月ノ輪山古墳群(福島市鎌田)。現在墳丘は残っていないが、該当地の住宅街の中央には意味ありげに愛宕神社が残されていた。調査された1号墳は11mの横穴式石室を持ち頭椎太刀が出た。
市道沿いにあるものすごく立派で目立つ塚
大壇愛宕神社(福島市岡部字大旦)。月ノ輪古墳群からの移動途中に発見。水塚とする説もあるらしい。階段右に明和年間の庚申塔、さらに右には地名の起源を記した碑、塚上には「帰命青面金剛」と刻まれた仏式庚申塔もある。
左写真の塚の裏に並んでます。ぶらんこ付き
大壇愛宕神社裏の塚(福島市岡部字大旦)。愛宕神社のすぐ北西にある。上に建てられた碑によると江戸時代の経塚らしい。周囲は集会所や遊具のある地域の交流の場。信夫文知摺で有名な文知摺観音も近い。
お稲荷さんの登り口は向こう側にあり、そっちの方が突出部っぽくみえます
稲荷塚古墳(福島市下鳥渡)。東北道福島西ICのすぐ南東。30mあまりの帆立貝形古墳と見られている。墓地付近が突出部。近くの水田からハソウ出土。八幡塚古墳はこの北方およそ300mにある。
お店の駐車場の中にあります。稲荷塚とここには説明板あり
八幡塚古墳(福島市下鳥渡)。近年の調査で周堀・円筒埴輪が確認されている45mの帆立貝形古墳。現況では径17mの円丘に見える。この近くの山王塚古墳と鎧塚古墳は見つからなかった。
草ぼうぼうのワイルド系移築石室
大森城山古墳東1号墳石室(福島市大森)。下鳥渡稲荷塚の南東およそ1kmの大森城山公園内にある。城山の東麓の畑で発見された石室を移築したもの。2号墳以下は未発見らしい。
小さいけれど手入れの行き届いたお稲荷さん
方木田稲荷塚古墳(福島市方木田)。規模不明の円墳。簡単な説明板があり、神社の由緒にも古墳である旨記されている。入り口からは狭く見えるが実際に登るとかなり広く、何かのやぐらの礎石のようなものが設けられている。
実は交通頻繁な道路脇で、花や供物もあれば空き缶やゴミもあり…
児子塚(福島市太平寺)。南福島駅の北東にある。鎌倉・江ノ島の稚児ヶ淵伝説の稚児白菊丸の故郷は実はこの付近で、その遺髪の塚と伝えられる。古墳であるかは定かでない。
ようやく東北の古墳「らしい」風景に遭遇しました
二子塚(福島市二子塚)。福島駅のほぼ真西6kmにある。名称と違い見かけは円墳である。稲荷神社になっていて、今回訪れた中では最も立派な神社古墳らしく見えるが詳細は不明。この背後に森合古墳がある。
こっちは古墳じゃないのかなぁ…
二子塚付近の塚状地形。古墳としての記載は無い。二子塚の南西に隣接し、規模形状も酷似。入り口に簡易水道組合解散記念碑があり上は「ちびっこ広場」になっている。これと合わせて「二子」ということなのだろうか。
歩くのもやっとの細〜い畦道にいきなり標柱があるだけで、左の石は道路記念碑。こんなの初めて見ました
森合古墳(福島市二子塚)。二子塚のすぐ北の水田の畦道にある。遺跡地図に記載がある他詳細不明。フジとツユクサの中に白い標柱が立つ。塚状に見えるがほぼ中身は無い。三等三角点でもあり、そばには道路記念碑もある。

 
2006年8月取材
 恒例の東北探索行は前年に続いて福島県(4回目)。中通り北部方面を巡るコースを選んだ。訪れたのは、白沢村、二本松市、伊達市、桑折町、国見町、福島市。
 欲張って広範囲をターゲットにしたため、漏らしたものもあり時間切れなどで発見できなかったものもありと、例によって聊か準備の足りない古墳軍だが、天候に恵まれて(暑いけど)快適な探索だった。
 今回は特に有名墳はなかったのだが、思いがけないかわいらしい復元古墳や標柱しかない(!)ものなど面白みたっぷりの物件も多く、楽しい夏の旅であった。その後忙しくなってしまって更新作業がまったく進まず、報告が翌年になってしまったわけなのだが、さて今年の旅はどうなることやら…。


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