5月の生活単元学習「草すべりをしよう」


 学校の裏には堤防が広がっています。堤防の高さは2階の窓と同じです。2段になっている堤防の中段から滑り降りると、ちょうど10メートルの長さのスロープになります。
 このスロープを利用して「草すべり」を楽しみました。

 写真に写っているのは左から、ブルーシートのスロープ、板段ボールをつなぎ合わせたスロープが2コースです。

 伸びた草を刈ってしばらく置き枯らしてしまうと結構滑るのですが、この時期はひと雨降るとすぐにまた伸びてきます。草が水気を含んでいると滑らないので、段ボールのスロープを敷くのが伝統になっています。

 今年は新たにブルーシート(工事現場などで見かけるあれです)のスロープも作りました。このブルーシート、十分古くなったものは結構滑るのですが、新しいものは全く滑りません。そこで、シート全面に「シリコンスプレー」を吹き付けて滑りやすくしてあります。シリコンスプレーを使うと、本当によく滑るようになります。が、ただ一つ欠点は滑った後のお尻も滑りやすくなっていることです。イスに座るとお尻がつるつるして、なんだか落ち着かない感じがします。
ブルーシートは、段ボールのスロープに比べて軽くて持ち運びが便利なこと、シートの大きさによって幅の広いスロープが造れること、値段が安いこと(今使っているシートは5m*3mで398円)などが利点です。欠点と言えば、シートを固定するためにテントを立てるときのペグを使わなければならないこと、生地が薄いので下に石ころなどがあると痛いこと、くらいです。

 さて、雨が降らない限りは毎日堤防へ出かけました。リヤカー(いまだに現役です)にシートや段ボールスロープを積んで行きます。児童は、それぞれスノーボート(プラスチック製のソリ)や段ボール箱で作った「はこ舟」と呼ばれるソリを持って出かけます。大きなものは数人で協力して「わっしょい、わっしょい」の掛け声と共に運びます。
 「はこ舟」は一人乗りようの小さいものから、一度に数人乗れる大きなものまでいろいろ作ります。雨が降れば、このはこ舟をいろいろと飾ったりするのですが、今回は天候に恵まれ飾るチャンスがありません。

 シートやスロープを張る準備は主に教師がやります。小学2年生の小さな子たちは、堤防に着くとすべりたいばかりです。はこ舟やスノーボートに乗って今か今かと待っています。「いいよ!」の声と共に一斉に滑り出します。滑り降りた子ども達は、スロープ横の草の上を上がってきます。草のところを滑る子もたまにはいますが、段ボールやシートの上の方がよく滑るので、登るところと滑るところが自然に分かれていきます。
 初めのうちは一人一人が思い思いに滑っています。とにかく、滑らずに様子を見ているだけの子も含めて、思い思いです。その内、教師に誘われたり自分から誘ったりして何人かが連なって滑り出したりします。また、一つのはこ舟に何人かが一緒に乗ってすべったりもします。

 ブルーシートの上では、教師の「ウルトラマン!」の掛け声と共に、腹這いになって頭の方から滑る子もいます。
 「ウルトラマン!」と滑り降りたゆう君。滑り降りた後草むらに座ってなにやらごそごそとやっています。「なにしてるの?」と声を掛けると、胸元には白詰め草の花が一つ。花のところで指を開いたり閉じたり。「・・・・!それ、カラータイマーでしょう。」と言うと「うん」とにっこり。側にいたとよ君は「かっこいい!」の言葉に振り向き、ゆう君の胸元の花を発見。「ウルトラマン、かっこいいなあ。」と言うと、早速足下の花を摘んで真似ています。
 二人は白詰め草のカラータイマーが落ちないように手で押さえながら堤防を上がります。次に滑り降りるときはさすがに、カラータイマーがつぶれないように座って降りていきます。その後、ゆう君は草をちぎっては、靴につけたり腕にまいたり。だんだんウルトラマンから離れて行くなあ、と思いましたがイメージの世界で楽しく遊んでいるゆう君を微笑ましく見ていました。

 また、一人で黙々と滑っていたこう君。草すべりを始めて3週間目。「ウルトラマン」で滑っていた私の上に座ってきました。そこで、そのまま「行くよ!」。これが面白かったらしく、もう一度行こうと手を引っ張ってどんどん登っていきます。何回目かには背中合わせに座って後ろ向きで。更に、お腹の上に仰向けになり頭を下にして滑ったりもしましたが、これはさすがにスリルがありすぎたようで2度目の要求はありませんでした。

 来週は「草すべり」最後の週になります。段ボールスロープのところはトンネル滑り台にしようと思っています。針金で作ったアーチを立てて、その中をくぐって滑るようにしてみては、と考えています。ただ、はこ舟で滑って引っかかると壊れてしまうかな?とにかくやってみます。


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小川 征利:masa-ogawa@gifu.email.ne.jp