野良猫日記

Feb.2003

大寒 2/02/2003 チビウシ

チビウシ、毛がごわごわでみすぼらしいボロジジのよう。風邪がひどくなっている。体力が持つだろうか?鼻汁も出て、涙が目脂になっている。動きも鈍く、辛そうだ。鼻汁にゴミがつくのか鼻黒になっている。

ぼくの古いダウンジャケットを敷いて、少しでも温かくしてやる。チビウシに牛乳を口元に持っていくと少し飲んだ。猫缶は口にしない。あとで子猫用のミルクを買ってきてあげよう。

ボロジジは風邪を引きながら元気だ。悪臭がひどいが。チビウシとボロジジは2匹で丸まって寝ている。ガリグロとシロは相変わらずだ。

ガリグロが鳩を狙っていたのだが、ぼくが音を立ててしまい、狩は失敗。こんな馬鹿な人間に猫たちは恨み言一つ言わない。猫が化けて出てくるなんてとんでもない。例え亡霊として化けて出てきても、撫でてあげるのだ。

大寒 2/03/2003 チビウシ

昼過ぎ、チビウシが姿を消してしまった…。

動くこともほとんど覚束なく、目も半分ふさがっているのに。消化のいい猫用ミルクを買ってきて飲ませようとしたが、口にしない。そんな遠くへ行けるはずが無いし、どこかに落ちて動けなくなっているのかと近くを捜してみたがいないのだ。

夜になってもとうとうチビウシは戻ってこなかった。

娘も妻もチビウシのことは話題にしたくないようだ。「死に場所を捜しにいったんだよ、たぶんそう思う」と妻。昨日の写真が最後になってしまうのだろうか?  明日から立春。 夜空には月が目を閉じ眠っています。

立春 2/04/2003 チビウシお通夜

チビウシことベルは帰らぬ猫となってしまったらしい。旧正月だと言うのに、家族みんなでお通夜をした。位牌をぼくが書いた。

秋刀魚に胡麻を塗した物を供えた。たぶん死んだのは昨日の節分の三日月の夜だろう。白とロゼとワインを2本空けた。

語り合おうとしたら連日の心配疲れで、妻と娘はぐっすり早寝。

チビウシは霊魂となったかゴミになったか…

死を知らないのか恐れは無いのか…生まれて半年で消えていったチビウシの命…は、自分の死の姿を僕達に見せなかった。悲しい、ただ…悲しく切ない。ただ無性に当たり前のように涙が出てくる。何も大袈裟なことは無かった。他の猫は淡々といつものように生き続けている。

珍しくトラ親子が来ていた。クロ丸も姿を見せた。チビトラは丸々太っている。トラ母とすでに体格は同じになっている。

チビトラは内猫として飼おうとしたが、うちのズボラな家族は失敗して、野良猫として飼うことを選択した。妻は「他の家に飼われた方が良かったのかなあ?」とふと漏らした。

立春 2/08/2003 さみしい軒下

お月様の眼も開いてきている。今日は曇っていて、今にも雨が降りそうに空気が湿ってきている。旧暦では春に入ったのだ。

なぜかガリグロがべたべた甘えてくる。脱毛が少し進んでいる。ボロジジはやたら臭い。2匹ともそれでも元気なのは不思議だ。チビウシがボロジジと一緒にいたのが仇になったような気がする。風邪が感染してしまったのだ。シロの姿が見えない。

ボロジジの背骨を触ってみるとごつごつしている。変形しているのだろうか?他の猫は背骨は触ってもはっきりと感じない。前からそうだが、尻尾の付け根を触ると、敏感になっているのか、振り向きかすれた声を出す。

軒下組は現在ボロジジの1匹のみ。チビウシのいないことが、ぼっかり穴が空いたようで、さみしい。

立春 2/10/2003 ボロジジもまた…

ボロジジが朝11時ごろ姿を消す。朝、玄関先のプルーンの木の下にいた。軒下を見るとお漏らしの跡。2ヶ所でしていた、気がつかなかった。嫌な予感。きのう骨を触ってみた時、あばら骨も解かるほどだったことを思い出した。こんな骨皮筋衛門でよく動いてるなとその時はふと思ったのだった。もう限界だったのかもしれないが、普通に動いていたので何とも思わなかった。

シロは戻ってきた。ガリグロはここ2,3日、ガラス戸越しににゃーにゃー鳴き、前脚で何度もたたいたり、開けようとしたり、家の中に入れてくれと言う。前に一度だけ入れた事があったのだ。何故今、騒ぎ出したのだろうか?

ボロジジの行動範囲は、目に見えるところでしか動かない。それの姿が見えない。まったく急なことだった。ようやっと空気に春のぬくもりの気配を感じ始めたというのに…

今日は死ぬのにはとてもいい淡い穏やかな日だ。

立春 2/15/2003 メジロ

3日位前にはっと気づいて、ちょっと古くなった蜜柑と林檎を玄関先のプルーンの木の脇の門の上のおいた。この蜜柑や林檎が目当てで、メジロが来る。ガリグロはそれを狙っているが捕まえるところを見たためしがない。

メジロの明るいモスグリーンと艶やかさと手ごろな可愛い大きさとは、僕でさえ食べてしまいたいと思うぐらいである。目の周りは白く顔黒メーク。ヒヨドリ、スズメが来ている。

クロ丸が来ていた。アケビの蔓に顔を擦りつけている。ボロジジはシロと2匹、軒下組となっている。

立春 2/17/2003 久しぶりにクルミちゃん現る

2匹の唸り声が聞こえたので見てみると久しぶりに梶川クルミちゃんが来ていた。ガリグロが珍しくここは俺の縄張りだと唸っていたのだ。ぼくが2階から顔を出して、クルミちゃんに声をかけてみると、仕方ないなと言って、立ち去った。そんなつもりは無かったのに、ぼくは優先順位をガリグロのほうにしてしまっていたので仕方の無いことだった。

ぼくが出て行かなければ、ガリグロはひとたまりも無いのはガリグロのほうだった。なんたってこの辺りじゃ実力とも最高位の女王様クルミちゃんだから。

悪いね、クルミちゃん。ガリグロを守ってあげなければならないのだよ、僕としては。また今度な。

もう一種類の鳥が来ていた。目の周りが白く、嘴が黄色。羽が黒っぽい奴、調べておこう。

立春 2/18/2003 ノラや

ガリグロの皮膚病は落ち着いているようだ。このまま快復へ向かってくれればいいものだ。

内田百閧フ『ノラや』が見つかった。つらつらと少しづつ読んでいる。僕の生まれる前後の時代の野良猫顛末記だ。内田百閧ニいう作家は何とはなく気になってた作家だった。少し親しみが持てるようになってきた。

雨水 2/21/2003 ガリグロ

ガリグロに子持シシャモをやると、むしゃむしゃ食べる。このところうちの軒下に落ち着いたようだ。やたら鳴かなくなって落ち着いた様子。

雨水 2/25/2003 ガリグロ

きのうは雪もちらつきほんとに薄ら寒かったが、今日はぽかぽかだ。

ガリグロ元気だが、皮膚病はなかなか治らないらしい。山椒の樹の棘で、気持ちよさそうに体を押し付けている。

左は塀に引っ付いた蓑虫。何の罪も無いのに、一冬、十字架を背負っている。でもこれは抜け殻だろうか?

人間に対する皮肉か?

シロは最近留守がちだ。

雨水 2/28/2003 梶川クルミちゃん

赤鈴猫が来ていた、鳥を狙っていた。大姐御クルミちゃんが久しぶりに来たので、ぼくもガリグロと同じくらい丁寧にお迎えした。全体的に機嫌がよかったが、調子こいて2,3回ガリグロに「ヒャー!」とかましていた。

左の耳の付け根を噛まれたのだろう傷を負っていた。天下のクルミちゃんにここまで歯向かう者が以前見かけたことがある。その猫はクルミちゃんと同じような猫でどっちがクルミちゃんか判らないほどだった。もう3年ぐらい前から見かけない。まさかあいつがまた挑戦状を突きつけてきたのだろうか?

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