ものづくり 模型編  サンダーバード THE MOLE(工作編)

キットについて
 サンダーバードのTHE MOLEとは何か?と疑問を持たれる方もいると思います。しかし,ジェットモグラと言えば,国際救助隊の地底用の救助メカと分かっている人もいるでしょう。ジェットモグラは和名で,英語名がMOLEだったのです。このキットが少し前に出たのは分かっていたのですが,モデルグラフィックス誌の2001年9月号の素晴らしい紹介記事を見て,是非とも作ってみたいと考え,早速キットを入手しました。
 キットはサンダーバードならこのメーカーという,イマイより1/72のスケールで発売されています。すごいのはそのギミックで,タンク部が走行し,ドリルと先端プロペラは違う速度で回転,サイドキャタピラも回転し,上部の作業用警告ランプが点滅というてんこ盛りの内容です。なおかつ,スケールモデルとしても充分鑑賞に堪えます。さらにすごいのが価格で3800円。はっきり言って,昔,サンダーバードをNHKで放送していたときに見ていた,大人をターゲットにした模型であると考えられます。思い起こせば,私が最初に親に買ってもらったプラモデルは,当時100円だったと思いますが,サンダーバード2号のポッドとその中に入る救助メカのセットでした。

工作のポイント
 このキットを手にして最初に思ったのが,ゴムキャタピラは経年変化で切れてしまわないかということです。おそらく大丈夫だと思うのですが,何年か後にせっかく作ったキットのキャタピラが切れてしまったら悲しいという考えが頭から離れず,キャタピラ部を作り直すという道を選択しました。従って,凝りに凝ったギミックはすべてあきらめ,純ディスプレイモデルとしての製作の道を選びました。それでは写真を使って工作のポイントを説明していきましょう。

写真1
キャタピラの組み立て
写真2
キャタピラと台車下部

写真1
 8mmの幅で長さ約11cmに切ったプラペーパーにキャタピラを16枚接着しました。そして,転輪を車体に付けた状態で,キャタピラの帯を上下に接着します。左右のキャタピラのついていない部分を,起動輪と誘導輪に巻き付けて接着します。次に,こうしてできた左右の曲面に,キャタピラを7枚ずつ接着します。
写真2
 車体に転輪の軸はすべて接着してしまいます。台車と転輪の色が違うので,塗装しやすいように簡単にはずれるようにしました。車軸の直径は2mmなので,転輪の方にあいている穴を,直径2.1mmのドリルで広げました。そうすれば,キャタピラを接着した後でも,簡単に外すことができます。
  写真では右側になる前部の車軸は,キャタピラを張るために,軸が前後にスライド構造になっています。実物?の写真を見ると,転輪の幅はかなり均一についているので,最も内側になるように固定しました。

写真3
サイドキャタピラを作り直す
写真4
本体下部とドリル部

写真3
 サイドキャタピラもプラスチックで作り直しました。プラペーパーに幅2mmのプラ板を貼ったものを使用しました。幅2mmのプラ板は写真の下に写っているような,建築模型用のものを使用しました。
写真4
 車体下面のグレーの部分は,ヒケを埋めるためにパテを盛ったものです。下面のスイッチの穴も,プラ板とパテで埋めました。
 ドリル部はクロームメッキが施されていますが,パーティングラインを削ると,メッキがはがれてしまいます。どうせ塗装するからかまわないのですが,メッキの部分に塗装すると,塗料が乗りにくかったり,メッキがはがれてしまったりということが起きます。銀で成型したプラスティック部品で十分だと思うのですが,どうでしょうか。

写真5
ガントリー内側の追加工作

写真5

 ガントリーの裏側は,モデルグラフィックス誌の記事を参考に,プラ板で追加工作をしました。この辺はよく分からないのでかなりいい加減なものとなっています。

 このように工作をしていったわけですが,困った問題が。それは,キットに付属していたキャタピラのコマが足りなくなってしまったということです。説明書によればキャタピラは1周42枚を使用するということでしたが,この作り方で行くと1周46枚を使用します。キットには1周分44枚のコマがついていますが,それでも足りません。結局イマイに部品の請求をFAXで送りました。対応は迅速で,その3日後には,部品が我が家に届いていました。
 それでは,次回の塗装編でお会いしましょう。

参考資料
・モデルグラフィック2001年9月号
 最も参考になりました。作例も素晴らしいものです。
・サンダーバード大図鑑1,2  発行/バンダイ
 エンターテイメントバイブルというシリーズの内の2冊で,単行本サイズの本です。
・ITC SFメカ グラフィティ  発行/徳間書店
 サンダーバードだけでなくサンダーバードを生んだITCのメカを網羅した本です。