発行日: '99年 5月30日(日)
発行:守山リス研事務局
このA地区は、二つの沢に挟まれた孤立状態の森林で、ここに巣箱や給餌台が数台設置されていた。
樹種や樹木の特性としては、道側にはスギが多数あり、山側に登るにつれ、ケヤキ、シデ、アベマキ、アカマツ、ヒノキが点々と存在していた。
空白域には、イロハカエデが多数植栽されていた。この森も30年から60年という樹齢のようで団地造成時の他の地域と同じ状況だが太陽に面する事で、シデやアベマキ、ケヤキなどの樹種が大きく育っているように思われた。ただアカマツは広葉樹に囲まれ、樹勢が弱く、松枯れているものも散見された。ここでも広葉樹への遷移が感じられた。
Kさんが口に指を当てて、シーとしてみせ「ムササビが巣箱の中にいる」と小声で。そっと見にゆくと、たしかに巣箱から黒い鼻が見え、しばらくしてひっこんだ。それから数秒すると中から、ひらりと動物が飛び出してきて、枝づたいにすばやく移動した。なんとそれは、鼻から顔半分くらいまで黒で、4本の足の接地部が靴下をはいたように真っ黒。「テンだ!」と叫ぶ。
写真を取るまもなく数秒で目の前から消え去った。それからそれぞれが樹木の調査をしているとIsさんが「巣箱の中から遠くに呼びかけるようにミーミーという鳴き声が聞こえる。」と報告。テンが繁殖していたのである。リスの巣箱にムササビが生息し次にテンが。そして巣箱の真下近くにテンの糞らしきものには骨と毛が混じっているではないか。
孤立林A地区
完