観劇日記

1999年ディナー・ショー『That's Life』  1999年12月21日 宝塚ホテル

  出演  杜 けあき
  指揮・音楽監督 義野 裕明  演奏 馬詰のりあき他

曲  目
♪シャンソンコーナー
1.愛の讃歌
2.パダム パダム
3.愛の暮らし
4.メドレー パリ・カナイユ…セ・シ・ボン…オー・シャンゼリゼ
5.愛の砂
6.大根役者
(instrumental) ピアノ演奏
♪宝塚コーナー
7.誇り高き愛の詩(『誇り高き愛の詩』より)
8.妖花(『パラダイス・トロピカーナ』より)
9.この恋は雲の涯まで(『この恋は雲の果てまで』より)
10.メドレー  祭りのあと…天守に花匂い立つ(『天守に花匂い立つ』より)…デイジー…アウトロー・ブルース(『華麗なるギャツビー』より)
11.花に散り 雪に散り(『忠臣蔵』より)
12.イ・オ・アーモ(『ラバーズ・コンチェルト』より)
13.That's Life(『ブライト・ディライト・タイム』より)
14.To All The Girls I've Loved Befor(地方公演『ダイナモ!』より)
♪アンコール
15.時代
♪再びアンコールに応えて   
16.That's Life

ショー
杜さんのだけでなくディナー・ショーは初めての体験。私の胃袋には丁度良い量の食事をとり、ゆったりと落ち着いたところでショーへ。
「皆様、本日はようこそお越し下さいました。杜けあきです。只今より杜けあきディナーショー『That's Life』を開演いたします。最後までごゆっくりお楽しみ下さい。」という杜さんのアナウンスでショーが始まった。『That's Life』と言っただけで、拍手と歓声が上がるあたり、皆さんさすがです。
いきなりシャンソンの王道「愛の讃歌」で登場。アイスブルー(写真で見るとミント・グリーンらしい。淡い微妙な色合い)のシンプルなドレス、白い羽根のストール。長い髪を後でラフに編み込んだようなヘアスタイル。「こんばんは、女優の杜けあきです」そして「ただいま! 元雪組の杜けあきです」とご挨拶。ついで「パダム パダム」「愛の暮らし」と大人の歌を2曲。
「宝塚時代は暗いイメージがあってシャンソンはあまり好きではなかったけど、越路さんのアルバムに参加してシャンソンを歌いたいなと思った。私も30歳になって(^^;)大人になったんですね。」
メドレーの「パリ・カナイユ…セ・シ・ボン…オー・シャンゼリゼ」は明るいタイプのシャンソン、前髪に手をやる仕種とかが粋で、客席を練り歩き男性の膝に座ったり。「でも、ここまでよ」とは(笑)。
「愛の砂」
は一変して静かな短編映画のような曲。語りがほとんどで歌の部分は少し。セリフの素晴らしい杜さんならではの1曲。
そして今回、ディナーショーでシャンソンを歌うと言ったときに1番リクエストが多かった曲大根役者」。
宝塚時代のCDで聴き、芝居上手の杜さんに「大根役者」とは、と思ったものだった(笑)が、いかにも杜さんらしい良い選曲だった。それが今回は女優としての歌詞に1部改められ、更に今の杜さんの気持ちがストレートに表現されていた。

「誇り高き愛の詩」のイントロで始まった宝塚コーナー、パッと杜さんにスポットライトが当たった途端に客席からは歓声が。だって今年はもう見られないだろうと思っていた男役姿だったんです(*^_^*)。去年の白い衣装とデザインはほぼ同じだと思う。袖のたっぷりしたプラウスはグレーかな、そして黒い燕尾で胸元はキラキラとラインストーンが輝いてました。続いて「妖花」「この恋は雲の涯まで」
「戻っちゃった」杜さん(笑)、去年から宝塚の歌を歌い始めた経緯を語ってくれました。曰く、「女優の、自信の、表れ」なんて冗談めかしながら、「自分の歴史である宝塚を新鮮にピュアな気持ちで受け入れられるようになった」。
今年は衣装はすぐに決まったんですが、ヘアスタイルは悩んだそうです。で、やっぱり「トコトンの杜けあき」さんとしてはスパッと切ってくれてました。リーゼントです。2回のショーの為に、ありがとうございます、かりんちょさん。
昨年大好評だったからと宝塚での再演「メドレー 祭りのあと…天守に花匂い立つ…デイジー…アウトロー・ブルース」はもちろんセリフ入りで客席に。客席のえびらかおるさんやバンドの方達との楽しいトークも。
イントロを聴けば解ってもらえる曲ということで「花に散り 雪に散り」。宝塚でのサヨナラパーティーはディナーショーの会場となった部屋だったんですね。続いて「イ・オ・アーモ」
そして本当にアッという間に最後の曲の紹介。宝塚に帰ったら、やはりこの曲ははずせないと言うことで「That's Life」。もちろん男役バージョンです。続いて「To All The Girls I've Loved Befor」。これってサヨナラショーの時の曲順ですね。
熱いアンコールの拍手に答えて今年のショーでは「時代」を選んでくれました。昨年のショーが終わった瞬間に「1999年の締めは『時代』だな」と決めていたそうです。そして「私ってなんてセンスいいんだろうと感動したの」というとこで客席から大拍手。「まだ終わってないのよ〜。ところがCMなんかでたくさん『時代』が流れてて、誰でも考えることは一緒なのね、とガッカリしたの」と、客席を笑わせました。かりんちょさんの『時代』を聴くのはドラマを含めて3度目ですけど、今回はゆったりとタップリと聴く事が出来ました。
アンコールはドレスではなく、前のコーナーの衣装の上にキラキラした素材のコート風のものを羽織っていました。肩には黒い羽根のストール。衣装を決めるとき「最後は羽根よね」とスタッフに言ったら、大劇場で背負う羽根だとスタッフは思いこんだそうです。「そんなの背負ったら一生言われる」(^_^;)
鳴り止まない拍手に再度登場の杜さん。バンドの方達に、もう出なくて良いですよと手で合図してましたが、皆さん出てきてしまって(^_^)v「今日はたっぷり歌ったつもりだったのですが、これで何もしないで引っ込んだらカッコつかないですね」と笑いながら、「That's Life」をもう1度歌ってくれました。!(^^)!

感激日記
ディナー・ショーは杜さんのものに限らず初体験だった。どんな格好で行けばいいんだろうという初歩的なところから始まって、興味津々で出かけた。宝塚ホテルは大阪市内のホテルとは違って閑静。インテリアも女性好みのホテルだった。6階の会場に行ってみると皆さん慣れてらっしゃる様で落ち着いた雰囲気。実際、会場内もアットホームな雰囲気で、初めて参加した私も緊張感なくリラックス。

「愛の讃歌」を歌いながら登場した杜さんの綺麗なことったら、あなた、綺麗で、そして可愛い可憐です(^_-)。
しっとりとした大人の歌、小粋なパリジェンヌの陽気な歌。芝居心のある杜さんにこそシャンソンを歌って欲しいと常々思っていたので、今回のディナー・ショーの企画は本当に楽しみだった。メドレーも細切れではなくたっぷり歌ったので、その点も良かったと思う。曲数が多いばかりのメドレーは私は好きじゃないのよね(また出ましたね、セロリの好きじゃないもの…笑)。このメドレーの時の振りが何気ないけど粋。こういうところ、かりんちょさん流石だな、といつも思う。身のこなしが洗練されてる。こういうのって、訓練もあるでしょうけど、持って生まれたセンスでしょうか。うらやましい。
「愛の砂」は初めて聴いた曲だけど、とても好きになった。杜さんの歌と語りで、冬の海の情景が目に浮かんだ。潮風や海鳴りの音が聞こえるようで原曲も聴いてみたいと思った。
そして大根役者」は私にとって今回のディナー・ショーの白眉の曲。「お世辞も言えず正直なだけ…だから私はこの人生の大根役者」(ちょっと違ってるかも)という歌詞で、思わず胸が熱くなった。歌詞のとおり、あまりに「正直」で、器用そうに見えて実は「不器用」な人なのかも知れない。が、退団後7年たった今、女優としての自信と自負と、今後への強い決意が込められた歌だった。なんか、ここまでストレートに決意表明されちゃうと、まいったなぁという感じで、圧倒されました。ファンとしても杜さんの退団後の道のりを改めて思うと感慨深かったです。

宝塚コーナーでは杜さんにスポットが当たった途端、客席がどよめきました(笑)。今年は去年みたいにバリバリの男役はしない、というのが杜さんの事前の話として伝わってましたから。
男役見せて下さって、ありがとうございました!!
 これは声を大にして言いたい(笑)。どの曲もイントロ3秒でバッチリと言うほど頭に入っていて、しかも好きな曲ばかりだったんですね。「ゆき、おっ母さんと喧嘩でもしたのか、それじゃ俺と仲よくしよう」なんて言ってるし。その上、どうしようというくらい大好きな「アウトロー・ブルース」は聴けちゃうし。
よく知っている曲ばかりですけど、よくよく考えたら、私は杜さんの男役を生で見るのは初めてだったんです。退団後のファンだから当たり前なんですけど、自分でも錯覚してしまうほど、ビデオとか繰り替えし見て、聴いてたんですね。去年のディナー・ショーを見た方が、すぐにでも男役で大劇場にたてる、しかもすごく若々しくって、まっ白な王子様のようだと言ってました。セロリにも是非見せたかったって(T_T)。今年は私もそう思っちゃいました。
やっぱり1度きっちり身に付けたものというのはスゴイです。
今回の曲のうち「誇り高き愛の詩」「妖花」「祭りのあと」はテレビ放映されなかったため、映像が残っていないので、そういう点でも今回のショーで見られたことは嬉しかった。
宝塚の曲について、「これほど人に夢を与えたり元気づけたりする歌は、今はなかなか無い」というようなことをおっしゃってました。私も杜さんファンになって宝塚を少し見るようになって(杜さん中心だから範囲は狭いですが)、良い曲がたくさんあることに驚いたんですよ。これからはとっても自然に宝塚時代の歌も歌ってくれそうなので、今年ディナー・ショーに行けなかった方も、楽しみにしてて良いと思います。

今回は最初の「愛の讃歌」から再アンコールの「That's Life」まで、すべて杜さんの地声で歌える曲ばかりだったと思います。低音のゆったり豊かな感じがとても良かったです。やはり杜さんの低音は魅力的だなぁと思いました。とはいってもシャンソンの部分は男役の低音とは違いますよ。ここ、言っておかないとね。
そして上にも書いたんですけど、もう1つの杜さんの魅力というのは芝居心があること。とってもハートのある歌だと言うことです。私の好みとしてきれいな声の歌より、感動を与えてくれる歌が好きなんですね。例えばクラッシックの一流の歌手の歌でも、私はよい声だと思うだけで、感動は出来ない体質なんです。アンドレにひかれたのも杜さんの歌に心を揺さぶられたから。そういう点でも今回はとても質の高いショーだと思いました。「時代」なんてとっても励まされた気がしたんです。「いろんな事がお互いにあるけど、時が癒してくれるよ。頑張ろうね」って。
当たり前のことなんでしょうけど、16曲すべて、密度の高い歌唱でした。2度目の「That's Life」は1回目の歌とはまた違った感情が込められていて、とても感動的でした。日本人は感情を表に出すのが下手だと言われ続けています。プロの歌手の方でも、なかなか感動させる歌を聴かせてくれる人がいない様に思うんです。そういう意味でも杜さんというのは希有な才能ですよね。やっぱり、この人に出会えてラッキーだなぁと思えたのでした。

気が早いですが、来年への要望として(笑)、1曲くらいは高音の曲も入れていただけると嬉しいですね。
おいおい、いま上に低音が素晴らしかったと書いたばかりじゃないのとつっこまれそうなんですが、杜さんの響きのある高音も大好きなんですよ。高音はまだ確かに苦労されている部分があると思うんですが、高音部の上がりきったところの響きなんて、とってもステキですから。「ライフ2」の「YOU & I」のラストのとこなんて、とってもよかったでしたでしょ? ああいうのまた是非聴かせて欲しいですね。

と、ここまで書いてきたけど、実は感激日記を書こうとして今回は本当に困ってしまったんです。杜さんのシャンソンも男役もとってもステキだったし、堪能したんだけど、どこか自分の中で現実感がない。バーチャル・リアリティの世界にはまってしまってたというか…。確かに1999年12月21日午後8時、宝塚ホテル宝寿の間に杜さんも私もいて、ステキな1時間20分を共有していたわけなんですけど。あのショーが終わった瞬間から、あれは「夢」「幻」だったような印象があって。冷静に、ゆったりと過ごしたつもりの時間、実はそうでもなかったのかも知れない。やはり、見たいけどもう見られないものと自分で整理を付けていたつもりの「男役」とか、刺激が強すぎたのかなぁ(笑)。
こうなったら来年もディナーショーに参加して、現実の世界としてどっぷり浸らせて頂くしかないでしょう。


舞台歴に戻る  観劇日記に戻る  迷いの杜のトップへ