観劇日記
| ミュージカル 風と共に去りぬ 2001年7月 東京・帝国劇場 脚本・堀越 真 演出・山田和也 音楽・佐橋俊彦 作詩・秋元康 振付・上島雪夫 衣装・緒方規矩子 キャスト スカーレット/大地真央 レット・バトラー/山口祐一郎 メラニー/杜けあき アシュレ/今井清隆 ベル・ワトリング/寿ひずる マミー/花山佳子 ピティパット/木村有里 ミード博士/沢木順 フランク・ケネディ/藤堂新二 チャールズ・ハミルトン/安崎求 ジェラルド・オハラ/林アキラ エルシング夫人/冨田恵子 メリーウェザー夫人/大橋芳枝 プリシー/植田チコ あらすじ<>内はミュージカル・ナンバー 1幕 <赤き大地よ>ジェラルド・オハラの農園タラの平穏な日々。 園遊会の朝、オハラ家のスカーレットは愛するアシュレとメラニーの婚約を マミーに知らされる。<マグノリア> 華のような美貌のスカーレットは南部の青年達の人気の的だった。が、園遊会の南部の青年達は北部との戦争の話題で湧いていた。高揚した青年達に一人冷めた言葉で南部の不利を突きつける男がいた。レット・バトラーだった。<葉巻き> スカーレットはアシュレに愛を告白するがアシュレは自分とよく似たおだやかなメラニーとの結婚が自分にとって幸せだと拒絶する。そんなアシュレをスカーレットは「卑怯者!」と罵る。そこに偶然居合わせたのはバトラーだった。 ついに北部との戦争が始まったと知らせが入る。<南部の旗の下に> 「戦争が終わるまで式はおあづけね」と言うメラニーにアシュレは直ぐに結婚式を挙げようと告げる。決して変わらぬ愛を誓う2人。<永遠>そんな2人の睦まじい姿にスカーレットはメラニーの兄・チャールズと衝動的に結婚してしまう。 数日だけの結婚生活で出征したチャールズはあっけなく戦病死する。悲しみを分かち合おうとメラニーはアトランタの家にスカーレットを迎え入れる。しかし奔放なスカーレットの行動はアトランタの上流夫人達には眉をひそめられている。そんなスカーレットをかばうのはいつもメラニーだった。 南軍のための慈善パーティーで喪中のスカーレットをダンスパートナーに大金で競り落とした男がいた。レットバトラーだった。不作法なバトラーに反撥しながら2人はお互いが似たもの同士であると感じていた。<心のかたち> 出征から2年たち、厳しい戦況に音信も途絶えがちなアシュレを思うメラニー。<花は枯れても>メラニーの不安をレットが慰める。レットはバザー以来スカーレットを訪ねるようになり、美しいパリ土産の帽子でスカーレットの気をひこうとやってきたのだった。 そこへようやくアシュレの手紙が届く。「アシュレがクリスマス休暇に帰って来る!」<あの人が帰ってくる> 幸せなクリスマスの準備。<歓び溢れるクリスマス−永遠−あの人が帰ってくる> 久しぶりの再会にアシュレとメラニーはお互いへの思いで一杯だった。スカーレットは再び戦場に向かうアシュレに愛を告げるがアシュレーはメラニーの面倒を見て欲しいとスカーレットに託して出ていく。 ミード博士の下で身重のメラニーと共にスカーレットは負傷者の手当をしていた。<南部の旗の下に>次々と運ばれる負傷者にスカーレットの我慢も限界に達する。そんな時メラニーは倒れ、スカーレットが子どもを取り上げるはめになる。どうにか無事出産したもののアトランタを脱出しタラに帰る手だては無かった。スカーレットはベル・ワトリングの娼館に入り浸るレットに助けを求める。<ようこそ>スカーレットたちはどうにかボロ馬車を手に入れたレットに助けられ、炎上するアトランタから逃げ落ちる。タラへ向かう道程で、南軍に志願する決意をしたレットはスカーレットに銃を渡して去ってしまう。馬車を奪おうとした男をその銃で撃ち殺し、スカーレットは懐かしいタラに父と母を求めて帰っていく。<家はどこ?> 2幕 敗戦後のタラでスカーレットはアシュレ一家と共に苦しい生活をしている。追い打ちをかけるように多額の税金がタラに課せらる。妹たちはタラを売ろうと提案するがスカーレットには手放すことは出来ない。<女は降伏しない> アシュレに苦境をうち明けるが今のアシュレにはどうする力もない。南部ではレット・バトラーだけが金を持っていると知ったスカーレットはカーテンで豪華なドレスを造り獄中のレットを訪ねる決心をする。<女は降伏しない・リプライズ> レットを訪ねたものの獄中ではレットも金の工面をすることは出来ない。金策に失敗したスカーレットは偶然会った妹の婚約者フランク・ケネディが商売に成功していることを知ると、彼の金目当てに2度目の結婚をしてしまう。 スカーレットの才覚でフランクの店は繁盛し、製材所ま手に入れる。が、町はずれの製材所に一人出かけたスカーレットを暴漢が襲い、敵討ちに出かけたフランクが殺されてしまう。 再び未亡人となり、フランクの死に罪を感じるスカーレットをレットが慰め、「本当の男」と結婚して見ろとプロポーズする。<心のかたち・リプライズ> 豪華客船での優雅な新婚旅行。<もうすぐ船は出てく>旅を心から楽しむスカーレットとレット。スカーレットの妊娠を知り、レットはアトランタに子供を産み育てる屋敷を造ろうと決心する。<どこにいても> 2人の愛娘ボーニーの3才の誕生日。レットはポニーのために社交界の人々にとけ込もうと考えるが、スカーレットはそんなレットに不満を感じている。スカーレットは居合わせたアシュレとつかの間、昔の思い出話に浸り、思わず抱き合う。<しあわせに1番近い場所>そんな2人を町のうるさ方の夫人達が目撃する。それを知ったレットは激怒し家を出ていく。 寝付いたスカーレットを訪ねたメラニーは帰宅したレットに出会う。メラニーはポニーの元気な姿に目を細めるレットに2人目の子どもを身ごもった歓びをうち明ける。2度と出産しては行けないと止められているメラニーをレットは気遣う。<子供だった時間> もう1度やり直そうと話し合うレットとスカーレット。だが突然ポニーが落馬して死んでしまう。<天使よ>2人はお互いの罪を罵り合うことしかできずレットはベルの店で酔いつぶれている。 そんなレットにベルはメラニーが危篤だと告げる。<掌> メラニーは死の床でアシュレと子どもをスカーレットに託す。死の時になってようやく自分にとってメラニーが大きな存在であったことをスカーレットは思い知らされる。アシュレに救いを求めるが、アシュレにとってメラニーこそが生きる支えであり、その支えを失ったアシュレの姿にスカーレットは呆然とする。自分が本当に愛したのはアシュレではなかった…。<家はどこ?・リプライズ> レットの姿を求めて帰った家で、スカーレットはレットに本当に愛しているのはレットだと告げるが、レットは別れの決意をしていた。レットを取り戻す術を考えようとするが何も考えられないスカーレットはタラに戻る。全てをタラで考えるために。 感激日記) (7/21・22−8/14) 久しぶりの杜さんの洋物ミュージカル、しかも大作『風と共に去りぬ』と言うことで非常に楽しみにしていた。映画やタカラヅカ版(バトラー編)と比べると、かなり違った印象の『風共』だが、杜さんファンとしては楽しい舞台だった…と言っても良いかな。楽しい舞台というか、美味しい舞台…でした(笑)。 先ず作品としてサラッと。 『東宝ミュージカル・風と共に去りぬ』を見終わったとき思ったのは『タカラヅカ版(バトラー編)』は長編のエッセンスを上手くまとめていたんだな、と言うこと。楽しみにしていただけに最初の感想としては残念。 プロダクション・ノートに寄れば今回の『風共』は「スカーレットとレットの出逢いと別れをちゃんと描いたメロドラマ」として位置づけてあるらしい。う〜ん、観客として言わせて貰えば『風共』にそんなもの求めてるかな? マーガレット・ミッチェルは第1次大戦後のフラッパーの自分と南北戦争当時の南部の古い社会と相容れないスカーレットの価値観とをオーバーラップさせて、時代の転換点で力強く生きた女性を描きたかったのだと思う。アトランタ炎上場面など迫力はあるにしても今回の『風共』では時代や家族・タラへの思い等スカーレットのバックボーンがきちんと描かれていないため、スカーレットの人物像が薄っぺらな印象。「メロドラマ」を作るのなら『風共』でなくても良かったんじゃないのかな。「風と共に去りぬ」という原作をはずして見ればそれなりに楽しめる舞台だったかも知れないが、それは『ミュージカル・風と共に去りぬ』と銘打っている以上は変。やはり『風と共に去りぬ』は大河ドラマとして作って欲しかった。 1幕はかなりスピーディな進み。2幕は逆にこの場面にこんなに時間をとらなくてもと思う場面が。 私はド素人なんでどこまでが脚本の責任でどこからが演出の責任なのかよく分からない。が、やはり脚本の問題は大きい。脇の重要なキャストのエピソード、例えばベルの寄付の話をカットしたため役の存在意味が希薄になっている。スカーレットが強盗を撃ち殺す場面も助けに出たメラニーの姿に初めてスカーレットがメラニーという人間を認める重要な場面。どちらもメラニーがらみですが(笑)。杜さんファンだからと言うのではなく、マジで捨てるべき場面、残すべき場面が違うのではないかと思う。その割に新婚旅行やポニーの誕生日の場面が長々と続く。そのあたりを刈り込んでスカーレットとアシュレの「不倫疑惑発覚」(笑)のシーンでスカーレット・レット・メラニー・アシュレの4重唱でも入れてくれたらミュージカル的な盛り上がりが出たのにと思う。 新解釈の『風共』らしいけれど、映画や宝塚でよく知られた場面をカットすることが新解釈? スカーレットがバトラーの家出(?)を気に病んで病気になったり、何か変です。登場人物の関係が正しく捉えられてない感じ。 評価したいのはメラニーの存在感がかなりあるところ。今回の舞台はメラニーが狂言回し的な役割も担っている為かも知れないが。原作のメラニーはスカーレット・レット・アシュレのバランスを取っていただけでなく、敗戦後の南部の精神的支柱と成る大きな存在として描かれている。この点に関しては私はタカラヅカの『風共』には不満を感じていた。『風共』は本来、スカーレットとメラニーという正反対の生き方をした女性の物語であるのに(レットもアシュレもそう言う意味では脇役だと思った)、スカーレット2という存在を創り出すことによって、メラニーを完全に脇役にしてしまっていたから。 とは言っても、とにかく再演の可能性があるなら、脚本家には是非とも5回目の「風共」読破をしていただいて脚本を練り直して欲しいと思う。 演出は必ずしも嫌いじゃない。舞台転換を舞台の前方から後方へいくつかのブロックに分けてスライドさせる手法は面白いと思った。装置も広い帝劇の舞台を上手く埋めていた。スカーレットと結婚して意気揚々と戦地に向かいあっけなく死んでしまうチャールズの描き方など、お気の毒な話ながら笑った。ただ新婚旅行の場面はやっぱりチョット〜でしたね。ラブラブの2人が船首で「タイタニックごっこ」でもするんじゃないかと思っちまいました(笑)。それと音楽の入れ方が偏ってません? 1・2幕とも何曲かまとめて歌が続いて、幕切れはスカーレットのセリフ。セリフで終わるとミュージカルとしての印象が薄れる。スカーレットのナンバーも歌い上げてポーズで終わり、ここで拍手みたいなのが多い。あまりこれやられると芝居の流れが途切れてしまう。 音楽・作詞。メラニーの曲は良いなと思うんですよ。他のも1つずつはそれなりに綺麗だと思う。でも1つの『風と共に去りぬ』という作品としてみた時、これ!というのがない感じ。『女は降伏しない』がウーマンリブの女闘士の歌みたい。今回のスカーレットはそう言うキャラなんだろか。 振付、有名な方なんですよね。「迷宮伝説」もこの方だったかな?今回は印象に残らないと言うか…。「女は降伏しない」とか感心しない。 衣装は好き。スカーレットは華やかで大地さんによく似合う。同じくらいメラニーの衣装も良かった。勿論メラニーだから大人しいけど。グレーやブルーを基調にして比較的シンプルなデザインで上品。自分で着るなら(笑)メラニーのドレス。アシュレのも最初のパーティのは良かったんですが、軍服はちょっと考えてあげた方が。ウエストの切り替えや、サッシュ(ヒモって言ってましたが(笑))結んだりするのはバランスの良い位置でないとお腹が目立つ。 作品については以上。どこがサラッとやねんという感じですが(笑)。 杜さん以外の出演者についてサラッと(笑)。 スカーレット・オハラの大地真央さん。大地さんの舞台は7・8年前の『マイ・フェア・レデイ』が初見。その後『クレオパトラ』『ローマの休日』と見て4作目。『マイ・フェア・レディ』の時はとにかく綺麗で「大地真央を見た」という感慨があった。今回のスカーレットも相変わらず華のある舞台姿で熱演。歌も『マイ・フェア・レデイ』の時に比べて地声の強さが出て努力の跡がうかがえる。だが大地さんの突き抜ける発声とシャキシャキした歌唱法はデュエットには向かないし「若さ」を表現しようとした歌唱が「幼さ」に聞こえる。『心のかたち』の山口さんの良い意味で少し軽い遊びのある歌唱が、デュエットになると真央さんのシャキシャキにムードが消されてしまう。これは勿体ない。 演技的にはスカーレットがフランク・ケネディをたらし込む(笑)場面など、コメディエンヌの片鱗を見せるところはさすがに魅力的。全般的にスカーレットがそれ程愚かな女には見えない。 最後に杜さんをはじめ大地さんファンの方ごめんなさい。実はセリフフェチのセロリは大地さん独特のセリフ回しがどうも苦手。物語に入り込めない感じがする。大地さんはとても魅力のあるスターだと思うけれど…。 レット・バトラーの山口祐一郎さん。宝塚の男役出身(女優としては長身)のミュージカル女優が多いからこのルックスと歌唱力が重宝されるのも分かる。なんかフワフワしたレットでしたが(笑)。ゲーブルのイメージが強い役だが、山口さんが演じる以上は山口祐一郎のレットで役作りをすることは間違いではないと思う。スカーレットとは喧嘩友だち、メラニーにはとても優しいレット。でもね、レットとスカーレットは15才位は年が違い、曲折のある人生経験もしていた。出会ったときから大人の男だったわけで、そういう男の厚みとか年輪を感じさせてくれないと、と思った。歌は流石です。今回分かったのは歌い上げるだけではなく表現力もある人だという事。杜さんとのデュエットも聴いてみたい、なんて思ったりして…。 アシュレ・ウィルクスの今井清隆さん。今井さんは今回初見。今井さんも歌良いですね。杜さんとのデュエット聞き応えありました。原作の貴族的なイメージとは違うが、セリフも2枚目の声で優しくソフト。メラニーさんとはもうラブラブ。何でスカーレットがアシュレをメラニーから奪えると勘違いしたのか分かりません(笑)。これは今井さんの責任と言うより脚本と演出の問題でしょうが。で、注文付ければ少しスリムに登場していただきたかった。ルックスだけに2人が惚れたわけじゃないでしょうが、あれほどの熱愛を納得させていただきたい(笑)。8月の観劇では少し痩せられていたようですが、開幕前の体型造りも仕事の内では? レットとアシュレは反対のキャストでも見てみたかった、と思った。 ベルの寿ひづるさん、寄付の場面がカットになってしまってすごく残念。大人の訳知りの温かな女性という感じがとても好きです。もっと歌って欲しかった。 プリシーの植田チコさん。初見ですが、達者で可愛い人です。他の作品も見たくなりました。 マミーは『天使よ』の歌は素敵でしたが少し母性的な温かさが欲しかったかな?脇の他の主要キャストは良い感じ。ベルの店の女の子達は、日本人でした(笑)。 メラニーの杜けあきさん。久しぶりの帝劇、そして洋物ミュージカル。楽しみだった。事前にメラニーの衣装は地味との情報が流れ、幕が開けばなんて品が良くて素敵なの〜のドレスの数々。それだけで、良かったと安堵したお馬鹿なファンのセロリ(爆)。「あなたの肩に天使が留まっていますよ…」とレットに言わしめた、たおやかで優しく芯のしっかりしたメラニー。初めての輪っかのドレスもさりげなく着こなている。 園遊会の場面はロイヤルブルーの光沢のある素材のドレス。襟とカフスが純白のレースでウエストは淡いブルーのリボンでアクセント。アシュレとは高尚な趣味の落ち着いた恋人同士だが、『永遠』なんてもうラブラブ(笑)。7月は2回観劇してどちらも上手端の席。音響のためかも知れないがデュエットがアシュレの朗々とした声にかき消されがち。8月はセンター付近の席だったので2人の声がバランス良く最高。出征中のアシュレを思って歌う『花は枯れても』のソロは悲しみの中にも時を耐えて待とうという静かな決意の歌。クリスマス準備の場面のリプライズは歓びに溢れている。 アシュレとの場面は少ないけれど無条件に手放しの愛。控えめな人だがアシュレに対しては静かな情熱を感じた。「一人では何も出来ない人…」とアシュレの本質を見極めながら熱愛し続ける…並の女性には出来ないことだと思う。 バザーの場面は黒いシンプルな喪服がよく似合って綺麗。スカーレットの行動に批判的な夫人達にいう「人の批判ばかりして勝手な人達」(正確じゃないよ、大体のニュアンス)の言い回しが、7月は『怒り』を感じたが8月には『悲しみ』に変わっていた。全体的に7月よりも8月の観劇時のメラニーがより控えめにやさしくさりげなくなっていた。 杜さんの背中の演技健在だと思ったのはクリスマス休暇のアシュレとの再会場面。焦がれるほど待っていたのに正面切って顔も見れない…というのが私には考えつかない演技だけれどすごくリアルにメラニーの感情が伝わる。また2幕の家を出ていたレットが帰宅してスカーレットが迎える場面。ここもメラニーは2人に背を向けて心配そうに様子をうかがっている。「お帰りなさい、レット…」のスカーレットの言葉に初めてホッとして、2人に向き合う。深いぞ…杜さん。 メラニーはスカーレットにはこれまた手放し。スカーレットの美しさや華やかさ、現実生活での才覚など、同性の全てをこんなに肯定的に捉えて素直に素敵だと言える女性っているのかな?と我が身に置き換えて思う(笑)。 メラニーで好きだなと思ったのは意外にもレットとの場面が多い。レットに対してはアシュレから手紙も届かない不安だとか、2人目の子供を授かった歓びだとか、すごく素直に話す。メラニーも強いばかりの人ではないって感じ。レットもメラニーにはとても優しい。特に好きなのは『子どもだった時間』。白地にブルーの小花柄のドレスに身を包み(このドレスが1番好き!)バトラー邸の大階段から下りてくるメラニーがやわらかな光に包まれて輝いていた。2人目の子どもを授かった幸せに溢れてマドンナ(聖母)のようだった。ここも7月は普通だったけど、8月は少し身体が辛そうで後のメラニーの死を予感させるように変わっている。『子どもだった時間は』は『癒しの杜』の本領発揮の優しい歌声。短い曲だけれど(再演では絶対フルに戻してね!)劇場全体を包み込んだ…と言う気がした。 ミュージカルの舞台に立つ俳優であれば当たり前のことだけれど、セリフから歌へがとてもスムーズ。その瞬間だけでなく私にとって杜さんのセリフはとても心地よいリズムで流れていく。『セリフは歌うように、歌は語るように』という言葉がある。杜さんはそう言う演技をする人だと今回改めて感じた。 杜さんは宝塚退団後ミュージカル一直線という道を進まなかった。杜さんの歌声を愛するファンとしてはもっとミュージカルを…の思いの募った年月だったと思う。しかし、この年月が杜さんの歌声や演技を女優として不安のないものに醸成していたことを改めて確認できた公演だった。洋物ミュージカルには久しぶりの登場だったけれどブランクを感じさせなかったことが嬉しく、今後もこういう舞台に立つ機会が増えてくれたらと思う。 |