悠久ロワイヤルプロローグ


絶海の孤島に建てられた巨大なホール。

ここから、史上最悪のサバイバル・ゲームの幕が今、開かれようとしていた。

「いいかガキども! 今から貴様らには殺し合いをしてもらう」

 悠久学園の数学教師、そしてミッション授業の管理人、ランディ・ウェストウッドはそう宣言した。

 突然発せられたその言葉を殆どの人間が理解できなかった。

 しかしただ一人だけ叫んだ者がいた。

06番、マリア・ショート。

「ちょっと、何でマリアがそんなことしなくちゃならないのよ!?」

 

 ドシュッ!

 

 ランディが手に持っていたボウガンから渇いた音が響く。

 言葉を続けることなく、マリアはその場に崩れ落ちた。

 ホールの床が赤く染まる。

 常に行動的なその性格が仇となり、マリアは早くもゲームから脱落した。

「説明は最後まで聞け。残り少ない命の時間が更に減る事になるからな」

 ホール内を緊張が走り抜けた。

「ルールは簡単。ただこの孤島の中で殺し合いをするだけだ。

 最後に残った人間だけが、唯一助かることができる。

 脱出しようなんて考えるな。

 船は用意されてないから無駄だ。

 これから読み上げた順に、鞄を持ってホールを出てもらう。

 鞄の中には食料、水、島の地図、それに武器が入ってる。

 武器には当たり外れがあるから、使えないのに当たったら運の悪さを恨むんだな。

 尚、俺に刃向かったら即刻殺す。

 戦闘のプロである俺に勝てると思わない方がいいぞ。

 何か質問はあるか?」

 静かに手を上げる者がいた。

 23番、エル・ルイスである。

「ちょっといいかい?」

「なんだ?」

「エル!」

 11番、トリーシャ・フォスターが隣で声を上げる。

 エルは「大丈夫」と目で言い、ランディに訊ねた。

「何の為にこんなことをするんだ? どうして私達が選ばれたんだ?」

「何の為? 金持ちの道楽さ。深い意味はない。選ばれたのも、ミッション授業と同じ、コンピューターが

勝手にはじき出しただけだ」

「…フン、そうかい」

 ランディを睨みつつ、席に座る。

「それじゃあ、ゲームスタートだ。せいぜい楽しませてくれよ!」

 

 

 

06番、マリア・ショート 脱落

 

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