花束を君に〜１４話トリーシャ編？
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「そ、そういうことだったのか〜」
さくら亭での遅い昼食の後、コージとトリーシャは『陽のあたる丘公園』の大きな木の下でのんびりとしていた。
クレアはジョートショップの手伝い、ディアーナは病院の仕事の為にクラウド医院に戻っていた。
「ご馳走様、コージさん♪」
最初からディアーナの計画通りだったらしい。
『コージさんを許す代りにご飯を奢って貰うつもりなのでトリーシャちゃんとクレアちゃんも付き合ってくださいね』
（酷いやディアーナ…ラ・ルナで１人分奢った方が安かったじゃないか）
「ねえコージさん？ それであの事件の事はどうなったの？」
トリーシャが言っている事件とは当然ロビンが計画したエンフィールド襲撃計画についてであった。
「…そうだな、トリーシャも無関係じゃないし、話せる所までは話すよ」
コージはトリーシャに事件の事について話し始めた。
「そう…ロビンさん再審請求で刑が軽くなるといいね」
「ああ、でもトリーシャは平気？」
「ボク？ どうして？」
トリーシャが不思議そうな顔で首をかしげた。
「一応拉致監禁されて人質にされてたわけだし…」
「うわっ！ なんだかそう聞くと大事件みたいだね」
（大事件だったんだけど…）
「でも何かされたわけじゃないし、ミス大武闘大会も楽しかったし。それにロビンさんて本当は良い人なんでしょ？」
「…ああ」
コージははっきりと首を縦に振った。
「うん、だったらボクはそれでいいって思うんだ」
コージにはトリーシャの笑顔がとても眩しく感じられた。
「ありがとうトリーシャ」
「エヘヘ、それよりコージさんは残念だったね、事件のせいで優勝賞金貰えなかったんでしょう？」
「…あ、うん。でも元々優勝できると思ってなかったしね」
嘘であった。ロビンは優勝賞金を用意していたのだ。
おそらくスポンサーとして大武闘会運営会社に信頼させる為必要だったのだろう。
コージはその賞金を全てロビン達の保釈金で使っていた。
「あ、あのね、コージさん、もう１つ賞品があったんだけど…いる？」
何故か下を向きながら頬を染めるトリーシャ。
「え？ なにかあったっけ？」
「（むか）いるの？ いらないの？」
「は、はい、いります」
トリーシャの突然の剣幕におされ思わず頷くコージ。
「じゃ、じゃあコージさん目を瞑って…」
「？ うん」
トリーシャの手がそっと肩に触れる。
（あ、これって…）
コージもトリーシャの意図に気付き、思わず唾を飲みこむ。
その事に気付いたトリーシャは「あっ」と言って１度とまった後、コージの肩に置いた手に力を入れる。
そして…
「…なにやってんだ、お前ら？」
「「！？」」
２人だけの世界に突然の侵入者！コージとトリーシャは思わず飛びずさってしまった。
「へ、ヘキサ！」
声のした方をみると膨れっ面をしたヘキサがコージ達を見下ろしていた。
「おいコージ！ 飯もつくらねーでなにトリーシャといちゃいちゃしてんだよ！ 俺はもう腹が減って死にそうなんだぞ！！」
「べ、別にいちゃついてなんか…」
「あ、それじゃあ今日は優勝のお祝いにボクの料理をご馳走するよ」
うろたえるコージとは裏腹にトリーシャは何事も無かったかのようにヘキサに笑いかけた。
「ほんとか？ それじゃあ今すぐトリーシャの家に行こうぜ」
ヘキサが嬉々としてトリーシャの腕を掴む。
「はいはい。まずは買物だけどね。コージさんもいつまでも座ってないで材料の荷物持ち手伝って」
トリーシャは立ちあがって歩き始めた。
「…女の子ってわからない」
「おいコージ、帰りはケーキで許してやるぞ」
スキップしながら公園を出るトリーシャを見つめながら呆然と呟くコージにヘキサは勝ち誇った表情で話し掛けた。
「は？ なんで俺がヘキサにケーキ買ってやらなきゃいけないんだ？」
「ほ〜、んじゃあトリーシャとキスしてたことみんなに言っていいんだな？」
「！？ お前見てたのか！！」
「…（ニヤリ）」
ヘキサは無言でトリーシャの元へ飛んで行く。
「…あんな弟嫌いだ」
結局ヘキサはコージの元に帰ってきた。主人に逆らった為カードに強制吸収されたヘキサカードをコージが引き取ったのだ。
主人に逆らい、魔法能力のほとんど全てをリセットされてしまった使い魔にもはや引き取り手は無いであろう。（コージ以外）
「でもなあ…」
主人に逆らった場合のペナルティーはカードの持ち主が決める。ロビンがヘキサにかけたペナルティーは
『魔法能力の初期値化』であった。これによってヘキサは現在魔法Ｌｖ１程度しか魔法が使えない。
ペナルティーはただそれだけだった。ヘキサ本人もペナルティーは『死』であると覚悟していたのだが。
「俺が主人だった頃から役にたつ魔法なんて使ったことないけどな」
そう、何も変わらない。
（もしかしたらロビンは…）
「コージさん！ 何やってるんだよ、おいてっちゃうよ〜」
公園の入り口でトリーシャとヘキサが手を振って待っていた。
「ああ、今いくよ…」
コージは立ちあがり歩き出す。
いつもと変わらない、
いや帰ってきた日常へ向かって…
―――２ヶ月後
「…ちっ、こんなことならさっさとやってりゃあよかったぜ」
全身黒づくめの男のつぶやき…
「わあっ！綺麗ね〜、それ何でも屋の彼氏からのプレゼント？」
「ち、違うわよ、そんな、彼氏だなんて…」
真っ赤になりながら否定する黒髪の少女…
そして…
次回：最終話『セロ』
あとがき
そうですか、トリーシャが好きですか（笑）
後少し！！とりあえず当初予定の「全キャラに見せ場」と「エンフィールドワールドにきっちりとした決着を！」
ってゆう目標はやります。ＳＳでこーゆうやり方はどうかな？って思ったんだけど
一応（おい！）トリーシャとクレアをヒロインで！と言った以上これくらいの贔屓は・・・
最終話、はたして誰に花束を？ってことで。１２個くらい分岐したりして（苦笑：笑えません）