破壊魔定光 著者:中平正彦
正直な話、今、現在(2002年3月)で最も面白いと思える漫画がこの「破壊魔定光」
ウルトラジャンプに連載されているので、週間少年ジャンプにも時々予告がでるので名前位は聞いたことがあるのでは?
その基本となるストーリーは、
他惑星において重犯罪を犯し宇宙へと追放された二千万体の「流刑体」
その全てが地球に流れ着く、
その「流刑体」の回収を義務とするデータ生命「随行体」
しかし、その「随行体」は、主人公「椿 定光」の知人を助けるために
そのボディである「ユマノイドデバイス」を失ってしまう、
知人を助けてもらった恩から「椿
定光」は「随行体」と共に、「流刑体」の回収を始める…
というものなのだが、最初の方(コミックでいえば第一巻まで)は、
その基本ストーリーからもわかるように、
主人公「椿
定光」が、「随行体」の力で変身し「流刑体」と闘うという単純な変身ヒーローバトル漫画なのだが、
第7話「破岩」のあたり(コミックでいえば第二巻)から
SF色がグッと強くなり物語自体が飛躍的に面白くなる。
ただ、その辺りから、ある程度の理系知識がないと非常に理解しにくい内容の漫画になってしまうのも事実である。
そして、TFP(タイム・フラグメンテーション・プロジェクト)※1、
ペーネミュンデ計画※2などのファクターが入ってきだすと、
奥の深い物語、キャラクターの魅力、先の読めない展開、迫力のあるバトルシーン、
全てにおいてまさに傑作と呼ぶに相応しい内容である。
そして現在(2002年3月)も連載において、そのパワーは衰えることなく持続している。
ちなみにアニメ化もされているが、アニメ版の方は、基本設定こそは用いられているものの、
TFP(タイム・フラグメンテーション・プロジェクト)、平行宇宙論、ペーネミュンデ計画、シュレーディンガーの猫等の、
この作品で最も面白いといえる部位の全てをバッサリと切り捨てるという暴挙大胆なアレンジがなされている。
その結果、当然ではあるが、原作ファンには、すこぶる評判が悪いようである。
この作品にかぎったことではないのですが、原作とは全く異なった視点でなどと戯言をのたまう人が、いらっしゃるようですが、そういう人達に私は問いたい
「なんのために、原作があるものをつかうのですか?」と………
確かに映像化しにくい内容のものや商業的な理由から、
しかたなく大幅なアレンジをする場合もあるようですが、
すくなくとも、原作を完全無視して独自路線を突っ走るのはやめてもらいたいものです。
それは、あまりにも原作に対して失礼ですから…
中には、“原作はつまらないが、アレンジして面白くしてやる”という意思が
ひしひしと感じられる、それこそ万死に値するものも極少数ですが存在しますし…だいたい、そういうのに限って、おもしろくないですし…
話が、それてしまいましたので、漫画の方に話を戻します、
今、現在、非常に数の少なくなってしまったSFを堪能したい人、
派手なバトルシーンを楽しみたい人(「学園帝国 俺はジュウベイ」などが好きだった人には特にオススメ)、
「データ生命」「重力素子」「アクティブデバイス」「物理保護」…こういった単語に引かれるものがある人、
そんな方は、この「破壊魔定光」という漫画は、間違いなく買いです。
※1
TFP(タイム・フラグメンテーション・プロジェクト)
被験者の持つ時間(生涯)を分割し、相対的に時間の流れの違う平行宇宙を作り出し、
そのそれぞれの平行宇宙でおこる事象を比較することによって未来や過去を知ることを可能とする計画
※2
ペーネミュンデ計画
数多の超能力者や流刑体の肉体を組みあわせて無敵の超人(生体兵器)を作る計画
…破壊魔定光のキャラは、ロボット大戦にでれば最強クラスだろうな…
攻撃、防御、機体サイズ…どの面においても制限が殆どない上に極めてバランスが良いからな…