卵王子カイルロットの苦難



もうおいら的に最悪の作品。

読んでこれほど後悔した作品は他に無いくらい最悪。

ちなみにアニメ最悪はイデオン。

何が悪いかって言うと

「ここまでメッセージのない作品は読んだことがなかったから」

いや実は一つだけ強く受けたメッセージがある。

信じたくはないが

「自己犠牲のすばらしさ」

を賛美する為の作品だったら理解できる。

おいらのだいッ嫌いな言葉だけどね。

一応あらすじ、

カイルロット王子は世界を救う

犠牲になる為に生まれてきました。

一緒に冒険していた少女(ミランシャ)を

王子は好きになりましたが、

その女の子は実は人造人間で

王子を監視する為の人形でした。

彼女は死にました。

そんな事とは関係なく

世界は滅亡に近づいています。

王子は大好きなみんなの為に死にました。

世界は平和になりました。

おわり

違うとは言わせないぞ!

どうです?

作者は何がしたかったかさっぱりわからんでしょう。

おいらも田中久仁彦さんのイラスト目当てで

買ってたけど期待して最後まで読んだ。

友人が「つまらないよ、だいたいファンタジーにする

意味のない作品だし」実はその通りでこの作品

ファンタジーを舞台にする意味なんかないのだ。

現代を舞台にしても問題なく物語が作れる。

でもファンタジーはハッキリ言って

作者の思い一つでなんでもできるのだ。

実はそれに期待していた。

が、何も無い。何もなかったのだ!!

さてハッピーエンドである。

王子は死んだが魂は次の命につながり

新しい人生を始めた王子は幸せに暮らしている。

そして冒険の最中拾った赤ん坊は

ミランシャ(初代と何の関係もない)と名づけ、

王子と仲良く暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。

ふざけんな!

人生ってのはやり直しが効かないから

みんな一生懸命生きてるんだ

(個人的な考え方です。すみません)

生まれ変わって幸せになりゃ

今の人生捨てていいのか?

違うだろ。

だいたいミランシャなんて

やり直しもできてないじゃないか、

周りの人間の自己満足(作者の自己満足)だけじゃん。

この作品のおかげで一時期生まれ変わりとかゆー

設定を使う作品全てに嫌悪感を抱いてしまった。

誰かこの作品の真のテーマを教えて下さい。





 

タケル氏の感想

カイルロッドについて

何これ、「ファンタジーは作者の思い一つでなんとでもなる」?

これ酷すぎ

んなわけないでしょ

作者がどうにでもして良いような話が面白い訳無いでしょうが、

曲りなりにもSS書いた事あるなら分かる事でしょうが・・・・・・

後ね、カイルロッドの転生

人生やり直す?誰が?誰が人生やり直したの?

ちゃんとその後も読んで下さいよ・・・・・イルダーナフが

「王子ではあるが新しい命、良い事も悪い事も忘れてこれからまた学べば良い」って言ってたでしょうが

王子はね、人生をやり直してなんかいませんよ

この作品に限った事じゃありませんけど冴木 忍さんの作品の中で

「復活」は絶対の禁忌です

理由はたった1つ「自然の理に反するから」

ファンタジーはね、「なんでもできる」わけじゃないんです

我々の世界の法側とはまた違った法則の世界、

そこで法則が違うからこそ魔法やモンスターが住み、

そして法則が違うからこそ、我々の世界では

出来る事と出来ない事が違ってきているんです

その違う法則の中で、出来る事と出来ない事、

その制約の中で想像を膨らませ制約の中に当てはめてこそ

世界は世界として意味を成すんです。

制約の無い世界での物語りはつまらないの一言ですよ?

悠久みたいに

そうそう、この作品のテーマは「愛」です

(多分・・・いや、これしか無いでしょう)

どこに愛があるのか?

それは自分で探してください、

自分から理解しようとしない人に何を言っても無意味ですから

生きる事

誰だって生きていたいですよね

ネミッサは最後に主人公達といつまでもいたいと言いました。

でも彼女はマニトゥを救うために「死の歌」を歌います

彼女は自分の理解したものの為、愛する者の為に死を選びました

そんな彼女は理解できてカイルロッド王子は理解できませんか?

矛盾してます

生きる事が全てじゃありません

命を賭してもなさねばならない事

その為に死んだ彼等を冒涜しますか?

それなら貴方は人でなしだ

「死」と言う者を英雄的に見ろなんて事は言いません

でも否定しないでください

ただそれだけです

「どこかにいる誰かの笑顔の為に、戦って死ね!!」

2001.2.1(カキコミ)

ありがとうございました。

 

『「復活」と転生』

復活はダメだけど転生なら可なんですね。

解りました。

転生は「自然の理」に反しないんですね。

この解釈こそ

「ファンタジーは作者の思い一つでなんとでもなる」

作者の都合の良い解釈の一つと言えませんか?

その制約の世界を創ったのは作者でしょう?

その事を言っています。



あとまあ対した違いでも無いし、アレなんですけど

私は一言も「復活させろ!!」等と言っておりません。

誰もがポコポコ生きかえる物語なんて望んでないし

それこそ死を冒涜してますよね?

それがファンタジーだなんてことも言っておりません。

死を死であると捕えるのは当たり前の事だと思います。

ただ、それを転生という自己満足の(読み手へのサービスか?誤魔化しか?)

勝手な救いに逃げておいて復活は絶対の禁忌と言われるのは

とても腹立たしいし、誤魔化しの極致だと思いました。

ボクがファンタジーに望んだ奇跡は復活ではなく、

あがいて、あがいて、あがきぬいて・・・

「カイルロットが犠牲にならずともすむ救い」

それをファンタジーに求めたんです。

まあどっちもどっちだったんで復活と誤解されても別に

否定はしなかったですが。そして

世界の法則?とやらに当てはめて

犠牲になる為に生まれたカイルロットを結局

犠牲にして終ってしまった物語だからこそ

「自己犠牲のすばらしさ」を賛美する作品と

あえて言っていたんですね。

これが本音でした。でもまさかそんなことあるめえ?と思って

「真のテーマを教えて下さい」とお願いしておりました。



俺は大切な人が犠牲になって、それでも生きていこうとする物語だったら

全然文句言うつもりはありませんでした。

 

『人生やり直す?誰が?誰が人生やり直したの?

人生をやり直してなんかいませんよ』

「新しい人生を始めた王子は〜」

と最初に書いています。

1.新しい=今までのものと違って・始めてのものである。

2.人生=人間の生きている間。

3.「王子ではあるが新しい命」

上の3つを足せば間違ってないと思いますが?

その上で「人生ってのは〜」と書いています。

 

『命を賭してもなさねばならない事』

それをおこなった王子を僕は責めましたか?

『その為に死んだ彼等を冒涜しますか?』

僕は冒涜してますか?

(してる様にみえますね。すみません。僕は王子を冒涜

するつもりはありません。しいて言うなら作者です。)

 

んじゃあ「転生」って何だ!!

  みんなの為に(犠牲になって)死んだ。

転生した。

命って何だ!!

犠牲って何だ!!

転生ってなんだ!!

御褒美とでも言うのか!!

ミランシャは死んだぞ!!

まったく関係のない女のコに同じ名前付けたぞ?

それは何故?

愛って何だ?

死ななきゃ愛は語れないか!!

誰かが傷つかなきゃ語れない物語は

愛が詰まってるか?

素晴らしいか?

 

タケル氏がバカにした

悠久は誰か死んだか?

世界はガタガタだ!

シナリオも酷いのが多々ある!

でもね、誰も死んでないよ?

笑顔で終ってるよ?

(それが正しいとは言いませんが)

もう一度言います。転生って何だ?

 

というわけで作品のテーマの愛を探してみます。

 

おまけ

ファンタジー=空想。幻想。

空想=現実からかけ離れた、ありそうもないことを色々と想像すること。

幻想=根拠のない想像をすること。

 

『どこかにいる誰かの笑顔の為に、戦って死ね!!』

嫌です!!僕は善人ではないし、お国の為、天皇の為、

国民の為と言って死ねる日本兵士にはなれません。

 

「世界が滅亡する。1人が犠牲になれば1億人助かる」

あなたは犠牲にナレマスカ?

嫌々ながら1人の人間が犠牲になってあなたは救われました。

あなたはシアワセデスカ?

1人の善人がみんなの為に笑顔で犠牲になりました。

そんな世界滅んでしまえ!!

 

 

某ギャグマンガで宇宙人に

侵略されている地球。

宇宙人は1人の少女を気に入り、

「この子を犠牲に差し出せば侵略はヤメル」

と言いました。

みんなはその子1人が犠牲になって地球が

救われるなら良い事だ!

と少女を差し出す事にします。

心優しい少女は

「みんなが救われるなら…」

と泣く泣く犠牲になる事を決意します。

でもたった1人、彼女のお兄さんが

反対しました。

文句を言う人々全員に

お兄さんはこう言います。

 

「誰かを犠牲にしなければ助からない

世界なんて滅んだ方がマシだ!!」

 

 



それにしても凄いタイトルだよなぁ・・・

「卵から生まれた王子、カイルロットの苦しみ」だもんなぁ・・・

はなっから助ける気ないじゃん。

タイトルで読み取れなかった俺がバカなのかな?





浅桐静人さんの感想



カイルロッドのこと

(カイルロット、と、濁点がないのは意図的?……ではないことを祈る)

僕にとってはかなり好きな部類に入る作品なんで。

まー、単に「嫌いだ」とか「面白くなかった」とか言ってるんなら

無視するとこなんですが、分析して、メッセージ性求めて、哲学的な志向に

なってるわけで……。

 

『転生』

犠牲にならずとも生きていける人生を送って欲しい、との転生なわけです。

復活と転生の違いは、それまでの記憶があるかないかですかね。

もしカイルロッドが「世界の危機」という局面にいられずに済んだなら……

と、物語に「ここでは描かれない続き」を加える意味だったんじゃないかな。

読者側に、カイルロッドの未来の世界を思い描かせる。

 

『犠牲と死』

犠牲になる人(この場合カイルロッド)は、必ずしも不幸じゃないですよ。

命は助からないかもしれない、けれども守りたいものがある。

自分の身をなげうって大切なものを守ることができる。

それは幸せじゃないですか。

大切な人が犠牲になって、それでも生きた。

「それはつかの間のハッピーエンドに過ぎないんじゃない?」

「それでも、いずれは死ぬんだよ?」 っていう問題提起。

これが「じゃあ何のために生きるのさ?」っていう発展になります。

すっごく大きな事ですよ。

つかの間でも、ハッピーエンドには変わりはないですが。

何かを成し遂げて終わり、というのは好きです。

「生」は単なる機会。その機会に何かやってこその生ですから。

 

自発的な犠牲は素晴らしいことだと思います、

(しろと言った時点で自発的じゃないんで、しろとは絶対言いませんが)

が、他から強要された犠牲は醜いです。

無論、犠牲にせず済むのなら、しない道を選ぶほうが素晴らしいです。

醜い方の例を挙げれば、

先進国の人の飽くなき欲求を満たすために、自給自足の生活から

輸出用作物に変えられ、その場の生活を成り立たせるために多産少死に

なっていき、深刻な食糧不足に陥っている国の人々。

「誰かを犠牲にしなければ助からない世界なんて滅んだ方がマシだ!!」

助けるどころか、裕福な暮らしをさらに裕福にするために

誰かどころか、多くの人を犠牲にしてる世の中にいるんじゃないか。

ただ、このまま行くとホントに滅ぶでしょうけど。

……話がずれました。

 

『苦難』

苦難のない人生って不幸だと思いますよ。

そういう苦難に直面して、乗り越えようと努力する、

そうやって初めて掴み取る幸せ、そういうもんじゃないですかね。

不幸と幸福は隣り合わせ。裏を読まなきゃ。

 

『ファンタジーは作者の思い一つで〜』

ファンタジーに限らず、ノンフィクション以外ならある意味そうでしょう。

ただ、使う言語で表現できるものという制約だけ。

これをどうこう言ったって、建設的な内容にはならないです。

 

『真のメッセージ』

それはもう作者しか知らないです。

誰かが読んだ時点で、それが真(作者の意図したもの)かどうかは分からない。

小説ってものは本来そういうものなんです。

僕はこの作品からいろいろメッセージを受け取りましたが、

もしかしたら、それは作者の考えとは相反するものなのかもしれません。

 

『余談』

小説とかって、書く側と読む側で創り出す作品だと思うんですよ。

誰かが「つまらない、表面的だ」と言った作品を、

他の誰かが「すごく広い世界を内に秘めている」と評し、

当の作者は「そんな風に取られるとは思ってもみなかった」と言う。

そんなわけで、自分が何か書くときは、内容がその作品の中で

「閉じて」しまわないように注意しています。

それは、悪く言えば、中途半端な説明と終わり方なんでしょう。

作者が意図しないメッセージを読む。そして読ませる。

難しいけど、理想です。

2001.8.16(カキコミ)

ありがとうございました。




この後も浅桐静人さんとはメールで色々と議論しております。

僕的には得る物が多々ありました。

かな〜り長いので最初の感想だけですが(笑)

(会話形式なので全部掲載したらいったい:汗)

今回の感想掲載は浅桐静人さんから快く了承してもらってます。



真のテーマ…というか答えの1つに気付かせて頂いたのが大きかったです。

読んだ人間がどう受け取ったのか?どう感じたのか?

それが既に1つの答えなんですね。

(正直甘えておりました)



いいわけがましい後書きを書いていない時点で気付くべきでした。

潔い作者さん…ですね。



それに比べて某小説は内容についてもグタグタいい訳して本の薄さに

謝ったあとクドクドといいわけして更に薄い本を出すんだから(笑)

(誰!とは言いませんよ?頭に浮かんだ人、あなたもそう思ってるってことです)

(ゴメンナサイ。どーにも憎まれオチを付けんと気がスマンらしい:苦笑)



 

後今回感想を頂いた浅桐静人さんのHP



色々な本を読んでいるらしく大変博学な方です。

悠久SSやオリジナルSS等作品を多々発表してらっしゃるので

興味のある方は覗いてみては?

(ってか悠久ファンの人だったら大抵知ってるHPですが(笑))

 

 



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