日常管理
- 飼っていく上でするべきことは? -
餌の補充
普通は毎朝、減った分だけ補充します。ただし、これでは、好きな餌だけ食べてあまり好まない餌がどんどん残っていく可能性があるので、理想的には、1日に与えた物が丁度なくなるのが良いとされています。しかし、自由摂取させながら、丁度無くなるように与えるというのは、難しいですね(^^; 朝与えて、寝る前にはわずかに餌が残っているぐらい、というやり方が無難なやり方だと思います。少し勿体ないですが、次の日の朝は、新しい物に全部入れ替えてやる。私はこの方法が好きです。これなら、餌の殻を吹き飛ばす手間も省けます。1日に与える量がどれぐらいかは、鳥によっても違いますが、体重の1割強ぐらいだと思います。
鳥は飛ぶためにエネルギーの貯蔵を最小限に留めているので、半日餌がなくなると急激に元気をなくします。特に冬場の餌切れは、気を付けたいものです。あまり、理想を追いかけて餌切れをしないように、余裕を持って与えて下さい。多少偏食があっても構わないと私は思うんです。
どんな餌をどれぐらい与えるかは、餌の章で論じます。
水の交換
インコ類はあまり水を飲みませんが、だからといって、水の交換を怠ってはいけません。少なくとも1日に1回、できれば1日に2回交換したいです。特に水に栄養剤を混ぜている場合には、1日に1回では少なすぎます。
水入れ容器には、「ぬめり」が生じがちですが、水の交換の時に、容器に熱湯をかけて消毒してやると、かなり抑えられます。チコちゃんの具合が悪くなって以来、うちでは、水の交換時にこの方法で消毒するようになりました。
青菜の交換
青菜は個体によって好き嫌いが激しいですが、嫌いな子には、なんとか食べてくれる物を見つけてやって下さい。青菜はビタミンA源として必須ですが、ビタミンAは、ビタミン剤で採るよりも、青菜経由で採る方が良いからです。というのも、ビタミンAは過剰摂取の害が知られていますが、青菜経由の場合は、βカロチンという形で摂取でき、必要な量だけビタミンAに変わるという性質があります。したがって過剰摂取の害がないのです。また、他のミネラル源としても期待できます。
人間の食べる野菜は、大抵与えることができます。例を挙げると、大根葉、小松菜、レタス、サラダ菜、チンゲン菜、ニンジン(葉の部分ではなくて、根の部分)などです。ホウレンソウやフダンソウは、シュウ酸値が高いので、カルシウム摂取を阻害すると言われていますが、どうしてもそれ以外を食べないようなら、与えた方が良いと私は思います。サラダ用と表示してあるものなら、シュウ酸値が低いので、それらを選んで下さい。また、ハコベなどの野草を利用することもできますが、野草を与えるときには、食べられる野草であることを確認してから、しかも、植わっている土壌が信頼のおけるものであることを確認してから与えて下さい。
与えてはいけない物とされているのは、パセリ、ジャガイモの芽の部分、サトイモ科の仲間などです。ニンジンの葉もパセリと同属ですから、よくないように思います。
青菜の投与は、一種類だけ与えるのではなくて、今日小松菜を与えたら、明日はチンゲン菜という風に、多種類のものをローテンションするのが理想的です。種ごとに独特な栄養素がありますし、また、独特な毒素を持っていたとしても分散できるからです。
ボレー粉の交換
穀物は一般にカルシウムをあまり含んでいません。したがって、なんらかの形でカルシウムを別に与える必要があります。よく利用されるのが、ボレー粉とカットルボンです。
ボレーとは、漢字で書けば牡蠣で貝のカキのことです。ボレー粉というのは、牡蠣殻を焼いて砕いた物です。ボレー粉がカルシウム源として好まれる理由は、ボレー粉の堅さと形状に理由があります。ボレー粉を見てみれば分かりますが、適当に堅い一方、複雑な形をしていて表面積が大きいです。このため、ボレー粉は、一気に体内を通過せずに、胃(筋胃)の中に一定時間滞留しながら、徐々にカルシウムが溶け出すという、実にありがたいことが起こるのです。カルシウム源としては非常に効率の良い代物ですね。他の貝類の貝殻を割ってみたら分かりますが、堅すぎて破片が鋭くなりすぎたり、その一方で表面積も小さいです。
市販されているボレー粉には、白いものと青いものがあります。後者は、葉緑素をコーティングしてあるものです。カルシウムを採るとマンガンが不足する恐れがあるので、マンガン源として葉緑素を添加してあります。ただし、見れば分かりますが、そうした加工のせいでしょうか、青いボレー粉は、柔らかい物が多いように思います。青菜や塩土をやっている限り、マンガンが不足するとは思えませんので、白いボレー粉の方が良さそうに思います。というのも、ボレー粉は筋胃の中で、消化を助ける役目(野生状態では普通、筋胃には砂が収まっており、穀物の消化を助けるらしいです)も果たします。その意味で、ある程度の堅さを有するボレー粉の方が好ましいと思うからです。
カットルボンのカットルとはイカのこと、ボンは骨のことです。モンゴイカなどコウイカの仲間には甲羅状の骨のようなものがありますが、カットルボンは、それを良く洗って乾燥させた物です。臭いが残っていたり、舐めてみて塩分が残っていたりするものは、避けるべきです。カットルボンも割って見れば分かりますが、ある程度の堅さと、網目状の断面を持っており、ボレー粉同様、カルシウム源として理想的です。
ボレー粉やカットルボンは、そう簡単には腐敗しませんが、適当な間隔で(前者は1・2週間に一度ぐらい、後者は2週間から1月に1度ぐらいの割で)新しい物と交換してやって下さい。古くなると食べなくなってくるからです。
塩土の交換
塩土とは、塩類と砂粒を黄土や赤土で練って、石膏(硫酸カルシウム)を加えて固めたものです。ボレー粉を加える場合もあります。もともとはハトの飼育用に発展した補助栄養剤ですが、インコ類も土を非常に好むので与えます。塩類過多は問題ですが、穀食だけでは塩類が不足します。また、砂粒は、筋胃に収まって、穀物の消化を助けます。土はどういう役目をするのか、よく分かりませんが、腸内細菌の安定に役立っていると私は信じています。塩土をやらない方が良いという意見を何度か耳にしたことがありますが、穀食をさせている限り、塩土以外に私は適当なものを他に知りません。
塩土以外にも、類似のもの(ロームなど)が市販されていますが、うちでは、与えていません。与えたときに、水様便をしたことがあったからです(原因は不明ですが、安全のため、塩土だけに戻しました)。
また、コザクラインコを飼っていたときには、塩土の他に、赤玉土と砂粒(グリット)を与えていました。理由は上に書いた通りですが、現在飼っているオカメには今のところ、与えていません。
世界的に見れば、塩土は、日本独特のもののようです。海外では、上記のロームとグリットを与えることが多いようです。
塩土は、その組成から、そう腐敗する物とは思えませんが、粗悪なものの場合、真菌類が潜んでいる可能性は否定できません(なんせ土なんで)。そういうことから、与える前に電子レンジでチンして、十分に冷ませてから与える人もいます。
塩土は破壊されて粉々になってしまえば、インコ類は興味を失いますので、交換します。塩土の大きさにもよりますが、交換の目安としては3週間〜1月に1度ぐらいの割でしょうか。
敷き紙の交換
カゴの底に着脱可能なトレイがついていますが、そこに新聞紙などを敷いて、糞の始末をします。敷くものとしては新聞紙に限らないわけですが、新聞紙のインクは、万一口にしても大丈夫なインクが使われているはずですので、広告の紙を使うよりは、安全です。
敷き紙交換は、サボろうと思えば、かなり長期間サボることができますけど、できれば毎日交換したいです。1)衛生を保つためと、2)毎日の糞の状態を確認しやすくするためです。
大して時間を取る作業でもないので、是非毎日交換しましょう。交換のついでに、糞の状態を確認して下さい。黄土色からやや緑がかった色が通常の便の色です。絵の具のような緑色の便(緑便と言います)や褐色や赤色の便は要注意です。緑便は、消化液がそのまま出てしまっている場合で、消化液が小腸で再吸収されていない証拠だからです。また、褐色や赤色の便は、血液が便に混じっている可能性が高いです。また、普通の状態の便はコロッとした形状で、そんなにべちゃべちゃしていません。トレイの上の網にぶら下がっている糞が多いようなら、べちゃべちゃしすぎの糞なのかもしれません。また、普通は、ウンチの周りに白い部分があります。白い部分は、尿です。この尿の部分が黄色い場合も要注意です。ビタミン剤を添加している場合は、それが出ていることも考えられますが。また、糞の周りに水が拡がっている場合も、正常とは言えません。こうした異常は、それだけで病気とは言えないものですが、大事な情報です。
カゴ洗い
清潔を保つためには、カゴ全体を定期的に洗うべきですが、なかなか難しいですね(^^;ゞ うちでも、カゴ全体を洗うことは滅多にありません。以前コザクラインコを飼っていたときには1月に1度カゴ洗いをしていたのですが、オカメに対してはサボりがちです。ちょっと反省。できれば、1月に1度はカゴ全体を洗って、1時間ぐらいは日光に曝したいものです。
カゴ全体を洗うのはなかなか大層なので、せめて止まり木だけでも定期的に洗いたいものです。オカメにとっては、止まり木はほぼ1日中止まっている大切な場所です。
カゴから出して遊んでやる
手乗りインコの場合、これは必須です。こうしてやらないと、ストレスは溜まるし、手乗り度も低くなっていきます。
カゴから出す時間としては、朝夕2回、30分から1時間ぐらいでしょうか。1時間以上出す場合は、カゴ外で餌を食べられるようにしてやっておいた方が無難です。ただし、1時間以上も出すとなると大変だし、鳥から目を離すこともありがちになるので、あまりお勧めはできません。カゴから鳥を出しているときが、鳥にとって最も嬉しい時であるとともに、鳥にとって最も危険な時でもあることを、私たち飼育者は認識しておかなければなりません。したがって、料理の最中などに鳥を出しているなんていうのは論外です。なるべく鳥にとって危険の少ないときに、しかも、飼育者の目が常時行き届いているときに出してやって下さい。
動物病院で健康診断
健康診断は、1年に一度受けさせた方が良いです。行き帰りや病院でのストレスは気になりますが、そうした短所を補うだけの物はあるはずです。
健康診断には、健康状態を調べるという目的がありますが、副次的に、信頼のおける先生を見つけられるという効果もあります。いざ病気なってから、信頼のおける鳥の先生を捜すなんていうことは至難のことです。また、健康診断の時に、鳥の飼い方を教わることもしばしばのはずです。
鳥を診て下さる動物病院を探すのは、結構難しいです。方法としては、1)インターネットの掲示板(例えば、獣医師広報板やオカメーズクラブ)やNIFTY-SERVEの鳥&何でもペットフォーラムで尋ねてみる、2)イエローページで近くの動物病院に片っ端から電話を掛けて感触を得る、3)獣医師会に電話をして鳥の得意な獣医師を教えてもらう(教えてくれることがあるかもしれない)、などです。
大阪と滋賀で1つずつ、鳥を診ていただける獣医さんを紹介しておきます。
大阪:川村獣医科
大津:唐崎ペットクリニック
その他
カゴに暗幕を掛ける(毎日)・・・カゴを居間などに置いている場合、どうしても夜更かしさせてしまいます。そこで、暗幕を掛けてやって、寝かせてやります。うちのオカメたちは、どちらもメスなので、なるべく卵を抑制したいのですが、光を制限すると卵の抑制効果があると言われています。睡眠を十分にとらせる目的の他に、無用な卵を産ませない可能性もあるわけです。
爪切り(必要ならば随時)・・・爪が伸びすぎて、カゴの棒材などに引っかかって危険な場合は、爪切りをしてやらなければなりません。ただし、ある程度伸びて来るとクチバシを使って自分で整形しているようです。そういう場合は爪切りは不要です。また、爪が伸びがちな場合は、止まり木の太さが合っているかどうか確かめてみて下さい。爪をしっかり止まり木に立てていますか? 市販の鳥かごに付属の止まり木は、どれもオカメには細すぎます。
羽切り(必要ならば随時)・・・場合によっては、飛ばないように処理したいかもしれません。そんな場合は、風切り羽を全部、または、1枚おきに、切ります。詳しくは飼育書を見て下さい。ただし、私はコザクラでもオカメでも羽切りをしたことがありません。普通に飼っている限りは、オカメでは羽切りは不要だと私は思っています。
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